蛋白質は、疎水性のアミノ酸と親水性のアミノ酸が重合したポリペプチドからなる一本のヒモからできています。この一次元のヒモが折り畳まれて、三次構造(立体構造)を形成する過程を蛋白質のフォールディングと呼んでいます。
ポリペプチド中の疎水性残基は、水中ではいわゆる“のり”の役割を果たし、コンパクトな立体構造形成に重要な因子です。しかし、濃度の高い条件や加熱下では、ポリペプチド間での会合が進み凝集や沈殿を生ずる原因となります。事実、蛋白質濃度の高い細胞内では、誤った立体構造形成や凝集は避けて通れない過程となります。そこで、蛋白質のフォールディングを助ける役割をする分子シャペロンと呼ばれる一群の蛋白質が活躍しています。 一方、遺伝子操作による人工機能蛋白質の創製や、いわゆるポストゲノム研究における新規蛋白質の機能解析に関連して、蛋白質のフォールディング制御に関する研究の重要性は、今後益々増大することが予想されています。 |