低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2014-PP-07

地熱発電(Vol.1)
—発電量拡大に向けた設計・評価—

概要

 日本の地熱導入ポテンシャル(150℃以上)は、約14GWと推計されているが、これまでに開発されているのは約520MWである。発電出力を増大させるためには、新しく地熱発電所の建設を促進すること、及び従来技術を有効活用して発電効率を向上させることが必要である。

 国内の地熱発電所について公開されている運転データに基づいて、シングルフラッシュ式とダブルフラッシュ式について発電出力を計算した。その結果、エンタルピーが低い地熱流体にダブルフラッシュ式を適用すると、シングルフラッシュ式と比べて発電出力が10~20%増加し、発電効率は1~2%向上することが分かった。発電コストも0.7\/kWh低減し、経済性の面でもダブルフラッシュ式の優位性が確認できた。低エンタルピー地熱流体にはダブルフラッシュ式を採用するなど、地熱流体の特性に合わせて適切な発電方式を選択することが重要である。例えば、NEDOの開発可能性調査に基づいて開発が進められている1,000MW規模の地熱発電にダブルフラッシュ式を適用すると100MW程度の出力増加が見込めることがわかった。
 一方、ダブルフラッシュ式では還元熱水の温度が下がり、還元井のスケール付着が発生しやすくなるため、今後その対策を検討する。

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