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平成21年度シーズ発掘試験 A(発掘型)研究概要一覧(中国・四国)


課題のNo.と都道府県については採択時の課題一覧と同一です
 研究者、コーディネータはH21年10月における情報を掲載しています

 鳥取:9件  (JSTイノベーションプラザ広島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1388 機能性材料合成のための超高活性パラジウム触媒の実用化 奥村 和 鳥取大学 伊藤 邦夫 鳥取大学 パラジウムアンミン錯体を担持したゼオライト触媒に室温で水素を流通させることにより、ゼオライト細孔内に1ナノメートル以下の極めて微細なサイズを有するパラジウムクラスターを形成させることができる。このパラジウムクラスター触媒はベンゼン環どうしをつなぎ、医薬品や液晶などの機能性材料を合成する鈴木・宮浦反応に高活性を示す。本研究では、このパラジウムクラスタ−触媒を種々の炭素―炭素結合反応へ展開し、高活性発現の機構を解明するものである。
1389 アミノペプチダーゼを用いた簡易アスパルテーム合成系の確立 有馬 二朗 鳥取大学 作野 友康 鳥取大学 アスパルテームはペプチド性ノンカロリー人工甘味料であり、広範にわたり食品産業に使用されている。しかしアスパルテームは化学的に合成されるのが通例であり、劇薬の使用や複雑な工程など、問題点は山積みである。申請者は、放線菌アミノペプチダーゼ(AP)を利用し、アスパルテームの合成に成功した。本研究課題では、APを利用した簡易アスパルテーム合成法の実現に向け、合成最適化を行うと共に固定化酵素の創製を行う。
1390 ナマコ由来高硫酸化コンドロイチン硫酸の生理活性機能 保坂 善真 鳥取大学 作野 友康 鳥取大学 鳥取県近海でのナマコの水揚げ高は中国本土や香港での干しナマコの需要の高まりから、近年急増している。加工過程で生じるゆで汁中にはナマコ体内から溶け出したコンドロイチン硫酸(CS)が高濃度に含まれている。ナマコCSに化学構造が類似しているイカCSは骨分化促進・脂肪分化抑制活性などの陸棲動物由来のCSとは異なるユニークな機能を有する。本研究では、水産加工廃棄物の未利用資源としての積極的な活用をめざして、ナマコやそのゆで汁から効率的なCSの抽出方法を確立し、情報の少ないナマコCSが有するあらたな生理活性機能を明らかにし、ナマコCS有効活用の可能域を探索する。
1391 高機能RNA干渉プラスミドライブラリーの構築 河野 強 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 医薬品等の評価・開発等に用いられる線虫C. elegansは、RNA干渉による遺伝子機能抑制が可能で簡便かつゲノムワイドに行えるモデル生物である。ところが、rrf-3 遺伝子の機能により神経系におけるRNA干渉が阻害される。そこで、神経系疾病モデルとなる変異株に対して神経系で機能する遺伝子を標的とした効率的なRNA干渉を行うことを目的として、rrf-3 遺伝子の機能を同時に抑制できる高機能RNAプラスミドライブラリーの構築を行う。
1392 万能細胞バンク活用を加速する複数外来遺伝子導入用の安全な収納デバイス 加藤 基伸 鳥取大学 山岸 大輔 鳥取大学 iPS細胞を臨床応用する上で、50種類のHLAタイプのものを用意すれば拒絶反応なしに活用できるため、現実的なバイオリソースとして万能細胞公的バンク構想がある。本研究では、複数外来遺伝子の安全な「収納」に特化した極小人工染色体ベクターを作成する。外来遺伝子はこの極小染色体上にのみ導入され、宿主ゲノムへの挿入が回避できることから、遺伝子導入に伴う癌化の懸念が払拭される。これをバンク細胞に導入し再リソース化し、iPS細胞のさらなる活用を安全を加速させる。
1393 界面近傍の細菌運動を三次元高速度撮影可能な顕微鏡システムの開発 中井 唱 鳥取大学 清水 克彦 鳥取大学 本課題では、細菌の界面近傍での遊泳運動を詳細に調査することで、一般に微小対象物の高速運動を三次元解析可能な顕微鏡システムの開発を目指す。微小物体の運動を拡大観察するには高速度撮影が必要であり、また三次元観察が有益であるのは、大抵は自由な三次元運動が界面の影響を受ける場合である。そこで本課題では、(1)高速度カメラを用いた細菌運動の2方向同時撮影、(2)壁面や水面など界面近傍での撮影、に取り組む。
1394 キチン・キトサンナノファイバーを用いた創傷被覆保護材の開発 伊福 伸介 鳥取大学 清水 克彦 鳥取大学 申請者はカニ殻に含まれる幅が僅か10 nmの極めて細く均質なキチンのナノファイバーを抽出することに成功した。キチンとその脱アセチル誘導体であるキトサンは生体親和性が高く、副作用が無く、鎮痛効果、止血効果、表皮形成、抗炎症作用など数多くの優れた生体機能を備えている。そこで、本事業では、この新規なキチンおよびキトサンナノファイバーを利用した創傷被覆材料の開発を提案する。
1395 化学反応を用いない廃食用油を活用したディーゼル発電燃料の開発 田中 俊行 鳥取大学 足森 雅己 鳥取大学 本研究は、研究代表者らの発明になる吸着濾過シート、バイオディーゼル燃料(BDF)作成等研究成果を利用して、濾過精製・性状調整剤添加方式により、ディーゼル発電用に、廃食用油からBDFを製造する技術の実用化に向けて取り組むものである。現在までに、濾過精製装置の試作、発電実験を行い、本法の信頼性は確認してきているが、今回は以下の目標に取り組む。
① 燃料を迅速に製造できる燃料油製造装置の製造 ②安価な性状調整剤の開発
1396 テーパシャンク部構造の最適化による高耐びびり性ツールホルダの開発 小幡 文雄 鳥取大学 和田 肇 鳥取大学 回転主軸を有する工作機械を用いて金属材料を高速切削する場合の大きな課題は、主軸高速回転時に主軸先端部が遠心力で拡張するために主軸のツールホルダ把持力が減少してびびり振動が発生しやすくなり、加工精度・加工能率が低下することである。本研究では、ツールホルダテーパシャンク部の材料および内部構造を最適化することで、減衰能が高くかつ主軸高速回転時でも主軸テーパ面と良好な接触状態が保持されるBTシャンクツールホルダを開発する。

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 島根:12件  (JSTイノベーションプラザ広島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1397 高分子ナノ繊維を集電体とした高容量Li-ion二次電池負極の作成 鈴木 純二 松江工業高等専門学校 糸原 保 松江工業高等専門学校 高容量Li-ion二次電池新規負極材開発のため、Si蒸着膜(非晶質Si)を、導電性を付与した高分子ナノ繊維表面または内部に分散させ、これまで実用化が理論上困難であると考えられていた高性能非晶質Si負極の実用的電極の試作を行う。この電極が作成されれば、これまで高性能を示しながらも厚膜化が困難なため実用化に至らなかったSi蒸着膜電極を実用・商品化することが期待され、省エネルギー社会・自然エネルギー利用電力の拡大の一翼を担う。
1398 高電圧パルスを用いた新しい除草システムの開発 箕田 充志 松江工業高等専門学校 糸原 保 松江工業高等専門学校 地域の重要文化財の石畳や階段では、草刈機の使用が困難と考えられる。そのため、手作業や農薬を用いた除草が行われている。しかしながら残留農薬の問題や雑草の根が残るため十分な除草効果は期待できない。
本研究では、作業負担が少なく除草効果の長期維持できる可能性を有する高電圧パルスを用いた「除草システム」の開発を行うことを目的とする。
1399 簡易材質診断法による緑化樹木等の危険木診断技術の開発 陶山 大志 島根県中山間地域研究センター 生田 祐介 島根県中山間地域研究センター 街路樹・公園木等では腐朽菌などによって空洞化した樹木が倒木し、人身・物損事故が問題になっている。我々はこのような危険木を、打撃音(共振周波数)を指標として簡易かつ非破壊に診断する技術の開発を進めてきた。しかし、樹形が複雑な木では打撃音にノイズ周波数が発生し、誤診断を招く要因となっていた。そこで、本研究では振動シミュレーションを行なって、ノイズ除去フィルター(プログラム)を考案し、またその検証を野外で行なう。
1400 促成イチゴ高設ベンチ栽培用のハウス内空気と培地の一括加温システムの開発 笹川 悦世 島根県農業技術センター 春木 和久 島根県農業技術センター 促成イチゴ高設ベンチ栽培における加温について、燃油消費量を抑制するため、温風暖房機だけでハウス内空気と培地の両方を加温するシステムを創出し、燃油消費量を最小にできる機器制御方法を解明する。
1401 電子タグを用いた医療機器運用管理システムの開発 花田 英輔 島根大学 宮崎 稔 島根大学 高度医療機関が多用する高価な医療機器は、厳格な管理や紛失防止が求められる。既存管理システムは極めて高価か、ほぼすべて管理項目と内容が変更できない。そこで臨床工学技士の意見を取り入れ、管理項目の追加・削除・内容変更が可能で、かつ安価な医療機器管理システムの構築を図る。またオプション機能として電子タグを用いた①貸出/返却、②機器の患者割当、③機器の所在把握、④機器の動作状況確認、の各機能を開発する。
1402 全年齢層に対応可能な小麦依存性運動誘発アナフィラキシー診断法の開発 高橋 仁 島根大学 宮崎 稔 島根大学 これまでに、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの主要な抗原であるω-5グリアジンを用いた本疾患に対する診断法を開発した。本法の成人患者における陽性率は非常に高いものの、未成人患者における陽性率は低い。その原因として、未成人患者は、ω-5グリアジンとは異なる小麦タンパク質が抗原であることが示唆された。本課題は、未成人患者における診断精度の向上を図るため、一度の測定で複数の小麦抗原が検査可能な診断法を確立することを目的とする。複数の小麦抗原を搭載したプロテインアレイを作製し、その有用性を検証する。
1403 電気分解による自家中毒回避技術の植物工場への応用 浅尾 俊樹 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 植物工場内で環境負荷の少ない閉鎖系養液栽培を行う際、栽培植物の根から培養液中に化学物質、すなわち自家中毒物質が滲出・蓄積し、植物の生育および収量低下につながる可能性が高い。その自家中毒物質を取り除く方法として電気分解が考えられ、本研究ではその最適条件および電気分解装置の性能条件の検証を行う。その結果、植物工場での効率的な食糧生産を図ることが期待できる。
1404 竹繊維を活用した土壌水下方浸透の促進と有機物貯留による土壌環境修復 森 也寸志 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 土壌は陸域最大の炭素貯留源であるが、農林地管理の粗放化と劣化が進み、水貯留や植物の培地、環境負荷の緩衝など本来の機能が果たせていない。本課題では、代表者の発明である「移流・分散制御による土壌中への選択的物質輸送」を劣化の進む土壌に施し、土壌表層にわずかに薄く存在する有機物を下方浸透かつ土壌体全体に分散させ、土壌の有機質化による炭素貯留と二酸化炭素削減効果、また植栽としての土壌環境の修復を図る。地域未利用資源である竹繊維を活用して土壌の透水性の改善を行い、土壌水の下方浸透と有機物貯留の促進をはかるものである。
1405 発達障害児の意思受容を支援するコミュニケーションエイドの研究開発 廣冨 哲也 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 自閉症やアスペルガー症候群等を有する発達障害児は、神経心理学的検査により「見て答えること」に比べ、「聞いて答えること」の発達が遅れていることが明らかになる場合が多い。そのため可視化した会話内容を適切なタイミングで障害児に提示する支援が必要となる。本研究では、音声認識結果に含まれる単語群を「いつ」「どこで」等の5W1Hの観点で分類・可視化することにより、発達障害児の意思受容を支援するコミュニケーションエイドを研究開発する。
1406 廃木材からの高機能性木炭の製造技術の開発と木炭の利用 北村 寿宏 島根大学 丹生 晃隆 島根大学 (辞退)
1407 加算処理無しにin vivo の脳から光学的膜電位測定が可能な高輝度光源の開発 廣田 秋彦 島根大学 中村 守彦 島根大学 in vivoの脳から膜電位を光学的に同時記録する際、光の光電流変換時に取り除くことが出来ないショットノイズが発生する為、通常加算処理が必要である。加算処理を不要とするには、高輝度で安定した光源が必要である。高輝度であるが安定性の悪いアーク系光源の光量の変動分を検出し、暗いが高速に制御出来、安定の良いLEDを、変動分を相殺するように発光させ、両者を光ファイバーで混ぜることで高輝度超安定化光源とするアイデアを実用化する。
1408 血中テネイシンX の濃度測定による血管疾患早期発見診断法の開発 松本 健一 島根大学 中村 守彦 島根大学 国民の高齢化により、血管疾患は急激に増加しつつある。そのため、分子レベルでその発症機構を理解すると同時に、是非とも血管疾患の早期の診断法の確立が必要である。我々が見いだしたテネイシンX(TNX)は、血管疾患に伴い発現量が変動する細胞外マトリックス分子として報告され、血管疾患マーカー蛋白質としての可能性を秘めている。本研究課題においては、血管疾患患者の血清を用いて、テネイシンXの血中濃度を簡便に測定できる酵素免疫測定系(ELISA)を開発し、血管疾患早期発見診断法の実用化を目指す。

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 岡山:60件  (JSTイノベーションプラザ広島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1409 新規スクリーニング系を用いた環境にやさしい青枯病防除剤の開発 向原 隆文 岡山県生物科学総合研究所 梶谷 浩一 岡山大学 近年の環境意識の高まりの中で、環境負荷が大きな化学農薬は使用が制限される方向にある。本研究では、青枯病菌には作用するが土壌中の他の生物相には影響を与えない、新しいタイプの青枯病防除剤の開発を試みる。青枯病菌の植物感染能力を評価する新規スクリーニング系を用いて、「病原菌特異的に作用し、その病原性を制御する」環境負荷の少ない青枯病防除剤を見出す。
1410 ブドウの鮮度保持出荷のための果実減耗抑制資材の開発 尾頃 敦郎 岡山県農業総合センター 村上 英夫 岡山大学 我が国主要品種のブドウ「巨峰」や「ピオーネ」は種なし栽培が盛んであるが、輸送中や店舗販売時に穂軸の褐変や脱粒(房から粒が落ちる)しやすいことが問題である。特に、近年増加している海外輸出においては収穫から販売までの所要日数が多いため、水分蒸発による果実重の減耗によって穂軸の褐変、脱粒などの鮮度低下が問題となる。そこで、鮮度保持を目的とした効果的なブドウ穂軸への水分補給処理方法を明らかにする。
1411 発芽ブドウ種子の抗アレルギー作用成分の同定と機能性食品への展開 比江森 美樹 岡山県立大学 小林 東夫 岡山県立大学 これまでに、特殊な条件下で発芽させたブドウ種子エキスは、優れた抗アレルギー作用を有することを見出している。そこで、発芽ブドウ種子エキスの抗アレルギー作用を発揮する有効成分の同定とその作用メカニズムの解析を行い、本食品素材の機能性を明確にする。さらに、生産性の向上を目的として、有効成分を高濃度に蓄積する発芽条件を確立する。最終的に、未利用資源であるブドウ種子を有効活用した抗アレルギー作用を有する機能性食品の創作を目指す。
1412 精神科ケアビギナーを対象としたケアスキル習得のためのe-learningソフトの開発 渡邉 久美 岡山県立大学 小林 東夫 岡山県立大学 精神障害者への地域社会資源は極めて不足しており、特にマンパワー不足の問題はケア提供者のバーンアウトを招くなど深刻である。また、精神障害者への経験が浅い看護介護職に、精神障害者特有の共感しづらい訴えや精神症状に対応が困難な場合も多い。本課題は熟達した専門職のもつ精神科ケアスキルを元に精神科ケアのビギナー向けの学習支援システムを構築する。システム構築はケア提供者の自宅での自己学習を支援するためe-learningソフトとして開発する。
1413 画像処理と3次元モデルを組み合わせたロケーションシステムの開発 神代 充 岡山県立大学 湯浅 光行 岡山県立大学 近年、住居内で人間と共存・協調して生活を支援するロボットへの期待が高まってきている。これらのロボットが住居内を自由に移動するためには、ロボットに住居内での自己位置を推定する機能が必要となる。そこで、本研究課題では住居内の環境を対象として、画像処理と3次元モデルとを組み合わせることで、環境に新たな設備を導入することなく、ロボットの自己位置を推定するロケーションシステムを開発する。
1414 簡易消化器癌スクリーニングキットの開発と応用 永坂 岳司 岡山大学 大村 祐章 (財)岡山医学振興会 便からヒトDNAメチル化検出方法を利用した非侵襲的消化器癌スクリーニングシステムの実用化に向けて、問題の克服と更なる高精度化に取り組むものである。本スクリーニングシステムは、研究代表者の独自に開発した高感度かつ擬陽性の少ない検出方法を用い、大腸癌だけでなく、その他の消化器癌をも便からスクリーニングすることが可能な画期的なシステムである。本研究は、この次のステップとして、実際の便潜血反応に用いられる程度の便検体量を解析できるように改良を加え、実用化に目途を付けることを目指す。
1415 難治性疼痛治療薬の持続性向上に関する開発研究 大内田 守 岡山大学 大村 祐章 (財)岡山医学振興会 末期癌や糖尿病、交通事故や手術後の後遺症でみられる慢性的な耐え難い痛みは末梢神経および中枢神経系の圧迫、変性、損傷に起因している。これは創傷などによる初期の痛みとは異なり、創傷が治癒した後に新たに発生する痛みで、急性痛で有効な非ステロイド系消炎鎮痛剤や麻薬系鎮痛薬等の薬剤が効きにくく決定的な治療法がない。本課題は難治性疼痛治療薬の実用化に向けた技術開発であり、当該治療薬の持続期間の延長・向上を目指した研究である。
1416 関節軟骨変性疾患の2段階分子標的治療システムの開発 大橋 俊孝 岡山大学 大村 祐章 (財)岡山医学振興会 変形性関節症(OA)関節リウマチ(RA)など慢性の関節炎を伴う関節疾患は、関節の構成要素の退行変性により、軟骨の破壊と骨・軟骨の増殖性変化を来す疾患で、今後さらに増加が予想される。本課題は代表研究者らが確立した炎症指向性リポソームに同じく代表者らが発見した軟骨集積性保護剤を内包させる2段階分子標的システムを使った薬物送達法の開発である。つまり、2つの標的化技術を組み合わせて、全身性の関節炎に軟骨保護剤送達し集積を可能にすることを目指している。
1417 汎用性の高い細胞観察用マイクロデバイスの開発 金原 和秀 岡山大学 高野 和潔 岡山県工業技術センター 微生物が形成するバイオフィルム(粘液状の集合体)は、食品加工や医療の現場で環境を汚染し、多くの問題を引き起こしている。そこで、バイオフィルム形成阻害剤の効率的な探索が可能なデバイスの開発が求められている。平成20年度に申請者らは、新規細胞観察用マイクロデバイスの開発に成功し特許を出願した。本課題では、実用化に向けて、顕微鏡の観察台上で環境制御が可能な箱に収納できるよう小型化を図ると共に、汎用性の高いデバイスを開発する。
1418 飼料の腐敗を防止する新規な微生物製剤の開発 西野 直樹 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 酵母およびカビの生育を防止する新たなサイレージ(発酵飼料)用微生物製剤を開発する。国策として粗飼料の100%国内自給が掲げられているが、これを達成するにはサイレージの長期安定保存および好気的変敗防止技術が不可欠である。代表研究者らは、岡山県内の酪農家が製造したサイレージから、変敗抑制作用が期待される細菌2株を分離した。本課題では、これらの抗真菌作用を調べるとともに、新規な添加剤としての有用性を明らかにする。
1419 作物種特異的な生育促進作用を持つ微生物農薬の開発 谷 明生 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 植物には様々な微生物が共存し、有機成分の無機化、窒素固定などを通じて植物の生育に貢献している。一方、植物は生長に伴い廃棄物としてメタノールを排出することはあまり知られていない。本研究では植物に共存して植物生育の促進作用を持ち、かつメタノールに生育できる微生物を網羅的にスクリーニングし、重要な作物の生育を促進するそれぞれ特異的な菌を見いだし、無害な微生物農薬として実用化することを目的とする。
1420 極性な電子秩序の異方性制御による新原理電流制御素子開発 池田 直 岡山大学 遠藤 隆 岡山大学 電子秩序化によって新奇な強誘電体となる電子誘電体について、分極した電子集団の崩壊と再凝集過程を応用する新原理電子素子の開拓を行う。
1421 肝細胞増殖因子(HGF)産生誘導作用を有する新規発毛素材の開発と応用 合田 榮一 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 肝細胞増殖因子 (HGF) はヒト及び動物の毛包に働き、発毛・育毛を促進することが知られている分子量9万のタンパク質である。本課題は代表研究者が見出した新規HGF産生誘導剤のマウス皮膚におけるHGFレベル上昇効果及び発毛促進効果を試験し、市販発毛薬と同等かそれ以上の発毛効果を得ることを目標とする。試験するHGF産生誘導剤は天然物由来であり、今回の動物試験で効果が確認できれば、今後ヒト試験を経て安全な発毛薬としての開発・応用が期待できる。
1422 微生物代謝工学による“夢の繊維”PTT原料の製造技術の開発 虎谷 哲夫 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)はテトロンとナイロンの長所を併せもつ”夢の繊維材料”として注目されている。原料の1つトリメチレングリコール(TMG)が高価で未だ広く普及するには至っていない。本研究では、微生物法によりTMGを安価に製造するための基盤技術を開発する。具体的には、グリセロールを炭素源とし、生物の知恵に学ぶ微生物代謝工学の手法によりラジカル酵素を活用して効率的な変換を行う。
1423 フレキシブル導波路型テラヘルツ波分光センサの開発 紀和 利彦 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 テラヘルツ(THz)波分光では、測定物にTHz波を照射し、透過あるいは反射するTHz波を解析する。生体物質等の高分子試料を高感度・高選択検出できることが特徴である。この計測法では、一般にTHz波発生器と検出器の間の空間を直線的に伝搬するTHz波を用いる。本研究では、THz波の発生器と検出器の間を、形状を柔軟に変化させることができる微小径金属線導波路で直接接続したセンサの開発を行う。このセンサでは、導波路の一部が検出部として働く。THz波は導波路に沿って伝搬するため、測定物のある位置へTHz波を導くことができる。このため、将来的にはTHz波胃カメラやTHz波スコープといった計測装置へと展開することが期待できる。
1424 高純度ヒト・トランスポーターのハイスループット機能測定法 森山 芳則 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ヒト・トランスポーターは創薬ターゲットとして未開の分野である。機能を維持したトランスポーターを大量に調製し利用する技術がないためである。私たちは、最近、機能を維持したトランスポーターを大量に調製するブレイクスルー技術を確立した。
この技術を基盤として、神経伝達を司る2つのトランスポーターを対象に、ハイスループット機能測定法のプロトタイプを開発する。
1425 卵管・子宮内の物質環境を反映させた体外胚培養シートの開発と培養成績向上 松浦 宏治 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 卵管・子宮内に発現している蛋白質等の成長因子を含む培養系によって、胚培養成績を向上させることを目的とする。この胚発育に関与すると思われる物質を接触させるだけで被覆シートが得られるように考えている。具体的な目標は当該シートを用いて培養した際に、発育された胚内細胞数を上昇させることである。動物モデルで有用であることが示されれば、生殖補助医療にも応用でき、不妊治療の発展に貢献する可能性がある。
1426 バイオ水素を製造する「創エネ型」化学触媒プロセスの開発 押木 俊之 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 低炭素社会づくりに資する非枯渇資源からのクリーンエネルギー確保は、我が国に課せられた緊急課題である。本課題では、代表研究者が進めてきた加水分解触媒の開発中に、偶然に発見した新規脱水素触媒をバイオ水素製造へ適用し、「創エネ型」化学触媒プロセスの基礎を構築する。
