研究課題名
物理・化学情報をミクロンレベルで可視化するマルチモーダルセンシング技術の創出
プロジェクト実施期間
FSフェーズ:2018年度~2019年度
本格フェーズ:2020年度~2023年度
幹事機関、領域統括(所属)
幹事機関:国立大学法人豊橋技術科学大学 領域統括:澤田和明(電気・電子情報工学系 教授/エレクトロニクス先端融合研究所長)
参画機関(大学等、企業等)
愛媛大学、東京大学、山梨大学、長野工業高等専門学校、一般社団法人豊橋センサ協議会
(株)アイセロ、(株)アロマビット、イムラ・ジャパン(株)、京セラ(株)、協和(株)、グローリー(株)、新東工業(株)、シンフォニアテクノロジー(株)、(株)ティアテック、(株)デンソー、東邦化成(株)、東朋テクノロジー(株)、日本システムウエア(株)、浜松ホトニクス(株)、(株)ファームシップ、(株)プラネット、(株)リッコー、CKD(株)、Hinge Therapeutics,Inc.、InfiniteBio,Inc.、LG Japan Lab(株)、(株)PROVIGATE
めざす未来
約5ミリ角の小さなセンサチップの中に化学的、薬理的、生理学的、また、圧力などの物理的な情報の反応検出機能を集積した”マルチモーダルセンサ”を実現します。このセンサを用いて必要な情報以外に一見不必要と思われる情報も取得し、ディープラーニング等の解析手法を駆使し、様々な予兆を検知して制御するような新しい仕組み作りを提案します。参画企業と共に超スマート社会を支える半導体の活性化に向けた取組みや、病気診断、創薬支援、農作物の生育状況や病害被害、食品の大量廃棄の回避など、社会が直面する問題に対して向き合い、新たな価値の創造や新産業の創出を目指します。
研究のポイント
センサの空間分解能(どれだけ微小な領域を独立に観測できるか)と時間分解能(どれだけ短い時間でデータを更新できるか)を高めるための基盤技術を確立するとともに、これらの基盤技術を融合し、化学現象や物理情報を可視化することができる3種類のマルチモーダルセンサ(マルチモーダルガス成分センサ、マルチモーダルフィジカル・ケミカルセンサ、マルチモーダルケミカル・バイオセンサ)の開発を目指しています。
今回、医療・創 薬、農業分野に応用可能な「圧力+イオンセンサ」、「刺入型イオ ンセンサ」を開発したので報告します。
ここがすごい
本領域が目指すマルチモーダルセンシング技術では、取得したセンシングデータの処理として、2次元イメージ画像を設定しています。センシングデータを可視化、画像化することで、現在では、一般的となった画像認識技術などを活用することができます。様々な化学・物理現象を計測し、単純な数値データの羅列では表現できないセンシング技術の確立を目指しています。
企業への一言
ミクロンサイズ、ミリセカンドの時空間分解能で電位を検出する2次元電位検出器アレイが本領域のプラットフォームです。このアレイ上に、特定の化学現象や物理現象を電圧・ポテンシャルに変換する材料を形成すれば、センサの感応膜として利用できます。これらを要素技術として、環境、農業、医療・創薬、バイオ、ロボット分野への展開を進めています。本領域では、デバイス・プロセス・計測装置開発、材料開発、データ処理、応用分野の開拓までの一環した開発体制を有しています。そして、各企業様が得意とする分野・技術での研究開発を担っていただいています。皆様の得意技術で本領域へのご参画をご検討ください。
イオンイメージセンサ / Ion image sensor
画素ピッチ30μm、画素数256×256、画素サイズ7.68×7.68mm、ピクセルレート5MHz、フレームレート60Hz、水の中でも使用可能。カリウム、カルシウム、ナトリウム、アセチルコリン、グルコース、ラクテート、ATPなど神経伝達物質・細胞外イオンのイメージングやにおい、圧力など様々な物理現象をイメージングすることが可能です。
圧力イオンイメージセンサ/Pressure and ion image sensor
細胞活動等の様々な現象を観察するために、微小な領域で圧力とpHやイオンの挙動を検出するセンサです。
水素イオン感応膜上への圧電膜を形成することで、イオンのイメージングだけでなく、圧力や物理的な力も検出することができます。現在、製造プロセスを工夫し、40マイクロニュートンの微小圧力を検出することに成功しています。
産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)紹介動画