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平成21年度シーズ発掘試験 A(発掘型)研究概要一覧(北陸・東海)


課題のNo.と都道府県については採択時の課題一覧と同一です
 研究者、コーディネータはH21年10月における情報を掲載しています

 富山:34件  (JSTイノベーションプラザ石川)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
591 バイオチップ用レジストの開発とマイクロデバイスへの応用 横山 義之 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 温度によって体積を変化させる温度応答性ポリマーや、親水・疎水表面を作り出すポリマーなど様々な特性を持つポリマーが、高機能バイオマテリアルとして提案されている。本研究では、これらのポリマーに感光性や熱架橋性を付与し、フォトリソグラフィー法や熱ナノインプリント法によって直接微細加工可能なバイオチップ用レジスト“バイオレジスト”の開発を目指す。さらに、開発した種々の“バイオレジスト”を組み合わせた高機能バイオチップ・マイクロデバイスへの応用を試みる。
592 ドライエッチングによるポリマー3次元ナノ構造形成技術の開発 鍋澤 浩文 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター マイクロ流体デバイスにおいては、複雑な流体制御や集積化された機能性タンパク質を利用した高感度分析を実現するために、マイクロ流路表面の局所に100nm〜1000nm程度の微細な構造を正確かつ簡便に構築し、表面の吸着性や濡れ性を制御することが望まれている。そこで、本研究では、ドライエッチングと微粒子配列技術を融合することにより周期的な3次元ナノ構造を形成する技術を開発し、生体高分子の高感度検出を目的としたマイクロ流体デバイスへの応用を図る。
593 軽金属用ダイカスト用崩壊性中子の開発 林 千歳 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター 本研究は、アンダーカットを有する軽金属ダイカスト品の製造に適用できる崩壊性中子を開発するもので、この崩壊性中子には、鋳造時に高温高圧で射出される熔湯との接触に耐えながらも、鋳造後には鋳品を損傷することなく容易に除去できることが求められる。本研究では、種々の配合で中子試験片を作成し、それらの強度、耐熱性、寸法精度等の評価を行い、ダイカスト用中子として最適な組成およびその製造条件等について検討を行う。
594 ビスマス系セラミックス材料を用いたマイクロ圧力センサの開発 角田 龍則 富山県工業技術センター 谷野 克巳 富山県工業技術センター キュリー点Tcの高い圧電体材料であるビスマス系セラミックスを用いて、高感度な圧力センサの開発を行うことが研究目的である。非鉛系のセラミックス材料のBi4Ti3O12はTcが800℃以上であり、代表的な圧電材料であるPZTよりも高く、高温の条件で使用される電子部品に応用可能である。また、セラミックス厚膜を作製したシリコン基板の裏面をエッチングすることによってキャビティ構造を形成して、センサの感度向上への影響も調査する。
595 準マイクロ波スペクトル計測によるコンクリート内部検査装置の開発 岡田 敏美 富山県立大学 山田 恵宣 富山県立大学 鉄筋コンクリート構造物の施工時における内部の品質検査や既存構造物における経年劣化や地震等によるコンクリート内部損傷状況の検査が必要である。コンクリート構造物の品質劣化要因である空洞、ジャンカ、密実性(きめ細かさ)の不揃い、塩ビ管や鉄筋などを弁別するために、本研究では、3波共用のアンテナによる「コンクリート内部探査装置」を開発し、品質の異なるコンクリートモデルを用いてその性能を検証する。
596 視覚障害者のための遠隔からの移動支援システムの開発 松本 三千人 富山県立大学 山田 恵宣 富山県立大学 高速・モバイルネットワークや携帯型情報処理端末、GPS、電子タグ等を活用し、移動に困難を感じている視覚障害者のための移動支援システムを開発する。具体的には、歩行時に必要な情報や道順などを言葉で説明した音声地図と視覚障害者が携帯するカメラ付情報端末(PDA、携帯電話等)から送られてくる映像や位置情報を活用して、視覚障害者の移動に必要な情報を遠隔地から的確に提供する技術と手法を開発する。
597 超精密非球面形状測定のためのバリアブル・シア・デバイスの開発 野村 俊 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 ラテラル・シアリング干渉計は、測定面で反射した光をラテラル(横方向)にシア(ずらす)して干渉縞を生成することから、特別な参照面なしに非球面を測定することが可能である。しかし、干渉縞は測定面の傾きを表しているため、形状への変換には干渉縞解析が必須である。本研究では、シア量を可変することで得られる複数の干渉縞を利用して、空間分解能を向上させる干渉縞解析手法に適用するためのシアデバイスの開発を行う。
598 マイクロ流体チップのメカニカル・リソグラフィー製造技術の開発 前田 幸男 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 本提案は、多品種少量生産に対応できるマイクロ流体チップの製造技術の開発である。ここでは、マイクロ工具によりステンレス鋼表面に直接機械加工する金型製造プロセスを提案し、メカニカルな加工方法でフォトリソグラフィー技術と同等な微細凹凸形状(幅10〜100μm×高さ10〜100μm)を加工精度±0.5μmで形成することを目標とし、金型コストの低減と製作期間の短縮が可能なメカニカル・リソグラフィー製造技術を開発する。
599 操作力や反力の提示によりパソコンの利用支援が可能なタッチパッドの開発 小柳 健一 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 力覚提示によりパソコンのポインタ等の操作支援を行うタッチパッドを開発する。ポインタがウィンドウ枠や画面の端に接すると、その先には進まないような反力を使用者に提示する。また、アイコンや選択ボタン、文字列などに接すると、そこに引き込まれるような操作力を提示し、押下げや範囲指定等がしやすいように誘導する。視覚障害者や高齢者を主な対象とし、使用者に直感的でストレスのないパソコン操作の提供を目指す。
600 高効率ネットワーク構造形成による高熱伝導性ポリマー系複合材料の開発 真田 和昭 富山県立大学 定村 茂 富山県立大学 近年、銅・アルミニウム等の金属材料代替のヒートシンク用放熱材料としてポリマー系複合材料が注目され、複雑な形状でも成形可能な複合材料開発のニーズが高まっている。本課題は、数値シミュレーションと実験の両面から、熱を効率良く伝えるネットワーク構造(ナノ・ミクロフィラーの複合微視構造)を見出し、成形性に優れた高熱伝導性ポリマー系複合材料を開発するもので、高性能で軽量・低コストの電子機器実現に寄与することを目的とする。
601 廃木材からのクエン酸処理による不純物除去による木炭の開発 立田 真文 富山県立大学短期大学部 山田 恵宣 富山県立大学 廃木材に含有される不純物(重金属類やアルカリ金属など)を有機酸であるクエン酸により除去(洗浄)処理後、粉砕、高圧成型を行ない、燃焼時のダイオキシン類等発生させない安全安心な「高付加価値木炭」を製造する研究である。特に、食品を直接加熱する料理燃料を目指す開発である。なお、不純物を取り除くことで、焼却灰の発生量も抑えられる効果も確認しており環境に優しい開発研究である。
602 自己学習機構を有するインテリジェンスモータドライバの開発 金子 慎一郎 富山工業高等専門学校 上坂 摂 富山工業高等専門学校 ロボットの運動制御を目的として、フィードバック制御機構およびニューラルネットワークによる自己学習機構をマイコンに内蔵したインテリジェンスモータドライバモジュールの開発を目的とする。従来の集中管理されたトップダウン型ロボット制御システムに対して、マイコンに代表される組込デバイスを主制御コントローラとして用い、これをロボットの各部に分散的に配置することで分散制御システムを構成する。各モジュールの相互連携・学習によって、ロボットの柔軟な動作制御の実現を目指すものであり、また同時に、トータルとして制御システムのスケールダウンを図り、システム構成のコストダウン、パフォーマンス向上を目指すものである。
603 In, Gaを用いない紫外透明電極によるUV-ELの開発 喜多 正雄 富山工業高等専門学校 定村 誠 富山工業高等専門学校 水銀を用いない全固体の紫外エレクトロルミネセンス(UV-EL)は広い面積に照射可能な紫外光源である。UV-ELの表面電極には紫外透明導電性材料が必要であるが、これらにはInやGaなどのレアメタルが使用されていることが多い。資源が豊富な酸化亜鉛と酸化亜鉛類似構造の酸化物半導体の混晶を用いることにでバンドギャップを制御した紫外透明電極を作製し、UV-ELの開発を行う。
604 1形方式(煙道内排ガス採取法)による窒素酸化物(NOx)測定法の開発 鳥山 成一 富山工業高等専門学校 定村 誠 富山工業高等専門学校 ガス状ホウ素化合物測定用に開発した煙道内採取法(1形方式)は、極めて軽量小型で、煙道内で捕集するため、煙道内外の温度・分圧の影響もなく、高い分析精度がある。従来の有害ガスの公定法(JIS等)は自動測定装置を含め全て煙道外採取法(2形方式)であり、大型で、分析・測定作業が極めて複雑で、精度や安全性にも難点があった。今回、これを用いて窒素酸化物(NOx)との同時測定法の開発を目的とし、公定法化も目指している。
605 温度差発電を伴う温水の温度制御システムの開発 義岡 秀晃 石川工業高等専門学校 赤座 治郎 富山商船高等専門学校 温泉や工場排水に代表される温水の適温制御においては、多かれ少なかれ電力及び上水の消費を伴い、折角の有効エネルギーを利用せずに浪費することを余儀なくされている。これらの問題を打破し、質は低いが多量にある低温かつ小温度差熱源の有効利用と環境負荷低減に資するため、本研究では、熱電変換素子を用いた発電を伴う熱交換器の開発、ならびにそれを利用した温度調整システムを構築し、実用化の可能性を追究する。
606 肢体不自由者用ハンズフリーポインティングシステムの開発 塚田 章 富山商船高等専門学校 赤座 治郎 富山商船高等専門学校 本課題のベースとなる技術は、レーザポインタが指し示す液晶モニタ上の照射点をUSBカメラで撮影した画像から高精度、かつ高速に検出し、照射点に対応するモニタ座標を算出する技術である。本課題は、この技術を利用し肢体不自由者がパソコンを使いこなすことを支援するという社会的課題に応えることを目的としている。このため、ポインティング後の適切なクリック手段の開発を行い、文字入力速度、疲労度、ユーザの自由度において優れたシステムの実現を目指す。
607 マイクロマルチLDV法を応用した動脈血流情報による動脈硬化検査装置の開発 八賀 正司 富山商船高等専門学校 赤座 治郎 富山商船高等専門学校 動脈の血流速分布の時空間情報から、アテロームプラークの形成及び早期の動脈硬化を検査する装置の開発を行う。マルチLDV法を応用したレーザードップラー血流測定装置の改良(空間分解能:250μm→100μm)を行い、生体内の動脈血流情報計測から、血管内の有効内径(峡窄、閉塞、拡張)の評価診断、早期の動脈硬化の判定、及びプラークの破裂の可能性の評価を行う。
608 電子スピンを利用した磁気断熱消磁による極低温生成技術の開発 石川 義和 富山大学 永井 嘉隆 富山大学 希土類金属の電子の磁気スピンエントロピーを利用して、極低温である絶対温度1K近傍での極低温を生成する技術を構築する。希土類金属等を含む新たな化合物デバイスを製作し、電子スピンの磁気断熱消磁により極低温を生成する。ヘリウム3元素を利用した冷却技術は既に確立されているが、我々の冷却技術は、人工元素であるヘリウム3元素を必要としない方法であること、デバイスは線材やバルク材への加工が容易なこと等、応用が期待できる。
609 入浴事故防止のための呼吸の無意識評価法創成 中島 一樹 富山大学 永井 嘉隆 富山大学 高齢者の家庭内における不慮の事故で、浴槽内における溺死及び溺水が一番多い。入浴中のバイタルサイン評価は、事故防止に非常に有効である。本研究では、自由な入浴を妨げる電極・センサや電線を身体に取りつけ無い状態で、ヒトを含む湯の電気インピーダンスを計測し、呼吸運動に伴い変化する電流の流れ易さから、入浴時の事故につながる異常呼吸を検出する。本課題では、最適な計測周波数と電極配置などの決定を研究目的とする。
610 新開発CrAlN/BN複合膜のメタルソーへの応用展開 野瀬 正照 富山大学 永井 嘉隆 富山大学 金属機械加工用工具の長寿命化は常に求められてきた重要課題である。申請者らの研究成果であるDC-RF同時成膜法による独創技術のCrAlN微結晶と非晶質BN相のナノコンポジット膜が有する超高硬度と高耐熱・耐酸化性を活かし、長寿命の工具用保護膜として早期の実用化を目指す。本試験研究では、硬度と内部応力のバランスと密着性向上を図るため、成膜時の基板温度、BN相混合比、下地膜厚さ等の最適条件を検討し長寿命保護膜を開発する。
611 海藻分解菌による廃棄海藻を原料とした新奇な養殖用餌料の開発 中村 省吾 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 海岸に打ち上げられた海藻や、加工段階で出る端材廃棄海藻の総計は、年間数十万トンに上ると言われている。我々は、このような廃棄海藻を、微生物を用いて有効利用する方法を研究している。今回の応募課題では、このような廃棄海藻を海藻分解菌によって分解し、ナマコなど需要が高い海産生物の養殖餌料への転換・商品化を図ることを目的とする。
612 インクジェット方式によるドラッグ・デリバリー・システム作成装置の開発 中村 真人 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)は、薬剤の放出制御・体内分布制御を行い薬剤の治療効果を高め副作用を減らす次世代の薬剤治療技術である。申請者はインクジェット技術で生体材料の均一微粒子を作製する技術を開発してきた。本研究では、この技術を応用したDDS作製装置の開発を目指し、そのための基礎的技術として、インクジェット法に適したDDS基材を探索し、実際の薬剤・生理活性物質を加えた均一なDDS粒子の試作と評価検討を行なう。
613 飛躍的に元素選択効率を向上させる画期的な有価元素分離回収剤の開発 加賀谷 重浩 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 循環型社会構築が叫ばれる中、有価元素の高効率な回収技術が強く求められている。このような背景を受け、本研究課題では、基材樹脂を調製し、これに長鎖ポリエチレンイミンを導入し、さらにこれを適度にカルボキシメチル化することにより、アルカリ土類元素を捕捉しない、元素選択効率の極めて高い有価元素分離回収剤、長鎖アミノカルボン酸型キレート樹脂を開発することを目的とする。
614 次世代SiC半導体デバイス開発に向けた短パルス金属イオンビーム技術の確立 伊藤 弘昭 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 次世代型SiCデバイスの実用化を目指し、イオン注入とアニール処理が同時にできるSiCへの新しいイオン注入法の研究を行ってきた。イオン注入法では、n型・p型ドーパントが必要であり、n型ドーパント用の大電流パルスイオンビームの開発には成功した。本課題は、これまで開発してきたパルスイオンビーム技術に真空アーク放電を利用した金属イオン発生技術を融合することで、p型ドーパントとして機能するアルミニウムイオンビームの発生技術の確立を目指す。
615 細胞単位の非破壊断層撮影を可能にする超精細計測技術の開発 廣林 茂樹 富山大学 岩瀬 洋一 富山大学 透明でなくても生体や試料を採取・破壊することなく、内部構造を可視化できる断層撮影技術には、X線CT、MRI、超音波、共焦点顕微鏡などあり、医療現場で広く利用されている。これまで、そのような計測装置の精度向上においては、ハードウエアの原理機能拡大が最も有効な手段となっている。そこで、本研究では、申請者が発明した次世代型信号解析法のソフトウェア技術を使って、このような既存の医療用計測装置の飛躍的精度向上を目指すものである。
616 フルオロチアゾリジンジオン構造を基盤とした新型血管新生阻害薬の開発 藤原 朋也 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 血管新生阻害作用を持つチアゾリジンジオン類には2種の立体異性体が存在する。しかしながら、これらの立体異性体は生理的条件下で容易にラセミ化するため、一方のみを医薬品として有効利用することができない。本研究では、チアゾリジンジオン類のラセミ化しないミミックとしてフルオロチアゾリジンジオンを合成し、その光学活性体の血管新生阻害活性を調べることにより、新型血管新生阻害薬開発のシーズとしてのフルオロチアゾリジンジオンの有用性を明らかにする。
617 ビロソームによる膜蛋白質の膜間移行を利用したインフルエンザ人工膜ワクチンの製造 上野 雅晴 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 新規インフルエンザワクチンとして人工膜ワクチンを調製し、医療応用を念頭に投与経路を検討する。すなわち、サル腎由来CV−1細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、膜表面に突出したインフルエンザ抗原蛋白質を膜蛋白質の膜間移行を利用してリポソームに移し、ビロソームを構築する。これを種々経路で実験動物に投与し、免疫能を評価する。この方法で調製したワクチンは感染力を有するウイルスへの復帰の危惧はなく、卵アレルギーの人への摂取を可能にする。
618 超音波と海洋深層水を応用した組織固定保存法の開発 八田 秀樹 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 高い抗原性維持能を有する固定液の開発は免疫染色の精度管理上、もっとも重要な課題である。従来はホルマリンの代替品が探求されていたが、形態保持や設備普及に関するホルマリンの優位性は動かし難かった。今回の検討はホルマリン希釈液として海洋深層水を用い、更に超音波を併用することで低濃度のホルマリン保存条件の確立を目指すものである。
