[本文]

OPERA (東京工業大学)
共創コンソーシアム名:全固体電池技術共創コンソーシアム
全固体電池の基盤技術構築を目指して
分野材料科学
領域概要

研究課題名

目的指向型材料科学による全固体電池技術の創出

プロジェクト実施期間

2019年度〜2023年度(OI機構連携型)

幹事機関、領域統括(所属)

東京工業大学 菅野 了次(科学技術創成研究院 特命教授)

参画機関(大学等、企業等)

(株)アルバック、エボニックジャパン(株)、LG Japan Lab (株)、Enpower Japan (株)、(株)エンビジョンAESCジャパン、 昭和電工マテリアルズ(株)、(株)GSユアサ、住友化学(株)、ソフトバンク(株)、TeraWatt Technology (株)、日産自動車(株)、三菱瓦斯化学(株)、三菱マテリアル(株)、(株)リコー 

めざす未来

情報化社会が進展してスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末が日常生活に不可欠なものになり、また電気自動車(EV)への パラダイムシフトがグローバルに加速しています。これらには現在、液体の電解質を持つリチウムイオン電池などが利用されていますが、 その性能向上は限界に近づいており、革新的な次世代電池の開発が期待されています。次世代電池として様々な電池が開発されていますが、最も有望視されているのが電解質に固体を用いた全固体リチウムイオン電池です。全固体電池は、重量および体積あたりのエネルギー密度が高く、耐熱性が高く、コストダウンが見込めるからです。地球温暖化の抑制、CO2削減は急務であることから、世界的にEV化の潮流が加速していますが、全固体電池はEV化の実現に大きく貢献できると期待できます。また、全固体電池は蓄電技術の革新にも貢献し、電力は貯蔵し難いという課題の解決も期待できます。本プロジェクトは持続可能な社会に不可欠な全固体電池の実用化を目指します。

研究のポイント

全固体電池の実用化に向けて、本プロジェクトではその共通基盤技術の研究開発に取り組みます。全固体電池のキーテクノロジーは固体中を動き回る超イオン伝導体(固体電解質)ですが、その重要な性能指標であるイオン導電率の向上を目指します。イオン導電率が向上することで、電池の出力特性を向上するだけでなく、充電特性の向上も期待できます。次に、高いエネルギー密度を目指します。エネルギー密度の向上は、同一容積・同一重量において蓄えられる電気エネルギー量の増大に直結する重要な性能指標です。たとえば車載用蓄電池の場合、航続距離の増加が見込まれます。また、全固体電池の用途を拡大するため、幅広い温度領域で作動する全固体電池の技術開発を行います。さらに技術課題と研究開発の進捗状況を正確に反映した技術ロードマップの作成を行い、今後の技術開発の指針としていきます。

ここがすごい

菅野教授は2011年にリチウム超イオン伝導体のLGPS(リチウム・ゲルマニウム・リン・硫黄で構成される材料)物質系を創成し、2016年にはその派生の固体電解質材料を発見しました。2017年には、安価かつ汎用的なスズとケイ素を組み合わせた固体電解質材料を創出するなど固体電解質の研究をリードしており、多数の重要基本特許を保有しています。
本プロジェクトでは、これまでに培われた技術、知見を活かして、固体電解質のイオン伝導率や安定性向上のための材料開発を進めるとともに、高出力・長寿命化を図るために、原子レベルで電気化学界面を解析し、物質合成へフィードバックするなど、基礎研究を深めています。物質評価には、通常の焼成法に加えて、高圧合成、薄膜合成方などの手法でいろいろなパラメータを変化させるほか、マテリアルズ・インフォマティクスでのアプローチを実施しています。

企業への一言

本プロジェクトは東京工業大学のオープンイノベーション機構(OI機構)と連携しています。将来的には、非競争領域での研究成果を共創領域である蓄電池開発に移行し、OI機構のもとで事業化を推進していくことを目指しています。全固体電池の実用化に向けて、幅広い業種の企業様の参画をお待ちしております。

全固体電池の実用化に向けて、本プロジェクトではその共通基盤技術の研究開発に取り組みます。

 

お問い合わせ先
東京工業大学 科学技術創成研究院 全固体電池研究センター OPERA事務室
メールアドレス: office@opera.iir.titech.ac.jp
電話: 045-924-5555
URL: http://www.opera.iir.titech.ac.jp/


TOP