その他のお知らせ

「新型コロナウイルス感染症に関する世界の注目すべき研究開発動向」
公表に寄せて
(JST第一報)

昨年12月に中国武漢で確認された新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)は、瞬く間に世界に拡散しました。6月2日現在、世界で610万人以上が感染し、37万人をこえる方々が亡くなられています。また、日本においても16,930人が感染し、894人の方が亡くなられています。

日本においては、4月7日に緊急事態宣言が発令されましたが、政府、自治体による様々な対策、国民の皆様方の不断の努力によって、いわゆるロックダウンを実施することなくとも、5月25日には全ての地域において緊急事態宣言が解除されるに至りましたが、「新しい生活様式」のもとで感染予防に向けた取組が継続されることとなりました。

しかしながら、完全な克服までには流行の波を繰り返しながら数年はかかると考えられ、抜本的な解決策なしには、その間、様々な社会経済活動の低下は避けがたい状況となります。

現在、新型コロナウイルス感染症に対し、わが国、そして世界各地において、治療薬やウイルス、検査・診断技術などの多様な開発が進められています。新型コロナウイルス感染症を克服するためには、このような直接的な研究開発が重要であることは言うまでもありませんが、加えて、このような感染症が流行した場合であっても、通常に近い生活の維持が可能となるような科学技術(アバター(ロボットやCGによる分身)やウイルスを不活化させるような様々な技術開発など)の研究開発も重要であると考えています。JSTとしても、ウィズコロナ、ポストコロナにおける社会のあり方を考えるため、様々なステークホルダーと議論を行うとともに、他のファンディングエージェンシー等とも連携を図りつつ、JSTとして対応できる研究開発分野においてしっかりと取り組んでまいります。

さて、この度、研究開発戦略センター(CRDS)が論文等を中心に情報を収集し、現段階での新型コロナウイルス感染症に関する情報やこれに対応する治療薬、ワクチン、検査・診断技術の開発等の状況を取りまとめた「新型コロナウイルス感染症の世界の注目すべき研究開発動向」を公表いたします。

本資料は研究者の皆様方や政策決定に関わる方々にご活用いただくことはもちろんのこと、市民の方々にも新型コロナウイルス、およびこれに対するための研究の現状についてご理解いただくための一助となれば幸いと考えています。

今回のレポートを皮切りに、新型コロナウイルス感染症についての様々な分析結果の公表を進めるとともに、ポストコロナの社会を見据えた科学技術の発展に向けた取組の充実を進めてまいります。

 研究開発戦略センター(CRDS)「新型コロナウイルス感染症の世界の注目すべき研究開発動向」

令和2年6月4日

国立研究開発法人科学技術振興機構
理事長  濵口 道成