1427 揮発性有機化合物除去機能を有する綿繊維ベース素材の開発 林 秀考 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 (辞退)
1428 新規持続性う蝕・歯周病予防剤の口腔細菌叢への影響と安全性評価 吉田 靖弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 現在,多くの口腔ケア製品が市販されているが,抗菌物質を歯質表面に留める機能を有する物はない。申請者が開発したリン酸化プルランは抗菌物質を歯質表面に運ぶ役割を担い,かつ,歯質表面に留めておくことから,類似機能を謳った市販品の約1〜10万倍の優れた抗菌効果を発揮する。本研究では,リン酸化プルランと抗菌物質との併用による「う蝕・歯周病予防剤」の実用化にあたって,必修事項である口腔細菌叢に対する本剤の影響を確認する。
1429 界面制御ラジカル重合による機能性微粒子の創製 小野 努 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ナノ〜マイクロサイズのカプセルは,内部に異なる性質の流体を封入可能なことから付加価値の高い微粒子材料である。しかしながら,カプセル調製は安定な液滴調製とカプセル膜付与の多段プロセスを必要とする。本研究では,界面活性を有するニトロキシド誘導体を合成し,界面での制御ラジカル重合を行うことで,一段階の重合反応でカプセル化を行い,マイクロリアクターを利用することで単分散カプセルを高効率で製造できる新規プロセスの開発を目的としている。
1430 キラルな空洞を有するポルフィリン二量体の合成と分析試薬への応用 依馬 正 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 π-πスタッキング相互作用で芳香族分子を包接するのに適した距離(約7Å)で2つのポルフィリン環を配置し、なおかつ、キラルなスペーサーを用いて2つのポルフィリンを連結することにより、キラルなホスト分子を構築する。光学異性体を識別するための分析試薬として実用化するために、以下の検討を行う:(1)合成法を改良する。(2)類縁体を合成する。(3)不斉識別機能を核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより評価する。
1431 食用種子由来の機能性糖ペプチドを利用した人工糖鎖ポリマーの調製と応用 木村 吉伸 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 食用種子中には糖タンパク質性の貯蔵タンパク質が豊富に存在し,機能性糖ペプチドの調製にとっても貴重な生物資源である。本研究では,(1)食用種子中に豊富に存在する糖タンパク質に注目し,糖鎖構造が均一な機能性糖ペプチドの多量調製法の確立,(2)糖ペプチドを用いた高機能性多価糖鎖ポリマーおよびリポソーム合成,(3)抗原性糖鎖含有ポリマーおよびリポソームを用いた免疫細胞の活性化およびリソソームターゲティングへの応用を目標とし,糖タンパク質糖鎖の医薬応用研究への展開を目指す。
1432 水溶液中での効率的Nε-中鎖/長鎖脂肪アシル-L-リジン酵素合成方法の開発 中西 一弘 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本研究では、Nε-アシル-L-リジンの効率的酵素合成法の確立を最終目標として、①申請者らが単離した放線菌由来の酵素Nε-アシル-L-リジン特異的アミノアシラーゼ大量生産のための培養条件の検討、②部分精製酵素を用いるεLau-Lys合成反応条件の検討と最適化、 ③εLau-Lys以外のNε-アシル-L-リジン合成反応条件の検討と生成物の物性調査の、3点について実施する。
1433 多孔体を用いた新規排ガス浄化触媒の開発 田口 秀樹 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 ボイラーなどの燃焼機関から、燃料の不完全燃焼によって炭化水素などが大気中に排出されている。有害な排ガスを無毒化する排ガス浄化触媒として貴金属が使用されているが、より安価な触媒の開発が求められている。ペロブスカイト型酸化物は安価な触媒として注目されているが、特性を向上させるためには触媒の形状を検討する必要がある。本研究では、貫通した孔を多数有するペロブスカイト多孔体の作製条件を確立し、特性の向上を試みる。
1434 細胞内局在分子の絶対量の定量化による組織評価法の開発 小阪 淳 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 組織切片標本上の細胞標本一個のレベルで、標的分子であるmRNA、蛋白質の絶対量の定量化、つまりmRNAであれば何コピーか、蛋白質であればその分子数を決定できる新技術の実用化を進めます。この技術が実用化されれば、癌組織の悪性度を客観的に予測したり、農産物、畜産物、養殖魚の品質を数字で表すことができます。
1435 機能性ペプチドを利用した色素増感太陽電池の効率改善 北松 瑞生 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 本研究の目的は「色素増感太陽電池(以下、DSSC)の電極上の色素の配置を制御することで、そのDSSCの光電変換効率を大幅に改善する」ことである。本目的のために、ペプチドを修飾した色素を用いる。このペプチドには「緩衝材」と「電極への吸着」という2つの機能がある。「緩衝材」とはペプチドの“かさ高さ”を利用したものであり、電極上での色素同士の接触を無くすことで電子消光を防ぐ役割がある。「電極への吸着」とは、ペプチドの配列を利用したものであり、電極へペプチドを強く吸着させることで、電極上の色素濃度を高くする役割がある。
1436 好酸性細菌への有用遺伝子の導入とタンパク質生産手法の開発 金尾 忠芳 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 好酸性独立栄養鉄硫黄酸化細菌には無機硫黄化合物を代謝する他に類を見ないユニークな酵素が存在する。これらの酵素を研究し、遺伝子工学的技術により改良すれば、石油精製過程で大量に発生する副産物の脱硫硫黄を効率的に処理できる可能性が期待される。このような酵素を研究し利用するためには、組み換え発現による大量生産が必要不可欠である。しかしながら宿主に広く用いられる大腸菌や酵母は中性で生育するため、このユニークな酵素を活性型で獲得することが出来ない。本研究では増殖力の旺盛な好酸性従属栄養細菌に、これら有用遺伝子を導入し、発現させる手法の開発を目的とした。
1437 消化器系希少疾病“潰瘍性大腸炎”に有効な治療薬の開発 加来田 博貴 岡山大学 梶谷 浩一 岡山大学 潰瘍性大腸炎は、大腸に潰瘍ができる原因不明の疾患で、薬物療法、白血球除去療法などがあるが、患者を満足させるには至っておらず国の特定疾患(難病)に指定されている。そのような中、申請者は本疾病モデル動物で薬効を示す化合物を発見した。本研究では、開発化合物に対する拮抗薬を創出し、作用点として予測される遺伝子発現やタンパク質発現に関するデータを収集することで作用機序の明確化を行い、開発ステージの発展を目指す。
1438 細菌熱ショックタンパク由来の免疫抑制ペプチドの基礎的検討 横田 憲治 岡山大学 桐田 泰三 岡山大学 【技術内容】ヒトの口腔内常在菌であるStreptococcus由来の熱ショックタンパク:Heat Shock protein 60kDa(HSP60)の合成ペプチド(HSPペプチド)による免疫抑制剤の開発を行う。
【目 的】ヒト常在菌由来の安全な免疫抑制物質を作製する。
【実施内容】細菌やその炎症物質刺激により活性化した単球系細胞や、これらを投与したマウスにペプチドを作用させ、サイトカインの産生の抑制や炎症の病理像を検討する。
【目 標】ヒト常在細菌から分離した安全な抗炎症薬の開発を目指す。
1439 成人T細胞白血病・リンパ腫発症の早期発見・早期診断および発症危険度推定法の開発 岡 剛史 岡山大学 桐田 泰三 岡山大学 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)はその原因ウイルスであるHTLV−Iのキャリアーの中から数千人に一人の割合で発症する難治性の白血病であり日本で約100万人のHTLV−Iキャリアーがいる。これまでの基礎的研究をもとに定量的測定技術の開発により高精度・高感度な技術改良を行い、実際の医療現場で実用可能なATLL発症早期発見・早期診断・予後推定・発症危険度推定システムの開発をおこなう。
1440 難治てんかん発症予測のスクリーニングテストのプログラム開発 大守 伊織 岡山大学 桐田 泰三 岡山大学 小児の約8%には発熱等によって誘発される熱性痙攣がみられる。熱性痙攣の多くは6歳までに治癒し積極的な治療を必要としないが、少数でてんかん重積など危険な状態をもたらす難治性てんかんになる場合がある。本応募課題は1歳未満の病初期に良性の熱性痙攣の中から難治性てんかん患者を早期に選別するスクリーニングテストの実用化を目指している。一般小児医師・家庭医がコンピュータで難治性てんかん患者を簡便に選別可能にするプログラムを開発すること、および、実際に本テストを多くの熱性痙攣既往小児に適用し検証・確認試験を行うことにしている。
1441 高活性燃料電池炭素電極のマイクロリアクターを用いた製造プロセスの開発 武藤 明徳 岡山大学 山田 嘉昭 岡山大学 本研究では、炭素多孔材料中にナノサイズの白金が高度に分散する複合材料の原料を、申請者の研究室で開発した二種の液体が瞬時に混合する精密な形状を有するマイクロリアクターにより調製する。さらにこれを本研究室において炭化処理を行い、白金含有量が少なくても高活性な発電能力に優れた燃料電池の炭素電極を開発する。本研究では、岡山県で都市エリア事業成果から生まれたマイクロリアクターの製作技術を活用し、その成果はベンチャー企業を通じて実用製造を目指す。
1442 両端にホルミルおよびカルボキシル基をもつブタジエンの新規合成法 佐竹 恭介 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 ブタジエン誘導体は精密有機合成化学では欠くことのできない4炭素シントンとして重要である。とりわけ、ジエン末端に適切な官能基を持たせることは合成中間体としての有用性を飛躍的に高めることになる。しかし、両末端に官能基をもつジエンは4つのジアステレオマーが存在し、特定の立体化学をもつものを準備するのは容易ではない。本研究では、ニトロベンゼン誘導体からわずか三段階の過程で、極めて高い収率にてZZ体のみを選択的に得る手法の確立をめざす。
1443 サルナシの抗炎症・抗発癌機能性に関する研究 有元 佐賀惠 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 マタタビ科のサルナシ(Actinidia arguta)果実は山村(例えば岡山県新庄村)の特産品として栽培されており、生食用のほか乾燥果実や加工品が販売されている。が、サルナシは産出量が多くなく知名度が低いため、機能性食品としての発癌予防や抗炎症効果の研究はなされていない。そこで、有用な機能性を見出して知名度をあげ、食品以外の用途(化粧品など)にも販路を拡げ、地域振興に役立てることを目的とする。
1444 中間赤外イメージング分光法の開発 川口 建太郎 岡山大学 秋田 直宏 岡山大学 本研究では、多重サンプリング・フーリエ変換分光法を対象サンプルにおける-CH,-OH等官能基の分布画像を得るための中間赤外イメージング分光法の開発に応用する。分子の基準振動が観測される波長2.5 - 30ミクロンに現れる官能基に特有な振動バンドを測定し、物質の状態を各振動バンドの画像として出力できるようにする。赤外光の通過位置を制御し位置の関数としてデータを取得できるように光学系を製作し、分子振動に対応した赤外スペクトルの画像を得るプロトタイプ分光系を製作する。
1445 環境有害物質を検出する携帯型バイオセンサーの開発 森 泉 岡山大学 松浦 啓克 岡山大学 環境へ放出される有害化学物質の生体毒性評価試験(バイオアッセイ)の必要性が高まっている。細胞酸化と細胞毒性には強い相関があることから、申請者は細胞酸化を指標にした新規のバイオアッセイを開発した。本課題では、この技術を展開し、環境水中の有害化学物質の毒性を評価する「携帯型」細胞毒性バイオセンサーを開発する。携帯型バイオセンサーは汚染の現地において数分の作業により、汚染水の毒性を検出・評価できる。これにより極めて迅速な環境汚染の管理・対応が可能になる。本研究ではバイオセンサーの実用化に必要な固定化細胞の長期保存方法の最適化を行う。
1446 プリント基板で発生する放射EMI予測法の確立 五百旗頭 健吾 岡山大学 松浦 啓克 岡山大学 あらゆる製品が電子化され、ディジタルICが搭載される中でEMC問題が大きくなっている。しかし、ICを搭載したプリント基板のEMC問題を解析するうえで、十分な精度を有し、かつ高速に解析できるシミュレータは実用化されていない。本応募課題では、プリント基板のEMC問題に特化した放射EMIシミュレータHISESとIC電源系のEMCマクロモデルLECCSを組み合わせ、プリント基板からの放射EMIを高速に予測するシミュレータを構築する。EMC規格で定められた上限周波数1GHzの実現により、設計の初期段階からEMC問題を発生させない設計が容易となり、その効果は、家電から情報・通信機器、自動車に至るまであらゆる製品に波及する。
1447 コモンモード放射ノイズ低減と信号品質維持を両立するガードトレース設計法 豊田 啓孝 岡山大学 松浦 啓克 岡山大学 本研究課題の目標は、電子回路のプリント回路基板で発生するコモンモード放射ノイズを効果的に低減させ、同時に信号線を流れる電気信号の品質を維持するガードトレースの設計手法の確立である。
これまでに、コモンモード放射ノイズを効果的に低減するビアの最適配置やダンピング抵抗の追加によるガードトレース共振抑制手法の提案などを行ってきた。本研究課題では、ノイズ低減効果を失わせることなく信号品質を維持させるガードトレース設計手法の確立を目指す。
1448 装着者の位置エネルギーを活用した空気式歩行支援靴の開発 高岩 昌弘 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 高齢者のつまづきによる転倒防止、および歩行リハビリ訓練の補助のため、足首部の背屈動作を支援する機能を有する靴を開発する。歩行時の踵接地時に装着者の体重で足踏みポンプを踏み、生成した圧縮空気により駆動される空気圧シリンダで足関節周りに背屈モーメントを与える。テコの原理を応用した空気ポンプと、エネルギーを蓄積するスプリング内含型シリンダを用い、電気エネルギーを一切使用しない支援機構を構築する。
1449 誘電解析法を用いた新しいバイオアッセイシステムの開発 安藤 元紀 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 水質検査や薬剤開発の一次スクリーニングに応用可能なこれまでにない新しいバイオアッセイシステムを開発する。本システムの新規性・独創性は,有害物質に鋭敏に反応する原生生物(ユーグレナ)を利用しその形態変化や増殖特性の変化を誘電解析法(インピーダンス解析法)というこれまでにない新しい測定技法に基づいて検出する点にある。水質環境モニターや新規合成化合物のスクリーニングに応用可能な新しい生物検定システムの確立を目指す。
1450 火花誘起ブレイクダウン分光法を利用した点火プラグ実装型燃料濃度計測装置の開発 河原 伸幸 岡山大学 薦田 哲男 岡山大学 本課題は、研究代表者の発明である火花誘起ブレイクダウン分光法(SIBS)を利用した燃料濃度計測装置の実用化に向けて、実用エンジンに装着できる点火プラグ実装型センサ、高応答・小型分光器を試作し、その測定精度・耐久性を評価するものである。この手法を用いれば、炭化水素系燃料だけではなく、既存の方法ではリアルタイム計測が困難な水素燃料への適用も可能となり、将来の水素社会へ向けて、水素エンジン着火時期の適正化や燃焼改善に大きく貢献できる。本研究では次のステップとして、(1)光ファイバ組込点火プラグの耐久性評価、(2)分光器の高応答・小型化、(3)ガソリン、水素でのデータベース構築、を実施する。
1451 忌避剤を用いた新規果実吸蛾類防除法の実用化開発 泉 洋平 岡山大学 村上 英夫 岡山大学 岡山県の主要な果樹である白桃栽培において、収穫直前の果実に被害を与え大きな経済的損失をもたらす果実吸蛾類(アカエグリバ等)の被害は年々深刻になってきている。現在効果的な防除技術は、黄色蛍光灯の灯火のみであるが、黄色蛍光灯は設置費および維持費が高価であることから、小規模農家では導入を躊躇している。黄色蛍光灯に変わる防除資材として、忌避物質sec-butyl-β-styryl ketoneを圃場に気散させる新しい防除方法の開発に取り組む。
1452 新規抗住血吸虫薬の開発研究 金 惠淑 岡山大学 東 英男 岡山大学 住血吸虫症は76カ国2億人が感染し、6億5千万人が感染の危機にさらされている寄生虫感染症である。現在、住血吸虫症の治療はプラジカンテル一剤に頼っており、耐性住血吸虫の出現が危惧されている。私たちが開発を目指す新規抗住血吸虫阻害剤である、環状過酸化化合物(N-89)は、中体の抑制効果、及び虫卵数の減少効果を併せ持つ。本研究では住血吸虫への阻害作用を精査し、より効果的な抗住血吸虫薬の臨床開発を目指す。
1453 高能率・高品位電解アシステッド放電スライシング法の開発 岡本 康寛 岡山大学 東 英男 岡山大学 シリコン等の材料に対してワイヤ放電技術を用いたマルチワイヤ放電スライシング法を適用した場合、ワイヤ電極の外周方向全てが切れ刃となることから加工溝形状が良好に保たれない場合があり、実用化に向けて課題となっていた。そこで、加工進行方向のみに加工現象を選択的に集中させるワイヤ材料と走行システム技術を開発し、放電加工に電解作用を付与することで高効率・高精度な加工が可能なシステムの開発を目指すものである。
1454 超硬材料の鏡面加工を簡単に実現する正面研削専用工具及び工具調整装置の開発 藤原 貴典 岡山大学 東 英男 岡山大学 高い硬度や耐熱強度を有する超硬合金は、典型的な加工の困難な材料である。
そこで、これを能率良く平面形状に加工するためには、カップ型の工具である砥石の円周面に多数分布するダイヤモンド砥粒切れ刃を、有効に活用する「正面研削方式」が好適である。
本課題の目的は、従来にない概念に基づく正面研削工具及び砥粒切れ刃の幾何学的形状精度調整装置を開発することで、難加工材料である超硬の鏡面加工を簡単に実現するための技術確立である。
1455 離型性および耐久性に優れる金型表面改質技術の開発 長谷川 裕之 岡山大学 東 英男 岡山大学 樹脂製機械部品の成形に用いられる鋳造金型・プレ金型には,1970年代より開発されているTiN等のセラミック膜が金型に被覆されてきたが,膜厚分布・耐摩耗性・離型性等の膜機能に問題が残されており,近年では,高面圧に耐えうる機能性が環境保全の観点から求められている.本課題では,複雑形状基板に対応する成膜法の構築と膜の機械的性質,表面特性の一種である離型性の最適化を図り,金型を対象とした表面改質技術の実用化を展開する.
1456 EBポリッシングによる生体材料コンポーネントの超高能率表面仕上げ法の開発 岡田 晃 岡山大学 東 英男 岡山大学 生体インプラント材として使用されるチタン合金、コバルトクロム合金等の表面仕上げを大面積電子ビーム照射法(EBポリッシング)によって短時間に精度よく行う革新的手法を確立することを目的とし、表面平滑化特性の解明、表面改質効果についての検討を行う。
1457 有機合成上の重要な反応を触媒する新規遷移金属固体触媒の創製 野上 潤造 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 有機工業化学では遷移金属触媒による「反応の促進」が有効であるが、ほとんどの触媒反応は均一系触媒を用いるもので、有機リン化合物などの配位子が不可欠である上に厳密な条件設定を必要とする。また、触媒の回収は困難で生成物から配位子などの除去操作が必須である。それに対し本研究では、これらの均一系触媒の欠点の多くを一挙に解決すべく、種々の新しい「固体触媒」を開発する。例えば、種々の遷移金属を含有するペロブスカイト型酸化物を創製し、有機合成上重要な反応のグリーン・サステナブル触媒を提供する。
1458 マイクロチャンネルを用いた新規のミキシング技術の開発と応用 平野 博之 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 水と有機溶媒、あるいは、気体と液体といった、相互に溶解しない2種類の流体を、1mm以下のスケールの流路において合流させると、各々の相のセグメントが交互に出現することがある。これは交互流とよばれ、マイクロスケール特有の流動様相である。本研究では、交互流を成す各セグメントを独自の技術にてアクティブな状態にさせ、さらにこれを用いて新規の高効率なミキシングを行うものである。
1459 遷移金属触媒を用いるフッ素化合物の合成法の開拓 村橋 俊一 岡山理科大学 安井 茂男 岡山理科大学 トリフルオロメチルを有する化合物は医薬品、農薬、マテリアルサイエンスで重要である。しかしその一般的合成法は未開拓である。その理由はトリフルオロメチル基を有するカルボアニオンが容易にフッ化水素を脱離して分解するからである。遷移金属錯体触媒を用いてC-H結合の活性化を行い、精製する活性中間体を捕獲することにより炭素ー炭素結合を形成させたい。これは困難な課題であるが、新しい原理がうまれ、フッ素化合物の工業化プロセスへの展開が期待できる。
1460 テトラスパニンCD81を用いた新規リウマチ診断薬の開発と応用 中西 徹 就実大学 大村 祐章 (財)岡山医学振興会 テトラスパニンは4回膜貫通細胞表面分子の総称で近年我々はこの中の一つであるCD81が関節リウマチ(RA)の発症と強く関連していることを発見した。このCD81分子の細胞、特に滑膜細胞等における増大が関節炎からRAへの移行に関係していると考えられることから、この分子の血液あるいは関節液における濃度を測定することで早期にRA発症の診断を行うことが可能と考えられる。これまでRAを早期に診断することは難しく、RAを発症してからの対症療法に終始している。高齢化社会の到来を踏まえて、RAの早期診断が可能となることは画期的なことで社会へのインパクトも大きい。
1461 新規手法を用いた生体ガス・皮膚滲出液成分分析による非侵襲的診断法の開発 齋藤 啓太 就実大学 梶谷 浩一 岡山大学 高齢化社会の到来に伴い、高齢者の加齢臭、歯周病などによる口臭は、疾病だけでなくストレスや生活習慣などに起因する臭いとしても注目されている。また、生体ガスや皮膚滲出液中の生体成分が、様々な疾病の診断マーカーとして注目されている。本研究は、従来の診断検査では処理が面倒な血液や尿を試料として行われていたことに着目し、生体ガスや皮膚滲出液中の成分を簡便かつ迅速に採取、固相マイクロ抽出 (SPME) 法により分析する方法を考案開発し、新しい健康診断や疾患診断に繋がる非侵襲的診断法の確立を目的としている。
1462 抗インフルエンザ薬タミフルの新規合成法の開発 萬代 忠勝 倉敷芸術科学大学 安井 茂男 岡山理科大学 最近の新型インフルエンザの大流行に直面して、抗インフルエンザ薬タミフルの需要は極めて高い状況となっている。しかし、入手が容易ではないシキミ酸に原料を依存している現在の生産法では、緊急且つ急増する需要に対応できない状況にある。我々は、砂糖から潤沢に得られる単糖であるマンニトールを原料としたタミフルの新規合成法の開発に成功した。今後、各工程の改良を行ないつつ、より安全な反応条件を確立する予定である。
1463 オーダーメイド医療のためのマイクロ調合システムの開発 谷口 浩成 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 オーダーメイド医療は、21世紀の新しい医療として注目されている。本研究は、オンデマンドな薬剤調合が可能なマイクロ調合システムの開発を目指して研究を進めている。本システムはマイクロリアクタ技術を応用しており、複数台の流体制御デバイスを搭載し、薬品を調合して精製するまで一貫して実施することを目的とする。本年度は、各流体制御デバイスの高性能化を目指すとともに,システムの最適設計および制御手法を検討する。
1464 顕微作業支援装置の開発 野村 健作 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 本研究課題は、顕微鏡下の微細作業を支援する装置をゴムと電磁石を用いた駆動機構で構成する。基盤要素となる精密アクチュエータは、柔軟性や除振効果が高く、現在多用されているピエゾにはない特徴を発揮する。これらの特徴を生かした精密ステージや精密ピンセットによって精密機器の分野で新たな市場開拓が期待できる。とくに精密ステージは、顕微鏡操作者のニーズを考慮して薄型化するなど、様々な工夫を施すことにより、実用化の可能性は高い。