619 脳における蛋白質の活性化を可視化できるマウスの作製と解析 石本 哲也 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 細胞骨格蛋白、転写因子などの蛋白質の活性化を捉える新規発光蛋白質プローブを開発した。本研究ではこれらを発現するトランスジェニックマウスを作製する。このマウスからの発光を計測することは、生きた動物の脳内の特定の蛋白質の挙動を、経時的視覚的に計測する新たな実験手法となる。PET、fMRIなど既存の計測法では計測できなかった行動中の蛋白活性化を計測することで、記憶のメカニズム解明に寄与する。
620 IV 型アレルギー性疾患迅速診断法の開発と応用 安東 嗣修 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 臨床上問題となるアレルギー性疾患の大部分は、遅延型と呼ばれるIV型アレルギー反応によるものが多い。しかし、その特定には時間がかかり、治療方針を立てる上で迅速な診断技術が求められる。そこで、IV型アレルギー反応に重要であるT細胞から遊離されるタンパク質に着目し、その高感度迅速検出法を確立する。
621 選択的ALR2阻害に基づく副作用発現の少ない抗がん剤の開発とその評価 加藤 敦 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 既存抗がん剤の多くは、がん細胞だけでなく正常細胞にまで障害を与えていることが多く、好中球や赤血球を始めとする血球細胞の減少を引き起こし、治療の継続を妨げる要因にもなっている。本研究で注目するALR2は、正常細胞での発現は少なく、細胞のガン化に伴って発現量が増加する。従って、その阻害剤は正常細胞に障害を与えることなく、がん細胞の増殖を抑制できる点で優位性がある。申請者は既にALR2阻害作用を有する新規三環系化合物を見出しており、本課題ではこれら新規化合物の更なる構造修飾を行い、阻害活性および選択性の向上と各種がん細胞に対する感受性を調べ、次世代型抗がん剤の開発を目指す。
622 動脈硬化の初期判定ができる血管内皮機能検査機器の開発 北島 勲 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 動脈硬化の診断は血管エコー検査法であるが、発症後の重症度が主で検査費用も高い。最近、発症前検査法として、血流依存性血管拡張反応検査(FMD)が注目されている。本研究では、先行する末梢動脈拡張反応を検査の原理とするFMD機器の問題点を光学系検出技術の導入によって解決し、斬新な検査機器の開発を目的とする。特に次の改良を行う。①駆血機器の自動制御化、②プローブを脈圧計測から血流量計測への変換、③自動数値表示による結果解析の迅速化。本申請は、前記の問題を解決し、精度・簡便性の向上と低コスト化を実現した体外診断用診療検査機器の商品化を目指すものである。
623 強い抗癌作用、高い細胞選択性を合わせ持つアポトーシス誘導剤の分子設計と活性評価 松谷 裕二 富山大学 佐貫 大三郎 富山大学 天然物マクロスフェライド類が癌細胞に対しアポトーシス誘導活性を示し、また温熱療法にも併用効果を示すことを見出した。この知見に基づき、マクロスフェライド類を基盤とした新しい抗癌性医薬品の創出を目指し、医薬品として備えるべき優れた性質、すなわち、高い癌細胞選択性と強力な抗癌作用を発揮する新規なアポトーシス誘導剤を見出すべく、分子設計、有機合成、活性評価を進める。
624 機能性に富む低・未利用地域特産資源(規格外ジャンボ西瓜)を活用した加工製品の開発 深井 康子 富山短期大学 渡邉 博佐 独立行政法人科学技術振興機構 富山県黒部川流域で栽培されているジャンボ西瓜のうち約50%が規格外品(重量が不足)として廃棄され、地元の生産者からも開発が望まれている。本研究は西瓜の機能特性を活かした食品の開発を行うことが目的である。西瓜はリコピンや利尿作用のあるカリウムやシトルリンを多く含むことに着目し、本研究は高齢者を対象とした腎機能障害および咀嚼えん下障害などの改善に有効な健康的でおいしいジュースやゼリー製品の実用化に向け、その開発を目指す。

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 石川:46件  (JSTイノベーションプラザ石川)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
625 赤血球脱核誘導方法の開発 八田 稔久 金沢医科大学 増田 浩子 金沢医科大学 輸血に用いる安全な血液供給のため、幹細胞を基に人工誘導赤血球を安定的に大量生産する技術の可能性を検討する。ラット胎児から見出した有核赤血球の脱核を誘導する因子を用い、その添加時期および添加量などの諸条件を検討し、最適な脱核法を確立する。また、ヒト臍帯血幹細胞から誘導した赤血球前駆細胞に対して、本方法を応用し、ヒト有核赤血球での有用性を確認する。
626 糸状菌を用いた脂肪族鎖の高選択的水酸化技術の開発 小田 忍 金沢工業大学 西村 五宏 金沢工業大学 筆者らはごく最近、新規な糸状菌を用いた界面微生物反応により、微生物的にも有機合成的にもこれまで不可能とされてきたn-アルカン(n-デカン)脂肪族鎖内部の位置・立体選択的水酸化に成功した。この発見は、1960年代以降のn-アルカンを基質とする微生物反応に関する定説を打破するものである。本研究においては、これら特異な水酸化酵素の基質特異性を解明し、様々な医薬品合成のための有力なツールとなる脂肪族鎖内部の高選択的な水酸化技術を確立することを目的とする。
627 個人被爆監視用「パーソナル・ナノ粒子サンプラ」の開発 古内 正美 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 ナノ素材の利用拡大に伴い、アスベストよりも危険な可能性のあるナノ粒子による健康リスクへの懸念が高まっているが、その正確なリスク評価方法がない。本課題では、個人がどれだけのナノ粒子リスクにさらされているかを直接測定することができる、「パーソナル・ナノ粒子サンプラ」を設計・試作し、特許申請・製品化・標準化を目的とする装置開発・実用試験・改良を行う。鍵となるのは、微細な繊維を利用し肺胞に沈着しやすいナノ粒子を選択抽出する「慣性フィルタ」であり、ここでは「極低圧損」と「ナノ粒子分級」「軽量化」を達成する条件を検討する。
628 創薬支援ツールとしてのトランスポーター中和抗体作成技術の開発 加藤 将夫 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 トランスポーターは医薬品に含まれる薬物分子の細胞内外への取り込み・排出に関わる膜タンパク質であり、医薬品の効果や副作用の大きさに関係する。本研究では、トランスポーターの持つ生理機能を中和するモノクローナル抗体作成のための基盤技術を確立する。得られた中和抗体は、製薬企業等における医薬品候補化合物のスクリーニングや、医薬品の新たな標的分子の探索用として順次実用化を図る。
629 汎用レーザによる表面周期構造の創成と気体軸受への応用 古本 達明 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 製品の小型・軽量・高効率化は、情報通信や医療など様々な分野で進められており、また、環境問題の視点においても省エネルギを実現する上で不可欠な事項として認識されている。本研究では、汎用的に用いられているYAGレーザを用いて、透明樹脂板表面にミクロンオーダの円筒状レンズアレイを製作し、同アレイを用いて気体軸受表面にマイクロオーダの周期構造物を加工して、高い運動性や剛性を有し、かつ環境負荷の少ない動圧溝付き気体軸受を製作する技術を確立する。
630 光周波数掃引法による高分解能レーザ光距離センシングシステムの開発 飯山 宏一 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 光周波数が、時間的に線形かつ連続的に掃引されたレーザ光を用いて、1mm以下の高い空間分解能を持つレーザ光距離センサを開発することを目的とする。レーザ光の光周波数掃引は、半導体レーザの電流変調および温度変調により行う。空間分解能は光周波数掃引幅を広くすることにより向上するが、光周波数掃引に非線形性が存在すると空間分解能は劣化する。そこで、線形な光周波数掃引のためのレーザ制御や、光周波数掃引の非線形性の影響を除去する信号サンプリング法を開発し、システムの高性能化を図る。
631 医薬品開発に有用な自動縮合反応剤の開発 国嶋 崇隆 金沢大学 奥野 信男 金沢大学 合成ロボットを使った反応の自動化は医薬品探索・開発に重要な技術である。本課題では、様々な反応の中でも実用化が難しいと考えられる脱水縮合反応の自動化剤の開発を行う。代表者らが開発したポリマー縮合剤を基に、混ぜるだけで効率よく反応し濾過だけで精製できる固定化反応剤を開発する。
632 骨腫瘍に対する抗がん剤・カフェイン含有リン酸カルシウムペーストの実用化 白井 寿治 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 抗がん剤にカフェインを併用すると顕著な癌治療効果が発現する事を明らかにしており、その研究は昨年、文部科学大臣賞を受賞した。この併用療法を局所的に強く作用させることが可能なら、更に治療成績を上げ、副作用を減らす事が出来る。人工骨であるリン酸カルシウム骨ペースト(CPC)は、drug delivery systemの基材として優れた徐放能をもっており、悪性骨腫瘍・転移性骨腫瘍に対する治療への応用が期待されている。今回、抗がん剤のシスプラチンとその増強効果を示す薬剤であるカフェインをこのCPCに含有させることで、局所治療効果の高い骨補填剤を開発する。
633 食品に含まれる最終糖化蛋白の健康評価法の開発 山本 博 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 最終糖化産物(advanced glycation endproducts,以下AGE)は、糖尿病血管合併症の主要因である。生体内AGEの一部は食品に由来するが、 AGEには様々なものがあり、例えば、分子量の違いなどにより、血管を傷害したり、それを防止したりする。本研究では、そのAGEの内、食品に由来するものが善玉であるか、悪玉であるか評価する方法を開発する。
634 鼻腔原発性悪性黒色腫を標的とした内用放射療法の開発 鷲山 幸信 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 悪性黒色腫は皮膚や粘膜に存在し、転移を生じやすく、予後は他の癌に比べて不良であり、極めて悪性度が高い。特に副鼻腔原発性悪性黒色腫は、副鼻腔が解剖学的に複雑な形状であること、近傍に眼窩、頭蓋底、内頚動脈などの重要臓器が存在することから、これまで治療法は確立されていない。本課題では、特異的腫瘍集積性に優れた抗体免疫療法と殺細胞効果の高い放射線(α線)の、両方の特長を併せ持つ内用放射療法の開発を目指す。
635 言語聴覚障害児の訓練用文章カード作成に関する開発研究 能登谷 晶子 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 ①正常発達幼児が通園している幼稚園・保育園で利用する絵本等から幼児期に理解できる日本語の文型を年齢毎に調査する。②正常発達をしている幼稚園児・保育園児の発話から日本語の基本的文型を年齢毎に調査する。③研究者が指導している言語聴覚障害児の指導経過から障害児に利用できる文章形態を調査する。④正常児と障害幼児の調査結果から試案文章カードを作成し、試行し、改良点を確認する。最終的には言語聴覚障害児向けの文章訓練用カードの作成・発売をめざす。
636 次世代型安全運転支援を目指した車内ヘルススクリーンシステムの開発研究 山越 憲一 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 運転する直前の健康状態(例えば、血圧、心拍数、血中酸素飽和度、血糖値、アルコール濃度、ストレス度など)を走行前に、「指」から情報を得て、安全運転に役立てるシステムを開発する。 即ち、本研究では、申請者らが開発してきた生体計測技術を応用し、従来にない新たな車内ヘルススクリーンシステムを考案・試作し、実用化に結びつけることを目的とする。 また、光電脈波を利用した新規血中アルコール濃度計測の可能性も探る。
637 新規インドール化合物を用いた骨粗鬆症の治療薬の研究開発 鈴木 信雄 金沢大学 長江 英夫 金沢大学 我々は骨芽細胞の活性を上げ、破骨細胞の活性を低下させる新規化合物を魚のウロコのアッセイ系により発見し、さらにこの新規化合物が卵巣摘出ラット(閉経後骨粗鬆症のモデル)の骨密度及び骨強度を上昇させることを確認した。本研究では、①化合物を大量合成し、②エームス試験及び急性毒性試験を行い、③哺乳類の培養細胞(in vitro)により作用機構を解析し、実用化につなげる。
638 能登珪藻土の吸湿能を活用したデシカント調湿空調システムの開発 児玉 昭雄 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 能登珪藻土の吸放湿能を活用した、安価で低温度再生が可能なデシカント調湿空調システムを開発する。50℃再生で従来吸着材ロータと同程度の除湿性能を示す能登珪藻土担持除湿ロータあるいは成型体とするため、短周期吸脱着操作における能登珪藻土(未焼成体および焼成温度・時間を変更したもの)の吸放湿挙動の把握、その吸放湿特性と成型性を考慮した除湿材形状と装置・流路構成の検討を行う。その後、実規模装置を用いた評価実験へと展開する。
639 がん患者の予後判定のための DNAメチル化高感度定量測定技術開発 川上 和之 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 LINE-1はゲノム全体にわたってその由来配列が存在する転位因子であり、ヒトゲノムの約17%を占めることから、LINE-1 DNAのメチル化はゲノム全体のメチル化を知る有用なマーカーである。癌細胞では正常細胞に比較してゲノム全体のメチル化が低下し、癌の悪性度が高いほどLINE-1 DNAのメチル化は低下する。本研究では、癌患者の予後判定や個別化治療への臨床応用を目的として、LINE-1メチル化の高感度・高精度測定技術を開発する。
640 木質バイオマスを利用した天然保存料ポリリジン発酵プロセスの開発 国本 浩喜 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 木質バイオマスをエネルギー源とする放線菌Streptomyces albulus発酵により、天然保存料ε‐ポリリジン(ε-PL)を高効率で生産するプロセスを確立する。電磁波などのエネルギー供給を酵素反応と組み合わせることにより、従来、利用が困難であった木質系バイオマスを微生物発酵のエネルギー源として有効活用する。本プロセスの確立により、再生可能資源である木質系バイオマスをエネルギー源とする機能性ファインケミカルの発酵生産への応用が期待される。
641 損傷神経修復を促す天然型培養基材の開発 横山 茂 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 神経組織の修復・再生をサポートするバイオマテリアルを開発する。神経損傷受傷者は、知覚・運動麻痺、疼痛等の後遺症に苦しみ、完全な機能回復は困難であることが多い。このため、再生過程にある神経軸索を正確に標的器官に導く微小環境を整える必要がある。本研究では、軸索再生刺激作用と髄鞘形成促進作用をもつ蛋白を天然に近いかたちで保持させた培養基材を作製し、損傷部位に供給することで正常な機能回復の促進を目指す。
642 低環境負荷ラジカル生成法による木質系バイオマスの糖化前処理 仁宮 一章 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 廃建材や稲ワラ等といった未利用のリグノセルロース系バイオマス原料からエタノール発酵に必要な糖を得る方法として、セルラーゼなどの酵素による糖化反応がある。しかし、セルロース繊維を取り囲むリグニンがセルラーゼ糖化酵素反応の障壁となっており、これがバイオエタノール製造における律速段階になっている。そこで、本研究では、我々が独自に開発した二酸化チタン/超音波触媒法(以後TiO2/US法)という高濃度ラジカル生成手法を用いた糖化前処理を行なうことにより、リグニン構造を緩めて糖化酵素がアクセスしやすい状態にする。これにより、糖化反応を効率的に行い、バイオマスエタノールの製造コストを低減させる。
643 超音波刺激応答性ナノキャリアによるピンポイント抗がん剤投与システムの開発 清水 宣明 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 がん治療のひとつに抗がん剤投与があるが、腫瘍部位への薬剤作用だけでなく、正常組織への副作用が起きることが問題となっている。そこで本研究では、抗がん剤を熱応答性リポソームというナノカプセルに内包して投与した後、生体外から腫瘍部位への“収束超音波刺激”でリポソームを崩壊させ、抗がん剤を放出させるというDrug Delivery System(DDS)の開発を目的とする。これにより、腫瘍部位へのみピンポイントで抗がん剤を送達できるため、副作用を最小限に抑えることが可能になり、患者のQOLの向上につながる。
644 新規細胞外マトリックスタンパク質を用いた中枢神経再生・修復の技術開発 郡山 恵樹 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 末梢神経系は細胞外マトリックスが豊富なため神経再生が可能であるが中枢神経系は豊富でないうえ、損傷後のさらなる減少が神経再生を困難にする。本研究では魚類よりクローニングした新規マトリックスタンパク質、プルプリンを遺伝子工学的手法により過剰発現させ人工的な細胞外マトリックス環境を提供し中枢神経再生を試みる。またそのメカニズムを精査し将来的な中枢神経再生・修復に向けた治療法、治療薬開発の実用化を目指す。
