研究課題
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フェムト秒時空間画像計測システムの創成
  粟辻 安浩
( 京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 准教授 )
  最先端の自然科学では、フェムト秒領域で進展する超高速現象の解明や理解が重要課題となっています。本研究では、従来の方法では速すぎてできなかった、フェムト秒領域での超高速現象を動画像計測・可視化・解析できるシステムを創成します。現在、最も高性能な超高速度カメラの1万倍の速度を持つ超高速動画記録・再生が可能な時空間画像計測システムの実現を目指します。

新規時計関連タンパク質の探索法の開発
  今西 未来
( 京都大学 化学研究所 助教 )
  生物時計を制御する時計遺伝子の発現周期に影響を与える新規タンパク質は、生物時計のメカニズム解明だけではなく、様々な疾病の新薬開発の鍵をにぎります。本研究では、従来のアンチセンス法とは異なり、転写活性化ライブラリーを利用することが可能な、亜鉛フィンガーを用いた探索システムを構築します。時計遺伝子の発現パターン変化の計測精度の向上を目指し、亜鉛フィンガーを用いた時計摂動の調節と計測系を確立します。

近接場THz光と電位の複合顕微鏡開発:電子輸送の新観察法
  河野 行雄
( 理化学研究所 石橋極微デバイス工学研究室 専任研究員 )
  本研究の目的は、超高分解能を可能にする近接場THz光顕微鏡と電子の流れをマッピングする走査型電位計を組み合わせた全く新しい複合顕微鏡の構築を行うことです。本装置は、(1)主要なエネルギーがTHz帯に属している半導体量子構造・高温超伝導体といった最先端物質の新物性開拓に大きく貢献する、(2)THz光顕微鏡の各要素技術が、THz光技術を必要とする他分野にも寄与する、という波及効果が期待できます。

ゲノムDNAの超迅速な塩基配列決定法
  小寺 一平
( (独)科学技術振興機構 さきがけ研究者 )
  地球上の全ての生命体の遺伝情報はDNAによって担われていますが、DNAに含まれる遺伝情報は膨大であり、高等生物の全遺伝情報を解読するのは大変困難です。DNAに反応する酵素と蛍光プローブ、1分子観察技術を組み合わせることで同時に非常に多くのDNA分子の塩基配列を短時間で解読することが可能になり、従来のDNA解読方法と比較して飛躍的に高効率なDNAの解読が実現すると考えています。

リポソームアレイによる膜タンパク質の機能解析法
  竹内 昌治
( 東京大学 生産技術研究所 准教授 )
  本研究では、次世代の診断、創薬法、あるいは超高感度生体イオンセンサーの実現に重要な役割を持つ膜タンパク質を含んだ、直径の等しいリポソームをアレイ状に基板に固定する技術を確立します。マイクロエレクトロフォーメーション法と脂質膜のパターニング法をマイクロ流体デバイス中で行うことで、単一径リポソームを作成し、所望の位置に固定します。これにより各種の膜タンパク質の機能を、一つ一つ効率的に解析することができるようになります。

インフルエンザウイルスを計測・除去可能な「スーパー抗体酵素」
  一二三 恵美
( 大分大学 先端医工学研究センター 教授 )
  「スーパー抗体酵素」は狙ったタンパク質を希望通り破壊できる特徴を有しています。本研究ではインフルエンザウイルスを標的とし、免疫工学、タンパク質工学、遺伝子工学的手法を駆使することにより、同ウイルスを特異的かつ容易に計測・除去できる性能をもつ「スーパー抗体酵素」を創製します。本研究の成果は同ウイルスを定量可能な計測機器開発へと結びつき、大気中の同ウイルスを正確に測定することで感染予防へとつながります。

電子増強振動分光法の開発と応用
  由井 宏治
( 東京理科大学 理学部第一部化学科 准教授 )
  赤外吸収・ラマン散乱に基づく振動分光法は、分子の局所環境や構造情報を敏感に反映するため、反応追跡や構造解析に必須なツールです。一般に吸収・散乱効率は、分子骨格を取り巻く電子分布状態で固有に決まりますが、本研究では分子に電子を付加することで分子固有の分極率を変化させ、吸収・散乱効率の飛躍的向上を狙います。本手法は細胞内等の局所環境における極微少量試料の反応追跡や構造解析に力を発揮すると期待できます。



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