1465 大型風車の落雷故障診断システムの開発 鳥家 秀昭 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 近年,大型風車(風力発電機)で落雷による風車ブレードの不具合の発生事例が報告されている。風車の点検は数日間、風車の運転を停止して目視検査で行う。しかし、風車ブレードの取替作業にはこれより長期間の停止が必要である。そこで、本応募では、大型風車を使用して落雷時に発生する故障の診断システムの開発を目的として、試験研究を行う。
1466 性能評価機能を有するPID制御システムの開発 八木 秀幸 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 プロセス産業界では、高品質維持と運用コスト低減などの要求を満たすプラント運用が求められている。本研究では、非線形性を有するプラントシステムを対象とし、過渡状態および定常状態の両方の観点から所望の制御性能が得られるコントローラを開発するために、知的情報処理を用いた制御性能評価に基づくPIDパラメータ調整法について提案を行い、定常状態における制御性能の検証を行う。
1467 遅れ破壊特性に優れた超高強度TRIP型マルテンサイト鋼の開発 塩田 祐久 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 近年、乗用車の車体軽量化と衝突安全性の向上が求められている。現在、590〜980MPa級の高強度鋼板が多くの乗用車に適用されているが、将来的には1280MPa級以上の超高強度鋼板が必要となってくる。一般的に、高強度鋼板は980MPaを超えるとプレス成形性、衝撃特性が著しく低下する。さらに、水素による脆化が問題となる。本研究では、母相をマルテンサイトとしたTRIP型マルテンサイト鋼(TM鋼)の遅れ破壊特性を調査して、優れた水素脆化特性を有する超高強度鋼板を開発する。
1468 軽量で低価格を実現する4節リンク機構を用いた歩行補助機の開発 井上 浩行 津山工業高等専門学校 梶谷 浩一 岡山大学 低価格の歩行補助機を実現するためには、アクチュエータの数を少なくして制御システムをシンプルにする必要がある。本研究では、一つのアクチュエータで股関節・膝関節・足関節の筋力補助を行うため、4節リンク機構を用いた歩行補助機を開発する。リンク機構を用いることで、各関節にアクチュエータを配置する方法に比べ、アクチュエータを1/3に削減することができる。また、使用者の脚の長さや歩幅に基づいてリンク長を決定する手法を確立する。

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 広島:50件  (JSTイノベーションプラザ広島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1469 ジペプチドの医薬品や保健機能食品への開発 山田 康枝 近畿大学 隅田 誠 近畿大学 ジペプチドを中枢機能を改善する医薬品や保健機能食品へ利用可能にするために、脳内に存在するグルタミン酸受容体やGABA受容体への効果とヒト神経細胞機能への効果を検討する。天然に存在するジペプチドにはまだ生理機能が不明のものが多い。その中から新たに神経機能に効果のあるものを見つけ出すことで、副作用のない穏やかな効果をもつ医薬品あるいは保健機能性食品を生み出すことが可能である。
1470 ディジタル機器の精度改善を目指した振動吸収ボードの開発 西村 公伸 近畿大学 隅田 誠 近畿大学 音響機器用インシュレータによる雑音低減・音質向上技術を、パソコンなどディジタル・音響機器における電気信号での雑音低減技術へ応用することを目的とし、使用が容易なボード状で設計・実用化を目指す。実施する内容としては、①高分子材料を用いた円錐型スパイクの振動伝達特性の実験的解析、②振動吸収用に封入している物質の物性解析を行い、ボード状にした場合の使用目的に応じた材質や振動吸収材の選定方法を明らかにする。
1471 局所耕うん栽培に適用するチェーンポット苗移植機の開発 樹野 淳也 近畿大学 隅田 誠 近畿大学 自然エネルギーで電源供給されるロボットが最小耕うんによる栽培を行う新しい農作業の形態を検討している。これまでに、局所耕うん栽培法を提案し、栽培試験によりその有効性を確認したことをふまえ、車両型ロボットとセル成型苗用の移植機の製作を行い、ハウス内での全自動植付作業を実現した。本研究は、ロボットシステムの汎用性を高めるために、チェーンポット苗を移植可能な作業機の開発に取り組むものである。
1472 α-fetoprotein の腫瘍抑制機能の検証 矢間 太 県立広島大学 佐伯 達志 県立広島大学 α-fetoprotein(以下、AFP)は胎児肝臓で産生され、生後健康な生体では産生されない。しかし、肝がんになるとAFPが産生され血中に放出されるので、現在AFPは肝がん腫瘍マーカーとして臨床応用されている。本課題代表研究者はこれまでの研究により、AFPが細胞分裂停止に関連する機能を有することを示唆するデータを得ている。本課題では定説とは全く異なった、AFPの腫瘍に対する細胞分裂抑制機能の検証を目的とする。
1473 微生物による廃液中重金属イオンのナノ半導体結晶への変換回収 阪口 利文 県立広島大学 佐伯 達志 県立広島大学 本研究では,微生物の酸化還元反応を利用して、カドミウムや重金属類、レアメタル類をセレン、テルルなど酸素族金属様元素との化合物ナノ結晶粒子に変換・回収すること目的として、安定にナノ粒子を生成できる微生物株のスクリーニング、探索、属種同定、並びに生成ナノ粒子の観察・解析を行い、生化学、結晶学レベルから微生物による含セレン、テルルナノ結晶化合物の合成機構の解明を行い、材料合成技術としてのバイオプロセスによるセレンナノ結晶の合成法を開発する。
1474 スクッテルダイト型熱起電能材料の育成とフェルミエネルギー近傍の電子状態の解析 植田 義文 呉工業高等専門学校 土井 章慈 呉工業高等専門学校 物質の熱起電能を利用する熱電発電は、環境に対する負荷が少なく自然エネルギー利用の有効な方法の一つである。本研究では、大きな熱起電能の発現が期待されるスクッテルダイト型結晶構造を有する試料の育成と、光電子分光法によりフェルミエネルギー近傍の電子状態を測定し、量子力学的手法により熱起電能に寄与する電子状態を解明していく。研究成果は、家電機器や宇宙航空分野への組込み型熱発電デバイス等への応用が期待される。
1475 かき蓄養による風味改善技術の開発 工藤 孝也 広島県立総合技術研究所 岡崎 尚 広島県立総合技術研究所 一般的に、フライ等の加工用のかきは風味の弱いもの、殻付きおよび生食用かきは、風味の強いものが好まれる。また機能性を謳ったものでは、タウリンやグリコーゲン含量の高いもののニーズが高い。このようなニーズに応えるため、かきの風味を改善する技術を開発する。
1476 溶射法による超微粒メタルボンドダイヤモンド砥石の開発 竹保 義博 広島県立総合技術研究所 古川 昇 広島県立総合技術研究所 高硬度材の精密研削加工に用いられるメタルボンドダイヤモンド砥石は、金属粉末とダイヤモンド砥粒の焼結により製造するため、大型砥石の製造に課題がある。本提案者らは、広い面積に短時間で金属皮膜を形成可能な溶射法を利用した製造方法により、平均砥粒径が15-35μm程度の砥石製作に実用化のめどをつけた。本研究では、この手法により平均砥粒径が1μm以下までの超微粒メタルダイヤモンド砥石の製造を試みる。
1477 施設内栽培空間の最小化に伴う植物の生態反応の解明による超省エネ化 川口 岳芳 広島県立総合技術研究所 三善 正道 広島県立総合技術研究所 わが国の加温施設全体の90%(4.5万ha)を占めるパイプハウスにおいて、低コストで簡易に設置可能で、ハウス内部のビニルシートを上下移動させることで施設内容積を自由に変化させることができる「二軸駆動型施設容積可変システム」の開発を目指す。本研究では、施設内栽培空間の最小化による温度分布と温度変化の解析および温度変化に伴う栽培植物の生態反応の解明する。
1478 無機ガラスに負けない耐傷付性を有する高機能樹脂ガラスコーティング技術の開発 小島 洋治 広島県立総合技術研究所 平田 敏明 広島県立総合技術研究所 研究代表者らは、樹脂表面にプラズマCVDの手法によりコーティングを行うことで、無機ガラス以上という耐傷付性能を有する透明樹脂作製の技術シーズを確立した。しかし、実用化に当たって作成コストが課題となっている。そこで、これまでの知見をもとに、硬化性樹脂により作製していた中間層を含め工程全般にプラズマプロセスを採用し、薄膜の物性を制御しながら作製時間を短縮したプロセスを開発することで、耐傷付性を有する樹脂ガラスを高効率で作製する手法の確立を目指す。
1479 鋼のスパッタエッチングによる光吸収特性に優れた微細突起物の開発 中佐 啓治郎 広島国際学院大学 山嵜 勝弘 広島国際学院大学 工具鋼をアルゴンイオンによりスパッタエッチングすると、表面に直径が1μm以下の微細な突起物が形成され、可視光線を吸収する。この突起物を金型とし、その反転材を再度型として用いると、突起を有する透明な高分子膜が製造でき、テレビ画面などの反射防止膜として利用できる。本研究では、鋼の合金成分・熱処理を変えて、突起物の種類、高さ/直径比を変え、硬さ・じん性を改良し、光反射防止膜製造に適した型を開発する。
1480 等温遺伝子増幅技術LAMP法を用いたツボカビ菌の迅速判定法の開発 長嶺 憲太郎 広島国際大学 山下 民治 (財)くれ産業振興センター カエルツボカビ症は、ツボカビ菌の感染によって起こる病気である。本研究では、両生類のなかで特に研究材料としても使われているアフリカツメガエルに寄生しているツボカビ菌のLAMP法を用いた検出方法の確立を目指す。本カエルは感染しても発病しないことが知られており、研究材料に適している。本法が確立できれば、他の両生類への応用も可能である。今回実用化を図るため、スワブからのDNA抽出と特異的増幅のためのLAMP用プライマー設計に焦点を絞って検討する。
1481 大気中観測電子顕微鏡における高解像画像化の研究 上月 具挙 広島国際大学 山崎 均 (財)くれ産業振興センター 完全な大気圧下で観測できる電子顕微鏡を開発することが、本研究の最終目標である。我々は、試料(大気圧)と電子線源(真空)を分離するための電子透過膜として、軽元素で生体適合性の高いDLC(diamond-like carbon)膜を適用した。しかし、DLC膜を透過した電子の広がりが大きく、観察試料を画像化するまでには至っていない。本課題は画像化に効果的なDLC 膜の作製、電子線の抽出、及び透過した電子による画像評価を行うものである。
1482 低消費電力で超高速・長距離伝送が可能な光OFDMシステムの開発 安 昌俊 広島市立大学 山田 洋 広島市立大学 大容量映像信号など通信容量の急増に対応するために、通信速度を現在広く使われている10Gbpsから100Gbpsに高速化する研究開発と長距離伝送の実現を目指して様々な研究・開発が行われている。本研究は、超高速・長距離伝送を実現する事を目的とし、光OFDMの実用性の向上とさらなる高性能化を目指した研究開発である。
1483 高温超伝導バルク磁石に適したパルス磁場による着磁技術の開発 井田 徹哉 広島商船高等専門学校 長谷川 尚道 広島商船高等専門学校 高温超伝導バルク材料をモータなど電磁機器へ組み込み使用するためにパルス着磁を行うと、パルスの立ち上がりにおける急激な侵入磁束の増加が捕捉磁場特性の劣化を引き起こす。本研究では高温超伝導体の物性に適したパルス磁場をパルス波形の制御によって得て、バルク材料へ短時間で効率よく強磁場を着磁するパルス着磁技術を開発する。電力制御機能を有する着磁装置によって整形したパルス磁場によって捕捉磁場特性を大きく改善することを目標とする。
1484 動揺データに基づく航行船舶の復原性判定システムの開発 寺田 大介 広島商船高等専門学校 長谷川 尚道 広島商船高等専門学校 航行船舶の転覆は重心上メタセンタ高さ(GM)が負になることによって生じる。これを防止するためには、船舶の動揺を計測し、そのデータの時系列解析を実施することによってGMを推定し、GMが変動しない針路・速力での操船を航海士が実施すれば良い。そのためには、研究代表者が開発した時系列解析による船舶の動揺パラメータの直接推定法を応用すれば良い。本課題では、実船実験などの実施により、動揺データに基づく復原性判定システムの開発の目途をつける。
1485 完熟ピオーネ収穫時期判定振動装置の製作 櫻井 直樹 広島大学 とちむら ひろし (財)ひろしま産業振興機構 ピオーネはその大きさ、香り、味、糖度にすぐれ、高級ブドウとして広く消費者に好まれている。しかし流通の事情から、本来熟度に達する前に収穫され販売されているのが現状である。本課題では、申請者が新たに開発する小型熟度測定装置によりブドウを破壊することなくその熟度を経時的にモニターし、最も味覚に優れた完熟ピオーネを収穫する時期を非破壊判定するシステムを開発する。
1486 無人ヘリへのレーザースキャン装置搭載による森林の計測技術開発 奥田 敏統 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 GPS搭載型の自立飛行無人へりにレーザースキャン装置を搭載し、森林の林冠構造、現存量、樹冠(樹木の枝葉が覆っている部分)分布、葉群量(光合成を行っている部分)の定量化、林冠(森林の最上層)の凹凸構造、森林の内部構造などを正確かつ迅速に測定する技術を開発することを目標とする。その上で森林のCO2吸収量や森林内の生物多様性を広域に評価する技術を確立する。
1487 有用脂質生産のための高性能宿主酵母創製技術の開発 船戸 耕一 広島大学 伊藤 勇喜 広島大学 酵母を用いた有用タンパク質生産の技術は既に実用化されており、医療や健康食品産業など幅広い分野で利用されている。一方、脂質生産技術に関しては、実用化に向けた成果が得られつつあるが、まだその多くは研究開発の段階にある。我々は、遺伝子組換え技術により出芽酵母を用いてヒト型セラミドを産生するシステムの開発に成功している。本課題では、ヒト型セラミドの生産効率の向上と他のヒト型スフィンゴ脂質の生産にも利用可能な汎用性の高い宿主酵母を創製することを目指す。
1488 非晶質遷移金属リン酸塩プロトン伝導体の開発 福岡 宏 広島大学 三原 博道 広島大学 これまで500℃以上の高温や、100℃以下の低温で高いプロトン伝導度を有する材料が発見されているが、最もエネルギー効率が高く、想定される使用環境に近い中温度領域(100℃〜350℃)で動作可能な伝導体の開発が望まれている。本研究では、この中温度領域で安定に作動する新規プロトン伝導体の研究・開発を行うことをめざしている。従来の研究では結晶性化合物が主体であったが、本研究では完全な非晶質、あるいはその大部分が非晶質構造をもつ安定な遷移金属リン酸塩を対象とし、安価で高性能なプロトン伝導体の開発を目的とする。
1489 マイクロポンプ集積化バイオトランジスタのモノリシック製造技術に関する研究 坂本 憲児 広島大学 三原 博道 広島大学 バイオトランジスタは遺伝子解析ツールとして大変有益であるが、試薬や洗浄液を流すためのポンプを外部から接続する必要があり、装置全体の小型化、高速化を阻む課題となっている。本研究ではマイクロポンプとバイオトランジスタを一体化したマイクロポンプ集積化バイオトランジスタを提案し、電気浸透流を用いたポンプ構造の研究とCMOSプロセスと親和性の高いモノシリック製造技術に関する研究を行う。
1490 ハイブリッド型ポリマ・ゾルゲルガラス光導波路スイッチの開発 榎波 康文 広島大学 三原 博道 広島大学 研究代表者の発明によるハイブリッド型電気光学(EO)ポリマ・ゾルゲルガラス光導波路を用い、高速動画表示可能な携帯電話やコンピュータを超高速及び超低消費電力で駆動するための内部光回路のキーデバイス光スイッチ(電気信号を光信号へ変換)チップの実用化に向けて、さらなる低電圧駆動、小型化に取り組む。
1491 着床促進因子を添加したブタ凍結精液用完全合成融解液の開発 島田 昌之 広島大学 三原 博道 広島大学 養豚業において、母豚の産子数向上や空胎期間の縮小は生産性向上に重要である。このため、凍結精液による人工授精の導入が要望されているが、融解後の精子機能性低下による低受胎率が課題となっている。我々は、精漿が凍結精液の融解時に生じる受精障害の発生を抑制し、人工授精後の胚の着床を促進することを解明した。しかし、精漿成分は個体や季節による影響が大きく、安定的に人工授精に用いることができないだけでなく、病原体混入の危険性もある。そこで本研究では、精子の受精能および胚の着床促進能を保持した生体成分非混入な完全合成融解液を開発する。
1492 制御入力飽和に強い高速サーボ制御装置の開発 佐伯 正美 広島大学 三原 博道 広島大学 モーターの能力を最大限活用するには入力電圧の飽和領域までの有効利用が必須であるが、サーボ制御器の積分特性と飽和特性の相互作用により制御系が不安定化するワインドアップ現象が障害となり、性能が十分に引き出せない。これに対して従来のアンチワンドアップ補償器は安定化に有効であるが目標値追従はあまり良くない。本研究では、新しい補償方式を提示し、確立のためにシミュレーションおよびモーター制御実験により特性評価し有用性を検討する。
1493 アミノアシル基を有したプロドラッグ型抗生物質の開発 的場 康幸 広島大学 山田 一徳 広島大学 申請者は、ある抗生物質の生合成を研究する過程において、最終前駆体として産生されるアミノ酸と結合した抗生物質(アミノアシル化抗生物質)は、それ自身抗菌活性をほとんど示さないが、アミノペプチダーゼで脱アミノアシル化されると、抗菌活性を持つ化合物に変換されること発見した。この現象にヒントを得て、アミノアシル化した抗生物質を創出するとともに、アミノペプチダーゼを産生する病原細菌をターゲットとして、その病原細菌に対し選択毒性の高いプロドラッグの開発を目指す。
1494 イネ発現系を利用した新規ヒト型化抗う蝕予防抗体の開発と応用 高橋 一郎 広島大学 山田 一徳 広島大学 う蝕は太古より現代に至るまで人類に蔓延している細菌感染症のひとつである。申請者らはう蝕の病原細菌Streptococcus mutansの歯面への初期感染に関与するエフェクター分子PAcを世界に先駆けて発見し、あわせてその遺伝子構造、タンパク質一次構造、さらに唾液タンパク質被覆歯面への感染機構を解明した。またう蝕のエフェクター分子PAcはう蝕予防用粘膜ワクチンとしても有用であることを明らかにした。本研究ではエフェクター分子PAcに対するマウスモノクローナル抗体Fab領域遺伝子をイネにおける異種遺伝子発現系に応用し、安全で機能性の高い抗う蝕予防抗体の開発をめざす。
1495 小胞体ストレスを標的とした新規抗肥満薬の開発 細井 徹 広島大学 山田 一徳 広島大学 肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症といった生活習慣病の主要な危険因子であり、肥満の発症機構の解明と有力な治療法の開発は重要な研究課題である。今回、肥満発症の新機構として、私達の見出した小胞体ストレスの関与(Molecular Pharmacology 2008, 74:1610-9.)に着目し、新規抗肥満薬開発の可能性を模索する。
1496 蛋白質リン酸化反応を超高感度に検出するためのリン酸基認識試薬の開発と応用 木下 英司 広島大学 山田 一徳 広島大学 近年、蛋白質リン酸化反応の検出技術は、癌などの分子標的薬のスクリーニング法として注目を集めている。よって、生体内のごく僅かな蛋白質リン酸化反応を網羅的にプロファイルできる、より特異的で、かつ、超高感度な分析技法の開発が急務である。申請者はリン酸基を特異的に捕捉する亜鉛錯体(フォスタグ)に1分子のビオチンを導入したリン酸基認識素子を既に開発している。本研究では、これを改変させることで、既存の機器や発光試薬を改良することなく検出感度を飛躍的に高めることを目指し、以下の目標を設定する。①複数分子のビオチンを導入した誘導体を合成する。そして、Aそれをペプチドアレイチップやティッシュアレイチップ等のラボオンチップ技術に応用することで、簡便・高効率、かつ、超高感度に蛋白質リン酸化反応を検出するための新しい分析技法を創出する。
1497 追加ガス型伸長流動ノズルを用いたPGSS法による高分子微粒子製造法の開発 木原 伸一 広島大学 松井 亨景 広島大学 高分子微粒子は、有機溶媒を使った重合プロセスや機械的破砕研磨などから製造されているが、有機溶媒除去のコスト、熱劣化しやすい成分を扱う場合の他、地球環境の点でも問題が多い。一方、高分子溶融体にCO2を飽和溶解し急減圧により微粒子化するPGSS法はこれら問題点を克服する方法であるが、粒子径やモルフォロジーを制御する点で問題がある。本研究課題では、従来のPGSS法に追加ガスを導入し、粒子径とモルフォロジーを制御する新規プロセスを開発する。
1498 多孔質積層構造を有するプレス成形用新規軽量板材の開発と最適設計 日野 隆太郎 広島大学 松井 亨景 広島大学 本研究では、板材プレス成形における製品の軽量化と成形性の改善を低コストで両立・実現する新たな板材として、多孔質積層構造を有する板材の開発とその最適設計を目標とする。多孔質積層構造とはコア層とそれを挟むスキン層から成る3層構造を想定しており、コア層に小さな円孔を適切に配列することで製品機能を損なわない範囲で軽量化とプレス成形性の制御(成形性の維持あるいは向上)を達成しようとするものである。
1499 高剛性多孔質絞り静圧空気ベアリングの開発 山田 啓司 広島大学 松井 亨景 広島大学 多孔質絞り静圧空気軸受は,粉体を焼結して作製した軸受面全体に給気口が均一に分布した構造となっており,高剛性という特長を有している.静圧軸受の剛性は軸受面のすきまhが変動した際の軸受面の圧力Poの変動量によって表され,設計仕様通りの軸受性能を実現するためには,絞りの通気抵抗Rcを調整しなければならない.
応募研究課題では,上記の絞り調整のため多孔質体の通気性を制御する新方法を開発し,優れた性能の多孔質絞り静圧空気軸受を製作する.
本研究課題における具体的な目標は,レーザ表面処理によって絞り効果の調整を行うとともに,研削加工によって焼結多孔質体の形状精度を高めて軸受性能を制御することである.
1500 安心・安全な社会構築のためのTRIP鋼を利用した高性能衝撃吸収部材の開発 岩本 剛 広島大学 松井 亨景 広島大学 輸送機器の安全性向上の観点から、衝突時、ある部材にのみに衝撃を吸収させるという衝撃吸収部材が主にドア部等に用いられている。一般に衝撃エネルギー吸収(IEA)特性向上と軽量化を両立させることは大変難しく、設計する部材の構造が複雑となるため、加工し難く、大量生産が実現しても高価になる。本試験では、部材の構造を簡単化し、軽量化を図る代わりに、高IEA特性を持つTRIP鋼を用いて、低加工コストで構造・材料の両者で高IEA特性を保証可能な軽量部材を開発する。
1501 微生物燃料電池による廃水からの水素エネルギー生成技術 大橋 晶良 広島大学 鈴藤 正史 広島大学 未利用資源の廃水等からのエネルギー回収には、メタン発酵処理によるメタンエネルギーの生成、あるいはメタンではなく直接に電気エネルギーとして回収する廃水処理・微生物燃料電池が注目を浴びている。しかし本研究では、エネルギーの回収効率、利用性の観点から、液状の有機性廃棄物を適切に処理すると共に、微生物燃料電池を改良した新規の水素生成型微生物燃料電池による水素としてエネルギー回収する技術を開発する。
1502 低粘度イオン性液体の開発と非Ru系色素を用いた色素増感太陽電池への応用 宮碕 栄吾 広島大学 榧木 高男 広島大学 イオン構造を持つにも関わらず液体状態をとるイオン性液体は新しい有機材料として注目されている。しかし、イオン性液体の多くは粘度が高く、反応溶媒や電池の電解液等への応用は困難である。助成申請者は低粘度のイオン性液体が開発できれば様々な分野への応用が可能になると考え、本研究では低粘度イオン性液体の合成ならびに精製法の開発を行う。また、合成したイオン性液体を非Ru系色素増感太陽電池における電解液に応用する。
1503 画期的植物生産性向上技術の開発 高橋 美佐 広島大学 榧木 高男 広島大学 申請者は大気中の窒素酸化物(NOx)が植物のバイオマス生産を触媒的に増加させることを世界に先駆けて発見し、この効果をバイタリゼーションと命名した。バイタリゼーションは各種の植物に認められる。主要作物についてその原因遺伝子をとらえて植物育種に利用すれば、省資源で環境負荷もなく、生産性を高めうる夢の技術が実現できる。本研究は、シロイヌナズナを用いて、バイタリゼーションの原因遺伝子を特定して、画期的植物生産性向上技術の開発をめざす。
1504 モアレ縞を用いた力可視化シールの開発 高木 健 広島大学 榧木 高男 広島大学 本研究課題では力情報を取得したいところに貼るだけで,力の情報を数字にて提示できるシールを開発する.一般に力の計測には,力が加わることによって生じる微小な変位を計測しており,提案するシールはモアレ縞を用い視覚的に変位を拡大することにより力情報を提示するものである.事前研究にて開発した力可視化メカニズムを簡素化しシールとし実用化することを目的とする.
