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平成21年度シーズ発掘試験 A(発掘型)研究概要一覧(近畿)


課題のNo.と都道府県については採択時の課題一覧と同一です
 研究者、コーディネータはH21年10月における情報を掲載しています

 三重:32件  (JSTイノベーションプラザ東海)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
979 ポリウロン酸による冷凍食品の離水抑制対策 山ア 栄次 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 冷凍食品の離水は食品表面を水浸しにし、外観を損なうだけでなく大きな食感の劣化を伴うため、保水力の高い増粘安定剤を添加し、食品表面への水の移動を抑制する等の対策が講じられているが、冷解凍の繰り返しで効果の減少が報じられている。そこで、冷解凍の繰り返しに対応した離水抑制対策を検討する。
980 1100℃で磁器化する磁器素地の成形性の向上 新島 聖治 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 代表研究者者は、従来の磁器よりも200℃程度低い1100℃(酸化焼成)で磁器化する素地を開発した。この素地を実用化できれば、燃料費の低減及び二酸化炭素排出量を抑制し、環境に優しい陶磁器製品が得られることが期待できる。しかし、この素地は粘土成分として可塑性の低いニュージーランドカオリンを使用しているため、素地としての可塑性がやや低く成形性が劣るといった課題がある。本研究では、各種陶磁器成形方法に適応する素地の開発を目的として、原料組成の最適化及び可塑剤添加により成形性の向上を図る。
981 水系スラリーを用いた中温作動型固体酸化物形燃料電池セルの開発 橋本 典嗣 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 従来、固体酸化物形燃料電池セルの作製において有機溶剤を溶媒としたスラリーを用いたテープ成形が行われてきたが、環境負荷を低減させるために、水を溶媒とした水系スラリーへの転換が望まれている。そこで本研究では、水系スラリーを用いて燃料極を成形することで直径80 mmの平板型セルを作製し、セル材料の見直し、中間層の挿入によってセル構造を最適化することで650〜750 ℃の中温領域での出力向上を目指す。
982 小粒径ポーラスコンクリートを利用した環境対応型コンクリートの開発 前川 明弘 三重県工業研究所 河合 真 三重県工業研究所 ポーラスコンクリートはその内部に連続空隙を有し、植生ブロック、透水性舗装など様々な分野での利用価値が高く、新たな用途開発が積極的に行われている多孔質材料である。本研究では、ポーラスコンクリートの適用範囲をさらに拡大させることを目的として、粒径0.6〜2.5mm程度の小粒径骨材を使用して製造した小粒径ポーラスコンクリートの新たな機能性の付与(ガス吸着性能など)及び、小粒径廃棄物の骨材利用に関する内容について検討する。
983 色度分布特性の計測による真珠の色調・光沢の定量化技術の開発 青木 秀夫 三重県水産研究所 増田 峰知 三重県農水商工部 真珠の色調と光沢は重要な品質要素であるにもかかわらず、真珠が球体形状であることや直径が概ね10mm以下と小サイズであること等から、それらを客観的に計測・評価する実用的な手法は確立していない。そこで本研究では、真珠およびアコヤガイの貝殻真珠層の色調・光沢について、画像解析による色度分布特性等を利用した評価手法を開発するとともに、両者の関係から高品質真珠を生産するアコヤガイ貝殻真珠層色の基準について検討する。
984 高級魚クエの水温および日長調整による成熟コントロール技術の開発 辻 将治 三重県水産研究所 増田 峰知 三重県農水商工部 暖海性魚のクエは低水温に対する耐性が低く海面養殖した場合、1年目の冬季にほとんど死亡してしまうが、ある程度成長した個体(全長20p、体重100g以上)は死亡しない。そこで、水温と日長の調節により任意の時期にクエ親魚を成熟させて採卵できる技術を開発することで、通常春季に行う種苗生産を秋〜冬季に行うことができ、その後水温の高い夏〜秋季に十分成長させることにより、冬季の死亡を回避し、クエ海面養殖の実用化が可能となる。
985 硝酸塩を利用した持続性底質改良材の開発 清水 康弘 三重県水産研究所 増田 峰知 三重県農水商工部 内湾の魚介類養殖場のような水深の浅い海域では、夏季の高水温時に底泥から大量の硫化水素が発生して、生息する生物に対して甚大な被害を及ぼすことがある。そこで、硝酸塩を利用した底質改良材を開発し、底泥中の脱窒細菌を増殖させて底泥中に酸化層を形成させることで、硫化水素の発生防止を図る。また底質改良材に徐放性の機能を持たせることにより、周辺水域の窒素負荷を軽減する。
986 コアマモの繁殖生態に及ぼす環境要因の解明とコアマモ造成技術開発 森田 晃央 三重大学 齋木 里文 株式会社三重ティーエルオー 連続した沿岸生態系の再生にはアマモに加えて、より浅場に生育するコアマモの造成が不可欠である。しかし、コアマモ造成の基礎的知見は非常に乏しく、現状では天然のコアマモ群落からの株移植に頼るしかない。そこで、本研究では効率的な藻場造成に向けてコアマモの生態学的な知見を収集することを目的とし、天然コアマモ群落での生育環境の把握、コアマモの生態に及ぼす環境要因の解明について試験を行い、コアマモ造成技術の確立を目指すものである。
987 アルミ電解コンデンサーの高機能化に向けた新規長鎖分岐二塩基酸の開発 清水 真 三重大学 横森 万 三重大学 アルミ電解コンデンサーの用途は幅広く、特にハイブリッド車、鉄道車両分野では、高耐電圧、高耐久性、小型化が求められている。最も重要な構成要素は電解質であり、中でも電解質として用いられるニ塩基酸の構造でコンデンサー特性が大きく変わり、分岐ニ塩基酸の構造が高性能化へのポイントとなることが明らかになっている。本研究では、選択的有機変換反応を活用し、多様な新規分岐ニ塩基酸を創成して、高性能アルミ電解コンデンサー開発を目指す。
988 空力騒音を低減する風力タービン翼端形状の開発 前田 太佳夫 三重大学 加藤 貴也 三重大学 風力タービンの出力向上と騒音低減は相反するもので大きな課題となっている。そこで本研究では、風力タービンのブレード先端から発生する翼端渦のスケールを微細化することにより、空力騒音の低下を達成できる翼端形状の開発を行う。本課題においては翼先端近傍の速度場と音響場の数値解析を行うことにより翼先端形状の最適化を行い、決定した形状の翼端をフィールド風力タービンに取り付け騒音測定を行い、騒音低減効果を評価する。
989 複合負荷試験機による鉄系形状記憶合金の変形挙動計測システムの構築 吉川 高正 三重大学 加藤 貴也 三重大学 従来のTiNi系形状記憶合金よりも加工性に優れ、材料コストが低い鉄系形状記憶合金に関して、強度設計や加工などの応用のために不可欠な、複合負荷条件化における変形挙動の解明と多軸構成方程式の確立を目指す。変態温度が高温である鉄系形状記憶合金に対して、代表研究者らの所有する電気炉付複合負荷試験機を用いると共に、本研究で構築する高温ひずみ計測システムによって各種温度域における多軸の変形挙動を実験的に解明するものである。
990 創薬研究用ゼブラフィッシュ飼育水槽システムの開発研究 島田 康人 三重大学 加藤 貴也 三重大学 近年、創薬研究の新しいモデル動物として小型魚類ゼブラフィッシュが脚光を浴びている。ゼブラフィッシュはこれまで発生学の分野で活用されてきたモデル動物であるため、既存の飼育水槽システムでは、創薬研究分野で使用するには大きな問題がある。本研究では、医薬品投与・摂食量測定・行動解析・運動負荷・代謝量測定の5つの項目を評価できる創薬研究用ゼブラフィッシュ飼育システムの開発を目的とする。
991 赤外分光法による日本酒製造プロセス定量化の開発 橋本 篤 三重大学 佐藤 之彦 三重大学 赤外分光法(FT-IR/ATR法)により日本酒、日本酒原料、およびそれらの基本構成成分の赤外線吸収特性を把握し、日本酒製造プロセスのモニタリング手法の確立を試みる。また、そのモニタリング情報に基づいた製造プロセスの定量化解析を行うことにより、科学的根拠に基づいた日本酒製造プロセスの改善・高度化を目指す。さらに、製品の赤外分光解析を行い、品質評価(きき酒)への科学的根拠の導入方法を検討する。
992 海藻資源の血管機能維持・改善効果について 柿沼 誠 三重大学 佐藤 之彦 三重大学 近年、我が国では肥満症、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病患者が急激に増加している。生活習慣病による血液性状の悪化は、血管細胞の機能異常を引き起こし、動脈硬化の進行や血栓症(心筋梗塞や脳梗塞)の発症リスクを高めることが知られている。本研究では、三重県産の食用海藻や未利用海藻を対象に、海藻成分の血管機能維持・改善効果を調べ、三重県産海藻資源の消費拡大や機能性食品素材への応用を目指す。
993 膜受容体シグナル伝達経路搭載リポソームの開発と作用因子検出への応用 湊元 幹太 三重大学 松井 純 三重大学 膜受容体シグナル伝達経路は薬剤ターゲットであり、現在、その作用因子の探索が課題である。代表研究者は、生細胞と代替可能な「応答性人工細胞」を開発し、作用因子の検出に応用することを目的とする。組換え膜タンパク質を発現させたバキュロウイルス粒子とリポソームの融合で作る「組換えプロテオリポソーム」を基盤技術に、シグナル伝達経路を搭載したリポソームを作製、作用因子の結合を封入した応答反応で検出することをめざす。
994 アクチン細胞骨格の重合調節を利用した耐病性イネの開発 小林 一成 三重大学 松井 純 三重大学 アジアの主要作物であるイネは、いもち病をはじめとする様々な病害によって収穫の20%以上を毎年失っている。従来の育種により耐病性品種の作出が試みられてきたが、強力で安定した耐病性の付与には未だ成功していない。最近代表研究者は、植物におけるアクチン細胞骨格の構築状態変化が耐病性シグナルの伝達に関与することを発見した。本課題では、この発見を実用技術に発展させることを目指し、アクチン細胞骨格を人為的に調節できる組換えイネを利用して、これまでに無い新たな戦略でイネに耐病性を付与する方法を開発する。
995 拮抗放線菌を活用した混植用ネギの開発 清水 将文 三重大学 松井 純 三重大学 ネギ類を混植するとウリ類などの土壌病害の発生が軽減される。代表研究者は、ネギ類の根圏に拮抗放線菌が高密度で生息することを突き止めた。本課題では、この拮抗放線菌を活用した混植用ネギの開発を最終目標とし、根圏放線菌の拮抗性検定および小規模混植試験を行い、病害抑制効果の高い放線菌株を選抜する。放線菌定着ネギで混植の病害抑制効果を向上・安定化すれば、将来的には混植が環境負荷の高い土壌燻蒸消毒の代替技術となり得る。
996 微量血液を用いた脂肪細胞機能のモニタリングとメタボ改善への応用 青木 直人 三重大学 松井 純 三重大学 血液に含まれる特異的遺伝子を標的とし、脂肪組織を摘出することなく脂肪細胞機能のモニタリングを可能にする方法の確立を目的とする。最終的にはこの方法を用いて、脂肪細胞の機能改善、すなわちメタボリックシンドローム(メタボ)改善を目的とした食品・天然物成分のスクリーニングへの応用を検証する。
997 非極性窒化アルミニウム基板作製技術の開発 三宅 秀人 三重大学 新原 英雄 三重大学 深紫外領域をターゲットとしたAlGaN系の発光・受光素子への期待が高まっているが、その基板としてAlN基板結晶が強く求められている。本研究では、発光・受光効率の高い素子構造を実現するため、非極性面であるa面およびm面AlNの厚膜成長を、HVPE法を用いて行い、その基板作製技術の開発に繋げる。HVPE成長で用いる下地結晶には、AlNと格子定数が近く、かつ市場で入手可能である6H-SiCを用いる。また、下地結晶の剥離などにより、自立基板を作製可能な技術を開発する。
998 ハイブリッドPEF法抗体作製技術の開発と応用 冨田 昌弘 三重大学 新原 英雄 三重大学 今後予測される人類の緊急課題の1つに未知の「新興ウイルス」対策がある。その感染拡大を防ぐには、如何に素早く感染者を特定し隔離するかにかかっており、迅速、簡便かつ高感度検出法が必要である。その対応策のモデル研究として、近年、広がりを見せている日本紅斑熱(リケッチア)に着目し、短期間で高性能モノクローナル抗体作製を可能とするハイブリッドPEF(電気パルス)法を開発し、抗原抗体反応に基づく高感度簡易検出法を確立することを目的とする。
999 顕微X線発生のための高輝度液体リチウム電子源の開発 畑 浩一 三重大学 新原 英雄 三重大学 X線顕微鏡法は、試料の内部構造を非破壊で直接観察できる、他に類を見ない顕微観察手法であるが、X線を励起発生する一次電子線の輝度不足のため現状では必ずしも満足のいく分解能は得られていない。そこで本研究は、代表研究者らが独自開発してきた高輝度液体リチウム電子源を新たな励起源に用い、ソースサイズ100nm以下の顕微X線発生を実証すると共に、これを搭載した高分解能X線顕微鏡の実用化を検討するものである。
1000 ナノ材料精密成長のためのパルス変調ガス導入型高真空CVD装置の開発 佐藤 英樹 三重大学 新原 英雄 三重大学 本研究では、複数の原料ガスをパルス状に変調してリアクタ内に導入することを特徴とする高品質ナノ材料(カーボンナノチューブ:CNT)生成法の開発を行う。本方法では、CVDリアクタ内へのガス流量制御を従来方法よりも精密に行うことが可能である。これにより、各原料ガスの機能をより明瞭に発現させることができ、従来よりも高効率な精密CNTプロセスの構築が可能となる。
1001 単色赤外線照射による固体間潤滑液体層の制御 小竹 茂夫 三重大学 新原 英雄 三重大学 エンジンや機械駆動部品の潤滑特性や耐久性に不可欠な、固体間真実接触界面における潤滑液体の分子層厚さの変化を特定波長の赤外線で制御する技術開発を行う。特定波長の赤外線を放出する赤外線フォトニック結晶を作製評価し、ここから出る赤外線により、種々の潤滑油や液晶分子が作る分子層の安定性や経時変化を計測する。以上の研究により、潤滑液体特性評価技術の高度化を目指し、エンジンや機械摺動材の摩擦係数や摩耗特性の制御技術へとつなげる。
1002 静かで快適な環境を実現するモータ振動抑制の新開発 残間 忠直 三重大学 八神 寿徳 三重大学 近年、高性能な永久磁石同期モータが、産業・家電分野を問わず中小容量機用可変速モータとして数多く使用されている。しかしながら、制御系の不完全性などにより脈動トルクが発生する。この脈動トルクは振動や騒音を招くため、その対策が望まれている。そこで本研究では、デジタルフィルタによる振動抑制手法を開発する。本手法により振動や騒音を抑制するとともに、電力の高効率利用を達成し、環境へ対する負荷を軽減することで静かで快適な環境を実現する。
1003 3次元網膜断層像を対象とする次世代OCT診断支援システムの開発 鶴岡 信治 三重大学 八神 寿徳 三重大学 光干渉断層計(OCT)により3次元断層像が撮影可能となり、眼科専門医が疾患部を正確に特定することが可能となった。しかし現在、診断を定量化することはできておらず、評価に個人差がある。そこで、本研究では、コンピュータで3次元画像解析を行い、疾患部の大きさや組織性状について客観的な指標を提案し、医師の臨床経験による医学的知識と統合して、高性能な診断支援システムを構築することを目的とする。
1004 仮想オーダーメイドシステムによる服づくりのための「ゆとり設計」の基礎的開発 増田 智恵 三重大学 平林 典久 三重大学 個々の3次元人体形状に対応した仮想立体裁断による“密着衣服”の自動型紙作成から、さらに着用目的に適した「ゆとり設計」を組み込むための3次元動作情報を実際のモデルを使用して抽出する。それを基に型紙の自動作成を行い実験服の試作と着用実験を行い、3次元着装シミュレ−ション上で視覚的試着体験による着心地の確認情報としてシステムに組み込み、仮想オーダーメイドシステムによる服づくりの基礎的開発を展開する。
1005 感温磁性流体を用いた熱輸送装置 八戸 俊貴 鳥羽商船高等専門学校 澄野 久生 鳥羽商船高等専門学校 近年、パソコンのCPUに代表されるように電子機器の発熱は増加の一途をたどっており、その冷却が重要な課題となっている。特にノートパソコンや携帯電話等小型の機器になるほど従来からの冷却方法を転用できない場合が多いため、製品における熱設計が複雑化しており、これが課題になっている。そのため、従来の方法とは異なる冷却方法を用いることでそれらの諸問題を解決することを目的としている。具体的には高温部と低温部を管路でループ接続し、管路内に封入した感温磁性流体が磁気吸引力で高温側に流れる作用を利用して冷却する方法である。
1006 牛胎児血清に代わる培養添加剤の開発 荒木 聡彦 名古屋大学 羽田野 泰彦 (財)名古屋産業科学研究所 ほ乳類細胞の培養には牛胎児血清が広く利用されているものの、BSE問題の発生以降、血清中にプリオンタンパク質が混入する恐れから、安全性が問題視されている。また、牛胎児血清自体が高価であることから代替品の開発が盛んに行われている。一方、魚類はほ乳類との共通感染症がほとんど報告されておらず、安全面で非常に優位である。本研究課題では、魚類より回収した体液をベースとして、牛胎児血清に代わるほ乳類細胞の培養添加剤の開発を行う。
1007 違和感のない義手開発のための筋電位コントローラの開発 伊藤 明 鈴鹿工業高等専門学校 澄野 久生 鈴鹿工業高等専門学校 本研究は、皮膚表面で観測した電気信号を用い、義手などの制御を、より実際の人間の動きに近づけることを可能とする、入力インタフェースを開発に向けた基礎研究である。そのために、表面筋電位(EMG)を多点測定し信号処理により脳から筋肉への刺激信号を推定し、既に報告している骨格筋収縮制御モデルを用いて筋電位コントローラを開発する。
1008 高輝度擬似赤色発光ダイオード用の高輝度赤色蛍光体の開発 和田 憲幸 鈴鹿工業高等専門学校 澄野 久生 鈴鹿工業高等専門学校 現在、高輝度発光ダイオードが電車時刻表、看板などの電光掲示板、信号機などに多用されている。しかしながら、大部分の色覚障害者にとっては、赤色発光ダイオードがいくら高輝度であっても、発光波長幅が狭いことから視覚し難いという社会生活上の課題がある。本研究では、高輝度、ブロードな赤色蛍光を示すマンガンイオン含有ガラス蛍光体のガラス組成を設計し、蛍光波長650 nm、内部量子効率40%程度の高輝度擬似赤色発光ダイオード用の赤色蛍光体の開発を目指す。
1009 培養廃液を利用した抗体生産細胞の機能強化用培地添加剤の開発 小川 亜希子 鈴鹿工業高等専門学校 澄野 久生 鈴鹿工業高等専門学校 抗体医薬の発展は目覚ましく、市場は年10%成長で拡大を続けている。しかし、抗体生産に使用される動物細胞は、微生物に比べて生産効率が低いことが課題である。研究担当者は、抗体生産で生じる廃液の高分子成分は抗体生産を強化すること、その作用は既存の培地添加剤と異なることを見出した。そこで本課題では、抗体生産で生じる廃液を利用し、抗体生産細胞の機能強化を目的とした培地添加剤を開発する。
1010 高誘電率・高抵抗のオゾン生成用ガラス電極の開発 宗内 篤夫 鈴鹿工業高等専門学校 澄野 久生 鈴鹿工業高等専門学校 上水・下水処理のオゾンは無声放電で生成されている。電極には特性を確保するため鉛を約30wt% 含む鉛ガラスが使用されている。しかし、ROHS規制等環境保全の推進により、鉛を含まない材料の開発が課題となっている。さらに、従来の鉛ガラス電極以上の生成効率が求められる。本課題では、オゾン発生用電極で、特に重要となる抵抗と誘電率の維持方法、別元素添加方法等による高誘電材料の開発とオゾン発生効率の向上を達成することで、エネルギ消費を削減し産業上の利点を導くものである。

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 滋賀:64件  (JSTイノベーションサテライト滋賀)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1011 MR対応ファイバースコープによる内視鏡外科手術画像誘導システムの開発 仲 成幸 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 安全・確実で低侵襲な内視鏡外科手術システムを実現するために、MRI(磁気共鳴画像)を用いたリアルタイムMR画像による生体透視手術システムとMR対応ファイバースコープを組み合わせた内視鏡外科画像誘導システムを開発することを目的としている。具体的には、MRIスキャナー内にて行われる内視鏡外科手術の際に、MR対応ファイバースコープより得られる体腔内の表面情報である内視鏡画像とMRIによる断層画像であるリアルタイムMR画像を統合し、内視鏡外科画像誘導システムとするものである。
1012 安全な静脈血採血を可能にする新しい採血枕と採血枕教材の開発研究 加藤 圭子 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 本研究の第一の目的は、病院等の外来や健康診査等における椅坐位での静脈血採血時の真空採血管による採血事故を防止し、安全な静脈血採血の実施を可能にするために、被採血者が安定した上肢の肢位を保持できる新たな採血枕の考案・開発・実用化を図ることである。第二の目的は、看護を学ぶ学生が椅坐位での安全な静脈血採血技術を習得し、学生や新卒看護師にも椅坐位での安全な静脈血採血が実施できる新たな採血枕教材の考案・開発・実用化を図ることである。
1013 重心動揺の新たな危険因子としての無症候性脳梗塞−脳磁気共鳴画像による検討− 荻田 美穂子 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 本研究は、65歳以上の高齢者を対象に運動習慣などの生活習慣の影響を考慮した上で脳卒中の危険因子である無症候性脳梗塞病変の有無と重心動揺との関連を脳の磁気共鳴画像(MRI)で判別した非無症候性脳梗塞患者を対照群において比較検討することを目的としている。本研究により、脳卒中予防のための無症候性脳梗塞病変のスクリーニングに関する新たな知見と予防の方向性への示唆が得られるものと考える。
1014 日本人グルクロン酸転移酵素多型による薬物代謝変化の迅速測定システムの構築 佐藤 浩 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 レトロウイルスベクターを用いて、日本人のUDP-グルクロン酸転移酵素多型の遺伝子を染色体に組み込んだ培養細胞を作成し、本酵素の多型が薬の代謝に及ぼす影響を簡便、迅速、かつ精度高く測定できるシステムを構築する。このシステムを使い、よく使われている薬の酵素多型による代謝排出の個人差を明らかし、適切な投与量を決定する。新たに開発される薬については、多型の影響をこのシステムを使って明らかにし、薬の副作用を未然に防ぐことを目的にする。
1015 増殖チェックポイント異常を標的とする癌の診断と新しい抗癌剤の開発 茶野 徳宏 滋賀医科大学 宮本 健二郎 滋賀医科大学 本学で発見されたRB1CC1(RB1遺伝子誘導蛋白質)は癌診断におけるバイオマーカーとして応用可能である。RB1CC1異常を含め増殖チェックポイントに異常の存在する予後不良癌ではDNAへリカーゼ機能に依存した細胞増生をする。この予後不良癌の特性を生かし、本研究課題ではRB1CC1を用いたチェックポイントスクリーニングを施行しつつ、DNAへリカーゼを分子標的とする治療を試行する。
1016 電気化学分析法による農作物中のカドミウム分析法の研究 坂山 邦彦 滋賀県工業技術総合センター 横井川 正美 滋賀県工業技術総合センター 近年、食の安全性が大きく取り上げられており、わが国では玄米のCd含有量基準が設けられ、国際的にはコーデックス委員会で多くの農作物に対してCd含有量基準が設けられている。現在、これらの分析は数千万円もするICP-MSという高価な機器が使われており、すべてのサンプルに対して分析を行うには非常に費用がかかり不可能といえる。そこで、本研究では、数百万円で整備できる電気化学分析法に注目し、ICP-MSで精密分析をおこなう前のスクリーニング分析法としての確立を目指すものである。
1017 赤外線再帰性反射タイルの生産技術に関する研究 川澄 一司 滋賀県工業技術総合センター 横井川 正美 滋賀県工業技術総合センター 夏季における室内温度および路面温度の上昇を防ぐために、太陽から放射される赤外線を太陽の方向へと再帰性反射する外壁タイルが要望されている。過年度の研究においては赤外線を反射するセラミック素地と、コーナーキューブと呼ばれる凹凸を連続的に表面に有するタイルを試作した。本研究においては再帰性反射性能がさらに高く、しかも日本工業規格の建材としての条件を満たす同タイルを量産することが可能な生産技術を開発する。
1018 腹腔内視鏡手術に用いる吸着型集積触覚センサの開発 藤井 利徳 滋賀県工業技術総合センター 月瀬 寛二 滋賀県工業技術総合センター 腹腔内視鏡手術において術者の指のかわりに触診をおこなうためには、臓器表面の硬さなどの触覚情報を検出する必要がある。超音波を用いた診断用触覚センサ等が研究されているが、正確な診断のためには臓器を固定しながら測定しなければならない。上記の課題を解決するために、本研究では、臓器表面の硬さを検出するための吸着機構を有する小型触覚センサを開発する。
1019 天然水域の生産力を利用したセタシジミ稚貝の中間育成技術の開発 久米 弘人 滋賀県水産試験場 大江 孝二 滋賀県水産試験場 放流効果の高いセタシジミ大型種苗の低コスト、省力、安定大量生産を目的として、天然水域の生産力を活用した中間育成技術を開発する。浮遊式育成カゴと垂下式育成カゴを製作し、琵琶湖およびその周辺内湖に設置して、初期育成後のセタシジミ稚貝の中間育成を試みる。併せて、定期的に水質調査等を行い、中間育成に適した水域を把握する。
1020 性制御メカニズム解明による高価値魚生産技術の開発 三枝 仁 滋賀県水産試験場 大江 孝二 滋賀県水産試験場 ホンモロコの性比は通常雌雄1対1であるが、性分化期の水温により一方に偏る傾向にあるため、飼育水温を調節して高価値な雌魚のみの養殖用種苗生産が期待される。しかし、水温の性比への影響は個体差が大きく、安定した技術の確立には至っていない。そこで、この技術の安定化を図るため、ホルモン処理により雌雄単性群を作出し、性分化時期に特異的に発現する遺伝子を解析し、ホンモロコの性制御メカニズムの解明に取り組む。
1021 超臨界流体を用いた表面処理技術に関する研究 中島 啓嗣 滋賀県東北部工業技術センター 川嶋 眞生 大津市 ポリオレフィン系樹脂は、潤滑性、耐摩耗性に優れるとされているが、長時間の使用においては摩擦熱による表面溶融により十分な性能が得られず、使用環境・条件が制限されているのが現状である。そこで、架橋性物質(熱硬化性樹脂モノマー等)を超臨界二酸化炭素中でポリオレフィン系樹脂に含浸・反応させることにより、表面硬化・物性の改善を図り、長時間使用に耐えうるための後加工技術を確立する。
1022 サファイア基板を要しない窒化ガリウム局所形成を行なう新プロセスの開発 柳澤 淳一 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 本研究では窒化シリコン(SiN)薄膜が形成された基板に低エネルギーGaイオンを注入して表面付近に窒化ガリウム(GaN)を形成し、これを結晶成長の種として用いて通常の有機金属化学気相成長を行うことで、GaN層をSiN薄膜上のGaイオン注入領域にのみ成長させるプロセスの開発を目指す。Gaイオン照射・未照射表面におけるGaN選択成長が完全に実現でき、GaNの結晶性を改善するための成長条件の最適化について検討を行う。
1023 要介助者の単独移乗を可能とする自立支援型移乗介助ロボットの開発 安田 寿彦 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 身体能力が低下している人および身体障害等をもつ人の移動の手段として車椅子が使われることが多い。車椅子利用者にとって、ベッド・トイレなどへの移乗は容易ではなく、介護者の援助を必要とすることがある。移乗は「動くことに介護支援が必要な人」の寝たきりや座りきりを防止し、日常生活を活性化するために必要不可欠である。本研究では、要介護者の自立のために、要介護者が単独で移乗することを可能とする移乗介助ロボットを試作し、実機性能試験によって、その実用性を示す。
1024 通信用同期回路の低雑音化と同期時間短縮実現のための回路設計手法の開発 岸根 桂路 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 超高速光通信から4G携帯電話・WiMAX等ワイヤレス通信まで、 通信システムの高速化が進展している。 それらシステムの高性能化実現にむけ、 受信同期回路における出力信号の低ジッタ化(低雑音化)と同期時間短縮が必須となっている。受信回路の高性能化により、 超高速・高機能・ロバストな通信システム構築を可能とすることを目的とし、10Gb/sクラスの同期回路の低ジッタ化と同期時間短縮が同時実現可能な回路(LSI)の統合的設計手法を確立する。
1025 空間認識センサーの開発に向けて−固体と気体の間をつなぐ整合層− 乾 義尚 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 超音波センサーによる空間認識技術は、車や飛行機などへの応用が期待され、これまでに多くの研究開発が行われてきた。その結果、様々な用途に実用化されているが、当初の期待を上回るものではなかった。その原因は、超音波センサーの出力不足である。本研究では、この出力不足を補う整合層の開発を行う。すなわち、超音波を発生させる圧電材料と伝搬媒質である空気の間を効率よくつなぐことができる整合層を開発し、高出力・高時間分解能の空間認識センサーの実用化を目指す。
1026 インバータ大容量化技術の開発とその応用 稲葉 博美 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 インバータの大容量化(高出力)方式には、インバータを構成するスイッチ素子自体の大容量化や素子の直接並列接続数を増加させる方策があるが、素子電流均等化の為の対称配置構造の容積制約から容量限界に到達しつつある。本研究では、インバータとして組み上げたセットを2組以上並列接続するセット並列方式において、インバータ出力のうち、セット間を還流し出力に寄与しない横流成分を抑制し、出力効率を向上させうる制御法を開発する。
1027 電気化学的手法による鉛含有ガラスからの鉛分離 吉田 智 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 本研究は、ブラウン管ガラスなど鉛含有ガラスのリサイクル技術の実用化に向けた基礎研究である。高温ガラス融液を電気分解することにより、ガラス融液中の鉛イオンを還元させるとともに、金属鉛を分離する実験条件を確立する。種々の導電性固体を電極とし、鉛ガラス融液中の鉛の還元電位を様々な組成のガラス融液中で決定する。さらに、高温電気分解により電極表面で鉛の還元反応を進行させ、ガラス中の鉛を高効率で分離することを目的としている。
1028 貴金属イオン選択捕集を目的としたガラス表面のペプチドによる機能化 谷本 智史 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 ペプチドとポリエチレングリコールとのブロック共重合体(ペプチドコポリマー)をガラス基板に固定化し、水溶液中の貴金属イオンを選択的に分別回収するための材料とし、最終的には電気電子工業からの廃水をターゲットとした金属資源の循環システムを構築することを目標とする。本計画内においては、ペプチドコポリマーをガラス表面に固定化し表面密度を制御すること、及び、それを用いて貴金属イオン(特に金イオン)の混合水溶液からの選択捕集実験を行い、ペプチドコポリマーの表面密度と貴金属イオンに対する選択性の関係を明らかにする予定である。
1029 楕円振動を利用した分別搬送 栗田 裕 滋賀県立大学 安田 昌司 滋賀県立大学 楕円振動機械の水平振動と垂直振動を適切に設定することで、振動台上の物体を左右に分別することができる。これまで、84Hzに共振点をもつ楕円振動機械を用いて、摩擦係数の違いや隙間の有無により、分別搬送できることを明らかにした。本課題では、加振周波数、水平振幅、垂直振幅、位相差を自由に変えることができる楕円振動機械を製作し、種々の大きさ・形状をもつ部品の分別可能性や分別搬送最適条件を探索する。
1030 要介護高齢者を対象とする運動・認知リハビリテーション用ゲームの開発 渡部 雅之 滋賀大学 宇佐美 照夫 滋賀大学 認知症や脳卒中による要介護高齢者にとって、機能の回復や維持には継続的なリハビリテーションが欠かせない。楽しくやりがいに満ちた作業でありながら、運動機能と認知機能の回復を同時に保証できるリハビリテーション用ゲームがあれば、医療現場にとって大いなる助けとなるだろう。体感式コントローラーを操作して解答する一種のゲームでありながら、同時に運動・認知機能双方の改善を期することのできる、新たなツールの開発を目指す。
1031 ナノ・メゾ調和構造制御による高性能実用金属材料の開発と応用 飴山 惠 立命館大学 服部 華代 立命館大学 従来からの材料強化法では、材料を均一微細な結晶粒組織にすることで高強度を得ているが、一方で延性低下が生じ、高強度と高延性・高靱性を両立することができない。これに対し、本研究テーマである「ナノ・メゾ調和構造材料」は、ナノ結晶組織とメゾ結晶組織を材料内部に調和的に配置することで、高強度と高延性・高靱性が両立できる。すなわち、この方法は従来材料を合金元素添加することなく先端材料とすることができる、革新的な方法である。
1032 AAF方式による大規模構造物の自動き裂検出システムの開発 日下 貴之 立命館大学 服部 華代 立命館大学 近年,経年劣化や使用環境の変化に伴って,インフラ構造物の維持・管理の重要性がクローズアップされている.このことから,研究代表者らは,コンクリート構造物に発生するき裂をリアルタイムに監視する技術を開発し,その有用性を立証した.しかし,実用に供するためには,広範な領域を迅速に監視することが不可欠であり,その点において,開発したシステムは不完全なものであるという認識を持っている.そこで,本研究では,AAF(Auto Area Focusing)という新技術(き裂が発生しそうな領域を自動判別し詳細診断する技術)を提案し,大規模コンクリート構造物のき裂発生・成長を高効率かつ高精度に監視できるシステムの開発を目指す.
