低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2019-PP-02

アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言(Vol.2)

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概要

 燃焼排ガスとしてCO2を出さない水素やアンモニアは、炭化水素に比して空気に対する燃料の比率が大きい。したがって、水素やアンモニアは通常の作動流体として空気を仮定するタービン熱効率評価法が適用できない。この問題を解決するために、ガスタービンシステムの新しい解析法を開発した。この方法では、化学変化を伴う多成分流体に対して自由エネルギー最小化法による化学平衡計算を行い、圧縮過程、燃焼過程、およびタービンにおける膨張過程のエンタルピー変化に基づいて出力と熱効率を評価する。

 この新しい方法を用いて、2018年12月に提案したアンモニア過剰燃焼タービンによるコンバインドサイクルの出力と熱効率を評価した。アンモニア過剰燃焼タービンにより低NO燃焼が可能であり、燃焼排ガス中の水素を再燃焼させるコンバインドサイクルにより高燃焼効率のシステムが構築可能であることが再確認された。ただし、今回開発した方法と比べて、昨年度用いた簡便法による出力の計算値は過小評価されていることが分かった。アンモニアを燃料とした場合、タービンの耐熱温度を2,000K、圧力比の上限を25とすると、排ガス再循環率0.6、当量比1.1の時にコンバインドサイクルの熱効率60%を達成できることが分かった。
 比較のために、水素の燃料過剰燃焼タービンシステムについても検討した。水素の場合も燃料過剰燃焼により低NOを実現できるが、水を含んだ排ガスによる極めて多量な排ガス再循環(Exhaust gas recirculation,EGR)が必要であること、および燃焼効率が低くなることから、アンモニア専焼タービンに対する優位性は認められなかった。

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