1505 有機−無機複合体分子カプセルへの水素原子の高効率包接法の開発と応用 駒口 健治 広島大学 榧木 高男 広島大学 ケイ酸の立方体型構造の各頂点に有機置換基を有する籠状シルセスキオキサン(POSS, R8(SiO1.5)8, R = H, Me, etc.)は、γ線照射されると籠状骨格内に原子状水素を包接する。この水素原子包接POSSは、水素原子の反応性を低く抑えながら、磁気的特性をそのまま保持した大変興味深い有機−無機複合体である。本研究では、水素原子包接POSSを効率良く製造できる簡便で新しい方法(電気放電法)を確立し、MRI分子イメージング用造影剤等への応用を検討する。
1506 アユの冷水病に対するファージ療法の確立 中井 敏博 広島大学 榧木 高男 広島大学 アユの内水面漁業および養殖業はFlavobacterium psychrophilumを原因とする「冷水病」により毎年甚大な被害を受け続けている。本研究では、アユの冷水病の防除対策として、原因細菌を速やかに殺菌するバクテリオファージ(=ファージ)を利用した「ファージ療法」を確立することを目的として、先行研究において残された課題、特に自然感染に対する有効性とファージの大量培養・保存方法に焦点をあてて行う。
1507 pH応答型ポリマーミセルを用いた低濃度内分泌撹乱化学物質の分離システム 迫原 修治 広島大学 榧木 高男 広島大学 環境中あるいは排水中の低濃度の内分泌撹乱化学物質の分離除去が大きな問題となっている。本研究では、単一ポリマーでミセルを形成し、しかもpHに応答してミセルの形成・崩壊が起こるポリマーに着目し、このミセルの疎水性ドメインを利用した低濃度内分泌化学物質の吸着分離システムの構築を目指す。具体的には、このポリマーを支持体にグラフトした分離材を作製し、pHスイングによるビスフェノールAの可逆的な取込み・放出システムの構築の可能性を明らかにする。
1508 多孔体と酸化チタン粒子の複合化による高活性光触媒の開発 犬丸 啓 広島大学 榧木 高男 広島大学 酸化チタン光触媒は、有害有機物を浄化する優れた機能を有しているものの、実用範囲を広げるためには更なる機能向上が求められている。酸化チタンと多孔性吸着材料を組み合わせると、機能が向上し応用範囲が大きく広がるが、複合化のよりよい方法が模索されている。本研究では、無機合成化学の立場から多孔体と酸化チタンを複合化する新しい方法を探索し、高活性複合光触媒を開発する。
1509 ポリリン酸蓄積微生物を使った省リン施肥技術の開発 廣田 隆一 広島大学 榧木 高男 広島大学 リンは食料およびバイオ燃料生産にとって必須の資源であり、天然のリン鉱石から作られる。しかし、現在リン鉱石は枯渇することが懸念されている。従って、我が国においてもリン資源の確保が重要であると同時に、消費量を抑えた省リン技術の開発が急務である。本研究では、微生物細胞内にリン酸のポリマー(ポリリン酸)を大量に蓄積させ、この菌体自体をリン肥料として利用し、その肥効を検討するとともに、効率的な省リン施肥技術が可能かどうか検討する。
1510 有機ELへの応用を目指した安定な高分子系発光材料の開発 大下 浄治 広島大学 榧木 高男 広島大学 現在の有機EL(電界発光)材料の開発研究での重要な課題は、①紫外〜青色の安定な高エネルギー発光、②溶液プロセスでの薄膜化、③長寿命化である。本研究では、これらの課題を解決するために、申請者らが独自に開発した新規な発光性色素であるリン置換ジチエノシロールを種々の方法で高分子化することで、溶液プロセスで簡単に薄膜化することが可能な高効率の発光材料を開発し、有機EL素子への応用を検討する。
1511 ナノチューブ状突起物の開発 加藤 昌彦 広島大学 榧木 高男 広島大学 キャパシタは次世代蓄電素子として注目されている、キャパシタ容量の大幅な向上には表面積の増加が有効であると考えられる。新たに発見した直径0.1μm程度、長さが数10μmのナノチューブ状突起を電極に形成させることにより、表面積が大幅に向上させて、キャパシタのコンダクタンスを大幅に改善することを試みる。
1512 コード化スリット光投影を用いた超高速3次元形状計測 石井 抱 広島大学 榧木 高男 広島大学 本試験では、一定方向の高速搬送対象に特化した実時間3次元形状計測を実現し、高速化・微細化が進む生産工程に対応した超高速3次元形状製品検査コア技術を確立する。具体的には、複数のコード化されたスリット光が投影された計測対象をフレームレート1000fpsで動作する高速ビジョンを用いて3次元形状に対応した空間コード画像を実時間取得する3次元形状計測システムの構築、およびその性能検証試験を行う。本試験では、これまでのオフライン動作検証の結果に基づき、アルゴリズムの実時間化に向けた改良を行う研究開発ステップとして、ソフトウェア処理に基づく1000fpsでの実時間3次元形状計測の実現を目的とする。
1513 光の三原色で発光するSiナノ結晶−ELへの展開− 齋藤 健一 広島大学 榧木 高男 広島大学 超臨界流体中で単結晶シリコンのパルスレーザーアブレーションを行い,可視発光するシリコンナノ結晶の創製に成功した。今までに行った,フォトルミネッセンス測定ならびに画像計測より,光の三原色(青・緑・赤)で発光するシリコンナノ結晶の生成が確認された。本研究では,励起源を光から電気に変え,エレクトロルミネッセンス(EL)測定を行う。そして三原色発光するシリコン発光デバイスの構築をはかる。
1514 元素戦略を考慮した耐摩耗・高強度特性をもつバインダー改良型超硬合金の開発 松木 一弘 広島大学 榧木 高男 広島大学 各種液中での軸受のメカニカルシールは過酷な腐食環境下での使用が余儀なくされるため、耐摩耗性と高強度特性を有したWC系超硬合金が要求される。目標を達成するには、摩耗下で高強度を保つバインダーを有し、母相のWCとバインダー相間で充分な焼結促進の結果、高い界面強度を示す事が要求される。一方、稀少金属元素の使用量制限も迫られている。破壊の起点の一つとなるWC粒同士の接触を避けるため、WC粒表面にNiを均一に無電解めっきする。バインダー相をNiへと変更することで、摩耗下で耐酸化特性や耐環境腐食特性向上につながる。Niの一部をユビキタス元素であるFeで代替することで、WC粉末に存在するCもFe中に固溶できるため、界面強度の向上が期待できる。本粉末に放電焼結法を適用して真密度焼結体を作製し、静的・動的機械強度や摩擦・摩耗特性を評価する。
1515 高機能金属結合タンパク質Vanabinによる重金属の効率的濃縮系の開発 道端 齊 広島大学 榧木 高男 広島大学 我々は、新規金属結合タンパク質Vanabinファミリー遺伝子群を元にした遺伝子組換え大腸菌による重金属濃縮系を発明し、保有している。本課題は、循環型社会の構築に欠かせないプロセスの一つである重金属汚染環境の修復や金属含有廃液の処理、海水からのレアメタルの高度濃縮の実用化に向けて、遺伝子改変および発現系の改良と金属還元系の組み込みによって、この重金属濃縮系のさらなる効率化に取り組むものである。
1516 白色LED用途の安価な酸窒化物蛍光体材料の開発 Iskandar Ferry 広島大学 榧木 高男 広島大学 白色発光LEDは一般照明機用途の蛍光灯や白熱電球等にとって代わることが期待されている。候補の材料として、SiAlON:Eu酸窒化物蛍光体が注目を浴びている。しかし、SiAlON:Eu蛍光体の合成には、高温、高圧といった条件が必要であり、さらに高価な希土類金属などを使用することより、合成された材料が高額となる。そこで本研究では、低コストプロセス、安価な原料で、希土類金属を添加しない安価な酸窒化物蛍光体を開発することを目的としている。
1517 多官能性有機ホウ素化合物の実用合成に向けた高効率プロセス開発 吉田 拡人 広島大学 榧木 高男 広島大学 有機ホウ素化合物は医薬・農薬・エレクトロニクス材料等の有用分子創製において中核的役割を果たす合成中間体である。本課題は、代表研究者が独自に開発した触媒反応を機軸とし、従来法では合成至難な一群の多官能性有機ホウ素化合物を自在合成することを目的としている。特に本研究では、大量合成・省資源にも対応した工業生産レベルの高効率プロセスとして完成することを目標とする。
1518 蛍光性水センサー色素の開発と漏水検出シーリング材料への応用 大山 陽介 広島大学 榧木 高男 広島大学 本課題は、有機溶剤や固体材料中に含まれる微量水分を光誘起電子移動特性(Photo-induced Electron Transfer: PET)を利用して検出できる新規なPET型蛍光性水センサー色素を用いた漏水検出シーリング材料の開発に取り組むものである。到達目標は、トンネルなどの構造物や下水道管の損傷劣化の感知・修復を可能とする本色素を高吸水性ポリマーに分散させた漏水検出シーリング材料の開発である。

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 山口:32件  (JSTイノベーションプラザ広島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1519 柔軟性をもつフォトレジスト用クレゾールノボラック樹脂の開発 山ア 博人 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 クレゾールノボラック樹脂は半導体集積回路の作成工程で使用され、ナノスケールに迫るレジストパターンを与えるフォトレジスト樹脂である。しかし、現在のフォトレジスト樹脂は膜質が脆く、柔軟性に欠ける為、フレキシブル基盤のポリイミドフイルム上に集積回路レベルの微細なリソグラフフィー描画は困難である。本試験研究は、ポリイミドフイルム上に2マイクロメートル未満の微細描画を実現するため、描画特性と柔軟性を併せもつクレゾールノボラック樹脂を開発することである。
1520 金属ガラスを用いた高減衰能を有するバネの開発 藤田 和孝 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 研究代表者らにより発見され、特許取得されている金属ガラスに特有なせん断応力下の顕著な擬弾性発現現象を利用して、 減衰器がなくても優れた振動吸収能を有するつるまきバネとねじりバネを実現しようとするものである。具体的には(1)負荷除荷1 サイクル中の吸収エネルギーが高い金属ガラスの探査、(2)この金属ガラスでつるまきバネとねじりバネが作製できる技術の開発、(3)それらの減衰特性を明らかにすることを目標とする。
1521 導電性と化学的耐久性を向上させたバナジン酸塩ガラスの開発 久冨木 志郎 宇部工業高等専門学校 大高 聰 山口大学 ガラスセラミックス系で世界最高の導電率を有する20BaO・70V2O5・10Fe2O3ガラスの導電性と化学的耐久性を向上させるべくLi+とPO43-をそれぞれ導入したバナジン酸塩ガラスを作成する。高い導電性と化学的耐久性を有するガラスの組成開発と熱処理条件の特定を行う。
1522 アサリ人工種苗生産における赤潮プランクトン種ラフィド藻ヘテロシグマ・アカシオ(Heterosigma akashiwo)を活用した餌料添加技術開発試験 多賀 茂 山口県水産研究センター 大橋 裕 山口県水産研究センター 現在、アサリ人工種苗生産において利用している珪藻類は、梅雨時期には日照不足や低塩分化で大量培養が難しく量的確保が困難な状況からアサリの成長が停滞し生残率の低下を招く原因となっていることから、この時期に天然水域で大増殖する赤潮プランクトンのラフィド藻ヘテロシグマ・アカシオ(Heterosigma akashiwo)を大量培養し餌料活用にかかる技術開発試験を行う。
1523 ユリウイルス病の被害を防止する弱毒ウイルスの研究 村本 和之 山口県農林総合技術センター 殿岡 裕樹 山口大学 山口県が育成した小輪系オリジナルユリを産地に普及するためには、健全な球根を安定的、低価格で生産者に供給することが必要であるが、ユリの球根増殖の過程においてウイルス感染が大きな障害となっている。本課題では、弱毒ウイルスを利用したウイルス防除技術を確立するため、ユリモットルウイルス(LMoV)の弱毒ウイルスの早期判別技術を開発し、その技術を利用して有効な弱毒ウイルスを選抜する。
1524 置換原子配列の規則化による高性能熱電クラスレートの開発 赤井 光治 山口大学 井本 良 山口大学 クラスレート半導体はガラス並みに低い熱伝導度を持ち、n型で高い熱電性能が実現している。しかし移動度が単結晶でも15cm2/Vs程度であり、移動度の向上が大きな課題である。本研究では添加した遷移金属元素が特定の副格子サイトを置換する特性を利用し、キャリア補償のため添加される置換元素の配列を規則化することにより移動度を向上させる。これにより、クラスレート系で最も高い特性が報告されている単結晶Ba8Ga16Ge30と同等の性能を持つ新規n型クラスレートの焼結体作製を目標とする。
1525 部分予混合噴霧燃焼法を用いた低エミッション化技術の開発 三上 真人 山口大学 井本 良 山口大学 ボイラーやガスタービンなどの石油を用いたバーナーにおいては,環境負荷の低減の観点から排気ガス中の窒素酸化物(NOx)・スモークの排出量の低減化が可能な燃焼技術が望まれている.本提案では,火炎内に導入される噴霧流の当量比と微粒化状態および空気温度などをコントロールすることで拡散燃焼と予混合燃焼の両要素を含む部分予混合噴霧燃焼領域における低エミッション化技術を多様な燃料に対して適用する技術の開発を目指す.
1526 再生医療のための生体外組織形成へ向けた新規細胞伸縮装置の開発と応用 岩楯 好昭 山口大学 井本 良 山口大学 再生医療の最先端の現場では、細胞を生体から取り出し生体外で細胞から組織を形成させた後、生体に戻す試みがなされ始めている。多くの生体組織は血流や筋肉の運動といった機械的な刺激の影響下で形成される。そのため、生体外で組織形成させる場合でも、細胞に適切な機械刺激を与え続ける技術が今後ますます重要になっていく。本課題では、形状記憶合金を動力源とした振動ノイズの無い細胞伸縮装置を「生体外での組織形成装置」として実用化への展開を図る。
1527 酸化カルシウム触媒による油脂からのバイオディーゼル燃料製造プロセスの開発 福永 公寿 山口大学 大高 聰 山口大学 高活性の酸化カルシウム(CaO)を調製して廃食油等の油脂のメタノリシス触媒として用い、生成メチルエステルからのCaの完全除去処理、そして、原料油脂又は生成メチルエステルからの遊離脂肪酸のメチルエステル化処理プロセスを組合わせたOne-Potの回分方式による、簡便でクリーンなバイオディーゼル燃料(BDF)製造法を開発し、実用化に目途をつける。
1528 動画像を用いた応力変位評価システムの開発 近久 博志 山口大学 大高 聰 山口大学 供試体の載荷試験や現場計測の時に撮影している動画像から、対象物の応力・ひずみ分布や力学特性の変化などを同定し、可視化するシステムを開発する。このシステムは、つぎのような技術からなっている。
① 動画像中の標点の自動認識技術
② 標点の移動量を算定する精密写真測量技術
③ 標点の移動量から対象物の物性変化等を同定する応力変形問題の逆解析システム
④ 同定結果を可視化する複合現実感(Mixed Reality)システム
1529 動脈硬化診断支援システムの実用化 内野 英治 山口大学 大高 聰 山口大学 心筋梗塞は冠動脈内部にできたプラークの破綻により引き起こされる。本課題では、冠動脈内部に超音波カテーテルを挿入し、血管壁から反射した超音波RF信号をソフトコンピューティングの技法を用い、血管内壁にできたプラークの組織性状(構造)を正確に3Dで描画し、医師が手術室のベッドサイドでプラークの組織性状を瞬時に把握できるシステムを開発する。 未だこの分野で、実用に耐えるこのような診断支援システムは存在しない。
1530 膵癌化学療法抵抗性を誘導増強する蛋白質の制御による治療法の確立 藏滿 保宏 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 ゲムシタビン(GEM)は唯一膵癌に有効な抗癌剤であるが抵抗性の膵癌が多いのが現状である。GEM抵抗性を規定する蛋白質をターゲットとし、これを阻害してGEM治療の増強効果を有する物質の探索を行うことを目的とする。(1)これまでにGEM抵抗性を規定する蛋白として同定したHSP27についてインヒビターとしての制御活性を有する物質やGEMの効果を増強する物質を探索する (2)またGEM感受性と抵抗性の膵癌株の細胞内蛋白を二次元電気泳動を行い、それぞれのスポットの発現に差異のある蛋白スポットを選定して質量分析により蛋白を同定する。
1531 精神疾患の病態に関与する脂質の同定と診断マーカーとしての有用性検討 大和田 祐二 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 我々はヒト精神疾患のモデルマウスとして、脳内のオメガ3系脂肪酸代謝に関わるFABPノックアウトマウスを世界に先駆けて報告した。これは、脳内の脂肪酸代謝異常が精神疾患の発症や病態につながるという、新しい概念を提示するものである。本研究では、FABP7ノックアウトマウスを用いて、ヒト精神疾患の診断や病態把握に有用な、脂肪酸および脂肪酸代謝物質の同定を試みる。
1532 タグ付抗体を利用した次世代抗体チップの開発と応用 古元 礼子 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 ある表面加工を施した基板に特殊なタグ付蛋白を安定的に結合させる技術を利用し、産業的に大きな波及効果が期待できる抗体チップの開発を行う。この技術の確立のため、本課題では組み換え免疫グロブリンG (IgG)にタグを導入し、合成したタグ付組み換えIgGが抗体としての蛋白構造と抗原認識能を保持するか検討を行う。
1533 肝硬変患者における超音波B-mode画像を用いたテクスチャ解析による肝線維化の定量、及びM-mode画像を用いた肝硬度診断 瀬川 誠 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 肝硬変患者における肝線維化診断は、肝硬変の進展度を評価する上で重要であり、超音波診断では、肝内部の不均一性の評価により行われるが、現状では定量化(数値化)されていない。超音波画像での肝実質の不均一性の定量化の手法を開発し、硬変肝と正常肝を鑑別する技術を確立する。また、大動脈の拍動による肝の動的変化を超音波m-modeで計測する手技により肝硬度を測定する技術を開発し、新しい肝硬変診断技術の開発を目指す。
1534 心筋細胞内カルシウムを制御する新たな心不全治療薬の開発 乾 誠 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 心臓の収縮・弛緩は心筋細胞内Ca2+により制御され、心筋小胞体の膜蛋白質ホスホランバンは、細胞内Ca2+調節で主要な役割を果たす。本研究では、ホスホランバンに結合する一本鎖オリゴヌクレオチド(アプタマー)を利用して、心筋小胞体Ca2+輸送を促進することにより弛緩の促進と強心作用をもたらす新たな心不全治療薬を開発することを目指す。そのためアプタマーのヌクレオチド配列の最適化、血中での安定化、細胞内導入法を検討し、心不全モデル動物での効果を確認する。
1535 コーヒー粕から医薬・化成品原料となる有用物質製造技術の開発 足立 収生 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 コーヒー粕は我が国でも大量に廃棄されている用途のない食品産業廃棄物で、実業的な付加価値を伴う処理技術開発が求められている。微生物触媒として「コーヒー粕麹」を開発して、コーヒー粕中に特徴的に高濃度に含まれる未利用有用物質を取り出す技術開発を行う。タミフル増産の隘路となっているシキミ酸の高速・高効率製造法にも繋がる、医薬・化成品原料として多用途なシキミ酸代謝経路中間体の製造を標的に研究を展開する。
1536 次世代型高温発酵技術を用いた廃棄食品からのエタノール生産 山田 守 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 申請者らがこれまでに確立した高温発酵技術を用いて、食品廃棄物からバイオエタノールへの経済的変換系を開発することを目的とする。食品廃棄物中には50%程度のデンプンが含まれるが、当面はこのデンプン資源を新規な高温発酵系によってバイオエタノールへ変換する。本技術が確立されれば、これまではコスト高が常に問題となっていたバイオエタノール燃料を安価に提供できるだけでなく、食品廃棄物削減にも貢献できると期待される。
1537 新規女性ホルモン受容体をモデルにした未知1塩基変異の高速検出方法の開発 水上 洋一 山口大学 殿岡 裕樹 山口大学 ガンなどの生活習慣病は予想以上に遺伝子の変異が関与している。しかし、未知の変異検出を行う従来のシークエンス法は膨大な費用と時間がかかる。そこで、卵巣ガンや乳ガンに関与しているGPR30をモデルにして高速で安価な未知変異解析法を開発する。
1538 廃熱利用のための水吸着式ヒートポンプ用吸着材の開発 中山 則昭 山口大学 浜本 俊一 山口大学 100℃以下で、従来のゼオライトやシリカゲルより高い能力を示す、廃熱利用水吸着式ヒートポンプ用吸着材の開発を目的とする。基礎研究により、細孔構造を有するチタノシリケート微粒子が、100℃以下で高い水和熱を示し、良好な吸水 脱水サイクル特性を示すことを明らかにした。この新規微粒子吸着材について、イオン交換反応および粒子サイズ制御による材料改質を試み、特性向上を図る。500kJ/kg以上の蓄熱能力を目標とする。
1539 鉄技研方式に比較し主スイッチ数を半減した電鉄用パワーラインコンディショナ 田中 俊彦 山口大学 浜本 俊一 山口大学 新幹線に代表される交流電気鉄道では、列車がダイヤに従って頻繁に加減速を繰り返すため、“電力品質”が悪化した状態となっている。この問題を解決するために、鉄道技術研究所の研究グループは主スイッチを8個用いたパワーラインコンディショナを提案しているが、主スイッチ数の低減は低価格化と信頼性向上に不可欠である。本課題では、鉄道技術研究所方式に対して主スイッチ数を半減したパワーラインコンディショナを提案し、その有用性をシミュレーションと縮小実験装置により明らかにする。
1540 産業応用を目的とした高出力密度高周波誘導加熱用電源の開発 平木 英治 山口大学 浜本 俊一 山口大学 高出力でクリーンかつ安全性の高い高周波誘導加熱を従来比で圧倒的な小型システムで実現すべく、新規方式の三相入力AC-高周波ACダイレクトコンバータを提案する。試作実験装置による実証的評価により出力制御特性、電力変換効率といった基本動作特性を明らかにすることで、従来技術と比べて提案方式が産業用高周波誘導加熱用電源装置としてはるかに効果的であることを示す。
1541 2-ベンズアゼピンを基本骨格とした新しい創傷治癒促進薬シーズの開発と応用 上村 明男 山口大学 浜本 俊一 山口大学 本課題は、2−ベンゾアゼピン骨格を有する新規創傷治癒促進薬の実用化に向けて、合成的な問題の高効率化と生理活性のさらなる向上に取組み、この化合物を新薬としての実用化に向けた研究をおこなうものである。2−ベンズアゼピンを有する骨格は、細胞増殖ではなく細胞遊走のみを促進する新しいメカニズムによる創傷治癒促進効果があることが見出され、画期的な新薬の可能性が期待できることがわかっている。本化合物の実用化(=製薬企業にバトンタッチ)に向けて、以下の目標に取組む。(1)高純度な2−ベンゾアゼピン骨格の効率的合成法の確立、(2)さらなる活性を有する2−ベンゾアゼピン誘導体の探索と生理活性作用の解明
1542 気体透過性ダイヤモンドライクカーボンを用いた高感度ガスセンサーの開発 本多 謙介 山口大学 浜本 俊一 山口大学 窒素ドープダイヤモンドライクカーボン(DLC)は,酸素・水素発生電位が高いため,水素・酸素発生に干渉されずに電気化学反応を起こすことの可能な電極材料である.この窒素ドープDLCを気体透過膜表面に成膜した気体透過性DLC電極を用いることにより,時間荷重平均値被曝限度(TLV-TWA)値である100 ppbのジボラン(B2H6)を検出可能な電気化学ガスセンサーが実現可能である.本研究開発では,DLC組成と形状の最適化により,気体透過性DLC電極の有毒ガスに対する反応性制御手法を確立し,半導体製造プロセスで用いるアルシン(AsH3)やホスフィン(PH3)等有毒ガスを微量検出可能な電気化学ガスセンサーの実現を目指す.