1033 MEMS技術を利用した超小型真空計の開発 木股 雅章 立命館大学 近藤 光行 立命館大学 本研究では、赤外線センサなど真空パッケージ評価や分析装置内の微小空間の真空度を0.01Pa〜10000Paの範囲で計測することできる1mm角以内の大きさの超小型熱伝導方式マイクロ真空計を開発する。この超小型真空計を用いることで、真空封止されたマイクロデバイスの信頼性試験データの取得が可能になり、局所的に真空度をコントロールする必要のある分析装置への適用が期待できる。さらに、量産性のあるMEMS技術を利用することから、従来の真空計の代替品としての普及も期待できる
1034 船舶等の浮遊移動体の超高精度運動制御システムの開発 金岡 克弥 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究においては、船舶・航空機・宇宙船・ホバークラフト等の固定支持点を持たない移動体一般に対して、研究代表者がロボット制御技術に基づき案出した制御手法「推力伝達ゲートシステム」を適用し、ハードウェアの構造を大きく改変することなく飛躍的に高精度な運動制御を行なうことを目指す。
まずは船舶を対象に、波浪・潮流等の外乱下においても、サブメートル〜センチメートルの精度での自動船位保持、および操縦を正確に反映する位置・速度制御が可能であることを示す。
1035 搬送・産業機械用コイル独立型同期ACモータと高効率エネルギー回生インバータの開発と応用 渡部 透 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 電車、電気自動車、ロボットなどで電力回生を行う部品点数の少ないシステムを開発し、エネルギー消費、CO発生を削減する。3相ACモータのコイルを独立にデジタル制御する。複数インバータに対し、整流回路を1個のみとし、共通直流電線で電力の供給・回生を行う。回生は、スイッチング、回路切り替えにより供給線へ戻す、別の低電圧直流線へ戻すなどを比較する。理論的検討、計算機シミュレーション、DSPを使った制御実験で有効性を証明する。
1036 高品質GaN結晶成長法の開発とMIS-FETへの応用 城川 潤二郎 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 GaN-MIS-FETは、パワースイッチング素子として精力的に研究されている。しかし、GaNの結晶は成長が困難で、現状では結晶欠陥が多く、更にMIS界面の欠陥はSiに比べ2桁も多い。本提案者等は、MBE法でありながら、InNの結晶成長に於いてLPEライクとなる成長モードを世界で最初に開発した。LPE成長は、GaAs等に於いて他の成長方法よりも結晶欠陥密度を低く抑えることが知られている。この技術をGaNへ応用し、MIS-FETのチャンネル層を作成して、デバイスの高性能化を目指す。
1037 感圧導電性糸を用いた生体センサの開発と応用 牧川 方昭 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 近年開発されたステインレス繊維混紡糸を衣服に編み込むことによって、体幹・体肢の動き、体表面の変形による感圧導電糸のインピーダンス変化を記録することにより、生体の柔軟な動き、変形を計測することが可能となる他、非接触容量結合型電極として用いることにより、心電図、筋電図などの生体電気現象を記録することが可能となる。本研究では着るだけで日常生活における心電図、呼吸曲線がモニタできるシステムの開発研究を実施する。
1038 高機能水中ハンドリングのための姿勢調整機構の開発 川村 貞夫 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究では、潜水士のように水中で浮遊状態にいても高機能なハンドリングが可能なロボットを開発する。アーム搭載型水中ロボットによるハンドリングを高機能化するためには、ロボット本体の姿勢を静的および動的に制御することが効果的である。そこで、本研究では、ハンドリング高機能化のための姿勢調整機構を開発する。具体的には、浮力体位置をモータ制御する機構をロボットに取り付け、姿勢を変化させる。
1039 人と共存するロボットのための冗長駆動関節 永井 清 立命館大学 市原 岳洋 立命館大学 本研究課題は、柔らかい動作(順応動作)を生成するロボットや、高い安全性を有するロボットを実現することを目的として、アクチュエータ(モータなど)を二つ有する冗長駆動関節と呼ぶ新たなロボット関節の機構設計技術と制御系設計技術を確立することである。この冗長駆動関節は、リハビリロボットやアシストロボットなど、人と共存するロボットを実現するための重要技術となる。
1040 高圧処理によるリサイクル可能な耐熱ポリブテン樹脂の性能強化 山下 基 立命館大学 松田 純 立命館大学 ポリブテン樹脂は高い力学性能と耐熱性をもち、数十回以上の再成型加工が可能なリサイクル性能を有する次世代の環境調和型ポリオレフィンである。しかしながらポリブテン樹脂をメルト状態から成型加工すると不安定結晶が生成され、その後安定結晶へと結晶相転移を起こし、これに伴ってひずみを生じることが実用化を行う上での大きな問題となっている。本試験では、高温ならびに高圧アニール処理を行うことにより耐熱性能をさらに強化させたポリブテン樹脂の結晶化および成型加工技術の実用化を目的とする。
1041 海洋性藻類由来機能性生体分子のHSCCCによる高効率・大量単離法の開発 溝口 正 立命館大学 松田 純 立命館大学 世界の主なCO2固定源である海洋性藻類からの光合成色素類(クロロフィル及びカロテノイド)の高速向流クロマトグラフ(HSCCCと略す)による高効率・大量単離法の開発を目的とする。HSCCCを蒸発光散乱型検出器とOn-line接続することで、糖脂質類の単離・精製にも応用展開する。光合成生物が生産する機能性生体分子を漏れなく単離・利用するシステムの構築にチャレンジする。
1042 胚性幹細胞を用いた新規遺伝毒性スクリーニング系の開発 岡本 誉士典 名城大学 西村 亮 名城大学 近年、発癌物質の標的が生体内に存在する組織幹細胞であることが示唆されており、幹細胞への直接的な影響を評価することができる新規発癌性スクリーニング法は有用な評価ツールである。本課題では遺伝毒性スクリーニングに胚性幹細胞を利用することの妥当性を検証する。
1043 ナノサイズメソゲン基制御による新規液晶性電気粘性(ER)流体の合成と評価 中村 尚武 立命館大学 松田 純 立命館大学 均一系電気粘性(ER)流体としての液晶を研究対象とする。その際、ER効果は試料の分子量や分子構造に関連するとの立場から、分子量を視野に入れ、分子構造としては側鎖型液晶性高分子の側鎖部分の結合様式を変化させることにした。主鎖は出来るだけ柔軟に、また、側鎖の結合様式はネマチック相の発現を考慮する。得られた複数の試料について、ニートおよび混合系についてER効果の測定と評価を行う。
1044 高圧環境下における広周波数帯域超音波計測用センサー・アセンブリの開発 川方 裕則 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 地震発生機構の研究で実施される岩石破壊試験では、超音波センサーによる微小破壊や弾性波透過特性の計測が実施される。しかし、感度帯域の広い超音波センサーは高圧環境下では使用できず、波形を用いた解析を行える良質の計測は実施されてこなかった。本課題では、100MPa程度の高圧下で使用でき、岩石試料に直接貼ることにより任意の配置で広帯域の超音波計測が行えるセンサー・アセンブリを開発する。
1045 内因性アンチセンスRNAによるインターフェロン-αの発現調節機能の評価 木村 富紀 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 インターフェロン-アルファ (IFN-α)遺伝子のアンチセンス転写産物(asRNA)による発現調節機構を利用した新規医薬品を開発し、未知ウイルス感染症対策への貢献を目指す。この実現のため、本試験ではasRNAによるIFN-α mRNA発現制御メカニズムの解明を目指すとともに、解明した制御効果をin vivoにおいて検証する。続いて、asRNA 制御によるIFN-α発現増強物質スクリーニング系を構築する。
1046 融液含浸ドーピングを利用したホモ接合型亜酸化銅太陽電池作製技術の開発 平井 豪 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 電気化学堆積によって作製が可能な亜酸化銅-酸化亜鉛ヘテロ接合型太陽電池は、低価格・大面積の非シリコン系薄膜型太陽電池として注目を集めている。しかし、一般にヘテロ接合型では、電荷分離・取り出しに良好な接合界面を得にくく、高効率化が難しいとされている。そこで本研究では、ホモ接合型亜酸化銅太陽電池開発の第一歩として、p型の亜酸化銅薄膜上でドナー不純物源を融解、含浸させることによってp-n接合界面を形成させる技術を開発する。
1047 β−クリプトキサンチンを応用したメタボリックシンドローム予防法の開発 西野 輔翼 立命館大学 松田 文雄 立命館大学 β−クリプトキサンチンおよびイノシトールの含量を高めた温州ミカンジュースに関して、肝疾患(肝がん及び脂肪肝)の予防に有効であるのみならず、メタボリックシンドローム予防効果もある可能性があることが明らかとなってきたので、この点を培養脂肪細胞および肥満モデルマウスを用いた前臨床的研究によって確認する。本研究によって得られた基礎的研究データに基づいて、今後予定している臨床介入試験を実施するための態勢を整えることが、本研究の目的である。
1048 睡眠時無呼吸症候群診断システムの開発 福水 洋平 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 シリコンマイクロフォンアレイ、マイクロコントローラ、フラッシュメモリチップ、およびシート型一次電池をフィルム基板上に実装した超薄型「体音センサ」と、体音を解析するソフトウェアからなる、睡眠時無呼吸症候群診断システムを開発する。体温センサは睡眠時に鎖骨下に貼り付けることで最長12時間の複合体音(呼吸音と心音の複合音)をステレオ記録する。この記録をサーバに転送し、独立成分分析処理を行って呼吸音を分離・抽出した上で、統計処理を用いて呼吸の異常分類を行う。これを医師に供することにより診断を支援する。
1049 一方向通電形新型ブラシレスDCモータによる新型電動発電機を用いた系統連系分散電源システムの開発 小松 康廣 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 太陽光発電システムなどの分散形電源を系統連系するための電動発電機システムの開発として、従来の市販インバータに比して安価で故障しにくく、各家庭で設置可能な、動力も利用できるシステムの開発が目的である。実施内容は、交流電圧出力巻線を備えた、一方向通電形のブラシレスDCモータによる新形電動発電機を用いた開発である。なお、本装置を独立システムとして用いることも可能であり、定格出力800Wにおいて総合効率を約90%とし、低振動化、静音化、小形化を目指す。
1050 動線の時間推移系列に観る移動体の流動と移動場の評価 高山 茂 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 本研究は、屋内外の共用空間を行き交う移動体(歩行者や自動車)の混雑さや危険度、移動場の施設配置等を動的な観点により評価する「移動場のダイナミズム観測システム」の構成を目的としている。本研究では、動画像からリアルタイムに構成される移動体動線の方向分布、速度分布、密度分布のパラメータの時間的動特性を観ることにより、移動場の動的混雑度や潜在的な危険性のモデリングを行い、移動場の動的環境を客観評価する。
1051 高精度・高効率な高位消費電力シミュレータの開発 福井 正博 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 情報機器、自動車やロボット等の知的制御の核となるシステムLSIは、ロボット等では数百〜数千個が搭載され、その消費電力をいかに下げるかが課題となる。このような大規模システムに対して、高精度・高効率な電力シミュレータは低電力化のための有効な解析手段を提供する。本提案では、論理レベルより高抽象度(高位レベル)で電力解析を行う。研究代表者が保有する電力モデル化技術を核として、高精度・高効率な高位電力シミュレータの開発を行う。 従来と比べ、1/10の解析時間で、解析誤差を1/10に高精度化を目指す。
1052 高速電着法によるCuInSe2薄膜太陽電池の開発 峯元 高志 立命館大学 安川 竜二 立命館大学 CuInSe2(CIS)太陽電池は省資源型の低コスト高効率薄膜太陽電池として期待されている。一方で、現在の高品質CIS薄膜は大きな初期設備投資が必要な高真空プロセスで形成されている。本研究では、低コスト化のポテンシャルが高い薄膜形成法である電着法によってCIS膜の形成を行う。特に、実用化を見据えて、短時間で必要膜厚2ミクロンを堆積できる高速電着法とその条件の確立を目指す。
1053 サラウンドスピーカアレーによる高臨場音空間の構築と応用 西浦 敬信 立命館大学 中川 真由美 立命館大学 本研究では次世代デジタルメディア時代に向けた新しい音響再生方式として、サラウンドスピーカアレーを用いた高臨場音空間の構築について実用化の可能性を模索する。具体的には、従来のヘッドホンシステムと5.1chサラウンドシステムの長所を融合した、近接設置型サラウンドスピーカアレーシステムの実用化を目指す。さらに、このシステムは頭部周辺に対して独立した音空間の構築が可能であるため、隣接する座席ごとに異なった音空間の構築を目指す。
1054 オントロジーマッピングによる情報協創システムの研究 服部 文夫 立命館大学 中川 真由美 立命館大学 ネットワーク上のコミュニティではブログによる情報発信や写真共有などが活発に行われている。本研究はユーザが発信・交換する個別情報や知識を集積し、自動的に体系化することで、コミュニティに有益な情報を協創するシステムを構築する。投稿情報を解析し、キーワードをメタデータとともに共有サーバーに登録する。あらかじめ用意された知識の概念体系(オントロジー)と対応づけ、それらを自動的に整理し、全体として有益な知識情報群を体系化する。
1055 Webブラウザを活用した失語症者向け遠隔会話支援システムの開発 桑原 和宏 立命館大学 中川 真由美 立命館大学 失語症の方を対象としてネットワークを介した遠隔地間の会話を支援するシステムを開発する。具体的には、ビデオチャットと組合せて、会話の助けとなる情報を遠隔地間の画面で共有し、さらに表示した情報のどこに注目しているかを遠隔地間で共有することにより会話を支援する。ここでは、単なる画面共有ではなく、会話のモデル化を通して共有すべき情報を適切に選択するメカニズムを考案することにより、スムーズな会話支援を実現する。
1056 オンラインゲームのボットに対するロバストな発見法 THAWONMAS Ruck 立命館大学 山本 淳一 立命館大学 オンラインゲームにおける不正ボットの使用は社会問題として認識されている。ボットとは、プレイヤーが本来行うべきゲームの操作を完全にプログラムによって代行させるプログラミングシステムを指す。本研究ではこの問題を解決するために、オンラインゲーム内でのプレイヤーの行動履歴からプレイヤーを自動分類することでボットを発見し、ボット作成側が反撃し難いロバストな方法を確立させる。
1057 抗がん剤の耐性克服に向けた多剤耐性トランスポーター阻害剤の分子設計 高田 健太郎 立命館大学 福井 理絵 立命館大学 がん細胞は、多剤耐性トランスポーターを過剰発現し、抗がん剤を細胞外へ排出することで耐性を獲得する。すなわち、薬剤排出ポンプの働きを抑えることで、既存の抗がん剤の効能を回復させる「カクテル療法」による新たながん治療が期待できる。本研究では、申請者が薬剤排出ポンプの阻害剤として発見した天然化合物の基本骨格を用いて、化学合成により有用分子を創製する。
1058 ES,iPS細胞を用いた環境バイオセンサーの開発 高田 達之 立命館大学 福井 理絵 立命館大学 近年アレルギーや男性不妊が急増し、環境化学物質の関与が指摘されている。しかしヒトへの影響に関しては未だに明確な結論が得られていない。その一因として、ヒトの生殖細胞分化への影響を評価する適切な実験系の欠如が挙げられる。本課題は化学物質に鋭敏に反応するES、iPS細胞をバイオセンサーとして活用し、その生殖細胞等への分化能への影響を指標として環境化学物質の安全性を評価する新規評価系の開発を行うものである。
1059 Guanylyl cyclaseシグナルを介する免疫応答の制御 堀 利行 立命館大学 福井 理絵 立命館大学 心房性Na利尿ペプチド(ANP)の受容体と一酸化窒素NOの受容体は、それぞれ膜型および可溶型guanylyl cyclase(GC)である。われわれは、これまでにANPとNOが細胞内cGMPを介して樹状細胞をTh2誘導型へ極性化することを明らかにした。本研究では、われわれが見いだしたこの免疫学的作用をさらに詳細に解析し、GCシグナルを制御する有効な方法を考案し、難治性免疫疾患の新しい治療法の開発を目指す。
1060 低分子ケミカルシャペロン化合物を用いたパーキンソン病治療薬の開発 位田 雅俊 立命館大学 福井 理絵 立命館大学 パーキンソン病(PD)では、タンパク質が異常に凝集・蓄積し、結果的に神経細胞を死に導くものと考えられている。本研究では、低分子ケミカルシャペロン化合物として4-フェニル酪酸を用いて、そのドパミン神経細胞保護作用について、細胞培養系およびモデル動物実験系を統合的に解析することにより、従来のPD治療薬とは違う作用メカニズムからアプローチする新規なPD治療薬の開発を目指す。
1061 EPMAによるコンクリート構造物の高精度な劣化予測手法の確立 水田 真紀 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 本研究は既存ストックを長期供用していくことで環境保全に寄与することを目的とし、コンクリート構造物の劣化進行を高精度で予測できる手法の確立を目指す。①微小範囲(□100μm以下)の元素分析、②定量分析、③面分析を可能とする、X線分析の一つであるEPMAでは、ミクロな分析を得意とする半面、コンクリートのような不均質材料に適用する場合、分析範囲の決定や結果から構造全体の状態を推定し、将来を予測する手法の確立が課題であった。そこで、統計解析を取り入れた理論展開からコンクリートに適した分析範囲を決定し、高精度な劣化予測手法を提案する。
1062 ポーラスコンクリートを用いたアオコの凝集および植栽基盤への適用 岡本 享久 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 プラズマエネルギーを負荷して沈降させたアオコを、水面の波の力と多層構造のポーラスコンクリートから生まれると予想される水流を利用して凝集、除去することが目的である。水中藻類にプラズマエネルギーをナノ秒程度の時間で負荷することで、容易に仮死状態となり沈降する。この処理により、湖のような閉鎖水域において発生したアオコなどを除去できる。ポーラスコンクリートを浮体状とすることで、水中において容易に移動可能となり、また、水流の力で孔部の水塊が入れ替わることで好気性が保たれ凝集したアオコが腐敗することなく、長期間の利用が可能である。本研究課題は、実験室屋外に設けた大型水槽およびアオコの発生が問題となっている草津市内の内湖において実施する予定である。
1063 津波に対する橋梁の安全性確保を目的とした高度数値解析技術の開発 伊津野 和行 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 数年前のスマトラ沖地震による津波では、多くの橋梁が流失した。日本でも近い将来に発生が危惧される海洋型地震では大きな津波が発生すると予想される。橋梁は都市のライフラインを構成する重要な構造物であり、災害後の復旧を考えても津波による被害は避けなければならない。本応募課題では、橋梁に作用する津波の力を精度よくかつ効率的に解析する手法を開発することによって、災害被害を最小化することに寄与することを目指す。
1064 地盤内の間隙水圧および間隙空気圧計測に関する研究 酒匂 一成 立命館大学 柳瀬 圭志 立命館大学 古くから、河川堤防の崩壊時に内部から気泡が発生したとの目撃情報があり、近年、間隙空気の挙動を解明することの重要性に関する議論が増えつつある。本申請課題では、間隙水圧および間隙空気圧が同時に計測できるテンシオメータを試作し、一次元カラム試験、室内土槽試験および実斜面において間隙空気圧の計測を実施する。土中の間隙空気圧の変化傾向、間隙水圧との相関関係、斜面崩壊との関係(室内土槽試験)などについて考察を行い、地盤内の水分状態の測定精度向上に生かす。
1065 マイクロストレージネットワークにおけるデータ特性に基づく動的配置手法の開発 大久保 英嗣 立命館大学 中川 真由美 立命館大学 本研究では,防災,環境観測,ビル管理等に適用可能な,複数のセンサネットワークから収集されたデータを分散管理し,外部アプリケーションに位置透過かつリアルタイムに配信するマイクロストレージネットワークサービスを構築する。リアルタイム性の高いデータ検索・配信機能を実現するため,データの特性を検出・解析し,これに基づいて事前に必要なデータを他のマイクロストレージに転送する機能,および重要なデータの複製管理を自動的に行うレプリケーション機能を開発する。
1066 語句の重要度に基づく音声ドキュメント検索手法の開発 南條 浩輝 龍谷大学 笹岡 晃治 龍谷大学 音声ドキュメント(TV番組や講義などの動画)の保存および検索技術を開発する。現在の動画サイトなどでは動画内容を示す検索タグは人手で付与されているが、このタグ付け作業を自動化し、ことばの壁を乗り超えてさまざまな知識源となる音声ドキュメントへのアクセスを容易に可能とする「知の共有システム」の実現を目指す。具体的には、音声ドキュメント検索にとって重要な語句の自動定義および重要度の付与を行った上で、その重要度を考慮した索引づけと検索技術を開発する。
1067 心理音響指標を用いた新しい音インタフェイスの開発 三浦 雅展 龍谷大学 笹岡 晃治 龍谷大学 従来、音響心理モデルは入力音に対する音質評価に積極的に用いられてきたが、ここでは、音インタフェイスとしての応用については検討する。従来のインタフェイスには、マウスやキーボードなどがあるが、音声の利用については、音声対話システムなどもみられるものの、音声の心理的特徴を用いたインタフェイスはこれまで提案されていないため、その実現性について調査する。これが実現されれば、福祉工学やエンタティメント分野などへの応用が期待できる。
1068 琵琶湖の漁業資源保全のための河川河口部環境再生計画の立案 遊磨 正秀 龍谷大学 上條 榮治 龍谷大学 本研究は、琵琶湖における漁獲量の半分以上を占める重要な魚種であるアユをはじめ、湖と川を移動して生活しているさまざまな漁業資源の保全を目的に、琵琶湖に流入する河川水位の変動要因や河口付近に生息する魚類について、各成長段階での生息場所や移動時期と移動経路等について詳細な調査・解析を進め、これらを総合してより良い河川環境の再生案を提案するもので、特に琵琶湖北部に流入する安曇川,姉川をモデルに研究を行う。
1069 水中プラズマと光触媒を用いた新たな廃水処理技術の開発 浅野 昌弘 龍谷大学 上條 榮治 龍谷大学 本研究は、廃水中の超難分解性有害化学物質の新たな分解処理法の開発を目的としている。具体的には、水中でのプラズマ反応によるOHラジカルやオゾンの発生、プラズマから発生する紫外線による光触媒活性の向上など、多くの効果が相乗的に作用することが期待される、水中プラズマ反応と光触媒の作用効果を融合化した新方法で超難分解性有害化学物質の分解反応の素過程を明らかにするとともに、実用化に向けた課題を明らかにする。
1070 配水管網の総合管理支援プロトタイプシステムの開発 宇土 顕彦 龍谷大学 上條 榮治 龍谷大学 本開発研究は、配水管網の運用・管理における課題の解決を総合的に支援するプロトタイプシステムの開発を行うもので、①消火栓へのホース直結による放水時やポンプ車による取水時の流況解析、②配管工事や消火栓開放時に、流れの反転あるいは流速の増加により、管路内壁の錆が剥がれ水に混ざる、いわゆる赤水発生の抑制策、③水道水の最低残留塩素濃度を確保しつつ、塩素注入量を削減する等の課題を検討するシミュレーションシステムを構築する。
1071 液液界面全電解用フローセルを用いた血清中カルシウムイオンの高精度定量 糟野 潤 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 血清中のCa2+ 濃度の変動幅は 2.1〜2.6 mM と極めて狭く、電位が濃度の対数に比例するイオン選択性電極による定量は困難である。一方、近年、代表者が関与する研究グループで、多孔質テフロンチューブを利用したフロー系の液液界面クーロメトリー用セルを作製した。同セルを用いれば、Ca2+ や K+ のようなイオンを 99% 以上の効率と 0.1% 程度の精度でクーロメトリー定量が可能である。本研究では、FECRIT の医療検査への応用を目指して、血清中の他のイオンによる妨害を除去しながら、Ca2+ を正確かつ高精度に定量する方法を開発する。
1072 難焼結性純六方晶窒化ホウ素の革新的焼結技術の開発と応用 大柳 満之 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 六方晶窒化ホウ素焼結体は、高密度体を得るには、高融点であるため、高温・高圧雰囲気で、かつ焼結助剤を用いる必要があった。一方、窒化ホウ素の結晶構造が無秩序化した粉体を合成し、その焼結過程で構造無秩序-秩序化の伴う緻密化を促進し、助剤を用いることなく密度の高い焼結体を作製できることに成功している。本研究では、この焼結手法の最適化,熱伝導率測定,硬さ試験,曲げ強度試験,弾性率測定などを行う。
1073 蛍光発光で簡便に検出できる分子センサーの開発 宮武 智弘 龍谷大学 石原 英昭 龍谷大学 食品中の味覚成分や薬効成分などの特定成分を評価・探索するシステムの構築を目標とする。酵素の高い基質選択性を利用して分子を認識し、その酵素活性を蛍光性リポソームを用いて簡便に蛍光強度の変化として検出することで、分子のセンシングシステムを開発する。この成果を食品等に含まれる特定物質の検出へ応用することを目指す。
1074 認知症高齢者および発達障害児の認知機能評価システムの開発 小堀 聡 龍谷大学 中山 勝一 龍谷大学 ボタン押し課題という簡便な検査課題を用いることにより、認知症高齢者および発達障害児の認知機能を評価するシステムを開発する。ボタン押し課題とは、ディスプレイ上を移動するターゲットが指定枠に入ったらボタンを押すというものである。この検査を実施し、データ蓄積とデータ解析の結果を踏まえて、重症度や障害の程度を評価するソフトウェアを開発する。さらに認知機能を評価し、訓練や教育により認知機能を改善する評価・訓練支援システムを開発し、検証する。

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 京都:91件  (JSTイノベーションプラザ京都)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1075 プラズマ配向カーボンナノチューブ大面積成長装置の開発 林 康明 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究ではプラズマと基板の間に形成される強いシース電界を利用して、CVD(化学気相堆積)法によりカーボンナノチューブ(CNT)を自立させながら、大面積基板上に垂直に配向成長させる技術・装置を開発する。これまで、大面積化が可能な“RF支援DCプラズマCVD法”を開発し、予備実験において7cm角の基板上全面に自立配向したCNTを成長させることができている。本研究では、先鋭なCNTからの電界電子放出を利用したディスプレイ、キャパシタ、X線発生装置などへの応用を目指して、20cm角基板上全面へ自立配向CNT成長が可能な装置を開発し、実用性を実証する。
1076 イオン交換により誘起される分相を経由したポーラス材料の作製 角野 広平 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究では、ガラスのイオン交換により誘起される分相を利用し、ガラス表面の局所的微細な部分や、微小なガラスの表面のみを分相させ、更に酸処理により分相領域をポーラス化させることによって、均質層とポーラスガラス相が一体となった新規なポーラスガラスの作製を目指す。このような材料は、ガラスの良好な成形性も利用することによって、デバイス一体型機能材料として応用が期待される。
1077 光回路上へ直接集積可能な光増幅器の新規作製手法の開発 山下 兼一 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本試験研究では、光情報処理技術において重要な役割を担う光導波回路上に、直接集積化が可能な光増幅デバイスの新規作製手法を開発する。フォトポリマー中に照射された光の自己レンズ効果を応用することにより、ポリマー母材の光利得型導波路を極めて簡便に自己作製できる。この技術により、光回路上の任意の場所にコンパクトな光増幅器を接続損失なしで実装できる。試験研究期間では、材料及びプロセスの観点から作製条件の最適化を行い、光増幅利得や動作可能波長領域などの基礎特性を調査する。
1078 チップ面光入出力結合素子の開発と導波路型バイオセンサへの応用 裏 升吾 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 光導波路を用いたバイオケミカルセンサが注目されているが、生産性に優れた導波光励振方法・素子の開発が実用化に向けての課題であった。本研究では光導波路センサチップ面に垂直に光を入出力可能な集積素子を開発することを目的とする。プレーナプロセスによる集積が可能で、大幅なコスト削減が期待できる。
1079 少工程による薄肉・均一・背高のフランジ付きステンレス容器の作製法の開発 飯塚 高志 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 薄肉・均一・背高なフランジ付き容器を一工程で作製する方法として考案した“圧縮張出し・しごき加工”を軟鋼板およびステンレス鋼板の加工適用し、これら材料の基礎的な加工特性を把握するとともに本加工法の可能性および有効性に関して検討する。この加工法は他の加工法に比べて少工程の加工であり、これまでに軟質アルミニウム材に適用可能であることが確認できている。さらに強度の高い材料の加工に適用できれば汎用性を示すことができる。
1080 機能性絹の効率的生産に向けたカイコの分子育種 小谷 英治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 カイコの絹糸に細胞増殖・分化制御因子などを導入した機能性絹は、細胞増殖やヒトの生理機能に有効な影響を及ぼす繊維として有用である。しかし、転写産物調節性のRNA結合タンパク質の働きにより、メッセンジャーRNAが排除されるため、カイコ個体では外来タンパク質の生産効率が低下するケースもある。機能性絹の効率的生産のために、転写産物調節性のRNA結合タンパク質に対する遺伝子操作をカイコ個体で検討し、外来タンパク質の高効率生産性を有する個体を作り出すことを目的とする。
1081 中,軽度の認知症者用,排泄動作支援システムの開発 桑原 教彰 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 高齢認知症者の排泄の問題は、身体的機能の衰えに関係する問題(身体的問題)と排泄に必要な動作、手順を理解できない問題(認知的問題)に分類できる。本研究では特に認知的問題に焦点を当て、患者の自立排泄を可能とするシステム構築を目標とする。システムは患者のプライバシーを考慮した人物計測を行う「人物計測部」、患者の状態を推定する「状態推定部」、状態に応じた動作指示をする「動作指示部」から構成される。特に「動作指示部」では、患者の視線や注意をトイレットペーパなどの対象物に適切に誘導するインタフェースを開発する。
1082 食肉加工のための新しい色素の開発と応用 竹谷 茂 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 ハムの製造において産生するニトロソミオグロビンは発癌物質ニトロソ化合物の生成の可能性が高く、食の安全性の面に問題があり、安全な発色法の開発が急がれる。高級食材の生ハムの鮮やかな赤色は亜鉛 プロトポルフィリン (Zn-PP) が主成分であり、亜硝酸塩を使わずにミオグロビンーヘムを発色させることで発癌性物質の生成を排除できる。本研究ではヘム合成酵素の逆反応を利用してミオグロビンからZn-PPの生成や安全な発色団を利用して新しい食肉処理法の開発をめざす。
1083 プライマー法を用いたカーボンナノチューブ・汎用ポリマーコンポジットの開発 本柳 仁 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究では、カーボンナノチューブと汎用ポリマーの両方に親和性を有するプライマーとしてポリマー鎖を担持したトリフェニレン環を分子設計し、合成したプライマーを用いてポリマー中にカーボンナノチューブが均一に分散したカーボンナノチューブ/汎用ポリマーコンポジットの実現を目指す。これまでの単純に混ぜ合わせただけの既存コンポジットと比較して高い強度付与された高機能性を有する第二世代のコンポジットとなることを期待している。
1084 簡便・高収量な動物細胞由来の転写・翻訳共役型無細胞タンパク質合成系の開発 長岡 純治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 転写・翻訳が1つの反応系(チューブ内)で可能な無細胞タンパク質合成系を動物細胞(カイコ絹糸腺)由来の抽出液を利用して開発する。そのために、転写と翻訳反応に影響する条件の最適化を行う。また、新規な低濃度での翻訳が可能なmRNA構造の探索を行う。これらの成果を組み合わせ、既存系と比較して①DNAから簡便にタンパク質合成ができ、しかも、②合成タンパク質が高収量である、今までにない使い勝手の良い系の創造を目指す。
1085 バイオマス材料と微生物発酵を用いる射出・押出成形技術の開発 北島 佐紀人 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 伝統家屋の土壁材は、粘土・砂・稲ワラを混合しさらに一定期間熟成させてつくる。これまでの研究で、稲ワラを栄養源として微生物発酵により生じた粘性物質が土壁の構造を強固にしていることを明らかにした(Kitajima et al. Biosci, Biotechnol,Biochem.(2008) 72;557-56)。本研究では、セラミック製品の成型にこの土壁技術を応用する。
1086 癌診断に用いるタグ付き一本鎖抗体生産の最適化 岸本 通雅 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 抗体は複雑な構造を持ち、大量生産にはコストがかかる。そこで基質と結合する部分のみを取り出した一本鎖抗体の利用が検討されてきたが、立体傷害が生じ、検出がうまくいかないケースが多かった。そこで一本鎖抗体とペプチドタグを結合し、基盤に配置することで立体傷害を克服し、検出感度を高く維持することが考えられる。このタグ付き一本鎖抗体の遺伝子配列を酵母Pichia pastorisに組み込み大量生産し、プラスチック基盤と結合させる方法を構築し、癌診断等が簡便におこなえる技術開発をおこなう。
1087 太陽熱温水器への適用を考慮した微細気泡利用型伝熱促進法の確立 北川 石英 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 本研究の目的は、微細な気泡を利用した伝熱促進法を確立し、太陽熱温水器への適用を検討することである。具体的には、熱電対を用いた多点温度計測と粒子追跡速度計測法を用いた気液二相速度計測を行い、微細気泡を含んだ自然対流場の熱伝達および流動特性を包括的に明らかにする。最後に、本研究から得られた知見をデータベース化し、実用化に向けた最適条件を見出す。
1088 高気体透過性と高分離選択性を併せもつ高性能気体分離膜の開発 山田 保治 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 多分岐ポリイミド/シリカハイブリッド膜は、高気体透過性と高分離選択性を併せ持つ高性能な気体分離膜であり、温室効果ガスの一種である二酸化炭素の分離回収などへの展開が大いに期待できる。本研究では、膜中での気体透過メカニズムを解明し、ハイブリッド膜のナノ構造・サイズ、分散性、有機/無機成分の相溶性、分子間相互作用などの観点からより緻密な分子構造制御や分子末端の機能化を行なうことにより、更に高性能で実用的な気体分離膜の開発をめざす。
