低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2014-PP-02

温暖化対策における技術に着目したIntegrated Contribution Approach(統合的貢献アプローチ)と他国への技術協力の在り方への提言

概要

 持続可能な明るく豊かな低炭素社会構築のため、LCSでは、技術・社会シナリオの検討を行っている。温暖化は地球規模の問題であり、世界経済の成長と地球温暖化の克服の両立に向けた我が国の国際戦略を検討している。

 下記のBOXには、LCSからの次期枠組みに関する提案の基本として4つの視点をまとめた。この基本視点に基づき、特に気候変動緩和技術の海外移転とそのための投資の促進の在り方に着目し、まずは2013年11月にVol.1として「国際戦略編 気候変動緩和技術の海外移転の促進」を発行した。この中で、クレジット取得に拘らず、真に世界の温暖化ガス削減につながる努力を促進すること、日本の技術移転への力を集結できるようなシンプルでアクセスしやすいファイナンスのためのスキームを確立すること、測定、報告、検証(MRV:measuring,reporting, and verification)を必ず行うことで削減努力を意味のある数字に表していくことの重要性を述べた。Vol.1では、このように、海外技術移転、特にファイナンススキームに焦点を絞った上で提案を行った。Vol.2となる本提案書では、その議論を延長し、議論の幅を広げ、日本の温暖化対応への貢献を向上するための提案を行う。
 再生可能エネルギー、省エネルギー、CO2貯留、燃料転換、非CO2排出抑制技術など、低炭素排出削減に貢献する技術は様々である。これらは、温暖化緩和策として有効であり、さらなる技術研究開発やシステム利用の検討などが急務である。そして、それら技術を利用して温室効果ガス(GHG)削減の実現に結び付けるための制度面でのアプローチが必要であり、日本国内での技術由来のアクションベースの削減目標が肝要である。また、世界最高水準の低炭素技術の地球規模の普及と移転により、国内と世界双方のGHG削減が促進される。さらに国内削減努力と他国への技術協力の定量化方法論の検討は、過去の評価や分析のみならず、将来の技術開発や削減機会の発掘と経済的発展・振興のために重要である。
 本提案書は地球温暖化対策のための国内外の緩和に関する努力1を一つのスキーム下で統合した形で、技術移転促進のためのフレームワークの提案を行う。

LCSからの次期枠組みに関する提案の基本となる4つの視点
  • 実質的にGHG削減につながる、公平かつ実効性のある仕組み
  • 民間の投資インセンティブを促進し、途上国の経済発展にある様々なビジネスチャンスを活用する仕組み
  • セクター別のエネルギー効率、温室効果ガス排出原単位の改善と評価を基に、国内の次期枠組みと国際的な技術移転の枠組みの双方に展開できる戦略
  • オールジャパンとして力を集結し、日本国の持続可能な発展と地球規模問題の改善に貢献する仕組み

提案書全文

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