1543 黒毛和牛繁殖のためのオス牛での性機能減退の新規診断・治療法の開発 角川 博哉 山口大学 浜本 俊一 山口大学 数億円を要する黒毛和種種雄牛の開発費は、様々なストレスのため性機能が早期減退し、回収前に十分量の精液を採取できない危険性がある。そのため子牛の取引評価額を決定する精液は高価になりがちで、農家における生産コストを増加させている。一方、申請者は、ある方法により性機能が活発な牛のみで特異な反応が起きる事を初めて見出した。そこで本課題では、この知見を起点として雄牛の性機能減退の診断法や治療法を開発する。
1544 カルバゾール骨格を有する新規高分子材料の開発と応用 鬼村 謙二郎 山口大学 林 里織 山口大学 カルバゾール基は3,6位や窒素上に様々な置換基を導入することが可能であり、構造的にπ電子を含むベンゼン環と孤立電子対を有する窒素原子が連結しているため、光や電気により励起しやすい特性を有している。本研究課題では遷移金属触媒を利用したカップリング反応によりカルバゾール基を三次元的(樹木状)に配置したデンドリマーを新規に合成し、エネルギー変換素子として利用することができる新規高分子材料の開発を目的とする。
1545 反応性プラズマ溶射法を用いたSi系粉末からの透明石英膜の合成 崎山 智司 山口大学 森 健太郎 有限会社山口ティー・エル・オー これまで申請者らは、強制伸張型プラズマジェット発生器を基礎とした新しいプロセシング装置を開発し、ダイヤモンド合成や高効率遠赤外線放射体の作製など、熱プラズマ利用した新素材開発を行ってきた。本研究では、これまでの知見をもとに、直流プラズマジェット中にシリコン系の材料粉末を注入し、膜状の透明石英ガラスを合成する新しい反応性プラズマ溶射技術を確立することを目的とする。
1546 ナノ構造マンガン酸化物を活用する高エネルギー密度キャパシタセルの試作 中山 雅晴 山口大学 森 健太郎 有限会社山口ティー・エル・オー 本課題は、環境負荷が低く安価なマンガン酸化物を活用した高エネルギー密度キャパシタセルを試作し、実用化を目指すものである。高エネルギー密度化の具体的なアプローチとして、①Mn酸化物のミクロ〜ナノ構造を電気化学的に制御し、高容量化を図る、②正極にナノ構造Mn酸化物、負極には負側の電位領域で電気二重層容量を発現する多孔質炭素材料を組み込んだハイブリッドセルを試作し、広い電圧範囲での電荷貯蔵を実現する。
1547 低温焼成による陶磁器製造プロセスの省エネルギー化 小松 隆一 山口大学 森 健太郎 有限会社山口ティー・エル・オー 陶磁器の焼成温度低減を目指した研究である。原料(粘土)の結晶成長を促進する添加物を加えて焼成することで、焼成温度の低温化及び焼成時間の促進を行う。陶磁器の焼成温度を100℃程度低減することを目的とする。温暖化ガスの低減にも寄与できる。
1548 小型水槽における水入れ替え無しの野菜高密度栽培法の開発 大成 博文 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 緑への「やすらぎ」や「安全な野菜」を求める生活者の指向が強まっている。本開発ではマイクロバブル技術を用い、小型水槽内において、水の入れ替えなしで、各種野菜を無農薬で高密度栽培する方法を開発し、「安全で格別に美味しい野菜」を提供することを目的とする。マイクロバブル水耕栽培において、夏場の水溶液の腐敗を防ぎ,高温栽培でも可能となることにより、野菜の大幅成長で従来の土栽培より数倍の高収穫短期栽培(6種類を対象)を目指す。
1549 長方形切欠による噴流制御技術を用いた家庭用エアカーテンの開発 張間 貴史 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 本課題は、長方形形状のノズルに長方形切欠を直交させることにより、噴流到達距離を延伸させることができる噴流制御技術を応用し、省エネルギーにて高性能なエアカーテンの開発を目指す。二次元噴流あるいは長方形噴流に長方形切欠を付加すると、長方形切欠軸上で噴流中心向きの二次流れが発生し、ポテンシャルコア長さが大幅に伸びる。この技術を冷暖房効率向上のための門型横吹き循環型エアカーテンに応用することで、静穏でかつ低消費電力の特徴を生かすことが可能となる。これは吸い込みも備えたエアカーテンであり、本課題では長方形切欠および吸い込みによるエアカーテン噴流の速度の減衰と拡散の抑制効果を明らかにする。
1550 屋根仮設作業の作業性を改善する従来比1/4軽量化足場板の開発 原 隆 徳山工業高等専門学校 加治 哲徳 徳山工業高等専門学校 本課題では、凹凸のある屋根材(例:波板)専用の、軽量(従来比1/4目標)で、作業性がよく移動可能で絶縁性の足場板を開発する。GFRPの板厚と折れ板形状、発泡材の充填率をパラメータとし、強度と軽量化を共に満足できる最適な組み合わせを数値解析により分析し実験的に検証する。その後、軽量足場板を開発し、実証試験により特性を定量的に確認する。この軽量足場板は一般的な仮設材として転用可能で、仮設作業の省力・安全性・信頼性に寄与できる。

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 徳島:49件  (JSTイノベーションサテライト徳島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1551 可視光応答型光触媒用酸窒化物半導体のバンドギャップエンジニアリング 吉田 岳人 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 本応募研究代表者が独自に開発した減圧反応性雰囲気パルスレーザーアブレーション(PLA)法を主体にした、薄膜・ナノ結晶育成法を、典型金属酸窒化物半導体の生成プロセスに応用する。先ず典型金属酸化物と窒化物が混晶を形成した際のエネルギーバンド構造変化(狭帯域化)を光物性的に明らかにし、次に可視光応答型酸窒化物半導体の薄膜・ナノ結晶育成法を構築する。ナノ領域(比表面積100 m2/g以上)の粒径を有する光触媒を実現することで、最終的には、現状の高温焼結法による酸窒化物半導体可視光応答型水分解触媒の量子収率を、大幅に向上させることを目標とする。
1552 防虫効果を備えたLED照明装置の開発 釜野 勝 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 自動販売機や街灯などで“光に虫が群がる”といった光景は、我々の生活の中で幾度も見られ、我々はその光景から自然に避けようとしてしまう。一般的に虫にとって短波長の光は見えやすく、長波長の光が見えにくいといった報告は既知である。本研究では、光源に虫が群がっていることに着目し、それを回避するための照明装置の開発を考えている。特に光源をLED とすることで波長を限定し、防虫効果を備えた照明装置の開発を目的とする。
1553 LED製品開発支援のためのLED最適配置自動計算プログラムの開発 上原 信知 阿南工業高等専門学校 宮城 勢治 阿南工業高等専門学校 現状では、LEDを用いた看板や照明において、必要とする照度に対していかにLEDを配置するかという部分は、技術者の経験と勘に頼っている。そのため、照度過多、照度不足や照度むらといった問題がおきがちである。本研究課題では、LEDの最適配置を理論的に計算で割り出す方法を確立し、配置データからCADデータを出力することでLED看板や照明の開発コストを低減することを目的とする。
1554 非接触磁気歯車の高トルク化と各種伝動装置の非接触高機能化への応用 原野 智哉 阿南工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本研究の目的は、鋼材製歯車をネオジム製リング磁石でサンドイッチすることにより、磁気引力を歯面間に発生させ、摩耗ゼロ・高伝達効率・メンテナンスフリー・無潤滑であり、高トルクおよび高減速比の非接触ウォーム歯車対および非接触平歯車対(遊星歯車機構)の開発を行うことである。さらに、磁気歯車の非接触動力伝達技術を応用し、軸心のミスアライメントが吸収可能で非接触かつ高トルク伝達軸継手などへの適用も試みる。
1555 レンコンの加工残渣(皮、節)由来ポリフェノール成分を活用した食酢の開発 山本 澄人 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター レンコンは徳島県の代表的な特産物の一つであり、盛んに加工品が生産されている。その一方で、原料として利用できない皮や節などの加工残渣が発生し、処理方法に苦慮している。本研究においては、レンコンの未利用部位を原料とした発酵食品の製造技術の確立を目指す。加工残渣となる皮や節の部分を原料とした食酢の加工条件を検討するとともに、食品としての機能性を評価し、エビデンスに裏付けられた機能性食品の開発を目指す。
1556 和菓子の賞味期限予測のための耐熱性芽胞菌増殖予測モデルの開発 岡久 修己 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター 和菓子の製造における加熱条件では、耐熱性芽胞菌が最終製品に残存する場合があり、低糖度の和菓子を開発するためには、糖度と耐熱性芽胞菌の増殖性の関係を把握する必要がある。本研究では、和菓子から分離した耐熱性芽胞菌から、高浸透圧ストレス耐性芽胞菌を選抜し、液体培地中での各種糖度及び水分活性における増殖性を調べ、得られたデータから、和菓子の賞味期限を予測する際の判断基準となる耐熱性芽胞菌の増殖予測モデルを開発することを目標とする。
1557 年齢性別による体格差体形差の測定分析と、それを生かした家具の開発 中瀬 博幸 徳島県立工業技術センター 福田 和弘 徳島県立工業技術センター 衣服や靴にはS、M、L等のサイズがあるのに家具にはサイズ対応が無く、使用者や使用目的に対するサイズ調整機能も無い。しかも従来の基準値は欧米人や日本人の20〜30歳代男性を基準とし、女性や高齢者の体格を考慮されていなかったため、特に高齢の女性にとっては使いにくいものであった。そこで今回は、年齢・性別等による体格差・体形差等を測定するとともに、それらのデータを集計分析し、それに対応できる家具インテリア用品のモデル開発から試用実験までを行う。
1558 抗菌活性天然物を鋳型とする新規抗菌剤の開発 宍戸 宏造 徳島大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 本研究では、抗MRSA活性抗菌剤を含む新規抗菌剤の開発に直結するリード化合物の探索、創製を目的とする。研究代表者らはこれまでに、抗MRSA活性を示すテルペノイドや広範な抗菌活性を示すポリケチドの全合成を達成した。今回は、これらの天然物に加え、系統的な活性評価がなされていない微量天然物を鋳型とし、関連化合物のライブラリー構築と構造活性相関研究を機軸に特異的な新規抗菌剤リード化合物の探索、創製を行う。
1559 がん放射線治療装置・PET診断装置の安全確認イメージセンサーの開発 佐瀬 卓也 徳島大学 塩崎 紀子 株式会社テクノネットワーク四国 がん治療や診断に用いられる医療用加速器は、その運転に付随して放射線を発生する。これらの放射線が異常に漏えいすると、患者ならびに医療従事者が危険に晒されるだけでなく、機器本体や周辺環境までもが中性子による放射化現象によって汚染される危険性がある。医療の品質保証と、放射性廃棄物の発生量低減のために、放射線の漏えいを臨床の場で簡便かつ視覚的に測定する手法を安全確認イメージセンサーの開発によって確立する。
1560 新規エストロゲン受容体活性化制御分子によるホルモン依存性乳癌増殖機構の解明および新規乳癌治療法の開発 片桐 豊雅 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 乳癌症例の多くは、エストロゲン受容体(ER)陽性であり、その治療薬タモキシフェン(TAM)は、顕著に生存率を向上させた。しかし、ER陽性乳癌でもTAM抵抗性を示す症例や、TAMの長期使用により抵抗性を獲得する症例も多く認められる。本申請課題では、我々が同定した新規ER活性化制御分子の機能解析を通じて、ホルモン依存性乳癌における新たな増殖機構の解明や新規治療薬開発を目指す。
1561 昆虫の形質転換技術の応用による薬剤評価システムの開発 三戸 太郎 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 代表研究者らが開発したトランスジェニックコオロギ作製技術を応用し、昆虫個体を用いた新規の薬剤評価システムを開発することを目的とする。まず、ヒト型の受容体タンパク質等の有用な遺伝子をコオロギに導入する。トランスジェニック個体における導入遺伝子発現効果を、脚の再生能や鳴き声などの高次機能のアッセイ系と組み合わせて解析し、さらに、この解析系で薬剤効果の評価を行う。実用可能な簡便な薬剤評価システムを開発することを目標とする。
1562 生体内低酸素環境で選択的に機能する蛍光性pHプローブの開発 中田 栄司 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 癌組織には、癌細胞の無秩序な増殖と未熟な腫瘍血管の不規則な新生が原因で、正常組織には存在しない低酸素・低pH・低グルコースなどに特徴づけられる癌の基本環境が形成されている。このような癌基本環境は、癌細胞であれば由来に関係なく存在しているため、これに応答する検出プローブの開発は、普遍的な癌の診断用プローブとして有用である。そこで、このような癌の基本環境である低酸素環境に応答し、同時に周辺のpH環境を検出できる蛍光プローブの開発をおこなっている。
1563 大腸癌に対するマルチモーダルイメージングプローブの開発 中村 教泰 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 代表研究者が世界に先駆けて開発し展開を進めている「有機シリカ粒子技術」を駆使し、大腸癌に対して一つの粒子で多角的な検出や評価が可能なマルチモーダルイメージングプローブを開発する。Magnetic resonance imaging と蛍光イメージングが可能となるマルチモーダルイメージングプローブを作製し、大腸癌の分子イメージング・画像診断への応用・発展を目指す。
1564 多発性骨髄腫由来ガン幹細胞に対する新規バイオマーカーの探索 辻 大輔 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 組織幹細胞は、多系統にわたる分化細胞を産生する多分化能と自己複製能を併せ持つ。最近、ガン組織が正常の幹細胞システムと類似した階層構造から成り、ガン細胞がその幹細胞に由来するという“ガン幹細胞”という概念が注目されている。本研究では組織幹細胞に共通した性質である色素排出能を利用し、ヒト多発性骨髄腫細胞株からSide population(SP)細胞集団を単離し、トランスポーターなどの遺伝子発現や細胞表面タンパクを解析することで癌幹細胞を特定できる新規バイオマーカーを探索することを目的としている。
1565 AgsAを用いた新規蛋白質安定化システムの開発 友安 俊文 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 現在、天然資源の枯渇などの問題がますます深刻になってきている。そのような状況においては、いかに限られた資源を有効に使用するのかが問題となる。そこで、化学触媒の代わりに酵素を使用する事で、化学薬品や樹脂などを合成し、石油などの天然資源の節約を行う試みが行われている。しかしながら、蛋白質触媒には安定性の問題がありまだ工業的に実用化されている技術は少ない。そこで、そのような問題を改善する目的で分子シャペロンAgsAを用いた新規の蛋白質安定化システムの開発を進めている。
1566 生理活性リゾリン脂質に富む抗潰瘍性サプリメントの開発 徳村 彰 徳島大学 斎藤 祐一 徳島大学 消化管潰瘍患者数は国内で年間120万人に達する。近年、脚光を浴びているリゾリン脂質メディエーターファミリーの代表格リゾホスファチジン酸 (LPA)は強力な創傷治癒作用を示すので、LPAを豊富に含有する食品素材は胃粘膜保護に有効であろう。本応募課題では,この可能性を動物モデルで検証し、胃潰瘍の予防や治療に有効なLPA含有天然素材を食品や漢方薬サプリメントとして開発することを目的に研究を展開する。それと共に、この観点からLPAを産生する食原性酵素の有効利用を図る。
1567 多点式高精度静電容量計の土木計測への応用 上野 勝利 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 これまでに開発した高精度で高安定な静電容量計を元に、地盤や土構造物の変状計測のための各種静電容量型センサの開発を行うとともに、高密度センシングを実現するために、安価な多点計測に対応した計測システムを開発する。公共工事のみでなく、たとえば土砂災害が頻発する中山間地に暮らす個人宅のモニタリングへの活用や、高密度な地盤センシング、遠心模型実験用の小型センサなどへの応用を目指す。
1568 熱帯域原産の水草類を利用した高負荷廃水の栄養塩除去支援手法の開発 山本 裕史 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 下水・産業廃水処理で最も一般的な活性汚泥処理は、BOD等の除去効率は高いものの、リンなどの栄養塩の除去には問題があり、水質汚濁防止法の遵守や富栄養化防止には高価な高度処理が不可欠になっている。一方、近年、熱帯域原産の水草類が湖沼や河川のワンドなどに異常繁茂し、船舶の航行や景観の観点から懸念されている。本研究では、こういった水草類を従来の微生物を用いた生物処理に対する補完的役割として積極的に利用する際の水質浄化支援効果の定量的評価や、スケールアップ、実用可能性について実験的研究をおこなう。
1569 D-アミノ酸含有生理活性ペプチド類の酵素的合成法の開発 川城 克博 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 最近、天然および合成起源のD-アミノ酸を含む生理活性ペプチドが見出されるようになり、これらの合成法としてプロテアーゼを触媒とする酵素法が注目されている。しかしながら、酵素の狭い基質特異性のため、D-アミノ酸のペプチド鎖への組み込みは不可能であった。本研究においては、カルバモイルメチル基をエステル部に持つ模倣基質をアシルドナーとして用い、D-アミノ酸を含む短鎖ペプチドの効率的な合成法の開発を行う。
1570 層状複水酸化物を用いた高利用率リン酸肥料の開発 倉科 昌 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 リン酸は農作物に重要な養分であるが、土壌に施用されると農作物に吸収されにくい化学形態となるため他の養分に比べて利用率が低い。そこで本研究では陰イオン交換能を持つ層状複水酸化物にリン酸をインターカレーションさせることにより、農作物への高利用率なリン酸供給肥料の開発を目的とする。リン酸が層状複水酸化物の層間に静電的相互作用で取り込まれることを利用し、既存の肥料よりも高い肥効率を有するリン酸肥料の実用化を目指す。
1571 農産物由来ポリフェノールのPDE酵素阻害活性に基づいた新規生理活性の探索 湯浅 恵造 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 近年、農作物から様々なポリフェノールが同定され、機能性食品素材としての開発が期待されているが、未だその有効利用が十分になされていない。ある種のポリフェノールが細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックヌクレオチドの分解を触媒するサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害することが明らかにされている。本研究では、PDE阻害活性を有するポリフェノールを探索し、その阻害活性に基づいて未だ有効利用されていないポリフェノールを新規機能性食品素材として開発することを目的とする。
1572 ガン治療用シードの品質検定システムの開発と応用 中山 信太郎 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 ガン治療用に体内永久刺入する小放射線源(シード)の品質検定システムの開発を目指す。前立腺ガン治癒のためシードを100本ほど体内に埋め込む治療がなされ、効果を発揮している。シードの放射線源強度は約15MBqと強いために、臨床での線源強度の計測は容易に行えない。シードの品質検定システムとして重要なことは、滅菌状態のままで一括して品質検定ができ、低コストでしかも省力化(全自動一括測定)できることである。シード品質検定システムを試作し、測定装置としての問題点を探る。臨床現場で使用可能な品質検定システムを完成させることを目標にする。
1573 如何なる強風下においても安全に発電可能な直線翼垂直軸風車の開発 野田 稔 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 高層建物の屋上や山岳地などの極端に風の強い場所への導入を前提に小型の直線翼垂直軸風車の特性を考えた場合、回転制御が難しく過回転現象を起こす可能性を無視できない点はこの種の風車の弱点といえる。そこで、本研究では、可変ピッチ機構を備えた自律制御型の直線翼垂直軸風車を実用レベルに引き上げることを目標とし、如何なる強風下においても過回転状態に陥らずに発電が継続可能な小型風車の提供を目指す。
1574 鉄−ケイ素複合型酸化物触媒の開発と炭化水素類の官能基化プロセスへの展開 菊池 淳 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 シリカゲルに金属種を担持した触媒は安価かつ入手容易なため、多く報告されている.しかし,一般的に再利用や触媒効率の観点から問題が残されている。本試験は耐久性・反応活性ともに優位なシリカ系触媒創製を目指し開発を行う。資源の有効活用の観点から石油類、特に単純な炭化水素類の官能基化やこれらの炭素-炭素結合生成をターゲットとし、工業的に基盤となる有用物質の合成プロセスの提案を目的とする。
1575 機能性材料としてのイオン液体ナノカプセルの設計 平野 朋広 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 これまでに、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーのラジカル重合を多量の開始剤を用いて行うことで、溶媒に可溶な高分岐ポリマーが得られることを見出している。本課題では、多官能性モノマーとアクリル酸tert-ブチルなどとの共重合を行い、得られた高分岐ポリマーを脱保護し、イオン液体化試薬と反応させることで、イオン液体ナノカプセルの合成を行う。高分岐構造とイオン液体の性質を併せ持った、新しい機能性材料としての開発を目的とする。
1576 優れた光触媒特性を示す新規薄片状金属酸化物ナノシート触媒の開発 中川 敬三 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 光触媒の実用化に向けて、これまで吸着性能や触媒活性の向上などについて検討されているが、材料合成に特別な処理を必要とするためコストの増大は免れず実用化には不向きである。本研究課題では、低コストで合成しうる新規合成法による薄片状金属酸化物ナノシート触媒の合成及び光触媒特性の評価を行い、ナノシートを用いた新たな光触媒開発技術を検討する。
1577 視聴者に適応するe-Learning教材実空間配信システムの開発 光原 弘幸 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 大学生の学習時間が減少する中、e-Learningによる学習機会を増やすため、学生生活に密着した教材配信が必要である。そこで本課題では、ユビキタスコンピューティング技術を用いて実空間へe-Learning教材を配信するシステムを開発する。学内空間にいる視聴者をRFID(Radio Frequency Identification)技術等により認識し、その視聴者の状態を推定して、適切な教材を環境埋め込み型IPTV(Internet Protocol Television)で配信する。既存技術の新しい組み合わせによるe-Learningの新展開を目指し、システムの運用を通じて配信効果を検証する。
1578 透明固体基板の内部微細加工技術の拡張 松尾 繁樹 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 申請者らは、フェムト秒レーザーを用いてガラス等の透明固体材料の内部にマイクロメートルオーダーの空間分解能で自由な形状の空洞を作製する技術に関する研究を行ってきた。この技術を用いてシリカガラス内部に可動構造物を内包する空洞を作製し、その可動構造物を非接触で回転させることに成功した。本申請研究では、この技術をさらに発展させるため、より安全なエッチング液を用いての加工技術の確立と、新しい被加工材料の開拓を目指す。
1579 フォトニックルーティングのためのPSK光ラベル識別用光集積回路の開発 後藤 信夫 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 将来のフォトニックネットワークとして高速ルーティングが可能な光ラベルルーティングシステムが期待されている。ルータにおける光ラベル処理の主要要素として、ラベル識別がある。本研究では、光ルータへの適用を目指して位相シフトキーイング(PSK)符号による全てのラベルに対して識別処理を光学的に行う光集積回路の開発を目的としている。特に、光波の導波路回路におけるユニークな干渉・伝搬特性を最大限に活かした受動的光回路の開発を行う。
1580 レーザートラッピングによる生細胞の健康度センシング技術の開発 橋本 修一 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 蛍光色素、金ナノ粒子、半導体量子ロッド等を担持させて光機能性を持たせたゼオライト単結晶(5−10μm)微粒子を、レーザートラッピング法により遠隔操作して生きている細胞の活動状況を調べるカラーセンサーとして用いる。単一生細胞になるべく刺激を与えないようにして、細胞からの分泌物質を高感度に検出して、細胞の生きている状態を細胞レベルで把握する。
1581 人に優しい空中3D表示のための可変焦点レンズの開発 陶山 史朗 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 臨場感あふれるコミュニケーション環境の実現のためには、人に優しい3D表示技術が必須と考える。特に、将来的な技術の統合を考えた場合には、何もない空中への3D表示を実現することが重要である。この空中3D表示を可能とするキーデバイスとして、焦点距離を高速に変化できる可変焦点レンズの開発を行う。このキーデバイスの開発により、自然で、長時間の観察時にも疲れない、あたかもそこにあるような空中3D像を実現できると考える。
1582 魚類飼育養殖由来アンモニア性窒素の除去資源化手法の開発 杉山 茂 徳島大学 大塩 誠二 徳島大学 水族館や水族館と類似した水環境で魚類を養殖する現場で、魚類の充血や出血のような循環系の障害とともに壊死を引起すアンモニア性窒素の除去またそれに伴う栄養源確保のため、排水処理から多量に生成するにもかかわらず有効な利用法のないマグネシウムアンモニウムフォスフェートの低温熱分解で得られるリン酸水素マグネシウムによるアンモニアの除去を上記水環境下に応用し、実使用に対する問題点を解決する。
1583 無機固体触媒を用いる環境調和型有機反応手法の開発と実践的展開 和田 眞 徳島大学 平岡 功 徳島大学 (辞退)