1089 疾患モデルショウジョウバエを用いた新創薬プロセスの開発と応用 山口 政光 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 代表研究者らが樹立した筋ジストロフィー、神経変性疾患、白血病、癌・代謝性疾患モデルショウジョウバエを用いて、ゲノムワイドな遺伝的スクリーニングによる疾患バイオマーカー候補遺伝子の探索を行う。また合成化合物ライブラリーと土壌微生物培養液や植物抽出液由来の天然物を疾患モデルショウジョウバエへ経口投与することによるハイスループットスクリーニングを行い、治療薬候補物質を探索する。そしてこれらスクリーニングシステムを広く応用可能な新しい創薬プロセスとして確立する。
1090 木由来のバイオマスから造る環境適合性超高性能ナノコンポジット材料の開発 池田 裕子 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 バイオマス「リグニン」と多くのゴムの中で唯一のバイオマスである「天然ゴム」から、環境適合性が高く、かつ、カーボンブラック充てんゴムの物性に匹敵する超高性能ナノコンポジット材料を開発することを目的とする。成果は、多くのゴム材料製造に応用可能となり、「オールバイオマス」から作る高付加価値ゴム素材となると期待できる。
1091 生物発光温度計遺伝子の構築及び細胞内温度分布の時空イメージング 柄谷 肇 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 細胞内温度の生物発光イメージング計測法を新規に構築する。課題は次の二つの要素よりなる。i)発光微生物の発光酵素ルシフェラーゼ及び発光色変化(変調生物発光)を惹起する黄色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を融合した生物発光温度計遺伝子を創製する。ii)哺乳類細胞を対象とする温度計遺伝子形質転換細胞の生物発光イメージング温度計測法の基本コンセプトを確立する。
1092 枯草菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼを高活性グルタリル-7-アミノセファロスポラン酸アシラーゼに改変する技術の開発 鈴木 秀之 京都工芸繊維大学 行場 吉成 京都工芸繊維大学 セフェム系抗生物質の半合成にグルタリル-7-アミノセファロスポラン酸アシラーゼは重要な酵素である。代表研究者は、大腸菌のγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)に変異を導入し、これまでに報告のあるGL-7-ACAアシラーゼと同等程度の活性を大腸菌GGTに付与する技術を開発した。本研究では、元々GGT活性が高く、耐熱性、耐塩性であることが分かっている枯草菌GGTに大腸菌に導入した変異に相当する複数のアミノ酸置換を導入することにより、高いGL-7-ACAアシラーゼ活性を持った酵素を作成する。
1093 免疫不全や流血病関連酵素の生体内ターゲット分子の効率的なスクリーニング法の開発 天野 麻理 京都産業大学 物部 剛 京都産業大学 糖転移酵素欠失により免疫不全や流血病を発症する事を発見したが、その発病メカニズムは分かっていない。病理解明や治療法確立には、本酵素の生体内ターゲット分子を同定する事が不可欠であるが、いまだ効果的な方法はない。これには、本酵素が複数の分子認識機構を持つため、実験系が複雑になる点を克服する必要がある。本課題では、単純化した分子認識機能を持つ変異酵素群を用い、生体内ターゲット分子の効率的な同定法を確立し、分子レベルでの病理解明に繋げる。
1094 薄型テレビの高品位廃ガラスを用いたセラミックス基板材料の開発 高石 大吾 京都市産業技術研究所 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 薄型テレビが急速に普及する中で、液晶ディスプレイの廃ガラスの有効利用技術は確立されていない。組成が特殊なためカレットとして再利用できず産廃処理されており、有効な利用技術の開発が強く望まれている。当該ガラスは厳しい品質管理の下で生産された高品位かつ特徴的な組成の原料であることに着目し、当センターが独自開発した低温焼成ガラスセラミックス作製技術を基に、高周波特性に優れた低誘電率セラミックス基板材料を開発する。
1095 光拡散性能素材等を利用した新しいコンセプトのLED照明器具の開発 池上 俊郎 京都市立芸術大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 目的:身近な生活領域の効率の良い小型LED照明器具の開発。実施内容:1:照明装置の製作;小型携帯型装置の開発/高効率な発光装置モデルの製作 . 目標:1:開発可能パターンの明確化と汎用性の形成。2:小型化による軽量、シンプル、省エネルギー、環境負荷の少ない市場流通商品モデルの形成。
1096 繊維表面共有結合法によるノンハロリバーシブル撥水加工 上甲 恭平 京都女子大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 現在、繊維の撥水加工はフッ素を含有した加工剤による樹脂コーティング法が中心である。最近では、蓮の葉表面の原理を組み合わせたNano-Tex加工と称した方法で繊維だけでなく和紙などにも応用され、水の接触角が150°以上の超撥水を実現させている。本発掘試験研究は、フッ素を含まない炭化水素化合物のみを繊維表面に共有結合させることによりNano-Tex加工繊維で得られた同等あるいはそれ以上の撥水性が得られたことから、炭化水素鎖長と撥水性との関係、異種炭化水素の順次加工と撥水性との関係などを詳細に検討することにより、撥水度の制御を可能としたノンハロリバーシブル撥水加工法の実用化を目指す。
1097 地域防災システム構築に向けた都市地盤の三次元地下構造モデル構築スキームの開発 三村 衛 京都大学 佐竹 星爾 関西ティー・エル・オー株式会社 都市部に存在する大量のボーリング調査による地下のデータをデータベース化し,これに基づいた都市地盤の三次元構造モデルを構築するスキームを開発する。本研究では,地質,地形,工学といった異なる学問領域を融合した学際的研究を行い,地下構造の影響を考慮した地盤の強震動のゾーニング,地盤沈下の発生ポイントと長期予測,詳細な液状化被害マップの作成を介して,都市地盤の災害ポテンシャル評価ときめ細かい地域防災計画を行うことを目的とする。
1098 近赤外分光法によるドライバーの脳血流動態測定による道路の走りやすさ評価システムの開発 谷口 栄一 京都大学 佐竹 星爾 関西ティー・エル・オー株式会社 道路の走りやすさについての従来の客観的評価手法は、国土交通省「道路の走りやすさマップ」など、道路の構造特性に基づいたものである。これに対し、本研究では、ドライバーの前頭前野における脳血流動態について近赤外分光法(NIRS: Near Infra-Red Spectroscopy)を用いて直接測定する。NIRSは、ポータブルかつ低コストで脳血流動態を測定可能である。これにより自動車運転中におけるドライバーの前頭前野の負荷と、道路構造・交通状況などとの関連を分析し、道路の走りやすさをドライバーへの生理的負荷という観点から客観的に定量的に評価する。
1099 UV硬化性樹脂のナノ孔構造制御によるフレキシブル低誘電率材料の創成 瀧 健太郎 京都大学 佐竹 星爾 関西ティー・エル・オー株式会社 (辞退)
1100 中性エステルを用いた油脂からの新規な超臨界バイオディーゼル製造法の確立 坂 志朗 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 ヨーロッパを中心にアルカリ触媒法による油脂とメタノールからの脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル)が製造されている。しかし、副産するグリセリンの世界市場は年間70-80万トン程度であるのに対し、バイオディーゼルの増産により、150万トンヘと過剰な状況にある。そこで本研究では、メタノールに替わる溶媒として炭酸ジメチルなどの中性エステルを用いグリセリンを出さない新規な超臨界バイオディーゼルの製造法を開拓する。
1101 多孔性高分子ゲルおよびカーボン材料の開発と応用 金森 主祥 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 ジビニルモノマーのリビングラジカル重合による架橋ゲル形成過程に、相分離誘起剤を共存させると、整った細孔径・形態を示す連続貫通孔を有する多孔性高分子ゲルモノリスが得られる。本試験研究では、このような高分子ゲルモノリスあるいはそれを炭素化したカーボンモノリスの、連続貫通孔による優れた通液特性を利用した一体型液体クロマトグラフィー媒体(モノリスカラム)への適用について検討し、実用化を目指す。
1102 強発光性パイ電子系分子の開発 畠山 琢次 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 有機電界発光(EL)材料は次世代表示材料として注目を集めており、パイ電子系分子は中心的な役割を担っている。中でも、固体状態で強い発光を示安定性に優れた分子は、有機ELの表示素子として有望であり、近年盛んな開発が行われている。本研究では、代表研究者が独自に開発した手法を用いて含へテロ元素パイ電子系分子を広範に合成し、化学的・熱的安定性と固体状態での強発光性を兼ね備えた表示素子の創出を目指す。
1103 電解重合によるカーボンリッチデンドリマーの創成 野上 敏材 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は樹状高分子の主鎖が炭素と水素のみからなるカーボンリッチデンドリマーを電気化学的手法(電解重合反応)によって効率的に作り出すことを目的としている。本研究課題の目標は①「電解重合可能なモノマーの基質範囲の拡張」と②「高分子量のポリマーを与える電解重合条件の確立」である。具体的な実施内容としてはケイ素置換基によって活性化させたモノマー分子の合成と電解酸化条件下における重合反応について詳細な検討を予定している。
1104 ツインプローブ顕微鏡による局所電子物性評価装置の開発 佐藤 宣夫 京都大学 石田 政隆 関西ティー・エル・オー株式会社 ナノスケールサイズで組み込まれた高性能デバイスの評価手法として、二探針を有する(ツイン)プローブ顕微鏡を応用したナノスケール電子物性評価の手法および装置の開発を行う。本研究装置の大きな特徴は、互いのプローブに働く相互作用力を逐次検出し、その間隔が精密に制御された状態下において、プローバ間での極微小な電圧-電流計測(局所電子物性評価)を行えることにある。
1105 京野菜「みずな」の作付・出荷情報システムの開発 宮坂 寿郎 京都大学 大西 晋嗣 関西ティー・エル・オー株式会社 京都の農産物のブランドである京野菜の一種「みずな」を対象に、生産地域における出荷量の予測、平準化もしくは収益の最大化を行なうプログラムを開発する。産地の卸売価格を高めるためには出荷量の安定化が必要となる。そこで地域の農家からネットワークを通して作付情報を収集し、栽培情報をデータベース化して、それらの情報から出荷量予測および最適作付計画の生成を行なうWebベースのアプリケーションを構築する。このシステムを栽培地域に提示し、試験的に運用することで問題点を検討し、より実用的なアプリケーションの構築を目指す。
1106 n型半導体材料としての複合ナノカーボン材料の開発 梅山 有和 京都大学 大西 晋嗣 関西ティー・エル・オー株式会社 カーボンナノチューブ(CNT)側壁上にフラーレンが配列した複合ナノカーボン材料(C60onCNT)を、有機薄膜太陽電池活性層のn型半導体材料として活用する。具体的には、ポリチオフェンなどの共役系高分子とC60onCNTの複合材料を創出し、電極上に薄膜化して太陽電池の光活性層に用いる。CNTを足場として一次元に電子ドナーとアクセプターが配列された複合体では、効率の良い光誘起電荷分離と、生じた電荷の電極への速やかな輸送が実現でき、光電変換効率の大幅な向上が期待される。
1107 水中でのアップコンバージョンを用いた生体反応の光制御 田中 一生 京都大学 大西 晋嗣 関西ティー・エル・オー株式会社 透過性の低さと生体へ損傷を引き起こすことから、光反応の生体への適応は困難が伴う。本提案研究では、長波長光から短波長光を生成するアップコンバージョンという物理現象を利用して、従来まで生体には適応不可であった光反応を生体条件下で進行させることを目標とする。一重項酸素の発生やチミンダイマーの修復反応による遺伝子の損傷と修復を赤外線領域の光により制御することを目指す。
1108 三大疾病予防食品、医薬品への展開を想定した「共役リノレン酸」の実用生産 安藤 晃規 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 分子内に共役した二重結合を持つ共役脂肪酸は、抗癌、抗動脈硬化、抗酸化作用を示し、日本における三大疾病、脳卒中、心筋梗塞、癌のリスクファクターを軽減する生理活性を有する。本研究は植物油から容易に得られる「α-リノレン酸」を原料とし、食経験豊かな乳酸菌を菌体触媒として用いることで、共役脂肪酸の一種である「共役リノレン酸」の実用生産法を開発し、機能性食品、医薬品への応用展開、あるいはこの変換反応を担う乳酸菌を利用した食品開発への端緒を提示することを目的とする。
1109 動物細胞における有用タンパク質高生産のための効率的mRNAパッケージング法の開発 増田 誠司 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 組み換え型タンパク質性医薬品の成功は、転写を強く促す強力なプロモータの探索により達成され、新しいバイオ産業の育成へと結実した。代表研究者は、現在の動物細胞を用いた発現系では、転写されたmRNAを適切なパッケージングが遺伝子発現の律速段階となっていることを見いだした。本課題は、効率よくmRNAをパッケージングする能力を持つ因子を探索し、既存の発現系に組み合わせることで、簡便かつ高収率の動物細胞発現系の構築を目指す。
1110 ショウジョウバエを利用したミバエ類性フェロモンのバイオ生産技術の開発 西田 律夫 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 ミバエ類は果実類に寄生する大害虫であり、近年、ナスミバエが日本に侵入している。代表研究者らは、防除に期待できるナスミバエの雄誘引物質を明らかにし、雌を誘引する性フェロモンへの代謝変換過程を解明した。しかし、これらの物質は構造が複雑なため大量合成が困難である。これより、性フェロモン生合成酵素系をミバエと近縁のショウジョウバエに導入して、構造の比較的単純な前駆物質から性フェロモンを継続的に産生させるバイオ生産技術の確立を試みる。
1111 哺乳動物における雌雄の産み分け技術の開発 南 直治郎 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 産仔の性を決定するのは精子であり、精子が持つ性染色体がXなのかYなのかによって生まれてくる産仔の性が決定される。本課題では、遺伝子組み換えを施した性染色体を持つ精子が受精できないような仕組みを開発し、単一の性の産仔のみを産む雄動物を作出する。遺伝子組み換え性染色体を持った精子は受精できないので、生まれてくる産仔は遺伝子組換え動物ではないため、食品を含め多くの利用価値を持つ。
1112 高機能MMLV逆転写酵素の作製と迅速診断への応用 保川 清 京都大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 逆転写酵素はRNAをゲノムとするウイルスがもつ酵素であり、逆転写活性のみならず、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性とRNase H活性を有する。逆転写酵素は分子生物学研究や臨床診断に必須の酵素であり、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV RT)とトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV RT)が実用化されている。本研究では、大腸菌で発現させた組換えMMLV RTの逆転写活性と熱安定性をタンパク質工学により向上させる。本研究の目標は、機能が向上したMMLV RTを実用化させることである。
1113 プラズマを用いた半導体ナノワイヤ大量合成技術 斧 高一 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 数十nm以下の直径を有する半導体ナノワイヤは、次世代の電子・光デバイスや環境・エネルギー関連デバイスなど様々な分野への応用が期待される。半導体ナノワイヤのボトムアップ形成について、従来の熱プロセス "VLS (vapor-liquid-solid) 法" にかわり、プラズマプロセスを適用した大口径化可能 (メートルサイズの基板にまで適用可能) な新しい高精度ナノワイヤ大量合成技術 "PLS (plasma-liquid-solid) 法" を開発し、その有用性・実用性を実証する。
1114 環境浄化と物質生産に資する新しい有機ハロゲン化合物変換酵素の開発 栗原 達夫 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 有機ハロゲン化合物は化学工業における最終製品や合成原料として重要であり、その酵素的変換法の開発はグリーンケミストリーの実現に寄与するものである。一方、有機ハロゲン化合物には環境汚染の原因物質として問題視されるものもあり、その分解菌や代謝酵素は環境保全の観点から重要である。本研究では、難分解性の有機フッ素化合物や不飽和脂肪族有機ハロゲン化合物に作用する微生物酵素の探索・特性解明・構造解析を行い、環境浄化や物質生産への応用に向けた基盤を構築する。
1115 低温でのタンパク質生産システムの開発 川本 純 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 タンパク質研究において、目的タンパク質の大量生産は避けては通れない課題であり、従来の大腸菌や酵母、バキュロウィルスなどを用いた異種タンパク質生産システムでは困難とされる熱安定性の低いタンパク質や封入体を形成しやすいタンパク質を効率的に生産するタンパク質生産システムへのニーズは大きい。 本研究では、 0レC 付近でも良好に生育する南極海水由来の好冷微生物をタンパク質生産用宿主として利用することで、低温で効率のよいタンパク質の高生産システムを開発する。
1116 花弁状表面形態を有する酸化チタンファイバーの開発と光触媒への応用 長嶺 信輔 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は、ハンドリング性、触媒活性を併せ持つ光触媒ナノファイバーを作製することを目的とする。研究代表者らは、静電紡糸法を利用した酸化チタン中空ナノファイバーを作製する手法を開発している。また、酸化チタン微粒子の表面にナノスケールの花弁状形態を付与する技術を開発した。本研究ではこれらの技術を組み合わせ、花弁状表面形態を有する酸化チタンナノファイバーを作製し、その光触媒としての実用性について評価する。
1117 高い腫瘍到達力を持つターゲティングプローブの開発 三木 康嗣 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本代表研究者は近年、有機金属触媒を用いる両親媒性三成分共重合体の効率的な合成とその自己集合体である色素含有ミセル状ナノ粒子の創製に成功している。また、腫瘍が持つ物理的な要因によりこのナノ粒子がマウスの腫瘍組織に集積することを蛍光イメージングにより確認した。本試験研究では実用化に向けて、本代表研究者が見出した腫瘍イメージング剤に対する化学修飾によりその構造の強化を図り、副作用の少ない抗がん剤の開発を目指す。
1118 衛星ビーコン・ディジタル受信機の自律観測システム開発 山本 衛 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 衛星から発射される2波のビーコン電波を地上で観測することで、電離圏の全電子密度が観測される。代表研究者らはソフトウエア無線専用のフリーウエアGNU Radioを利用して、既存品に対して価格1/10で高性能のディジタル受信機の開発に成功してきたが、本研究では、更にビーコン電波を自動的に発見し記録する機能を付加することを目指す。これによって、衛星の飛行スケジュールを知らずに自律的に観測可能という、世界初の機能を持つ衛星ビーコン受信機が完成する。
1119 リビングラジカル・カチオン連続重合による新しいブロック共重合体の創製 山子 茂 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究では、代表研究者が開発した独自のリビングラジカル重合法とリビングカチオン重合法とが共通のへテロ元素活性末端を持つことに着目し、二つの機構的に異なるリビング重合を連続して行うことによる、ブロック共重合体の合成法について検討する。本研究により、ラジカル重合、あるいはカチオン重合に特徴的ブロックセグメントの組み合わせにより、従来法では合成できなかった新しいブロック共重合体の創製を行ない、その応用的利用法を探索する。
1120 木質表面の陰影画像からの粗さパラメータおよび視覚ざらつき度の導出 藤井 義久 京都大学 冨松 亮介 関西ティー・エル・オー株式会社 本研究は、高速で非接触かつ全数検査を可能にする表面凹凸の評価手法の提案を目的としている。木材など微細な表面の凹凸パターンや色調変化のある表面について、そのデジタル二次元画像から表面凹凸に関するパラメータを導出するアルゴリズムを導出する。その際、凹凸情報を画像情報に落とし込むための手法として、斜光照明によって生じる表面の陰影パターンを利用する。また官能検査も行い、表面の視覚的ざらつき度に対応した粗さパラメータを求める。また陰影のある画像処理において問題となる凹凸に関係のない色調の変動や地模様の影響の排除方法も明らかにする。
1121 ベッセルモードのレーザーパルスによるリモートセンシング技術の開発 中嶋 隆 京都大学 松下 良昭 京都大学 ライダーのようなレーザーを用いたリモートセンシング技術では、レーザーパルスの大気伝搬特性がその感度や精度に大きく影響する。本課題ではフェムト秒パルスに適したモード変換素子を設計・試作・試験することにより回折が極微であるベッセルモードのフェムト秒パルスを発生させ、そのパルス伝搬特性を理論的および実験的に調べることによってライダーなどのリモートセンシングの基礎技術として確立させる。
1122 ウィンドプロファイラーのためのクラッター抑圧技術の開発 橋口 浩之 京都大学 松下 良昭 京都大学 風速の高度プロファイルを連続観測できるウィンドプロファイラーは、気象庁が気象予報業務に利用している他、気象観測研究において準標準的な観測装置として各種研究で利用されている。しかしながら、非常に微弱な乱流散乱エコーをターゲットとするため、サイドローブによるクラッターエコーがしばしば観測の障害となる。本研究では、クラッターエコーを抑圧する技術を開発し、ウィンドプロファイラー観測データの精度を向上させる。
1123 超伝導パイ接合素子 前野 悦輝 京都大学 松下 良昭 京都大学 接合部の超伝導位相差がゼロではなくπになるパイ接合の超伝導量子干渉素子(SQUID)は、従来のSQUIDと同様に超高感度の磁気センサーとして有用であるだけでなく、正または負の半整数磁束量子を閉じ込める性質を用いた量子ビットとしての応用も期待される。本課題はスピン三重項超伝導を用いた新奇な原理に基づくイントリンジック(内因的)なパイ接合SQUIDを製作し、その動作を実証しようとするものである。
1124 トランスジェニック動物マーカーの開発と応用 木下 専 名古屋大学 武野 彰 名古屋大学 トランスジェニック動物、特にマウスやラットは創薬等のモデル系として製薬企業・大学・試験機関等で広く利用されているが、系統維持のための遺伝子型の判定には生化学的検査(DNA抽出とPCR法)が必要であるため、時間・労力・コストがかかる。本試験研究では、汎用される発現プラスミドに(目的遺伝子発現ユニットに対して逆向きに)カセット化したマーカー遺伝子を組み込み、組織特異的に蛍光蛋白質を発現させることによって、1)遺伝子型の判定を瞬時・非侵襲・ランニングコストゼロで可能とするとともに、2)導入遺伝子コピー数の推定を可能とするものである。
1125 タバコ病(慢性閉塞性肺疾患)に対する治療器具の力学解析 佐藤 寿彦 京都大学 前河 早希 京都大学 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期間の喫煙習慣が原因であり「肺の生活習慣病」とも呼ばれ、2020年に死因の第3位になると予測されている。COPDの疾患肺は、弾性収縮力を失って過膨張に陥っているが、われわれは弾性収縮力を付与し過膨張を防ぐ合成高分子ネットをもちいた治療方法を提案している。本課題では、実用化に際して不可欠となる該治療具の最適な物性や形状設定を可能とするシミュレーションの開発に取り組む。
1126 新規イソキノリンアルカロイド生産法の開発と応用 佐藤 文彦 京都大学 藤森 賢也 京都大学 高等植物が生産するイソキノリンアルカロイドには、ケシの生産するモルヒネや、オウレンが生産するベルベリン等、有用医薬品として利用されるものが多く存在する。レチクリンは、これらイソキノリンアルカロイド生合成系の重要な中間体であり、それ自身の生理活性にも期待が寄せられている。本課題では、遺伝子操作した大腸菌ならびに酵母細胞系を用いて、レチクリンを大量生産する技術を確立するとともに、レチクリンから派生するアルカロイド類の生産方法も確立する。
1127 ヒト樹状細胞の機能制御と新規免疫制御法の開発 -抗酸化ストレス分子チオレドキシンによる機能修飾- 門脇 則光 京都大学 樋口 修司 京都大学 樹状細胞は、免疫反応および免疫寛容の双方を誘導する免疫系の中心的な細胞である。一方、酸化還元(レドックス)制御分子チオレドキシンは、細胞の生存・増殖・機能を制御する、生体の恒常性維持に必須の分子である。本研究では、ヒト樹状細胞におけるチオレドキシンの発現制御と、内因性・外因性チオレドキシンが樹状細胞の機能に及ぼす影響を解析する。それにより、種々の免疫関連疾患に対する新たな免疫制御法の開発を目指す。
1128 C型肝炎治療に際しての副作用出現予測のための遺伝子診断系の構築 丸澤 宏之 京都大学 樋口 修司 京都大学 C型肝炎に対する世界的な標準的治療法はインターフェロン+リバビリン併用療法であるが、その治療効果を制約する最大の要因が血球減少をはじめとする高い副作用の出現率である。本課題は、C型肝炎に対する治療に際しての副作用出現を規定する個人間の遺伝子多型を特定し、それを特異的に検出するDNAアレイを用いた遺伝子診断系を構築することにより、C型肝炎に対する安全性と有効性を高めた新しい治療体系を樹立することを目的とする。
1129 精子幹細胞による疾患モデルラットの作成へ向けたラット系統の検討 篠原 美都 京都大学 樋口 修司 京都大学 遺伝子改変動物は従来、卵子・初期胚を使った技術が中心に使われきたが、マウス以外の種では排卵数が少ないことやES細胞を用いた技術が使えないことから、実用的でない。研究代表者らは精子幹細胞の長期培養系を用いて遺伝子ノックアウト個体の作成に成功し、次の目標としてラットへの技術展開を目指している。本研究は様々なラット系統について精子幹細胞培養や移植の効率を比較し、遺伝子改変個体作成に適した系統を検索する。
1130 ユビキチン化蛋白輸送阻害性化合物の探索 木村 晋也 佐賀大学 樋口 修司 京都大学 代表研究者は、「GUT-70のユビキリン阻害作用の証明」を目的としている。その次のマイルストンは「GUT-70をシーズに、ユビキリンに対する特異性の高い新規化合物を得る」であり、本研究成果によって First in class のユビキチン化蛋白輸送阻害薬の実用化への行程がより鮮明になると期待できる。本研究の目標が達成できれば、出願済みの特許の強化、さらに新規化合物の特許出願につながることが期待される。
1131 スタンポレーション法を用いたヒトBMP2発現ベクターによる骨誘導に関する研究 別所 和久 京都大学 樋口 修司 京都大学 (研究主題概略)ナノ加工技術を用いて遺伝子導入の新たなディバイスを作製し、それを骨再生に応用する。(研究目的)ヒト骨形成因子(BMP)を蛋白として直接使用するのではなくプラスミドベクターを介して宿主自身の細胞にBMPを作らせるという画期的な方法を考案した。本法を用いた骨再生医療への応用の可能性を検討する。ナノ加工技術で作製された超微細針を用いてBMP遺伝子導入を行う。本研究は今までBMPを蛋白質として使用するという手法に固執していた概念を打ち破るものであると考えられる。
1132 シナプス小胞トンラスポーターの新規機能解析法の開発 中川 貴之 京都大学 樋口 修司 京都大学 最近、自己組織化単分子層と生体膜脂質をコーティングした金基盤上に、細胞膜断片を付着させた固相化細胞膜を用い、細胞膜輸送、特に起電性のトランスポーター電流応答を測定する方法が開発された。本研究では、シナプス小胞トランスポーターの電流応答をリアルタイム記録し、その輸送制御メカニズムの解明、及び最終的には創薬ハイスループットスクリーニング系の確立を目的とし、シナプス小胞での膜輸送機能解析法を開発する。
1133 室温動作マルチフェロイック酸化物人工超格子の作製およびメモリ応用 市川 能也 京都大学 門林 剛士 京都大学 (111)配向ペロブスカイト人工超格子すなわちBサイトイオンの岩塩型秩序配列を非平衡下で人工的に作製することで、複数のフェロ物性を持つ「新規マルチフェロ物質」創製する。この新規マルチフェロ物質の局所構造・構成イオンの結合状態・磁気特性・誘電特性・電子輸送特性を種々の実験手法を駆使して明らかにし、室温で動作する初のマルチフェロイックデバイスを実現することを目的とする。特にメモリデバイスについて特性評価も行い、実用上必要十分な特性の実現を目指す。
1134 糖類の位置選択的官能基化 川端 猛夫 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 本研究はグルコースの4つの水酸基に任意の官能基を位置選択的に順次導入する新技術の開発と、それに基づき(1)配糖体天然物の全合成、(2)糖鎖ライブラリーの構築、(3)新規糖を含む糖鎖合成中間体の供給を行う。糖類は感染過程や癌の転位などの細胞間相互作用や細胞の分化などの生命維持の根幹に関わっている。このような生命現象の探求やそれに基づく医薬品開発には多糖類や配糖体の精密合成が必須である。しかし合成技術の進歩した現在でも、糖類の複数存在する水酸基を直接官能基化できる非酵素的手法は皆無であった。一方、代表研究者は無保護グルコースの4位水酸基を99%以上の選択性で直接官能基化できる触媒の開発に成功した。この技術を基盤として上述の課題に取り組む。
1135 放射線照射により活性化されるプロドラッグ抗がん剤の開発 田邉 一仁 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 本研究では、化学放射線療法に適応可能で、かつ副作用の軽い放射線還元活性化型プロドラッグを開発する。このプロドラッグは単に投与されただけでは何ら薬効を示さないが、放射線を照射すると照射した部位でのみ活性化され、薬効を発現する。具体的には、抗がん活性を示す薬剤に置換基を導入することで不活性化(プロドラッグ化)する一方で、放射線照射により元の活性な構造に戻る機能性分子(プロドラッグ)を合成し、薬剤としての機能を評価する。従来までに見出した各種放射線分解型置換基を活用して、効果的に薬効を発現するインテリジェントプロドラッグを創製する。
1136 体外受精胚から受胎性の高い胚盤胞を高効率的に作出する新規合成培地の開発 山田 雅保 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 哺乳類着床前胚の体外培養は、動物の効率的生産、新生動物の創出そしてヒトの不妊治療において中枢的な役割を果たしている。本研究では、マウス体外受精胚の卵割期での発生を促進する因子、および、着床に必須の現象である胚盤胞の透明帯からの脱出と胚盤胞腔の拡張と維持を促進する因子の単離・同定を行い、さらに、それら生理活性因子を用いて受胎性の高い胚盤胞を高効率的に作出する合成培地の開発を目指す。
1137 近赤外発光特性を有するアミノ酸の開発 高谷 光 京都大学 加藤 眞行 独立行政法人科学技術振興機構 生体透過性の高い近赤外領域に発光特性を示す標識分子を開発することができれば、紫外・可視領域に発光・吸収スペクトルを示す生体物質に邪魔されることなく組織や細胞の明瞭なイメージングが可能となります。本研究では白金と希土類金属を組み合わせることによって近赤外領域での強い発光特性を示す金属結合型アミノ酸を開発します.また、これらを蛋白質に導入することによって,特定の病理組織、病変細胞を近赤外分光によって可視化できる新しい診断薬の開発を目指します。
1138 圧電MEMSミラーアレイを用いた光通信デバイスの開発 神野 伊策 京都大学 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 本研究では、双方向光通信を可能とするマイクロミラーアレイの開発を行う。レーザ光の受光側にMEMSミラーアレイを用い、ミラーの反射パターンを高速で変調することにより受光側の情報を送信側に通信する。ミラーの駆動に圧電薄膜アクチュエータを用いることで低電圧での変調を可能とする。更に反射ミラーの構造をコーナーキューブとすることにより、光源と受光部の軸合わせが不要となり、無線通信が困難な環境下、また移動体との通信においても双方向光通信が実現できるデバイスの実現を目指す。
1139 金属ナノ構造を用いた半導体量子ドットの発光高輝度化とその応用 松田 一成 京都大学 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 半導体量子ドットなどのナノスケール材料の発光の高輝度化は、細胞ラベリングや光デバイスの高効率化・高度化において重要な課題である。本研究では、異種材料(半導体量子ドットと金属ナノ粒子)を組み合わせたヘテロ界面で起こる金属中の表面プラズモンと半導体ナノ粒子の励起子との相互作用を利用することで、半導体量子ドットの発光の高輝度化を目指す。
1140 2液迅速脈動混合マイクロ流体デバイスの開発とナノ粒子合成への応用 菅野 公二 京都大学 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 2種の溶液を十字混合流路へ交互に送液する新しい脈動混合用マイクロ流体デバイスを作製し、従来より2桁高速な数ミリ秒での混合を実現する。さらに,本手法を粒子径分散が混合速度に支配される2液混合液相還元法による金ナノ粒子合成に応用し、高感度な表面増強ラマン分光(SERS)に適した直径60 nmの金ナノ粒子を従来法より1桁小さい粒子径標準偏差2 %以下で合成することで本手法の有用性を実証し、SERSによる化学分析の実用化に重要な分析の再現性向上を実現する。
1141 ナノ粒子の乾燥自己集積特性を利用したネットワーク型透明導電膜の開発 東谷 公 京都大学 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 数十ミクロンの単分散ラテックス粒子の単層構造を基板上に形成させ、乾燥後、その上部から高濃度金ナノ粒子溶液を垂らし、再び乾燥させると、粒子・基板接点周り並びに粒子間に美しい細線の導電性ネットワークが出来ることを発見した。本研究は、この原理を利用し、種々なネットワーク細線を創製し、ITO膜に匹敵する性能を有する透明導電膜を開発しようとするものである。
1142 スウィング機構付きトラック輸送用除振台の開発 松久 寛 京都大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 精密機器などをトラックや鉄道で輸送するときの路面凹凸による鉛直方向振動の除振と急制動のときの前方への転倒を防ぐ除振台を開発する.鉛直方向の除振には,自重を支えかつ固有振動数の低い,負ばね併用のリンク機構および空気ばねを用いる.また、制動時に台が傾くことによって前方への転倒を防ぐスウィング機構を開発する.これらを2段に重ねることによって,鉛直方向の加速度を1/3に,前後方向の転倒モーメントを1/2に低減する.
