低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2015-PP-16

エネルギー需要見通しから見る低炭素社会に向けた課題と展望

概要

 低炭素技術の開発・普及による「明るく豊かな低炭素社会」を構築するには、低炭素技術の導入によってエネルギー社会がどのように変化するかを示すことが重要である。そこで、低炭素技術の普及による経済的・社会的な影響を評価することを目的として、日本のエネルギー需要予測モデルを開発した。

 このモデルを用いて、長期エネルギー需給見通し(文献[4])における経済・社会構造や電源構成に関する前提条件を用いて、2030 年までに経済は堅調に回復するというシナリオ(リファレンスケース)の下で、2030年までの日本のエネルギー需要を予測した。この結果、日本のエネルギー需要は2013年比で約5%減少し、エネルギー起源二酸化炭素は同年比約16%削減すると予測された。部門別に需要見通しを見ると、産業部門と運輸部門においてエネルギー需要は減少する一方で、民生部門のエネルギー需要が増加するという結果となった。民生部門における潜在的な省エネルギー量が相対的に高いということが分かった。サービス市場の拡大が期待される中で、民生部門における省エネルギー化を進めることは、化石エネルギーの消費抑制と経済的な豊かさを両立した社会を実現させる重要な布石となる。従って、民生部門において、低炭素技術を円滑に普及させるための市場整備やそれを支援する政策の拡充が必要である。

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