第2回 輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)
受賞記念講演会開催報告

JSTは、女性研究者の活躍を推進する取り組みの一環として、持続的な社会と未来に貢献する優れた研究等を行っている女性研究者及びその活躍を推進している機関を表彰する制度を設けております。
賞の概要についてはこちらをご覧ください。

このたび、昨年決定した第2回輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)受賞者による受賞記念講演会を開催いたしました(2021年3月24日 JST東京本部にてビデオ会議システム「Zoomビデオウェビナー」によるオンライン形式)。
受賞者についてはこちらをご覧ください。

多くの方にご視聴いただき、ありがとうございました。アーカイブ配信はこちらからご覧ください(YouTubeへ移動します)。

会の冒頭に、JSTの濵口道成理事長より開会の言葉として、改めて受賞者へのお祝いとともに今後の研究の展開への期待がありました。JSTとして輝く女性研究者賞をはじめとして様々な取り組みを通して女性研究者への支援を行っていく決意とともに、本記念講演会を通して世界にはばたき輝く女性研究者の未来について、活発な意見交換、議論が生まれ、今後の持続的な発展につながることを期待する旨を述べました。

濱口理事長

続いて、JST 副理事/ダイバーシティ推進室長の渡辺美代子より第2回輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)報告として、受賞者の紹介がありました。

講演

○坂井 南美 氏 − 輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)受賞者
(理化学研究所 開拓研究本部 坂井星・惑星形成研究室 主任研究員)
「天文学と化学の融合で切り込む多様な惑星系の起源」

坂井先生からは、物理的手法からの研究が主であった天文学に分子の組成変化を捉えるという化学的手法を持ち込んだ背景とその意義をご説明いただき、そのうえで星の誕生過程解明における革新的な成果を、惑星系の多様性と太陽系の起源を追求する点で分かりやすく説明いただきました。“私たち”はなぜここにいるのか?という問いに真摯に打ち込む研究者の姿勢を示されるとともに、その過程ではアルマ望遠鏡による日米欧の国際プロジェクトもご紹介いただき、国際的な視野の重要性を明らかにされました。

坂井先生

講演

○星野 歩子 氏 − 輝く女性研究者賞(科学技術振興機構理事長賞)
(東京工業大学 生命理工学院 准教授)
「ナノサイズ粒子が司るがん転移の新しいストーリー」

星野先生からは、「がんが組織特異的に転移先を準備する」機構にエクソソームが関与することを世界で初めて明らかしたことを分かりやすくご説明いただきました。本研究成果の今後の展開を示されることで、改めてがん転移の分野に与えたインパクトの大きさ及びその重大性について、改めて認識を新たにさせられるご発表でした。星野先生はご自身の8年半に及ぶ海外での研究経験の中で日本からの学生を積極的に受け入れてきており、国際的な人材育成など研究以外の社会貢献の重要性についても強調されました。

星野先生

パネル討論

(坂井 南美 氏、星野 歩子 氏、濵口理事長、渡辺副理事)

パネル討論は、受賞者の坂井先生、星野先生に加え、JSTの濵口理事長と渡辺副理事の4名で、主に若手研究者の研究環境や支援のあり方、若手研究者としてライフイベントとの両立に向けての心がけなどについて、意見交換、議論が交わされました。視聴者からの質問にも答える形で、どんなことが改善されれば研究がしやすくなるか、研究費や雇用面での柔軟な運用の要望などに触れる一方、若手研究者自身としても、悩み事について事前に調べて言葉にして相談することで必ず周囲の人は助けてくれる、研究と育児それぞれを100%にできなくてもよいと考えることで研究者としての継続性を確保するなど、視聴者のヒントになる内容が話し合われました。

パネル討論

会の最後に、JST理事の佐伯浩治より閉会の言葉がありました。輝く女性研究者賞による女性研究者の表彰を通して、女性研究者の活躍に光を当てていくことの重要性、その中でJSTとしても様々な取り組みを通して女性研究者の苦労を少しずつ改善していきたい旨を述べ、次世代の女子中高生にもぜひ研究者の道を目指してください、と期待の言葉で締め括りました。

佐伯理事

アンケートで「とても良い」が71%、「良い」が28%(有効回答78)と、満足度の高い講演会になりました。

アンケート結果