645 脂質メディエーターS1P受容体のサブタイプ選択化による新しい血管新生療法の開発 岡本 安雄 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 血液不足により四肢末端の壊疽をきたす末梢動脈閉塞性疾患は先進国では頻度の高い疾患である。そのため、この疾病に対して有効性の高い血管新生療法の確立は重要である。本研究課題では、受容体を介して血管内皮細胞に作用し血管新生を促進するスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)とその受容体サブタイプ選択的活性化薬・拮抗薬の血管新生・機能回復促進作用及び血管新生療法の重大な副作用である血管透過性亢進による組織浮腫の軽減作用を実証し、末梢動脈閉塞性疾患に対する新しい血管新生療法に向けてのスクリーニング系を確立する。
646 新しい高純度有機酸化試薬の開発 松尾 淳一 金沢大学 渡辺 良成 金沢大学 既に市販されている有機合成用酸化試薬である、塩化N-t-ブチルベンゼンスルフィンイミドイルは、精製が困難であり、高純度試薬とすることができない。今回これを更に改良した試薬とするために、精製かつ取り扱い容易な結晶性の高い誘導体を見出す。その後、その誘導体がアルコールの酸化やカルボニル化合物の脱水素化を効率的に進行させることを確認し、市販品に代わる有機酸化試薬として市販することを目指す。
647 π共役高分子のキラル会合体形成を利用した高感度キラリティーセンサーの開発 前田 勝浩 金沢大学 分部 博 金沢大学 分子認識部位を導入したポリチオフェンやポリフェニレンエチニレン等の新規な光学活性π共役高分子を合成し、その貧溶媒存在下におけるキラル会合体形成を標的光学活性体との非共有結合相互作用を介して制御することにより、分光学的および視覚的変化をプローブにした簡便かつ高感度な新規キラリティーセンサーの開発を行う。
648 高感度人工感覚毛 北川 章夫 金沢大学 分部 博 金沢大学 微弱な圧力による接触の状態や動きを2次元画像データとして出力することができるセンサを試作し、触覚をもつ人工毛や人工皮膚または微量流体や乱流の動きを捉えるセンサへの応用可能性を調べる。独自に開発したアレイ化された微小変位センサを搭載したシリコンチップを利用し、標準的な半導体テクノロジと簡単な後工程により実現する。人間の最小感知圧力とされている2*104(Pa)の圧力変化を試作人工毛により検出することを目標とする。
649 ローラ式高性能バドミントンマシンの開発 酒井 忍 金沢大学 分部 博 金沢大学 本課題では、一流のバドミントン選手の使用に十分耐え得る実用的で高性能つまり、シャトルの発射速度や発射精度が高いローラ式バドミントンマシンの開発を行う。また、シャトル発射時、その羽根が損傷しないようにするために、シャトルとマシンの解析モデルを作成し、その機構解析や発射シミュレーションを行う。これら一連の解析結果を踏まえながらマシンの設計・開発を進め、マシンの高性能化を図る
650 剛性可変の表面構造を持つロボットハンドの開発 渡辺 哲陽 金沢大学 分部 博 金沢大学 一般家庭や医療現場などの現場では、様々な形状や硬さを持つ未知対象物を扱うことができるロボットハンドが必要である。そのような対象物を掴む上でキーとなるのが、ロボット表面の柔らかさである。表面柔らかさは掴む対象の情報の不確かさを吸収する。衝撃も吸収するため、安全性においても優れている。しかしながら物体を操るという点では不利である。滑りにくい、動かし難いためである。そこで、本研究では、必要に応じて表面の硬さを変化できるロボットハンドを開発する。
651 高速高密度自由曲面板厚評価システムの開発 浅川 直紀 金沢大学 分部 博 金沢大学 板金プレス加工などによる製品の板厚の全自動測定と評価を行うシステムである。従来は測定物への接触による測定などが一般的であり、深い自由曲面などは非破壊測定が不可能だったが、自由度の高いロボットとレーザを用いて測定するため、様々な自由曲面製品が測定可能。従来の100倍程度の測定速度と密度を持ち、立体的に表示と評価を行うソフトにより詳細な板厚分布評価を短時間で行う。
652 環境に優しい新規強誘電/圧電材料の開発と応用 川江 健 金沢大学 分部 博 金沢大学 現在の強誘電/圧電デバイス分野で幅広く使用されているPb(Zr,Ti)O3に代わるPbを含まない新規低環境負荷材料BiFeO3(BFO)がおおいに期待されるが、室温での安定動作を阻害するリーク電流がある。本課題は、BFOの各サイトを異なる元素で同時置換したBFOを提案し、リーク電流抑制と室温での安定動作を目指している。また、「生産性に優れた手法による同時置換BFOの作製」および「実用化要求に耐えうる各種特性の改善」を行い、低環境負荷材料の実用化を目指す。
653 電磁場変動形熱プラズマによるナノ粒子の新しい高速選択生成法の開発 田中 康規 金沢大学 平野 武嗣 金沢大学 本研究では、申請者らが開発した「高気圧変調誘導熱プラズマ」を用いた、新しい熱プラズマナノ粒子高速生成技術の開発を目的とする。高気圧変調型誘導熱プラズマは、不純物のない誘導熱プラズマを意図的に時間変動させ、熱プラズマの温度・ラジカル密度の時間平均値を制御し、高気圧プラズマにも非平衡性を導入する新手法である。ここでは高気圧変調誘導熱プラズマでセラミックナノ粒子の生成を行い、変調条件、特にDuty factorに対する生成粒子への影響を検討する。
654 GSK3β阻害効果に基づく新しいがん治療法の開発 源 利成 金沢大学 海野 徹 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 我々はGSK(glycogen synthase kinase)3βのがん促進作用を発見し、GSK3β阻害によるがん抑制効果を各種がん細胞と動物実験で実証した。この成果に基づいて、現在、解析中の新規合成阻害剤と、構造解析からGSK3β阻害作用が新たに判明した医薬品について、それぞれのがん抑制効果と、従来のがん治療法(抗がん剤や放射線)の増強効果を試験する。そして、GSK3β阻害効果に基づくがん治療法、とくに、膵がんや神経膠芽腫など「難治性がん」の治療法開発の実験的根拠を明確にして、本治療法の臨床応用の可能性を見極める。
655 植物の高感度応答遺伝子を利用したカビ毒検出アッセイ系の開発 西内 巧 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 病原性糸状菌の作物への感染により、食品等へのカビ毒が混入し、人畜の健康被害を引き起こすが、カビ毒の多様な分子種に対応する簡便で安価なアッセイ系がなく、検査体制が整備されていない。本研究では、カビ毒の各分子種に対して、それぞれを高感度かつ特異的に応答する植物遺伝子と、簡便かつ安価に検出できるGUSレポーター遺伝子を組み合わせたカビ毒検出アッセイ系の開発を行い、カビ毒汚染食品の撤廃を目指す。
656 化学物質の非遺伝毒性検出時間を大幅に短縮する方法の開発 山下 克美 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 本研究では、「化学物質ストレスにより惹起されるタンパク質結合を、蛍光発光として観測する遺伝子系」を導入した細胞を用い、非遺伝毒性化学物質の発がん性を迅速に予測する手法を開発する。この研究ではまず、遺伝子発現ユニットを種々の細胞へ導入可能なレトロウイルスベクター系へ導入し、ヒト初代培養細胞へ導入できる系を作成する。これらの細胞に対して、既知の化学発がん物質を処理し、本システムの有効性を検討する。
657 高い安定性とエネルギー変換効率を有するフレキシブル有機薄膜太陽電池の開発 桑原 貴之 金沢大学 五十嵐 泰蔵 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 我々はこれまで、酸化チタン薄膜や金薄膜のような、化学的に安定で酸素や水によって腐食されない素材を電極として用いることで高耐久性を有する有機薄膜太陽電池を開発している。しかし、これらの研究は全てガラス基板上での素子作製であり、有機薄膜太陽電池の実用化にあたり、有機物の軽量かつ柔軟という特徴を生かすためにはフィルム化が重要である。本研究において、エネルギー変換効率(PCE)が3%以上のフィルム型有機薄膜太陽電池、即ち実用化を視野に入れた電池素子の開発を目指す。
658 薬物の組織移行性に影響する複数の血清蛋白結合状態の同時測定法 川井 恵一 金沢大学 中村 尚人 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 本課題では、医薬品の体内動態、特に標的組織への移行性や体外排泄性に大きく影響する血清蛋白結合状態を個別にモニターするため、多くの医薬品に共通する結合部位を同時に測定するモニタリング法を確立するための技術開発を行う。既に、放射性化合物を用いて、極少量の患者血清同一試料から血清蛋白上の複数の結合部位の結合状態を同時に測定する方法を確立し、特許化した(US 7175991)。この原理を光測定技術に応用し、臨床現場で簡便な方法にて投薬設計に重要な、新たな個別化情報を取得し得る検査法を確立する。
659 ラジカル反応を基盤とする新規な分子標的型抗がん剤の創生 谷口 剛史 金沢大学 中村 尚人 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 最近の研究で、代表研究者が全合成したステモナミド類の合成中間体が、膵臓がんに特異的に発現してそのアポトーシスを抑制するPimキナーゼを阻害することにより、vitroおよびマウスにおいて膵臓がん細胞の増殖を抑制することが確認された。そこで、この知見をもとに、複雑な多環性化合物を簡便に合成できる手法である連続的ラジカル環化反応(ラジカルカスケード反応)を活用して、難治性の膵臓がん等に有用な新規分子標的型抗がん剤のリード化合物を創生し、その活性向上を目指した構造最適化を行う。
660 電磁界ベクトル「その場可視化」センサの開発 八木谷 聡 金沢大学 中村 尚人 有限会社金沢大学ティ・エル・オー 本研究では、計測した電磁界ベクトルが直感的にわかるように表示する「電磁界ベクトルその場可視化センサ」を開発する。ノイズ源の探索等に役立つ。ここでは特に低周波(100 kHz以下)の磁界を対象として開発を進める。
661 公共空間における音情報伝達システムのデザイン研究。 寺井 剛敏 金沢美術工芸大学 藤野 雅 金沢美術工芸大学 (辞退)
662 プリント基板ファインピッチ化に対応可能な銅マイグレーション防止技術の開発 筒口 善央 石川県工業試験場 奥野 孝 (財)石川県産業創出支援機構 プリント基板配線のファインピッチ化が進み、銅マイグレーション防止対策が重要視されている。従来研究では、はんだレジストの無い基板を用いて、基礎的な発生メカニズムがほぼ解明された。本研究では、多くの製品基板において保護膜として用いられているレジストに着目して、そのマイグレーションへの影響要因を分析し、レジスト起因のマイグレーション抑制方法を検討する。
663 防錆性能を有する有機-無機ハイブリッド膜の開発 嶋田 一裕 石川県工業試験場 沢野井 康成 (財)石川県産業創出支援機構 新たな表面改質の基盤技術として、金属基板上に有機物と無機物を分子レベルでハイブリッドさせた膜を開発している。この膜は有機、無機それぞれの特性だけではなく、単独では得られない特性をも表面に付加出来る可能性がある。これまでの研究で得られた有機-無機ハイブリッド膜は、防錆効果があることを見出した。実用化を目指すには、防錆性能を高めることが技術問題の核となる。そこで、本研究では防錆性能を高めることを目的とする。
664 タンパク質分解酵素「ネペンテシンⅠ」の効率的生産法の開発 濱田 達朗 石川県立大学 辻 寛司 石川県立大学 酸性プロテアーゼは、洗剤や食品製造加工、家畜向けおよび医薬用消化酵素など幅広く利用されている。食虫植物ウツボカズラ由来のネペンテシンTは、従来使用されている動物および細菌由来の酸性プロテアーゼと比較して、より広いpHレンジでの安定性や熱安定性、長期常温保存性などの点で優れている。本課題では、ネペンテシンTを様々な大腸菌株やメタノール資化酵母のタンパク質発現系にて効率的に大量生産する方法を確立する。
665 位相差のある調和駆動発生可能なピエゾ素子レイアウト微小搬送機構の研究 記州 智美 石川工業高等専門学校 割澤 泰 石川工業高等専門学校 互いに角度をなす2ヶ所のピエゾ素子面を位相差をつけて調和駆動し、搬送面をだ円振動させる機構の開発を目指す。だ円振動させることで、従来の直線振動に比べ物体をより円滑に、高速度での搬送が可能となる。また、だ円振動の主軸長と長短軸の比率を変化させることで搬送速度も制御可能である。この制御法は回数の繰り返し(振動数)により、高速度が実現する効果が得られるとともに、微小搬送を活かして一定速度や円滑な搬送の実現が期待できる。
666 日常身体活動量の評価を目的としたe-テキスタイルウェアの開発 藤岡 潤 石川工業高等専門学校 割澤 泰 石川工業高等専門学校 社会の高齢化を背景に、高齢者の健康状態を日常的に把握するシステムが求められている。ウェアラブルデバイスによるモニタリングは一つの回答であるが、こうしたウェアは硬くかさばるため、日常的な装着は負担となる。本研究では、感圧導電繊維を素材とした、通気性、柔軟性に優れたデバイスウェアの実現を目的とする。これにより日常生活の動作計測を行い、高齢者、要介護者の健康状態や活動量等を外部よりモニタリングできる高齢者・要介護者支援システムの開発を行うことを目標とする。
667 数理モデルに基づく植物概日リズムの制御技術の開発と植物工場への応用 徳田 功 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 時計遺伝子を介した光サイクルの制御は植物工場において重要な技術である。これまでは環境サイクルとタンパク代謝系の同調が起こるように、環境刺激を試行錯誤的に調整する制御が行われてきたが、効率的化のためには、時計遺伝子の数理モデルを用いた、より高精度の制御法を設計する必要がある。本課題は、植物の遺伝子発現データの定量的性質を実現する数理モデルを構築し、得られたモデルから、時計遺伝子の最適制御技術を開発することを目的とする。
668 空気中安定な有機トランジスタの開発 藤原 明比古 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 柔軟性や耐衝撃性にすぐれている有機トランジスタは、ユビキタス社会の電子デバイスとして期待されているが、空気中での動作不安定性と低い性能(移動度)が応用上の問題となっている。本研究では、研究代表者が有する2つの技術、高移動度トランジスタ作製技術(平成20年度発掘試験)と大気中安定なトランジスタ作製技術を融合し、大気中安定で実用レベルの性能を有する有機トランジスタの開発とその有効性の実証を行う。
669 高効率高速スクリーニングを可能にするNMR部品の開発 大木 進野 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 核磁気共鳴分光(NMR)法は、研究対象試料の構造やダイナミクスを分析する有力な手法である。近年では、特に環境や生命科学分野で、研究対象の試料と相互作用する物質を発見するためのスクリーニングに活用されている。本採択課題では、これを迅速に行うための部品を開発し、既存のNMR装置に組み込む。新しい部品で、使用する試料量の低減と実験時間の短縮を達成する。
670 マイクロ・ナノジェット式高度感性繊維のデザイン開発 永井 由佳里 北陸先端科学技術大学院大学 山本 外茂男 北陸先端科学技術大学院大学 「機能に富み、かつ感性にフィットする繊維」開発を導く感性デザイン用の知識ベース・ネットワークを構成し、高度繊維機能を人間に親和させるための感性デザインシステムを開発する。具体的内容は①表層・深層感性データベースの構築 ②視覚・触感ネットワーク感性評価システム ③高度感性親和型繊維デザイン材料の開発に寄与する高機能触感を実現するマイクロナノインクジェット技術とのブリッジングである。

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 福井:38件  (JSTイノベーションサテライト滋賀)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
671 組成分析と画像撮影機能を持つ可搬型蛍光X線分析装置の開発 安田 啓介 (財)若狭湾エネルギー研究センター 祝 一裕 (財)若狭湾エネルギー研究センター 蛍光X線組成分析とX線透過像撮影機能を兼ね備え、屋外でも使用可能な可搬型分析機器の試作を行う。構成は、①小型X線発生装置、②小型X線検出器、③X線カメラおよびノートPCを組み合わせ、漏洩対策としてケ−シングを施し、商用電源なしで動作する小型X線分析・撮影装置を試作し、埋蔵遺物、岩石などの現地スクリ-ニング・真偽判定用途を想定している。
672 イネ発芽時ストレス耐性を強化する非遺伝子組換え種子テクノロジーの開発 吉岡 俊人 福井県立大学 奥野 信男 福井大学 厳しい環境下でも良好に発芽する作物種子を供給するために、種子のストレス耐性を強化する実用的な種子処理技術を開発する。本技術によりイネ種子の耐熱性を3℃上昇させ、イネ種子温湯消毒(種子を60℃程度の湯に浸漬して感染病害菌を死滅させる)の問題点を解決し、農薬を用いない殺菌消毒法による種子の供給を可能にする。
673 カーボンナノチュ−ブを用いた脳波電極の開発 川本 昂 福井工業高等専門学校 吉田 徳寧 (財)ふくい産業支援センター 脳の外科手術を安全に行うために、X線CTやMRI画像の観測と銀皿電極による脳波計測を同時に行うと電極から放射状に白い線が現れ、画像が乱れる。また、また、脳波電極は高価で、繰り返し使用されている。これらの問題を解決する多層カーボンナノチュブ分散高分子膜を使ったプロトタイプの脳波電極を開発した。本研究では、人工臓器材料として実績のあるポリウレタン(高分子材料)を用い、より高感度で、安全安価な使い捨て脳波電極の実用化を目指す。
674 有機色素クラスター形成による高効率金属検出−凝集技術の開発 松井 栄樹 福井工業高等専門学校 奥野 信男 福井大学 重金属類はプラスチックおよび化学製品生産時の触媒として広く活用され、凝集沈殿法、樹脂吸着法等による回収が行われている。福井県の基幹産業である繊維業界でも、PET製造時の触媒や難燃助剤として、要監視項目に区分される強い毒性を持つアンチモン化合物を用いており、ICP法に代わる、迅速・簡便・低コストで判定できる検出法と有効な回収法の開発が重要な課題である。そこで、有機色素の金属原子を取り込んだクラスター形成による重金属イオン検出と凝集を達成し、高効率の検出−凝集技術の開発を行う。
