開催会場であるThe British University in Egypt (BUE)にエジプト国内および近隣の中東諸国を中心に世界各国から研究者、企業人、学生など多くの男女が参加、科学と科学者の役割やSDGs達成のための世界的な課題に対して科学者が果たすべき責任に焦点を当てながら、国際協力を強化するための”科学外交”を中心的テーマとして会議が進められた。会議は、若手および中堅研究者向けに同様のテーマで一般社会や政策立案者との科学コミュニケーションの重要性などを紹介する能力開発プログラム的な位置付けとしての本会議前ワークショップ(3/10-11)から始まり、プレナリーセッションと5つのトラック(I: 生物学・医学・薬学、Ⅱ: 物質・工学・エネルギー、Ⅲ: 農学・食品技術・獣医学、Ⅳ: 環境学、Ⅴ: 近年の進歩)から成るパラレルセションで構成された本会議(3/12-14)へ続くという流れで開催された。(なお、出張者はアレキサンドリアのE-JUST訪問のため3/14のセッションには出席せず。)
WISWB主要セッション概要:
本会議前ワークショップ3/10(日) – 3/11(月)
3/10(日)午前中にカイロに到着後、午後のセッションからワークショップに出席。 セッション:“Sustainable Development – Gender Issues – State of Scientists”では、柴田主査と荒木主任調査員が登壇した。
柴田主査 JST’s International Strategy and Programs under Japan’s S&T Diplomacy
登壇する柴田主査
多くの科学的主張の客観性を立証する目的で、1本15分で30のエピソードから成る “closer to the truth”プロジェクトが製作され、一つの科学的主張や発見について反対意見を持つ科学者とともに検証していくことにしている。
本会議3/12(火) – 3/13(水)
本会議のオープニングでは、WISWBの主催者であるWomen in Science Networkの議長を含め、アラブ科学技術財団(ASTF)の理事長や副理事などから、英語とアラビア語での開会の挨拶があった。
本会議オープニングで挨拶する主催者
Founding Chair of Women in Science Network, Egypt
ユネスコの報告では、大学や研究機関など科学コミュニティにおける女性の割合はわずか28%で、より高度な学術レベルに至っては6%にまで下がり、またリーダーシップポジションに就いたり、ノーベル賞のような権威ある賞を受賞している女性も少ないという現状を踏まえ、Global Young Academyの仲間などと議論を重ねて科学コミュニティの中でより多くの女性が受け入れられて活躍できるような環境を作り出すためにWISWBを立ち上げた。
WISWBは科学コミュニティにおける女性のための会議であるだけではなく、SDGsNo.5(Gender Equality) を含むSDGsすべての達成に向けて科学を主なテーマにした新しい取り組みであり、科学をすべての人のためのものとする(マーチン・ルーサー・キングの言葉を真似て、My dream is “let science for all”.)ための取り組みでもある。
オープニングプレナリーセッション:“Science diplomacy and successful international scientific relations”では渡辺副理事が登壇。
渡辺副理事 International Science Strategy of Gender Equality 2.0 for SDGs
本会議で登壇する渡辺副理事
世界経済フォーラムの「Readiness for the Future of Production Report 2018」によると、日本は経済・産業構造そのものの評価は高い(1位)が、人材の多様性・将来性に対する評価は低い(16位)、また、SDG Index & Dashboards Reportにおける日本の目標達成状況の推移(No.4教育は達成済み、No.5ジェンダー平等は達成までほど遠い、等)を紹介。(因みに、エジプトはNo.1貧困をなくそうが達成済み。)