1143 水中でのヘルムホルツ共鳴を応用した非接触体積計測法の開発 近藤 直 京都大学 笹田 滋 独立行政法人科学技術振興機構 生簀内を遊泳する個々の生魚の体積を非接触で測定し,個体に応じた質・量の餌を与えるシステムを開発することを最終的な目標とし,そのうちシステムの根幹となる水中でのヘルムホルツ共鳴を応用した非接触体積計測法を開発することを目的とする。本研究では,水中において共鳴現象を発生させるための共鳴体構造,アクチュエータや検出器の仕様等について理論・実験の両面から解析・検討を行う。
1144 気体流動槽内における効果的なアンモニア除去条件の解明 平野 幹典 京都府畜産技術センター 西村 敏弘 独立行政法人科学技術振興機構 畜産事業所から発生するアンモニアガスを、簡易で低コストに脱臭するため樹木チップに硝化・脱窒菌を植種した脱臭槽を試作し実証運転したところ、鶏ふん処理施設から発生するアンモニアをほぼ完全に除去できることが確認できた。そこで、この方法による脱臭槽の設計指標を確立するため、樹木チップ充填槽を用いてアンモニアガス連続通気における充填槽内のアンモニアの捕捉、硝化・脱窒速度を求め、アンモニア除去の最適化条件を明らかにする。
1145 ラマン散乱を用いた心臓組織診断法の開発 高松 哲郎 京都府立医科大学 島田 かおり 関西ティー・エル・オー株式会社 心筋組織のバイアビリティは治療を左右する重要な因子であるが、これを直接測定する方法はまだない。本試験研究では、532nm励起によるヘム蛋白の共鳴ラマン散乱を利用して得た情報をもとに、主成分分析を用いたイメージ再構築を行うことにより、無染色・無侵襲で心臓の生体組織診断を行う。つまり、組織を切り取ることなく、ラマン散乱光の持つ分子情報をもとに非浸襲的な光学手段によってリアルタイムで心筋組織像を得るための手段を検討するとともに、この手段を用いて虚血に陥った心筋組織のバイアビリティを測定する。
1146 MEMSを用いた新規遺伝子導入技術の開発 岸田 綱郎 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 ヒト細胞に安全に遺伝子を導入するには、レトロウイルスベクターやアデノウイルスベクターなどのウイルス性ベクターを使わない、いわゆる非ウイルス性ベクターを用いることが望ましいが、従来の非ウイルス性ベクターでは、安全性と同時に導入効率を上げることは難しかった。本課題では、MEMSを用いた全く新しい実用的な遺伝子導入技術を確立することを目標とする。
1147 術中微小リンパ節転移可視化装置の開発 原田 義規 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 本研究においては、リンパ節転移の術中診断に適したベッドサイドで使用可能な小型蛍光観察装置を開発する。消化器癌手術ではリンパ節郭清が行われるが、より低侵襲で確実な手術を行うには、正確な術中リンパ節転移診断が必要である。それが実現されれば病期の術中診断が可能となり、必要十分なリンパ節郭清を含めたオーダーメイドの合理的手術が実現されうる。
1148 糖尿病合併症やがんの発症を予防する食品因子の評価系の開発 伊藤 友子 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 2007年国民健康・栄養調査の結果で約2210万人と推計された糖尿病患者のうち、治療患者の合併症に罹っている割合は約7割以上を占め、合併症への進行はもはや命に関わる。現時点では糖尿病の完治はほとんど望めないとされ、合併症の発症予防が不可欠である。代表研究者は独自に開発した糖尿病合併症発症に関与するマーカーを指標に、胃粘膜および腸上皮細胞を利用して食品成分中より本合併症発症やがん発症を防御する因子を探索する簡便な評価系の確立を目指す。本課題達成と同時に、得られた成果をもとに、食品因子の生体内での機能を適切に評価するための系を確立する。
1149 前立腺針生検3次元穿刺位置情報ソフトの開発 沖原 宏治 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 前立腺癌密封小線源治療の治療計画装置の基本システムを、経会陰的テンプレート前立腺針生検に応用し、採取された生検コアーの3次元的位置情報ならびに採取された個々のコアー内部の癌・非癌部位を表示する追加アプリケーションを作成する。また、初回生検時における採取できていない、cold areaの自動認識システムと、前立腺全摘術症例の推定癌占拠部位・容積を算定する機能を搭載することが目的である。
1150 手術結果予測機能を備える4次元画像による低侵襲手術支援システムの開発 浮村 理 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 既存の内視鏡拡張現実感手術支援技術は、脳脊髄神経・心臓血管内操作など、適応領域が限定され、将来結果予測機能は備えておらず、また、静的なもので対象が移動すると空間的位置あわせを必要とした。本研究では、革新的なBody-GPSを導入するので、4次元的な重畳表示(手術継続中も動的に3次元画像が連動)が可能である。しかも外科領域の全手術で利用でき、新機能として結果予測機能を備える。
1151 新しい作用機序による鎮痛補助薬の開発 衣斐 督和 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 現在オピオイド(モルヒネ)は鎮痛薬として臨床で汎用されているが、癌性疼痛などの持続性の痛みに長期使用すると耐性が出現し、患者の苦痛は再燃する。この現象はオピオイド使用における最大の未解決の課題である。本研究は代表研究者らが作出した独自の実験モデルを用いて行動薬理学・生化学・細胞生物学的手法を駆使して耐性出現のメカニズムを明らかにし、新しい鎮痛補助薬のターゲットを確立することにより、安定した除痛コントロールによる緩和医療への応用をめざすものである。
1152 糖尿病性腎症の早期診断技術の実用化研究 福井 道明 京都府立医科大学 羽室 淳爾 京都府立医科大学 糖尿病の3大合併症の一つの糖尿病性腎症のために透析にいたる患者数は300万人を超え、医療経済的にも社会問題となっている。自覚症状がないまま腎症は発症・進行し、一旦発病すると完治することはできない。病期・病態の評価に尿中微量アルブミンが有用とされるが、糖尿病性腎症の発症・進展を予期することには無効で、腎症の発症・進展のリスクマーカーは確立されていない。本研究は、京都府立医科大学で新規に発見した4種の糖尿病性腎症発症リスクマーカーの診断技術としての有用性をヒトで検証することを目的とする。
1153 構造解析に基づく新規抗SARS薬リード化合物の探索 赤路 健一 京都府立医科大学 内田 逸郎 独立行政法人科学技術振興機構 重症急性呼吸器症候群SARSは新型コロナウイルスの感染による重症肺炎疾患で特に高齢者に対し高い致死性を示すが、有効な治療法やワクチンはいまだ開発されていない。本課題では、「あらたなSARS pandemicに先んじてSARS治療薬を開発する」ことを目標とし、超高活性変異型SARS 3CLプロテアーゼと各種基質mimeticとの共結晶を作成しX線構造解析を行う。原子レベルでの構造解析によるSARSプロテアーゼ阻害剤リード化合物の設計・評価を行い、ウイルス増殖に必須となるSARS 3CLプロテアーゼ阻害による新規抗SARS薬開発につなげる。
1154 超高濃度変性剤に耐性を有するケラチン分解性プロテアーゼの開発 渡部 邦彦 京都府立大学 土井 優子 関西ティー・エル・オー株式会社 代表研究者は、独自に単離した好熱菌の研究から、界面活性剤などのタンパク質変性剤に対し従来の事例をはるかに超える濃度耐性を有するケラチン分解性プロテアーゼを発見した。ケラチンは皮膚、爪、羽毛などに大量に含まれる。本酵素の応用研究として食品・薬品製造、洗剤、プロテオーム解析に用いる研究用試薬、さらにはプリオンなどのバイオハザード除去、ヒトゲノム抽出用酵素などに応用できる強力なツールとしての開発をめざす。
1155 生体内アミン類の高感度定量法の開発 椿 一典 京都府立大学 内田 逸郎 独立行政法人科学技術振興機構 生体内ポリアミンの一種であるスペルミジン・スペルミンは細胞の分化・増殖に深くかかわっている。癌によっては代謝物である尿中ジアセチルスペルミジン・スペルミン濃度が上昇して事が知られており、これらの尿中濃度は腫瘍マーカーのひとつとして利用されている。本課題は生体内ポリアミンを標的とし高感度定量法を開発し、分子生物学領域に新たなツールを提供するほか、癌の早期発見または、癌手術後の予後予知などの応用を目指している。
1156 天然型トロポロンー亜鉛錯体の開発と肥満・糖尿病治療薬への応用 安井 裕之 京都薬科大学 内田 逸郎 独立行政法人科学技術振興機構 糖尿病患者のQOL増進を目指し、すでに代表研究者らは実験糖尿病動物を用いて、有機医薬品に代わる血糖降下作用を示す亜鉛錯体を提案している。その後、高活性な亜鉛含有医薬品もしくは栄養機能性食品の開発をめざし、種々の亜鉛錯体を合成してきた。しかしながら、高い経口吸収性を有する亜鉛錯体の開発は非常に難しく、現在も模索中である。本課題では生体利用率が高い、天然型分子を配位子にもつ新規亜鉛錯体を合成し、「安定度定数、分配係数、上皮細胞膜透過性」などの物性データと「脂肪細胞を用いたグルコース取込促進およびアディポサイトカインへの影響」を検討し、高活性な候補化合物の開発を目指す。
1157 生体分解性マイクロニードルを用いたインスリンの次世代型経皮吸収製剤の開発 山本 昌 京都薬科大学 内田 逸郎 独立行政法人科学技術振興機構 糖尿病治療薬インスリンは、現在、臨床上、注射で投与されるが、注射は患者に痛みを伴い、また様々な副作用を発現しやすいため、非侵襲的で安全なインスリンの投与形態が望まれている。本研究では、生体分解性素材を用いて微小な針構造を有するマイクロニードルを調製し、本マイクロニードル中にインスリンを一定量含有させ、これを皮膚に適用することにより、注射に代わる非侵襲的で安全なインスリンの次世代型経皮吸収製剤の開発ならびに糖尿病の治療を目指す。
1158 インフルエンザウイルスのヘマトグルチン開裂部位を標的とした新規抗ウイルス剤の開発 根木 滋 同志社女子大学 堀内 真幸 同志社女子大学 本研究では、高病原性インフルエンザに対する抗ウイルス薬の開発に取り組む。インフルエンザウイルスは、その外膜タンパク質であるヘマトグルチンの開裂により感染能を獲得する。ここでは、ヘマトグルチンに存在するカチオンクラスター部位と特異的に相互作用するポルフィリン骨格を有する抗ウイスル剤のリード化合物を合成し、その感染阻害効果およびそのメカニズムについて様々な角度から検討を行う。
1159 抗菌性を有する新規酸化亜鉛系ナノマテリアルの作製 廣田 健 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 酸化亜鉛の抗菌特性のメカニズムを調査し、ZnO粒子表面で生成される活性酸素がその抗菌特性の由来であると一昨年学会で発表(「第45回セラミックス基礎科学討論会、2007年1月22-23日仙台、2A-02)したが、遮光下でも有効なZnOの抗菌特性のメカニズムは十分明らかになったとは言えず、今後さらに緊急度が高い強力な抗菌特性を示すナノマテリアルを合成するには,基礎的な研究が不可欠である。昨年度から開始した新しいZnOナノロッド粉体の水熱合成とその粉体のキャラクタリゼーション、化学発光による活性酸素発生の確認、およびその同定、活性酸素生成量と大腸菌を用いた抗菌力との相関の確認、ブドウ状球菌に対する抗菌力の確認、高分解能透過型電子顕微鏡HR-TEMを用いたZnO最表面層の観察等を行う。
1160 オープンキャピラリーチューブを用いたマイクロフロー分離システムの開発 塚越 一彦 同志社大学 永田 和彦 同志社大学 キャピラリーチューブ内のマイクロ空間を流動する溶媒中に見いだされた新たな溶質分離挙動に基づき、簡便・迅速かつ安価な新しいマイクロフロー分離システムを開発する。即ち、従来のキャピラリークロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動法につづく、キャピラリーチューブを用いたこれまでに例のない全く新しい分離技術として、本マイクロフロー分離システムの技術確立をはかる。具体的には、下記4項目を研究実施計画とし、マイクロ空間を流動する溶媒中に見いだされた溶質分離挙動に基づく新規「マイクロフロー分離システム」を開発する。(1)キャピラリーチューブの材質(フューズドシリカ、ポリエチレン、テフロン等)が分離に与える影響を調べる。(2)キャピラリーチューブ内での分離挙動を蛍光可視化画像から観察し、分離メカニズムについて考察する。(3)蛍光検出および化学発光検出(ルミノール発光系および過シュウ酸エステル発光系)を導入し、分析対照範囲を拡張する。(4)光学異性体分離へ応用を検討する。
1161 紫外領域で動作する高分子有機ELの開発 大谷 直毅 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 従来成果により紫外領域で動作する高分子有機ELは実現しているが、寿命の点で実用化に問題がある。そこで本研究は、長寿命化が可能な高分子材料を新規に開拓し、有機ELによる紫外発光を実現することを目的とする。また将来のフレキシブル素子への応用を視野に入れ、フィルム基板上での発光実現も目指す。
1162 ハイパーソニック圧電顕微鏡の開発 松川 真美 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 圧電材料に応力が加わるとひずみが生じ、内部に圧電分極が発生する。この分極の内部電界は逆圧電効果により、元のひずみと逆方向にひずみが発生させ、ひずみ量を減少させる。つまり圧電性のある材料に応力を加えると、圧電性がない材料に比べて弾性が高くなる。したがって、この弾性変化を測定すれば圧電定数を評価できる。また、材料の弾性は縦波・横波音速から測定可能である。本研究は、このような発想と代表研究者の「顕微ブリユアン光散乱測定技術」を組み合わせ、超高周波超音波(ハイパーソニック)領域であるGHz域の非接触・非破壊、縦波・横波同時測定により圧電薄膜の局所的な圧電定数測定を目指す。
1163 DME予混合吸気−水素直噴デュアル燃料ディーゼル機関の開発研究 千田 二郎 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 急速圧縮膨張機実験においてDME予混合気場に水素を直接噴射して、DMEの低温酸化反応に起因する分解成分であるH2O2経由でのOHラジカルによる水素の自着火過程を実現し、反応動力学を用いてもこの着火過程の反応を確認した。本課題では、実機関を用いて、予混合DME濃度と水素直接噴射時期を独立に制御することによって最適な燃焼形態・排気特性を究明できる。
1164 角膜移植の治療成績を向上させる新しいドナー角膜保存液の開発 小泉 範子 同志社大学 平尾 正三 同志社大学 角膜混濁に対する外科的治療法としてドナーから提供された角膜組織を用いた角膜移植術が広く行われている。角膜移植の治療成績を不良にする要因の一つとして、移植後のドナー角膜組織の角膜内皮細胞密度が減少することによって、再び角膜が混濁する移植片機能不全がある。現在、米国および日本を含む多くの国々では、ドナーから提供された角膜組織を患者に移植するまでの間、ドナー角膜を角膜保存液に浸漬して4℃で冷蔵保存する方法が用いられているが、保存期間中に角膜内皮細胞が障害されて移植後早期に内皮細胞密度が低下してしまう可能性がある。代表研究者らは角膜内皮細胞に対する接着、増殖促進効果を有するRhoキナーゼ阻害薬を添加することにより、保存中の角膜内皮細胞障害を軽減し、角膜移植の治療成績を向上させる新しいドナー角膜保存液の開発を行う。
1165 腓腹筋電気刺激で蹴り出し強化を行う歩行補助装置の開発 鈴木 立人 舞鶴工業高等専門学校 辻 正 舞鶴工業高等専門学校 高齢者や歩行障害者は蹴り出し動作が弱く歩行速度が遅くなり,左右へ身体がぶれるため,転倒危険性が非常に高い.そこで,腓腹筋電気刺激を用いて蹴り出し動作を強化することにより,膝関節及び股関節の運動を誘発して歩容を改善する.同時に転倒危険性を低下でき,歩行速度も増加させ得る歩行補助装置を高齢者や歩行障害者に提供できる.

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 大阪:136件  (JSTイノベーションプラザ大阪)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1166 多種加工用フレキシブル超短パルス光源の開発 古瀬 裕章 (財)レーザー技術総合研究所 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 本研究課題は、50 fs 〜 10 psの広範囲においてパルス幅を制御できるフレキシブル超短パルス光源を開発することである。フェムト秒の超短パルスレーザーは非熱加工が可能であり、精密部品加工、低耐熱性材料へ利用できる。しかし市販されている超短パルス光源は仕様範囲が狭く汎用性に欠ける。本課題を達成できれば、多種多様な加工応用を1台の光源で利用可能となり、加工技術、生産技術向上に繋がると期待できる。
1167 深部脳組織からのIn vivo Ca imaging可能な微細内視鏡のための画像処理システム開発 船曳 和雄 (財)大阪バイオサイエンス研究所 長谷川 新 (財)大阪市都市型産業振興センター 本研究は、in vivoで脳深部神経回路の観察及び神経活動記録が可能なイメージバンドル型微細内視鏡システムにおいて、イメージバンドルによる不連続かつ低コントラストの画像をonlineコンピュータ処理により補正し、高いコントラストの滑らかな画像データを作ることのできる高速画像処理システム開発を目的・目標としている。
1168 組換えアデノ随伴ウイルスベクターを用いた局所的RNA干渉(fRNAi)開発 ミハエル ラザルス (財)大阪バイオサイエンス研究所 長谷川 新 (財)大阪市都市型産業振興センター 脳内の様々な遺伝子および神経回路の空間的時間的機能解析を目的とし、局所的RNA干渉法および光遺伝学的手法の開発を行う。現在、カフェインの覚醒効果に重要なアデノシンA2A受容体に注目し、アデノ随伴ウイルスを用いたshRNAの導入によりラット脳の大脳基底核でA2A受容体の発現を抑制し、カフェインの効果に重要な部位の同定を試みている。また、光感受性オプシンを脳内局所に発現させ、光刺激により神経回路を制御し、カフェイン応答性神経回路を解明する。
1169 プロテアーゼ活性化受容体の機能に着目した新規心不全治療薬の開発 大谷 ひとみ 関西医科大学 和田 省二 関西医科大学 狭心症、心筋梗塞の虚血性疾患による心不全の発症・進展要因として局所での炎症反応が注目されている。特に虚血時に微小血管壁の破綻で心筋内に漏出したトロンビンや心臓内局所に集積した炎症細胞から放出される多くの蛋白分解酵素(プロテアーゼ)による受容体刺激が、心臓の機能低下に関わることが最近判ってきた。本研究では、プロテアーゼ活性化受容体刺激が心肥大を誘導する機序について、疾患モデル動物や細胞レベルで明らかにするとともに、新規心不全治療薬としての可能性を追求する。
1170 mTOR経路を標的とした新規樹状細胞機能制御法の開発 松田 達志 関西医科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 代表研究者は、ごく最近、mTORが樹状細胞においてIL-10遺伝子発現の鍵分子として機能していることを明らかにした。mTOR経路を介したIL-10遺伝子発現制御は、T細胞・B細胞などに見られない樹状細胞特異的な現象であることから、本研究においてmTOR経路の下流で樹状細胞特異的にIL-10産生制御を担う分子の同定と、当該分子を標的としたIL-10産生制御法の確立を目指す。
1171 蚊の口器構造と穿刺動作を模倣した低侵襲マイクロニードルの開発 青柳 誠司 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本研究は、MEMS技術を援用した低侵襲マイクロニードルの開発を目的とする。その際、蚊を無痛針のモデルとする。拡大光学系と高速度カメラを用いて蚊の口器構造・穿刺動作を詳細に観察し、有限要素法解析を用いて蚊を模倣した微細針の刺入における皮膚組織の変形・破壊を検討する。これらの結果に基づいて蚊の穿刺メカニズムを解明し、その成果をマイクロニードルの設計・製作にフィードバックする。
1172 高性能ナノ粒子遺伝子導入・発現ベクターの開発と応用 長岡 康夫 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 非ウイルスベクターによる動物細胞内への遺伝子導入法は、遺伝子治療からiPS細胞の作製や形質転換を伴う基礎研究まで、現代生命科学の最先端を支える基本技術となっている。しかしながら、既存法では、導入遺伝子の核への移行性や核内での転写活性が低い等の理由で、必ずしも十分な遺伝子発現が得られないという問題を抱えている。本試験研究では、代表研究者らが進めている高性能ナノ粒子ベクターの開発を完成し、広範な実証実験のもと、その実用化を目指す。
1173 磁気ディスククリーン化プロセスへの高密度高配向カーボンナノチューブの応用 谷 弘詞 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 ハードディスク装置(HDD)の高記録密度化のためのクリーニング(塵埃除去)として、クリーニングヘッドに高密度・高配向カーボンナノチューブ(CNT)をSiC表面分解法で形成する。そしてCNTの接触摺動時の柔軟性と均一性を利用して、塵埃や突起を除去するクリーン化プロセスへ応用する。目標は磁気ディスク上の塵埃除去率(CNTクリーニング後/クリーニング前)を90%以上とする。
1174 周期構造と光化学反応の重畳効果を利用した生体機能膜の開発 上田 正人 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 Ti表面に周期構造を有するTiO2、CaTiO3を低温合成し、擬似体液中で光を照射することにより骨の主成分であるハイドロキシアパタイト(HAp)の形成を制御する。表面のナノ構造、周期性を制御することで表面積、ぬれ性を制御すると同時に、光の吸収波長・効率をも変化させる。光照射によりHAp膜形成の促進ならびに形態、結晶性、組成の精緻制御を達成し、生体硬組織を模倣した表面を有する硬組織代替材料を開発する。
1175 低原子価ニオブ触媒を用いた高難度有機変換手法の開発 大洞 康嗣 関西大学 柴山 耕三郎 関西大学 本課題は、従来その達成が困難であった低原子価前周期金属錯体の均一系触媒としての利用を図り、不飽和炭化水素類を基質とした高付加価値的な有機変換手法の開発を行うことを目的としている。本課題は、低原子価ニオブ錯体が有する高い還元剤としての機能を触媒反応に付与した新規均一触媒系を提供するものである。具体的な反応例としてアルキンとアルケンの高化学選択的クロス環化付加反応、単純アルケンのヒドロアミノ化、ヒドロアミノメチル化等の有機変換反応を挙げる。
1176 下水汚泥焼却灰のコンクリートへの有効利用用途開発と環境への影響評価 鶴田 浩章 関西大学 松井 由樹 関西大学 本研究は、下水汚泥焼却灰を使用したコンクリートの特徴を利用して、自然との共生が可能な用途を開発し、さらにそれらからの有害物の溶出性状を明確にしようとするものである。年々増加する下水汚泥は、将来的に埋立量をさらに削減するために新たな用途開発を望まれている。また、関西地区は海砂の採取規制の影響で、良質の細骨材の確保が困難になる可能性がある。そこで、下水汚泥焼却灰を細骨材の一部として利用し、新たな用途開発と懸念されている環境への影響について検討することとした。
1177 ポリシラザンをシリカ源とする有機・無機ハイブリッド薄膜製造技術の開発と実用化 幸塚 広光 関西大学 瀬尾 寛 関西大学 ペルヒドロポリシラザン(PHPS)をシリカ源とすることにより、(i) 従来のゾル-ゲル法では導入することのできない疎水性有機分子や疎水性有機高分子を高濃度に含有する有機・無機ハイブリッド薄膜を作製するためのプロセス技術、ならびに(ii) これら薄膜の高硬度化と高耐久性化を実現するためのプロセス技術を開発・確立し、新しい機能をもつ有機・無機ハイブリッド薄膜の製造プロセスの実用化を目指す。
1178 インプラントバイオマテリアルの感染防止に有効な表面改質材の開発 岩ア 泰彦 関西大学 瀬尾 寛 関西大学 本研究ではインプラントバイオマテリアルの最も重大な課題である感染を防止するための表面被覆ポリマーを新たに合成し、その機能を調べることを目的としている。この目的を達成するために、インプラントバイオマテリアル表面(特に金属表面)とある一定期間結合し、生体成分の付着(ファウリング)を抑制する機能を示し、インプラント後は分解し、インプラントと生体組織が安定に接合することを妨げないポリマーを新たに設計する。
1179 熱触媒および光触媒作用を併せもつ新規ナノ材料による効率的VOC浄化 古南 博 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 酸化チタンに代表される光触媒(photocatalyst)は非常に強い酸化力をもち、反応は室温で進行するが、反応速度が小さいため一時的な大きな負荷に対して十分な触媒作用を示さなくなる。一方、通常、「触媒」と呼ばれているものは「熱触媒(thermocatalyst)」のことを示し、光触媒よりも大きい反応速度が得られるが、多くの場合、加熱が必要である。本研究では、熱触媒および光触媒作用を併せもつ新規ナノ材料を開発し、これを、印刷工場や塗装工場などで発生する揮発性有機化合物(VOC)の効率的浄化へ応用する。
1180 防災用変位量計測システムの開発とその応用 河島 信樹 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 可搬式のレーザー照射装置により離れた場所に設置した位置検知体の移動量を計測するシステムを開発する。位置検知体としては、多数のコーナーリフレクターを用いた姿勢に依存しない全姿勢型反射体を設置し、その位置を時間を置いて計測することで、反射装置の移動量を知るシステムである。定期的に位置検知体を観測することで、その移動量から崖の崩壊具合や波消しブロック等の移動量を知り、災害を未然に防ぐことを目指す。
1181 有機無機複合キラルナノチューブを用いたナノ空間材料の創製と触媒機能 藤原 尚 近畿大学 松本 守 近畿大学 本課題では、グリーンケミストリーを指向する環境調和型物質変換を高効率で達成させるため、内部・表面構造やサイズを自在に制御できる不斉ナノ空間材料として未開拓の金属ナノ粒子−ポリマーナノチューブキラル複合体(有機無機複合キラルナノチューブ)を創製し、均一系、不均一系の触媒概念をナノ界面で融合することにより実現するキラルナノ触媒の創出を目指すとともに、実用レベルへの展開を図る。
1182 認知的コミュニケーションシステムの開発のための基礎研究 村田 哲 近畿大学 松本 守 近畿大学 本研究では、認知的コミュニケーションシステムの開発をめざす。そのため脳内の自他区別を基本としたコミュニケーションのメカニズムを探る。自他区別は内部モデルを基にした予測のメカニズムが関連していると思われる。そこで、サルを用いて腕や手の運動をしている最中の視覚のフィードバックに変化を加えて、大脳皮質の神経細胞の活動を記録し、身体意識のメカニズムを探る。結果は、他者の心を推測するコミュ二ケーションロボットの開発や自閉症や統合失調症などのリハビリテーションやサービス工学的な分野への応用が考えられる。
1183 GABAシステムによる軟骨肉腫の新規迅速診断法の開発 神原 清人 大阪医科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 軟骨肉腫の中で特に悪性度の高いものでは、外科的治療を行ったとしても局所再発や肺などへの遠隔転移を起こし、死亡例も少なくない。しかしHE染色などの従来法では良性の軟骨系腫瘍と軟骨肉腫との鑑別だけでなく軟骨肉腫の悪性度の判定にも難渋する。細胞の増殖や成熟などの神経系以外の機能をもつことがわかってきたGABAシステムによる軟骨肉腫の新規診断法の開発ができれば早期に軟骨肉腫の悪性度を診断し、早期に治療を開始でき、予後が改善する。
1184 細菌自身の蛋白質合成活性制御機構を利用した耐性菌出現低確率抗生剤の開発 吉田 秀司 大阪医科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本課題は細菌自身が有するリボソーム不活性化機構の解明を通じて耐性菌出現の可能性が低い薬剤を開発することを最終目標としている。細菌はストレスに曝されるとリボソームを二量体化して蛋白質合成活性を失わせる。この機構を欠損した細菌は自然界を長期間生存できないことから、細菌はこのストレス応答(蛋白質合成活性休止機構)をターゲットにした抗生剤に対して耐性を獲得しにくいことが予想される。本課題では研究期間内に薬剤デザインの基盤となる蛋白因子の機能最小部位の同定を行う。
1185 生体吸収性を有し骨再生に優れた生体内多孔体化リン酸カルシウムペーストの開発 傍島 聰 大阪医科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本研究はリン酸カルシウムペーストがある程度の強度をもった骨再生の足場(scaffold)になるように、生体吸収性高分子を複合することで、生体内で吸収され多孔体化し、細胞進入を促し、骨置換され得る新規骨再生型補填材料を開発することが目的である。
1186 イオン認識能を有する多重積層薄膜の開発 村岡 雅弘 大阪工業大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、有機アンモニウムイオンなどのセンシングに用いられているクラウンエーテル誘導体の構造は限られており、多種類の被検体に応じたオーダーメイド型センサーの開発が望まれている。本研究課題では、特定のカチオンを高感度にセンシングできるオーダーメイド型薄膜の開発を目的に、反応性側鎖を有するクラウンエーテル誘導体を基点に、多種類の多重積層薄膜へと応用し、イオンセンサーとしての機能評価へと応用展開を図る。
1187 慢性肝障害バイオマーカーとしてのサイトグロビンの有用性の検討 河田 則文 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 本研究ではAST/ALTに替わる簡易で高感度な慢性肝障害スクリーニング血清バイオマーカーの開発を目指す。サイトグロビン(cytoglobin、 Cygb)は代表研究者らが発見した星細胞のみに発現するグロビン蛋白である(J Biol Chem 276、 25318、 2001)。サイトグロビンに対するモノクローン抗体を作製し、ELISA法によりキット化し、動物モデルあるいはヒト臨床検体を用いて、肝炎や肝線維化との相関性、感度や特異度を検討する。最終的には大量臨床サンプルを用いてCygbの慢性肝疾患スクリーニングバイオマーカーとしての臨床応用を模索する。
1188 多発性骨髄腫の腫瘍マーカー蛋白の特定 中尾 隆文 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 多発性骨髄腫は造血器悪性疾患の中では最も頻度の高いものの一つで、本邦でも人口の高齢化に伴い増加の一途を辿っている疾患であるが、病勢を正確に反映する腫瘍マーカーと言えるものが存在しないために臨床病期の判定が困難で、治療介入の時期決定に支障を来している。本研究の目的は多発性骨髄腫患者血清中の抗体を腫瘍細胞との抗原抗体反応でスクリーニングし、質量分析計を用いて多発性骨髄腫の腫瘍マーカーとなり得る蛋白を特定することである。
1189 エピジェネティクス制御に基づく心不全の機序解明と治療応用 泉 康雄 大阪市立大学 間 健一 大阪市立大学 ヒトゲノムが解明され、病態における遺伝子発現情報も数多く報告されているが、実際の機能を評価するためには、細胞によって異なるメイン・スイッチ情報や蛋白質の構造解析解明(エピジェネティクス研究)が不可欠である。本試験では、病態モデル動物を用いて、心機能・心筋代謝機能をエピジェネティクス制御の観点から明らかにし、心不全の発症・進展に対する予防および治療応用を目指すことを目的とする。
1190 内視鏡的に視認不可能な炎症性腸疾患関連癌を視認するPDD(photodynamic diagnosis)の開発 渡辺 憲治 大阪市立大学 中島 宏 大阪市立大学 世界的に患者数が増加している難治性炎症性腸疾患の致死的合併症である癌の内視鏡的検査において、非効率なランダム生検の根拠となっている内視鏡的に視認困難な癌(dysplasia)病変を視認し得る、実臨床に応用可能な、PDD(photodynamic diagnosis)検査法の確立を目指す。そのため通常内視鏡、色素拡大内視鏡、特殊光内視鏡、PDDを用いた検討を行い、内視鏡的視認困難な炎症性腸疾患関連癌(dysplasia)病変の内視鏡像、病理学的特徴などを解明する。
1191 高輝度紫外発光ダイオードによる核スピン偏極技術の開発 熊谷 寛 大阪市立大学 中島 宏 大阪市立大学 被爆の無い偏極ガスによるMRI技術の進展に注目が集まっている。代表研究者は独自の波長変換技術を駆使して、389nm光を高効率に発生できる技術を開発し、その389nm光を用いた試みで初めてHe-3原子の偏極に成功した。本研究ではフォトンコストの安い高輝度紫外発光ダイオードに注目し、389nm光を用いたHe-3原子の高効率な核スピン偏極技術の開発を目指す。
