本研究報告会は、独立行政法人科学技術振興機構 個人型研究さきがけタイプ「情報基盤と利用環境」領域において研究を行ってきた第3期生4名の3年間の研究成果を皆様にご報告するとともに、当領域を2年前に終了した一期生2名によるさきがけ研究終了後の研究状況に関する講演をおこなうものです。
 この研究領域は、10億個のトランジスタがチップ上に集積できる時代およびインターネットでコンピュータ利用環境が激変する時代における、新しいコンピュータシステムの基盤技術と利用技術に関連した研究を対象としています。各研究者は当初の研究目標を達成し、それぞれの分野で情報システム技術の発展に貢献できるものと考えております。
 これまでの3年間に得られた研究成果を皆様にご報告し、皆様との対話を通じて、研究終了後もますます研究が発展するために、ご助言を頂きたくお願い申し上げます。
 ご多忙中とは存じますが、万障繰り合わせご来場賜りたくご案内差し上げます。

                       「情報基盤と利用環境」 研究総括 富田 眞冶
       

− 記 −

【日 時】2006年12月22日(金)
     講演会 13:00〜17:15[入場無料]

【場 所】東京ガーデンパレス 3F 平安の間
    (JR御茶ノ水駅、地下鉄 御茶ノ水駅・新御茶ノ水駅より
     聖橋方面 徒歩5分)



【プログラム】
13:00〜13:10開会の辞 研究総括 富田 眞治
13:10〜13:45

 井上 弘士
 (九州大学)
「あなたのコンピュータを守ります!〜セキュア・マイクロプロセッサの開発〜」

安定した高度情報化社会を実現するためには、コンピュータ・システムの安全性向上が必要不可欠である。実際、コンピュータへの様々な攻撃は我々の日常生活における直接的または間接的な脅威となっている。 本講演では、外部からの攻撃を動的に検知し、安全なコンピューティングを実現するセキュア・プロセッサを提案する。ハードウェア・レベルでの攻撃検知により高い安全性を実現することができる。

13:45〜14:20

 宮崎 純
 (奈良先端科
 学技術大学
 院大学)
 「効率の良いデータベース処理を目指して」

最近の小型計算機は大容量のメモリを搭載することが可能となり、大きなデータベースをメモリ上に格納できるようになった。しかしながら、プロセッサとメモリ間の大きな動作速度差を隠蔽するためのキャッシュは、 大量のデータを扱うデータベース処理に対しては有効に働かない場合が多い。本講演では、データベース処理を効率よく行うためのメモリからのデータ読出し方法と、そのデータベース演算への適用について紹介する。

14:20〜14:55

 稲見 昌彦
 (電気通信大
 学)
 「ディスプレイを用いた計測・制御・通信システム」

ディスプレイとは通常は人が観察するために開発されたシステムである.それに対し講演者は人だけでなく様々な装置に情報を提示するためのシステム「Display-based Computing」を提唱している. Display-based Computingとはプロジェクタや液晶など画像提示装置を映像提示だけでなく,計測,制御,通信等に用いることを目指す概念である.画像提示装置を用い時空間変調可能な指標画像を表示することでカメラに代わり複数個の受光素子のみで高速に位置計測を行う事が可能となる.本講演では画像提示装置を用い複数台の小型移動ロボットを同時に 計測・制御することを可能とするシステムを提案し,その試験的実装に関し報告を行う.

14:55〜15:30

 加賀美 聡
 (産業技術総
 合研究所)
「超分散マイク・スピーカーによる複数の音焦点形成」

本発表は、環境中に千個程度配置した音素子の位相を制御し、環境中の複数の場所に焦点を合わせて音を取得したり、複数の焦点に音を発生させたりする多焦点形成の手法について研究した成果について述べます。 百個単位の音素子を制御するノードを複数個接続して千個単位の実時間システムを構成し、複数の音焦点を実現します。本システムにより、特定の人にだけ音情報を提供する、また特定の話者の音声のみを記録する、などが可能になります。

=特別講演=
15:45〜16:10

 成瀬 誠
 (情報通信研
 究機構)
「近接場光相互作用ではじまる光システムの新展開」

ナノ構造物質の近接領域で発生する近接場光相互作用は、光の回折限界の打破、すなわち微細化原理として益々実用的意義が高まっているが、同時に、様々なユニークな物理的属性を生かした光機能システムにも展開している。 本講演では、ナノスケールでの光励起移動や相互作用の階層性、局所的なエネルギー散逸を切り口に、従来の光技術や電子技術との差異を踏まえつつ、近接場光相互作用がもたらす新しい光システムへの展開を議論する。

16:10〜16:35

 伊藤 智義
 (千葉大学)
「三次元テレビの実現をめざす電子ホログラフィ技術」

ホログラフィは三次元像をそのまま記録・再生できるため、その動画像システムは究極の立体テレビになるものと考えられていますが、情報量が膨大であり、実用化は困難な状況にあります。そこで、ホログラフィ専用の高速計算機システムを開発し、高精細反射型液晶ディスプレイを利用した表示システムと組み合わせて電子的なホログラフィ動画像システムを試作しました。 像の見える範囲は数度と狭いながらも、リアルタイムの再生に成功しました。

16:35〜16:40閉会の辞 研究総括 富田 眞治
17:40〜17:15ポスターセッション・デモ

※ポスターデモセッション・デモを用意しておりますので研究者と直にじっくりとお話することができます。

 尚、参加申込は、E-mailにて小林まで、氏名(ふりがな)、所属・役職、連絡先(住所・TEL/FAX・E-mail)
 をご記入の上、ご送信ください。

 連絡先:〒604-0847 京都市中京区烏丸通押小路上ル秋野々町535 日土地京都ビル2F
 独立行政法人 科学技術振興機構 「情報基盤と利用環境」領域事務所 小林まで
 TEL:075−257−9800 FAX:075−257−9801