675 木質材料による住宅用可動式耐震壁の開発 川島 洋一 福井工業大学 佐々木 博 福井工業大学 一般に住宅における間仕切壁は、耐震壁と非耐震壁とに分類される。すでに建設された住宅では、耐震壁の移動や撤去は容易ではない。リフォームや用途変更の際に、改修工事の対象となるのは、通常は非耐震壁に限定される。本研究では、住宅建築に適用できる可動式耐震壁を開発し、住まい手が自力で容易にプランや空間の更新が可能な住宅の構造システムを開発することを目的とする。これにより、既存の住宅の寿命を最大限に活用し、資源・資産の有効利用と地球環境に優しい住宅のあり方を提案する。
676 ICP発光分光分析法の高感度化を目的としたシールドトーチの開発 田中 智一 福井工業大学 佐々木 博 福井工業大学 誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)は、高温のアルゴンプラズマを励起・発光源とする重金属分析法であり、国内外で広く普及している。ICP-AESによって環境中のより低濃度の有害重金属を正確に定量するには、装置の高感度化が必要であるが、一般的に装置の大幅な改良を伴うことが多く、既存の装置の場合は困難である。それに対して本研究では、市販の放電管に薄い円筒状の金属板を装着するという極めてシンプル且つ汎用性に富んだ方法で、ICP-AESの高感度化を図る。
677 カニ殻に含まれるキチン、キトサンを分解する微生物農薬の開発 草桶 秀夫 福井工業大学 佐々木 博 福井工業大学 本研究は、カニ殻の有効利用に着目し、カニ殻に含まれるキチンおよびキチン誘導体物質のキトサンを分解する微生物を微生物農薬として応用することにある。キチンおよびキトサンを分解する微生物を活用し、野菜の病原菌に対する抗真菌性効果と微生物による野菜類の成長効果について検討する。カニ殻由来キチン、キトサンとキチン、キトサン分解菌を配合した土壌肥料を用い、モデル野菜としてポット苗を用いたトマトやナスの栽培を実施する。本研究は、化学農薬に変わる肥料としての効果を有する微生物農薬の開発に向けられ、新しいバイオ産業の創出につながることが期待される。
678 狭心症治療薬の放射線防護剤への転用化へ向けた実証性検証 松本 英樹 福井大学 祝 一裕 (財)若狭湾エネルギー研究センター 放射線を被ばくすると、ヒトの体内には酸素ラジカルが発生し、障害を引き起こす。昨年度の研究で酸素ラジカルを無毒化する、副作用を持たない放射線防護剤となる狭心症治療薬を5種見出した。投与量・投与時期の最適化、防護機構の検討を行い、最適な薬剤を選定し、実用化へつなげる為にX線以外の放射線に対する防護効果の検討も行い、臨床試験計画を策定することを目標とする。
679 低温動作ソリッドステート酸素センサーの作製 高島 正之 福井大学 奥野 信男 福井大学 燃焼状態管理において酸素センサーは必須の部品であり、全固体型としてはイットリア安定化ジルコニアを用いたものが広く普及している。しかし、その電導度から通常その動作は600℃以上に設定されており、耐久性や機器の設計自由度を改善するために動作温度の低温化が望まれている。本課題においては、400℃以下の低温で十分に高い酸化物イオン導電性を有するセラミックス電解質を用いた全固体酸素センサーの作製を試みる。
680 金属ポルフィリン固定繊維の調製と光照射下での水の還元による水素生産 堀 照夫 福井大学 奥野 信男 福井大学 スズポルフィリンが可視光照射下で水を還元し、水素を生産することから、柔軟で、強度が高く、大きな比表面積を有する繊維・織物に「電子線グラフト重合技術」で強固に固定化して耐久性を向上させ、また繰返し再利用できる材料の調整を目指す。具体的には、反応基を導入した金属ポルフィリンを電子線グラフト重合法により繊維表面に固定化し、これを水に浸漬、可視光の照射下で水を還元し、水素を生産する材料の調整を達成し、次の段階として、この技術を用いた大量に水素を生産できるシステム開発を目標とする。
681 非線形材料を用いた広帯域超短パルス全固体イッテルビウムレーザーの研究開発 川戸 栄 福井大学 奥野 信男 福井大学 複雑・大型でコストの高い励起用固体レーザーや増幅器を用いずに高出力動作が可能な、レーザーダイオード励起のレーザー発振器に関して、共振器内部に非線形材料を用いた超短パルス化と広帯域スペクトル化を行う。
682 生体リズム障害を予防・緩和する超小型体内時計光受容センサーの開発 明石 行生 福井大学 奥野 信男 福井大学 本研究では、ヒトの生体リズム障害の予防と緩和に貢献するため、超小型体内時計光受容センサーを開発する。ヒトの生体リズムを調査(診断)するためには、日常網膜に浴びている光の質と量およびタイミングを測定し、その測定値と理想的な光受容スケジュールとのギャップを把握することが重要である。具体的には、(1)眼鏡フレームなどに違和感なく固定できる超小型軽量光受容センサーの試作、(2)3つのセンサーの開発とそれらを用いたフィールド実験の実施、(3)体内時計の光受容量の過不足を判断するアルゴリズムの開発を目指す。
683 判定基準国際規格化に向けた簡便で高精度な潤滑油用劣化診断装置の試作 本田 知己 福井大学 奥野 信男 福井大学 潤滑油は発電所などの回転機器に欠くべからざるもので、劣化管理が定期的に行われている。しかし、従来の測定方法は測定者の経験に依存するため、容易で確実な劣化診断法が業界共通の課題として切望されてきた。本研究では、申請者が開発したメンブランフィルタろ過残渣色相法に、特定波長による、潤滑油の透過率や反射率による劣化度の判定基準を加えることで高度化し、更には判定基準の国際規格化を目指した、潤滑油劣化度判定測定装置の試作を目的とする。
684 建物熱負荷を削減する簡易ルーフポンドの最適設計法に関する研究 吉田 伸治 福井大学 吉田 芳元 福井大学 既存のRC建物に簡易に設置可能な水槽(ルーフポンド)の熱負荷緩和効果をその熱収支メカニズムに基づく詳細な分析とその最適設計に必要な知見を明らかとすることを目標とする。
具体的には本課題期間において、①実測によるルーフポンド底面の色、水層の厚さの違いが性能に及ぼす影響の分析、②数値解析によるルーフポンド敷設時の期間冷房負荷削減効果の分析、の2つの点に関する調査分析を行う。
685 温度により変色する感温性ナノ粒子の開発 前田 寧 福井大学 吉田 芳元 福井大学 温度に応答して蛍光色を変化させる微粒子を開発する。具体的には、温度により粒子径を変化させる架橋高分子ゲル中に固定した蛍光色素間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の効率の変化を利用する。FRETの効率はドナー色素とアクセプタ色素の間の距離に非常に敏感(6乗に反比例)であるため、ドナーの吸収帯で励起するとき、ゲルが低温の膨潤状態にあるときにはドナーから直接蛍光が放射され、高温の収縮状態にあるときにはアクセプタから蛍光が発せられる。
686 伸縮性電極層による高分子複合電極の創製と化学アクチュエータへの応用 庄司 英一 福井大学 吉田 芳元 福井大学 イオノマーと導電層からなる複合膜電極は、低電位動作による安全性や比較的安定に繰返し作動する化学アクチュエータとして、特に実用的可能性ある化学アクチュエータの一つとして重要である。本研究では①従来の直接メッキ法によるアクチュエータの高性能化の検討と、②直接メッキに替る電極層の接合導入法の検討を進める。後者では伸縮性かつ導電性に優れる電極材をイオノマー膜に一段階で接合する方法よりアクチュエータを創製し運動性能を見極める。
687 ポリマーアロイの絶対分子特性値を簡便に測定できるシステムの開発 瀬 和則 福井大学 吉田 芳元 福井大学 非相溶系の高分子ブレンドを相溶化させるには、ブロック共重合体のような高分子相溶化剤が必要である。それも含めたこの様なポリマーアロイの分子量や分子量分布や組成比のような絶対分子特性値を今までは容易に求められなかった。そこで「ゲルパーミィエーションクロマトグラフィの分別原理」と「3つの検出器の併用」と「新たな解析式」と「パソコンによるシステム化」により、絶対分子特性値を精密かつ簡便に測定できるシステムを開発する。
688 微動の観測空間自己相関係数に基づく地下構造の直接探査法の開発と実用化 小嶋 啓介 福井大学 吉田 芳元 福井大学 既存の微動観測と空間自己相関法に基づく地下構造推定法は、①微動アレイ観測、②空間自己相関係数の算出、③Rayleigh波位相速度の算出、④観測位相速度をターゲットとする地下構造の同定、という4段階を要していた。本研究では、アレイ観測の主目的が地下構造評価にあるとの視点から、算出に時間を要する表面波の位相速度ではなく、観測から直接求められる空間自己相関係数を直接ターゲットとすることにより、信頼性の高い地下構造を迅速に推定できる方法を導出し、実用化する。
689 脆弱建物に取付け可能な簡易耐震補強制震壁パネルと接合部材の開発 小林 克巳 福井大学 吉田 芳元 福井大学 地震エネルギー吸収能力の高い壁パネルをプレキャスト部材として製作し、柱に袖壁として取り付け、地震応答を低減する制振構造の開発を目的としている。接合部材を介して壁パネルを袖壁として取り付けた柱試験体の加力実験を行い、壁パネルと接合部材の効果を把握する。さらに、壁パネルと接合部材の特性をモデル化して地震応答解析を行う。実験と解析の結果から本研究で提案する制振構造の有効性を示し、各種構造に適した壁パネルと接合部材の開発を目指す。
690 大地震を受ける在来軸組構法木造住宅の無損傷化を目指した応答制御システムの開発と実用的検証法の構築 石川 浩一郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 在来軸組構法木造住宅およびダンパー付き耐力壁を有する制震住宅は、従来の住宅の必要壁枚数を減らすことが可能である。また耐力および靭性を兼ね備えた優れた性能を保有していることを構造力学的に解明する。
本研究で提案する時刻歴応答解析による応答予測に基づき、限界耐力計算法、エネルギー法等の適用性を検討するとともに、簡略な検証法も整備する。さらに、本研究の成果に基づき実用的な計算シートを作成することも試みる。
691 路線滑り摩擦係数予測手法の開発と精度検証 藤本 明宏 福井大学 吉田 芳元 福井大学 本研究では、冬期道路の交通安全性の確保と冬期道路管理の適正化を支援するツールとして、空間的・時間的に変化する路面滑り摩擦係数(μ)を予測するモデル(路線μ予測モデル)の開発を行う。
本課題では、モデルの予測範囲を従来の点から線へ拡張させるためのアルゴリズムを構築するとともに、野外試験で得られる路面温度およびμの路線分布との比較から路線μ予測モデルの的中率を検証する。
692 熱水ろ過フィルターに使用するナノ繊維マットの開発 小形 信男 福井大学 吉田 芳元 福井大学 現在、ナイロン系ナノ繊維作製に多用されている溶媒静電紡糸法は溶媒に関わる諸問題を繊維製造時および製品(フィルター)に引き起こす。本研究の紡糸法は溶媒を使用しないため、ナノ繊維作製法として最適である。従来、ナイロン系高分子のメルトブロー紡糸では、1〜2μmが微細平均繊維径の限界である。そこで、申請者が開発した帯状レーザ溶融静電紡糸装置を用いて、ナイロン系ナノ繊維マットが作製出来る最適作製技術を確立する。
693 光合成リズムに合わせた白色LEDによる間欠照明栽培法 岡井 善四郎 福井大学 吉田 芳元 福井大学 炭酸固定反応時は光をほとんど必要としないため、間欠(パルス)照射により、光化学反応時のみ効率的に光を照射し、光合成効率を高め、電力節減を図る。具体的には三波長合成ハイパワー白色LEDを、連続照明から間欠照明に変更し、パルス周期、明期比率をパラメータにとり、連続光照明との生育の相違(光合成速度、栄養成分)、電力節減効果を調べ、ナス、ピーマンにおける最適照射条件を見出す。
694 シークレットキー生成に適した多レベル符号化法による暗号化変換機の開発 田邉 英彦 福井大学 巽 信夫 福井大学 本研究は、情報ネットワークシステムにおけるセキュリティの向上を図るため、秘密鍵(シークレットキー)の新しい生成法を開発することを目的とする。その手法として、盗聴者には予測・制御できないランダムな事象を利用した一つの方式を提案する。本研究における主目標は、無線通信システムにおける通信路情報を暗号化の秘密鍵(シークレットキー)として使用する際に、推定確度を向上させるための符号化法について、吟味し実装することである。
695 100kWパルス短ミリ波源の実証・開発 斉籐 輝雄 福井大学 巽 信夫 福井大学 本課題では、代表研究者がシーズを持っている高周波ジャイロトロン技術を基盤にして、短ミリ波パルス電磁波源を開発する。開発目標は、周波数約200 GHz、出力100 kW以上で数μsから数10μsのパルス幅、数10 Hzから数100 Hz以上の高繰り返しの高出力パルス短ミリ波源の実現である。これにより、電磁波加熱の手法による新機能性材料開発、短ミリ波応用計測装置を開発する上でもっとも基盤となる技術シーズを確立する。
696 動的核偏極を用いた高感度核磁気共鳴技術の開発 藤井 裕 福井大学 巽 信夫 福井大学 核磁気共鳴(NMR)はタンパク質の構造解析や量子コンピューティングなど、様々に応用されている測定手段である。また、NMRと同時に電子スピン共鳴(ESR)を施すと、動的核偏極(DNP)が起き、NMR信号強度が飛躍的に増大する。このDNP効果をNMR装置に適用することで測定の短時間化やその他の応用に役立つと期待される。本研究ではDNP-NMR測定を行うための装置開発を行うとともに、DNPが起きるメカニズムを解明する。
697 放射性薬剤64Cu-ATSMによる腫瘍内がん幹細胞局在領域診断法の確立 吉井 幸恵 福井大学 巽 信夫 福井大学 「がん幹細胞」は最近の研究から、腫瘍の治療抵抗性・転移能に深く関与することが分かってきている。申請者はこれまでに、PET*用放射性薬剤64Cu-ATSMが腫瘍内のがん幹細胞局在低酸素領域に集積し、非侵襲的にがん幹細胞領域を画像化できるとして特許出願している(特願2008-173276、特願2008-151722)。本研究では、64Cu-ATSMのがん幹細胞局在領域診断薬剤としての実用化を目指し、64Cu-ATSMの集積特性とそのメカニズムについて明らかにする。 
*PET (Positron Emission Tomography, 陽電子放射断層撮影)
698 SPHによる仮想環境用実時間流体シミュレータの構築と提供 川井 昌之 福井大学 坪内 彰 福井大学 本研究では、人と流体との実時間インターラクションが可能な流体計算ライブラリを構築し、WEB上で提供することを目的とする。人工現実感や水中ロボットの制御等に利用される実時間流体シミュレータのために、高速計算に向いているSPHを用いて、ある程度の精度を保ちつつユーザが容易に実時間で流体を組み込むことができる関数群を装備したC言語のライブラリを確立し、ユーザに提供していく。
699 熱滅菌型空気清浄化装置の除菌効率改善に向けた実証研究 岩崎 博道 福井大学 坪内 彰 福井大学 免疫機能の低下した患者が増加しており、無菌室設置など感染防御を目的とした環境整備が大きな課題となっている。本研究では加熱滅菌法(3Dヒーター)を改良し、空気中の全ての浮遊細菌を焼却・無菌化することに初めて着眼した空気清浄化装置の実用化を目指す。すでに本装置が真菌の除菌効率に優れていることは確認済みだが、細菌の除菌が十分ではなく、除菌効率を改善するため現有装置改良を進める。
700 放射線照射と生物化学的処理を組み合わせたエコフレンドリーな繊維加工技術 末 信一朗 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 現在、セルローストリアセテート(TCA)のような半合成繊維の風合いを得るための減量加工法については、生物化学的(酵素)処理法では処理時間や減量率などが問題となっている。そこで、生物化学的処理の前工程として、TCAへの電子線照射による低分子化などの表面改質による生物学的親和性の向上を検討すると共に、TCAの酵素分解の第一段階となるリパーゼへの遺伝子工学的手法による変異導入でTCAに対する活性付与を試みる。
701 アラミドロッドユニット筋を用いた高性能・高耐久住宅用布基礎の開発 磯 雅人 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 近年、性能設計の導入や住宅の品確法の施行により、高性能・高耐久な住宅用布基礎の開発が求められている。本研究では住宅用布基礎を高耐久化させるために、鉄筋の代替としてアラミドロッドを使用する。また、施工を合理化し、高精度とするため、アラミドロッドの主筋とせん断補強筋を工場でユニット化させる。以上、本研究では、住宅用布基礎の補強材となる「アラミドロッドユニット筋」を開発し、それらを住宅用布基礎に適用するための設計手法を開発する。
702 高速1段階多電子移動有機分子を応用した色素増感太陽電池の効率化 西海 豊彦 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 近年、性能設計の導入や住宅の品確法の施行により、高性能・高耐久な住宅用布基礎の開発が求められている。本研究では住宅用布基礎を高耐久化させるために、鉄筋の代替としてアラミドロッドを使用する。また、施工を合理化し、高精度とするため、アラミドロッドの主筋とせん断補強筋を工場でユニット化させる。以上、本研究では、住宅用布基礎の補強材となる「アラミドロッドユニット筋」を開発し、それらを住宅用布基礎に適用するための設計手法を開発する。
703 植物由来色素を用いた皮膚疾患治療薬の開発 吉井 裕 福井大学 蓑輪 泰造 福井大学 光線力学療法(Photodynamic therapy: PDT)は、光増感物質(PDT薬剤)を体内に投与し、これに光線を照射することで光毒性反応を誘発し表層性の悪性腫瘍や皮膚疾患を消失させるものである。現在、PDT薬剤としてポルフィリン類とその前駆物質が利用されているが、申請者らは植物から抽出される天然色素であるカロテノイドのPDT薬剤としての有用性を明らかにしてきた。本研究では、カロテノイドを用いたPDTの実用化を目指し、作用機序の解明および最適な投与方法の検討を行う。