1584 優れた抗菌性を有するティッシュコンディショナーの開発 内藤 禎人 徳島大学 平岡 功 徳島大学 全身疾患を有する高齢者においては、義歯と接する口腔粘膜の変化が著しく、軟性裏装材であるティッシュコンディショナーを使用する頻度が高い。また、カンジダ菌に代表される口腔内細菌による誤嚥性肺炎の発症率は高くなっている。そこで生物由来の材料を添加することによって、抗菌性を有するティッシュコンディショナーの開発を試みるものである。
1585 RNA干渉法を用いた創傷治癒促進・瘢痕形成抑制術の開発 泰江 章博 徳島大学 平岡 功 徳島大学 口唇裂・口蓋裂患者における裂隙閉鎖術後の瘢痕組織は、その強い瘢痕鈎縮により上顎骨劣成長や上顎歯列弓狭窄をもたらし、その結果患者は重篤な不正咬合を呈する。本課題は口蓋粘膜創傷治癒過程における瘢痕形成抑制法をRNA干渉法の利用といった遺伝子医薬という観点からアプローチ・検討するものであり、瘢痕組織形成抑制に対する新規遺伝子医薬開発の第一歩となるものである。実施内容は、アテロコラーゲンを遺伝子キャリアーとして、創傷治癒・瘢痕組織形成に大きく関与するSmad3遺伝子に対するsiRNAをマウスに導入することで、瘢痕形成抑制効果を評価するものである。
1586 新しい歯科用ハンドピース拡張デバイスの開発 伊藤 照明 徳島大学 平岡 功 徳島大学 歯科用ドリルを用いた治療では治療対象部位に対するドリルの操作角度を高度な技術で制御しながら治療を行っているが、この操作角度を物理データとして正確に計測し、治療に適応したいという要望が強まっている。本申請では、歯科治療におけるドリルの操作角度を連続的に計測し、操作を行う歯科医にリアルタイムにフィードバックするための方位情報提示デバイスを新規開発する。
1587 先端医療応用に向けた革新的siRNA腫瘍選択的デリバリーシステムの開発 石田 竜弘 徳島大学 平岡 功 徳島大学 当該研究において、抗腫瘍活性を持つ短いRNA(siRNA)を搭載したリポソームの静脈内投与と腫瘍内新生血管の透過性を選択的に亢進して投与後のsiRNA搭載リポソームの腫瘍内移行性を向上させうる抗がん剤の投与とを組み合わせることで、より高い抗腫瘍効果が得られる革新的デリバリーシステムの開発を行う。
1588 経験の少ない医師でもマスク換気が容易な麻酔用マスクの開発 田中 克哉 徳島大学 平岡 功 徳島大学 最近の人口の高齢化に伴い、高齢者で全身麻酔を必要とする患者が増加しているが、高齢者は無歯顎の人が多くマスクと顔面に間隙が生じ、人工呼吸が困難なことがある。我々は、安心安全な全身麻酔導入を行うため、従来のマスクの持ち方とマスクの形状の概念と全く異なる方法を考案した。この研究で新しい形状の麻酔用マスクを試作しその有用性を評価する。
1589 ヒト唾液タンパク質由来複合ペプチドによる歯周病細菌定着阻害剤の開発 片岡 宏介 徳島大学 平岡 功 徳島大学 歯周病は、数種の細菌によるバイオフィルム感染症であり、その予防法のひとつとして、口腔内における歯周病細菌の初期付着・定着時の選択的な定着阻害が考えられる。本研究では、歯周病細菌に対する複数の唾液タンパク質上の結合部位を含むペプチドをキャリアータンパクに結合し、新規の(結合領域)ペプチド複合体を作製する。そして、そのペプチド複合体による口腔内歯面モデル(唾液被覆ハイドロキシアパタイトビーズ)への歯周病細菌結合阻害効果を検討する。
1590 圧電トランスを用いた小型オゾン発生システムの開発 寺西 研二 徳島大学 牧野 正 徳島大学 近年、医療分野や食品加工工場における気相殺菌、福祉施設等の浴槽水殺菌でのオゾン利用が促進され、小型オゾン発生器が要望されている。本研究では、小型・軽量の高電圧発生素子である圧電トランスを独自の方法で用いた放電プラズマ発生法をオゾン生成に応用し、上述した分野で利用可能な小型オゾン発生システムを構築する。本課題では、電源ならびにリアクタの開発を行い、電極材料最適化と長期連続運転における動作特性向上についても検討する。
1591 有用生理活性物質の環境に優しい迅速合成法の開発 河村 保彦 徳島大学 牧野 正 徳島大学 地域特産の天然素材の中には、抗アレルギー作用、抗ピロリ菌活性、発ガン抑制作用など有用な作用を示す成分を含むものがある。しかしそれらの成分は稀少なものも多く、市場供給は困難である。この問題点を克服するため、入手容易な原料に電磁波合成法を適用する。医薬リード化合物、栄養食品素材、バイオテクノロジー分野の基本物質等、高価かつ市場需要の高い有用物質のより容易な利用をめざし、環境低負荷型迅速合成技術を開発する。
1592 マイクロ波電力伝送用高周波整流ダイオードの開発 大野 泰夫 徳島大学 牧野 正 徳島大学 マイクロ波による無線電力伝送における受電部用の整流ダイオードの開発を行う。マイクロ波の整流用ダイオードでは損失を抑えるため高耐圧に加え、低オン抵抗と低寄生容量が求められる。そのためには破壊電界が高いことが重要で、ワイドギャップ半導体は極めて有利である。今回はワイドギャップ半導体のGaNを用いてマイクロ波整流用ショットキーダイオードの開発を行う。
1593 レーザー微細加工による光ジャイロセンサの開発 三輪 昌史 徳島大学 牧野 正 徳島大学 微小構造物を作製する手法であるマイクロ光造形法やレーザーアブレーションといったレーザー微細加工法を用い、光路長が2〜5kmに相当するフォトニック結晶構造を製作し、光ファイバージャイロに変わるサニャック効果を用いた光ジャイロセンサを開発する。光ジャイロセンサの目標としては、検出精度は現行の光ファイバージャイロ相当で、そのサイズ・重量を小型・軽量化し市販の振動型ジャイロセンサに近づけることを目指す。
1594 安全かつ環境影響低減型有機・無機ハイブリット抗菌剤の開発と応用研究 白井 昭博 徳島大学 牧野 正 徳島大学 H20年度の研究において、ハイブリット抗菌剤の合成法を確立し、層間導入抗菌化合物(ハイジェニア)の徐放、徐放的抗菌性そして耐熱性を確認した。H21年度は、徐放機能の改良及びその評価、そしてかび、藻類に対する生育抑制効果と抗菌力の耐候性を評価する。次に、ハイブリット抗菌剤配合塗料・シーリング材の塗膜・樹脂表面の抗微生物活性及びその持続性、耐候性、海中防汚性、魚毒性を検討する。
1595 省エネルギー二重反転形小型ファンの研究開発 重光 亨 徳島大学 牧野 正 徳島大学 ユビキタスネットワーク社会の構築や電子機器の高度化に伴い高風量な空冷ファンへのニーズが高まっている。一方、データセンター等での消費電力量は急激に増加しており、空冷ファンの省エネルギーに対する要望も日々強まっている。本研究課題は、二重反転形小型ファンの羽根車に翼形を採用し、相対速度に着目した独自設計法により、高風量・高効率な小型ファンの実現を目指す。これまでの基礎研究の中で、本供試二重反転形小型ファンは高風量でかつ高効率を実現でき、従来小型ファンと比較しても格段に効率が改善されることを示した。
1596 神経変性疾患予防食材の開発 福山 愛保 徳島文理大学 富田 基郎 徳島文理大学 神経細胞突起伸展作用を有するフェニルブタノイド二量体を有効成分として含有する食用植物を神経変性疾患予防食材として開発する。神経細胞突起伸展作用を有するフェニルブタノイド二量体を有効成分として含有するショウガ科植物バングレを利用することにより、アルツハイマー病等の神経変性疾患の予防及び/又は治療に有用な飲食品及び植物エキス並びに神経変性疾患の予防及び治療剤を包含する健康食材としての有効性を老化促進モデルマウスで検証する。
1597 新規検定法によるシトリン欠損症治療薬の検索 佐伯 武頼 徳島文理大学 富田 基郎 徳島文理大学 申請者らが開発した疾患モデルマウスを用いて、また申請者らが病因遺伝子を発見し、発症機構を解明したシトリン欠損症の、内科的治療法を開発・確立することを目的とする。モデルマウスは、ヒト患者と同様に糖質を嫌う。この性質を利用し、自由摂取のショ糖溶液摂取量を増加させる物質を探索し、シトリン欠損症治療薬の候補薬とする。
1598 未利用植物資源の形質転換体の作出と機能性評価 西川 和孝 鳴門教育大学 木下 凱文 鳴門教育大学 未利用植物資源のハナタツナミソウには、グルコースの誘導糖(ウロン酸)であるグルクロン酸が結合した希少フラボノイドを含んでいる。そこで本研究では、今後不足することが予測される生薬オウゴンの代替物として、安定的供給のためにハナタツナミソウの培養系を確立させるとともにその二次代謝物質を調査する。さらに、応用研究として新規化合物の生合成を目的とした形質転換体の作出及び高機能性評価を行う。
1599 藍色発色に対する光学的影響を考慮した阿波藍染木材の開発 尾ア 士郎 鳴門教育大学 木下 凱文 鳴門教育大学 徳島県の伝統産業である藍染技術による徳島県産スギ等木材の新しい着色技術の開発を実施する。藍による木材の着色では、藍の酸化・還元や太陽光受光等環境によるバラツキがあり、期待する着色を得るのはかなり難しい。本研究では特に、光照射による材表面および表層の藍色着色の変化、すなわち藍色発色に対する光学的影響を考慮した阿波藍染木材の開発に関する試験研究を行って、従来の木質材料にはない価値や性能を有する新素材の開発を目指す。

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 香川:29件  (JSTイノベーションサテライト徳島)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1600 ファイバーレーザを用いた微細接合に関する研究 宮内 創 香川県産業技術センター 白川 武志 香川県産業技術センター 本研究では、ファイバーレーザを用いた精密微細溶接に関する基礎的研究を行う。主なターゲットは、熱影響が問題になりやすい電気電子関連の微細部品である。これらを想定したモデルに、ファイバーレーザを用いた高速シーム溶接およびスポット溶接を適用し、微細レーザ溶接における加工特性を把握するとともに、熱影響を最小限に抑えた信頼性の高い接合を実現するための手法の確立を図る。
1601 卵胎生魚であるメバル類人工交配種の生産 山賀 賢一 香川県水産試験場 白川 武志 香川県産業技術センター 卵胎生魚のメバル類において,新養殖魚種の作出を目的として異種間交配を実施する。メバル類の多くは有用魚種であるが,成長が遅いなど養殖に不向きな点が多い。そこで新たに開発した人工授精技術を応用して,雑種強勢を狙ったタケノコメバルとメバルとの正逆交配を行う。人工授精の実施時期等最適な条件を調べるとともに,交配種の養殖魚としての特性が把握できる1万尾(正逆交配各5千尾以上)の生産を目指す。
1602 食品・農産廃棄物からの熱水溶性多糖類ニゲランの生産とオリゴ糖への変換 田 悟郎 香川大学 塩崎 紀子 株式会社テクノネットワーク四国 糸状菌Aspergillus aculeatusはバイオマス中に含まれる多糖類を資化する能力の高い微生物であり、D-グルコースがα-1,3、1,4結合したポリマーの熱水溶性多糖類であるニゲランを細胞内に蓄積するという能力をもつ。本研究では、糖を多く含む農産廃棄物やうどんのゆで汁排水などの食品廃棄物を原料にし、本菌を用いてニゲランを大量生産するとともに、ニゲランをさらに加水分解して機能性オリゴ糖であるニゲロオリゴ糖やニゲロースを得る。
1603 食用乳化剤を用いた食べられるナノサイズエマルションの省エネな調製法の開発 合谷 祥一 香川大学 塩崎 紀子 株式会社テクノネットワーク四国 エマルションは化粧品分野では乳液やクリームなどに用いられているが、脂溶性で高機能な有効成分を体内に取り込むためには、水に分散できるエマルションが有効である。ナノサイズのエマルションは、高機能成分の体内吸収性が増大し、水相と油相の分離が起こりにくく安定であり、脂っこさが低減する。 人が摂取しても安全な食品用乳化剤を用い、高速な攪拌機や高圧を使用する乳化装置を使用せずに、省エネな方法で食べることのできる微細なエマルションを得ることが本研究の目的である。
1604 人工誘導巣を用いた新規な家屋侵入害虫アリ防除方法の開発 伊藤 文紀 香川大学 Lee YongKyung 香川大学 近年、外来アリの在来生態系におよぼす悪影響が懸念されており、その防除方法の確立が急務である。アルゼンチンアリは広島県を中心に各地に定着し、在来アリをはじめとする多くの生物が駆逐され生態系に悪影響を及ぼすとともに、家屋侵入不快昆虫として人間生活にも甚大な影響を及ぼしている。本種は難防除害虫で、薬剤散布ではいまだにその防除に成功していない。本研究では、本種をはじめとするアリ類の人工誘導巣を開発し、薬剤にたよらない方法での防除をめざす。
1605 波浪エネルギー吸収型動揺抑制装置の開発と応用 末永 慶寛 香川大学 永冨 太一 香川大学 大型船舶の航行や自然災害が原因の異常波浪により、養殖生簀が動揺し、有用稚魚が全滅する被害に対処するため、既存の魚類養殖生簀に装着し、波浪による生簀の動揺を抑制できる技術の開発が求められている。
そこで本研究では、U字管内の単一水柱の固有周期が、水柱の長さで決定される特性に着目し、不規則波の持つ広い周波数帯に対応した、固有周期の異なる複数の振動水柱を有する波浪エネルギー吸収型動揺抑制装置を開発する。
1606 協調学習支援・緊急時対応を可能とする分散型情報サーバの開発と評価 今井 慈郎 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 分散型Web-DB連携情報サーバを構築し、協調学習支援のため環境と緊急連絡のため、携帯電話用画像・音声対応通信環境の提供を目的とする。具体的には、クライアントとしてPC及び携帯電話を想定し、マルチメディア情報(画像や音声)に対応した情報通信環境を提供し、分散環境の複数ユーザ間での協調学習、情報非同期共有、緊急時情報取得・発信などを支援し、平常時・緊急時に利活用可能な分散環境での協調学習システムを実現する。
1607 干渉露光法を用いた金属ラティス構造の作製とスピン機能の制御 宮川 勇人 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 これまでに開発した高精度で高安定な静電容量計を元に、地盤や土構造物の変状計測のための各種静電容量型センサの開発を行うとともに、高密度センシングを実現するために、安価な多点計測に対応した計測システムを開発する。公共工事のみでなく、たとえば土砂災害が頻発する中山間地に暮らす個人宅のモニタリングへの活用や、高密度な地盤センシング、遠心模型実験用の小型センサなどへの応用を目指す。
1608 近赤外線分光法を用いた嗅覚評価法の開発 唐木 將行 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 嗅覚評価は自覚的検査法である基準(T&T)や静脈性嗅覚検査にて評価されている。我々は近赤外線分光装置を用い、嗅覚の他覚的検査方法を確立するために嗅覚刺激時の脳血流測定から嗅覚の他覚的な評価法を検討している。本方法が実用化すれば他覚的な評価が可能となり、詐病や心因性嗅覚症の評価が可能となる。また、嗅覚刺激による脳血流変化は嗅覚以外に作業効率や覚醒度、リラックス効果、作業環境の評価などが可能となりうる。
1609 高性能結晶面を有するTiO2ナノ粒子の開発と色素増感型太陽電池への応用 馮 旗 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 本研究は、色素増感型太陽電池用の高性能TiO2ナノ粒子の合成技術及びそれを利用した高性能太陽電池を開発することを目的とする。色素増感型太陽電池ではTiO2ナノ粒子の色素吸着量が電池特性に大きく影響し、その吸着量はナノ粒子の結晶面によって大きく異なる。本課題研究は、層状チタン酸ナノシートを出発原料とする新規ソフト化学合成法により、色素を多く吸着する結晶面を露出するTiO2ナノ粒子の合成技術を開発し、色素増感型太陽電池材料としての性能評価を行う。
1610 Web-DB連携サーバーを用いた中小企業のBCP策定支援システムの開発 白木 渡 香川大学 倉増 敬三郎 香川大学 地震やテロ等の不測の事態においても、企業が中核となる事業の継続を可能とするためには、緊急時対策方法や手段を取り決めておく事業継続計画(BCP)の策定が必要である。本研究では、危機管理対策に専任の人材を確保できずその対応が遅れている中小企業のために、ウェッブ(Web)とデーターベース(DB)の2つの機能を有するサーバーを構築し、対話型で容易にBCPを構築・活用できる支援システムを構築する。
1611 希少糖D-アロースの癌細胞増殖抑制効果の有効な利用法の開発 徳田 雅明 香川大学 長崎 倶久 香川大学 ブドウ糖と同じ六炭糖である希少糖D-アロースは、癌細胞増殖抑制作用を有し、そのメカニズムが通常の抗癌剤とは異なる。癌細胞の培養系での実験で、D-アロースは抗癌剤5-fluorouracil (5FU)との併用による相加的効果を示し、5FUの使用量を約半分以下に減らすことができた。こうした機能を持つD-アロースを、新規抗癌剤として単独あるいは既存の抗癌剤との併用で用いることの有用性につき、また癌発症のリスクの高い状態にある個体の発癌予防目的で用いることの有用性につき、動物実験で確認する。
1612 筋萎縮性側索硬化症における希少糖による治療法の開発 板野 俊文 香川大学 長崎 倶久 香川大学 筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用いて、希少糖の一つであるD- アロースの効果をあきらかにする。さらにその作用機序を解析する。また、治療薬開発としての可能性を追求するため、投与形態、投与量、有効量等のデーターを取得する。これらの研究により現在、治療薬がほとんどないALSの新しい治療法の開発を目指す。
1613 高純度アルギニン特異的蛋白分解酵素の量産系の開発 宮田 茂 香川大学 長崎 倶久 香川大学 Clostridium histolyticumのクロストリパイン(CloSI)は、アルギニンを認識して、タンパクを切断する特異性の高いプロテアーゼである。ペプチド解析や生理活性ペプチドの合成(マルチマー合成法における酵素切断)に利用されると共に、逆反応を用いた人工アミノ酸導入やバイオミメティック材料の合成にも応用される。市販されているが、純度や供給能力には問題があり、質的量的な改善を要する。我々が開発したClostridiumの組換えタンパク質発現系を用いて本酵素を高純度で大量、かつ簡便に得る技術を開発する。
1614 臨床検査としての高感度ガレクチン−9測定法開発と種々疾患における意義 有川 智博 香川大学 長崎 倶久 香川大学 申請者らはマウスを用いたリウマチ関節炎モデルや多発性硬化症などの自己免疫疾患モデルにおけるガレクチン9の炎症抑制効果を報告し、さらにヒト乳癌組織での当因子の発現が転移予測に有用であることを見出している。将来的にヒト疾患での解析の必要性が高まることを見据え、容易に採取可能な血液検体中での定量系の開発は必須であると考える。系構築後は種々疾患別にガレクチン9を指標とした病態解析や予後診断のデータベース化を最終的な目標とする。
1615 脳卒中特異的血中因子同定と血液診断の開発 細見 直永 広島大学 長崎 倶久 香川大学 死亡率第3位を占める脳卒中において、その早期診断を可能とし救命率の向上を図ることを目的とする。この目的のため、脳卒中後に脳組織より血中に漏出するタンパク質(ペプチド)を同定し、これを定性・定量的に検出することにより、脳卒中超急性期血液診断を可能にする。
1616 形状記憶合金ワイヤを用いた携帯型点字ディスプレイの開発 澤田 秀之 香川大学 渡辺 利光 香川大学 形状記憶合金(SMA)の細線に微弱パルス電流を流すことによって微小振動を生成する、超省電力振動アクチュエータを利用した触覚ディスプレイの技術を応用し、視覚障がい者のための携帯型点字ディスプレイの研究開発をおこなう。本アクチュエータは、数μm程度の身体部位に300Hzまでの機械的振動を生成できることから、皮膚下の触覚受容器を個々に刺激することが可能である。SMAアクチュエータを点字ピンに割り当てることにより、点の有無を振動のON/OFFによって呈示する点字ディスプレイを構築する。
1617 二珪化鉄熱発電モジュールを利用した充電器の開発 相馬 岳 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 熱電発電モジュールは、駆動部を持たずに廃熱を直接電力に変換できるので、次世代型エネルギー回収方法として期待されている。二珪化鉄(FeSi2)は資源的に豊富であり、かつ環境汚染の少ない熱電材料であることが知られていたが、性能が低いためこれまで具体的な産業的応用がなされなかった。本研究においては,二珪化鉄を利用した熱電発電モジュールを作製し、それを利用したプロトタイプの充電器を開発することを目的とする。
1618 有機複合体材料への多重格子形成による省エネルギー型調光制御デバイスの開発 荻原 昭文 神戸市立工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本課題では、有機複合体材料系に対しレーザ干渉露光を適用して、高効率での光制御が可能な体積型格子構造を形成する。レーザ露光照射条件を精密に制御しながら連続形成が可能なレーザ干渉露光システムを構築する。このシステムを用いて有機複合体材料内に多重格子構造を形成することで、広い入射角度範囲にわたって高効率な調光特性を有するデバイスの開発を行う。
1619 酸化物ナノアイランドを用いた簡易型紫外線センサの開発 岡野 寛 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 光触媒の酸化還元反応を利用して、民生部品に使用可能な低コストの紫外線センサを開発する。金属上に酸化物光触媒を島状成長(ナノアイランド)させ、電解質中で紫外線を照射することにより光触媒の酸化還元反応に起因した電流を検出することができる。この電流は紫外線の強度や波長により変化するため紫外線センサへの応用が期待できる。光触媒の材料や被覆率、素子構造や検出回路を最適化することで、5段階程度で紫外線強度をビジュアル表示し、家電製品や自動車、健康器具に搭載可能な紫外線センサを開発する。
1620 人体数値モデルを用いた体内電流の数値解析による低周波治療への応用 太良尾 浩生 高松工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 肩こりなどの筋肉疲労改善や尿失禁治療に使用される低周波治療(低周波電流を体内に流して局所的に部位を刺激する治療)に関して、特定の部位のみを効率よく刺激できるような電極の位置や数を数値解析で検討する。通電させた場合に、どの部位でどの程度の電流密度となっているのかを検討し、従来よりも通電時間の短縮や他部位への影響を軽減できる可能性が期待できる。
1621 マイクロ波―固体触媒を用いたバイオETBEの迅速製造技術開発の検討 キタイン アルマンド 財団法人かがわ産業支援財団 加藤 俊作 財団法人かがわ産業支援財団 地球温暖化対策として、バイオマスエネルギーの活用が注目されている。その一つとして、バイオエタノールがあるが、ガソリンに直接混合すると、蒸気圧の上昇やエミッション増加などが懸念される。この観点において、エタノールよりエチル第三ブチルエテール(ETBE)が優れている。本研究では、マイクロ波加熱と固体触媒を併用して、バイオマスから生産可能なアルコール(ブタノールとエタノール)を原料にしたバイオETBEの迅速な製造技術の開発を検討する。
1622 ヒト常在性真菌の感染性表現型の簡易検出法の開発 文谷 政憲 徳島文理大学 中島 賢一郎 徳島文理大学 真菌Candida glabrataの感染性の有無を簡易に求める方法を開発する。日和見感染菌が感染性を示す原因となる遺伝子を明らかにするためには、菌の感染力を容易に検出する手法の開発が不可欠である。本応募課題では真菌を飼料とする線虫を用いて、餌とした菌の感染能力を測定する系を作製する。感染力に違いがある菌を用いて、線虫の形態や寿命などの観察し、感染性に対する簡易な検出法の可能性を追求する。
1623 表面薄膜における反射干渉の位相検出に基づく高感度非標識検出技術の開発 大槻 荘一 独立行政法人産業技術総合研究所 和田 英男 独立行政法人産業技術総合研究所 蛍光色素によって直接または間接に試料の標識化を行うことなく、血液中などに微量に含まれるタンパク質を測定するため、基板の表面に存在する薄膜の反射干渉によって生じる、2つの直交する偏光の位相差を検出することにより、基板表面に結合したタンパク質を高感度に計測する技術を開発する。表面に結合したタンパク質の量を、基板表面1 mm2あたり1 pg (10-12 g)以上の感度で検出することを目指す。
1624 耐塩性・耐アルカリ性を有する銀系無機抗菌剤の開発と持続性向上に関する研究 槇田 洋二 独立行政法人産業技術総合研究所 和田 英男 独立行政法人産業技術総合研究所 銀系無機抗菌剤は、抗菌性に優れ人体への安全性も高いため、幅広く使用されている。しかし、水系においては、抗菌成分の銀イオンが水系に含まれる塩化物イオンと即座に反応して塩化銀となり、抗菌性が著しく低下する。また、水系のpHが高い場合には酸化銀が生成し、抗菌効果が著しく低下する。本課題では、特定の銀イオン錯体を抗菌成分とする耐塩性・耐アルカリ性を有する銀系無機抗菌剤を開発する。また、抗菌成分の徐放制御を行い、水系における抗菌効果の持続性の向上を図る。
1625 抗菌ペプチドの膜結合性評価に基づく高活性化技術の開発 福岡 聰 独立行政法人産業技術総合研究所 和田 英男 独立行政法人産業技術総合研究所 細菌感染症の治療で一般的に投与される抗菌剤は、耐性菌の出現や、菌の死滅後に外膜成分が血中に溶出し、致死率の高い敗血症の原因となるなど問題が残っている。ペプチド系抗菌剤は抗敗血症性で耐性菌の発生が少なく有用と考えられるが、低活性なことから実用化は進んでいない。本課題では、抗菌ペプチドのアミノ酸の部分的置換や、化学修飾により高活性な薬剤を開発する。同ペプチドの細菌外膜への結合による膜の高次構造や機能変化により得た、活性発現の構造指針に基づいて向上を図る。また、活性の定量的評価により実用性を検証する。
1626 バイオ水浄化システムを組み込んだ閉鎖循環飼育の開発 山本 義久 独立行政法人水産総合研究センター 岡 雅一 独立行政法人水産総合研究センター 世界的な魚需要の急増の受け皿として養殖産業は極めて重要であり、環境保全・高生産性が可能である閉鎖循環式養殖が脚光を浴びている。閉鎖循環飼育の水浄化システムでは水中の微細な懸濁物を除去する泡沫分離装置が有効であるが、装置の高いイニシャルコストの問題が潜在化している。そこで本研究では閉鎖循環システムに水中の懸濁物除去能力が優れた二枚貝等の水棲ろ過生物を利用にした「バイオ水浄化システム」の開発を目指す。
1627 近赤外領域における受光用有機燐光材料の開発 森宗 太一郎 詫間電波工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 本研究では有機受光素子の複合型デバイスとしての実用化を目標とし、受光素子特性において不可欠である近赤外領域での光学特性について検討する。使用する材料に三重項過程を有する燐光材料を用いることで、三重項によるエネルギー遷移を利用した受光素子について検討する。特に材料の薄膜状態での吸収、透過、発光の光学特性からエネルギー準位の関係を調べ、フタロシアニン系材料との積層化により近赤外領域に感度を持った有機受光素子への応用について検討する。
1628 発光デバイス材料の光励起過程評価システムの開発 矢木 正和 詫間電波工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 従来の光音響セルに関する重大な課題(感度、雑音、汎用性)を、全くユニークな方法により解決する特許を昨年出願した。光音響スペクトルは熱放出の励起スペクトルであるため、発光励起スペクトル(発光の励起過程)や光吸収スペクトル(全励起過程)と正確に比較することは、発光材料などの物性を調べる上で重要である。考案した光音響セルの特徴を生かしてこれらを同時に測定できるシステムの基本部分を構築し、その実用化の可能性を探る。