1192 薬剤耐性機構を打ち破る物質のスクリーニング 藤田 憲一 大阪市立大学 中島 宏 大阪市立大学 ガンが再発したときにおきるガン細胞が獲得する多剤耐性能により、抗ガン剤による化学療法はその継続が困難となる場合が多い。本試験研究では、ガン細胞の薬剤耐性機構のうち薬剤排出機構に着目し、それを打ち破る薬剤と既存の抗ガン剤を組み合わせることによって、無能力になった既存の抗ガン剤を再び使用可能にしようとする試みの一つである。この目的の為、多剤耐性を示す微生物および動物培養細胞を用いて、本研究室にストックする放線菌や植物由来抽出成分などの天然資源より本細胞の薬剤排出機構を抑える物質をスクリーニングしていく。
1193 完全前方開放型歩行器の開発と円背防止効果の検証 三浦 研 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 従来の歩行器は、歩行器を押し出すことにより前進するため、1)歩行時の姿勢が前傾となり、背筋を伸ばした正しい歩行姿勢が崩れ、円背(えんぱい)となる、2)着座の際、前方に位置する歩行器を旋回させる面積が必要なため、わが国の狭い家屋では使いにくい(例えば障害者用トイレを除く一般的トイレのブースでは、歩行器は使いづらい)。そこで、特許申請中の前方移乗可能な歩行器の、①安全性と課題を改良し、②わが国の家屋や生活場面における使いやすい形態サイズ等の検証を行い、③高齢者への試用試験により、円背予防(正しい姿勢の維持)に及ぼす効果の検証実験を行うことを目的とする。
1194 超広域湿度センサを用いた湿度制御による高性能過熱水蒸気処理装置の開発 伊與田 浩志 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 乾燥、食品加工、殺菌、洗浄装置など、過熱水蒸気や高湿度空気を使用した各種装置の省エネルギー化と高性能化のためには、高温、高湿度下で長時間の連続使用ができ、しかも高い応答性を有する湿度(水蒸気モル分率)測定装置が必要不可欠である。本研究では、乾湿球温度計の原理を利用した超広域温湿度の計測・制御システムを開発し、高度な制御性能と高いエネルギー効率を有する熱処理装置の実用化を目指す。
1195 表面濡れ性のスイッチングを目指した易分解性コーティング剤の開発 佐藤 絵理子 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 撥水性表面の構築方法として、シランカップリング剤による疎水性官能基の導入、フッ素系樹脂コーティング、プラズマエッチング処理などがあるが、それぞれ適用できる基板に制限がある、基板の前処理が必要、大がかりな装置を必要とするなどの欠点があり、安価かつ簡便な撥水性表面の構築法が求められている。本研究は、簡便に表面濡れ性のスイッチングが可能なコーティング剤およびスイッチング技術を開発することを目指す。
1196 中性子捕捉療法に向けた新規超分子ホウ素キャリアーの開発 長ア 健 大阪市立大学 渡辺 敏郎 大阪市立大学 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は腫瘍細胞にホウ素原子を選択的に集積させることができれば理論的には細胞単位でのがん特異的治療が可能である。従って、如何に効率的かつ選択的に腫瘍細胞にホウ素原子をデリバリーできるかがBNCT成功の鍵を握っていると言っても過言でない。そこで、簡便かつ高濃度に腫瘍細胞へデリバリー可能なホウ素キャリアーを構築するために、多糖と疎水性ホウ素クラスターからなる超分子複合体を調製し、腫瘍集積性等を検討し、BNCTに向けた基礎的知見を得る。
1197 鉛直循環流誘起堤体による底層への酸素供給に関する模擬実験と効果予測 遠藤 徹 大阪市立大学 堀部 秀雄 大阪市立大学 本研究は、港湾海域における底層の貧酸素化の改善のために開発した「鉛直循環流誘起堤体」の環境改善効果を予測するものである。実海域において酸素供給の模擬実験を実施し、実海域における酸素の供給量と消費量を明らかにし、その後、酸素供給実験で得られた結果に基づいて海域の酸素動態を予測できる数値モデルを構築し、堤体を現地適用した場合の溶存酸素濃度の回復具合について定量的な予測評価を実施するものである。
1198 初期変位付与型TMDを用いた建築構造の振動制御 吉中 進 大阪市立大学 堀部 秀雄 大阪市立大学 地震が多発する今日、高層建物や戸建て木造住宅などでは安価で簡易な制振技術が求められている。本課題は、通常のTMDが苦手とする過渡応答初期の制振効果を向上させるために、初期変位を付与したTMDを新たに提案し、その設計法を確立するための基礎的な検討を行うものである。具体的には、まず1自由度系の基本モデルを用いて衝撃力を対象外力とし、設計パラメーターや初期変位の大きさと制振効果の関係などの基本原理を解析的に検討し、設計式を提案する。次に提案した設計式を用いて衝撃的な地震力に対する制振効果を確認する。必要に応じて簡易な模型実験を行う予定である。
1199 機能性ポリゲルマン合成のための新規なゲルマニウムカップリング法の開発 板崎 真澄 大阪市立大学 立川 正治 大阪市立大学 ポリゲルマンは、特異な光吸収や電荷移動を示すため、次世代の光学材料として期待されている。従来法ではクロロゲルマンを金属ナトリウムやカリウムと反応させるため、非常に危険を伴うだけでなく、基質が制限される、高分子量のポリマーが得られないなどの問題があった。本課題は、安価な鉄を金属中心にもつ錯体を触媒とすることで、安定なヒドロゲルマンを脱水素縮合させることにより、高分子量の機能性ポリゲルマンを安全かつ簡便に合成しようというものである。
1200 光励起高スピンπラジカルを基盤とする電界発光(EL)素子の試作と評価 手木 芳男 大阪市立大学 立川 正治 大阪市立大学 光励起高スピン状態をとるπラジカルを用いた安定な電界発光(EL)素子の可能性を探る目的で、ラジカルの種類、適合する電子輸送膜の探索等により、EL素子を試作し、その安定性や発光特性等の評価を行う。また、EL発光に対する外部磁場の効果もしらべる。これにより、より高度な分子素子化に向けたπラジカルの薄膜化の技術を確立する。この研究により光励起高スピンπラジカルの薄膜化技術が確立できれば、それらを利用した有機薄膜太陽電池等へ向けたシーズにつながる。
1201 インプラントを併用した新しい部分入れ歯治療のための支台の開発 呉本 晃一 大阪歯科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 歯の欠損に対して、インプラントもしくは部分入れ歯(RPD)いずれかによる治療が行われている。 RPDは咬合力を顎の粘膜で支えるため、天然歯に比べて著しく弱い咬合力しか発現できないことや、咬合力が加わった時に義歯が沈下することにより粘膜に疼痛が生じやすいという問題点を抱えている。本研究は、従来の粘膜支持にインプラント支持が加わることで、義歯の沈下を抑え強い咬合支持を発現することができるハイブリッドRPDの治療法を簡便に導入するための、専用の支台を開発することにある。
1202 歯の硬組織再生を促す極薄アパタイトシートの開発 吉川 一志 大阪歯科大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 歯科の三大疾患として齲蝕、歯周病、顎関節症が挙げられ、1999年の資料では歯周病は国内患者数が3、700万人と推計されている。歯周病により歯肉が後退し発症することが多い知覚過敏症への治療は、症状に対する対症療法がほとんどで、生体への侵襲がない原因療法の確立には至っていない。代表研究者らはレーザーアブレーション法によりハイドロキシアパタイト薄膜を作製することが可能で、HApシートを知覚過敏症の患歯に直接貼付し、再石灰化を促すという根本的治療の開発を目指す。
1203 次世代高発光効率プラズマ平面照明パネル技術の開発 佐藤 了平 大阪大学 加藤 浩介 大阪大学 壁や天井に容易に取り付けられ、環境にやさしい(水銀レス、低消費電力)、高発光効率な平面照明の可能性を明らかにする事が、本開発の目的である。蛍光灯の原理を用いたこれまでの平面照明は、ガラス板あるいは誘電体を介した放電方式であるため、発光効率が低く(約25 lm/w)、軽量・大面積化が困難で、かつ製造コストも高いという問題があった。そこで、低電圧で内部放電させる画期的な放電構造と全ての光を取り出す金属背面板構造を考案し、高発光効率(50 lm/w以上)で薄型・軽量・大面積、かつ低コストな方式の実現を目指している。
1204 超低電圧駆動型コンパレータ・ノイズ発生材料の開発と生体機能型素子応用 神吉 輝夫 大阪大学 吉田 昭彦 大阪大学 本研究では、生体の神経伝達機能に重要な役割を果たしている「確率共振」の原理を用いて、環境ノイズのエネルギーを利用し、情報を伝達する究極の低消費電力確率共振素子の実現を目指す。確率共振素子はコンパレータとノイズジェネレータから構成されるが、従来の半導体材料では達成が困難であった両素子の大幅な簡素化と小型化を可能にする巨大非線形特性を持つ酸化物材料を微細加工することにより、低電圧駆動・低消費電力化を試みる。
1205 幹細胞から心筋細胞分化誘導可能なグルコース提示型培養面の開発 田谷 正仁 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 多分化能を有するヒト間葉系幹細胞から心筋細胞への分化を誘導する培養面の構築を行う。特に、リガンドとしてD-グルコースを提示した培養面上で、細胞の足場形成および骨格形成に伴う形態変化を誘因し、従来の液性因子の添加による手法とは異なる新規な分化シグナリングの制御手法を構築する。さらに、幹細胞を対象とした汎用性の高い培養面作成、ならびにその設計方針を確立することにより、医療用途に資する細胞培養プロセスの開発を目指す。
1206 体内ストレス解消を目指したリポソーム固定化膜モジュールの開発 馬越 大 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 アルツハイマー症や腎不全疾患など、ストレスを端緒とした疾病に悩まされる。特に、腎不全患者の透析処理に利用される既存人工腎臓の“生体適合性”は十分とは言えず、それを解決するために“生体の機能”に立ち返った人工腎臓の研究が必要である。本研究は、ストレス負荷が抑制/解消する次世代型人工臓器の創成を目指す。Break-throughのための“鍵”材料として、リポソーム固定化膜モジュールの開発に限定して検討する。
1207 超音波照射により発光制御する新規白金錯体の開発 小宮 成義 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 代表研究者らは、短いメチレン鎖で架橋された環状2核パラジウム錯体を含む安定な有機溶液が、わずか数秒間の超音波照射により分子集合を起こし、溶液が瞬時に固まる新現象を見出している。本課題では、短いメチレン鎖で架橋することにより金属配位平面に歪を発生させた環状2核・単核白金錯体の合成を行い、外部刺激により発光波長や発光強度の制御可能な分子の開発を行う。その分子構造・電子構造を明らかにし、発光性材料への展開の基礎を築く。
1208 キラル薬物センシングにおける鏡像体識別能の新規増幅技術の創出 廣瀬 敬治 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 光学異性のある医薬品、特にエタノールアミンやカテコールアミン誘導体等は中枢神経系に対する重要な生理活性物質である。これらの光学純度検定は社会的な必要性も大きい。本研究では、これら要請に応えられる革新的な鏡像体識別の新規増幅技術を創出することを目的とする。実施内容は、センサ原理の創出、分子設計と合成、および評価である。特に技術的な理由から実現が困難とされている水中での鏡像体識別を実現し、本方法の有用性を実証する。
1209 マクロリガンド系バナジウム触媒を用いたアミドからの環境調和型ニトリル合成反応 實川 浩一郎 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 重要な有機官能基であるニトリル基の環境調和型の合成法は未開発であり、本代表研究者らはハイドロタルサイト(HT)の表面水酸基がマクロリガンドとしてバナジウム(V)と直接結合し、基質活性化と脱水反応を協奏的に進行させる新規固体触媒(V/HT)を設計して、アミド化合物の脱水によるニトリルへの変換反応を開発した。この触媒を用いたプロセスよって、従来法では達成が困難であった有害なシアン化合物を用いない、環境に調和したニトリル合成方法の確立を目指す。
1210 超長寿命の光誘起電荷分離状態を有する純有機開殻分子システムの開発 森田 靖 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 代表研究者らは、独自に開発した15π電子系の縮合多環構造を有する中性ラジカルに電子ドナー部を連結したスピン非局在型の開殻有機分子を設計・合成した。そしてこの中性ラジカルが、光誘起分子内電子移動反応により長寿命の電荷分離状態に変化することを見出した。本研究では、電子スピンが分子骨格全体に広く非局在化した開殻有機分子の光誘起分子内電子移動やフォトクロミズムに関する基礎的知見を蓄積する。
1211 触媒的エステル-アミド交換反応による環境調和型アミド化反応の開発 大嶋 孝志 大阪大学 沼本 紀良 大阪大学 一般的にアミドの合成は対応するカルボン酸とアミンを等モル量以上の縮合剤と反応させて行われているが、取扱容易なエステルとアミンから直接アミドを合成することができれば、環境調和性および経済性に優れたアミドの実用的な合成法となり得る。そこで本研究課題では、最近代表研究者らが開発した亜鉛四核クラスター触媒のチューニングを行い触媒の窒素親和性を高めることで、協奏的機構で進行する新規触媒的アミド化反応を開発することを目的とする。
1212 パラジウム2価−4価サイクルを経る新規不斉触媒反応の開発 笹井 宏明 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 これまで実現が困難であったパラジウム2価−4価(PdII/PdIV)サイクルを経るエナンチオ選択的触媒反応を創出し、有用な生理活性物質の効率的合成法へと発展させる。酸性条件や酸化条件に対し安定なキラルスピロビスイソオキサゾリン配位子(SPRIX)を最大限に活用し、ラクトンやラクタムといった医薬品などへの応用が期待できる光学活性化合物の実用的な合成を行う。
1213 シリコン基板上の化合物半導体コーディネート成長技術の開発 長谷川 繁彦 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 シリコン上の決められた位置に目的とする化合物半導体をプロセスが調和した形で形成する技術(以後、コーディネート成長技術)の開発を目指している。本課題では、InP系化合物半導体を取り上げ、良質な単結晶をシリコン基板上に位置、結晶形状を定めて成長することを目的とする。シリコン上InPコーディネート成長に必要な選択成長領域の諸パラメータおよび選択成長条件を実験的に明らかにし、デバイスレベルのナノ結晶成長技術を開発する。
1214 確率共振を利用したマルチセンサ制御システムの開発 堀田 育志 大阪大学 清水 裕一 大阪大学 確率共振は、微弱な信号がノイズとの確率的な共振によって伝達する現象であり、臨機応変性に優れた生体システムの感覚器や運動神経制御で多く見られる。本研究課題では、これまでの制御方法では難しかった臨機応変なセンシングやシステム制御を目指し、確率共振現象を利用した新たな制御方法を提案する。ノイズを使った確率的センシングと複数のセンサ情報の平均化によって制御信号を生成し、想定外の事態やエラーに対して頑強な制御システムを実現する。また、電子回路を用いた制御システムのプロトタイプの作製を行い、システムの最適化を目指す。
1215 パイ共役系拡張シロールの新規合成法の開発 茶谷 直人 大阪大学 西嶋 政樹 大阪大学 興味深い光・電子物性を示すことが知られているシロール誘導体の新規で多様性のある実用的合成法を開発する。本反応は、不活性なケイ素−炭素結合の切断という反応機構的にも困難な過程を含んでいるだけではなく、従来法では合成できなかった官能基を含む新規なパイ共役系拡張シロール類の合成が可能である。パイ電子系を拡張することによるLUMOの低下、結晶性の向上が見込まれ、特異な物性が期待される。さらに、ヘリセン骨格をもつ新規シロールなどの合成も検討する。
1216 大型構造物のテイラード部分表面硬化技術の開発 藤井 英俊 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 鉄鋼材料上へ粉末状の炭素を塗布した後、その上から高速回転する円柱状の工具の底面を押し当てながら移動させることで、表面の硬度を部分的に上昇させる手法を開発する。これより、鋼基地中へ黒鉛粉末を攪拌・分散させることによって表面を硬化させる。従来法では不可能な、「材料を選ばず、必要に応じて(テイラード)、ごく短時間で、しかも従来より硬く、安定的に硬化できる手法」を確立する。
1217 鉄鋼スラグからのハイドロキシアパタイト−ゼオライト複合吸着剤の製造と応用 山下 弘巳 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 産業廃棄物である鉄鋼スラグから、簡易かつ安価な方法で、吸着剤として有用なハイドロキシアパタイトとゼオライトとの複合体を合成する製造法を開発する。鉄鋼スラグを原料としてハイドロキシアパタイト−ゼオライト複合体を製造し、吸着剤または触媒担体としての応用を検討する。スラグの主成分でありゼオライト生成を妨げるカルシウム成分の除去や不足成分の添加を必要とせず、簡便かつ経済的な再資源化合成プロセスの確立を目指す。
1218 キラル配位子修飾磁性ナノ粒子の新規合成と不斉触媒反応への応用 森 浩亮 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 真に実用的な触媒の開発を目指し、不斉反応を達成するための『キラル反応場』、高い触媒効率を発揮させるための『高表面積』、触媒の磁石分離を可能とするための『磁性』を同時に兼ね備えた多機能付与型触媒を開発する。具体的には、磁性粒子を核、その表面を触媒活性金属であるPd、Ptで被覆し、さらに不斉配位子で修飾した磁性金属ナノ粒子を提案する。反応後、触媒は磁石により容易に分離・回収できるため、操作性、安全性、経済性を兼ね備えた新規光触媒プロセスが構築できる。
1219 次世代半導体単結晶と電極金属膜の界面反応制御とコンタクト形成 前田 将克 大阪大学 多田 英昭 大阪大学 素子のエネルギー効率はSiからSiCへの置換により格段に向上できるが、SiCへのオーミックコンタクト形成が困難であることがこの置換推進を妨げている。特に、高出力用バイポーラ型トランジスタでは単結晶SiCウェハの両面にコンタクトを形成せねばならない。本研究では、種々のSiC結晶面と金属蒸着膜との適切な界面組織を形成するための界面反応制御法確立を目指す。
1220 発光性高移動度共役高分子複合体の開発と有機レーザーダイオード応用 藤井 彰彦 大阪大学 大屋 知子 大阪大学 本研究では、高い蛍光量子効率を保持し、大電流密度の電流注入可能な共役高分子複合体薄膜の探索を行い、その発光機構の解明とレーザー応用を目的としている。導電性と発光性を両立させる手段として異種分子が互いに分散あるいはミクロ相分離した共役高分子複合体をレーザー活性層媒質に用い、さらに、外部刺激に起因するコンフォメーション変化を利用し、高次構造の変化に起因する注入電流の変調と電流注入によるレーザー発振を実現する。
1221 バイオ人工膵臓用免疫隔離膜の開発 宮川 周士 大阪大学 大屋 知子 大阪大学 欧米においては膵島移植はI型糖尿病の根治療法として定着しつつある。しかし、日本では同種膵島移植の普及には限界があり膵島の提供源を異種に求める動きが有る。中でも臓器の生理学的、解剖学的機能が人に近くSPF化が容易なブタが最適な移植用動物とされる。 最終的な目的は、免疫隔離バックに入れたブタ・バイオ人工膵島を作り、臨床応用を図る事である。今回はラットの膵島を利用し、in vivoで長期に使用できる免疫隔離膜を作製する。
1222 電磁超音波共鳴を用いた表面改質層の非接触定量化法の確立 平尾 雅彦 大阪大学 中村 邦夫 大阪大学 本研究においては焼入不良や腐食・脆化による車軸やパイプなどの軸対称物の内外表層近傍の材質変化を定量的かつ迅速に評価することのできる手法を確立する。電磁超音波法によって軸対称SH波という音響モードの超音波を送受信し、異なる共鳴モードから音速と減衰を測定することにより、部材の半径方向の機械的性質の分布を逆問題として抽出する。電磁超音波センサは非接触での計測が可能であり、実用性と精度の両者を飛躍的に向上させることが可能となる。
1223 次世代小型人工聴覚器の集積技術の開発とその応用 舘野 高 大阪大学 中村 邦夫 大阪大学 ヒト聴覚末梢系の構造と機能を模した新奇な次世代小型人工聴覚器を作製するための基盤技術を構築する。特に、微細加工技術を用いて作製する聴覚系様デバイスとin vitro神経細胞間の音信号―神経符号化変換器を試作する。本装置は、 音響センサ、音響信号を神経細胞に変換伝達する細胞インターフェース、微小信号増幅・細胞刺激器の3つの構成要素を小型・集積化して統合し、体内埋め込み型を目指して開発するマイクロデバイス複合体である。従来の人工聴覚器と比べて、小型・省電力性を大幅に改善し、信号伝達性能の向上を目指す。
1224 単一マイクロホン音声分離システムの開発 中静 真 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 本研究では、複数の人物が同時に話している中から、一つのマイクロホンのみを用いて個々の声を分離する技術を提案する。音声認識を複数の音源が同時に存在する環境で利用するためには、個々の音声を分離する技術が必要である。音声分離技術として、2つ以上のマイクロホンを使用する分離技術が多数提案されているが、これらは、マイクロホンを一つしか持たない機器へ応用することができない。既存のPC、携帯電話、さらにすでにモノラルで録音されたソースにおいて音声認識技術を適用するために、本研究では単一マイクロホンによる複数話者の音声分離を実現する。
1225 室温動作有機ambipolar スピンFETの開発 夛田 博一 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 有機半導体は基本的に真性半導体であり、電界効果トランジスター(FET)において電極やゲート絶縁膜と有機材料の界面電子状態を制御することにより、p型にもn型にも動作(ambipolar 動作)できる。一方、強磁性体から有機半導体へはスピンの注入が可能であり、その輸送には分子軌道が重要な役割を果たすことを見いだした。有機 FET の電極に強磁性体を用いることにより、正負のキャリアおよびスピンを自在に制御できる素子の実現を目標とする。
1226 マイクロセンサ・アクチュエータ用BiFeO3非鉛圧電体薄膜の開発 奥山 雅則 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 超音波センサ、超小型マイク、発振子、環境振動発電等のセンサ・アクチュエータにおいて圧電体薄膜は重要な基幹部であり、これまでPZT(PbZrXTi1-XO3)膜が多く用いられてきたが、有害な鉛を含まない物質の創製が望まれている。その候補としてBaTiO3やKNbO3等が研究されているが低いキュリー温度、拡散によるSi素子の損傷等問題がある。最近、BiFeO3を薄膜化しその優れた強誘電性を発見したことから、巨大圧電性も非常に期待されている。本研究ではBiFeO3薄膜を作製し、圧電性を調べ、最適な製法、組成を検討し、圧電定数を大きく増大させる方法を明らかにして、PZTに代わる圧電体薄膜として実用化を図る。
1227 機能的電気刺激を用いた歩行支援システムの開発 平井 宏明 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 近年、脳卒中や脊髄損傷により身体に麻痺を抱えた患者の運動支援へ向けた研究が盛んである。特に末梢筋系への直接電気刺激により筋活動を活性化し問題の解決を図る機能的電気刺激 FES は重度の麻痺にも適用可能な手法として多くの注目を集めている。しかし、身体の運動制御法が確立されていない現在、その適用範囲は単純動作のみである。そこで本研究では、FESの多チャンネル化により、限られた動作の幅を広げ、複数筋群を同時刺激した身体制御法の確立および身体協調動作支援を行う。
1228 次世代不揮発性メモリ開発に向けた超高密度金属酸化物ナノドットの創成 中村 芳明 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 情報技術の急激な進歩を背景に社会の高密度・大容量記録へのニーズは増大し、それに伴い、電界誘起巨大抵抗変化を利用したReRAM(Resistive random access memory)などの新規不揮発性メモリデバイス開発が盛んに行われている。しかしながら、更なる高密度記録を可能とする次世代メモリデバイスの開発が必要とされている。本研究では、薄膜ではなく超高密度・超微細構造を形成して、超高記録密度ReRAM実現の可能性を示すことを目的とした。具体的には、代表研究者独自の形成法を応用・発展させて、ReRAM材料の超微細構造を形成する新技術を開発し、電界誘起巨大抵抗変化効果を観測・解明を行う。
1229 ボールペン型共振ヤング率テスタの開発 荻 博次 大阪大学 藤原 昌平 大阪大学 聴診器のように、プローブを材料に軽く接触させるだけで、その材料のヤング率が測定できるヤング率テスタを開発する。圧電性と温度安定性に優れたランガサイト結晶を振動子に用いる。振動子の共振周波数は接触材料のヤング率に依存して変化するため、接触時の共振周波数の周波数変化からヤング率を測定する。キーポイントは振動子の音響的孤立化である。振動の節部を保持し、アンテナにより非接触で無電極の振動子を励振させることでこれを実現する。広い分野において普及し、標準の計測ツールとして定着することが期待される。
1230 高病原性鳥インフルエンザウイルスに対するキメラ型中和抗体の開発 中屋 隆明 大阪大学 内田 国克 大阪大学 高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスは世界中で今もなお流行し、人に致死的な感染を起こす。本研究では、これまでに作製した抗H5N1中和(感染防御)抗体の抗体療法への応用を目指し、生体における抗ウイルス効果について、マウス感染実験系を用いて評価する。さらに、本抗体とヒトIgGとのキメラ型抗体を作成し、その感染防御効果について検討する。
1231 中性条件下での不飽和アルコールへの常圧二酸化炭素固定 南方 聖司 大阪大学 樋口 堅太 大阪大学 古くから二酸化炭素は有機合成(ものづくり)に利用されてきた。しかし、その固定化には、強い塩基や加圧条件が必要不可欠であった。合成化学におけるエネルギーについて、原料物質の製造および反応条件などトータルで考慮すれば、塩基の調製や加圧には多くのエネルギーを要し、たとえ二酸化炭素を固定してもその分あるいはそれ以上に排出している場合が多い。そこで、単純な(入手容易な)物質から有用な物質への変換において、塩基の添加や加圧条件を全く必要としない二酸化炭素の固定化法の確立を目指し、本研究では不飽和アルコールへの二酸化炭素固定による環状カーボネート合成について検討する。
1232 超小型サーバを活用した環境情報収集および異常パターンの抽出分析システムの開発 山中 千博 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 地滑りや大地震前の前駆的な諸現象など、多様かつ異常を示す環境情報について、これを系統的に収集・分析し、災害の発生前にその前兆情報を抽出することは、学術面の興味とともに実利上からも重要な開発課題である。本研究では、認知情報の収集システムと広く分散して計測されている理化学的データを汎用的に収集できる超小型サーバーを用いた情報システムの開発を進める。また情報の確度測定や、情報の時空相関性をみる重畳処理システムの基礎開発も行なう。
1233 パイエル板を利用した経口ワクチンの開発 近藤 昌夫 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 昨今の分子生物学や免疫学の発展には目覚しいものがあり、感染症(年間死者数2000万人)や癌(年間死者数700万人)のみならず、アルツハイマー病(患者数2000万人)やリウマチ(患者数600万人)などの疾病に対するワクチン療法の萌芽が生まれつつあり、副作用の無い夢の治療法としてワクチンが脚光を浴びている。本研究では、独自の腸管粘膜免疫組織指向性分子を有効活用した新規経口ワクチンの開発を試みる。
1234 密着結合蛋白質を利用した経鼻粘膜ワクチンの開発 八木 清仁 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 腸管と異なり消化酵素による分解を受けないこと、投与が低侵襲性であることから、経鼻ワクチンは有効性、安全性を兼ね備えた次世代ワクチンとして期待されている。しかしながら、鼻粘膜免疫組織に効率良く抗原を送達する技術の開発は著しく遅延しており、経鼻ワクチンの開発は遅々として進展していない。当該研究課題では、独自の鼻粘膜免疫組織特異的リガンドを利用した新規経鼻ワクチンの開発を試みる。
1235 免疫学研究のための擬似ウイルス型量子ドットの開発 藤井 文彦 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本研究課題では、病原体によって引き起こされる免疫応答を理解するために、光学顕微鏡下で安定して追跡可能な擬似ウイルス型蛍光プローブの開発を目的とする。コア部分には光安定性に優れた半導体量子ドットを使用し、それをウイルス由来の核酸または殻で被覆することによって、ウイルスを模した免疫学研究用の蛍光プローブを開発する。
1236 相分離法を利用したナノ多孔体型分離フィルターの開発 辻本 敬 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 近年、様々な分野においてナノテクノロジーが注目され、三次元ナノ構造が制御された材料開発が盛んに行われている。本代表研究者らはこれまで安全性の高いアルコール水溶液へのアクリル樹脂の特異的な溶解挙動を利用し、相分離法による新規ナノ多孔体作製法を見出している。本研究ではこれらの知見を利用し、多孔表面にアミノ基を精緻に配置することでナノ多孔体にカチオン性を付与し、エンドトキシをはじめとするアニオン性物質の分離フィルターを開発する。また、ナノ構造と分離能の詳細に解析することで、分離フィルターの高性能化を目指す。
1237 中枢神経の再生能力を増強する薬剤の開発 村松 里衣子 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 交通事故や様々な疾患により脳や脊髄など中枢神経が障害されると、障害神経が担っていた神経機能は失われる。この重篤な症状の自然回復が期待できない理由の一つに、大人の中枢神経の再生能力が低いことが挙げられる。代表研究者らは、損傷神経の再生能力を増強する分子の同定に成功した。本試験では、同定した分子の個体レベルでの神経再生作用ならびに治療効果を検証し、得られる知見を基に神経再生薬剤の開発を目指す。
1238 新規抗菌性ペプチドを用いた創傷治癒剤の開発 中神 啓徳 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 代表研究者らは緑膿菌・黄色ブドウ球菌・真菌などに対する広い抗菌活性と同時に強力な血管新生作用も有するユニークな新規抗菌性ペプチドを同定した。抗菌ペプチドは耐性菌ができにくく広域な抗菌スペクトルを有する利点を持つ反面、生体内で分解されやすく有効な濃度を保てないことなどから臨床開発は進んでいない。そこで、難治性皮膚潰瘍を対象疾患とした治療薬・創傷被覆材の開発を本研究の目的とする。
1239 生分解性マイクロニードルを応用した経皮ワクチンシステムの開発 岡田 直貴 大阪大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本研究は、ヒアルロン酸を素材として新規開発した生分解性マイクロニードルを応用し、従来の注射投与型ワクチンの有効性に匹敵する「経皮免疫製剤」の実用化に必須の情報集積を図る。まず、実験動物を用いた生化学的・病理組織学的評価により、生分解性マイクロニードルの安全性を精査する。また、抗原を含有させた生分解性マイクロニードルを実験動物に適用し、本経皮免疫製剤の免疫誘導特性を注射投与型ワクチンと比較検討する。さらには、実験動物における感染症耐過試験モデルにおいて本経皮ワクチンシステムの有効性を実証する。
