さきがけ"なでしこ"キャンペーン

「iPS細胞と生命機能」領域

荒木 良子   ((独)放射線医学総合研究所 先端遺伝子発現研究グループ)

課題名:iPS法と核移植法の比較による初期化機構の解明

荒木

 さきがけシステムは、男女問わず、我々未熟な研究者が研究活動をスムーズに進め て行ける様、研究費以外にもサポートが受けられる、 画期的な制度です(他の補助金 制度とは異なります)。研究総括やアドバイザーの先生方より、貴重な情報・アドバ イスをいただけますし、 事務面でも研究者の負担を軽減していただいていると感じま す。これらに加え、子育て期間の研究の猶予など、女性が研究を続けやすいしくみ が 確立されています。多くの女性研究者の参加が期待されている制度ですので、応募を 迷っている方がいらっしゃいましたら、一歩踏み 出してみてはいかがでしょうか。
 

「光の利用と物質材料・生命機能」

岩倉 いずみ   (広島大学 大学院理学研究科)

課題名:超高速分光による熱反応過程の直接観測と機構解明

岩倉

 私は2年前に有機合成化学からフェムト秒レーザー分光学に研究課題を変更しましたが、レーザー分光学の実績はまだこれからという状態 でした。しかしフェムト秒レーザーを用いて研究したいことが見えてきたところでしたので、なんとか研究を続けたく、思い切ってさきがけに応募しました。 思いがけず、さきがけに採用の通知を頂いた時には、嬉しいのと同時に不安も大きかったです。研究者説明会では総括の先生から「色々な分野の アドバイザーの先生と一緒に、相談したり研究協力をしながら3年半、面白い研究をしよう」というお言葉をいただきましたし、その後の学会、 研究者訪問、領域会議で総括やアドバイザーにお会いすると「研究は暗礁を乗り越えることに意味がある、行き詰ったら一緒に考えるから、 プレッシャーを感じる前に相談するように」と励ましの声を掛けていただいています。本当に多くの方々が支えてくださることに驚きました。 ベテランではない私を採択していただき、しかもこんなにすばらしい環境で研究できることに感謝しています。

「脳情報の解読と制御」

中村 加枝   関西医科大学 医学部

課題名:ドパミンーセロトニン相互抑制による報酬・嫌悪情報処理機構

中村

 私がさきがけに応募した最大の理由は、お互いの研究を厳しく議論できる環境が必要だったからです。長期の留学先から日本に就職した ばかりでしたが、自分の実験に対して周囲からの意見がほとんどなく、非常な危機感を持っていました。同じ大学で、以前さきがけの一員で今は 教授になった方から、「領域会議のたびにコテンパンにやられたけど、それがとてもよい刺激になって、さきがけが終わった今でも、アドバイザーの 先生も含めて自腹で皆で定期的に会っているんだ。」という話を聞いて、これだ、と思って応募しました。プロジェクトが始まって半年がたちますが、 期待通りで大満足です。研究総括やアドバイザーの先生方、同じプロジェクトの仲間、参事の方々からの時に厳しくも心のこもった議論やご支援が 身にしみて、また頑張ろうと思えます。性別に限らず、自分の研究テーマをきちんと持ち、志を同じくする仲間と議論する。そのような機会を与えて くれる「さきがけ」にぜひチャンレンジしてみてください。

山田 麻紀   ((独)科学技術振興機構 さきがけ研究者)

課題名:機能的神経回路形成の可視化と誘導

山田

 生命の仕組みを知りたい、遠い将来ででも人の健康に役立ちたい、と生物系研究職を志したのは大学一年の時。苦労がないとはいえませんが 、好きな道を選んでよかったと思います。理系基礎研究職のよいところは、周到に丁寧な実験をすれば真実発見のワクワクがあること、身近な人 以外にも、論文や学会で世界中に、そして未来へと自分たちの発見や考えを伝える機会があることです。今まで一生懸命勉強し身につけてきたことを 社会に還元し、お世話になった方々の恩に報いたいとも思っています。大学講師職を辞して移った研究所が閉鎖になり、さきがけで九死に一生を 得た私ですので、子供が育った今からの時間を大切に使い、人事を尽くして天命を待つつもりです。少子化と雇用不安の今、子育て支援や家事 代行業もよくなったようですので、少しでも多くの男女が、家庭と仕事の両立を臆せず目指し、苦楽もともに分かち合えるとよいのでは、と思います。

吉村 由美子   (自然科学研究機構 生理学研究所)

課題名:視覚系をモデルとした、情報処理の基盤をなす神経回路の解析

吉村

 採択される前は、さきがけは個人研究に潤沢な研究費を提供してくれる良い制度だと理解していましたが、採択された後で、研究費だけでなく、 決してお金では買えない、様々な素晴らしい支援も受けられるということが分かりました。ひとつは、年に2回開かれる領域会議での討論です。 総括・アドバイザーは非常に豪華メンバーで、その先生方が、私の研究に対して、建設的に、率直に意見して下さいます。そのような密度の濃い 議論は、学会では決して経験できないと思います。またJSTの方々も、こちらの立場にたって事務支援して下さいます。私は、採択された後、現所属 に異動しましたが、研究室が少しでもスムーズに立ち上がるようにと、フレキシブルに対応していただきました。さきがけに加えていただいて、 まだ半年足らずです。これから、同期のメンバーの方々との議論も深めて、さきがけ卒業の頃には、研究成果に加えて、新しい人脈も得られるように と、次の領域会議を楽しみにしながら、研究に励んでいるところです。

