レポート

ジェンダーサミット10(Gender Summit 10)速報

  • 平成29年5月25日、26日
  • 一橋講堂

 平成29年5月25日、26日、一橋講堂にて「ジェンダーサミット10」を開催しました。

 「ジェンダーサミット(Gender Summit(GS))」はジェンダーの視点を取り入れて研究やイノベーションの質の向上を図ることを目的に、2011年に欧州で発足し、世界各国で開催されている国際会議です。第10回目の節目となるジェンダーサミット(GS10)が、JSTの主催、日本学術会議とPortia社の共催で、我が国で初めて開催されました。

 GS10開催においては、文部科学省や経済産業省等23の政府機関や団体より後援があり、83 の企業や大学、団体より協賛をいただき、全体としては114 の機関の協力でできた会議となりました。GS10が開催された2日間には、23の国及び地域から、600 名を超える方々の参加がありました。

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 GS10の冒頭では、スマヤ・ハッサン・ヨルダン王女及び水落敏栄・文部科学省副大臣、カナダNSERCマリオ・ピントー理事長、中国NSFCルイピン・ガオ副理事長、お茶の水女子大学室伏きみ子学長よりスピーチをいただきました。

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 今回のジェンダーサミットのテーマは「ジェンダーとダイバーシティ推進を通じた科学とイノベーションの向上」です。冒頭のキーノートでは「ジェンダーの歴史と未来」をテーマに、日本IBMの浅川智恵子IBMフェローからはアクセシビリティが拓くイノベーションについて、香港大学のアンジェラ・リャン教授には儒教と男女の役割の歴史について、京都大学山極寿一総長には動物の進化における男女の役割について講演いただきました。

写真3  プレナリーセッションでは、「アジアにおける深刻な問題への女性の貢献」、「ジェンダーに基づくイノベーション」、「科学の社会的責任」について講演やパネルディスカッションが行われました。また、「女性参画拡大により期待されるイノベーション上の利点の具体化」、 「男女共同参画推進のための研究者情報の整備と活用」、「ダイバーシティ推進に係る評価手法の提示」、「中等教育における女子学生の文理選択の健全化」等の6つのパラレルセッションも実施されました。
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 その内、 「スポーツにおける身体とジェンダー・サイエンスの推進(※)」と「男性・男子にとってのジェンダー平等」はジェンダーサミットにおいて初めてのセッションとして 開催、スポーツセッションではスポーツ庁鈴木大地長官にご登壇いただき、東京オリンピックとパラリンピックに向けたジェンダー視点のお話をいただきました。

 GS10の最後に、「東京宣言:架け橋(BRIDGE)」として以下が発表されました。

  • 1.ジェンダー平等は持続可能な社会と人々の幸福に不可欠な要素であり、科学、技術及びイノベーションが人々の生活をどれくらい良いものにできるか、その質を左右する。それは、男女間の機会均等に加え、ジェンダーの科学的理解とジェンダーの差違が科学技術の主要因と捉えられ分析されてこそ社会にイノベーションをもたらし得る。
  • 2.ジェンダー平等は17あるSDGsすべての実践に組み込まれることが必要であり、 科学技術イノベーションと共に歩むジェンダー平等は、国連の持続的な開発目標(SDGs)のそれぞれと結びつき、17すべての目標の実現を促す架け橋となる。
  • 3.SDGsに掲げるジェンダー平等は、社会における多様性、とりわけ、女性や女子、男性や男子、民族や人種、文化等が果たす意味や役割を社会がどのように認識して定義しているか、その関係性を考慮して進める必要がある。それはジェンダー平等2.0として、産業界を含むすべての関係者にとって自らが取り組む持続的課題のひとつとすべきである。

GS10の詳細な開催報告は、後日、HPに掲載予定です。

※2018年6月 開催報告を公開しました。 日本語版 英語版