レポート

エジプト日本科学技術大学(E-JUST)訪問概要

  1. 日時:2019年3月14日(木)11:30~16:00
  2. 場所:Egypt-Japan University of Science and Technology (E-JUST)
    住所 エジプト・アラブ共和国 アレクサンドリア県 ボルグ・エル・アラブ市
  3. 出席者

    E-JUST側:
    ①First Vice President: Prof. Masaaki SUZUKI
    ②Vice President for Research: Prof. Satoshi GOTO
    ③Vice President for Education and Academic Affairs: Prof. Sameh A. Nada
    ④Dean of school of Innovative Design Engineering: Prof. Amr B. Eltawil
    ⑤Dean of school of EECE: Prof. Mona Gamal Eldin
    ⑥Dean of school of Electronics, Communications and Computing: Prof. Mohammed Abo-Zahhad Abo-Zeid
    ⑦Dean of Basic and Applied Sciences Institute: Prof. Ahmed Abd El-Moneim
    ⑧Dean, Faculty of International Business and Humanities: Prof. Adel Rayan

    JST側
    ①副理事  渡辺 美代子
    ②ダイバーシティ推進室 主任調査員 荒木 喜明
    ③国際部 主査 柴田 敬子

  4. 訪問目的
    ①E-JUSTに関する情報収集
    ②E-JUSTの施設見学
  5. スケジュール
    ①打合せ 11:30~13:30(※詳細は後述)
    ②キャンパスツアー 13:30~14:30
    ③休憩 14:30~15:00
    ④鈴木先生との対談 15:00~16:00
  6. 打合せ(11:30~13:30)概要
    流れ: ①挨拶・自己紹介
    ②E-JUST概要に関するプレゼン(by Prof. Amr Eltawil)
    ③E-JUST研究活動・成果に関するプレゼン(by Prof. Goto)
    ④JST概要及びSATREPS概要に関するプレゼン(by渡辺副理事・柴田)
    ⑤意見交換
    ポイント: 【E-JUST概要及び研究活動・成果に関するプレゼン】
    • 2003年5月に小泉総理がエジプト訪問し、ムバラク大統領と会談し、日本とアラブ諸国との協力推進を表明した。
    • 2009年に日エジプト政府間に締結された二国間協定をもとに協力が開始された。
    • エジプトと日本の役割分担としては、エジプト政府が土地、建物の建築費用、オペレーションコスト(現地職員の給与支払い等)を負担しており、日本(JICA)は、研究機器の購入や研究者派遣の面での支援を実施している。資金のトータル負担で見ると80%~90%がエジプト政府からの支援となっている。
    • 日本からの支援が徐々に薄くなってきている。学校名に“日本”の名前が入っているのだし日本からの継続的支援はとても重要。このままだと日本の気配が感じられなくなってしまう。
    • E-JUSTに備え付けられている研究機器はかなりの最新機器であり、エジプト国内に1台しかないものもある。それら機器は全エジプトの研究者や企業に使用許可している。E-JUSTがあるBolg Elarab地域ではインキュベーションプロジェクトがITIDA(エジプトの経産省のような機関)により実施されているが、そこに参加している企業も研究機器を使用することが出来る。
    • 2020年9月からは新しいキャンパスが運営開始される予定。新キャンパスには80のラボが備え付けられる。現在は仮の施設に設備は設置されている。
    • E-JUSTの卒業生は母校に帰国後、日本の教育方式で指導を実践しており、これは非常に重要なこと。
    • エジプトの研究論文発表数(平均で1年に1本)に比較して、E-JUSTは約5倍(年間5本)ほど発表している。
    • 全生徒がキャンパス内にて生活をしている。
    • 女生徒の割合は全体の約30%。うち70%が既婚者であるが、彼女達の家族へもaccommodationを用意している。
    【意見交換内容】
    (JST渡辺副理事コメント)
    • ドイツ機関による国別SDGs達成評価を見ると、日本は“Education“において最高位の評価を得ていることが分かる。日本の教育システムは誇るべきものであり、E-JUSTにおいて日本式教育を取り入れていることは素晴らしいと考える。
    • インキュベーションプロジェクトが盛んというお話だったが、現在の日本の経済は自動車産業にのみ支えられており、新しい産業を見つけることは日本にとってもとても重要。2011年の前まではそれは原子力だったが、今は新しいターゲットに変更していかなければならない。
    • 例えばAIは一つの可能性。AI分野が直面している大きな問題は、その研究が主に白人男性に支配されてしまっている点。ジェンダー、文化、民族性といった様々なダイバーシティを持った研究がなされるべきである。
    (E-JUST側コメント)
    • SATREPSには一度応募したことがあったが不採択であった。日本の案件採択率は10%程度のものであり、もっと何度も応募しなくてはと考えている。採択可能性を上げるために重要なことは、良い日本側パートナーを見つけ出すことではないかと考えている。現地側がどんなに一所懸命でも、日本側にも同じような熱い気持ちをもった先生と組まないとしょうがない。
    • 日本人研究者をE-JUSTへ派遣していただくことが一番のサポートになる。例えば、JICAのシニアボランティア、定年後のスキルある方々をE-JUSTに呼び込むことなどを考えているが、給与支給の問題もあり現状難しいが解決策を見出していきたい。研究者リストなどを共有いただくことも重要だ。
    (その他QA)
    Q 研究機器の使用にあたって使用料金は徴収しているのか。
    A 段階的に徴収している。E-JUSTの生徒は無償だが、E-JUST以外の研究者が使用する場合、企業が使用する場合には使用料を徴収している。
    Q 女性の教授はどのくらいいるのか。
    A 全体の20~25%程度である。
    Q SATREPSでは研究分野が定められているのか。
    A 4つの研究分野(環境・エネルギー)、生物資源、防災、感染症がある。ただし感染症は2015年からAMEDに移管されている。
  • 写真1
    メインロビーの階段部分
  • 写真3
    大学キャンパス
  • 写真2
    E-JUSTとJSTの打合せメンバー