平成15年度採用研究者[3期生]

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侯 召民

理化学研究所有機金属化学研究室 主任研究員

d-f遷移金属混合型錯体による新反応場の構築

本研究では、性質の異なるd-ブロック遷移金属とf-ブロック遷移金属(希土類金属)を合わせ持つ多核有機金属錯体、とくにこれまでに全く報告されていなかった混合型ポリヒドリドクラスター錯体などを中心に検討し、異種金属の協同効果が発揮できかつ高い活性を有する新反応場の構築を行い、従来の単核錯体では実現困難な新しい有機合成反応や重合反応などの開発を目指す。

 

忍久保 洋

京都大学大学院理学研究科 助教授

水の特異性を活かした新反応系の開発

近年、環境に対する配慮から有機溶媒のかわりに水を用いる有機反応が注目されています。これに対して本研究では、水を単に有機溶媒の代替として用いるのではなく、水の極性、疎水性相互作用など有機溶媒にはない特異な性質を活用し、水中高密度反応場や二相系反応場などの新しい反応系を創造することを目的とします。そして、水中に特異的な新現象を発見すること、あるいは有機溶媒中では達成できない特徴ある反応を実現することを目指します。

 

浜地 格

京都大学大学院工学研究科 教授

巨視的応答性を有する超分子ポリマーの創製

本研究の目的は、自発的組織化によって形成される超分子ポリマーの創製とその機能化である。固相合成法による超分子ライブラリーの構築と構造解析を基にした合理的デザインとを組み合わせて、ナノメートルレベルの分子設計によってマクロ動的機能を制御できる超分子ポリマーの探索・創製を行う。得られる超分子ポリマーは刺激応答性マトリックスやバイオ超分子ゲルチップなど革新的なナノバイオ材料として期待される。

 

古田 弘幸

九州大学大学院工学研究院 教授

異種ポルフィリノイドの創製

N-混合ポルフィリンの発見によって垣間見え始めた、異種ポルフィリノイドの世界。ピロール環の結合位置シフトを指導原理とする合成戦略の下、ポルフィリノイド化合物の異種株創製に挑戦します。結合位置の変異により生み出される異種ポルフィリノイドから、光・電子・磁気機能性材料や多電子酸化還元触媒などへの幅広い展開が可能な、従来のポルフィリン化合物を凌駕する物質群が出現することが期待されます。

 

松田 建児

九州大学大学院工学研究院 助教授

フォトクロミック情報処理システムの構築

フォトクロミック分子は光照射により色だけでなく、分子の幾何構造、電子構造が可逆にスイッチされます。この光スイッチ分子を、分子一つ一つが電子回路の部品として振舞う分子エレクトロニクスに展開することを目的にします。そのためには新規スイッチ分子の合成と測定技術開発が不可欠です。最終的には、将来「分子コンピュータ」と呼ばれるものの基礎となる、情報処理システムの構築を目指します。

 

和田 健彦

大阪大学大学院工学研究科分子化学専攻 助教授

生体高分子組織化の可逆的制御と機能材料への展開

生体における機能発現制御は、主に生体(高)分子の可逆的な"高度な組織化”により達成されています。本研究では機能性生体(高)分子の外部刺激・外部因子による積極的で可逆的な機能制御を目指し、合成化学的アプローチにより生体高分子組織化の外部因子による可逆的なon-off制御に対する新しい方法論の確立に挑みます。




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