研究領域「ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術」中間評価(課題評価)結果

1.研究領域の概要

 本研究領域は、VLSIシステムの高信頼・高安全性を保証するための基盤技術の研究開発を対象とします。人類の諸活動が情報システムに依存する度合いは増す一方であり、その信頼性・安全性の確保はきわめて重要な社会的課題です。そのエンジンであるVLSIも、それ自身が膨大な数の回路素子を含む巨大システムであり、その信頼性・安全性は情報システムの信頼性・安全性のコアとなるものです。VLSIシステムを、信頼性・安全性に配慮しつつさらに大規模化するため、横たわる多くの課題を解決することが本研究領域の目的です。
 具体的には次のような研究課題が含まれます。まず素子寸法の極限的な微細化にともなう物理的な揺らぎ、一過性雑音事象、使用にともなう劣化などが問題です。こうした不安定要因は、直接誤動作の原因となるのみならず、VLSIの大規模化にとっての阻害要因であり、その影響を緩和する素子レベル、回路レベル、システムレベルの新技術の研究開発が必要です。一方、微細化による大規模化が限界に近づいているため、多数のチップを3次元的に実装することによる大規模化と、それにともなう信頼性・安心性の確保も大きな課題であり、研究開発が必要です。規模の拡大と複雑化にともなう設計上のミスを排除し、設計・検証・製造・検査を容易化する設計の方法も研究開発課題です。信頼性・安全性へのVLSIシステム内外からの脅威を動作中に検出し、封じ込め、緩和するアーキテクチャー、回路の研究開発も必要となります。VLSIシステムへの要求事項は、用いられる情報システムの特性から決まりますが、新しく信頼性・安全性の仕様規定、評価尺度を作り上げて行くことも本研究領域の研究開発課題です。

2.中間評価の概要

2−1.評価の目的、方法、評価項目及び基準

 戦略的創造研究推進事業・CRESTにおける中間評価の目的、方法、評価項目及び基準に沿って実施した。

2−2.評価対象研究代表者及び研究課題

平成19年度採択研究課題
(1) 小野寺 秀俊 (京都大学大学院情報学研究科 教授)
ロバストファブリックを用いたディペンダブルVLSIプラットフォーム ロバストファブリックを用いたディペンダブルVLSIプラットフォームPDF(134KB)
(2) 坂井 修一 (東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
アーキテクチャと形式的検証の協調による超ディペンダブルVLSI  アーキテクチャと形式的検証の協調による超ディペンダブルVLSIPDF(136KB)
(3) 坪内 和夫 (東北大学電気通信研究所 名誉教授)
ディペンダブルワイヤレスシステム・デバイスの開発 ディペンダブルワイヤレスシステム・デバイスの開発PDF(145KB)
(4) 安浦 寛人 (九州大学大学院システム情報科学研究院 教授、理事(副学長))
統合的高信頼化設計のためのモデル化と検出・訂正・回復技術 統合的高信頼化設計のためのモデル化と検出・訂正・回復技術PDF(163KB)

2−3.中間評価会の実施時期

 平成22年11月27日(土)

2−4.評価者

研究総括
浅井 彰二郎 (株)リガク 取締役副社長
領域アドバイザー
石川 正俊 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授
菊野 亨 大阪大学大学院情報科学研究科 教授
高橋 忠幸 (独)宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 高エネルギー天文学研究系 教授
西 直樹 日本電気株式会社 システムIPコア研究所 研究所長
矢野 和男 株式会社日立製作所 基礎研究所 主管研究長
長谷川 淳 ルネサスエレクトロニクス株式会社 副本部長
増渕 美生 株式会社東芝 セミコンダクター社 半導体研究開発センター 副センター長
外部評価者
該当者なし