Project

プロジェクトの紹介
グループA

加速器実験により、三核子系の散乱を測る

TOMOEプロジェクトは、基礎から応用に至る幅広い研究を進めていきます。研究の基盤をつくるのはグループAによる「三体核力の構築」です。

まず、関口グループが加速器実験で、核子3個がぶつかり合う散乱系をつくります。そして、運動エネルギーをもった重陽子(陽子1個と中性子1個からなる原子核)を標的である陽子に照射し、特定の角度に重陽子が跳ね返される様子を調べます。この跳ね返りの量(散乱する確率)を測ることで、三体核力の効果がどの散乱角度にどのように現れるのかを特定します。

また、実験の条件をいろいろ変えて、例えば「偏極」という状態をつくります。原子核は量子状態なので、励起して変形するというように、たえず変化しています。その状態の一つが回転(スピン)の向きがそろっている偏極で、スピンの状態が原子核の状態を決めていることになります。

スピンをコントロールすることで、原子核の中では三体核力がどのようなエネルギー状態(ハミルトニアン)をもつのかといったような情報を得る測定を行い、三体核力の全貌を明らかにします。これにより、精度の高い核力を構築するための基礎を築きます。

撮影:石川典人/理化学研究所RIビームファクトリー(RIBF)にある偏極ビームイオン源室。

散乱のエネルギー量を理論から求め、三体核力を決定

こうして三つの核子がぶつかりあう散乱系に対して実験結果と理論計算とを比較したところ、三体核力の存在は示しているものの、スピンが関わる観測量を見ると、従来の理論(モデル)では説明できないことが分かりました。三体核力を決定するには、理論の研究も進歩させていかなければいけなかったのです。そのためには、これまでの核力理論の考え方(構築の概念)を変える必要がありました。

これまでの核力理論では、二つの核子の間に働く二体核力と三体核力とは別々に理論式が与えられていました。このため核力のハミルトニアンの記述としては、整合性がなく、不完全な理論でした。また、核子の中にはクォークやグルーオンといった素粒子が存在しますが、その素粒子と核力理論との関係も明らかなものではありませんでした。

そこで、素粒子と核力に共通する「カイラル対称性の破れ」という性質を核力理論に導入してはどうだろうか、というアイデアが1990年にスティーヴン・ワインバーグによって提唱されました。このアイデアに基づくと、二体核力と三体核力を理論の体系として同時に扱うことができます。

TOMOEプロジェクトでは、この新しい核力理論の研究をドイツ・ルール大学の研究者エヴゲニー・エッペルバーム博士たちが進めていきます。

Contact
お問い合わせ
ご相談・ご質問など、
お気軽にお問い合わせください。
メールでのお問い合わせ