ERATO 巨視的量子機械プロジェクト Macroscopic Quantum Machines

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ROCKET:異才発掘プロジェクト

「ブラックボックスをひらこう!」
ROCKET:異才発掘プロジェクト
対象

ROCKET 渋谷区連携事業
小学3年生~中学1年生 計7名 + スタッフ5名

テーマ

「ブラックボックスをひらこう!」

日時

2017年12月19日(火)14:00-16:00

場所

東大先端研

担当者:
久富 隆佑
(東大先端研)
鹿野 豊
(東大先端研)
山崎 歴舟
(東大先端研)
渋谷 莉沙
(上智大学)
福本 理恵
(ROCKET,東大先端研)
内容:

 子どもの頃、身のまわりのモノを分解してみたら壊してしまったり元に戻らなくなり怒られた。それでも懲りずにまた分解してしまう。こんな経験は誰にもあるのではないでしょうか。今日は特別に、中はどうなっているのだろう?!の誘惑に素直に従い、身近なモノを自由に分解する授業が行われました。題して「ブラックボックスをひらこう!」です。
 この企画は渋谷区と東京大学先端科学技術研究センターが連携して始めた「特別な才能に着目した新たな教育システムの構築」事業(ROCKET:異才発掘プロジェクト)の一環で開催されました。渋谷区内の学校に通う小学3年生から中学1年生の子どもたちが集まりました。
 この日のためにスタッフが集めたモノは、トースター、掃除機、加湿器、体重計、ディスプレイ、プロジェクター、スピーカー、ノートパソコンなど。どれも身近な“機械”ですが、中を開けて見たことはありません。せっかくなので自分が分解してみたいモノを選んでもらいました。子どもたちは早くやってみたくてうずうずしながらも、初めての本格的な分解作業に少し緊張した様子です。最初にスタッフの山崎歴舟さんから“分解の極意”が伝授されました。「分解と破壊は違う」「怪我をしない」「分解に責任を持つ」など。子どもたちも真剣に聞き入ります。
 会場にはたくさんの工具が用意され、分解作業はじめ! 工具も自分で選びます。工具の使い方がわからないときはスタッフが指導します。はじめは力の入れ方がわからずにネジ一本開けるのに苦労したり、どこから開けたらよいのかと途方に暮れてみたり。そのうちに「こんなものが出てきたよ!」「ここは何を使ったら開けられる?」とあちこちから声がかかります。様々な大きさや形のネジがありますが、時間が経つにつれて工具選びもネジ回しも早くなりました。小学3年の子が電動ドライバーを見事に使いこなしていました。
 最後に子どもたちから授業の感想をひとこと。「こんなに部品が多いとは思わなかった。大変だった」、「スピーカーにスポンジがいっぱいつまっていてビックリした」、「ディスプレイには紙やシートが何枚も入っていた」、「プリンターにスピーカーが入っているとは思わなかった」。開けてみないとわからないことがたくさんあることに気がついたようです。最後にお土産に部品を一つ持って帰ってもいいよといわれ、悩みに悩んでネジ一本にした子どももいれば、大きな基板をまるごと外して持って帰る子どももいました。
「僕も子どもの頃から分解が大好きでした」と話す山崎歴舟さんは量子コンピュータ実現に向けた技術の研究に日々取り組む研究者です。いつかはブラックボックスになってしまうかも知れない量子コンピュータも中身がわからないと実現しません。最先端技術の原点は「分解」にあるのかも?!
 筆者も子どもたちに混じって参加し、分解作業に夢中になってしまいました。手を動かして得られる発見は何物にも代えがたいことを改めて感じる体験となりました。地域の子どもたちが最先端技術に関わる研究者と多様な学びを共有する、このような機会がますます増えることを願っています。
(科学技術振興機構 永井諭子)

異才発掘プロジェクト ROCKET
https://rocket.tokyo/