704 中学校高等学校物理授業のための微小ビーズ実験装置の開発 石井 恭子 福井大学 坪内 彰 福井大学 福井大学教育地域科学部理数教育講座の香川喜一郎教授とともに、微小ビーズを使用した力学実験装置を開発した。この実験台は、平坦なガラス板の上に直径0.3mmの微小プラスチックビーズをまくことによって、摩擦が非常に小さくなり、従来は困難であった力学実験を手軽に行うことができる。大学におけるその学習効果が明らかとなったため、中学・高等学校の力学授業における先行実施を行い、その学習効果を調べるとともに、運搬や設置しやすく、授業で手軽に使用できる実験装置の開発を進める。
705 安全な情報の提供を可能にする認証付データ構造の開発 廣瀬 勝一 福井大学 坪内 彰 福井大学 情報の所有者が、多数の利用者による検索要求などに応えるため、複数の出版者に情報の複製を渡して利用者への情報の提供を依頼する状況を考える。このとき、出版者の不正によりデータが改ざんされ、利用者への情報提供に支障が生じないよう、所有者は何らかの方法により提供される情報の完全性を保証しなければならない。本研究は、利用者からの質問に対して、それに適合するデータを、改ざんされていないこと、すなわち、完全性を保証する証明をつけて提供することのできる認証付データ構造の開発を目的とする。
706 全人工膝関節置換術のための圧力センサ内蔵インサートの開発 長宗 高樹 福井大学 坪内 彰 福井大学 本研究は、全人工膝関節置換術における人工関節にかかる圧力分布を術中に計測できるシステムの開発を目的とする。人工膝関節置換術を行う際に、側副靭帯や関節包等の軟部組織による張力によって、膝関節のバランスに影響を与える。術者は軟部組織の切除によって、この内外のバランスを均等になるように調整するが、現状では医師の主観に頼っている。不適切な内外のバランスは変形性膝関節症を引き起こす。本研究では、この内外にかかる圧力を定量的に評価し、術中に医師にその指標を提供する事を目標とする。
707 美術品を守る3次元小型軽量免震装置の実用化 新谷 真功 福井大学 坪内 彰 福井大学 本研究では、貴重な美術品や国宝級の縄文式土器など壊れやすいものを地震から守るための3次元小型軽量免震装置を、摩擦力のコントロールにより実用化することを目的とする。具体的には、免震性能を上げる有効な摩擦力を解析モデルによって明らかにするとともに、円錐面台の軽量化、重心位置の低下、新たな圧縮ばねの製作等を行い、移動性や設置性に優れた安価な免震装置の開発・実証実験を行う。
708 キトサン系ナノファイバーを用いる床ずれ治癒用人工皮膚の開発 桜井 謙資 福井大学 坪内 彰 福井大学 新たに水溶性キトサン誘導体を合成し、キトサン(誘導体)/セリシン複合ナノファイバーを電界紡糸法により作製する。これを電子線照射等により架橋処理して複合ナノファイバーの新規ゲルを作製する。In vivo、 in vitro の両面からの研究、即ち、皮膚細胞培養と動物実験を行い新規ゲル作製条件の最適化を進め、床ずれ皮膚の正常皮膚への治癒性能を有するゲル状複合ナノファイバー型人工皮膚を創製する。

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 岐阜:50件  (JSTイノベーションプラザ東海)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
750 炭酸ガス排出抑制を特徴とするマイクロ波溶鉱炉の開発 佐藤 元泰 核融合科学研究所 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 在来の高炉の基本構造を踏襲しながら、(イ)エネルギー供給を、炭素の燃焼とその高温ガスではなくマイクロ波電力に置き換えることにより、(ロ)炭酸ガス排出量を半減し、(ハ)高純度銑鉄を連続的に生産できる効率の高いマイクロ波高炉を実証する。原料に強度を要求せず劣質原料を利用でき、また、操業の停止と開始が容易である。原子力や自然エネルギーによる電力を使用して、CO2排出を1/2にできる。現在の製鉄業が抱える問題を抜本的に解決し、基幹産業中の基幹産業である製鉄を脱炭素社会へ適合させる。
751 小型高性能モーター開発のための金属粉末マイクロ波磁気加熱の研究 田中 基彦 核融合科学研究所 佐藤 元泰 核融合科学研究所 マイクロ波の磁気成分は、磁性金属及びその酸化物粉末を、高いエネルギー効率で加熱し、焼結物は優れた連続非晶質(ナノドメイン構造)の素材特性をもつ。車載用モーターには小型・高性能化が要求されており、この素材を用いることで、従来の2倍の磁気特性が予想される。マイクロ波による磁気加熱の機構は代表研究者により解明されつつあるが、加熱電力吸収式の妥当性や種々の材料における加熱特性など、応用にとって必要なデータが欠如している。この研究課題では、マイクロ波磁気加熱特性のデータを実験により収得、その過程を分子動力学法などで理論的に解明し、連続非晶質を再現性よく安定的に作り出し将来の製品開発につなげる。
752 生体臓器移植における組織保存技術の開発 永井 慎 岐阜医療科学大学 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 臓器移植に際して、摘出した多くの臓器は、8時間以内に移植する事例が多く、遠方に臓器輸送することはほとんど無い。食品の高鮮度保持のために考案した加圧処理は、ラットの角膜、ニワトリ、魚筋肉において細胞死を無処理の筋肉よりも24時間近く延命できる。本課題では、ラットの肝臓、腎臓および培養細胞に加圧処理を応用することで臓器保存技術を確立し、最終的にはヒト生体臓器の保存および輸送を目指す。
753 形状異方性粒子を用いた鋳込み成形における配向制御技術の開発 伊藤 正剛 岐阜県セラミックス研究所 水野 正敏 岐阜県セラミックス研究所 石膏型などの多孔質型を用いた鋳込み成形は、寸法精度が悪いことが一つの問題になっている。不均一な充填密度分布や粒子配向構造により、焼成時における焼成収縮率の異方性を生じ、材料変形を引き起こす。特に、形状異方性をもつ粒子の鋳込み成形では粒子配向の影響が顕著に現れる。その結果、焼成体の厚さ方向の収縮率が中央部と縁部において大きな違いを生じ、焼成体の変形要因になっている。そこで、形状異方性の鋳込み成形において、成形体の厚さ方向の収縮率変動を低減させる粒子配向制御技術を開発する。
754 ポリマーブレンドによる染色可能な改質ポリプロピレン繊維の開発 林 浩司 岐阜県産業技術センター 梅村 澄夫 岐阜県産業技術センター 本研究では、ポリマーブレンド法によりPPを改質してPP繊維に染色性を付与する検討を行う。具体的には「PP(海成分)/染色可能な高分子(島成分)」において、最適な染色可能高分子を調査し、そして溶融紡糸時においてそのブレンド体の海島構造を制御する。この技術により、4大汎用樹脂の一つでありながら、ほとんど繊維素材としては利用されていなかったPP繊維について、一般衣料、スポーツ衣料、インテリア製品などへの応用が期待できる。
755 極低粗度銅箔を用いた高密着ポリイミド/銅界面の作製 浅倉 秀一 岐阜県産業技術センター 梅村 澄夫 岐阜県産業技術センター 銅箔/ポリイミドから成るプリント配線基板の配線の微細化と信号の高周波数化に対応するためには、銅箔表面の粗さを極めて小さくする必要があるが、その場合、ポリイミドとの接着強度が低くなるという問題がある。本研究では、銅箔表面にアニール処理によってナノ凹凸構造を作製し、さらにポリイミドと相互作用を持つ単分子膜で修飾することで、物理的アンカー効果と化学的作用によって、低粗度でかつ高密着性界面の実現を目指す。
756 細孔径分布推測による紙の品質管理技術に関する研究 河瀬 剛 岐阜県産業技術センター 梅村 澄夫 岐阜県産業技術センター フィルター・包装材等の細孔径(ミクロン単位の孔)の分布状況は、最終製品の性能に大きく影響を及ぼす。しかし、細孔径分布測定は装置が高額で作業が煩雑であるため中小企業では導入が難しく、通常行われていない。
そこで、本研究では、化学繊維からなる紙の細孔径分布が特定の孔径に集中する特徴を活かし、非接触センサから得た表面性状と細孔径分布の相関を蓄積したデータベースを基に細孔径分布を推測する手法を開発する。
757 牛肉の脂質評価法の開発と応用 田中 等幸 岐阜県情報技術研究所 稲葉 昭夫 岐阜県情報技術研究所 牛肉の品質評価は目視によって決定されるが、目視評価に加えて、おいしさの要因とされている脂質を評価することが求められている。現行の脂質評価は、理化学的検査によって行われているが、この方法は破壊試験であり、結果を得るために時間を要することから、枝肉市場への適用は困難である。そこで本研究では、牛肉の脂質の含有割合を非破壊かつ迅速に推定する手法を開発し、客観的な肉質の評価技術の確立に寄与する。
758 クリ殻を利用したキノコ栽培技術の開発 久田 善純 岐阜県森林研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 クリを原料とした菓子製造業において、その加工残渣としてクリ殻が大量に排出される。しかし、クリ殻は果肉カスがすぐ腐敗するため扱いにくく、大半は産業廃棄物として焼却処分され、その成分が有効に活用されていないのが現状である。このクリ殻は、乾燥して保存性を増し、適度な粒径に破砕することで新たな資源となる可能性があり、その成分を最も有効に活用する手法として、キノコの菌床栽培の材料として利用する技術を開発する。
759 花粉の少ないヒノキ品種(岐阜県産精英樹)培養苗の開発 茂木 靖和 岐阜県森林研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 スギ・ヒノキ花粉症対策の一つとして、花粉の発生を抑制する花粉の少ない品種の利用がある。県内では、形質、成長を基に選抜された林業経営上の優良個体(精英樹)の中で2個体が花粉の少ない品種に認定された。ヒノキのクローン増殖には挿し木、接ぎ木などがあるが、これらの技術では短期間に大量の苗を育成するのが難しい。このため、本課題では短期間に大量の苗育成が可能な茎頂培養で、花粉の少ないヒノキ品種の培養苗を開発する。
760 キノコ菌床栽培におけるオガコの判別システムの開発 上辻 久敏 岐阜県森林研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 国産キノコの需要拡大で栽培用の菌床に用いられるオガコの需要も伸びている。キノコとオガコには相性があり、安定生産には基材となるオガコの選択が重要である。しかし、オガコ製造現場とキノコ栽培業者の間で、どのような基材が求められているのかについて統一された評価基準がない。本課題では岐阜県下で生産量の多いシイタケ等のキノコ栽培に使用されるオガコの適否を低コストで簡易に評価する判別システムを開発する。
761 座り心地予測に特化した人体モデルの開発と応用 藤巻 吾朗 岐阜県生活技術研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 家具製造業において、椅子の座り心地は製品の価値を決めるものである。従来、椅子の座り心地は職人の勘や経験に頼られていたが、職人数の減少や試作のコスト、開発にかかる期間の短縮などの理由から、座り心地を科学的に分析し、試作前段階での椅子の座り心地評価や設計へフィードバックする技術が必要となっている。そこで本研究では、その技術基盤として、着座条件に応じて姿勢や体表面の形状が変化する人体モデルの開発を行う。
762 抗原リポソームを生産するカイコ形質転換細胞を利用した淡水魚ワクチンの開発 河村 敏 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 淡水サケ科魚類養殖業は、伝染性造血器壊死症(IHN)より大きな被害を受けているが、実用的なワクチン開発には未だ成功していない。一方、これまでの関連研究において、トランスポゾンベクターによる昆虫形質転換細胞を利用してIHN抗原蛋白質(IHNV-G)を細胞膜上に過剰生産することが可能となった。そこで、この技術を基盤にIHNV-Gとマトリックス(IHNV-M)の同時発現を行い、細胞膜上のIHNV-Gをリポソームとして出芽させて抗原リポソームを調製し、実用的有効性を有するIHNワクチンの持続生産技術を開発する。
763 効率的突然変異育種による優良変異系統の作出 小枝 剛 岐阜県生物工学研究所 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 岐阜県の鉢花は販売単価の低下により、経営が非常に厳しい状況に置かれている。こうした中、鉢花生産者からは、葉形・葉色および花色等に新しい特徴を持つ、これまでにない形質を持った新品種の育成が求められている。そこで、鉢花であるフランネルフラワー、スパティフィラムおよびシクラメンの組織培養物(カルス)に重イオンビームを照射し、作出した突然変異体の特徴および変異形質の安定性を把握するとともに突然変異系統から新品種候補となる優良系統を選抜する。
764 イチゴ萎黄病を抑制する新規微生物資材の開発 堀之内 勇人 岐阜県農業技術センター 前田 喜朗 独立行政法人科学技術振興機構 イチゴ萎黄病は全国の産地で発生し、発病株は枯死するため最も甚大な被害を及ぼす病害である。対策は、栽培現場では農薬の利用が挙げられるが、今後安心安全な農業生産を継続するには、環境負荷の少ない効果的な微生物防除資材の開発が必要不可欠である。そこで、萎黄病の防除に有効な新規の微生物資材を開発するために、有用微生物のイチゴへの定着性を高く確保させることを目的とした研究である。
765 メタノール排水に適用可能な新規メタン発酵処理法の開発 角野 晴彦 岐阜工業高等専門学校 杉山 正晴 岐阜工業高等専門学校 メタノールは、パルプ製造排水に代表される各種の工業排水に含まれている。省・創エネルギー型である既存のメタン発酵処理法によって、メタノール排水を処理した場合、性能発揮の鍵である自己凝集型微生物集塊体(グラニュール)の形成・維持が困難である。そこで、このような問題点を回避できる新たな微生物の集塊法および利用法が必要と考え、メタン発酵型散水ろ床を開発した。本研究では、開発したろ床の連続処理特性と生物学的指標を実験的に明らかにする。
766 ボルト締結体の緩み評価診断を目的としたスマートワッシャの開発 奥川 雅之 愛知工業大学 杉山 正晴 岐阜工業高等専門学校 現在、ボルト締結部の緩み評価および診断は、検査者が計測器を使いボルト毎に実施されている。しかし、人件費や効率的な問題からほとんど行われていない。本課題の目的は、自己励振および自己測定が可能な知的化されたワッシャによるボルト締結部の緩み評価診断の実現である。具体的には、実環境実験を通して、緩み検知感度の向上や汎用性、耐環境・耐久性等を評価し、実用化技術の確立を目指す。
767 ラジカル反応制御による無触媒亜酸化窒素分解装置の開発 神原 信志 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 下水処理プロセス(ばっき槽)から排出されるガスは、亜酸化窒素(N2O)を含んでいる。N2Oは温暖化係数310の温室効果ガスであるため、その分解法の開発は急務の課題である。本研究は、大気圧非平衡プラズマによる電離およびラジカル反応の制御によって、大気温度かつ無触媒で効率良くN2Oを分解・還元する反応装置の開発を行う。本研究では、その反応条件を探索し、実用化装置設計のための定量的指針を得ることを目標とする。
768 プロジェクタによる虚像ウィンドウ 木島 竜吾 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 実像を投影するプロジェクタを用い、再帰透過光学素子を組み合わせることで、実像を虚像に転換することができる。本課題の目的は、再帰透過素子を用いて、駅等のウィンドウディスプレイ等に供すべく、ウィンドウの向こうは狭いにも関わらず、ウィンドウの向こうに仮想的に広い世界が広がっているように見え、かつ、ユーザ側になんの制約や装置も付けずに、ある領域に視点がある時だけ画像が現れるディスプレイを構成することである。
769 プリオンタンパク質を標的とする抗アルツハイマー病薬の開発 桑田 一夫 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 アルツハイマー病において脳に蓄積するアミロイドβオリゴマーは、細胞表面のプリオンタンパク質に結合し、プリオンの立体構造を変えることにより、細胞に対する毒性を発揮する。代表研究者が開発した抗プリオン化合物は、プリオンに特異的に作用し、プリオンの立体構造を制御できるため、アルツハイマー病に対しても有効である可能性が高い。これら抗プリオン化合物のアルツハイマー病に対する治療効果を、試験管レベル、および動物実験レベルで検証することにより、新規アルツハイマー病治療薬のシーズ開発につなげる。
770 単分散水中油滴型エマルションを用いた氷結晶成長の制御 岩本 悟志 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 食品の冷凍時における氷の結晶成長は、食品の微細構造を破壊し品質劣化に繋がる。氷の結晶成長と周囲の水との関係が明らかになれば、品質劣化の少ない効率的な食品の冷凍方法が提案できる。本研究では、マイクロメートルオーダーで液滴径の揃った水滴が作製できるマイクロチャネル(MC)乳化法を用いて、油中水滴型エマルションを作製し、大きさが制御された水滴内での水の凝固を熱分析手法で詳細に測定し、水滴の大きさと水の過冷却状態について、詳細な検討を行う。
771 市町村レベルの詳細地震被害想定システムの開発 久世 益充 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 将来発生する地震を想定し、その被害程度を予測するには、想定地震の選定、地域の表層地盤データベースの整備、地震動のシミュレーション、各種被害の予測など、多くの作業が必要である。さらに、防災担当者や地域住民が有用な情報となるよう、想定結果に避難所などの情報を加えた地震防災マップを作成する必要がある。そこで市町村レベルの詳細な地震防災マップの作成を目的に、地域の基礎的な情報のデータベース化と、シミュレーションやマップ表示が可能なシステム開発を行うものである。