1240 人間型ロボット用非接触磁気減速機構の開発 平田 勝弘 大阪大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 現在、人間型ロボットの駆動源として、電動モータと機械式減速機のユニットが複数搭載されているが、機械的な接触に伴う摩擦のため、機械損失・振動・騒音・寿命などの問題がある。本研究では、永久磁石の磁力を用いて、非接触で動力伝達可能な新しい動作原理の磁気減速機の開発を目指して、磁気波動を利用した原理モデルを基に磁気構造の最適化を図ると共に、更なる高性能化のために、不思議遊星歯車とのハイブリッド化を検討する。解析シミュレーションによる最適設計、及び試作機による実験検証を行い、人間型ロボット上肢部駆動源としての実用化の可能性を見極める。
1241 骨力学機能を模倣した新規概念からなる骨インプラントの創製 石本 卓也 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 骨代替用インプラントは、その力学的信頼性から金属材料により大部分が構成されている。しかし、生体骨に比べ、現状の金属製インプラントは高ヤング率(生体骨の5〜10倍程度)である。その結果、インプラント周囲での応力遮蔽効果による骨吸収や骨質劣化等の問題が発生する。本研究では、生体骨類似の低ヤング率を有し、骨類似の力学機能を発揮できる、新規概念からなる金属製インプラントを創製することを目的とする。
1242 高空冷能を有する直線気孔ポーラスアルミニウムヒートシンクの開発 中嶋 英雄 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 大容量化による発熱量の増大で期待される水冷ヒートシンクは水や液体漏れの危険性、腐食性、液体循環の駆動装置の設置のデメリットなどを抱えている。この難点を克服するために本研究では、大きな貫通気孔を有する高気孔率の直線気孔ポーラスアルミニウムを開発しこれを用いた超軽量のコンパクト性に優れた高熱伝達性、高冷却能を有する、パワーモジュール用空冷ヒートシンクの開発を目指す。
1243 半導体・希土類酸化物複合結晶を用いた新規発光材料の開発とデバイス化 寺井 慶和 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 ユビキタス社会の到来に伴い、低消費電力で軽くて薄い新規ディスプレーの開発が要求されている。その次世代ディスプレーには、高輝度なエレクトロルミネセンス(EL)デバイスの開発が必要である。本研究では、酸化亜鉛(ZnO)と希土類酸化物から構成される複合結晶を高輝度発光層と機能させ、それを用いた新規無機ELデバイスの作製を目標とする。
1244 ナノバイオデバイス実用化戦略のためのナノ複製モールドによる新微細加工技術開発 李 恵ヨン 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 高生産・高集積・安価のナノバイオデバイスを実現するためには、短時間・低い圧力・室温で超微細ナノアレイ構造体の製作ができる新微細加工技術開発が必要である。そのため、優れた機械的な特性を持つ有機・無機ハイブリッド材料を複製材料として用いて、短時間で耐溶剤性・低粘度のナノ規制空間アレイ用複製モールドを製作する。 それにより簡便に安価のナノウェルアレイ構造体が創製でき、医療産業向けのオーダーメイドナノバイオデバイスの実用化の可能性が高い。
1245 酸化物ナノインプリント法を用いたナノ超構造増感太陽電池の開発 Cha Nam-Goo 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 環境に調和し、光に対して巨大な応答を示す金属酸化物を対象とし、10nm級の超高分解能と超高集積(10Tbit/cm2)を実現し、大面積ナノ構造一括生産が期待される“ナノインプリント法”と“酸化物人工ヘテロ構造形成技術”のナノプロセス融合により、従来困難であったナノ量子構造の規則的・超高集積な3次元的配置制御を実現することにより、超高効率の第3世代量子ドット太陽電池を創出する。
1246 サスティナブルFe酸化物半導体スピンエレクトロニクス素子の開発 田中 秀和 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 地球上に豊富に存在し、高度な製錬技術を必要としない物質からなり、環境にも調和する“サスティナブル”Fe酸化物磁性半導体材料を用い、バイアス電圧によるスピン制御を利用した、超省エネルギーの酸化物スピンエレクトロニクスデバイス(電界制御型不揮発スピンメモリ E-MRAM)を作製する。
1247 橋梁用小型レーザピーニング装置開発のための最適ピーニング条件の検討 崎野 良比呂 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 近年、鋼橋に予想を遙かに超えた数と長さのき裂が見つかり、疲労強度強化の重要性が広く認識されている。研究代表者は疲労強度向上手法として、表面に圧縮の残留応力を生成させることにより疲労強度の向上を図るレーザピーニングに注目した。本研究の目的は、鋼橋溶接部に対するレーザピーニングの最適なピーニング条件を明らかにすることである。よりレーザ出力の小さな条件が明らかになると、小型軽量な橋梁用レーザピーニング装置が開発できる。
1248 大気中高性能の有機単結晶CMOS素子の開発 竹谷 純一 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 次世代のエレクトロニクス材料として期待される有機半導体について、現在は多結晶薄膜材料を利用する研究が主であるのに対し、代表研究者が独自に開発した手法によって構成した高純度ルブレン単結晶有機半導体を用いた電子デバイスが、桁違いに高い性能を示すことを明らかにしてきた。これまでに高性能p型有機単結晶トランジスタを構成した手法をベースとして、本研究では、まず1)大気中で閾電圧のない移動度1 cm2/Vs程度の高性能n型有機単結晶トランジスタを開発し、2)有機エレクトロニクス産業のキーテクノロジーと目されている有機半導体を用いたCMOS型低消費電力論理デバイスを実現する。
1249 ハロゲンフリー高純度エポキシド化合物の製造法 市原 潤子 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 電子産業分野では電子部品の小型化や高機能化に伴い、エポキシ樹脂はハロゲンフリーの高純度品が要求される。この要求を満たす省資源・省エネルギー型の新しい酸化技術を開発した。アルケンと過酸化水素水をアパタイトなどの無機固体粉体に染み込ませ粉体状態でハロゲンフリーのエポキシドを効率良く合成する。本技術を用いて、電子分野で必要とされるエポキシ樹脂原料グリシジルエーテル型エポキシ化合物をハロゲンフリー高純度品として製造する。
1250 植物由来シリカを用いた高耐塩素性・高耐摩耗性を有する複合ゴムの開発 梅田 純子 大阪大学 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 現行のEPDMゴムでは、補強材としてカーボンブラック(CB)を添加しているが、水道水中の残留塩素により溶出したCBが発癌性物質であり、現行ゴム素材における耐塩素性が問題視されている。本研究では、植物由来シリカ粒子が非発癌性で、かつ食品添加物試験・医薬部外品試験などをクリアした高い安全性と、シリカの特性である高剛性・超微細多孔質構造に着目し、CBを含まない植物由来シリカ補強複合ゴムを開発し、水道管や食品・薬品製造装置用パッキンへ適用する。
1251 超伝導テラヘルツ波検出器の開発 川山 巌 大阪大学 鈴木 義彦 和歌山大学 テラヘルツ電磁波は、禁止薬物、生体物質などの分析・検査に非常に有効であることが明らかにされ、近年非常に注目を浴びている。計測には、半導体光スイッチを検出器として用い、パルス電磁波(THzパルス)の波形を計測するテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)が広く用いられている。本研究では、1ピコ秒程度のパルス幅をもつTHzパルスに対する超伝導検出器の応答を明らかにし、新規なTHzパルス検出器としての性能を検証する。
1252 コンベア上の物体精密重量測定技術の開発 梅本 敏孝 大阪府立工業高等専門学校 鈴木 義彦 和歌山大学 製造ラインではオートチェッカと呼ばれる自動重量選別器が利用されており、小型化が求められている。しかし、機械的外乱が選別精度に影響を及ぼし、小型化が充分果たせない現状にある。代表研究者らは適応ノッチフィルタを提案した。製品化するためには、外乱の周波数成分を精度良く求める必要がある。そこで、この外乱の中で最も測定精度に影響を及ぼす計測コンベアの固有振動の周波数同定に着目し、信号圧縮法によるシステム同定を行い、選別能力を調べる。
1253 高出力レーザ加工用回折型光学素子の開発 萩野 秀樹 大阪府立産業技術総合研究所 山口 勝己 大阪府立産業技術総合研究所 本研究は、レーザ表面処理の高品質化と高能率化を目的として、高出力半導体レーザ光の強度分布を任意の分布に整形する回折型光学素子を開発する試みである。工業用刃物のレーザ焼入れを研究対象に取り上げ、刃先形状に応じたレーザ光強度分布の設計、回折型光学素子の製作、素子を用いた加工実験を通して、焼入れ形状の制御、焼入れひずみの低下、加工速度の向上に取り組み、本素子の設計・製作手法の確立と実用化を目指す。
1254 軸付き電着ダイヤモンド砥石の放電ツルーイング技術の開発 南 久 大阪府立産業技術総合研究所 山口 勝己 大阪府立産業技術総合研究所 電着ダイヤモンド砥石は、優れた研削性と耐摩耗性を有し、複雑・微小径砥石の製作が比較的容易なことから、様々な加工分野で利用されている。しかし、切れ刃となる砥粒の突き出し高さを揃える適切なツルーイング法がないため、高精度な加工には適用されていない。本研究では、非導電体のダイヤモンド砥粒自体を直接放電加工するツルーイング法(放電ツルーイング法)を提案し、その実用化を目指した検討を行う。
1255 低温で酸素イオン伝導性を有する新規ジルコニア材料の開発 稲村 偉 大阪府立産業技術総合研究所 野坂 俊紀 大阪府立産業技術総合研究所 燃料電池に用いられている酸素イオン伝導体であるジルコニアは、作動温度が1000℃程度と高いことがネックとなっている。そこで、新規な安定化剤(アルミナ等)を用いたジルコニア材料を作製することによって、より低温での酸素イオン伝導度を向上させることに成功した。本研究では、成形法を含む作製法、および酸素イオン伝導度が最大となる組成について、さらに検討することによって、従来より低温、かつ実用性の高い酸素イオン伝導度を持つ新規なジルコニア材料を開発する事を目指している。
1256 ポリマー電着法によるフルカラーマイクロレンズアレイの開発 櫻井 芳昭 大阪府立産業技術総合研究所 武井 廣見 独立行政法人科学技術振興機構 現在の光システムでは、光学部品の小型・高密度化が進み、発光、受光効率が著しく低下するため、光の利用効率の向上が課題となっている。本課題に寄与するため、集光と色彩機能を併せ持つフルカラーマイクロレンズアレイを空気中で紫外光をパターン照射したポリシラン膜の水溶液に対する選択的膨潤性と青、緑、赤色顔料分散型イオン性ポリマー溶液を用いた電着法を組み合わせて、透明導電性フィルム上に作製する。
1257 液晶ディスプレイのアンカリングエネルギー、弾性定数同時測定系の開発 内藤 裕義 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 液晶テレビは一層の高速化、低価格化が求められている。このためには効率的な液晶ディスプレイ設計と液晶材料開発が必要となり、基板界面における液晶分子の拘束力の強さを表わすアンカリングエネルギーと液晶の弾性体としての特性を表わす弾性定数の測定が不可欠になる。ここでは、従来の測定法に比べ、アンカリングエネルギー、弾性定数を同時にかつ正確に評価できる新しい手法を提案する。これにより、効率的な液晶ディスプレイ設計、効率的な液晶材料開発が可能となる。
1258 照明用LED応用を目指した酸化亜鉛基板の大径化 芦田 淳 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 酸化亜鉛はGaN系白色LED用基板結晶の最有力候補であるが、現行市販品は極めて高価である。代表研究者はこれまでに、電気化学的手法による高品位ZnO薄膜の成長に成功した。その際、原料溶液中で成長反応に伴って生じる過剰水酸基が結晶粒の大型化を阻害していることを見出した。本研究は、電気化学的プロセスにおいて溶液組成の厳密制御を行うことで低コスト・高純度・高品位ZnO単結晶育成を実現し、低環境負荷LED照明の高効率化・低価格化の手段を提供する。
1259 構造解析を可能とする可搬型質量分析計の開発 早川 滋雄 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 質量分析計は、感度の良さから環境や生体関連物質など多くの分野の微量分析に利用されている。現在の小型の質量分析計の重量は数十kgで大きさはデスクトップパソコン程度であり、持ち運びが容易ではない。小型軽量の可搬型タイプの質量分析計を実現できれは、測定したい現場において分析が可能となり、その利用範囲は飛躍的に増大する。本課題では、構造解析が可能な可搬型質量分析計を開発することを目的とする。
1260 点配置の一意性を利用した実時間カメラベース文字認識の認識率向上と高速化 岩村 雅一 大阪府立大学 阿部 敏郎 大阪府立大学 代表研究者らはwebカメラとノートパソコンで稼働可能な実時間カメラベース文字認識手法を開発した。この手法の特長は従来手法に対する圧倒的な高速性であり、斜めから撮影した様々なレイアウトの文字を実時間で認識することができる。この高速性を活かせば、カメラで撮影した単語を瞬時に認識して翻訳する「翻訳カメラ」を始めとする様々な応用が可能である。本研究課題では、この技術シーズの実用化を目指して、更なる認識率向上と高速化を実現し、応用可能性を検討する。
1261 金属キャピラリーを用いた原子ビーム生成方法の開発 梅澤 憲司 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 本研究は、金属キャピラリーを用いて、①イオンビームを電気的に中性化し、②ミクロンオーダのビーム径に絞り、③真空中での表面分析への応用や、④大気中での微生物照射を行うための技術開発を行うものである。電子線やイオンビームなどの荷電粒子などではなく、電気的に中性な原子ビームを照射することで試料の導電性に関係なく分析、改質できることが期待できる。金属を用いる理由は、10keV以下の入射エネルギーでは金属固体表面原子との1回散乱で100%近い中性化効率を期待できるからである。
1262 デジタル画像相関法による高精度三次元溶接固有変形同定システムの開発 柴原 正和 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 当研究課題では、代表研究者が独自に開発した画像処理による三次元サブピクセル変形計測法を用いて、溶接時に構造物に発生する三次元溶接固有変形(塑性歪等の永久歪の積分値)の主要4成分(縦曲り・横曲り・縦収縮・横収縮、以下、固有変形量)を、計測対象物の寸法によらず、原子炉容器・配管や船体ブロック等の大型で複雑な構造物でも簡易かつ高精度に同定する手法を開発する。
1263 バラスト水をなくした超省エネルギー型タンカー&バルクキャリアの開発 池田 良穂 大阪府立大学 伊達 晴行 大阪府立大学 日本の輸出入貨物の99.7%を運ぶ船舶は長い歴史の中で技術的に進化して、究極の姿にまで達しておりイノベーティブな改良は難しいとされている。しかし、その姿は各種の制約条件に縛られた中での最適化が行なわれた結果であり、例えばパナマ運河の幅の拡張だけでドラスティックに変化する。本研究ではこれまでの船舶の固定観念から脱却して、必然とされていたバラスト水をなくし、また船尾の流線型化を徹底することで、従来のタンカーとバルクキャリアに比べて30%以上の省エネの船舶の開発を行なう。
1264 メカノケミカル効果を利用した医療用マグネタイトナノ粒子の低環境負荷合成 岩ア 智宏 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 マグネタイトナノ粒子の合成反応場として機械的エネルギー場を利用した新規な低環境負荷型の合成プロセスを構築し、メカノケミカル効果によって熱エネルギーの付加では進行しない中性溶液での合成反応を室温で促進させる。溶液に作用させる機械的エネルギーの制御と溶液中で共存するアニオンの鉄イオンとの錯形成を利用することで、界面活性剤を使用することなく粒子径と凝集状態を制御したマグネタイトナノ粒子を短時間で合成する。
1265 青色りん光EL用ワイドバンドギャップ正孔輸送材料の開発 八木 繁幸 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 有機ELは次世代薄型ディスプレイや照明機器への応用が期待されているが、実用化への技術課題として青色発光素子の高効率化が残されており、これを克服する材料開発が急務である。本研究では、りん光材料による高効率青色ELを可能にするワイドバンドギャップ正孔輸送材料の開発と高輝度・低電圧駆動型青色EL素子の作製を行う。特に、大面積素子作製の低コスト化に有利である湿式プロセスに応用可能な、成膜性に優れた材料の開発を目指す。
1266 高分散性ナノ粒子触媒を用いた無電解めっき法による微細金型作製プロセスの開発 岡本 尚樹 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 ナノインプリンティング技術をはじめとする各種微細金型を利用する分野においては、より複雑かつ微細な、高強度・離型性に富んだ金型を低コストに作製できる電鋳プロセスが求められている。そのプロセスの開発・高度化のためには、高精細かつ複雑な形状への均一性に富んだシード層の形成方法および電鋳構造物の形状制御が課題となる。本研究では、それらの課題を解決すべく、ナノ粒子触媒を用いる無電解めっき法と組成・形状制御能を有した電気めっき法を用いた微細金型作製プロセスを開発する。
1267 有機溶媒耐性リパーゼの高効率生産系の開発 荻野 博康 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 リパーゼは難水溶性の脂質のエステル結合を加水分解する酵素である。また、水分濃度が低い場合には、その逆反応が進行し、機能性食品油やバイオディーゼルなど合成に利用される。これらリパーゼの基質は難水溶性であることや、水分濃度を低くするために、リパーゼの反応は有機溶媒存在下で用いられることが多い。しかしながら、酵素は有機溶媒存在下で容易に変性し、その触媒機能を喪失する。本研究では、有機溶媒耐性リパーゼの安価な多量取得を可能とする有機溶媒耐性リパーゼの高発現系を構築する。
1268 酸−塩基触媒ゾル−ゲル法による無機-有機複合系中空微粒子の作製と応用 忠永 清治 大阪府立大学 稲池 稔弘 大阪府立大学 中空粒子は、低密度、高比表面積、光散乱等といった特長を有することから、触媒、光学材料など様々な分野への応用が期待される。本研究では、フェニルシルセスキオキサンなどの様々な無機−有機複合系において、酸‐塩基ゾル−ゲル法を用い、鋳型を用いることなく中空粒子を作製する。その中で、粒径、粒径分布および殻の厚さの制御された中空粒子の作製法の確立を目指す。さらに、応用の一つとして中空粒子を堆積させた膜の形成に取り組む。
1269 食品等の廃棄物を利用した校庭緑化用の芝草病原菌防除剤の開発 東條 元昭 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 食品などに由来する廃棄物の植物病害防除効果を明らかにし、緑化や農業での利用への糸口をつかむことが目的である。小中学校等の校庭緑化への応用を想定している。芝草は夏季の高温多湿時に傷つけられると病害の被害を受けやすく、とくに校庭のように踏圧損傷にさらされ、農薬使用も限られる場所では被害が広がりやすい。食品等に由来する廃棄物の病害抑制効果が明らかになれば、環境に調和した病害発生回避につながる。
1270 消化管を用いた神経変性疾患治療薬のスクリーニング系の開発 竹内 正吉 大阪府立大学 下田 忠久 大阪府立大学 本研究の目的は、消化管運動に対する作用を検討することにより、アルツハイマー病やパーキンソン病などの中枢神経変性疾患に対する治療薬を評価するための一次スクリーニングシステムを開発することである。そこで、神経変性疾患モデル動物から腸組織を採取し、中枢神経症状と腸運動の変化、その際の中枢神経系と腸神経系の変化の相同性を併せて評価するシステムを構築する。その後、神経変性疾患治療薬を投与した神経変性疾患モデル動物腸組織の運動変化を調べることで、構築したシステムの評価と改善点を検討する。
1271 金属ナノ粒子を用いたフレキシブル導電性パターンのワンステップ作製技術の開発 椎木 弘 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 プラスチック表面と結合または相互作用する機能的な保護層を持つ金属ナノ粒子を用いて、プラスチックフィルムに金属ナノ粒子を固定化する省資源かつ低環境負荷な手法により、電子部品の微小化・高機能化のニーズに対応した新しい実装要素技術の開発を目指す。本課題では、透明プラスチック(PET)やポリイミドなどのフレキシブル基板上に金属ナノ粒子を固定化することによる導電性薄膜の作製技術を確立し、プリンターを用いた導電性パターンの形成法の開発を行う。
1272 ノズル加圧噴霧法により生成した帯電水ミストによる火炎抑制の評価 足立 元明 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 現在、初期消火は、スプリンクラーによる大量の水や化学薬剤の散布あるいは不活性ガスの放出により、行われている。しかし、パーソナルコンピュータなどの情報機器がオフィスに普及した今、従来の消火法は、これら情報機器に大きなダメージを与え、また、不活性ガスは吸引した人に健康被害を与えるなどの問題を持つ。これら問題を解決するために、極微小の帯電水ミストによる初期消火技術の開発を目指す。
1273 バイオディーゼル燃料製造時に副生するグリセリンの資源・エネルギー化 徳本 勇人 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 原料油脂の10〜20%程度副生するグリセリンを単独で処理する方法である。バイオディーゼル燃料の製造時に副生する強アルカリ性のグリセリン溶液は、従来の嫌気発酵処理では分解が困難である。本技術では、嫌気発酵分解能力を劇的に向上させる発酵制御技術により、このグリセリンを容易に資源・エネルギーに変換させることに成功した。発酵制御剤は極微量の有機物なので、環境負荷は小さく、迅速に有価物を生産できる。また、既存のメタン発酵槽を利用でき、新たな設備投資も少ないと考えられる。
1274 キトサン繊維を用いた廃棄二次電池からのコバルト回収・資源化プロセスの開発 中村 秀美 奈良先端科学技術大学院大学 亀井 政之 大阪府立大学 使用済み二次電池の正極材にはニッケル、コバルトの2 元素、あるいはマンガンを加えた3元素が含まれているが、原料のコバルトが高いうえ、コバルトを回収し再生するのに高コストがかかる欠点があった。資源回収と環境保全の両面においてこの3 元素を単元素に分離し、リサイクルする技術の開発は緊急の課題である。本研究では吸着法に着目し、安価なキトサン繊維を用いて廃棄二次電池の正極部分に含まれるコバルトをpH 操作のみで完全に吸着分離・回収・資源化することを目指す。
1275 バイオジーゼル燃料製造のためのクリーンプロセスの構築 前田 泰昭 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 地球温暖化防止のための石油代替燃料として注目されているバイオジーゼル燃料製造を、新しく開発した有機溶媒添加均一反応法を用いて、廃棄物を排出しない、消費エネルギーの少ないクリーンプロセスとして確立する。そのために最適溶媒の選択、反応過程の解明、製造過程のコストの評価を検討する。さらに適切な原料の検討を行い、本製造法のさらなる広範囲な実用化を目指す。
1276 アクティブフィラー法による耐食性セラミックス厚膜の新規低温コートプロセスの開発 成澤 雅紀 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 本研究は市販シリコーン樹脂の一種であるポリメチルシルセスキオキサン(以下PMSQ)と金属アルミニウムとの複合体シートをステンレス等の金属基板上でプレス、焼成することにより、耐熱耐食性セラミックスコート層を厚膜で形成させるという、独自的なプロセスの開発を目的としている。ステンレスを例にとるならば、弱点とされる高温塩水環境を始めとする過酷な化学腐食条件下での飛躍的な性能向上が期待される。
1277 改良コロイド法による貴金属/酸化物ナノ粒子触媒の創製とガス拡散電極への応用 樋口 栄次 大阪府立大学 亀井 政之 大阪府立大学 本研究課題では、食塩電解用の高活性なガス拡散電極を創製することを目的として、本研究者らが開発した改良コロイド法を利用して種々の貴金属/酸化物ナノ粒子を調製し、食塩電解用のガス拡散電極としての性能を評価する。改良コロイド法の特徴は、1段階の反応で金属と酸化物のナノ粒子が同時合成可能であり、得られる触媒は、貴金属と酸化物がナノ粒子であることから表面積の増大が得られるとともに、粒径分布も狭いため、高い触媒活性を維持したまま触媒量を低減できる。
1278 犬のリンパ腫の治療に向けて〜新たな腫瘍マーカー測定系の開発〜 秋吉 秀保 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 本邦では核家族化の進行に伴い伴侶動物としての犬の飼育頭数は1300万頭に上ると推計されている。現在、人と同様に犬でも死亡原因の約半数が悪性腫瘍によるものと考えられており、家族の一員としてのペットの重要性が増している事から犬の腫瘍の治療に対する社会的ニーズは高まっている。犬に発生する悪性腫瘍のなかでもリンパ腫の発生率は7〜24%であるという報告があり、他の腫瘍と比較し発生率は高い。そこで本研究課題では、世界に先駆けて犬のリンパ腫における早期診断・治療効果判定のための腫瘍マーカーを開発することを目的とする。
1279 脂肪酸分析用の連結キャピラリーカラムの開発 山本 公平 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 脂肪酸組成分析にはガスクロマトグラフィー(GC)が不可欠である。現在そのGCカラム種は中極性カラムや強極性カラムが汎用されている。本研究では、弱極性カラム(BPX50)をGCの注入口側に、強極性カラム(BPX70あるいはBPX90)を検出器側に配置する連結カラムを試作し、従来得られなかった炭素数別、不飽和度別、二重結合幾何・位置異性体別に脂肪酸を高分解能で分離するカラムシステムの構築を目指す。
1280 新奇生体幹細胞標識抗体とその認識蛋白の機能特異性の解明と再生医学への応用 山手 丈至 大阪府立大学 金澤 廣継 大阪府立大学 再生医学研究において人工多能性幹細胞などの生体幹細胞の特性の解明は重要である。ラット生体幹細胞を標識する抗体A3の作製に成功した。そこで、本研究の目的は、①A3抗体とその認識蛋白の機能的な性状を解明し、さらに、② A3抗体を用いた生体幹細胞の正常組織での分布と、病変形成における役割を明らかにすることである。このA3抗体は、既存の幹細胞標識抗体とはその性状が異なることから、再生医学の基盤研究の構築において有用なツールになる。
1281 中高年者用視覚機能測定・トレーニング機器の開発 吉井 泉 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 本研究では、既存の機器を使用した動作解析や視線解析などを行い、視覚刺激に対する応答を詳細に分析し、その結果を基に中高年者の「視て・動く」ことを、測定・評価・トレーニングする機器の開発を目指すものである。さらに本研究を、機能障害を持った方へのリハビリ適用へも発展させ、広く普及させることによって、高齢者医療や寝たきり防止への貢献など、QOLの向上に貢献することも目指していきたい。
1282 鉄触媒を搭載したホウ素水素化物系水素貯蔵デバイスの開発 松坂 裕之 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 水素を車載燃料電池の燃料として利用するには、高圧ボンベにかわる水素貯蔵物質が必要である。安価で高密度に水素を貯蔵可能な水素化ホウ素化合物であるアンモニアボランがその候補として有力視されているが、その実用化には、低温で作動し、かつ大量供給の可能な触媒の開発が必須である。本課題では、鉄錯体触媒によるアンモニアボランの脱水素反応を基盤とした新規なホウ素水素化物系水素貯蔵デバイスの開発を行う。
1283 太陽電池用 有機ドナー分子複合シアニン系新規色素の開発 藤原 秀紀 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 近年、有機色素分子を利用した色素増感太陽電池の開発に大きな注目が集まっているが、コスト面から希少金属を用いない色素材料の開発が重要な課題となっている。本課題では、有機ドナー分子であるテトラチアフルバレン(TTF)分子を組み込むことにより、TTF部位の安定な多段階酸化還元能と高いキャリア輸送能を活用した、安定な動作と高い光電変換効率を示す、より実用性の高い新規な金属フリーシアニン系色素増感太陽電池用色素の開発を目指す。
1284 簡便・迅速・高感度なキャピラリー型1段階ウイルス診断デバイスの開発 久本 秀明 大阪府立大学 植嶌 陸男 大阪府立大学 本研究課題は、ウイルスマーカー抗原・検出試薬混合溶液を毛細管力で吸引するだけの1段階で、多段階の免疫・酵素反応が自発的に進行し、高感度な酵素反応増幅蛍光信号が得られるキャピラリー型ウイルス診断デバイスの開発が目的である。ここでは1例としてHIV診断用抗原のHIV-1 p24検出用化学修飾キャピラリーを作製し、従来法よりも簡便・迅速・高感度なウイルス診断技術として有用であることを示す。
1285 新たな機能性食材としてのニンニク根の大量高速生産技術の開発 北宅 善昭 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 アホエン前駆物質であるアニリンを多量含有する機能性野菜としてのニンニク根の大量高速生産を目的とし、高濃度のアニリンを含むニンニク根の高効率養液栽培技術を確立する。アホエンは加熱調理によりアニリンから変化する物質であり、抗酸化・抗菌・抗腫瘍・抗血栓などの生理活性を有する。主な研究内容は、根の成長およびアニリン生成を促進できる最適環境条件を求め、養液栽培による根の持続的生産体型を開発することである。
1286 リズム調節障害治療薬スクリーニング法の開発 加藤 啓子 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 近年、成人の20%に及ぶ不眠症、10〜20%に及ぶうつ病、17%に及ぶ不安障害が知られており、環境ストレスから受けるリズム調節障害に有効な治療薬を開発することが、公衆衛生上重要課題であることがわかる。しかしながら現状は、治療薬の有効性や副作用をスクリーニングするための有効な方法がほとんどなかった。本課題達成後は、リズム調節の治療薬スクリーニングへの実地展開が可能となる。
1287 家畜の経皮ワクチン用デリバリーシステムの開発 渡来 仁 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 経皮ワクチンは、労力が低く安全であり高い免疫応答が誘導できるため、家畜の感染症予防において期待される技術である。これまで代表研究者は、リポソームを用いたワクチンデリバリーシステムの開発研究を通じて、家畜に対するリポソームワクチンに関して多くの研究業績を上げている。本研究では、経皮ワクチン用デリバリーシステムの確立を目指すために、経皮吸収能を示す最適なリポソーム粒径ならびに脂質組成を明らかにし、皮膚を介して抗原のデリバリーを可能にするリポソームを構築する。
1288 基盤免疫賦活により感染防御効果を発揮する新規魚類用飼料の開発 児玉 洋 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 わが国の魚類養殖において多くの伝染病が発生し、毎年大きな経済的損害をこうむっている。基盤免疫賦活による感染防御能の誘導は、ワクチンとともに有力な予防手段のひとつである。本研究は、細菌と酵母の共棲発酵産物のコイ「穴あき病」予防効果について、研究室内での小規模実験では得られないデータを取得するため、野外試験によりそれを確認し、感染防御能を有する魚類用飼料の開発を行うことを目的とする。
1289 食中毒細菌カンピロバクター属菌の簡便で迅速な高感度検出キットの開発 山崎 伸二 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 カンピロバクター食中毒は、近年我が国で発生件数が最も多く、内閣府の食品安全委員会でも最重要課題となっている。しかしながら、カンピロバクター属菌を簡便、迅速に検査できる方法がない。本研究では、食中毒原因菌として重要なカンピロバクター・ジェジュニ及びカンピロバクター・コリに対する選択培地と特異的かつ簡便・迅速に遺伝子レベルと免疫学的に検出できるキットを開発する。
