低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2016-PP-12

エネルギー需要見通しから見る低炭素社会に向けた課題と展望(Vol.2)

概要

 本提案書では、エネルギー消費に関する最近の変化に関して、構造的な変化の可能性を検討した。さらに、その可能性に基づき昨年度構築したエネルギー・モデルを用いて、最近のエネルギー消費に関する変化が2030年まで継続した場合の、将来のエネルギー需要を予測分析した。

 加えて、今後日本経済が、実質国内総生産で年率1%、および0%成長した場合におけるエネルギー需要についても予測分析を行った。その結果は、実質GDPが年率約0%で成長した場合において、最終エネルギー消費が、2013年比マイナス11%の11,800PJ、CO2排出量が同年比マイナス22%の933Mt-CO2となった。GDPが0%成長となった場合でも、CO2排出量は日本の約束草案に記載されるエネルギー起源CO2排出量(2030年)を達成することは難しいという結果である。エネルギー・モデルによる予測分析によれば、産業のサービス化が今後も進むと考えられる中で、業務部門におけるエネルギー消費量が最も大きく増加する可能性がある。従って、業務部門における省エネルギー化を重点的に進めることが効率的である。さらに、経済と環境の両立には投資の拡大は重要であり、費用対効果に優れる太陽電池、蓄電池、燃料電池、バイオマスといった低炭素技術の開発・普及に資する投資の拡大を政策的に推し進めていくことが重要である。

提案書全文

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