772 FSSW用渦溝ツールの実用化と高強度Mg-Feスポット重ね継手の開発 植松 美彦 岐阜大学 安井 秀夫 岐阜大学 摩擦攪拌スポット接合(FSSW)では通常プローブのある汎用ツールを用いるが、プローブの代わりにショルダー面に施す特殊形状で塑性流動を発生させることで、プローブ穴の残らない接合手法を実用化する。また、同ツールを用いてマグネシウム(Mg)合金と鉄(Fe)系合金の高強度異種金属スポット重ね継手を開発する。異種金属継手で、一般的なアルミニウム(Al)合金同士の同種金属継手と同レベルの静的強度と疲労強度を達成する。
773 高与圧かつ高可動性を有する宇宙服要素の開発と検証 田中 邦彦 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 通常我々は1気圧下で生活しているが現在の船外活動用宇宙服(以下、宇宙服)は膨張による可動性低下を極力避けるため、内圧を約0.3気圧としている。この低圧曝露に伴う減圧症予防のため、作業前に長時間の予備呼吸を必要とする。本研究では伸縮性素材を使用することで0.6気圧以上の与圧でも可動性を確保し、減圧症の予防、予備呼吸時間短縮を目的とする。まず、活動に最も重要なグローブ・スリーブを作成し、耐圧性を確認の後、可動性、巧緻性などを生理学的・人間工学的に検証し、その有用性、改善点などを明らかにする。
774 免疫アレルギー疾患治療を目指した可溶性ヒトインターロイキン受容体の大量生産法の構築 木村 豪 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 インターロイキン18(IL-18)は、ヒトの免疫異常疾患、アレルギー疾患等の悪化因子として注目されている。本研究ではIL-18の制御法の開発を目指し、IL-18阻害機能を持った生物学的製剤の開発を行う。2種の可溶性蛋白によるIL-18阻害作用を利用した創薬を目指す。実用化を視野に入れ、可溶性蛋白の大量生産方法の確立、及びその機能評価、蛋白立体構造解析を行う。
775 効率的縮合反応による疎水化技術の開発 小村 賢一 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 代表研究者は、長鎖脂肪酸に対する直接的エステル化やアミド化反応において、塩化第二鉄六水和物に代表される金属塩が非常に有用な触媒であることを見出しており、クリーンなプロセスへの転換が期待される技術として研究を行っている。本研究課題としては、親水性化合物に対して長鎖脂肪酸や長鎖アルコールを導入する疎水化に焦点を絞り、本技術を応用した新しい合成手法の提案を目指す。また同時に、芳香族溶媒を使用しない環境負担性を低減した合成プロセスの開発を目的とする。
776 新規神経保護化合物フェニルチオシクロペンテノンの開発と応用 平田 洋子 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 神経の生存・維持に重要な役割を果たす神経栄養因子はペプチド性であり、通常の末梢投与では脳への移行性は著しく低くその投与方法は脳内投与に限定される。このため、血液脳関門を通過しやすく神経栄養因子産生促進効果の高い低分子フェニルチオシクロペンテノン化合物の開発が望まれている。本研究では、動物病態モデルにおける化合物の末梢投与による有効性を検証し、脳内で神経栄養因子産生促進効果を示し、血液脳関門透過性を確認する。今後、化合物の構造修飾・最適化を行う事により、バイオアベイラビリティーの高い化合物を創製し、神経変性疾患の治療薬に向けた薬剤候補化合物の創製をめざす。
777 獣毛由来タンパク質解析による獣毛製品品質鑑定法の開発 大野 敏 岐阜大学 丸井 肇 岐阜大学 近年、獣毛繊維製品の品質表示偽装が相次いで発覚している。本研究に於いては、製品としてよく用いられているカシミヤ(ヤギ毛)やウール(ヒツジ毛)、そしてカシミヤへの混入が疑われるヤク毛の3種について毛由来タンパク質を回収し、網羅的に解析する事で基準データを作成する。これを基に製品に用いられている獣毛がどの動物に由来するのかを判別する手法の開発を行う。
778 土構造物(補強土)と杭基礎との新たなハイブリッド構造の開発と応用 原 隆史 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究は、防災対策として用いられる補強土擁壁へ杭基礎を適用し、水平抵抗を増加することにより、さらに合理的な補強土擁壁の実現を目的とする。具体的には、杭基礎を用いることで斜面といった狭小地でも施工可能な補強土擁壁の実用化を目指し、実験でその有効性や実用性を確認し設計法を策定する。すなわち、本研究では合理的な補強土擁壁の実現から、合理的な防災対策の実現へ貢献することを目標とする。
今年度は、実験を主体とした研究を行い、設計法の素案を提案する。
779 広色域で発光色を変えられる有機化合物の開発 坂尻 浩一 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本課題では、単一分子のみで広い可視域にわたって発光色を制御することができる有機化合物を開発する。当該化合物は媒体に応じて超構造を変化させることにより、様々な発光色を呈するので、電子デバイス製造のコスト削減やプロセスの簡略化などに有効であり、また新しい機構のデバイスを出現させ得る。具体的には、適当な置換基を導入したスター型フェニレンエチニレンの超構造と発光色の媒体依存性を検討し、最適な分子構造を見出す。
780 インドリン色素の高度な配列制御による色素増感太陽電池の高性能化 松居 正樹 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 酸化亜鉛を半導体基板とした色素増感太陽電池用インドリン色素の配列を制御して変換効率8% (現在は6.24%)を達成する。有機色素のうちで最も変換効率の高いダブルロダニンインドリン色素 (D149)は、インドリン部位に2箇所の不斉中心を有する。そのため、半導体基板上での配列はラセミ対を形成すると考えられ、この相互作用が励起状態を消光し、変換効率を低下させる。この欠点を打破するため、色素の合成過程で光学分割したエナンチオマーのみを用い、半導体基板上での色素の配列を飛躍的に向上させる。
781 色素増感太陽電池用ピロメテン系近赤外増感色素の開発 窪田 裕大 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 石油資源枯渇や環境問題の観点から、再生可能でクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目されている。色素増感太陽電池は現在主流となっているシリコン系太陽電池に比べ、製造コストが安いという利点がある。しかしながら、色素増感太陽電池の研究において、近赤外領域の光を高効率で電流へ変換できる増感剤は未だ見出されていないのが現状である。本研究では、DFT計算により近赤外領域に高い増感作用を持つことが期待されるピロメテン色素の開発を行う。
782 新規な分離機構に基づく高機能イオンクロマトグラフ法の確立 竹内 豊英 岐阜大学 荒賀 年美 岐阜大学 本研究では、独自のポリオキシエチレン系陰イオン交換カラムの調製条件を最適化し、新規な分離システムに基づいたイオンクロマトグラフ(IC)法を確立する。本ポリオキシエチレン系充填剤は本課題の陰イオンのクロマト分離だけでなく、溶離液を変えることにより、親水性相互作用あるいは疎水性相互作用に基づいた分離モードの選択が可能であり、将来的には従来にない多機能な分離・分析装置への発展の可能性がある。
783 耐酸性貴金属イオン捕捉剤の開発 村井 利昭 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 Rh、Pd、Ptなどの貴金属を回収、再利用できるシステムの開発は、これらの資源を持たない我が国にとっては重要な研究課題の一つである。しかし自動車廃材などには、鉄などの卑金属が主に含まれ、多くの金属が使われており、これらの混合物から選択的にある特定の金属のみを捕捉する新しい方法の開発が急務である。そこでこれら自動車用触媒に用いられる金属を酸性条件下、上述貴金属イオン捕捉剤の開発を行う。
784 硫酸化構造特異的グリコサミノグリカン糖鎖結合分子プローブの開発 矢部 富雄 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 グリコサミノグリカン糖鎖は、動物細胞表面に広く存在し、分子内への複雑な硫酸基付加により多様な構造を形成して、細胞の機能調節に重要な役割を担っている。しかし、糖鎖構造の可視化が困難なことから、糖鎖を介した調節機構には不明な点が多い。そこで本研究課題では、組織中の細胞表面の糖鎖構造の変化をダイレクトに可視化するために、グリコサミノグリカン糖鎖の硫酸化構造を特異的に識別する分子プローブを開発する。
785 種特異的組換え抗原による旋毛虫感染の血清学的検査法の開発 長野 功 岐阜大学 小田 博久 岐阜大学 旋毛虫症はアジア、ヨーロッパ諸国において、再興感染症として注目される感染症の一つである。今回代表研究者は、抗体検査により感染旋毛虫の種を特定し、かつ旋毛虫感染の早期診断を行うことができる有用な方法の検討を行う。すなわち、旋毛虫が分泌する特有の蛋白である53kDa蛋白を旋毛虫血清診断法のELISA用抗原として用い、特異性、早期診断の可能性について検討を行い、診断法として確立し実用化させることを目的とする。
786 環境モニタ用小型アイセーフレーザー・レーダーの開発 吉田 弘樹 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 代表研究者らの培ってきたレーザー装置およびレーザー・レーダーの技術をベースにした応用研究である。先ず、可視領域外の小型レーザーと受光装置を組み合わせ、小型のアイセーフレーザー・レーダーとしての基本性能を評価する。次に、環境モニター用にエアロゾルやガスの測定に特化する。そして、得られた知見に基づいて小型で低価なシステムの検討と設計を行う。以上を通して、ポータブルで安全な作業者を選ばない普及タイプのレーザー・レーダーを提案する。
787 地盤振動の検知による落石検知システムの開発 馬 貴臣 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 斜面災害のうち、落石災害は突発的かつ高確率であり、時によって2次災害も伴う。落石災害を最小限に抑えるには落石検知システムの研究と開発は必要不可欠である。本研究は、落石が地盤に衝突した時の地盤振動を加速度センサーで検知する落石検知システムを開発することを目標とする。そこで、高精度地震計を用いた現場実験を実施し、落石の衝突による地盤衝動及び様々な雑振動を同時に計測し、各種振動の振動特性の解析により落石時の地盤振動の振動特性を抽出する。これに基づいて、落石時の地盤振動のみを検知する安価な加速度センサーを開発する。
788 赤色発光ダイオード電球の電照菊栽培への適用技術開発 福井 博一 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 キクなどの花芽分化抑制に使用されている白熱電球が地球温暖化対策から製造販売中止となった。植物の花芽抑制に関係する660nmの波長の光を発するLEDが開発され始めており、本研究では電照栽培用白熱電球代替光源として注目した。本研究ではキクを供試材料とし、花芽分化抑制効果を持つ660nmの最低光強度を明らかにするとともに、品種間差異について検討を行う。また、圃場試験用の実証型LED光源を用いて、圃場における実証データを収集する。
789 Zero Moment Pointフィードバックに基づく適応的坂道歩行の運動制御技術開発 伊藤 聡 岐阜大学 竹内 正治 岐阜大学 移動形態の一つ「二足歩行」を対象とし、環境変化の影響を受けない適応的な歩行の運動計画・制御法の提案と、その実現による移動機械の普及を目的とする。基本的アイディアはZMP(Zero Moment Point)の目標軌道の普遍性と、そのフィードバック制御による平衡維持にある。歩行時に床面傾斜角度が変化しても複雑な軌道の再計画なしで歩行運動が継続できるような制御方法の確立とその有効性の実験的確認を目標とする。
790 シアリダーゼ選択的阻害剤の開発と応用 石田 秀治 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 ヒト由来シアリダーゼには4種のイソ体が存在し、それぞれ特定の疾患との関連が示されている。本研究では、選択的なシアリダーゼ阻害剤を開発し、ガン、糖尿病、心疾患などの治療薬への応用を目指す。シアリダーゼはインフルエンザの宿主への感染にも関与しており、インフルエンザ感染治療薬への応用も期待される。ヒトシアリダーゼのスクリーニングにおける負の結果は、インフルエンザ治療薬としては副作用が低いことを意味し、興味深い。
791 ハイスループットな絶対嫌気性微生物の分離培養技術の開発 中村 浩平 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 地球上の広大な嫌気環境には、多くは機能未知の難培養嫌気性微生物が存在する。特にメタン菌や硫酸還元菌といった絶対嫌気性微生物は、非常に重要な役割を担う微生物種であるため培養技術が必要とされている。しかし、これらの純粋培養には熟練と手間を要し、絶対嫌気性微生物に関する研究は困難である。一方、応募者が開発した平板培養法は容易な絶対嫌気性微生物の分離培養法であり、ハイスループットな分離培養技術としての可能性を有する。本研究では、平板培養法を詳細に再評価し、絶対嫌気性微生物の分離用レディーメードキットの開発に向けた基礎的研究を行う。
792 絶滅危惧動物の保全活動を支える繁殖状態判定キットの開発 楠田 哲士 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 ネコ科、クマ科、イヌ科の絶滅危惧種の排泄物を利用し、動物に侵襲性のない方法で、現場で使える簡易な排卵・妊娠ホルモンを検出するキットを開発する。排卵・妊娠の指標としてプロゲステロン、妊娠特異的指標としてリラキシンを検出することで、確実な排卵・妊娠判定を可能とする。本キットの製品化により、絶滅危惧動物の飼育下繁殖計画(生息域外保全)と野外での繁殖生態調査・保護活動(生息域内保全)の推進を図る。
793 実用的な外出時の服装に関する生活気象情報提供システムの開発 石井 仁 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 生活に根ざした気象情報として外出時の服装に関する情報を提供することは、健康な生活を送るうえで有用である。そのためには人間と屋外環境との熱収支に関与する都市気候特性を考慮して情報を数量化することが不可欠である。そこで本課題は、実用的な外出時の服装に関する生活気象情報を提供することを目指し、都市気候の実測結果から気候特性を分析して都市密度による類型化を行い、それらを考慮したアルゴリズムを構築する。
794 デマンド応答型交通システム導入計画支援システムの開発 倉内 文孝 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 移動需要の薄い地域には、デマンド応答型交通システム(DRT)が低運行コストでサービス可能ということで注目されているが、思ったよりコスト削減が図れないなど課題も多い。本研究においてはDRT導入検討を事前に検討可能とするための導入計画支援システムの開発を試みる。GISを活用し、地域の人口や年齢分布、公的施設の位置などの社会経済指標をインプットとし、所与の運行条件を指定することで利便性やその効果を試算できるシステムの構築をめざす。
795 ダイズイソフラボン分解菌のゲノム解析とO-DMA高生産株の開発 鈴木 徹 岐阜大学 馬場 大輔 岐阜大学 ダイズなどに含まれるイソフラボノイドは、女性ホルモン(エストロゲン)様活性を持ち更年期障害や前立腺がんを抑えることから大変注目されている。しかしこれは腸内細菌により分解されe-quolやO-DMAに変換される。代表研究者はこれらの変換に関与する微生物をヒト腸内から分離している。本研究ではこれまで報告の無いO-DMA産生菌(Clostridium SY7918株,新属)についてゲノム解析を行いO-DMA生産に関わる遺伝子群の解明とそれを用いたO-DMAの大量生産系の構築を目指す。O-DMAは、エストロゲンのアゴニストとしての作用が期待されており、今後サプリメントや医薬品への応用が期待されるが現在天然品は入手困難である。これらの用途開発に使用できる量の生産系の構築を目指す。
796 膜流動性を保持したタンパク質固定化技術を用いた標的抗原検出技術の開発 近藤 伸一 岐阜薬科大学 羽田野 泰彦 (財)名古屋産業科学研究所 代表研究者はプレート等の基板上にリン脂質膜を形成させ、基板上に酵素、抗体等を流動性を保持した状態で固定化する方法を開発した。本研究は、高分子基材表面に構築したリン脂質膜の上に異なる蛍光標識をした2種類の捕捉抗体(1次抗体と2次抗体)を結合させ、標的抗原を2種類の抗体で捕捉し、抗体の蛍光標識部位間での蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により、ワンステップで抗原を検出・定量する技術の開発を目指すものである。
797 効率的H−D交換反応の開発と機能性重水素標識化合物の合成 佐治木 弘尚 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 重水を重水素源とするPd/C触媒・加熱条件下における芳香族アルキル化合物や芳香環等の多重重水素標識法では、穏和な条件下、芳香族化合物への重水素導入が可能である。本反応は当初、分子内に芳香環を持つ基質にのみ適用可能であると考えられていたが、今回触媒を詳細に吟味することで、活性官能基を持たない脂肪族アルカンのすべての水素原子(C-Hが全てC-Dに変換する)並びに脂肪族アルコールのα位のみを選択的に重水素化できることを併せて見いだした。本研究ではこれらの反応を一般性ある重水素標識化法として確立するとともに、社会が必要とする重水素標識体の合成を鋭意検討する。
