選考委員長からのメッセージ

メッセージ

写真:委員長 鳥居 啓子

 輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)も、早くも五年目になりました。この賞は「さきがけ」や「CREST」で若手〜中堅の研究者を支援するJSTと、ファッションデザイナー故 芦田淳 氏の芦田基金とがタッグを組むことにより創設された、非常にユニークなものです。その理念は、ズバリ、様々な分野で奮闘する若手〜中堅の女性研究者の存在と活躍を可視化することにより、後進の女性研究者やその卵達をエンカレッジしていくこと。そして、それにより未来のイノベーションの担い手を増やすことにあります。

 これまで、多くの素晴らしい方々の応募があり、審査会ではいつも驚きや感動の連続でした。科学技術に関わる全ての分野を対象としているため、業績に甲乙つけがたく審査会で議論が過熱することも。輝く女性研究者賞(JST理事長賞)を認めてくださった、JST理事長には心から感謝しています。

 これまでの受賞者達は十人十色。発生学、合成化学、天文科学、分子生物学、数学、医学など分野も多岐に渡ります。海外へ飛び出しラボを構えた人。工学部の女性教授として奮闘される人。基礎研究のブレークスルーから医療への応用を目指す人。臨床医として働きながら診断手法の開発を推進される人。数学の魅力を多くの方に知ってもらいたいとアウトリーチを立ち上げた人。皆、様々な道を歩みながらも、共通していることは、困難に直面しても前へ進んでいること。第4回のジュン アシダ賞受賞者である戸田 安香さんは、企業出身の研究者。企業で学んだ技術を用いて動物の味覚と食の進化を追求。JST理事長賞の杉原香織さんは、海外で研究室を運営後日本に戻り、基礎研究にとどまらず商品開発を進めています。

 これまで錚々たる女性研究者を可視化して来たわけですが、受賞者の皆さん、一様に「応募しても私では厳しいかと思った」「まさか私が受賞するとは思わなかった」と驚かれます。自分で自分を過小評価してしまう【インポスター症候群】は、女性に多く見られることが知られています。また、女性研究者は、男性と異なり、一度受賞を逃してしまうと再応募してこない傾向があることもわかっています。輝く女性研究者賞は自薦•他薦共に可能です。どうぞ、「私では無理かも」と思わずに、もしくは思っていたとしても、一歩飛踏み出して応募していただけたらと思います。選考委員一同、お待ちいたします。

鳥居 啓子

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