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Incredibly Smart, Efficient and Compact devices by eInSECT® Technology
「昆虫の驚くべきセンシングシステムを超微細エレクトロニクスで実現」開催報告
2016年4月26日-27日、名古屋大学東山キャンパス野依記念学術交流館にて、eInSECT® 2016:ImPACT宮田プログラム国際シンポジウム 「昆虫の驚くべきセンシングシステムを超微細エレクトロニクスで実現」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構)を開催しました。
Overview | 本シンポジウムでは、ImPACT宮田プログラムの研究プロジェクト1.細菌・ウィルス、2.PM2.5、3.有害低分子から最新の研究成果が発表され、海外より招聘した各分野で最先端の研究に携わる著名な研究者と共に、プロジェクトの今後の研究開発課題等について二日間に渡り熱く議論を行った。 |
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Bacteria & Virus | ナノポア解析を中心に、細菌、ウイルスそしてDNAといった生態系において重要な分子・粒子の高感度検出について、研究発表が行われた。議論は、イオン電流信号のS/N比や粒子のポア通過速度だけでなく、非特異的吸着を抑えるための基板材料の選択など、センサデバイスの技術的な側面に関しても展開された。特に、インターネットを活用して世界中の研究者からナノポア計測データを集め、データの標準化を検討しようとする取り組みの内容が強く印象に残っている。近い将来、固体ナノポア・センサの実用化が実現する可能性を強く実感したセッションであった。 |
Hazardous Molecules | 様々な揮発性物質の検出に関する発表が行われた。ImPACT宮田プログラムでの有害低分子検出についてだけでなく、タンパク質を用いた匂いの検出やバイオマーカーとしての匂い検出や匂い検出システムの発表が行われた。様々な方法で低分子化合物の検出が行われており、 興味深かった。 |
PM2.5 | PM2.5の研究成果として、プレナリーの講演2件に、公募を含めた口頭3件が発表された。PM2.5に関する研究では、主に大きく分けて2つあった。それは、捕集と計測であった。捕集では、環境中に設置可能な小型装置を開発している内容が印象深く、計測では、光散乱の手法で<500 nmまで計測できる最先端の結果が最も印象深かった。 |
Poster Session | プログラム内から細菌・ウイルス、PM2.5、有害低分子の各プロジェクトの最新の研究成果について、プログラム外から関連する技術開発についてポスター発表、サンプル展示が行われた。ナノポア・センサ出力の機械学習による細菌の識別、マイクロ流路デバイスによるPM2.5検出など、発表された要素技術は多岐に亘り、それぞれの発表について活発な議論が交わされた。 |
International Standardization | 名古屋大学の一村先生より、 ISO/TC 229での活動を元にナノテクノロジーの分野での国際標準化の必要性、実際の活動などの報告をしていただいた。またJMACの中江氏より nano-biotechnological 測定法を定義した、ISO 16578の発行に関してのご経験を発表していただいた。 eInSECT®デバイスの国際標準化を進める上で、両氏の発表は大変参考になりました。 |
Panel Discussions | 事業化に向けての課題および国際標準化について議論がされた。デバイス開発は、エンドユーザが誰であるかを常に考える必要があり、大きさ、コスト、クォリティーなど、利用者のニーズに合ったものを開発することが重要であるいうことを再認識させられた。また国際標準化では、repeatabilityとreproducibilityの違いについて議論があった。ImPACT宮田プログラムでは、一般消費者が利用するデバイス、つまりreproducibilityを目指す必要があり、それに向けて技術開発を進める必要があるということを改めて認識させられた。 |