798 固体を混合するだけで進行する無溶媒鈴木−宮浦反応 門口 泰也 岐阜薬科大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 廃溶媒を出さない無溶媒条件下での工業プロセスの構築は経済性や環境調和の観点から望まれている。最近、全く液体を使用しない、固体(基質)−固体(触媒)−固体(塩基)の組み合わせで鈴木−宮浦反応が進行することを見出した。鈴木−宮浦反応は医薬品など生物活性物質や液晶材料等機能性材料の部分構造であるビアリール骨格の構築に不可欠な反応である。本助成研究では固相鈴木−宮浦反応を一般法として確立し、工業的プロセスの構築を目指す。
799 木をテンプレートとした新規多孔体セラミックス複合材料の開発 安達 信泰 名古屋工業大学 箕浦 秀樹 (財)岐阜県研究開発財団 本研究では、木をテンプレートとして得られたセラミックス多孔体の1次元細孔に有機物や他の機能を有するセラミックスを充填、あるいはコーティングすることにより、新たな複合機能材料を開発することを目的とする。具体的には、多孔体フェライト磁性体の1次元細孔に誘電体有機物を充填した磁性−誘電体材料を作製し、磁性と誘電性の評価を行う。また、異なる電磁波吸収特性を持つ磁性体を充填して、ブロードバンドに対応した電磁波吸収材としての可能性を評価する。

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 静岡:21件  (JSTイノベーションサテライト静岡)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
800 トマトの茎液流計測センサの開発 長澤 正氏 沼津工業高等専門学校 伊藤 悟 静岡大学 本課題では、トマトのような細い茎をもつ植物の茎を流れる液流を直接計測するセンサを開発する。近年、容易に入手できるようになった薄膜式白金測温抵抗体をこのセンサに応用し、低価格で取り扱いが容易なうえに長期間安定して動作するセンサを実現する。また、低価格化と利便性の向上のために、計測値を流量に換算するマイクロプロセッサを搭載した計測回路を実現する。本センサによりリアルタイムでの自動潅水制御の実現につながる。
801 炭酸ガスレーザーによるアラミド繊維の染色 三浦 清 静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター 磯部 賢二 静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター 本技術は、材料の性質上染色が困難なアラミド繊維の染色に、レーザーによる急速加熱によりプリントした染料を拡散させて繊維の染色を行う方法である。これまで、半導体レーザーと、赤外光吸収性のある染料の組み合わせで染色してきたが、本提案では、繊維そのものに吸収能のある炭酸ガスレーザーを用いることで、より多様な染色を可能にするものである。
802 固定化オキソ金属触媒の開発と酵素触媒動的光学分割への応用 赤井 周司 静岡県立大学 鈴木 次郎 静岡県立大学 アリルアルコールの水酸基1,3-転位反応とラセミ化を高速に進行させる新規な固定化オキソ金属触媒を開発する。本触媒と加水分解酵素を併用することで、ラセミ体アリルアルコール類の実用的な動的光学分割法を開発する。本法によって、医農薬や香料の合成中間体として重要な光学活性アリルエステルを効率良く合成する。また、工業化に向けたスケールアップ検討も行う。
803 音声セグメントを用いた発音訓練技術の開発 松浦 博 静岡県立大学 鈴木 次郎 静岡県立大学 本研究は代表研究者が開発した音声セグメントラベル抽出技術を活用した発音訓練技術によって、日本語学習者の発音能力の向上に貢献すること、さらに心地よい日本語の発音を守るための一助となることを目的とする。主な実施内容は学習者の発音を評価し問題点を系統的に把握し、発音訓練技術として確立することである。終了時には本訓練技術による発音訓練ソフトウェアを完成させ事業化のためのプロトタイプとすることを目標とする。
804 ガン細胞の増殖を抑える食品のためのペプチドの開発 大吉 崇文 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 本研究は、ガン細胞の増殖抑制効果を示すペプチドの開発に関するものである。テロメア伸長やガン遺伝子の発現を抑えることができれば、ガン細胞の増殖抑制効果が得られると考えられている。すなわちテロメアやガン遺伝子の一部が形成するグアニン四重鎖核酸に結合する分子は、ガン細胞の増殖を抑制ことが期待できる。ガン細胞の増殖抑制効果を示すペプチドの開発と、そのペプチドを含む食品開発を目指し、医薬品への開発の可能性も探る。
805 キノコから見出された植物生長調節物質のコメ栽培への応用展開 河岸 洋和 静岡大学 粟田 正志 静岡大学 食用キノコであるコムラサキシメジの培養液から芝の生長を促す物質が単離され、2-azahypoxanthine(AHX)と同定された。AHXは,芝だけでなく、多くの植物の成長を制御することが判明した。本研究では、AHXの農業への応用の可能性を探る第一歩として、コメ収量に及ぼす効果を詳細(施用時期、濃度など)に検討し、米作における実用性を評価する。
806 人工内耳の音声変換プロセッサの調整方法の開発と応用 北澤 茂良 静岡大学 伊藤 悟 静岡大学 聴力を失った患者の蝸牛内に電極を埋めこみ、体外の音声変換プロセッサより電極刺激信号を送ることによって聴力回復する医療機器である人工内耳システムについて、音声処理方式(CSPE )によるプロセッサの調整法を応用するものである。これにより自然な音声として聴き取れることで、人工内耳の聴取精度と装着感の改善を図る。
807 π共役有機半導体による単一光子発生器の開発 阪東 一毅 静岡大学 伊藤 悟 静岡大学 光子には相互作用がないため、長距離を伝播しても量子状態が保持されやすく、量子情報通信に適している。特に光子で量子もつれ状態を生成し、原理的に盗聴不可能な量子暗号通信技術がすでに実証されてきている。これには単一光子発生技術が必要であるが、現在研究開発が主流となっている無機半導体に比較し有機材料で実現された場合、材料設計の自由度・簡易な製造工程・材料のフレキシブル性など、アドバンテージは極めて大きい。このような有機半導体材料による単一光子発生器を実現する。
808 位相分解蛍光寿命測定法を用いたイオン濃度定量測定法の開発 居波 渉 静岡大学 伊藤 悟 静岡大学 本技術は、位相分解蛍光寿命測定の細胞内イオン濃度の定量測定への応用である。細胞の特定部位をイオン濃度感受性の蛍光色素で標識し、その蛍光寿命を測定する。そして、その蛍光寿命からイオン濃度を求める。蛍光寿命の測定には、位相分解蛍光寿命測定を用いる。この手法によるイオン濃度測定の特徴は、非侵襲、短い測定時間、高い定量性である。イオン濃度は、神経細胞のシグナル伝達に関わっており非常に重要である。そのため、共焦点レーザー顕微鏡に本技術を導入すれば、生体細胞のカルシウムイオン濃度の三次元分布測定が可能となる。
809 開口共用簡易適応アンテナの開発 桑原 義彦 静岡大学 出崎 一石 静岡大学 本研究では移動通信環境で高品質な通信を実現するためのスマートな車載用アンテナを開発する。車のデザインを損なわないようリアデフォッガを開口共用のアレーアンテナとして利用するためのアンテナ形状と給電法を検討する。そして走行環境に適した可変指向性を形成する機能を与える。送受信機への出力は1チャネルとし、同軸ケーブルの使用数減により高信頼性と低コストを実現する。
810 音による液滴搬送・混合技術を利用したマイクロ実験室の開発 近藤 淳 静岡大学 出崎 一石 静岡大学 本研究では,センサ基板/マッチング層/圧電結晶からなる3層構造デバイスを開発し、センサ基板を使い捨てとする新しい構造のマイクロ実験室の実現を目指す。具体的には、 3層構造内の伝搬モード解析と構造・材料の最適化、本構造に適した光センサの開発を行う。
811 低コスト心電R-R間隔遠隔計測システムの開発 山川 俊貴 静岡大学 神谷 直慈 静岡大学 本研究では、ヒトの心電からR波成分を抽出し無線で外部へと送信する機能をもったテレメータの開発を行う。R-R間隔データを長期的に計測し心拍数の異常な変化をいち早く察知することで、乳幼児突然死症候群や急性心不全などの予測不能な突発性心停止の予知が可能となる。このような機器を安価に実用化することで、在宅介護やリハビリの現場への導入を促し、介護コストの低減と健康管理や生活の質の向上に役立てる。
812 野外環境下における生きた微生物検出用フィールド蛍光顕微鏡の開発 宮川 厚夫 静岡大学 神谷 直慈 静岡大学 地下、海底熱水系、深海底など極限環境にも多種類の微生物が生存し、メタンの生成やCO2循環等に関与して地球環境に大きな影響を及ぼしていると予想されている。蛍光顕微鏡では、これらの微生物群を迅速に高感度で検出できる能力が高いが、この目的に十分利用できるフィールド蛍光顕微鏡はない。以前、試作したフィールド蛍光顕微鏡について、検出感度・耐衝撃性・操作性に対する不具合を改善させ、実用機の開発につなげる。
813 キレ−トシュガ−による新規栄養機能食品・医薬品素材の開発 村田 健臣 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 研究シーズである高いミネラル結合能を有するキレートシュガーを活用し、食品・医薬品素材の開発を目的としたものである。このキレートシュガーは、天然糖質素材を原料とし簡便な酵素反応による合成が可能であることから、安全性や生産効率等の面から極めて実用性の高い素材である。本研究では、キレートシュガーの大量合成および各種ミネラルとのキレート形成能の評価を行い、実用化研究を行うものである。
814 紫外域にシャ−プな吸収特性をもつ有機系光分解性材料の開発 坂本 健吉 静岡大学 杉山 登英 静岡大学 本研究は、類例が無いほどシャープな吸光特性と光分解性を持つ新規なケイ素系材料について、ナノサイズ光加工性材料としての可能性を検討する。本材料は、ケイ素原子を鎖状に連結させたオリゴシランが基礎的な骨格であり、ケイ素鎖に導入した置換基の効果により多数の分子鎖を集積配列させて、極めて狭い吸収波長特性を発現させる。また、吸収波長を分子の構造制御でシフトさせることができる点も特徴的である。
815 果実の硬度の非接触低侵襲測定法の実用化 犬塚 博 静岡大学 斉藤 久男 静岡大学 近年、果実は甘さよる選別が行われ初めているが、林檎・梨等では、多くの消費者に硬い果実が好まれておりその選別も実施したい。しかし、既存の硬度測定法は、果実を損傷するか、精度が十分でなくほとんど実用にならなかった。そこで、圧縮空気とレーザ非接触距離センサを組み合わせた手法で、果実の硬さ測定のスタンダードである接触針による硬度計による測定と同程度の精度の非接触・低侵襲の果実の硬さの測定法を実現する。
816 パラレルメカニズムを用いた小形光学顕微鏡システム用駆動装置の開発 大岩 孝彰 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 焦点調整機能と標本移動機能を小型化して対物レンズに組み込んだ小形顕微鏡システムを成立させるため、標本移動機能としてZ方向に垂直な2方向(X・Y方向)の合計3自由度並進運動が可能な小形で低振動なXYZ微動機構を研究開発する.具体的には平行リンクを3組用いた3自由度パラレルメカニズムを開発する.またこのメカニズム用のアクチュエータとして,小形ボイスコイルモータの変位を変位縮小する方式のインチワーム機構を開発する。
817 焼入部品のX線非破壊硬さ検査のための評価基準データベース化技術の開発 坂井田 喜久 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 焼入れ部品の硬化状態をインラインで検査できることを目的に、X線による非破壊硬さ検査の実用化に不可欠な「評価基準データベース化技術」を確立させるため、合格品のデータ取得を処理条件毎に高効率かつ高精度に取得する手法を検討し、計測点の高精度位置決めを可能とする共通治具の具体化を図る。
818 レーザーアニール低温結晶化技術による高性能フレキシブル圧電体フィルムの開発 脇谷 尚樹 静岡大学 藤田 武男 静岡大学 研究者がこれまで開発してきたRFマグネトロンスパッタリング法による300℃以下におけるPtおよびLaNiO3酸化物電極の結晶化技術と、エキシマレーザー照射を用いたレーザーアニール法を組み合わせることにより、300℃以下での圧電体(PZT)薄膜の結晶化技術を応用し、300℃以下の温度で耐熱性を有するポリイミドフィルム上にこれらの材料を制膜することにより、フレキシブル素子としての機能を実証するものである。
819 ZnO量子ドット薄膜を安価でかつ大量に作製する新規プロセスの開発 小林 健吉郎 静岡大学 鈴木 孝典 静岡大学 本研究は、ZnOの気相薄膜堆積プロセスにおいて、基材となる有機物の特異吸着により形成される多数のZnOナノクリスタルを量子ドットとする、簡便な量子ドット作成手法の確立に関するものである。得られたZnO量子ドット薄膜を発光層とする紫外線LEDを作製する。正孔注入のp型ZnO,電子注入のn型ZnOを100℃以下でプラスチックス基板上に堆積させることにより、フレキシブルな大面積LEDディスプレイを作製する。
820 自閉症治療研究に用いるモデル動物の開発 岩田 圭子 浜松医科大学 小野寺 雄一郎 浜松医科大学 自閉症者死後脳におけるVery Low Density Lipoprotein 受容体 (VLDLR) mRNA発現の増加から、高機能自閉症児の血清中脂質代謝に着目した。その結果VLDL分画が、コレステロール・中性脂肪の双方で有意に低下することを臨床研究によりつきとめた。VLDLRの過剰発現が自閉症の発症に関連すると想定し、VLDLR過剰発現マウスの自閉症病態モデルとしての妥当性を評価する。

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 愛知:158件  (JSTイノベーションプラザ東海)

No. 研究課題名 研究者 コーディネータ 研究概要
氏 名 所 属 氏 名 所 属
821 有機薄膜太陽電池用新規高性能ドナー・アクセプター材料の開発研究 融 健 (財)名古屋産業科学研究所 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 住宅、自動車、店舗、携帯電話などの装飾性を兼ね備えた次世代電池として有望である有機薄膜太陽電池は、まだ光電変換効率が低く、実用化の為には効率的な光電変換能を実現するドナーおよびアクセプター材料の開発が急がれる。代表研究者は、これまでに得た有機薄膜太陽電池の技術結果をさらに発展させ、分子間相互作用を考慮した独創的な新しいドナーおよびアクセプターを合成し、実用化が期待できる高性能有機薄膜材料の開発を行う。
822 X線照射を利用した可逆性着色ガラスの開発 福原 徹 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 多量のFe,Co等の着色剤を含んだ着色ガラスや一般的な透明ガラスにX線を照射して着色したガラスがあるが、色を消せないことや色が薄く安定性が低いことなどの問題があり、一般的なガラス瓶のリサイクルなどの用途に限られている。本研究では、ガラス基板やセラミックスコーティングしたガラス基板を対象に、それらの組成や着色条件をを検討し、色が濃く安定した、パターン形成も可能な熱可逆性のある着色ガラスの開発を行う。
823 低温焼成可能なステアタイト含有強化磁器の開発 林 直宏 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 強化磁器として代表的なアルミナ強化磁器は一般磁器より機械的強度(曲げ強度、衝撃強度)に優れているものの、焼成温度が高くコスト面で大きな課題となっている。そのうえ、重くて熱が伝わりやすいという問題点が指摘されている。これらの改質技術として、本研究では、ステアタイト含有磁器素地に焼結助剤・添加剤などを検討をすることにより低温焼成が可能でかつ実用的な強化磁器素地の開発を目指すものである。
824 麹菌を活用した生理活性タンパク質の効率的生産システムの構築 北本 則行 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 麹菌は伝統的な醸造食品や酵素剤の製造に用いられている産業的に重要な微生物である。麹菌は安全性が高く、タンパク質分泌能力に優れているため、有用タンパク質の生産のための宿主として用いられている。、代表研究者らが新たに作出したプロテアーゼ低生産性のタカアミラーゼA非生産麹菌と麹菌タカアミラーゼAの生合成・分泌に関わる細胞内プロセスとを組み合わせることによって、活性測定が困難な生理活性タンパク質の新規な効率的生産システムを構築する。
825 果汁飲料の低アレルゲン化 近藤 徹弥 愛知県産業技術研究所 菅沼 幹裕 愛知県産業技術研究所 食物アレルギーの原因物質はたんぱく質であることが多く、良く知られている牛乳、卵、小麦、ソバ以外にも果実に含まれるたんぱく質がしばしばアレルギーを引き起こす。そこで本研究では、たんぱく質吸着能を有するセラミックスを利用して、果汁中アレルゲンたんぱく質を除去する技術を開発する。この方法は、シンプルかつ穏和な条件でアレルゲンたんぱく質を除去できるので、高品質な低アレルゲン化果汁飲料の製造を可能にする。
826 絞り技法を応用した立体構造物の製造支援ソフトの開発 福田 ゆか 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 平面状の布地に立体的な柄を出す手法の一つとして用いられている伝統技術の絞り技法には十数種類の方法があるが、絞る箇所、異なる種類の絞りの技法を組み合わせることにより、用途に合わせた3次元的な形状を作ることが可能であると考えられる。本研究では、立体構造物に沿うような3次元形状を作るために、どのように絞りを施せばよいか設計するソフトウェアを開発し、試作して検証する。
827 グレージングへの応用を目指した重合開始剤フリーの紫外線硬化型樹脂の開発 藤原 梨斉 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 樹脂ウインドウ(グレージング)は、自動車の軽量化の有望な手法として研究開発が進められているが、ガラスに較べ、樹脂表面は傷つきやすく、耐候性も劣るという問題がある。本研究では、マレイミド化合物を含有し、光重合開始剤を添加しなくても紫外線照射により光重合反応が誘起され、硬度や耐熱性の優れたネットワークポリマーを形成する紫外線硬化型樹脂組成物を開発し、グレージングなどへの応用を目指す。
