応募者の皆さんへ

毎年職場の壁に貼られるポスターを見て、この賞に応募したいとは思っていたのですが、新しい実験の立ち上げに苦戦していたこともあり、最初の3回は応募を見送っていました。今回思い切って応募をして、受賞の知らせを頂いた時は、驚きとともに本当に嬉しかったです。現在は若手PIとして、かつ1歳児の母親として、同業者の主人と協力しながら、何とか研究と育児の両立に奮闘しております。子供が生まれる前と違い、時間に大きな制約がある中で、これまで以上に成果を出せるのか?という不安は常にありますが、このような素晴らしい賞を頂けたことで、たとえ時間がかかっても、良いサイエンスを追求して、研究者としての志を達成したいと、改めて強く思うようになりました。この秋に行く予定のポーランド訪問も、自分の研究の価値観を広げる上で非常に有意義な経験になると思うので楽しみです。今回の応募に際して、分野外の方々に、自分の研究の立ち位置や、分野の重要性を伝えるために試行錯誤した経験は、自身の研究の方向性を見つめ直す上でも、また他の講演においても役立っていると思います。応募を迷っている方も、そのような経験ができると思って、ぜひ積極的に挑戦していただきたいです。

第4回 最優秀賞受賞
藤代 有絵子

幼少期に読んだマリーキュリーの伝記にインスパイアされて研究者を志すようになったので、是非この賞に挑戦したいという思いがありました。応募の際は、自分の研究の意義を客観的に捉え、様々なバックグラウンドの人に分かりやすく説明することを強く意識しました。キャリアステージとしてもこれから独立研究者に向けて準備をしていく時なので、こうして自身の研究を総括的に捉えることはとても良い機会になりました。また、授賞式やその後のインタビュー等を通して一人の研究者としてスポットライトを当てていただき、貴重で豊かな経験となりました。このような栄誉ある賞を頂くことはとてもありがたく、今後の励みとなります。一方で、研究者の本質的な価値である継続力やレジリエンスというものは、スポットライトの当たらない場でこそ問われる物だと思います。成功も失敗も挑戦した者にのみ与えられる特権であり、あらゆる経験から得られるものが必ずあるので、何事にもおそれずに挑戦していきたいです。

第4回 奨励賞受賞
鄭 麗嘉

応募のきっかけは、歴代受賞者のパネルディスカッション動画でした。先生方が「何度もダメになりそうになったが、それでも続けてきた」「何も諦める必要はない」と語る姿に、私もこの志の高いコミュニティの一員となり、支え合いながら挑戦したいと思いました。選考当時は博士課程最終年。これまでの研究を見直し、「何の役に立つのか」「私は何を目指すのか」を掘り下げました。この過程で、足りない知識・技術や弱さを見つめ、研究の焦点が明確になったと感じています。生命維持に必要な生理機能を正常に保とうとする働きを、分子や神経細胞レベルで解き明かすこと。そして、健やかに生きる基盤づくりに貢献する、これが私の目標です。受賞後は、研究の意義を言葉にし直す場が広がり、素晴らしい先輩方や仲間との出会いが、新しい環境でも挑戦を恐れない心を育ててくれました。ご一緒できる仲間が増えることを楽しみにしています。

第4回 奨励賞受賞
吉本 愛梨