「知の創生と情報社会」

島野 美保子   ((独)科学技術振興機構 さきがけ研究者)

課題名:大規模画像データの潜在情報抽出に基づく画像生成

島野

 このさきがけ領域を知ったタイミングは、私がちょうど企業を辞め、さあどう研究を進めていこうかという、またとない好機でした。 実際に研究を開始してみれば、総括、アドバイザーの先生方や、領域メンバー皆さんの研究分野は、私にとって近いようで遠い分野であり、 研究内容も進め方や考え方も様々です。 だからこそ、メンバーとして経験できる新鮮且つ刺激的な交流も魅力の1つです。 更に、先月の 初回領域会議で大変嬉しい面も実感しました。それは、領域の先生方が、私の発展途上の研究内容を熟考し、疑問点、弱点、あるいは価値を 指摘くださり、私一人では及ばぬ広範囲な見識からブラッシュアップしてくださるのです。貴重なアドバイスを一言も逃すまいと一生懸命になって しまったほどです。 1つの異文野交流の形から、今後メンバー同士の新たなコラボレーションによる発展も生まれるのではないかと期待も 膨らみます。 男女共に、一押しのお薦め制度です。

「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」

小磯 深幸  (奈良女子大学 理学部)

課題名:幾何学的変分問題の解の大域解析とその応用

小磯 深幸

 私が「さきがけ」に応募した最大の理由は、「大きな研究がしたい」ということでした。幸い採択していただくことができ、大きな喜びと期待、責任感、 そして不安を胸に、これまで約半年間、研究を進めてきました。先だって、初めて領域会議に出席し、研究総括、領域アドバイザー、さきがけ研究者、 事務担当の方々と2泊3日の合宿を行い、研究報告や意見交換を行いました。その中で、自分自身の研究をより高い視点から見ることができ、 今後の研究のための新しい視点や展望を得ることができました。また、関連分野についての知見を広め、社会における基礎研究の役割や重要性に ついても再認識しました。「さきがけ」で研究費の支援を受けることは、自分の研究の夢を実現させるための大きな力となりますが、それだけではなく、 他の研究者や事務担当の方々との厳しい中にも暖かさのある交流など、研究推進のための素晴らしい環境を手に入れることにもなります。私自身も、 この恵まれた環境を生かし、夢に近づけるよう日々研究に励んでいるところです。意欲ある研究者の方々が応募されることを心からおすすめします。

「RNAと生体機能」

宮川(倉持) さとみ   ((独)科学技術振興機構 さきがけ研究者)

課題名:small RNAとエピジェネティック制御

宮川 さとみ

 「ポスドク1万人計画」の最中ポスドクとなり、定職を得る機会に恵まれずに職名を転々としてきた私にとって、さきがけは正に「就活」でした。 幸いにも、研究提案が採択されましたが、職を得たということ以上に、領域会議でのアドバイザーの先生方や他のさきがけ研究者との交流は、 すばらしい機会であり励みになっています。私は一度就職し、再度大学院に戻りました。 またポスドク中に出産もし、今も子育てをしながら の研究生活です。決して平坦な研究生活ではありません。今の時代(特に女性研究者は)、安定した職を得にくいと思います。けれども、研究を 続けたいという気持ちを持ち続けること、あきらめないことが大事だと思います。こんなもんでいいか、と思った時点でそれ以上高くは飛べません (といつも自分に言いきかせています)。 私も「さきがけ」をきっかけに、いい意味でのプレッシャーと責任を感じながら研究を楽しんでいきたいと 思います。

「物質と光作用」

中 暢子   (京都大学 大学院理学研究科)

課題名:高純度ダイヤモンドの高分解分光と光機能の探索

中 暢子

 「さきがけは本当に素晴らしい研究制度ですよ。」という言葉を、さきがけ研究者の先輩方から何度も聞きました。実際、私はさきがけ研究を 始めてまだ間もないのですが、領域会議や研究室訪問の折に領域総括やアドバイザーの先生方からさまざまな助言をいただき、領域事務所の 方々には研究費の執行などに関して柔軟に対応していただいています。さきがけ研究の開始とほぼ同時に研究機関の異動もあったのですが、 このような支援によりスムーズに研究を再開することができ、さきがけの素晴らしさを実感しています。領域事務所の方々が実験装置や最新技術 にも精通されており、私たち研究者の視点に立って親身に支援してくださるのはとても嬉しい驚きです。また、年二回行われる領域会議では、 同世代、異分野の領域研究者たちと交流を深め、心ゆくまで議論を交わすことができるのも、さきがけの大きな魅力のひとつだと思います。 皆さんも是非さきがけに応募し、充実した環境のもと新しい研究に挑戦して下さい。