1290 水頭症突然変異マウスを用いたヒト水頭症の遺伝子診断法の開発 森 展子 大阪府立大学 西村 紀之 大阪府立大学 小児の水頭症は、多くが先天性で、出生数1000に対し、日本では0.5人、米国で1.5人と、低くない頻度で起こる。そのほとんどが原因不明で、根治療法もなく慢性的経過をたどる難病であり、患者とその家族の精神的・経済的負担は重い。本研究では、代表研究者が保有する新規水頭症突然変異マウスの、原因遺伝子を解明した研究の成果を、ヒトに適用し、水頭症の遺伝子診断法の開発をめざす(特許出願の予定)。
1291 単結晶中でのナノクラスター成長を利用した新規磁気記録材料の開発 西原 禎文 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 近年、単一の分子で強磁性的性質を示す錯体が報告され、多くの注目を集めている。この様な分子を基板上に均一に敷き詰めることができれば、従来までの記録密度を劇的に上回る次世代磁気記録材料を得ることが可能となる。本研究では温度低下によって、単結晶中で単磁区クラスター成長するスピネル酸化物に注目し、これらクラスターが均一なサイズで配列する新たな磁気記録材料の開発を目指す。
1292 社会環境に調和した導電性銅合金の開発 千星 聡 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 エレクトロニクス技術の更なる発展のためには、リードフレームやコネクタなどの基盤素子を構成する導電性銅合金の高性能化が必須である。本研究では、銅(Cu)-チタン(Ti)合金に、従来までの熱処理プロセスと水素化プロセスを組み合せた「水素雰囲気中での時効処理法」を採用することによって、従来法では実現できなかった微細組織制御を行い、強度と導電性とを両立した新規の導電性銅合金の実現を目指す。
1293 CO2ヒートポンプ給湯システムの可動断熱板付き貯湯槽による性能向上 横山 良平 大阪府立大学 竹崎 寿夫 大阪府立大学 CO2ヒートポンプ給湯システムにおいては、貯湯槽に熱伝導によって生じる温度中間槽の増大に伴うシステム性能の低下が重大な問題となっている。本課題では、水の密度の温度依存性を利用して温度中間層とともに鉛直方向に移動し得る可動断熱板を挿入した貯湯槽を有するシステムの性能分析を行い、断熱板が温度中間層の増大を抑制することによってシステム性能を向上させる効果を明らかにし、今後の実用化への展開の基盤を築くことを目的とする。
1294 センサアレイによる高精度匂い識別・合成と簡易小型匂い検査器の開発 大松 繁 大阪府立大学 田中 政行 大阪府立大学 本研究の目的は匂いの識別・合成を行う手法の提案と簡易小型匂い識別器を開発することである。まず、センサアレイからの匂い計測データを用いた電子鼻を構築し、匂いの基本要素を抽出し、その化学組成を同定する。つぎに、匂いデータを基本要素に分解し、その係数を匂い特徴量とするニューラルネットワークを用いて、匂い識別・合成を行う。最後に、簡易型小型軽量な匂い識別器を開発し産業分野や食品分野での匂い検査へ応用する。
1295 磁気素子の新規動作機構の微視的開発とその応用 戸川 欣彦 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 電流(スピン流)を用いた磁化状態の操作技術は次世代磁気素子における素子動作の新しい基盤技術として実用化が期待されている。代表研究者らは最近、磁気応答の微視的観察を通じ、微細構造化磁性素子において電流が誘起する磁化反転の発生確率がごく微小な磁場の下で劇的に変化することを見出した。本研究ではこの成果を利用し、電流を用い磁性素子の磁化状態を直接的に効率よく制御する技術を開発する。開発する技術は微細化や集積化が進む次世代磁気素子において有用な素子の動作原理になりうる。
1296 高効率CO2分離のための3次元細孔を有した緻密ゼオライトの開発 中平 敦 大阪府立大学 巴月 康彦 大阪府立大学 本研究では、無機膜分離によるCO2分離技術の実用化に向け、各種セラミックス支持体上に緻密ゼオライト膜の合成を進める。特に、数十ミクロン程度の膜厚でピンホールの無い、細孔ネットワークを保持した緻密ゼオライト膜を成膜し、緻密ゼオライト膜内部全体でミクロ細孔が3次元的に連結した良質なゼオライト膜の合成プロセスの確立を目指す。
1297 電子ビーム照射によるナノカーボン改質シミュレーション 安田 雅昭 大阪府立大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 電子ビーム照射によるナノ材料の構造変化は、所望の機械的特性あるいは電気的特性をもつ材料にテーラーメイド改質する技術として期待されている。本研究は代表研究者が開発した電子ビーム照射効果を組み込んだ分子動力学シミュレーションに、相対論効果の導入や原子間ポテンシャル関数の高精度化を行うことにより、ナノカーボン材料を対象とした実用的な電子ビーム改質シミュレーションを開発するものである。
1298 多重埋め込み型音楽電子透かしによるデータ容量増加手法の開発 荻原 昭夫 大阪府立大学 辻 公志 独立行政法人科学技術振興機構 本課題では、非圧縮およびmp3圧縮後の双方の音楽データに対して、埋め込むことのできる付加データの容量を増加させる手法を開発することにより、カラー写真画像やイラスト画像を3分間程度の音楽データに埋め込むことを可能にする。この技術を応用することで、「音楽を聞く際に、音楽に応じた写真などを携帯音楽プレイヤーの画面上に表示」させる等のシステムを実現でき、一般生活において音楽を聴取する際に多様な楽しみ方を提供することが可能となる。
1299 新しい肥満モデルマウスを用いた薬剤スクリーニング法の開発 藤森 功 大阪薬科大学 長谷川 新 (財)大阪市都市型産業振興センター プロスタグランジン(PG)D2を過剰産生する遺伝子改変マウスは高脂肪食を摂餌させたときにのみ肥満になる。この遺伝子改変マウスを肥満モデルマウスとして用いる抗肥満薬の薬剤評価や肥満治療法の効果判定の新規スクリーニング法の開発を目指す。また、PGD2合成酵素阻害剤を肥満モデルマウスに経口投与し、X線CT装置により体内脂肪蓄積量を経時的に測定し、さらに中性脂肪、コレステロール、血糖値などの各種血液生化学データの測定により抗肥満効果を総合的に評価する。
1300 チタン乳酸錯体の電解による酸化チタン中空粒子構造体膜の作製 千金 正也 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 水田 憲男 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 酸化チタン薄膜は、色素増感太陽電池(DSSC)の電極として利用されている。その特性向上のためには、表面積の拡大が有効である。本研究では、表面積が広いDSSC用電極の低コストかつ低環境負荷な製造法開発を目的として、ポリスチレン粒子を透明導電膜被覆ガラス基板上に集積させて得た集合体テンプレート上に、電解還元によってチタン-乳酸錯体水溶液から酸化チタン膜をコートしたのち、溶剤によってPSテンプレートを除去しサブミクロンサイズの酸化チタン中空粒子の集合体膜を作製する。
1301 ナノ構造を殻部分に持つシリカ中空粒子よる反射防止機能の創出 藤原 正浩 独立行政法人産業技術総合研究所 堀野 裕治 独立行政法人産業技術総合研究所 本課題では、独自のシリカ中空粒子を用いる新規な反射防止膜技術を研究する。透明基板上にシリカ微粒子等を塗布し、得られた基板の基本的な光の反射・透過特性を解析する。それにより、塗布剤の反射防止機能とシリカ粒子特性、特にシリカ粒子内の細孔構造や粒子サイズ等との相関を明らかにする。これらの知見から、反射防止膜用のシリカ粒子に要求される仕様を抽出し、有効な反射防止特性を有するシリカ粒子膜形成技術の基礎を確立する。

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 兵庫:64件  (JSTイノベーションプラザ大阪)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1302 白血病新規治療薬としての有機ビスマス化合物の可能性試験 矢倉 達夫 関西学院大学 山本 泰 関西学院大学 ビスマス含有有機化合物は、近年、その合成研究が目覚しい発展を遂げており、ビスマス元素本来の安全性から、新規薬剤候補として期待が高い。本研究では、特に再発性急性前骨髄性白血病(APL)細胞に対して低濃度でかつ即効性の抗癌活性を有するヘテロ環ビスマス有機化合物の開発を行う。すでにバクテリアや培養細胞に対し強い生理活性を持つ8員環有機ビスマス化合物を開発しており、これらの化合物の白血病細胞に対する特異性の検証と白血病治療薬としての可能性を探る。
1303 有機溶媒耐性P450融合型酵素による有用生理活性物質合成への可能性試験 今岡 進 関西学院大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 本課題は、有機合成に利用可能な有機溶媒耐性酵素を作出して、これまで化学的には困難であった有用生理活性物質の合成に利用することを目的とする。通常の有機合成反応において、炭素鎖の末端やベンゼン環に直接水酸基を導入することや立体選択的水酸基の導入は容易ではないが、チトクロームP450は、このような反応を行う酵素である。そこで、好熱菌由来のP450を単離してその三次構造安定性を利用して有機溶媒中で働く融合型酵素を作出し、有用生理活性物質合成利用への可能性試験を実施するものである。
1304 正確性と耐熱性を有する逆転写酵素の開発 藤原 伸介 関西学院大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 逆転写酵素は、特定の遺伝子の転写量を測定する際に不可欠の酵素である。従来法のレトロウイルスに由来する酵素では合成中に間違った塩基を取り込んだり、鋳型となるmRNAが高次構造を取った際に、cDNAの合成が途中で止まってしまうなど欠点があった。本研究では、超好熱菌由来のDNAポリメラーゼをタンパク質工学的に改変し、レトロウイルス由来の酵素が有する欠点を改善し、正確性と長鎖mRNAからの活性の向上した逆転写酵素の開発を目指す。
1305 日本語教育のための単語レベル判定システムの開発と評価 北村 達也 甲南大学 安田 耕三 甲南大学 本研究では世界中の日本語学習者のための教材作成支援を目的として、利用者が入力した文章中の単語レベルを単語の(1)重要度と(2)難易度に基づいて判定するシステムを開発し、評価する。単語の重要度は、文書集合(教科書や新聞記事など)において当該単語が現れる文書数により求め、単語の難易度は、当該単語中に含まれる文字の総画数により求める。本研究では、これらの基準の最適な組合せ法を開発し、システムを構築することを目標とする。
1306 Fmoc法による水中固相合成法の基盤技術への展開 北條 恵子 神戸学院大学 岡野 敏和 神戸大学 ペプチド合成では大量の有機用溶媒を必要とし、この有機溶媒は最終的に燃焼処理されるため環境への負荷が大きく、使用の低減化が望まれている。有機溶媒の使用は、ペプチド合成のbuilding blockである保護アミノ酸が水に難溶なことに起因する。しかし、代表研究者は保護アミノ酸の水分散型ナノ粒子化により、水中合成が可能であることを見出した。本課題では、この技術をペプチド合成におけるグリーンケミストリーの基盤技術とするため、安定性の優れる水分散型ナノ粒子調製法の確立、水中固相反応の効率化を目指す。
1307 非水媒体を用いた機能性核酸の高効率生産プロセスの開発 丸山 達生 神戸大学 塩野 悟 神戸大学 核酸の酵素的合成の課題であった分離技術について、最近代表研究者らは、非水媒体液液抽出により目的塩基配列の核酸だけを選択的に分離する技術を開発した。本研究では、その実用性を証明するために、有用な機能を持つ核酸を酵素反応により大量合成し、その機能性核酸をダメージを与えることなく高効率に分離・精製できることを実証する。これにより、酵素反応による核酸合成と非水媒体液液抽出を組合せた、産業応用可能な新規核酸生産プロセスを提案する。
1308 中途視覚障害者の社会復帰支援のための点字e-learningの開発 大田 美香 神戸大学 小野 英男 神戸大学 人生の中途において糖尿病や緑内障で視力を失いつつある中途視覚障害者にとって、点字の習得はその後の人生に必須である。効果的点字学習に向けて、市販の点字ディスプレイと組み合わせ、触読を加えたe-learningシステムのプログラム開発を実施する。さらに、将来的にはメーカーの協力も得て、このe-learning専用の点字表示装置の開発に繋げ、点字識字率の向上を目指しバリアフリーの一助とする。
1309 ヘリコバクター・ハイルマニ感染症検査法の確立 東 健 神戸大学 小野 英男 神戸大学 H.heilmanniiは、ヒト胃粘膜においてH.pylori感染と同様に慢性胃炎をきたし、ヒト慢性胃炎患者の0.2-6 %から検出される。しかしながら、現在のところ、H. heilmanniiの培養、ならびにその診断方法は確立されておらず、その感染診断は、組織切片中の大型のらせん状形態を示す細菌の存在をもとに行われていることから、H. heilmanniiはH.pyloriに比較し正確な感染率の調査や疫学的検討は十分には行われていないのが現状である。そこで本研究では、H. heilmannii感染症検査法を確立することを目的とした。
1310 腹腔臓器MRイメージングのための消化管内設置型RFコイル開発 松岡 雄一郎 神戸大学 小野 英男 神戸大学 MRIで膵臓、胆嚢およびそれらの管壁の高空間分解能撮像を目的に、これらの臓器に近接する胃や十二指腸などの消化管内に設置できるRFコイルを開発するものである。MRI信号はRFコイル近傍で高信号となるため、撮像対象にRFコイルを近接させて信号強度の向上を図る。消化管内へのコイル挿入や配置調整は、経口的に内視鏡で行う。RFコイルの電気特性調整を含めた最適化は、まずファントムモデルや摘出組織で行い、最終調整とMRI撮像は動物実験で行う。
1311 新規バイオマーカーTFLを用いたがん診断法の開発と臨床応用 松井 利充 神戸大学 小野 英男 神戸大学 ヒト癌に特徴的な遺伝子変異を標的とした新しい抗がん剤の開発が進み、その有用性が次々と証明されている。代表研究者らが発見した新規がん抑制遺伝子TFLがリンパ系悪性腫瘍においてしばしば欠損している事を遺伝子診断法の開発により明らかになってきた。TFLは肺癌の発症にも関与するが、本研究ではTFL蛋白発現異常を検証する病理組織診断法を開発し、その臨床応用をめざす。TFL「がん診断法」の特許申請は既に公開中である。
1312 腫瘍特異的増殖型アデノウイルスをアジュバンドとする新規腫瘍細胞ワクチン 白川 利朗 神戸大学 小野 英男 神戸大学 現在までに代表研究者らは腫瘍ワクチン細胞をキャリアー細胞として用いた制限増殖型アデノウイルス(Conditionally replicating adenovirus: CRAd)の新規ドラッグデリバリーシステムを開発してきたが、一方、CRAdが自然免疫系のInnate Immune ResponseによりNK細胞、マクロファージ、および樹状細胞などを活性化させることから癌ワクチンのアジュバント効果を有することも報告されている。今回、遺伝子治療薬の効率的なドラッグデリバリーと強力な抗腫瘍免疫の惹起を一つの治療薬で達成する新規遺伝子治療薬の開発を目指す。
1313 質量分析計による食道がんに対する抗がん剤治療効果予測因子の同定 奥野 達哉 神戸大学 小野 英男 神戸大学 これまでの食道がん患者の治療効果予測に関する研究は、遺伝子型によるものがほとんどである。生命の設計図は遺伝子から構成されているものの、表現形は遺伝的要因だけではなく、環境的要因にも影響され出現してきており、実際には多くのタンパク質や代謝産物がその生命活動を担っている。そこで代表研究者らは、実際の表現形である代謝産物を検討する必要があると考え、生体内の代謝産物を網羅的に解析できるメタボローム解析に注目し、質量分析計を用いたメタボローム解析による食道がん治療効果予測因子の同定を目的として研究を実施する。
1314 有機溶媒耐性型表層提示微生物を用いた難水溶性ファインケミカル合成法 田中 勉 神戸大学 上村 八尋 神戸大学 本研究では、表層に酵素を提示した酵母を用いて、難水溶性ファインケミカルの合成法の開発を行う。酵母の表層に有機溶媒耐性を高めることが既に知られているPEG等の両親媒性高分子を提示することで、酵母に有機溶媒耐性を付与し、その酵母の表層にファインケミカル合成反応を行う酵素を提示する。これにより、酵素及び酵母の有機溶媒耐性を維持したまま、有機溶媒中での光学分割を行い、効率的なファインケミカル合成法の確立を目指す。
1315 薬剤タンパク質内包バイオナノカプセルの開発 近藤 昭彦 神戸大学 上村 八尋 神戸大学 B型肝炎ウイルスの表面抗原のみで構成されるバイオナノカプセルは、安全かつ導入効率の高いDDSキャリアとして非常に有用である。これまで小分子や遺伝子を封入し、そのデリバリーに成功しているが、巨大分子であるタンパク質の封入は、その封入効率が低く、またタンパク質の失活が見られ非常に困難であった。本課題では、生理活性を持つタンパク質が内包されたバイオナノカプセルを、一段階で生産する手法を確立し、これを用いたタンパク質デリバリー技術として確立させる。
1316 少量アルコール飲用による人間の抑制機能低下の検出 嶋田 博行 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 飲酒運転が重大事故の引き金となっているが、運転者の危険に対する自覚がないためである。小量のアルコールはむしろ運動機能が促進するが、その抑制やコントロールが出来ないことが問題であるが、そのことを手軽にドライバーに周知させる手段がなかった。本研究では、飲酒のアルコール度数と運動抑制機能との関係をグラフィック表示できる装置を開発するための標準化データを採集し、勘弁に移動可能装置開発のための基礎研究を行う。
1317 インテリジェント・サーモグラフィー計測法の開発と応用 若林 正彦 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 き裂の新しい非接触測定法として、インテリジェント・サーモグラフィー計測法の開発を行なう。この方法は、き裂を含む構造体に非定常温度場を与え、赤外線サーモグラフィーカメラを用いて撮影したサーモグラフィー画像にリアルタイム処理を行なうことにより、き裂位置をリアルタイムで可視化する手法である。各種機器・構造物の監視・安全診断への応用の有効性や、さらにそれを高めるチューニングの方向性などについて調べる。
1318 仔魚に優しい種苗生産用飼育水槽の開発 塩谷 茂明 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 海産魚の種苗生産では仔魚飼育水槽内にエアレーションを行うが、気泡により生じた水槽内の流れが仔魚の生残率と深く関連することを明らかにした。通気量と通気方法、仔魚飼育水槽の形状の影響調査を実験及び数値シミュレーションを行い、流れと仔魚生残率との因果関係を流体力学的観点から捉え、仔魚に優しい種苗生産用の飼育水槽の設計と開発を行う。これにより、仔魚の大量斃死を減少させる種苗量産技術の高度化を図り、種苗生産技術を世界で先導することを目的とする。
1319 常温から高温域のアスファルト混合物の耐流動性評価に関する研究 吉田 信之 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 本課題では、アスファルト混合物の耐流動性を常温から60℃程度の温度領域で評価する方法を開発することを目的とする。アスファルト混合物の供試体を繰返しねじるときの応答にもとづいて耐流動性を評価する方法を提案する。さらに、代表的な数種類のアスファルト混合物の耐流動性の評価を行ない、評価方法の感度について検討する。なお、試験装置は代表研究者がこれまで試作してきた装置を改良して用いる。
1320 ローレンツ力を利用したバッチ処理型海水・油分離装置の開発 赤澤 輝彦 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 代表研究者らの研究グループは、磁場印加した海水に通電を行うことで発生するローレンツ力を利用し、海水と油分を分離する技術の確立を目指している。分離手法の原理は、導電性の高い海水にはローレンツ力が作用するが、不導体の油には力が作用しないことを利用している。本研究では、油で汚染された海水をバッチ処理する小型で高性能な油・海水分離装置の開発を目指す。このために、分離装置の特性パラメーターを数値計算実験と比較し、装置の最適形状や運転条件の決定を行う予定である。
1321 GPS衛星信号による局所波浪情報ローカルリモートセンシング技術の開発 河口 信義 神戸大学 西原 圭志 神戸大学 ローカルな海域付近における高精度な海洋波浪の情報(波高・波向き)を得るために、GPS衛星から送信された直接受信信号と海面反射信号を比較することによって、海面の詳細な海洋波浪情報を得るリモートセンシング法を提案する。さらに、ソフトウェアー方式GPS受信機を新たに開発し、そのソフトウェアーGPS受信機から波浪情報を取得するための最適な信号処理方式を考案することでシステムの実用化を目指す。
1322 位相再生による広視域波面再生型3次元ディスプレイの開発 的場 修 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 3次元像を空中に浮かび上がらせ、広い角度から3次元像を見ることのできる広視域波面再生型3次元ディスプレイを開発する。現状での最高性能の表示素子を用いた波面再生型3次元ディスプレイの視域角は5度程度に限定されているため、少しの平行移動で3次元像が見えなくなることや多人数で見ることができないなどの問題がある。本課題では1枚の表示素子を用いて、3次元像を時分割に広視域(30度)で見せることのできる、位相表示による波面再生型3次元ディスプレイを開発する。
1323 カンチレバーによる超高感度パルス強磁場電子スピン共鳴技術の開発 太田 仁 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 将来の発光素子として期待される有機金属EL素子、量子コンピューターへの応用が期待されるナノ磁石、微量の生体試料の評価は、従来のX-band(9 GHz)ESR測定では不可能である。そこで、このような系の測定を可能にする将来のナノ技術評価装置として、カンチレバーを用いた高感度のテラヘルツ(0.1-10 THz)電子スピン共鳴(ESR)の開発を行う。
1324 触媒法によるフッ素系医薬品合成の可能性の検討 網井 秀樹 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 本研究技術内容は、含フッ素医薬品化合物の新しい製造法の開発を基礎的に検討することである。具体的には、フッ素化芳香族医薬品化合物の効率的合成を目指した触媒的炭素-炭素結合形成反応を実施することである。銅錯体を触媒として用いる含フッ素官能基導入反応について、その適用基質の種類の拡張(医薬中間体となるアミド基やヒドロキシル基などを有する基質への含フッ素官能基導入反応の適用)を、本研究期間内に詳細に調査する。
1325 シリコン複屈折光学素子の高性能化に関する研究 藤井 稔 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 シリコン(Si)結晶の陽極化成という簡便な方法により、Siのみで近赤外用高性能偏光素子(ダイクロイックルゲートフィルタ)を実現する。この素子は、従来の偏光素子に比べて設計の自由度が高く、従来複数の素子により実現していた機能を単一素子で実現できる可能性がある。本研究では、このSi複屈折光学素子のさらなる高性能化と高機能化を実現し、既存の近赤外用偏光素子を置き換えることを目的とする。
1326 希土類エネルギー変換を利用した光増感太陽電池基盤技術の構築 喜多 隆 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 太陽電池のエネルギー変換効率をいかに向上させるかは、太陽光スペクトルをどれだけ有効に利用するかという問題に帰着する。現在主流である多結晶系シリコン太陽電池やシリコン系薄膜型太陽電池では太陽光スペクトルピーク近傍の500nm以下の可視域から紫外域の光を効率よく利用できていない。本研究課題では、500nm以下にブロードな光吸収バンドを有する窒化物半導体微結晶膜に効率の良いエネルギー変換を実現する希土類元素を添加した膜を作製し、太陽電池の光入力する面に塗布することで、従来のエネルギー変換効率の5%増強を実現する。
1327 励起・制御光パルスを用いた光異性化反応の制御方法の開発 和田 昭英 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 本研究では、複数の光パルスを使って、従来の光化学ではできなかった反応選択性を実現する手法を開発することを最終目的とする。従来の光化学では、光励起のみを行っているため、励起後は反応系の緩和任せになり様々な副生成物が生成している。本研究では、励起パルスに続いて制御パルスを系に照射することで、励起パルスによって始まった反応を制御パルスにより制御する新しい光化学的手法の可能性を検証する。
1328 アルツハイマー病画像診断に用いるプローブ分子の高速合成法の開発と探索 林 昌彦 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 アルツハイマー病の発症前診断を可能にする方法として陽電子断層撮影(PET)が期待されるが、この撮像装置で脳アミロイド病変を可視化するための効率的な低分子プローブの探索とその効率的高速合成を実現することを目的とする。低分子プローブとして臨床段階で候補になっている化合物にはベンズチアゾール系、ベンズオキサゾール系などの複素環化合物やスチルベン系がある。筆者らの開発した「活性炭 酸素系」による合成でベンズチアゾール系、ベンズオキサゾール系は一段階で合成できるのでこの反応を利用する。
1329 イオン液体を用いた相変化型磁性材料の開発 持田 智行 神戸大学 大内 権一郎 神戸大学 代表研究者らが開発した、鉄を含む磁性イオン液体(フェロセン系イオン液体)は、鉄由来の磁気異方性を持つ、特徴ある磁性流体である。この特性を利用し、相変化型磁気記録材料としての性能評価を行う。
1330 反共振を利用した高回転精度の回転工具設計法の開発 安達 和彦 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 深穴加工に対応できる長尺型で高回転精度の回転工具の形状設計法を開発することが目的である。加工時と非加工時の回転工具の振動特性を計測して被削材と回転工具の接触剛性を実験的に同定し、回転工具の振動特性を「一端固定−他端ばね支持のはり」でモデル化する。構築したモデルを元に加工時の回転工具の振動状態が反共振状態となる回転工具の形状を創出する。創出した形状を有する回転工具を試作し、回転精度などを実測評価する。
1331 非侵襲な複合光計測応用における健康機能イメージング 仁田 功一 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 本研究では、近赤外光を用いた生体光計測を一般人が気軽に利用できる簡易健康診断に適用することを目的とする。具体的には現在研究を進めているファイバ型光干渉計を用いる複合型光生体計測において、分光イメージングと断層撮影データを行える簡易プローブを試作する。試作するプローブを用いて検証を行い予防医学に貢献する健康モニタリング装置としての有効性を評価する。
1332 波動・破壊力学に基づいた実用的な構造物爆破解析手法の開発 上西 幸司 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 意図、もしくは意図せぬ爆破により発生する構造物の衝撃的な変形や破壊は一秒にも満たない短時間で起こり、その詳細については肉眼で追うことは決してできない。さらに、昨今の世界事情を鑑みれば、甚大な人的・物的被害をもたらしうる上記物理現象を定量的に解析するツール(ソフトウェア)を開発することが急務であると考えられる。本研究で行う、確固とした基礎物理理論に基づいたツールの開発は我々の日常生活そのものの安全・安心を守るためにきわめて重要である。
1333 水ストレス低減に貢献する低バイオファウリング中空糸膜の開発と浄水処理へ応用 松山 秀人 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 世界の広範な地域での水不足が予測されている。水不足を解決する手段としては膜技術がその根幹を担うものと言えるが、既存膜では膜の表面で原水中の微生物が繁殖するため、膜が閉塞し性能が低下する「バイオファウリング」という大きな問題があった。本研究では、中空糸膜の表面に親水性の高分子をグラフトし、膜の親水性化により、フミン酸等の有機物に対するファウリングを抑制することに加え、グラフト鎖内に銀ナノ粒子を形成させ、バクテリアの死滅機能を有した低バイオファウリング性をも併せ持つ中空糸膜の開発を行う。
1334 MEMS・CNT融合プロセスによるナノセンサデバイスの開発 磯野 吉正 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 当研究の研究目的は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術、ナノ加工技術およびカーボンナノチューブ形成技術を融合して「極微小質量センサデバイス」を開発することにより、タンパク質に代表されるバイオ分子の質量や抗原抗体過程を検知する、新規なバイオ分子質量計測技術を確立することである。シリコンMEMS技術とCNT形成技術を融合することで、ディスポーザルで低コストなナノセンサデバイスの製造を目指す。
1335 内円筒にリブを有するテイラー渦流による混相流連続反応装置の開発 大村 直人 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 テイラー渦流は独特な流動・混合特性により化学反応装置への応用が期待されてきたが、渦外縁部に存在するバイパス流れが装置内の逆混合の原因となり、反応性能を著しく落とすことで、実用化の道を阻んできた。近年内円筒に凹凸をつけることでバイパス流れを抑制することができることが明らかにされた。また、これまでの研究により微粒子の大きさにより渦内の存在位置が異なることを見出した。これら2つの特徴を組み合わせて、ある粒子径の固定化酵素や固体触媒は渦内にトラップさせ、反応液のみが軸方向に移動する理想的な混合特性をもち、粒子と反応液との分離操作が不要となる革新的な混相流連続反応装置の開発を目指す。
1336 色素増感太陽電池の発電効率向上を指向したオリゴチオフェンの分子設計 森 敦紀 神戸大学 中井 哲男 神戸大学 側鎖置換基にフッ素が置換したアルキル基をもつオリゴチオフェンを設計、合成し色素増感太陽電池の有機色素材料創製をめざす。オリゴチオフェン合成の際、代表研究者らが近年開発したヘテロ芳香族化合物のCH結合活性化に基づくカップリング反応を利用することにより、多様な構造を有する誘導体の効率的な合成手法を確立すると共に、数種類の誘導体を合成し機能評価することで高い発電変換効率を発現する色素増感太陽電池の分子構造を見出す。
1337 環境保全技術としての抗生物質の磁気分離法の開発 井原 一高 神戸大学 柘原 岳人 神戸大学 抗生物質は人間への投与だけではなく、畜産業においては家畜の治療・予防等にも広く使われている。しかし、薬剤が代謝分解されず廃棄物を通じて環境への拡散が懸念されている。本研究では、環境保全技術としての抗生物質の磁気分離法の開発を行うものである。抗生物質の磁性は小さく、そのままでは磁気力による分離除去は困難である。そこで、多くの抗生物質が金属錯体を生成しやすい性質を活用し、電気化学反応による磁気シーディング法の開発を行う。
1338 難合成医薬品のP450酵素による生物生産技術の開発と応用 今石 浩正 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 哺乳動物のチトクロームP450(P450)は、100万種にもおよぶ様々な化合物が持つ炭素骨格の特定位置に水酸基を付与する活性を持つ。特定位置への水酸基の導入は、医薬品合成の成否を決める重要なステップとなっているが、有機合成技術のみでは難しい。そこで、哺乳動物のP450遺伝子を安定かつ大量に大腸菌へと発現させ、これらP450による医薬品化合物の改良へと応用する。
1339 ストリゴラクトンアナログ類のデザイン・合成・機能評価 滝川 浩郷 神戸大学 鶴田 宏樹 神戸大学 根寄生雑草ストライガやオロバンキの種子発芽を人為的に操ることができれば、根寄生雑草を効果的に防除できると提唱されてきた。根寄生雑草は宿主なしでは生存できないため、宿主が存在しない状況で発芽した寄生雑草は“自殺”に追い込まれるからである。根寄生雑草の発芽は発芽刺激物質(ストリゴラクトン類)を要求するため、本課題では、有機合成化学を基盤とした独自の戦略により根寄生雑草発芽誘導剤の開発を試みる。
