低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2018-PP-14

GaN系半導体デバイスの技術開発課題とその新しい応用の展望(Vol.3)
—市場規模と省エネルギー効果—

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概要

 窒化ガリウム(GaN)は直接遷移型半導体で広いバンドギャップを持つため、高効率の発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)の形成が可能であり高効率発光デバイス材料として期待されている。電子デバイス用途でも高周波用途に加えて、バンドギャップの大きさから、大きな絶縁耐圧が推定され、パワーデバイス用途に期待されている。もっとも、GaN基板の製造 困難などの技術的課題から、まだ開発初期段階である。

 本報告では電子デバイスおよび光学デバイスの将来市場について考察するとともに、これらの中でのGaN市場について調査し、その市場規模と用途別省エネルギー効果について検討した。
 その結果、以下の結果が得られた。(1)光学デバイス市場におけるGaN系LEDの省エネルギー効果は照明用途を中心に、200TWh程度ときわめて大きいが、大部分の用途で既存の市販LEDで十分である。(2)次世代半導体としてのレーザーや高輝度LEDは、大きな新規市場を作り上げる可能性があるものの、新分野のために省エネルギー効果の推算は困難である。(3)パワーデバイス市場ではGaN素子はその特性からインバータなどによる省エネルギー貢献のポテンシャルが120TWh程度と大きい。(4)価格/性能指数が低いことが最も重要である。炭化ケイ素(SiC)やSi系半導体と競合するため、GaN素子が省エネルギーに貢献する程度に普及するためには、性能向上とともにコストダウンの必要性が高い。
 GaN素子の定量的なポテンシャル評価は今後の課題である。

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