ベルリンにて第7回目となるジェンダーサミット(Gender Summit 7)が開催されました。
今回のサミットでは「Mastering gender in research performance, contexts, and outcomes」をテーマに掲げ、ジェンダーに係る様々な課題がどのように影響しているか等についての理解の共有化が図られました。
サミットには欧州を中心に約300人が参加し、75名からテーマに係る自身の研究成果等についての発表がありました。また、ドイツ連邦教育・研究副大臣、欧州研究会議(ERC)理事長、欧州大学協会(EUA)理事長等が登壇し、基調講演を行いました。
ジェンダーの問題は男女共同参画が日本より進んでいる欧州でも未だ課題は多く、客観的なエビデンスに基づく議論が極めて重要となります。多くの登壇者から男性優位となっているジェンダーバイアスの存在が科学的に示され、これが科学研究の質にも影響していること等を指摘、さらに研究開発の効率性に対してジェンダー影響分析の手法を如何に適用するか等が話し合われました。
(発表されたトピックスの一例)
なお、各セッションにおいてゲーム感覚の投票システムが導入され、主催側から提示される質問に会場の参加者が自身の携帯端末から投票、結果が即座にスクリーン表示されるという趣向がありました。参加者意見の集約・共有化、可視化ツールとして興味深く感じました。
今回のサミットでは、渡辺美代子・JST副理事(兼ダイバーシティ推進室室長)も登壇し、再来年に東京にて予定されているジェンダーサミット(GS10)を見据えて、東京のアピールとともに現時点での開催企画の一部を紹介しました。
サミットに参加して、科学技術・イノベーションにおけるジェンダー平等の必要性は衆目の一致するところでありながら、その具体的な対応策とゴール(果実)の提示は未だ模索段階にあるように感じました。ジェンダーのアンバランスに起因する種々の問題点が指摘されたものの、それらに対する解決法や成功例に関する発表は一部に限られていたようです。再来年のGS10では、より具体的なアクションやベストプラクティスを多数発信できるよう、関係機関との密な連携のもと、最新の情報を収集し企画に反映していきたく考えています。