羽ばたく女性研究者賞では、駐日ポーランド共和国大使館およびポーランド科学アカデミーより、最優秀賞の受賞者に副賞としてポーランドの研究機関等の訪問機会が提供されます。2025年11月中旬に第4回最優秀賞の藤代 有絵子さんがポーランドを訪問し、レポートを寄せてくれました。
今回の訪問では、3つの都市(ワルシャワ、トルン、ウロツワフ)を訪れ、4つの研究機関/大学で講演や議論を行いました。ワルシャワでは、Polish Academy of Sciences (PAS) のPhysics InstituteとHigh Pressure Institute、ワルシャワ大学のPhysics Department、ウロツワフではPASのInstitute of Low Temperatures and Structural Researchを訪問しました。現地では、講演を通して現在の自分自身の研究を宣伝することができただけでなく、進行中のプロジェクトやこれから取り組みたいと考えているテーマについても対面で議論をし、貴重なご意見を多くいただくことができました。このような機会がなければなかなかお会いできなかったような著名な先生方(希薄磁性半導体のパイオニアであるProf. Tomasz Dietlや青色LED・半導体レーザーに不可欠な窒化ガリウムの高圧合成法を確立したProf. Izabella Grzegory)ともお話しすることができ、また自分の研究についても激励の言葉をいただき大変嬉しかったです。講演の後に、同じキャリアステージの若い研究者の方たちが来てくれて、当初のスケジュールにはなかったラボツアーや共同研究の議論をして下さったことも印象に残っています。短い滞在期間でしたが、一緒に共同研究をしようと多くの研究者の方たちにお声がけいただき、大変貴重な訪問になりました。
お会いした先生方の多くが、実は日本への留学経験があるということに大変驚きました。そのため食事の際は、共通の知り合いである日本人研究者や、日本文化の話題で持ちきりでした。また、高圧研究所でお会いした若い女性の先生は、5人のお子さんを育てながら研究を続けているということを知り、私自身も働く母親として、そのパワフルな姿に勇気づけられました。
また、講演の前後や週末を利用して、数多くの名所を探索することができました。旧市街のカラフルな街並みを中心に、お城、美術館、ショパンのコンサート、マリーキュリーの博物館、コペルニクスの家などを訪れました。街中全体が音楽・芸術・科学に溢れていて、本当に素敵な国だと感じました。中でも、ユネスコ世界遺産にも登録されているトルンの旧市庁舎から眺めた夕陽が本当に素敵で印象に残っています。

訪問をしたのは11月中旬でしたが、想像していたほどには寒くはなく、快適に過ごすことができました。週末の観光で訪れたトルンやヴロツワフでは雲一つない青空が広がっており、古い街並みとのコントラストがとても綺麗でした。また到着した11月11日は、国民の祝日で、ワルシャワ市内では壮大なパレードが行われていて、そのエネルギーに圧倒されました。食事も大変美味しく、さまざまなポーランド料理を通じて食文化も楽しむことができました。
また現地で付き添いをしてくれたガイドさんのおかげで、安心して過ごすことができました。列車やタクシーの手配、観光や研究機関のスケジュール管理や調整など、臨機応変に全て対応して下さいました。今回の旅を提供・アレンジしてくださったJSTマリーキュリー賞関係者の皆様、駐日ポーランド大使館の皆様、そして現地ガイドのBartosz Mildnerさんに改めて心より感謝を申し上げます。
私はもともとポーランドに行った経験がなく、現地に知り合いの先生もいなかったため、渡航前は1人旅をすることに対して少し不安もありました。しかし駐日ポーランド大使館の担当者の方々が、リクエストに基づいて丁寧に旅程を組んで下さり、また現地では先生方に本当に温かくおもてなしをしていただきました。研究の面でも文化の面でもたくさんの新しい発見や出会いがありました。通常の観光や学会とも異なる、このような特別な旅は、マリーキュリー賞を受賞ならではの貴重な経験だったと感じていいます。迷っている方も、新しい経験をたくさんできると思うので、ぜひ応募してみてください!