GIES Global Innovation Ecosystem

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シンポジウム

サマリー

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基調講演の後のコメント

司会:石倉 洋子

 基調講演の前に、国別イノベーション能力のデータを示して、2つの問いを投げかけた。2004年から2007年にどれだけ変化があったかという最初の問いに対しては、基調講演の講師お二人とも、変化の幅もスピードも桁違いであり、変化はもはやIncremental(漸進)ではないことを強調された。
黒川氏は、産業革命から歴史を俯瞰し、技術が登場してから市場に浸透し、人々の行動が変わり、大きなパラダイム・シフトが起こるまで50年程度かかるという大きな流れを紹介され、いまや情報の時代の途中にさしかかっていることを指摘された。デボラ・ウィンス・スミス氏は、いまやデジタル、遺伝子、原子のコードが経済の基盤となっており、コンセプチュアル経済の時代に入っていると説明された。

 国レベルのイノベーション・システムと地球規模の課題のギャップ、グローバルな課題に対する両国の取り組みについての第2の質問に対しては、国から地域、そして世界へという課題の立て方自体が的外れになりつつあるという示唆を得た。今や、企業活動も経済構造も、世界的に統合されつつある、イノベーションは権力構造の変化をもたらすが、その結果、地域的な力も大きく変動し、最近はイノベーションの分野でも中国・インドが台頭している、という現状分析がなされた。こうした中で、日米両国が地球規模の課題に対して協働・競争ができる分野は多く、またそうした建設的な競争・協働をすることによって、世界全体が繁栄する、これこそグローバル・イノベーション・エコシステムであると結論づけた。黒川、ウィンス・スミス両氏とも、次世代の教育の重要性、「出る杭」「異端」といわれ、多くの分野をまたがった斬新な組み合わせや思考ができる人材を育成する必要性、周辺をいじるのではなく、大きなスケールで中枢から攻めることこそがイノベーションの根幹であることを強調された。

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