炭素社会戦略センター(LCS)シンポジウム

—2050年明るく豊かなゼロエミッション社会に向けたシナリオ—

終了いたしました。
多数のご参加ありがとうございました。
講演資料等を後日こちらのページにて公開する予定です。

 低炭素社会戦略センター(LCS)は、「明るく豊かなゼロエミッション社会の構築」に向けて、脱炭素技術の技術的・コスト的展望に関する定量的な解析、社会への導入のシナリオの検討とともに、ゼロエミッション社会の実現を加速する新技術創出に資する研究開発から、成果の普及、社会への実装までを見据えた戦略や社会システム設計のための取組を行っています。

 我が国は2050年に温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す方向を打ち出しており、2030年には2013年度に比べて46%削減することを目指すと表明し、「さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていく」と述べています。これらを踏まえて、2050年の明るく豊かなゼロエミッション社会に向けたシナリオを技術面、経済・社会制度面から展望するべく、各分野の専門家をお招きし、ゼロエミッション経済・社会のビジョンについて、議論を行います。

 LCSからは、低炭素社会実現に向けてLCSで進めている技術、経済、社会システムに関する研究の現況や最新の研究成果についてご紹介し、議論を深めます。

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 科学技術振興機構は「持続可能な開発目標(SDGs)」への科学技術イノベーションの貢献(STI for SDGs)という視点から積極的に活動しています。本シンポジウムもその一環として、SDGs達成への貢献につながることを期待しています。

日時
2021年12月3日(金)13:30~15:30
開催形式
実開催およびオンライン配信(Zoomウェビナー)
※今後の新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、オンライン開催のみとし、会場開催を中止する場合があります。
会場
伊藤謝恩ホール
定員
1120名程度(会場120名・オンライン1000名・事前登録制、無料)
対象
企業、国、大学、地方自治体等の関係者および一般の方
主催
国立研究開発法人科学技術振興機構
後援
文部科学省
経済産業省
環境省
プログラム(敬称略)
13:30-13:35

開会挨拶

小宮山 宏〔LCSセンター長〕

13:35-13:40

主催者挨拶

濵口 道成〔JST理事長〕

講演
13:40-14:00

LCS講演
「2030年政府案の実現性と2050年明るいゼロカーボン(ZC)社会」山田 興一〔LCS研究顧問〕
 報告動画 動画  pdf_icon 発表資料 (454KB)

2050年のZC(ゼロカーボン)社会に向い、2030年での温室効果ガスの排出量を46%(2013年基準)削減することが政府決定された。あと8年でこれを達成することは容易なことではない。CO2排出量を大幅に削減するためには、先ず排出量の1/2を占める電力から削減をする必要がある。この定量化はある程度正確にできる。しかし、他の産業部門からの排出量の削減定量化は今後の産業構造の変化が大きいために容易ではない。

電力部門でのエネルギー源を全て自然エネルギーにすれば2050年にはZC電源になるが2030年はその中途段階である。例として削減率を50%にした時の電源構成(ここでは自家発電分を除く太陽光、風力の数値のみ)、コストを示す。電力需要が1000TWhの場合は太陽光、風力発電量はそれぞれ2019年の31、15TWhから2030年には190、50TWhと多くなるが、電力コストは12円/kWhと現在より安くなる。2050年にZC電源になり、大部分のエネルギー源は電力となるために需要は増大し、電力供給量が1400TWhの場合は太陽光、風力は400、1000TWhも必要となり、電力コストは15円/kWhと高くなる。このような電源を用いて他産業からのCO2排出量をどこまで削減できるかについて2030、2050年の産業構造の変化を仮定して上記電源データを組み込んだ新産業連関表を用いてCO2排出量、GDPを算出した。これらの計算結果の一例を示す。2030年では電源からの削減量が50%の場合は全産業部門からの削減量は35%、GDPは580兆円となり、2050年のZC電源使用でも全産業部門からの排出量を80%削減する例は出たが、日本全体をZCにする答えは未だ出ていない。この時のGDPは700兆円程度になる例も出た。

