低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2015-PP-06

木質バイオマス燃料のコスト低減
—林業素材生産コストの機械化推進による低減効果—

概要

 現在、我が国の木質バイオマス発電の燃料は、未利用間伐材、建設資材廃棄物、一般木材残渣等であるが、これらを使ったバイオマス発電の既導入量はまだ少なく約4TWh/年に留まっている[1]。現在は、建設資材廃棄物及び一般木材残渣が木質燃料の主流であるが、今後増える可能性は小さい。

 一方、日本の森林資源の蓄積は50億m3以上あるにもかかわらず、未利用間伐材はほとんど使われていない。仮に1億m3/年を発電燃料に利用できるとすると、年間発電電力量約60TWhの高い発電ポテンシャルを有していることになるが、現状では植林から伐採までの木材生産総コストが高く、エネルギーとして利用するには大幅なコストダウンが必要である。国際的なエネルギーコストの競争を考慮すると、日本の木材生産総コストは従来の1/5程度にすることが求められる。本報告では、森林傾斜角20°以下の緩斜面における機械化の推進による主伐費の削減、及び持続可能な単位事業量(1万ha/50年程度の森林面積)の確保による、国際的コストと同程度のコストへのコストダウンの可能性を示す。
 今後は、植林など育林費用低減の検討、最近開発が進む傾斜角30°以上の急峻な地形に適した林業機械の検討に加え、地域に適した作業システムを提言していく。また、林業の持続的な運営には、1万ha単位程度の施業の集約化や、継続的な木材の需給システムの確立も必要であり、日本の林業改善への包括的な検討を行っていく。

提案書全文

関連提案書