低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2019-PP-16

将来型低炭素社会における産業構造検討のための人口に関する分析

  • SDGs8
  • SDGs9
  • SDGs7
  • SDGs13

概要

 地球温暖化緩和のための低炭素・ゼロカーボン(ZC)社会構築が不可欠である。ZC社会には今後数十年にわたる社会の変革・イノベーションが必要である。LCSでは低炭素・ZCであり経済も活性である「明るく豊かな」社会像を明らかにし、どのように移行していくか検討を進めている。将来の低炭素社会では、化石燃料由来ではないエネルギーの供給が主となり電力利用が多くを占め、社会や産業の構造が大きく変化し、就業構造が大きく変革する。

 本提案書は、人口構成や就業人口の観点から検討を進めたものである。このような将来研究について、年齢階層を考慮した就業人口からの例は数少ない。就業人口は2050年で2018年比27%低減する。もし就業構造や生産性が変わらないならGDPは30%低減することになる。就業人口減少下で2050年まで年率0.5%でGDPを増加させるには、全産業平均では労働生産性(就業人口あたり生産額)を現状の1.5倍、年率で1.0%増加させる必要がある。産業別では多くの産業で0.5~3%の労働生産性向上が必要となる。この労働生産性向上は、脱炭素化と人口減少環境下で情報通信技術や各種自動化・人工知能利用技術などが進展する未来型社会の中、生活の質を向上しながら達成されなければならない。各年齢層、特に若年層や高齢者に合った職業教育、高齢者の健康維持体制の確立など、幅広い年齢層が活躍できる社会環境の整備が重要である。今後様々な想定をもとにシナリオを提案し明るく豊かな社会への道筋を年齢別技能別の就業構造の観点を加えて明らかにする必要がある。本提案書では、そのための就業人口から分析評価するための基礎データの整理を行った。

提案書全文

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