1340 高減衰型粘弾性ダンパーを用いたRC造校舎の耐震改修 藤谷 秀雄 神戸大学 熱田 稔雄 兵庫県立工業技術センター 学校校舎の耐震改修において、高性能で低コストの耐震改修技術が期待されている。本課題では、エネルギー吸収装置の1つである粘弾性ダンパーの中でも特に減衰性能の高いものを使用して、鉄筋コンクリート造(RC造)の校舎を耐震改修する技術の実用化を図るものである。その耐震改修の効果を構造耐震指標(Is値)によって表現できる評価方法を開発し、耐震改修実務に使用できることを目的としている。
1341 センサ自身の柔軟な変形にもとづいた磁気式触覚センサの開発と応用 中本 裕之 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 対象物との接触により発生するセンサ自身の柔軟な変形にもとづく触覚センサを開発する。このセンサは、対象と接触する柔軟層とその下部に位置する基板層から構成される。柔軟層に永久磁石を内包しており、柔軟層の変形すなわち永久磁石の変位にもとづく磁界の変化を磁気抵抗素子とインダクタによって計測する。磁気抵抗素子の計測値から垂直力とせん断力を求め、インダクタの計測値からすべりを検出する。有限要素解析による柔軟層の最適設計を行い、特性の異なるセンサを試作・評価する。
1342 光機能性素子用有機/無機ハイブリッド材料の作製に関する研究 石原 マリ 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 書き換え可能型光メモリ素子用有機材料の非破壊読み出し性能を向上させるための新材料開発を目的として、これまでに、複数の有機色素と無機化合物の複合化による新タイプの材料を開発し、これを用いて記録・消去に用いる光と異なる波長の可視光で読み出し可能であることを見出した。本研究では、開発した新タイプ複合材料の材料組成をさらに詳細に検討することにより、熱安定性・繰り返し特性の改善を図る。
1343 その場レーザー光照射による高結晶性非鉛圧電薄膜の開発 泉 宏和 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 圧電薄膜は電子デバイスなどの幅広い製品における必須材料である。中でもチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)はきわめて優れた圧電性を示すことから、広く用いられているが、有害元素である鉛を約70重量%含んでおり、「環境整合性」に優れた代替材料の開発が望まれている。これに対しビスマス系複合酸化物は、PZT代替材料候補として注目されている。そこで本課題では、電子デバイスやセンサー材料としての実用化を目指し、その場レーザー光照射により高結晶性非鉛圧電薄膜を開発する。
1344 小型圧力センサ付試作品を用いた「製品の使いやすさ評価」に関する研究 平田 一郎 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 製品と手との適合性の観点から、「使いやすさ」の数値化を図る。3次元造形機による試作品に小型圧力センサを多数取り付け、採取した圧力データ分布と従来方式の官能評価データとの関係を明らかにする。具体的には、下記の2点を実施する。1.圧力センサ付試作品の作製および圧力データの3次元的可視化2.試作品を把持した際の、「持ちやすさ」「握りやすさ」について、圧力分布データと官能評価による分析を行い、使いやすさを評価。
1345 高輝度な赤色応力発光体を用いた応力が直接目視できるセンサーの開発 石原 嗣生 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター 摩擦、衝撃、圧縮などの機械的な外力(応力)によって、直接発光する高輝度・高効率な応力発光体センサーを創製することにより、新たな応力センシングが可能となる。本研究では、①圧電効果によるエレクトロルミネッセンスと、②摩擦による熱ルミネッセンスの提唱している2つのメカニズムを有効に活用し、瞬間の発光ではなく、十分な発光時間を有する硫化亜鉛系の高輝度な赤色応力発光体を開発し、目視による応力計測システムの構築を行う。
1346 扁平状セルロース微粒子を利用した高機能化粧品の開発 長谷 朝博 兵庫県立工業技術センター 富田 友樹 兵庫県立工業技術センター セルロース系物質に脂肪酸などの特定の物質を適量添加混合し、その混合物を機械的に粉砕することによって扁平状セルロース微粒子が生成することを見出した。この微粒子は、その形状および素材自身の特性を活かすことによって高機能化粧品の体質顔料へ応用できる可能性が高い。本課題では、同粒子の化粧品分野への応用展開を図ることを目的とし、同粒子の大量生産技術を確立するとともにその実用特性評価を行う。
1347 大気圧グロー放電によるアモルファスカーボン膜の高速成膜技術の開発 八束 充保 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 廃液処理や生産環境等に課題があるめっきに代わる環境適応型ドライプロセスによる高速表面処理技術の開発ニーズは大きい。プラズマCVD、スパッタリング等、従来型ドライプロセス成膜法は、低気圧放電プラズマを利用するものであり、その成膜速度は0.02μm/min程度と遅く生産効率が高くない。また、高真空を必要とするため装置コストも高い。本研究では、安定な大面積大気圧グロー放電プラズマの生成と、これを用いた高品質カーボン膜の高速成膜技術を開発する。
1348 金属ドメイン内包タングステン炭化物の開発と省資源超硬合金の実用化 森下 政夫 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 超硬合金はWCを結合相Coで焼結した合金であり、各種工具や金型として、機械産業を中心にして大量に使用されている。最近、タングステン価格が乱高下し、超硬合金の安定供給が困難となっている。本研究では、 WC骨格中に金属Co相、あるいはFe、Mnを含むCo固溶体相をナノ・メゾサイズで微細に形成した新規炭化物の作製を試み、従来の性能を維持したまま、しかし、タングステン含有量を削減した超硬合金原料の製造法を検討した。
1349 高炉水砕スラグ粒子固結防止剤の開発 鈴木 道隆 兵庫県立大学 松井 康明 兵庫県立大学 現在、コンクリート用細骨材として砂が用いられているが、川砂の枯渇、海砂の採取規制などから砂の輸入まで行われている。一方で高炉から出るスラグ粒子は廃棄物としての処理に困っているが、これは水と反応して固結してしまうため、貯蔵ができず、砂の代わりにコンクリート用細骨材として使用できない。そこで、高炉水砕スラグ粒子固結防止剤を開発する。これにより、廃棄物のリサイクル有効利用が可能となるばかりでなく、貴重な川砂の使用量を大幅に減らすことができ、環境保全の観点からも有益である。
1350 国際標準対応の電子カタログ生成アルゴリズムの構築に関する研究 白川 功 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 本研究は、ISO に準拠した製品辞書(PLIB辞書)の生成手法に基づいて、電子カタログの自動生成に必要な情報処理アルゴリズムを開発するものである。ISO13584(PLIB)に準拠することは、情報ネットワーク社会において異なるシステム間の意味共有および多言語化を可能とし、企業活動のグローバル化に寄与するものである。
1351 災害時要援護者避難支援システムの開発 有馬 昌宏 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 高齢者や要介護度3以上の介護保険受給者などの災害時要援護者の避難所への避難支援に関して、①避難所への避難完了確認、②避難未完了者の安否確認、を迅速かつ効果的に行うためのICTを応用した情報システムを構築する。基礎となる技術は、1)個人識別のための2次元バーコード、2)コードの携帯電話への個別配信、3)地理情報システムによる要援護者の位置確認、の3つである。災害接近あるいは災害発生時に、要援護者の避難完了をリアルタイムに把握し、避難所入所手続きを簡略化し、未避難者の所在と安否確認を支援するシステムを構築する。
1352 海岸・河川砂の浄化に用いる固液ジェットポンプの性能評価・開発 伊藤 和宏 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 重油汚染や、漂着ごみ等による重金属類汚染から海岸・河川の砂を浄化し、速やかに生態系を再生することを目標とし、ジェットポンプを用いて汚染砂を大量に吸引し、洗浄するシステムの開発を行う。固液二相流のジェットポンプ特性は明らかにされていないため、幾つかのポンプ形状に対して、粒径等の異なる様々な砂を吸引させた場合の性能を明らかにし、単相流に対する設計式と比較することにより、環境浄化装置の設計指針を得る。
1353 めっき膜の内部応力発生機構のナノレベル解析と応力緩和 福室 直樹 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 エレクトロニクスに応用されるめっき技術は高精細化し、析出初期の膜の内部応力が剥離等の不良の原因となるため、その制御が実用信頼性確保の上で重要である。本研究では、独自開発したTVホログラフィー干渉法により析出条件と応力挙動の系統的な調査を行い、電子顕微鏡観察、不純物分析および水素の挙動分析の総合的な解析から内部応力の発生機構を解明することを目的とする。さらに内部応力の制御について検討し、実質的な内部応力の低減法を提案するとともに実用めっきの内部応力の問題解決に応用する。
1354 高熱伝導・低熱膨張を特長とする新規複合材料の開発 八重 真治 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 水溶液に浸すだけの簡便で低コストなウェットプロセスにより、シリコン表面から内部に微細立体構造を形成し、さらにその表面に金属被覆・充填を行う。これにより、パワーデバイスなどの高出力半導体素子のヒートシンクなどとして利用可能な、高熱伝導性を持つ低熱膨張性複合材料を開発する。
1355 高信頼性磁気センサー用ナノ結晶遷移金属-水素合金に関する研究 松田 均 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 最近、電気化学析出法(めっき)により作製した遷移金属系薄膜の中に、アモルファス相とナノ結晶相が規則的に2相分離したナノ変調構造やCo-H系立方晶などの、構造的にも物性(磁性)的にも興味ある各種新規物質を見出した。本研究は、これらの背景にあると考えられる水素誘起超多量空孔による金属固相反応の究明を行うとともに、これらの応用研究として、高密度磁気記録や磁気センサー用の新規ナノ磁性媒体開発を行う。
1356 表面改質酸化チタンナノチューブと混合媒体を用いた革新的排熱技術の開発 河南 治 兵庫県立大学 瀧澤 精一 兵庫県立大学 電力損失低減という視点から省エネルギーに貢献できる大型半導体冷却においては、発熱部面積が大きい上に、発熱密度の増大や、さらなる大型化が見込まれており、冷却が著しく困難な対象の一つであり、大面積・高発熱密度に対応できる高性能な排熱システムの開発が望まれる。本研究では、表面改質酸化チタンナノチューブのコーティングによって伝熱面の濡れ性を制御し、さらに混合媒体を活用することで、沸騰熱伝達の促進かつ限界熱流束の増大を両立する革新的排熱技術を開発する。
1357 溶液プロセスによるCa系新規ヘキサゴナルフェライトの合成 菊池 丈幸 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 近年になって、不定比性の大きい化学組成ではあるが合成の報告がなされたCa系ヘキサゴナルフェライトは、従来の一般的なヘキサゴナルフェライト(Ba、Sr、Pb系)と比較して高い磁気特性を有することから、より強力な永久磁石や、強磁性体メモリー等の新規な磁気デバイスへの応用が期待されている。そこで本研究では、通常の手法では合成が困難なCa系ヘキサゴナルフェライトについて、種々の溶液プロセス(主として錯体重合法)を駆使した合成を試みる。
1358 大面積化・高輝度化可能な沿面放電形面発光UVランプの開発 上野 秀樹 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 紫外線(UV)ランプは液晶ディスプレイの表面処理、印刷、殺菌、医療装置など広く利用され、ものづくりや医療、環境分野では不可欠である。大型・大面積な新たなUVランプに対する期待は大きい。現在のUVランプは、円筒状放電管内でのグロー放電を利用しており、大面積化や面発光に対して、構造や効率など問題が多い。本試験研究では、ストライプ背後電極を利用し、面状に拡がった沿面放電を発生させた面発光を用いて大面積化・高輝度化が可能なUVランプの要素技術の開発を行い、数10mm角の均一な面発光を目指す。
1359 大気圧水蒸気プラズマを用いた滅菌技術の開発 菊池 祐介 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 医療機関や食品メーカにおいて用いられてきた従来の滅菌方法に代わる新しい滅菌技術として、プラズマ滅菌が近年注目されている。特に大気圧プラズマは真空排気系が不要であり、装置の低コスト化が期待される。プラズマガスとして大気圧空気を用いた結果が報告されているが、空気中に含まれる水蒸気の存在が滅菌に寄与している可能性が示唆されている。代表研究者らはこれまでに大気圧水蒸気プラズマの生成・物性評価を行っており、本研究では大気圧水蒸気プラズマを用いた安全で高効率な滅菌技術の開発に取り組む。
1360 強誘電体1次元ナノ構造の作製技術の開発と新機能応用 清水 勝 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 強誘電体(PbTiO3やPZT)1次元(1D)ナノ構造(ナノロッド、ナノチューブ等)の新機能創成と応用を目的に、ZnOナノロッドをテンプレートとし被覆性の優れた、MOCVD法により強誘電体1Dナノ構造を基板上に作製する技術を始めて開発した、これら高品質1Dナノ構造の圧電性・強誘電性を詳しく調べ、その特異性に由来する新機能を創成し、超高集積FeRAM用ナノキャパシタ、ナノ強誘電体FET、圧電振動発電デバイスなどの新規デバイスの開発を目指す。
1361 光機能性RNA核酸を利用した高感度センサーの開発 中村 光伸 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 光電気化学センサーへの応用を目標に、多数の色素分子を合成化学的手法によってRNA核酸上に集積させた色素アレイRNAを金表面に固定化した修飾電極を作成し、この修飾電極による光電変換システムの構築および生体分子をはじめとする種々の有機分子を検出可能なセンサーへの応用を目指す。具体的には電極への色素アレイRNAを均質に担持する手法の確立と光電変換効率を向上させるための必要条件の探索を行い、有機分子の選択的補足と検出について評価する。
1362 高密度AHA 処理によるプラスチック基板上の結晶性Si 層の形成技術の開発 部家 彰 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 真空チャンバ内で水素ガスを加熱触媒体線上で解離させ、生成した原子状水素を基板表面に吹き付ける原子状水素アニール(AHA)法により、プラスチック基板上に低温で作製したSiO2膜表面を還元し、プラスチック基板上に結晶性Si層を形成する技術を開発する。本技術により軽量・低消費電力の情報端末であるフレキシブルディスプレイ(シートコンピュータ)の実現を目指し、誰もが安全かつ豊かな生活が送れる社会を構築する。
1363 光電流シグナル増幅に基づく超高感度一塩基多型解析技術の開発 高田 忠雄 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 本研究は、光電流シグナル増幅に基づく超高感度SNPs検出法の開発を目的とする。光レドックス活性分子を修飾した核酸塩基三リン酸体の取り込みを酵素(ポリメラーゼ)反応によって行うと、マッチ配列であれば伸張反応が進行し、ミスマッチ配列であれば進行しない。マッチ配列の場合のみ光電流シグナルが増幅され、高感度でのSNPs検出が実現できると期待できる。
1364 寒天混合系による食感制御を応用した咀嚼・嚥下補助食品の開発 吉村 美紀 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 高齢社会を迎えて、誤嚥防止と水分補給を目的とした嚥下補助食品の開発が求められている。日本において昔から食用とされてきた寒天、コンニャクマンナンなどの多糖類は、加工食品の素材としてだけでなく、生活習慣病予防において優れた様々な機能性をもつことが解明されつつある。コラーゲンペプチドも、皮膚中のコラーゲン合成の促進、血圧の上昇を抑制するなどの生理機能をもつことより注目を浴びている。寒天、コンニャクマンナン、コラーゲンペプチド混合系を用いて、濃度、混合割合、分子量および多分散性指数を制限した試料を調製し、その物性と固体状食品の食感に与える影響について検討して、咀嚼・嚥下補助食品の開発に資する。
1365 保存可能な調製済み固体不斉触媒の開発 杉村 高志 兵庫県立大学 八束 充保 兵庫県立大学 固体不斉触媒は使用する反応スケールに関わらず操作が簡便であり、生成物への触媒金属の混入が少ないなどの優れた特性を持つが、実際の使用例は少ない。これは触媒調製に特殊な技術を必要とすることに起因する。キラル修飾パラジウム炭素は最近代表研究者が開発した固体不斉水素化触媒であり、本研究計画案はこの触媒を改良し、その保存性、取り扱い易さを高め、調製済み不斉固体触媒として上市することを目的とする。

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 奈良:8件  (JSTイノベーションプラザ京都)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1366 ポーラスカップ型蒸発計を用いた太陽熱蒸留・水輸送装置 高見 晋一 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 日射エネルギーでポーラスカップ型蒸発管から、蒸発を起こし、蒸発面を被う凝結装置によって蒸留水として回収する。よって、海水等から真水が得ることができる。本課題では、これまで得られた成果に基づき、どのようにすれば実用規模の装置が得られるかを数値モデルを併用して、実験的に明らかにする。
1367 かご型シルセスキオキサンをナノフィラーとする有機−無機ハイブリッド材料の開発 足立 茂寛 奈良県工業技術センター 池田 孜 (財)奈良県中小企業支援センター プラスチックの物性を改善するためにフィラーが使われることが多い。今まで様々なフィラーが使われてきたが、最近非常に注目されている物質として「かご型シルセスキオキサン(POSS)」がある。POSSは一つの分子の中に無機構造と有機構造を持った構造をしており、有機分子と無機分子の双方の特性を活かした新しい特性が期待されている。このPOSSをプラスチックにフィラーとして混合することで、プラスチックの分子鎖と分子レベルで相互作用させ、プラスチックの光学的分野を中心とした特性を制御・設計することを目的とする。
1368 プリンテッド太陽電池のための金属・半導体ナノ粒子インクの開発 直江 一光 奈良工業高等専門学校 河島 俊一郎 独立行政法人科学技術振興機構 次世代太陽電池セルの工業的生産の実現には、金属または半導体結晶ナノ粒子をプリンティング(印刷)する技術の導入が不可欠である。本研究では代表研究者が有する金属ナノ粒子のサイズ、形状制御の技術を用いて、様々なサイズ・形状の金属並びに半導体ナノ粒子を調製し、それらが分散した溶媒の溶液物性を精査することによって、塗布・乾燥プロセスに適したナノ粒子インクの設計指針を得る。
1369 大和伝統野菜「ヤマトマナ」の機能と風味を活かした乾物加工品の開発 村 仁知 奈良女子大学 藤野 千代 奈良女子大学 大和伝統野菜「ヤマトマナ」は抗酸化性を有するアスコルビン酸やポリフェノールのみならず、抗炎症作用を有するイソチオシアナートをも含んでいることが解明されている。また、その前駆体であるグルコシノレートには抗肥満作用があることが明らかになりつつある。本研究では、その高い生理機能性を活かして「ふりかけ」や『粉末スープ』などの乾物加工品への応用を試み、健康食品としての有効性の評価を行ない、機能と風味を活かした保存食品を開発する。
1370 金属ポルフィリンを構成単位とする単一超分子ワイヤーの電極間配線と機能評価 佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 光・電子特性に優れた金属ポルフィリンの配位結合に基づく自己組織化を利用して、サブマイクロメートルのギャップを有する金属電極間を、溶液法を用いて配線する技術を検討する。チオール基を有する亜鉛ポルフィリンを接続分子として用い、これに二方向性のビス亜鉛ポルフィリン溶液を添加することによって、電極間の自己組織配線を行う。配線の評価は走査プローブ顕微鏡を用いる。また作成した素子の伝導度測定をおこなう予定である。
1371 カーボンナノファイバ複合体エミッタを用いた薄型照明デバイスの開発 柳 久雄 奈良先端科学技術大学院大学 戸所 義博 奈良先端科学技術大学院大学 電子放出特性に優れたカーボンナノファイバ(CNF)をAl等の母材に均一分散した複合体電子エミッタを用いて、水銀レス化、ITOレス化に対応した低環境負荷の薄型フィールドエミッション(FE)照明デバイスを開発する。CNF/Al複合体切断面から高効率の電子放出が得られる特徴を生かした側面電子放出型素子(SEED)を用いることにより、蛍光体陽極面が開口した両面発光型の薄型表示デバイスや、陽極にITOガラスを必要としない低コスト薄型FE照明デバイスを試作する。
1372 デジタルカメラを使用した発展途上国向け白内障スクリーニング装置の開発 波部 斉 奈良先端科学技術大学院大学 萩原 史朗 奈良先端科学技術大学院大学 白内障は眼球の水晶体が白濁する疾患であり、視力の低下を引き起こし最終的には失明につながる。日本など医療体制が整った先進国では早期発見が可能となっているが、発展途上国では人的・物的リソースの不足によって十分な検査が行えていない。
本研究では、このような状況に対して、民生用のデジタルカメラを用いて被験者の眼の画像を撮影し、その画像を解析することで、専門家以外でも簡便に白内障のスクリーニングが可能なシステムの開発を目指す。
1373 多発性嚢胞腎の治療薬開発を支援するPKDシグナル活性評価法の開発 越智 陽城 奈良先端科学技術大学院大学 谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学 多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease : PKD)は、中年期以降に腎不全を引き起こす進行性遺伝疾患であり、我が国には現在10万-20万人の患者が存在する。これまでに、PKDは膜タンパク質であるPKD1あるいはPKD2の機能不全によって発症すること、またそれら腎組織ではPax2タンパク質の発現が亢進することが明らかにされている。しかしながら、PKDシグナルの分子機序が解明されていないため、未だ根本的な治療薬の開発がなされていない。代表研究者らはPax2遺伝子近傍のゲノム領域の解析から、Pax2の腎臓での発現を調節するシス配列を発見した。本研究は、このシス調節配列を用いて腎細胞でのPax2の発現を定量的にモニタリングするシステムを構築し、PKD治療薬の開発を支援することを目的とする。

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 和歌山:14件  (JSTイノベーションプラザ大阪)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
1374 養殖トラフグの雄性化技術の開発と応用 澤田 好史 近畿大学 根津 俊一 近畿大学 トラフグは、オスの精巣(白子)が美味で珍重されるため、メスよりもオスの方が市場価値が非常に高い。代表研究者らは、人工孵化して飼育するトラフグのオスの比率を80%以上に高める技術の開発に成功した(特許出願中)。本研究では、この技術の完成度を飼育技術開発とオス化メカニズムの研究によりさらに高め、オスの比率が高いトラフグの安定的養殖生産とその商品化に取り組むことを目的とする。
1375 機能性人工血管開発のためのコンポジットコラーゲン・マイクロチューブの作製と評価法の確立 森本 康一 近畿大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 新規な構造と機能を有するアクチニダイン処理コラーゲンと各種添加剤を混合したコンポジットコラーゲンを、ポリジメチルシロキサンで作成したマイクロチューブに固定化した独創的な血管疑似モデル系を作製する。血管内皮細胞などをマイクロチューブに接着させて灌流培養し、形態変化と分泌物濃度を測定することで細胞機能を評価する。また、灌流速を変えて培養細胞をタイムラプス観察し、機能性人工血管モデルの評価系を構築する。
1376 軟組織に用いる生体吸収性3次元細胞培養足場の開発 楠 正暢 近畿大学 大野 安男 独立行政法人科学技術振興機構 軟組織再生に対応できる3次元細胞培養足場の開発を行うことを目的として、生体内に豊富に存在するリン酸カルシウム系材料を用い、直径数10〜数100μmのパイプを組んだ構造の3次元マイクロメッシュを形成する。3次元マイクロメッシュが、細胞培養中には壊れることなく、形状を維持できるだけの十分な強度を有し、かつ、長期的には体内で吸収される結晶性とパイプ厚を実現するための作製方法を確立する。
1377 異なる計測法により測定した形状データ間の3次元位置合わせ高精度化技術の開発 徳本 真一 和歌山県工業技術センター 前畑 進 (財)わかやま産業振興財団 X線は比重の重い金属系の物質に高い感度を持つのに対して、中性子線は水素等の軽元素に対して高い感度を持つため相補的関係にある。X線CTでは工業製品の高精度な3次元形状の計測、中性子線CTでは燃料電池内の水の観察など産業界のニーズが高まりつつあり、2つのデータを融合することは、さまざまな解析を行う上で重要なキーテクノロジーになると考えられる。本研究では、X線CTと中性子線CTの3次元データの高精度位置決め技術の開発を行う。
1378 画像解析手法を用いたマーセル化綿の迅速・簡便な品質管理技術の開発 宮本 昌幸 和歌山県工業技術センター 前畑 進 (財)わかやま産業振興財団 マーセル化処理は綿繊維の結晶構造、形状、諸性質を大きく変えるため、綿繊維の染色性、加工性向上のプロセスとして用いられており、マーセル化の度合いを評価することは品質管理上重要である。繊維側面の顕微鏡像から、客観的に繊維幅を測定する画像処理技術と、繊維幅の統計解析から形状の特徴を数値化する技術を応用し、マーセル化による綿繊維の形状変化の特徴を数値化し、生産現場でも利用可能な、迅速、簡便なマーセル化綿の品質管理技術の開発を行う。
1379 液中レーザーアブレ-ションによるナノ粒子を用いた有機EL素子作製 秋元 郁子 和歌山大学 稲木 良昭 和歌山大学 液中レーザーアブレ-ション法を用いて有機物のナノ粒子コロイド分散液を作製し、ウェットプロセスよる有機EL素子作製を実施する。貧溶媒中に分散させた有機結晶にナノ秒パルスレーザーを照射すると、直径数十ナノメートルの有機ナノ粒子を生成することが可能で、本来沈殿するはずの有機結晶が、ナノ粒子コロイドとして分散する。この技術を利用し、難溶性の有機化合物のナノ粒子分散液を作製し、ウェットプロセスよる有機EL素子作製を行う。
1380 次世代補聴器のための聴覚特性精密推定と難聴模擬システムの開発 入野 俊夫 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 世界に例を見ない超高齢化社会を迎え、誰でも簡単に使える高性能な補聴器の開発が急務となっている。このためには、難聴の原因となる聴覚末梢系の周波数選択性や圧縮特性の劣化を、できるだけ簡便かつ精密に推定する必要がある。本研究では、代表研究者が開発した圧縮型ガンマチャープ聴覚フィルタを用いて特性の高精度推定を実現させる。さらに、計算処理時間を短縮させ、患者の難聴状態の模擬を臨床現場でも即座にできるようなシステムの構築に貢献する。
1381 情報提示エージェントのノンバーバル表現の自動制御と応用 伊藤 淳子 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 観光地や病院内の案内板などにおいて擬人化エージェントを用いて情報を表示する際に、エージェントが表出すべき視線や表情といったノンバーバル表現を自動決定し、その映像を自動生成するシステムを構築する。本来、人間同士の対話では雰囲気に応じて視線や表情が変化することから、情報提示映像においてもこれらの関連性に基づき、発言内容と対話の雰囲気を与えることによってエージェントのノンバーバル表現を動的に制御する。
1382 実環境鉄鋼構造物に対する表面SH波音弾性残留応力評価システムの開発 村田 頼信 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 高経年構造物の変形や倒壊事故を未然に防ぐために残留応力を正確に測定することが切望されているが、このためには初期値(組織異方性等の構造物建設時に知り得る値)が必要であり、既存の構造物に対し残留応力を正確にその場測定できる装置は未だ実用化されていない。本研究では、表面SH波音弾性に着目し、新たに開発したT形表面SH波センサを適用することで、実環境鉄鋼構造物の残留応力に対するその場評価システムの実現を試みる。
1383 シームレスマニピュレーションのための多指ハンドロボット制御技術の開発 長瀬 賢二 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 本研究では、接触・非接触など、環境との接触状況が動的に変化する多指ハンドロボットを、シームレスに(継ぎ目なく滑らかに)自動制御するための、「モデル化法」と「制御系設計法」の開発を目的する。本研究課題では、特に、吊り下げ物体などの移動物体を捕捉〜運搬〜設置する一連の作業を想定し、上記問題を考える。
1384 不安定な通信状況における防災情報共有技術の開発と応用 塚田 晃司 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 災害時の山間部の通信孤立対策には無線アドホックネットワークを用いるアプローチがあるが、無線通信は不安定であるという問題点がある。本課題では、無線通信の不安定さを前提とし、そのような状況下でも効率の良い情報配信方式の開発と小型情報配信端末への応用を図る。実現手段には幾つかのアプローチがあるが、それらのいずれが災害時に有効か明らかではない。そこで、シミュレーション評価とプロトタイプシステムによる実機評価を行う。
1385 携帯カメラからの照明情報の取得によるウェブショッピング支援システムの開発 岩崎 慶 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 ウェブショッピングなどで、掲載されている商品の写真画像を元に衣服や家具などを購入した場合、実際に商品が手元に届いたときの商品の外観がサイトの画像と異なることがある。これは、商品の写真を撮影したときの照明と実際に商品を使用する場所(自宅など)での照明が異なることが大きな原因の一つである。この問題を解決するために、本研究では、購入者(ユーザ)が携帯カメラなどで実際の使用場所を数枚撮影することで照明情報を推定し、その照明情報を元に、使用場所に商品がある画像を生成するシステムを開発する。
1386 美しい曲線を用いた耳介形成再建外科手術支援システムの開発と応用 原田 利宣 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 形成外科手術における耳介創生(フレームワーク作り)へ適用するための美しい曲線を用いた手術支援システムの開発と、それを応用した冶具製作が目的である。①耳介に存在する美しい曲線の収集、分析/同定、分類、ならびにアーカイブ化 ②患者の耳介形状に適した曲線(面)を検索、創成する支援システムの開発 ③創成された曲線(面)から手術用治具やテンプレートを創成するシステムの開発、である。本システムにより、形成再建外科医は人の耳介の曲線(面)アーカイブを参照しながら、手術支援システムや冶具を利用し、患者に対応した美しい曲線(面)を持つ耳介のフレームワークを短時間に効率よく創生することが可能となる。
1387 機械翻訳を用いた多言語コミュニケーションのための中間言語の精度検証 吉野 孝 和歌山大学 湯崎 真梨子 和歌山大学 医療・行政・教育の分野では、多言語コミュニケーションに関する問題が発生しており、緊急の対応が必要である。しかし、機械翻訳技術を利用した場合、利用者は他の言語が分からないため、翻訳結果の精度判定が出来ない。精度判定の手法として、折り返し翻訳があるが、その中間言語の精度評価は行われておらず、正しく伝わる内容の機械翻訳が行われているのかが明らかになっていない。本研究では、折り返し翻訳における中間言語の精度検証を行う。

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