プロジェクト概要
近年、望ましい制度を科学的に設計する「マーケットデザイン」の研究が進み、様々な資源配分問題に対して制度を設計し、実用化することができる段階に至っています。
他方で、汎用性の高い一般理論が確立されていないことや、信頼性の高い制度導入効果の予測や事後的な測定が不十分であるために、実社会の制度を改善できた例は限られています。
本ERATO 小島マーケットデザインプロジェクトでは、マーケットデザインの主要理論であるマッチング理論を中心に、制度設計の理論を実社会で広く生かし、その結果として得られた検証結果などの知見を理論へ還元するサイクルを積み重ねていくことで、既存のマッチング理論が適用できる制約の条件や、与えられた制約の下で最大の効果をもたらす制度の構造を明らかにし、適用範囲の広い理論を構築するとともに制度を工学的に社会に適用する手段を具現化します。
さらに、可分財を中心に扱ってきた従来の経済理論と不可分財を扱うマーケットデザインを融合する統一理論の構築に挑むことで、あらゆる制度を科学的に設計する社会の実現を目指します。
*プロジェクト実施予定期間:2023年10月~2029年3月

ERATO
戦略的創造研究推進事業ERATOは1981年に発足した国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)によるプログラムです。規模の大きな研究費をもとに既存の研究分野を超えた分野融合や新しいアプローチによって挑戦的な基礎研究を推進することで、今後の科学技術イノベーションの創出を先導する新しい科学技術の潮流の形成を促進し、戦略目標の達成に資することを目的としています。
研究グループ
経済学・計算機科学・離散数学・オペレーションズリサーチ・データサイエンスなどの研究者を含む5つのグループが連携して、研究を進めていきます。