LCS-FY2015-PP-08
CCS(二酸化炭素回収貯留)の概要と展望
—CO2分離回収技術の評価と課題—
概要
化石燃料源電力の低炭素化のために、発電所排ガスからCO2を分離回収して地中内部に貯留する方法がある。今回化学吸収法と物理吸収法についてプロセスを検討し、CO2の分離回収コストを評価した。検討した範囲は、脱硫処理後CO2の液化までとし、貯槽輸送注入コストは含んでいない。
CO2分離回収コストは、化学(アミン)吸収法では4.1¥/kg、物理吸収法では3.9¥/kgとなり、物理吸収法のほうが若干安い。前者はアミンからCO2を分離するに必要な分離エネルギーコストが0.8¥/kgと高く、後者は高圧のための設備費用と多量の吸収液を取り扱うための電力コストが2.5¥/kgと高い。
発生電力量当たりのCO2回収量を0.7kg/kWhとすると今回の検討の範囲で発生電力量あたり約2.8¥/kWhのコストが電力コストに上積みされる。
現状では将来の再生可能エネルギー発電との競争は厳しい。
今後、貯留輸送注入工程の検討と膜分離法などの評価をおこなう。