「生命システムの動作原理と基盤技術」

小池 千恵子  (立命館大学 薬学部)

課題名:網膜ON・ OFF回路基盤と視覚行動制御メカニズムの解析

小池 千恵子

 私がさきがけに応募したのは、とりあえず研究室を運営できるポジションを得たものの、やりたいプロジェクトを遂行するには資金問題で不可能 なのではないかと思い初めた時期でした。 さきがけという制度があることは知っていましたが、自分の業績では関係ないものと思いポスターを横目 で見ながら将来について思い悩んでいました。そのころ友達に「なでしこキャンペーンとかあるらしいし、さきがけ応募してみたら?」と声をかけられ、 落ちても勉強する良い機会だとも思い、最も興味あるプロジェクトについて精一杯書き出してみました。相当一生懸命計画を練ったものの、選考に 通ったときはしばらく現実だと信じられないほどでした。皆さん、もし、本当に苦労ばかりだけど研究以外の道に進むなんて考えたことないなあ、と 思うなら、きっと何か胸に秘めたプロジェクトがあるはずで、そんなあなたにさきがけは一筋の光を与えてくれるかもしれません。

白壁 恭子   ((独)科学技術振興機構 さきがけ研究者)

課題名:自然免疫反応におけるシェディングの役割と制御機構

白壁 恭子

 さきがけ応募時、私は日本学術振興会の子育てポスドク(RPD)として出産後のキャリアを切り開こうとしていましたが、あと半年でその任期も 終了という切羽詰まった状況にあり、ようやく成果が出始めた愛着のある研究を存続させる方法を模索していました。さきがけなんて採択される はずがないと思い込んでいたのですが、応募しないと可能性はないし応募しても失う物はないと開き直り、勇気と知恵を振り絞って応募して幸運にも 採択して頂きました。さきがけは一言で言うと“熱い”制度です。年に2回の領域会議では総括の先生やアドバイザーの先生から研究を面白く 展開するにはどうすれば良いかという観点からアドバイスを頂けますし、JSTの事務の方々からは研究の展開に応じたきめ細かいサポートをして 頂けます。 研究する楽しさを満喫する事のできるさきがけに、縁がないと思っている方にも是非挑戦してもらいたいと思っています。

鳥居 啓子   (ワシントン大学 生物学部)

課題名:植物表皮組織における気孔パターン形成の動的ネットワーク

鳥居 啓子

  私はアメリカで大学教員をしています。こちらでは競合的研究資金の8割強が人件費と間接経費に消えてしまい、 またグラント採択は予備データの量と質によるため、ハイリスクな研究をゼロから立ち上げるには他大学へ移籍し スタートアップ資金を手に入れるしかありません。しかし、家庭(連れと二人の子供)の事情等で移籍もままならず、 悶々とした日々を過ごしていました。そんなときさきがけの制度を耳にし、「植物の発生遺伝学を新たに動的システム として捉えたい」との一心で応募しました。採用されてわかった事は、さきがけは様々なテーマを持つ若手研究者と 研究総括・領域アドバイザーとの熱意ある交流からなるプログラムであり、通常の競合的研究資金とはまったく主旨を 異にするといくことです。領域会議での厳しい意見に冷や汗をかくも奮発し、領域参事や事務の方々の柔軟で手厚い サポートに頭が下がり、さきがけ研究者仲間達のすごいデータを見てさらにやる気がみなぎります。女性研究者の皆さま、 お互い立場は色々だと思いますが、是非ともさきがけにチャレンジしてキャリアの新たな展開に結びつけませんか。

森田(寺尾) 美代(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究所)

課題名:重力受容を可能にするオルガネラ動態制御の分子基盤

森田 美代

 私がさきがけに応募した動機は、とにかく自分の研究を進めたい一心でした。夫が単身赴任で、子供が生まれてから6年間「ほぼシングル マザー」を続け、更に大学教員としての仕事が増える中、限られた時間でなんとか研究を続けるには先立つものが欲しい。振り返るとそんな焦りも あったように思います。 有難いことに採択され、さきがけ研究に参加することができました。先日、初めての領域会議に参加しました。 広範な研究分野のアクティブな若い研究者たちの様々な角度からの視点に触れ議論する機会を得たこと、また研究統括やアドバイザーの先生方の 鋭い助言は、私にとって何よりの収穫でした。 メンバーの研究発表は刺激的で、とにかく「熱意がしたたる」ように感じられました。日々の 「限られた時間」の中で、それと意識せぬまま「限られた中で出来る研究」を考えていなかったか。さきがけは私にそれを気づかせ、この状況を 打破するチャンスをくれたのだと思います。皆さん、さきがけはチャンスのみならず、変革を与えてくれます。ぜひ挑戦してみて下さい。

(敬称略、所属の変わった方はご連絡ください: さきがけ担当 03-3512-3525)

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