2030年でCO2を46%削減できない場合の削減不足分、更に2050年でも若干残るCO2排出分を回収・貯留するための費用の計算結果も示す。

14:00-14:25

基調講演1
「ゼロ・カーボンチャレンジ2050」深澤 祐二〔東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長〕
 報告動画 動画  pdf_icon 発表資料 (50.6MB)

JR東日本は、グループ経営ビジョン「変革2027」において、「ESG経営の実践」を経営の柱として掲げ、2050年度の鉄道事業におけるCO2排出量「実質ゼロ」を目指す長期環境目標「ゼロ・カーボンチャレンジ2050」を2020年5月に公表しました。

2020年10月には、さらに「ゼロ・カーボンチャレンジ2050」を当社グループ全体の目標とし、グループ一体となって2050年度のCO2排出量「実質ゼロ」に挑戦することを公表しました。

エネルギーを「つくる」から「使う」までのすべてのフェーズでCO2排出量「実質ゼロ」に向けたチャレンジを行うことで、鉄道の持つ環境優位性のさらなる向上とサスティナブルな社会の実現を目指しています。

本講演では、当社グループの「脱炭素社会」実現へ向けた取組みについて紹介します。

14:25-14:45

基調講演2
「テクノロジー進化がもたらすDisruptiveな企業や産業の変革」松本 哲哉〔スマートニュース株式会社 執行役員 経営企画担当 兼 ファイナンス担当〕
 報告動画 動画  pdf_icon 発表資料 (1.5MB)

今後情報化社会が進展するにつれて、IT機器の電力消費量は爆発的に増加し、2030年には現在の全消費電力量の2倍近い電力をIT機器だけで消費するようになるという。その後もIT機器の消費電力は増え続けるといわれており、その需要は世界のエネルギーを全て消費し尽くしてもまだ不足することになってしまう。

これほどまでに情報化社会が進展していくのは、いかなる技術的、産業的あるいは社会的な変化が起因しているのだろうか。実際何が起こっており、将来はどのような見通しなのだろうか。何がコンピューティングの量やトラフィックの量を増やしていくのだろうか。

本講演では、テクノロジーの進化が産業や社会を変えている最先端の具体的事例を紹介しつつ、未来の姿を想像してみたい。変化は、IT関連産業といった枠組み内ではなく、全産業のデジタル化と、人々の行動変容に及んでいる。モバイル化、クラウド化、データ化といった潮流の中で、Disruptiveな(破壊的な)企業や産業が既に社会を変えてしまっている。日本のデジタル化は諸外国に後れを取っているといわれるが、その分これからの変化量速度は高くなるであろう。あらゆる将来予測をするためにも社会変容への影響の大きいデジタル化進展を明らかにすることは重要である。ここではこの進展について述べる。

質疑応答・パネルディスカッション
14:45-15:25
【モデレータ 】 森  俊介〔LCS 研究統括〕
【コメンテータ】 小宮山 宏〔LCSセンター長〕
【パネリスト】 深澤 祐二〔東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長〕
松本 哲哉〔スマートニュース株式会社 執行役員経営企画担当 兼 ファイナンス担当〕
山田 興一〔LCS研究顧問〕
 報告動画 質疑応答・パネルディスカッション①動画 
 報告動画 質疑応答・パネルディスカッション②動画 
 報告動画 質疑応答・パネルディスカッション③動画 
15:25-15:30

閉会挨拶

越 光男〔LCS副センター長〕


告知リーフレット
申込締切:2021年12月2日(木) 17:00

※お申し込みはどちらか一方からのみお願いいたします。
どちらからお申し込みいただいても招待状には配信URLが記載されています。

問い合わせ

シンポジウム事務局
TEL:03-6661-0205(受付:平日10時~18時) FAX:03-6661-7517
E-MAIL: お問合せ先

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