低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2020-PP-06

二酸化炭素のDirect Air Capture(DAC)法のコストと評価(Vol.2)
―吸着分離プロセス―

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13

概要

 2019年度はKOH-CaCO3アルカリ吸収法によるDACプロセスについて評価した。本提案書では、アミン/ナノファイバー系およびMOFs-74(Metal-Organic Frameworks)系を用いた吸着法によるDACプロセスについて検討し、コストや課題など検討した。

 アミン/ナノファイバー系は、吸着性能が低くかつ吸着材での通気抵抗が大きく、エネルギーコストが高くなる。吸着容量を0.7mol/kg、吸着速度を0.5mol/kg/hと想定したケースでは、DACコストは117円/kg-CO2であった。
 MOFs系はハニカム構造を想定したため通気抵抗はアミン/ナノファイバー系より低く、エネルギーコストは低い。しかし吸着材のMOFsの価格が高く、吸着剤の寿命を想定の倍(4年)以上にする必要がある。またハニカム構造MOFs吸着剤につき性能など実証する必要がある。吸着容量を2.1mol/kg、吸着速度を1.5mol/kg/hと想定したとき、DACコストは71円/kg-CO2であったが、今後実証が必要である。
 KOH-CaCO3アルカリ吸収法では、DACコストは35円/kg-CO2であり[1]、この数値以下か否かを実証するなど課題はあるが、現状では有望なプロセスである。
 アミン/ナノファイバー系AEAPDMS-CO2-H2Oの吸着特性を、Gaussianを用いて量子化学計算を行った。水分の有無で電子状態が変化し吸着特性が変わることや、吸着の容易さや吸着熱も推測できた。量子化学は開発の効率化の有力なツ-ルとなる。
 DACコストを、できれば20円/kg-CO2以下とする技術開発が必要である。

提案書全文

関連提案書