ERATO 巨視的量子機械プロジェクト Macroscopic Quantum Machines

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アウトリーチ

ROCKET:異才発掘プロジェクト

「光の干渉、干渉ってなんだ?」
「量子で情報を操る」
ROCKET:異才発掘プロジェクト
対象

ROCKET物理・数学SIGプログラム 
小学校3年生 - 高校2年生 8名 + スタッフ4名

テーマ

「光の干渉、干渉ってなんだ?」
「量子で情報を操る」

日時

2017年3月5-3月7日
富山県 ボルファートとやま
3月5日
14:30-16:30 実験デモ・講義「光の干渉、干渉ってなんだ?」
3月6日
スーパーカミオカンデ・KAGRA見学
3月7日
10:00-12:00 講義「量子で情報を操る」

担当者:
久富 隆佑
(東大先端研)
山崎 歴舟
(東大先端研)
内容:

 ROCKET:異才発掘プロジェクト(東大先端研・日本財団)という活動の中に物理・数学SIGというプログラムがあります。SIGはSpecial Interest Groupの略で、物理や数学に興味を持つ多彩なスカラーが全国から集いました。3日間の合宿の中日にメインイベントとなるスーパーカミオカンデ・KAGRAの見学があったので、初日は「光の干渉」というテーマで緑色のレーザー光を用いたマイケルソン型光干渉計を持ち込みKAGRAのミニデモを見せる。距離の精密測定や音楽配信のデモンストレーションを行いました。またROCKETスタッフの巖淵先生による「手作り光電子増倍管」のデモ講義もあり、カミオカンデの測定技術も踏まえた見学に向けての序章となる初日でした。2日目は朝からバスに揺られてまだ雪の残る神岡鉱山へ。スーパーカミオカンデの本部で講義を受けた後、ヘルメットを被りトンネルの奥にある中枢でミューオン観測を生見学(ニュートリノは数が少なくて見れず)。その後KAGRAへ移動、3kmに及ぶ重力波観測装置や組み立て作業を見学しました。3日目は、巖淵先生による光電効果の講義に続き、量子コンピュータ入門となる「量子で情報を操る」というタイトルの講義を行い帰路につきました。

 物理と数学に興味のある子供たち8名との3日間でした。Newtonやブルーバックスなどの科学書を読みつくしている子供たちは、私たちが驚くような膨大な物理知識を持っていました。そのような知識と対として存在し科学を支える実験機は、我々科学者でも少し専門がずれただけで、その装置を見る機会は非常にまれになります。子供たちにとってこのような「生の実験機」との遭遇は貴重な体験であったようです。我々の小さな装置、ホログラフィーレンズから射影されたキャラクター像や、レーザー光を用いた音楽転送実験では皆わいわい言いながら喜んでいました。またトンネルを歩いて辿り着いた地中の巨大実験室は、その静かなたたずまいの中で遠い宇宙から降ってくる微小な粒子を数えています。スケールの大きさや、地下に漂う凛としたその空気からは子供たちはまた別の事を感じているようでした。3日間という長い時間でしたが、子供たちと食事を共にし、授業とは異なるゆったりとした時間を過ごすことで物理以外にも色々な話が出来ました。今までのアウトリーチとは異なるこのような機会に恵まれ、自分たちにとっても新たなアウトリーチの可能性が見えてきた楽しい旅となりました。
(山崎)