低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2016-PP-06

CCS(二酸化炭素回収貯留)の概要と展望(Vol.2)
—膜による分離回収コスト及び貯留コストの評価と課題—

概要

 膜分離技術によるCO2分離回収法について、回収コストと課題を検討した。ガス化方式(precombustion;ガス圧力5.7MPa)の石炭焚き発電所(規模1,000MW)に適用したとき、目標性能(膜透過率4×10-10m3/m2/s/Pa,選択率125)の膜では、分離回収コストは1.5¥/kg-CO2であり、物理吸収法でのコスト3.9¥/kg-CO2(LCS提案書(FY2015-PP-08)、2016年3月)より安価で優位である。

 しかしボイラー方式(post-combustion)の低圧のガスでは、入口圧力の昇圧が必要なため、昇圧コストが加算される。
 さらに、分離回収したCO2を貯留するためのコストを、常温液化ガスを配管輸送して直接注入する場合と低温に液化し船で海上輸送後注入する場合について検討した。前者は1.3¥/kg-CO2、後者は5.1¥/kg-CO2となり、低温液化ガスの海上輸送後注入ケースはコスト高となることが分かった。常温液化ガスの直接注入法が望ましい。

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