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 愛媛:40件  (JSTイノベーションサテライト高知)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1629 電磁波を受けて発熱する新規陶磁器製品の研究開発 大塚 和弘 愛媛県産業技術研究所 安岡 史朗 愛媛県産業技術研究所 平成17年度JSTシーズ育成試験で明らかとなった問題点を解決した、電磁波で発熱する特性を有する新たな陶磁器製品を開発する。過去のシーズ育成試験においては、電磁波による発熱陶磁器とはなったものの、焼成条件が特殊、かつ釉薬の施釉が困難などの問題が明らかとなっていた。本研究では、陶磁器原料に新たな金属系発熱材を混練し、食器等への成形技術、一般的な条件下での焼成について検討すると共に、熱膨張を抑制する素材等を活用し、より実用的な耐熱性陶磁器を開発する。
1630 イオン液体を利用した製紙スラッジの糖化に関する研究開発 中河 三千代 愛媛県産業技術研究所 森川 政昭 愛媛県産業技術研究所 製紙工程から排出される産業廃棄物である製紙スラッジは、焼却によるエネルギー回収や無機成分の機能材料化といったことが一部で行われているのみで、製紙スラッジに多く含まれているパルプ由来のセルロース分は焼却されている。本研究では、製紙スラッジ中のセルロースを資源として利用するために、製紙スラッジをイオン液体により処理し、セルロースを糖化する方法を検討することで、製紙スラッジを全量再資源化する技術を開発する。
1631 高機能繊維を用いた多層構造織物の開発と液体用フィルター素材への応用に関する研究 玉井 浩二 愛媛県産業技術研究所 石丸 尚志 愛媛県産業技術研究所 耐熱性・耐薬品性などに優れた各種高機能繊維の製織技術を確立し、今治タオル産地特有のタオル用二重ビーム織機を活用して開発した多層織り技術を基に、各層の密度・たて糸張力が異なる多層構造織物を開発する。実用性能として、寸法安定性・強伸度・耐薬品性などを評価し、目詰まりのしにくい液体用フィルター素材として展開する。
1632 キウイフルーツのツル(枝梢)の紙への利用技術開発 中村 仁 愛媛県産業技術研究所 門家 重治 愛媛県産業技術研究所 和紙の製造時には繊維の分散性を維持するため、水溶液の粘度を上げる必要があり、粘剤と呼ばれる増粘剤が用いられているが、現在使用されている粘剤は高価であり、その代替品が求められている。
我々は、愛媛県が全国1位の生産量を誇るキウイフルーツのツルからの抽出物が和紙の粘剤として有効であることを見出した。本研究では、ツル抽出物の抽出方法、保存方法、特性等を検討し、和紙製造での粘剤利用技術の開発を行う。
1633 「愛媛果試第28号」の高品質果実安定出荷のための高鮮度貯蔵技術の開発 井上 久雄 愛媛県農林水産研究所 喜多 景治 愛媛県農林水産研究所 県育成品種「愛媛果試第28号」は年末贈答用かんきつとして消費者の人気が高く、今後1月〜2月まで高品質な果実を安定的に出荷するための貯蔵技術が求められている。しかし、本品種は果皮が弱く、酸が低いため貯蔵性が低い。このため、貯蔵中の腐敗発生およびへた枯れや減酸を抑制するため、温州みかんで高い腐敗抑制効果を示すカワラヨモギ抽出物の効果的かつ実用的な処理技術を開発する。さらに、果皮の萎れを抑制するため、カワラヨモギ抽出物の処理に適した微細孔フィルム包装技術を開発する。
1634 デルフィニウムの省力的採種を可能にする遺伝子の利用技術の開発 岡本 充智 愛媛県農林水産研究所 栗坂 信之 愛媛県農林水産研究所 作物の雄性不稔形質は、採種の省力化や育種の効率化、開花期間の延長に影響するため、農業上重要な特性である。これまでに、代表研究者はデルフィニウムの雄性不稔形質を利用し、自家受粉による落花の発生しない系統を育成している。そこで、本試験ではこの系統の遺伝形質を分子生物学的に解析することを目的とする。
1635 スイーツなど新規食材用途に適したサトイモ品種の選抜と試作品の開発 淺海 英記 愛媛県農林水産研究所 栗坂 信之 愛媛県農林水産研究所 サトイモは古くから日本人が食用に供してきた食材であるが、用途は煮芋など総菜向けがほとんどで、加工用原料としての利用はほとんどない。そこで、サトイモの食材用途を新規に創出し、生産振興に資するため、愛媛県農林水産研究所で育成した新品種や保存品種の栽培、品質、機能性等の特性データを調査し、加工適性の高い品種を選抜する。さらに、選抜した品種を原材料に用いたスイーツなど加工製品の試作と評価を行う。
1636 牛初乳乳清由来の新規創傷治療用製品の開発 小池 正充 愛媛県農林水産研究所 藤岡 一彦 愛媛県農林水産研究所 初乳には、抗菌効果や細胞増殖効果を持つ機能性成分が多く含有することが知られているが、飲用乳としての出荷は認められていないため、子牛の哺乳に用いる以外、その多くは廃棄処理されている。そこで本課題では、ホルスタイン種乳用牛から得られた初乳を乳清に分離し、その機能性成分を解析するとともに、乳清の細菌に対する抗・制菌試験や培養細胞を用いた増殖試験などを行うことで、牛初乳乳清の創傷治癒効果を実験室レベルで検証し、初乳の新たな用途開発を目指す。
1637 体内菅腔縮小用次世代経カテーテルデバイスのクリップ開発 高橋 学 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 完全閉口せず微小クリップを用いて欠損孔を縮小する次世代の菅腔治療用経カテーテルデバイスの開発を行ってきた。そのカテーテルデバイスのクリップについて、超弾性特性を示す材料を適用し、形状、動作についてプロト開発を試みる。形状記憶合金線によるスプリングコイル加工・リング形状加工し、超弾性による形状復元力(スプリングバック)を調査する。クリップに必要な復元力をもつ構造を検討する。針格納機能のクリップへの付与を試みる。
1638 アジュバントを用いた世界初の魚類寄生虫ワクチンの開発 北村 真一 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 ヒラメは、アジアで重要な養殖対象魚種となっている。しかし、寄生虫病の一つであるスクーチカ症が本養殖に甚大な被害をもたらしている。我々はこれまでに、本症に対して、不活化ワクチンが有効であることを明らかにした。本ワクチンの商品化のためには、ワクチン効果をさらに上げることが必要である。そこで、本課題では、アジュバントを用いて本ワクチンの有効率の改善を試みるとともに、安価なワクチンを製造するための基礎研究として新規虫体培養法の確立を目的とする。
1639 水上パルス沿面放電への音波重畳効果を利用した高度水処理技術開発 門脇 一則 愛媛大学 神野 俊一郎 愛媛大学 流水上でのパルスストリーマ放電を用いた水中難分解性有機化合物の高効率分解を目的として、大気圧プラズマと超音波の重畳とによる効率向上を目指す。パルス形成線路内を極性反転して伝搬する進行波を用いて、容易に大気圧プラズマを引き起こすと共に、超音波の重畳による活性種と難分解性物質との反応促進を試みる。処理過程における水中有機物の分子構造を分析すると共に、COD値の低減に要するエネルギー効率を評価する。
1640 プラズマを利用した医療用治療装置の開発 野村 信福 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 研究の最終目的は、カテーテル内に挿入したワイヤーに超音波振動を伝播させると同時にそのワイヤー先端にプラズマを発生させる医療用治療装置を作ることである。この装置が実現できれば腫瘍細胞の凝固壊死、止血、血栓症等に対してのカテーテル治療が可能となる。この目的達成のため、血管内部などの狭隘空間の中で、超音波振動とプラズマが発生可能な装置を開発する。
1641 液中プラズマによる化合物半導体結晶の形成法の開発 豊田 洋通 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 本研究では、液中プラズマ化学蒸着法を用いて、従来では大がかりな真空プロセス装置を用いて行われてきた化合物半導体結晶の形成を、安全で簡単な装置によって、形成することを目標とする。液中プラズマ化学蒸着法を用いた時の化学結合における結合電子の授受を決定し、優先する化学反応から順に一連のプロセス反応を決定し、設計を行う。その液中プラズマプロセスを用いて高純度化合物半導体の形成実験を行い検証する。
1642 即発γ線を用いたコンクリート構造物の耐久性能診断手法の開発 岡崎 慎一郎 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 都市基盤を形成する既設のコンクリート構造物の耐久性能診断の重要性は現在高まる一方であり、非破壊検査のハード面は充実しつつあるものの、検査結果の有用な活用ができていない。これは、各種検査結果は、コンクリートのわずかな含水率の違いに大きく影響を受けることによる。本申請では、即発γ線を用いたコンクリート構造物の耐久性能診断手法の開発を行い、含水の影響を排除した計測手法の実現を目指す。この手法は透過性にも優れているため、表層と内部で大きく品質の異なるコンクリート構造物への適用に優れており、実用化すれば構造物の耐久性能診断の大きな進歩となりうる。
1643 燃料電池用改質水素燃料中のCO高感度センサの開発 山浦 弘之 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 燃料電池に供給する水素ガス製造プロセスにおいて、CO濃度を連続的にモニターできる小型で安価な全固体型COセンサが求められている。このような高還元雰囲気における低濃度や高濃度のCOのモニターが可能になれば、燃料電池システムのコスト低減が図られ、普及に弾みをつけることができる。本研究では、CO活性成分を高分散担持した酸化物半導体型センサの開発を行っている。
1644 マイクロ波反応プロセスの実用化技術の開発 小島 秀子 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 マイクロ波加熱は、有機合成反応を高速で進行させ、高収率、高選択的で生成物を得る画期的な加熱法であり、各種有機化合物の合成への利用が期待されている。しかし現在のところ実用化は進んでいない。その理由の一つは、どのような化合物の反応に適するかという指標が明らかでないことである。そこで本研究では、反応基質の極性などのパラメータに基づいたマイクロ波合成反応における指標を作成する。具体的には機能性色素などについて検討し、クリーンでエネルギーコストの低いマイクロ波合成法の実用化の促進を図る。
1645 室内・車内空間の揮発性有機化合物(VOC)濃度計測用センサの開発 森 雅美 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 酸素センサとして実用化されている固体電解質イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた電位応答型センサをVOCセンサとして応用することで、感度・選択性の向上を試みる。このタイプのセンサは、特定のVOCに対して特異的な酸化活性能を有する触媒微粒子を検知極材料とすることで高い選択性が得られることから、数種類のペロブスカイト構造を有する金属酸化物触媒を用いてセンサを作製し、それぞれの触媒の各種VOC酸化分解反応に対する活性能とVOCセンサとしての性能を調べる。
1646 柑橘由来の分岐ペクチンを用いた脂質吸収抑制剤の開発 辻田 隆広 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 ペクチンは、広く野菜や果物に含まれており、食品工業において食物繊維や増粘安定剤として使われている。代表研究者は、従来の方法では分解していた分岐した糖鎖を含むペクチン(分岐ペクチン)の抽出法を開発した。分岐ペクチンは、強い膵リパーゼ阻害作用を有する。本研究では、動物実験でこれらの分岐ペクチンの有効性について検討する。これらの結果を基に、柑橘由来の分岐ペクチンを用いた、肥満や高脂血症の予防に効果的で副作用の少ない脂質吸収抑制剤を開発する。
1647 石炭灰を主原料とした有害物質吸着材の開発研究 逸見 彰男 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 火力発電所の廃棄物である石炭灰(フライアッシュ)は、コンクリートの混和材料として古くから使用されているが、未だその活用は限定的であり、廃棄される量も多い。石炭灰とセメントを混合したものを土壌改良材として利用することが期待されているが、石炭灰やセメントに含まれる六価クロム等、重金属の溶出が懸念されるため、実施例は少ない。そこで本研究は、石炭灰を主原料とした、重金属等の吸着能力をもつ新素材を開発することにより、石炭灰と混合して使用することで重金属の溶出を抑制し、石炭灰の有効利用に資することを目的とする。
1648 脂肪酸アルキルエステル製造のためのCa系固定触媒の開発 川嶋 文人 愛媛大学 瀬野 英二 愛媛大学 バイオディーゼル燃料として使用される脂肪酸アルキルエステルの製造プロセスにおいて、現行の均一系アルカリ触媒法よりも効率よく、低コストかつ環境に優しいプロセスの開発を目的とし、流通プロセスで使用可能な固定触媒の開発を行う。これまでの検討結果からCa系触媒において高い触媒活性が見いだされており、本課題ではこれらの結果をベースに実用プロセスで使用可能な固定触媒の開発を行う。
1649 小麦胚芽無細胞タンパク質合成系を用いた免疫活性・成長改善機能性餌料添加剤の開発 森田 勇人 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 成長活性化因子は、脊椎動物の成長速度増進と免疫力向上活性を持つ。マダイの成長活性化因子では、構造上重要と考えられるアミノ酸に欠失/変異が導入されており、この欠質/変異を補完することで、内在的因子より高い生理活性を持つ機能性餌料添加剤を設計できると考えられる。本研究では、小麦胚芽無細胞タンパク質大量合成技術を応用して高活性マダイ機能性餌料添加剤を設計・合成し、成長速度・免疫力上昇効果の構造科学的見地からの解明並びに、養殖業への応用技術開発を行う。
1650 局所麻酔薬リドカインによる癌浸潤・転移阻害標的剤の開発とその応用 井上 博文 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 癌細胞の浸潤・転移抑制は癌治療の重要な課題のひとつである。我々はこれまでに低分子局所麻酔薬が癌の浸潤・転移を阻害することを報告し、その分子機序の一端を明らかにしてきた。この作用機序には膜型増殖因子遊離が関与していることが示唆されており、局所麻酔薬が癌自身の生物活性制御に効果的であると思われる。本研究では、この分子機構に基づき、より高い浸潤・転移阻害活性を持つ局所麻酔薬類似化合物を創出し、新規癌浸潤・転移阻害・麻酔剤の創薬と応用を目指す。
1651 超音波の伝搬映像を利用した複合材接着構造の損傷画像化技術の開発 矢代 茂樹 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 近年、航空機・ロケットをはじめ、自動車へも複合材料の使用量・率が拡大する中、部材の接合部で接着継手の増加が見込まれる。本課題では、超音波の伝搬を映像化する技術を利用し、接着継手の安全性を評価する技術を開発する。具体的には、超音波の伝搬映像から接合部の接着はがれを短時間で検出すると同時に、損傷を画像化して表示し、保守検査において損傷を容易に発見できる技術の開発を目的とする。特に、疲労損傷に対する超音波映像化試験と損傷の画像化手法(ソフト)の開発を行う。
1652 天然抗菌分子による点眼薬開発のための眼瞼マイボーム腺の培養と分泌膜小胞の活性化に関する研究 永井 彩子 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 代表研究者らは、皮膚を乾燥や感染から保護する脂腺細胞の長期培養法を確立し、皮脂や抗菌機能を持つ新規分泌膜小胞、セボゾームの遊離を発見した。眼瞼マイボーム腺は、脂腺細胞ファミリーで、その機能不全はドライアイや炎症の原因となる。今回、マウスの同腺細胞の培養法を確立し、抗菌、保湿機能が期待できる膜小胞の分泌や機能についてセボゾームと比較検討し、これを有効な天然の点眼薬添加物として実用化する。
1653 農薬に依存しないマイクロバブルオゾン水利用による安心・安全な農産物生産技術の確立 福元 康文 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 オゾンは強力な酸化力(殺菌力)を有し、上下水道をはじめ、医療、食品等で利用され効果を発揮している。しかし、毒性が強く気相でオゾンを利用するには危険を伴う。マイクロバブルオゾン水製造装置は、水に難溶なオゾンを高効率で水中に短時間で溶解させることが可能である。さらにオゾンが空気中に排出されず安全性が高い。高殺菌力を持つマイクロバブル水を用い、農薬に依存しない安全・安心な農産物の生産技術の構築を目指す。
1654 希土類ガーネット系磁性材料の微粒子化と焼灼療法への応用 青野 宏通 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 本研究は、希土類ガーネット系(R3Fe5O12系、Rは希土類元素)磁性材料について、癌の焼灼療法への応用を目指した交流磁場中で発熱する新規希土類複合材料の作製を目的としている。この発熱能を高めるために、①希土類置換により材料そのものの磁気モーメントを高める、②相変化によりヒステリシス損失を高める、③ナノ微粒子化により単磁区として飽和磁束密度を高める、などの手法を行なうことにより、発熱材料の設計指針を明確にすると共に、目的材料の実用化を目指す。
1655 天然甘味料糖アルコールの簡易含量測定技術の開発 渡部 保夫 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 果実や発酵食品に大量に含まれる天然甘味料であるソルビトール、マンニトール、アラビトール、グリセロールなどの糖アルコールの簡便な計測技術のニーズが高まってきている。 本研究では、これら糖アルコールに個別・特異的に反応する酵素を遺伝子組換えにより製造し、糖アルコール4種の測定技術を確立する。さらに、食品サンプルから本測定法に適する分析試料を得るための糖アルコール抽出法を確立する。
1656 交流磁場誘導焼灼療法用の安定した発熱特性を有する無方向性磁性体針の開発 猶原 隆 愛媛大学 入野 和朗 愛媛大学 本研究の目標は、人体内部に留置した磁性体を磁場中で加温して腫瘍を壊死させる、新しい癌治療法の確立である。しかし、深部臓器癌に適用する場合、腫瘍はコイルに挿入された状態となり、その位置や深さにより針の刺入角度が異なる。そのため、コイル内の磁束方向と針の角度の相違で発熱特性が変化して、正確な温度制御が不可能となる。本研究では、この課題を克服するため、磁場に対し無方向性で、安定した発熱特性を持つ焼灼用針を開発する。
1657 ネットワークカメラによる移動物体の自動追尾システムの開発 木下 浩二 愛媛大学 尾賀 忠 愛媛大学 自動監視システムの構築において、移動物体の自動追尾は重要な要素技術である。そこで、回転可能なネットワークカメラを用いた、簡便な自動追尾法を提案する。回転観測系を用いると、カメラの設置台数が削減できる。さらに、監視システムへの応用では、画素単位の正確な追尾は必要なく、画面の中央辺りに物体を追尾する程度で十分である。そこで、見掛けの動きの計算法を工夫し、追尾処理を単純化する方法を提案する。
1658 独自のリン−炭素結合変換反応を用いる機能性物質の創成 林 実 愛媛大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 本研究は、代表研究者らが最近発見したカルボン酸から有機リン化合物への新しい触媒的変換反応を利用して、機能分子材料の創成を目指すものである。既に見出している素反応により、これまでとは全く異なる方法で官能性有機リン化合物合成を達成することで、新たな分子設計・合成設計が可能となり、触媒や金属捕集材料、難燃材料などを指向した新たな有機リン系機能材料開発における大きな波及効果が期待できるものである。
1659 機能的 small RNA を用いた新規口腔癌治療法の開発 中城 公一 愛媛大学 塩崎 紀子 株式会社テクノネットワーク四国 ヒト癌の治療に、癌細胞の増殖、浸潤、転移を支持する分子を標的とする治療法が応用されるようになっている。一方、RNAi 技術は生命科学研究において頻繁に利用されている。また、医薬品への応用も期待され、種々の難治性疾患に対する臨床治験が米国で進められている。本試験では、機能的 small RNA の腫瘍組織を用いた抗腫瘍活性評価法を開発し、複数の癌関連遺伝子を標的とする機能的 small RNA を組み合わせることにより、最大の抗腫瘍効果を発揮する併用方法を探索する。
1660 赤血球保護作用を持つ脂溶性高麗人蔘成分の循環改善剤、血液保存剤、貧血治療薬への応用 満田 憲昭 愛媛大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 代表研究者らは高麗人参抽出液中より、酸化ストレスに対する赤血球膜タンパク質保護効果を持つ2成分を見出した。これらの成分は、赤血球膜上のBand-3タンパク質の酸化を抑制することにより、赤血球の変形能やガス運搬能を維持している。このことは、脾臓や肝臓における赤血球の破壊の抑制にもつながる。そこで、これらの成分の循環改善剤、血液保存剤、貧血治療薬としての医学・薬学分野での応用を目指す。
1661 がん特異性とがん病巣集積性に優れる新規細胞免疫療法の開発 安川 正貴 愛媛大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 現在国内で、活性化リンパ球を用いたがんに対する細胞免疫療法が実施されているが、投与するリンパ球のがん特異性とがん病巣集積性に劣り、期待される治療効果が得られていないのが現状である。これらの問題を克服するために、がん特異的T細胞レセプター遺伝子とがん組織に高発現されるケモカインに対するレセプター遺伝子を同時に強制発現させた細胞傷害性T細胞による新規がん細胞免疫療法を発案した。このことによってがん治療効果の飛躍的な向上が期待できる。
1662 口腔扁平上皮癌における新規インテグリン阻害剤の開発 荒本 孝良 愛媛大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 口腔扁平上皮癌において細胞外接着因子のレセプターであるインテグリンファミリーが多く発現し、転移浸潤に大きく関わっていることが知られている。そのうちbeta4 integrinは口腔扁平上皮癌細胞株に多く発現しており、細胞運動性に大きく関与していることが我々の研究で判明した。 本試験ではbeta4 integrin及びヘミデスモゾーム関連タンパク質に対するsiRNA、microRNAを同定し、新規のインテグリン阻害治療薬として確立することを目指す。
1663 画像の同時性補償をした超高速度X線フレーミングカメラの開発 伊藤 芳浩 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 一般的な超高速度カメラは、光電効果を用いて光画像を電子の空間密度に変換し、パルス状の電界を加えることで、ナノ秒、ピコ秒の超高速シャッタリング動作を行う。本課題の目的は、超高速度X線フレーミングカメラの画像の同時性を光電子の走行時間を制御することで補償することである。目的の走行時間を得るためには、光電面を僅かに傾けるだけでよく、可視光ではこれで同時性補償は達成できる。X線の場合には透過力が高いため、全てが光電面で変換されずに一部が透過してしまうので、このアプローチだけではうまくいかない。そこでキャピラリプレートを用いて透過する不要なX線を減衰させる。
1664 農業生産に関する省エネルギー技術開発 ダワァ ガンバット 弓削商船高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 農産物の農業生産性を維持しつつ、暖房経費を節減する方法の一つに、温室内の気温を低めに設定し、地温を部分的に高める技術が知られている。しかし、品種ごとの最適気温、地温の温度など、実用化に向けた研究は進んでいない。本研究は土壌や培地内の水の動きや流量及び温度分布を熱工学的なアプローチにより、各品種ごとの最適条件を定量的に導き出し、天候に左右されない高品質の農産物を、低コストで生産することを目指す。
1665 柑橘類果皮に含まれる脳機能活性化物質の単離とサプリメントへの応用 古川 美子 松山大学 葛谷 昌之 松山大学 柑橘類をはじめ植物にはカテコール類、ポリフェノール類など様々な物質が含まれているが、その多くは低分子であることから血液脳関門を通過し、直接脳の神経細胞に作用する可能性がある。本課題では、神経細胞内の基幹シグナル伝達分子であり、脳神経細胞の機能を高め、記憶・学習や認知機能など幅広い高次脳機能に不可欠の分子と解明されつつあるmitogen-activated protein kinase (MAPK)ファミリーErkの活性化を指標として、柑橘類果皮に含まれる脳機能活性物質を単離・同定し、脳活性化サプリメント開発へと発展させる
1666 CPT信号を用いた小型原子発振器の開発と応用 福田 京也 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 レーザー光による量子干渉効果(CPT信号)を用いると、マイクロ波共振器が不要となるため原子発振器の小型化が可能である。今回、マイクロ波周波数で変調された二つの波長のレーザー光をセシウム原子セルに照射することでCPT信号を取得し、この信号を用いて小型原子発振器を開発、周波数安定度を評価する。発振周波数は外部環境磁場に依存する。そこでこの発振周波数の変化を観測し、非常に高感度な磁気センサーへの応用を模索する。
1667 ディーゼルエンジン排出粒子状物質の低温酸化触媒の開発 中山 享 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 ディーゼル車から排出される粒子状物質(PM)中の主成分である微粉炭の除去に注目して、「ディーゼル・パティキュレート・フィルター」に使用する新しい炭素酸化触媒の開発を目的としている。現時点で最も優れた炭素酸化触媒(400℃付近で燃焼できる)としてペロブスカイト系セラミックスとセリア系セラミックスが報告されているが、本研究課題の最終目標は「ディーゼルエンジン」の低い排ガス温度に近い350〜400℃以下でのPM燃焼を目標としている。
1668 バイオフィルムを用いた海洋生物の付着防止技術の開発 早瀬 伸樹 新居浜工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 海洋に浸漬したフィルター上に形成するバイオフィルムやイルカの皮膚から分離した細菌が形成するバイオフィルムに、フジツボや珪藻の付着を防止する活性を有することをこれまでに明らかにしている。このバイオフィルムの海洋生物付着防止機構を積極的に活用し、本機能の海洋生物付着防止技術への応用展開を図る。

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 高知:41件  (JSTイノベーションサテライト高知)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1669 セルロースを用いたレアメタル回収材の開発 岡ア 由佳 高知県工業技術センター 津嶋 貴弘 高知県工業技術センター 近年、レアメタル(希少金属)はその固有の金属特性から、多くの産業で幅広く使用され、国内産業にとって必要不可欠な金属である。しかし、産地の多くの情勢不安やアジアを中心にした需要の急拡大等により、国際的な需要逼迫、価格の高騰等の事態を招いている。このような状況下において、国内での安定供給をはかるために、レアメタルのリサイクルに関心が集まっている。そこで本研究では、レアメタル資源確保のための回収及びリサイクルを目的としたセルロースを保持材とするレアメタル回収材の開発を目指す。
