第2回 羽ばたく女性研究者賞
(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)
受賞者

各受賞者に講演頂きました。動画をクリック下さい。

最優秀賞

市川 早紀

ハーバード大学 化学・ケミカルバイオロジー学科 博士研究員

写真:市川 早紀さん
専門分野ケミカルバイオロジー、有機化学
経歴
・2019年
マサチューセッツ工科大学 博士号(化学) 取得
・2019年
ハーバード大学 化学・ケミカルバイオロジー学科 博士研究員(現職)
最優秀賞受賞理由

 市川氏は、化学的な手法を用いて、タンパク質修飾がもたらす様々な生命現象を原子レベルで解明し、癌や神経変性疾患をはじめとするヒト疾患に対する新しい治療戦略を生み出す基礎を築くことを目標として研究をしている。

 既に注目度の高い成果を上げて領域に貢献し、実績を積み上げつつある。日米で質の高い研究を自身のイニシアティブにより行いながら、新たな分野に果敢に取り組んでいく姿勢もある。有機化学からケミカルバイオロジーへと研究の幅を広げており、今後はさらなる伸展が見込まれる。未来への展望と意欲が明確であり、非常に将来性の高い研究者である。

URL
『化学的手法によるタンパク質修飾の洞察』
受賞者講演 動画

奨励賞

門脇 万里子

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 研究員

写真:門脇 万里子さん
専門分野材料科学
経歴
・2018年
日本学術振興会 特別研究員(DC1)
・2021年
東北大学 大学院工学研究科 博士課程 修了
・2021年
国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 研究員(現職)
奨励賞受賞理由

 門脇氏は、鉄鋼を構成するミクロスコピックな要因に着目して腐食現象を解明し、腐食に強い材料を生み出して安全な社会を実現することを目標として研究をしている。

 腐食のリアルタイム観察システムの構築・適用や、原子レベルでの炭素による鉄の腐食防御メカニズムの解明や窒素原子による炭素以上の鉄耐腐食性向上などインパクトの高い成果を上げ、資源循環型社会の実現を目指して多くの優れた業績を上げている。国内にいながらも海外とのコラボを積極的に推し進め、ネットワークを拡げようとしており、今後の国際的な活動の飛躍が期待できる。

URL
『金属材料の腐食メカニズムの解明と新規高耐食材料の開発』
受賞者講演 動画

奨励賞

森山 美優

イェール大学 医学部免疫生物学部門 博士研究員

写真:塩田 佳代子さん
専門分野感染免疫学
経歴
・2017年
日本学術振興会 特別研究員(DC2)
・2019年
東京大学 新領域創成科学研究科 博士課程 修了
・2019年
日本学術振興会 特別研究員(PD)
・2019年
イェール大学 博士研究員(現職)
・2021年
日本学術振興会 海外特別研究員(現職)
奨励賞受賞理由

 森山氏は、基礎研究者としてウイルス感染症の理解やワクチン開発に貢献することを志し、ウイルス感染症から人類の健康と命を守るという課題に果敢に取り組んでいる。ウイルスの感染メカニズムの詳細な解明や、経路によって異なる免疫応答が惹起される際のメカニズムの解明など、独自性の高い研究を展開しており、ユニークな視点を併せ持つ。

 海外との共同研究の意欲が高く、具体的な計画を着実に遂行していこうとする意志が強い。免疫学・ワクチン研究のライジングスターであり、高いレベルで将来有望な人材である。

URL
『ウイルス感染免疫研究とワクチン開発への応用』
受賞者講演 動画

特別賞

佐々本 尚子

ハーバード大学医学部 ブリガムアンドウィメンズ病院産婦人科 助教授

写真:佐々本 尚子さん
専門分野分子疫学
経歴
・2012年
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医取得
・2017年
ハーバード公衆衛生大学院, Master of Public Health修了
・2017年
ハーバード医学部産婦人科 ブリガムアンドウィメンズ病院
リサーチフェロー
・2020年
ハーバード医学部産婦人科 ブリガムアンドウィメンズ病院
インストラクター
・2022年
大阪大学大学院医学系研究科 医学博士学位取得
・2022年
ハーバード医学部産婦人科 ブリガムアンドウィメンズ病院
助教授(現職)
受賞理由

 佐々本氏は、早期での診断法が存在しない2つの婦人科疾患に対し、婦人科を専門とする女性研究医として、プロテオミクス/メタボロミクス等の分子疫学的手法を用いた早期診断法の確立を通じ、それらの疾患の制圧に繋げることを目標として研究を行っている。

 第一著者として複数の質の高い論文を出すなど研究業績は高い。また、一度臨床医を務めた後、出産育児などライフイベントも経験しながら研究者の道を歩み、2022年に医学博士学位を取得した。海外でかつ女性の少ない分野で既にPIとして活躍しているというキャリアパスに関し、ロールモデルの一人となりうる重要性を鑑み、特別賞を設置し授賞することとする。

URL
『卵巣がんの予後改善を目指した国際共同疫学研究』
受賞者講演 動画

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