
ぜひ、受賞記念講演動画もご覧ください。それぞれの研究内容がわかりやすく説明されています。
東京大学 大学院理学系研究科 附属ビッグバン宇宙国際研究センター 助教
森脇氏は、初期宇宙の広領域的構造を解明するために、従来考えられていた水素のスペクトル線ではなく酸素のスペクトル線の観測が重要であることを世界で初めて指摘した。また、機械学習を用いたシグナル分離のデータ解析手法を提案し、極めて高い効率で遠方の銀河団を探索する事を可能にした。
この成果は天文観測のデータ解析に大きく貢献する独創性およびインパクトの高いものであり、大型国際プロジェクトの発足にもつながっている。日本では特に女性研究者が少ない分野においてのロールモデルであり、またサイエンスコミュニケーターとしての高いプレゼンテーション能力もあることから、国内外でのますますの活躍が期待できる研究者である。
近畿大学 理工学部 応用化学科 助教
太田氏は、ホウ素や窒素を活用して、骨格に炭素原子を含まない新奇な無機芳香族化合物の合成や、未知の結合を持つ化合物の開発に取り組むことで、新しい元素化学の領域を切り開いた。遷移金属よりも一般に豊富に存在する典型元素を利用した分子の設計と反応の開発成果は新規性が高く、これまでの常識を覆すインパクトがある。
シンガポールの南洋理工大学で博士号(化学)を取得後、独創性の高い研究を継続的に実施しており、今後も国内外においてさらなる飛躍が期待できる将来性に満ちた研究者である。
トロント大学 ダラ・ラナ公衆衛生学部 Assistant Professor
三谷氏は、入手困難な25年もの長期にわたる歯科検診データを活用し、医療現場のニーズを踏まえて、歯牙喪失確率を予測する疫学統計モデルを確立し、より正確な歯周病進行の予測を可能にした。
統計的手法を歯科衛生分野に導入した点は先駆的であり、学際研究の模範と評価できる。すでにカナダのトロント大学で研究代表者として独立し、精力的に国際共同研究を進めており、将来が非常に楽しみな研究者である。