
各受賞者に講演頂きました。動画をクリック下さい。
ハーバード大学 化学・ケミカルバイオロジー学科 博士研究員
市川氏は、化学的な手法を用いて、タンパク質修飾がもたらす様々な生命現象を原子レベルで解明し、癌や神経変性疾患をはじめとするヒト疾患に対する新しい治療戦略を生み出す基礎を築くことを目標として研究をしている。
既に注目度の高い成果を上げて領域に貢献し、実績を積み上げつつある。日米で質の高い研究を自身のイニシアティブにより行いながら、新たな分野に果敢に取り組んでいく姿勢もある。有機化学からケミカルバイオロジーへと研究の幅を広げており、今後はさらなる伸展が見込まれる。未来への展望と意欲が明確であり、非常に将来性の高い研究者である。
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 研究員
門脇氏は、鉄鋼を構成するミクロスコピックな要因に着目して腐食現象を解明し、腐食に強い材料を生み出して安全な社会を実現することを目標として研究をしている。
腐食のリアルタイム観察システムの構築・適用や、原子レベルでの炭素による鉄の腐食防御メカニズムの解明や窒素原子による炭素以上の鉄耐腐食性向上などインパクトの高い成果を上げ、資源循環型社会の実現を目指して多くの優れた業績を上げている。国内にいながらも海外とのコラボを積極的に推し進め、ネットワークを拡げようとしており、今後の国際的な活動の飛躍が期待できる。
イェール大学 医学部免疫生物学部門 博士研究員
森山氏は、基礎研究者としてウイルス感染症の理解やワクチン開発に貢献することを志し、ウイルス感染症から人類の健康と命を守るという課題に果敢に取り組んでいる。ウイルスの感染メカニズムの詳細な解明や、経路によって異なる免疫応答が惹起される際のメカニズムの解明など、独自性の高い研究を展開しており、ユニークな視点を併せ持つ。
海外との共同研究の意欲が高く、具体的な計画を着実に遂行していこうとする意志が強い。免疫学・ワクチン研究のライジングスターであり、高いレベルで将来有望な人材である。
ハーバード大学医学部 ブリガムアンドウィメンズ病院産婦人科 助教授
佐々本氏は、早期での診断法が存在しない2つの婦人科疾患に対し、婦人科を専門とする女性研究医として、プロテオミクス/メタボロミクス等の分子疫学的手法を用いた早期診断法の確立を通じ、それらの疾患の制圧に繋げることを目標として研究を行っている。
第一著者として複数の質の高い論文を出すなど研究業績は高い。また、一度臨床医を務めた後、出産育児などライフイベントも経験しながら研究者の道を歩み、2022年に医学博士学位を取得した。海外でかつ女性の少ない分野で既にPIとして活躍しているというキャリアパスに関し、ロールモデルの一人となりうる重要性を鑑み、特別賞を設置し授賞することとする。