1670 近傍情報を用いた複数アクチュエータの同調制御法の開発 刈谷 学 高知県工業技術センター 本川 高男 高知県工業技術センター 産業機器においてN台のアクチュエータの同調を考えた場合、あるアクチュエータは残りのN−1台との関係を考慮して制御出力を決定する必要があり、システム全体ではN×(N−1)個の関係を考慮する必要がある。これでは、アクチュエータの増加に伴い演算量が増加し、その調整則も複雑化する。応募課題では、自律分散型の制御構造を考え、各アクチュエータの制御出力を近傍の情報と自情報から決める方法を検討し、制御出力の決定の要する演算量の低減と調整則の簡単化をはかる。
1671 促成ニガウリの新整枝法「収穫枝連続更新法」を用いた省力・多収生産技術の確立 橋田 祐二 高知県農業技術センター 山崎 浩司 高知県農業技術センター ニガウリは機能性の高い野菜として夏場を中心に消費が急速に拡大してきた。近年では、冬春期にも需要が増加しつつあり、高知県においても、一部の地域で促成栽培の取り組みが始まっている。しかし、高夜温での管理が必要なことや収量が十分でないことから産地形成が進んでいない。当センターでは、これまでに開発した整枝技術「収穫枝連続更新法」を用いると収量が向上することを確認した。そこで、より省力的な収穫枝連続更新技術を検討するとともに、ミツバチ交配における着果技術を明らかにし、10a当たり15t以上の省力・多収生産技術を開発する。
1672 軟X線照射花粉を利用したヒュウガナツの種なし果実安定生産技術の開発 廣瀬 拓也 高知県農業技術センター 田中 満稔 高知県農業技術センター果樹試験場 「ヒュウガナツ」は、単為結果性(受精せずに果実が着果すること)が低いため、種なし果実の生産は極めて不安定である。同様に単為結果性が低い「ブンタン」では、軟X線を照射した他品種の花粉を受粉することで種なし果実が生産できることが明らかにされている。そこで、この技術を用いて「ヒュウガナツ」の種なし果実を生産するために最適な花粉品種並びに軟X線照射適線量を明らかにする。
1673 製紙廃棄物を利用した高強度木質ボードの開発 近森 啓一 高知県立紙産業技術センター 関 正純 高知県立紙産業技術センター ペーパースラッジ(PS)とは製紙ワイヤーを通過した微細な流出原料を回収したものであり、乾燥換算にして全国で年間に約190万トン発生している。PSの利用法として過半数はセメント原料として使われているが、受入れ量には限界があると言われる。本研究では、廃棄物であるPSの新たな有効利用方法として、短繊維ゆえに高密度化が可能なPSの性質を利用して、硬化剤を使わず圧縮成形のみで、環境負荷の少ない、付加価値の高い、軽量かつ高強度な木質ボードを作ることが目的である。
1674 紫外線カット性・断熱性・耐久性を併せ持つ無機系球状体複合シートの開発 澤村 淳二 高知県立紙産業技術センター 関 正純 高知県立紙産業技術センター 近年、オゾン層破壊や地球温暖化から生活環境を守るため、有害紫外線のカット機能、断熱・遮熱機能の必要性が叫ばれているとともに、これらの機能をより強化した新しいシート状製品が求められている。そこで、本研究では、紙及び不織布の表面に、無機系球状体を敷き詰め固定化することで、紙や不織布の雰囲気を損なわず、紫外線や赤外線を吸収・乱反射させて遮蔽するだけでなく、耐久性も高い機能紙を提供する技術を開発する。
1675 低エネルギー電子線励起用 積層薄膜蛍光体のプラズマ処理による高効率化 松田 時宜 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 蛍光体はランプや薄型ディスプレイに必要不可欠な材料である。鉱物資源確保が国家戦略として叫ばれる中で、希土類を多く含む蛍光体に関しては対策が十分ではない。そのため、レアメタルを含まない薄膜蛍光体を基板に直接形成する技術を提案する。薄膜蛍光体の輝度が低く発光中心の活性化のために高温が必要であるという一般的な課題を低温でプラズマ処理することで解決を図る。各蛍光体薄膜を積層し、新規薄膜蛍光体を実現する。
1676 重度患者も安全・快適に使用できる新型歩行訓練機の開発 王 碩玉 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 理学療法士の負担低減可能な且つ早期回復できる「全方向移動型歩行訓練機」を開発して、2年間の臨床試験によりその有用性が認められた。しかし直位姿勢保持筋力の無い重度患者には適用できない。そこで、重度の患者でも、使用可能な「新型歩行訓練機」を開発する。三大特長がある。①上半身のガードで訓練中の転倒を防止し安全性を確保する。②高低調整により楽な姿勢で訓練できる。③全方向移動メカニズムを備えたことで、早期回復効果が得られる。
1677 走査型誘電泳動法による浮遊腫瘍細胞のワンステップ診断と識別回収 古沢 浩 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 走査型誘電泳動法(走査法)とは、液中への差し込み式走査型電極対の自在操作と先端対間の高電場域に起因した細胞の誘電泳動の連携により、非接触での微小物体の識別操作を実現する技術である。本課題では、 浮遊腫瘍細胞の “超”早期診断 の実現を目指して、周波数変調波を印加した走査型電極対による血液など体液中の3次元スキャン機能を有する細胞解析分離システムを開発し、白血病細胞の迅速診断と正常細胞からの識別回収を実証する。
1678 駆動方向制御が可能な液晶マイクロアクチュエータの開発 蝶野 成臣 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 「液晶」=「ディスプレイ」という図式が成り立つほど、液晶の応用はディスプレイに限定されてきた。しかし液晶は、本来固体と液体の中間の状態にある物質の総称である。従って固体や液体と同程度、またはそれ以上の応用例があってしかるべきである。本研究は、これまで一方向駆動に限定されてきた液晶アクチュエータに、壁面の分子配向状態を複合化して方向制御機能を持たせることにより、実用化を視野に入れたマイクロアクチュエータの開発を目指す。
1679 液晶を使った小型モバイル機器向け超低消費電力アクチュエータの開発 三枝 嘉孝 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 現在、携帯電話などモバイル機器の小型化に伴い、低電圧駆動、低消費電力のデバイス装置が必要とされている。すでに、ディスプレイ用バックライトやアンテナなど省電力化の進んだ分野もあるが、アクチュエータやモータなど動力発生装置の省電力化は遅れている。本研究では、液晶を用いた超低電圧駆動、小型モバイル機器向けアクチュエータの開発を目的とし、プリント基板上に液晶セルを作成し低消費電力駆動が可能かを検討する。
1680 SEM 中マイクロプラズマ処理装置の開発 八田 章光 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 本課題は走査型電子顕微鏡中で試料を観察しながら、局所的にマイクロプラズマ処理を行う技術の開発である。マニピュレーター先端に取りつけたマイクロオリフィスから試料の近傍にマイクロガスジェットを噴射し、オリフィスを電極として直流、パルス、および高周波の放電によってマイクロプラズマを生成する。反射電子像を観察しながら、その場でガスの選択により局所的な薄膜コーティングやエッチングなどの微細加工が可能となる。
1681 海洋細菌由来抗がん性色素の新しい生理活性 榎本 恵一 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 海洋細菌から得られる抗がん性色素の細胞内標的分子とそれに対する作用を明らかにするため、細胞内シグナル伝達機構に対する色素の効果を検証する。特に発がんに関わる標的分子に対する色素の効果を調べ、医薬や診断・研究用試薬としての利用を図る。
1682 減衰可変とエネルギー回生を実現するインテリジェント短下肢装具の開発 芝田 京子 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 片麻痺患者が使用する従来型の短下肢装具は転倒防止を目的として足首を固定しているため、なめらかな歩行が困難となり、患者への負担も大きい。そこで、歩行のタイミングにあわせて足首の抵抗を変化させることで患者が自然な歩行を行えるように可変制御を行う。このとき必要なエネルギーを抵抗となるアクチュエータで回生することで、バッテリーの交換なしで長時間自然な歩行を支援できる軽量の短下肢装具を開発する。
1683 プラズマ気相成長法による微結晶シリコン初期成長制御に関する研究 古田 守 高知工科大学 都築 俊夫 高知工科大学 本研究は、気相成長法による微結晶シリコン薄膜の初期成長(インキュベーション)制御を行い、高効率太陽電池や高性能薄膜トランジスタに使用可能、かつ大面積基板への展開が容易な高品質微結晶シリコン薄膜形成手法を開発するものである。
1684 土佐漆喰壁の耐震性能評価 村本 真 高知工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 高知県において発展してきた土佐漆喰壁を耐震要素として用いることを目標に、耐力評価のための繰り返し載荷実験を行う。土佐漆喰壁はその構築方法も様々であり、それらの耐力性能についても調査が必要である。伝統技術である土佐漆喰壁の積極的な利用を推進するためにも基礎的な実験データの蓄積が必要である。本研究では、まず土佐漆喰壁の耐力評価を目標とし、次に荷重変形関係のモデル化を検討する。
1685 酸化亜鉛を使ったセンサ素子の高速応答のための開発 岸本 誠一 高知工業高等専門学校 今井 正三郎 新居浜工業高等専門学校 酸化亜鉛はバンドギャップ・エネルギーが広いことや結晶表面がその雰囲気に敏感であることから、紫外線やガスを検知するセンサ材料として注目されている。しかし一方で、紫外線照射やガス分子付着に対する応答速度が遅いことが問題点として指摘されている。そこで、実用化のために、酸化亜鉛薄膜の製膜プロセスから電極形成までを応答速度に注目して総合的に検討する。
1686 ストレスが惹起する疲労を予防する食品の開発 川村 美笑子 高知女子大学 彼末 富貴 高知女子大学 生体内のMgは精神的ストレスにより量的に低下することから、中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られている。本研究では、代表研究者らが開発・作出したミネラルトレハが、消化管からの吸収効率が良く、血漿Mgの回復作用を有するという特性を生かし、ストレスに起因する疲労を予防するための食品を開発することを目的とする。
1687 抗生物質に依存しない画期的な微生物分子育種法の開発と有用素材生産への応用 芦内 誠 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 微生物の生産能力を実用レベルにまで押し上げるべく分子育種技術の開発が進んでいるが、その多くは根本的に安全性や環境調和という面で適切性を欠いている。すなわち、選択圧条件として抗生物質を大量に投入しなければならないのが現状である。本研究では、微生物細胞に導入された有用機能が抗生物質なしでも長期間安定に維持できる画期的な分子育種技術を確立するとともに、このシステムを活用し産業新素材として期待されているバイオポリアミド類の製造効率化を図る。
1688 バイオマス由来化合物からのアクリル酸製造 恩田 歩武 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 バイオマス由来の原料からの石油代替素材の創生は喫緊の課題である。本課題では、バイオマス資源由来のアクリル酸を製造するための新規固体触媒の開発を目指す。従来技術で、アクリル酸は石油を原料として製造されているが、石油由来の場合には炭化水素を酸化する過程に問題がある。一方で、バイオマス原料は酸素原子を含有しており、CO2など副生成物の抑制が容易であり、炭素収率よくアクリル酸などの含酸素有機化合物を得る原料として適している。固体触媒開発は水熱合成法を駆使して行う。
1689 金属ナノ構造体を利用した微量検体検出用プラズモンセンサーの開発 渡辺 茂 高知大学 安田 崇 株式会社テクノネットワーク四国 高齢化社会を迎え予防医療の重要性が増しており、有用な検査を自宅で手軽に行うことができたらという社会ニーズが高まっている。検体の採取量が限られる在宅検査では、装置の小型・軽量・低価格化に加え、微量検体に備えてセンサー検出部の微小化が不可欠である。本研究では、光ファイバーなどの微小領域に形成した金や銀などの貴金属ナノ構造体を検出部とし、その表面に励起される局所表面プラズモンをプローブとして迅速・高感度な微量検体検出用センサーを開発する。
1690 IL-27の分泌制御可能な樹状細胞の作成とその応用 谷口 武利 高知大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 IL-27は感染初期にnaiveT細胞に作用してTh1への誘導に重要な役割を果している。IL-27は、EBI3 とp28からなるが、特にp28遺伝子が転写レベルで制御されており、感染に伴いAP-1の作用でIL-27p28が誘導されることを明らかにした。最近、IL-17が、関節リュウマチなど炎症性の疾患に関わっており、IL-27がこのIL-17の分泌を抑制し、炎症を制御することが示唆された。そこで、関節リュウマチの実験系(CIA)にIL-27の産生を制御できる樹状細胞を用いてその治療効果を明らかにする。
1691 フローサイトメトリーによる白血病細胞増殖機構の解析・治療戦略決定への応用 池添 隆之 高知大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 我々を含め国内外の研究グループの報告から、急性骨髄性白血病では細胞増殖を刺激する様々なシグナル伝達機構(PI3K/Akt/mTOR、 MEK/ERK、 JAK/STATなど)が活性化していることが明らかとなった。また、これらのシグナルの活性化状況は患者生命予後と逆相関する可能性が示唆されている。我々はフローサイトメトリーを駆使し僅かな検体量で各種シグナルの活性化状況を瞬時に明らかにして患者の生命予後を予測したい。それにより患者を層別化して、治療法を選択決定するシステムの構築を目指す。
1692 胸部CT画像によるじん肺自動診断の開発とその臨床応用 菅沼 成文 高知大学 大山 真吾 株式会社テクノネットワーク四国 鉱物性粉じん吸入に起因するじん肺は胸部エックス線写真で健診されるが、判定者間の不一致が問題となる。一方、単一結節影を主病変とする悪性疾患のコンピュータ支援診断(CAD)の中にはR2 (Hologic, Inc., CA)のように米国での乳がん検診で一次読影に実用されているものもある。じん肺CADに関する研究は草創期には肺がんなど単一結節影検出用に先んじていたが当時の技術では実用化できなかった。しかし、近年のコンピュータ技術の進歩により可能性が高まった。
代表研究者は、じん肺臨床画像研究グループの一員として文部科学科研や厚生労働科研による研究の中で、DICOM方式でCT画像データを収集しじん肺画像データベース(福井DB)を構築してきた。この貴重な症例集を用いてILO国際胸部エックス線じん肺分類を補完する職業性呼吸器病のための国際HRCT分類(ICOERD)(Kusaka 2005; Suganuma, IAOEH 2006; Suganuma, JOH 2009)を国際共同研究により開発し、その健診応用に向けて富士通と共同でICOERD-Viewer Ver.1を開発した(Suganuma, RSNA 2007; Suganuma, ICOH 2009)。これはじん肺のCT所見を細分化しそれぞれにスコアを与えて半定量化する支援ソフトである。現状では医師がビユアー上で観察しそれをスコア化するが、この延長線上に、木戸尚治(山口大学)らがびまん性間質性肺炎のスコア化のために開発したアルゴリズムを応用し、じん肺の自動スコア化を実現すべく準備を重ねてきた。また、画像の3次元化を考慮して新たに収集した高知じん肺画像DBを検討に用いる。こうして完成するじん肺CT-CADはじん肺読影医養成の際の精度管理のツールとして利用可能であるし、大量の健診画像の一次読影としても利用可能である。
1693 ヘリウム4のみを冷媒とする1K以下の小型冷凍機の開発 西岡 孝 高知大学 土取 孝弘 株式会社テクノネットワーク四国 絶対温度1K以下の極低温環境は基礎研究やテラヘルツ産業に重要な技術であるが、現状では極低温を冷凍機で実現するためには高価な3Heを冷媒としたジュール=トムソン(JT)回路を用いている。我々は今までの研究でJT回路を使用せずに1K以下を実現する方法に成功した。本研究の目的は、冷媒として3Heの数万分の1の価格の4Heのみを用いて、さらに液体ヘリウムフリーで1K以下を実現することである。これは、コストパフォーマンスを大幅に向上させ、テラヘルツ産業などへの利用を促進することが期待される。
1694 物理的刺激が血管平滑筋ミネラロコルチコイド作用に及ぼす効果の評価法の確立 次田 誠 高知大学 石塚 悟史 高知大学 近年、血管平滑筋などの非上皮性細胞で、アルドステロンやコルチゾールなどの副腎皮質コルチコステロイドが MRを介して炎症・線維化を惹起する可能性が報告され注目を集めている。一方血管平滑筋は、炎症ストレスのみならず物理的ストレスを常時受けている。しかし、それが細胞内ステロイド代謝および GR/MR を介したステロイド作用にいかなる影響を及ぼすかは明らかにされていない。我々は血管平滑筋細胞に機械的伸展刺激を与える物理的ストレスが、細胞内ステロイド代謝の変化を介して動脈硬化関連遺伝子の発現に影響を与えるか否かを解明し、その評価法を確立する。
1695 新規ペプチドホルモン・ウロコルチンの腎性尿崩症尿崩症治療への応用 岩崎 泰正 高知大学 石塚 悟史 高知大学 難病である「家族性腎性尿崩症」の新たな治療法の開発。内容:腎性尿崩症に対しウロコルチンという最近見出された内因性の神経ペプチドを用いることにより、V2受容体に変異が存在しても、異なった受容体(CRF1/2)を介して細胞内の cAMP 産生を刺激し、結果的にバソプレシンの作用と同様の効果を発揮させる新しい治療法の開発を試みる。
1696 末梢神経電気刺激法による静脈血栓塞栓症の予防効果に関する臨床研究 池内 昌彦 高知大学 石塚 悟史 高知大学 静脈血栓塞栓症は生命を脅かす疾患であり、脱水、手術、骨折、麻痺、寝たきりなどが原因で生じる。現在、各種理学療法や薬物療法が行われているが不十分な場合がある。末梢神経電気刺激法は、簡便でかつ安全に施行でき、静脈血栓塞栓症予防効果以外にも様々な効果が期待できる有望な方法である。
1697 省エネルギー型生産に適する優良菌床シイタケ菌の開発 大谷 慶人 高知大学 石塚 悟史 高知大学 元来シイタケ菌は冷涼な条件での生育に適するもので、夏場に30℃を超える高知県などの地域では栽培管理が難しい。そこで温暖な高知県などでも温度調節を必要とせず、形質、風味、味覚などの品質の優れた菌床栽培用のシイタケ菌を品種交配により作製することを目的とする。
1698 複合的光力学診断に基づく人工知能を用いた癌判定内視鏡システムの新規開発 井上 啓史 高知大学 石塚 悟史 高知大学 本課題は、膀胱癌に対する内視鏡診断において、従来の白色光観察に加え、蛍光観察および狭帯域光観察という合計3種の異なる波長域の特殊光による同一部位の光力学的観察を複合的に画像情報とし、さらに従来は確定診断に十分活用されなかった膨大な臨床情報を併せて、人工知能に包括的に学習させ、これら学習結果を内視鏡診断に直接かつ即時に活かす最高精度の癌判定内視鏡システムの新規開発を目指すものである。
1699 共役輸送担体 SGLT の癌細胞における発現機能解析と糖代謝を標的とする新規抗癌治療戦略への応用 田口 崇文 高知大学 石塚 悟史 高知大学 近年、細胞膜を介した糖取り込みやグルコースセンサーとして働くナトリウム/グルコース共役輸送担体: SGLT が、糖尿病や癌治療戦略の新規標的因子となりうることが示唆されている。 本研究では、SGLT 遺伝子の癌細胞における発現機能解析とシグナル伝達経路に関連する遺伝子群を明らかにすると共に、細胞内糖代謝機構を標的とする新規抗癌治療戦略への応用を検討する。
1700 前立腺癌の次世代バイオマーカーの開発と臨床応用 田村 賢司 高知大学 石塚 悟史 高知大学 前立腺特異抗原(PSA; Prostate Specific Antigen)は最も広く用いられている前立腺癌のスクリーニング検査の一つであるが、前立腺癌の有病率は従来考えられていたよりもはるかに高く、生検が推奨されるPSAの閾値を下げれば下げるほど、過剰診断が増えることが明らかになっている。理想のマーカーとしては、早期の前立腺癌を検出するにとどまらず、患者の予後を反映するものが望ましい。つまり、すぐに治療が必要な進行の早い癌なのか、生命に影響を及ぼすとは考えにくいため経過観察すればいい癌なのかということである。本研究は、PSAに替わる次世代バイオマーカーの開発とその臨床応用を目的とする。
1701 ウイルス関連造血器腫瘍におけるウイルスを標的にした新規治療法の開発 大畑 雅典 高知大学 石塚 悟史 高知大学 ウイルスは様々な発癌に関与している。Epstein-Barrウイルス (EBV) による悪性リンパ腫はその代表である。これらEBV関連リンパ腫の治療は通常のリンパ腫と同じ化学療法が施行されるが、その治療成績は満足できるものではない。腫瘍化にウイルスが密接に関与している以上、ウイルスを標的にした新しい治療法の開発はより良い治療成績をもたらすことが期待される。本研究では、ウイルスを標的にしたEBV関連造血器腫瘍に対する新規治療法の開発に向けての研究を行なう。
1702 食品や血液中の機能性β-1,3-1,6-グルカンの特異的定量法の開発 永田 信治 高知大学 石塚 悟史 高知大学 キノコや海藻、酵母で免疫賦活能が期待される多糖は、β-1、3結合とβ-1、6結合でグルコースが連なるβ-グルカンである。原料、栽培法、土壌など環境条件でβ-グルカンの量と質は変化するので、特異的なβ-グルカン定量法はない。血中では微生物を認識する生体分子を用いてβ-グルカンの検出が行われるが、直接的な定量法ではない。そこで、β-1、3-グルカンとβ-1、6-グルカンに特異的な微生物酵素を用いた機能性β-グルカン定量法を確立する。
1703 SoC論理設計とレイアウト設計データの継承型ECO設計法の研究開発 豊永 昌彦 高知大学 石塚 悟史 高知大学 大規模電子回路の製造微細化により高性能SoC 設計は、論理修正とレイアウト修正の繰り返しによりタイミング調整をする設計フロー(ECO設計フロー)が不可欠である。しかし、回路修正は新たなタイミング問題を生じるため収束が困難である。本研究は、修正前後の論理とレイアウト設計のデータ継承を保証した新ECO設計法の確立により、この設計収束の問題解決図る。
1704 多血小板血漿を用いた皮膚潰瘍の新しい治療法開発 高橋 綾 高知大学 北添 英矩 高知大学 近年社会の高齢化に伴い肥満、下肢静脈瘤、糖尿病、動脈硬化症などによる下肢の難治性皮膚潰瘍の患者が増えている。血小板を濃縮した多血小板血漿は、創傷治癒を促進する成長因子を高密度に含むため、再生医療・創傷治癒の側面からも注目されている。今回、多血小板血漿の皮膚潰瘍治癒促進に及ぼす影響を検討し、標準化された皮膚潰瘍治療法として確立させ、将来的には患者ごとのオーダーメイド治療に発展させたいと考えている。
1705 糖尿病性腎症の早期診断のための新規尿中バイオマーカーの開発 井上 紘輔 高知大学 北添 英矩 高知大学 わが国では、糖尿病患者の増加にあわせ糖尿病性腎症も増加の一途をたどり、1998年以降、糖尿病性腎症が慢性維持透析導入の原因疾患の一位となっている。さらに糖尿病患者の透析導入後の5年生存率は約50%と予後不良である。糖尿病性腎症の発症をより早く発見できる尿中バイオマーカーの開発は、治療の早期介入を促し、糖尿病性腎症の予後改善に貢献できると考えられる。近年、急性腎障害において、NGAL(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)、IL-18、 L-FABP(liver-type fatty acid binding protein)等の尿中バイオマーカーの変動が報告されており、糖尿病患者の尿検体での同マーカーの変動と腎症病期との相関を調べ、糖尿病性腎症の新規バイオマーカーとなりうるか検討していく。
1706 近赤外品質評価スキャナーを用いたインテリジェントスーパードライヤーの開発 河野 俊夫 高知大学 北添 英矩 高知大学 本研究課題では、旨味と香りの両面に優れた高品位の輸出用乾物を生産することを目的として、高温乾燥に対応した近赤外品質評価システムを装備するインテリジェントスーパードライヤー(NIQUES Assisted Intelligent Super Dryer、NAI型スーパー乾燥機)の開発を行う。この新型ドライヤーは、乾燥の進行に伴う乾物の旨味と香りの関連成分を、近赤外分光法により非接触で感知して乾物の品質を瞬時に判断し、内蔵する最適乾燥プロセス推論プログラムにより乾燥条件をインテリジェント制御して高品質の乾物に仕上げる。
1707 植物油を用いた中間育成用養魚飼料の改善 深田 陽久 高知大学 北添 英矩 高知大学 養殖魚の多くは肉食であり、栄養源として炭水化物をうまく利用することができない。そのため、魚類の養殖に用いられる配合飼料(養魚飼料)の成分は、主にタンパク質(魚粉)と脂質(魚油)で構成されている。魚類は生命活動のエネルギーを主に脂質やタンパク質から産生しており、成長の効率化には脂質がエネルギー源として利用されることが望ましい。脂質のエネルギー転換効率は、脂質の脂肪酸構成によって影響を受けると考えられている。エネルギー転換効率が良い脂質源を用いることによって、餌料中のタンパク質が効率的に魚体に蓄積させ、養魚の成長改善を行うことを目的とする。
1708 健康食品を用いた害虫防除技術の開発 手林 慎一 高知大学 北添 英矩 高知大学 東南アジア地域で「虫除け草」との民間伝承が存在するフカノキ属植物の害虫抵抗性因子として2種の機能性脂質を見出した。我々はこれら機能性脂質を日常的に食物から摂取しているばかりか、健康食品に位置付けて積極的に摂取することもあることから、これら機能性脂質から食用可能な特定防除資材(特定農薬)を開発することが出来る。本研究では特定防除資材の指定に必要な、薬効に関する基礎データの取得を目標とする。
1709 海藻由来抗インフルエンザ物質の開発 津田 正史 高知大学 北添 英矩 高知大学 ウイルス性疾患は世界中で大きな社会問題になっている。代表者は海藻類や微細藻の抽出物が、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス(HSV)、Epstein-Barrウイルス (EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)に対して、抗ウイルス活性を示すことを見出してきた。本研究では、ある種の褐藻抽出物に含まれる抗インフルエンザ物質について各種分離法を駆使して分離し、核磁気共鳴と質量分析を用いてその化学構造を明らかにすることで、インフルエンザ薬のリード分子あるいは予防用素材を開発することを目的とする。

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