828 無機・有機繊維複合化不織布の機能性発現に関する研究 山田 卓司 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 現在、産業資材として使われている不織布は、製造が容易な有機繊維不織布が汎用的に用いられているが、難燃性など機能性に関して課題が多いのが現状である。これに対して、難燃性や高強度を有する無機繊維の不織布は高機能である反面、製造が困難な不織布である。そこで、有機繊維と無機繊維の特徴を生かした不織布を開発する。無機繊維に有機繊維を混綿することにより、不織布の製造を簡便にし、無機繊維の特徴も兼ね備えた不織布の開発を目指す。
829 機能素材組み込みのための立体空間を有するからみ織り技法の開発 大野 博 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 感覚機能低下を補完するスマートテキスタイル等の開発を推進するための要素技術として、織物内に機能素材を組み込むための数mm径の連続立体空間をからみ織り技法を活用して創成する技術を開発する。
この技術開発により、感覚機能低下等を補うための感知、制御、耐衝撃性向上等の様々な機能素材を織物内に組み込むことが容易となる。
830 快適空間創造用バイオフィルタの開発と応用 森川 豊 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 本課題の目的は、グリーンケミストリーに対応した低温水系反応のみで構成することができる無機系のゲルに、生体触媒を包括固定する最適方法を構築することである。得られた固定化生体触媒は空気質浄化用バイオフィルタなど室内環境浄化用に提供することにより、快適空間創造用材料として用いることが可能である。さらに、排水処理・アレルゲン除去・バイオセンサーなど非常に多くの用途展開が可能である。
831 ロボット用衣服の開発 堀場 隆広 愛知県産業技術研究所 齊藤 秀夫 愛知県産業技術研究所 将来、ロボットが家庭内に入ってきて、家事をしたり、人とのパートナーとして人を支援したりするようになると予想される。しかし、現在のロボットは、筐体が硬い金属やプラスチックで覆われており、ロボットの誤動作や故障などにより、人とロボットが接触した場合、人がけがをする事故が発生すると予想される。また、ロボットの筐体が硬い金属やプラスチックで覆われているため、見た目に悪く、ロボットに親近感を持てない人も多いのも現実である。これらを解決するためにセンサ機能を持たせたロボット用の衣服を開発する。
832 イチゴ苗重要病害を1時間で診断できる技術の開発 黒柳 悟 愛知県農業総合試験場 野口 正樹 NPO法人東海地域生物系先端技術研究会 イチゴ栽培において、イチゴ炭疽病および萎黄病の被害が拡大している。この病気は苗によって持ち込まれ、圃場に広がると清浄化が困難なことから、定植前の苗の病害診断が有効であるが、菌が感染しても外見上で判断することはできないため、発病前に感染の有無を判定できる技術が求められている。そこで、本課題は感染苗の早期除去および本圃汚染の回避を可能とするために、感染苗の迅速診断が可能なLAMP法により検査開始から判定まで1時間で診断できる技術を開発する。
833 色素結合法を用いる簡易尿タンパクセンシングシステムの開発 酒井 忠雄 愛知工業大学 瀬野 義隆 (財)科学技術交流財団 最近国内で糖尿病の推定罹患者は200万にも達すると云われ社会的関心も高まっている。多くの尿検査には染料TBPBを含浸させた試験紙が用いられる。しかしこの判定は(−、±、+、++)で行われる。これを濃度で表示すると30〜1000ppmとされ、判定濃度範囲は300ppmごとで判定精度は悪い。そこで簡易・高精度の尿タンパクのセンシングシステムの開発を行う。既にタンパクと結合し異染色性を示す染料を見出しており、センシングシステムへの導入は可能である。試薬と試料の反応は0.5mmのテフロンチューブ内で進行させ小型検出器で自動計測する。
834 ニューロ・ダイナミックプログラミングによる最適保全システムの構築 大野 勝久 愛知工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 生産ラインの停止、工場火災等々、保全が適切に行われていれば起こり得ない事故が、生産現場で多発している。本研究は、限られた資源のもとで、これらの事故を未然に防止する最適保全システムの構築問題を、マルコフ決定過程として定式化し、「次元の呪い」を克服すべく、代表研究者が開発しているニューロ・ダイナミックプログラミングの新しいアルゴリズムを適用して解こうとするものである。これにより、時々刻々変化する状況に応じた最適な保全政策を決定することができる。
835 溶解性アルミ含有物質を用いたアルカリ骨材反応の抑制方法の開発 岩月 栄治 愛知工業大学 熊沢 英博 愛知工業大学 本課題は、コンクリートにひび割れを発生させるアルカリ骨材反応の容易な抑制方法を開発にするために実施する。現在の抑制方法は高炉水砕スラグ粉末やフライアッシュなどをセメントに大量に混合するため、様々な問題があり、あまり普及していない。よって薬品などを少量添加するような容易な抑制手法の開発が望まれている。実験では数種類の溶解性アルミ含有物をセメントモルタルに添加して抑制効果を調べる。そして、抑制効果とそのメカニズムを検討し、抑制剤として最適なアルミ含有物質を選定する。
836 セレン原子を有する人工糖鎖の合成と酵素耐性の評価 安藤 弘宗 岐阜大学 杉本 勝之 特定非営利活動法人バイオものづくり中部 細胞表面の糖鎖は、がん転移、ウィルス細菌感染、炎症反応などの疾患および免疫現象に重要な働きを担う分子であり、糖鎖機能を基盤とした医薬開発が活発化している。糖鎖の医薬応用において、生体内での酵素による糖鎖の分解を防御することが大きな課題として残されている。本研究では、酵素による糖鎖の分解を抑制するために糖鎖分子中にセレン原子を導入した人工糖鎖を創製し、分解酵素に対する耐久性の高い糖鎖を探索する。
837 抗菌・超撥水性材料の開発と応用 山内 五郎 大同大学 清水 孝純 大同大学 生活における大気環境の重要性が叫ばれている。本研究では、抗菌・超撥水性材料を建物の壁面等に適用し、冬季または寒冷地では室内壁への結露を防ぎ、また汚れ成分そのものの付着防止によって、光触媒の効果を最大限に発揮することを目指す。可視光応答型光触媒Cu/WO3の添加により、屋内外を問わず、防汚抗菌機能を実現する。 病院、老人介護施設、文化財保護施設、一般住居などへの広範な応用が期待できる。
838 人を感知するための小型レスキューロボット匂いセンサーシステムの開発 清水 優 中京大学 鈴木 勝也 中京大学 本研究では、匂いによって人の存在を感知する小型レスキューロボット匂いセンサーシステムの開発を目的とする。
代表研究者は、レスキューロボット開発を行う中で、要救助者を探索する仕組みとして、ロボット周辺のCO2ガス濃度も補助的な情報として利用するシステムを開発してきた。本研究では、CO2、アンモニア、アルコールの3センサーを組み合わせ、ロボット周辺の大気に含まれる人の皮膚ガス成分を濃縮して検出し、ロボット近傍に人がいるかどうかを感知することを目標とするレスキューロボット搭載用匂いセンサーシステムの開発を行う。
839 木質・草本系バイオマス糖化の複合微生物系構築 倉根 隆一郎 中部大学 岡島 敏夫 中部大学 地球温暖化防止効果が期待されるバイオエタノール生産において食糧資源であるでん粉等のバイオマスから第2世代バイオマス原料としての木質・草本系バイオマスへの移行が求められている。本研究では木質・草本系バイオマスの前処理・糖化を同時(あるいは逐次)に可能とする複合微生物系を構築し、複合微生物系を用いて効率的な前処理・糖化を評価する。
840 超高純度GaAsエピタキシャル厚膜を用いた空間光変調器の開発 脇田 紘一 中部大学 岡島 敏夫 中部大学 光通信・光情報処理分野の急速な技術の進展に伴い空間光変調器の高速・低駆動電圧化が求められている。超高純度の砒化ガリウム厚膜をエピタキシャル成長により作製し、これを用いて従来例に比べ数桁以上の速度・数十分の一の電圧で動作する空間光変調器を開発する。本研究により「画素微細化」「光応答速度の超高速化」「消費電力の低減化」等実現のための光変調デバイスを開発し、超高速駆動技術開発に対応しようとするものである。
841 窒化物半導体膜の高感度定量分析装置の開発 中野 由崇 中部大学 古田 昭男 中部大学 次世代のGaN系高周波デバイスを実用化するには、デバイス特性を大きく左右するGaNエピウェハの欠陥準位密度低減による高品質化が最重要課題となる。本研究では、GaNウェハ中に存在する電気的に活性な欠陥準位を幅広いエネルギー範囲全域(0.6〜4.0eV)で検出し、膜厚深さ方向分布も計測できる高分解能分析装置を開発する。さらに、計測した欠陥情報を成膜プロセスにフィードバックし、高品質GaNウェハの成膜技術の開発に繋げる。
842 ヒトと類似した皮膚を持つモデル動物の樹立 飯田 真智子 中部大学 古田 昭男 中部大学 代表研究者らは、ヒトと類似した皮膚構造をもつマウスの開発に成功した。ヒト皮膚を用いた解析には、試験数や試験法に限界があるため、ヒトに近い皮膚モデルマウスが確立されれば、皮膚疾患のメカニズムやその治療法が飛躍的に進歩する。本研究では、様々な刺激に対する本マウスの皮膚細胞の応答性がヒトと類似しているかどうかを調べ、ヒト皮膚モデルとしての有用性を確立する。
843 遺伝子工学を用いたイタコン酸高生産糸状菌の開発 金政 真 中部大学 古田 昭男 中部大学 イタコン酸は、合成樹脂や接着剤等の原料として重要かつ安全な有機酸であり、工業的にはもっぱら糸状菌Aspergillus terreusによって生産される。2008年、代表研究者らは本菌のイタコン酸合成酵素遺伝子の単離に世界で初めて成功し、本遺伝子がイタコン酸生合成において鍵となることを突き止めた。本課題では、イタコン酸製造を高効率化するために、本遺伝子を過剰発現させたイタコン酸高生産糸状菌の分子育種を目指す。
844 白髪モデル動物の開発;ヒトの白髪発症機構との類似性に迫る 加藤 昌志 中部大学 古田 昭男 中部大学 ヒトの白髪発症には極めて長い年月を要する。ゆえに、個体をトレイスしながらヒトの白髪の発症機構を研究することは、実質的に不可能でる。最近、代表研究者らは、ヒトのように加齢とともに少しずつ白髪を自然発症するモデル動物を樹立した(特許申請中)。本研究では、この新規に開発された白髪マウスの白髪発症機構について、形態学的手法や分子生物学的手法を用いて解析し、ヒトの白髪発症機構との類似点を検索する。
845 リン酸塩ガラス系透明電気発熱体材料の開発 後藤 英雄 中部大学 小田中 文雄 中部大学 代表研究者らは、これまでにスズを含むリン酸塩化合物で耐湿性に優れた透明な0.2Ωmの電気伝導性を示すガラス体を得ている。本材料は、量産に優れたゾル-ゲル法による作製が可能で、電気伝導度が0.01Ωmまで向上すれば、視界を妨げない透明な電気発熱体材料として、融霜・融氷・除曇機能を持つ車輌用フロントガラスとしての実用が期待される。本研究は、実用化を目指して、リン酸塩ガラス体の電気伝導度を向上させることを目的とする。
846 任意の発熱分布を実現する面加熱デバイスの開発 平沢 太郎 中部大学 牧野 琢磨 中部大学 任意の「発熱分布」を実現する平面加熱デバイスを提供するため、マイクロ火炎をアレイ化する技術を開発した。この技術により実現されたマイクロフレームアレイは、電気ヒーターに比べ、達成温度範囲が高温側で広く、発熱応答性が高く、一次エネルギー削減効果があるといった優位性がある。この技術を用いて、「局所的な熱容量差」がある場合でも、対象全体の温度を一様に上昇させる加熱技術の実現を目指す。
847 線虫を用いた、有用タンパク質の新しい生産法の開発 三輪 錠司 中部大学 牧野 琢磨 中部大学 現在、医療用として使用しうる、高品質な組み換え有用タンパク質の生産は、コストと時間がかかるわりには生産量が少ないため、非常に高価なものになっている。代表研究者は、線虫に目的のタンパク質を安価にそして大量に生産させる技術を開発した。この技術を活用することで、これまでは生産効率の悪かったヒト由来の有用タンパク質を、安価に大量にそして高品質に生産できる、組み換え有用タンパク質の革新的な生産法の開発を目指す。
848 プロテインホスファターゼ2C活性化物質を用いた新規骨吸収抑制剤の開発 大西 素子 中部大学 木本 博 中部大学 代表研究者らが見出したプロテインホスファターゼ2Cを特異的に活性化する化合物は、強い破骨細胞分化抑制作用を持っているため、今までの治療薬とは全く異なる作用を持つ新規骨吸収抑制剤として、骨粗鬆症などの破骨細胞の過剰な活性化による骨疾患の予防や治療に有効である可能性が高い。そこで本研究では、この化合物の臨床実用化を目指し、細胞レベルおよび個体レベルにおける作用機構および効果を明らかにする。
849 高耐食性・導電性ダイヤモンド状炭素膜の低温成膜と応用 中尾 節男 独立行政法人産業技術総合研究所 山東 睦夫 独立行政法人産業技術総合研究所 固体高分子型燃料電池のセパレータ電極には、金メッキした316ステンレス鋼が主に用いられているが、その耐食性は必ずしも十分ではない。また、セパレータ電極の組を多数直列に接続するため、電池全体が重くなるという欠点がある。一方、耐食性と導電性が十分確保できれば、電極材料は薄膜でも構わない。そこで、燃料電池の軽量化、低コスト化を図るため、高耐食性・導電性のダイヤモンド状炭素(DLC)膜を高分子上に直接電極として成膜可能な低温プロセス技術を開発する。
850 アルミナナノファイバーにより安定化された高温耐熱性白金触媒の開発 尾崎 利彦 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 工場等からのVOC排ガス処理では厳しくなる環境規制に対応するため、低温での浄化性能の向上はもとより、より高い温度でも劣化の起こらない高温耐熱性触媒が求められている。本研究課題では、アルミナナノファイバーに均一サイズの白金ナノ粒子を固定化することで、高温での耐久性を備えた高性能な長寿命触媒を開発する。
851 ナノポーラス材料を酵素固定化担体として利用する新規バイオリアクターの開発 加藤 且也 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 近年、均一孔のナノポーラス無機物質(NPS)が注目されており、その規則性の高さを活用して様々な応用が現在盛んに検討されている。 本研究では、NPSのナノ細孔へ酵素を固定化した新規なバイオリアクターを開発する。そのため、酵素のNPS細孔内への吸着特性を明らかにすると共に、固定化酵素の活性の安定性向上について検討し、溶液状の酵素と比較して、20%以上の活性安定性が上昇したNPS-酵素複合体の作製方法を最適化する。
852 フッ素ゴムの気体透過低減コーティングの研究開発 池山 雅美 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 フッ素ゴムは種々の真空装置に広く用いられている。フッ素ゴムの気体透過率を低減出来れば、到達真空度や排気速度の向上し、不純物低減やプロセス時間短縮が出来る。気体透過率低減技術としては、既にダイヤモンド状炭素(DLC)膜形成が実用化されているが、フッ素ゴムではその透過率低減効果は僅かしかない。それは、フッ素ゴム表面の分子間に大きな隙間があるためである。本課題では、隙間を埋める工夫とより低温でDLC成膜する技術を開発する。
853 液滴の滑落性を向上させたガラスのはっ水/はつ油処理 穂積 篤 独立行政法人産業技術総合研究所 渡村 信治 独立行政法人産業技術総合研究所 液滴とガラス表面の相互作用を抑制し、滑落(飛散)性を大幅に向上させる新しいガラスの表面改質技術を開発する。枝状構造を有する有機シラン分子を、液相あるいは気相から強固な化学結合を介してガラス表面に固定化し、安定な分子膜を形成する。固定化した分子の嵩高さに起因する「分子傘効果」を利用して、液滴(水や油)とガラス表面の相互作用を抑制することにより、ヒステリシス(前進接触角と後退接触角の差)を極めて小さいし(<3°)、滑落性に優れた表面を発現させる。
854 酸化チタン殺菌皮膜の大気中高速成膜技術の開発 山田 基宏 豊橋技術科学大学 濱口 康典 株式会社豊橋キャンパスイノベーション インフルエンザなどのウイルスや病原菌への感染は人類にとって大きな脅威である。これらウイルスや菌を短時間で死滅させ、かつ人体に無害な技術として、銅担持酸化チタンの光触媒作用を用いた殺菌特性付与がある。これを、病院の壁など大面積へ成膜する技術の確立が求められている。本研究では大気中で原料粉末を吹き付けるのみの簡便な成膜技術であり、かつ原料粉末と同等以上の特性が期待できるコールドスプレー法による銅担持酸化チタン成膜技術の実用化を図る。
855 蛍光性有機色素を利用した油中水分分析システムの構築 加藤 亮 豊橋技術科学大学 濱口 康典 株式会社豊橋キャンパスイノベーション 機械装置の駆動部において常に適正な潤滑管理を行なうことは、装置寿命や製品精度を維持する重要な要素である。特に潤滑油に周辺の切削液や大気水分が混濁すると、重大な事故につながる為、この混濁を現場レベルで迅速かつ早期に検出する携帯型水分検出システムの構築を目指す。本課題では要となる水分量測定用分光分析チップの水分マーカーに油中の水分量に応じて異なる蛍光応答を示す有機色素を用いることで、水分応答特性と繰返し耐久性を向上させた検出システムを完成させる。
856 高速・高精度注湯を実現する状態適応型自動注湯ロボットの開発 野田 善之 豊橋技術科学大学 永森 茂 豊橋技術科学大学 鋳造産業における注湯工程は、高温の溶湯を鋳型内へ注ぐ工程であることから、過酷な労働環境であり、注湯ロボットによる自動化が進められている。注湯ロボットの精度は歩留りに大きく影響する。一方で、溶湯の温度低下は鋳物品質に影響することから、迅速に注湯することが望まれている。非線形注湯数理モデルをシーズ技術として、注湯状態に応じて、制御システムを更新する状態適応型自動注湯ロボットを開発し、注湯充填重量誤差率1%以内を実現する。
857 強い鏡面反射を有する金属表面の欠陥検査システムの開発 章 忠 豊橋技術科学大学 永森 茂 豊橋技術科学大学 表面検査は、品質管理に関わる重要な最終生産工程である。しかし、金属めっき、特にクロムめっき表面は鏡面反射光が強く、画像処理では有用なランダム反射光を検出しにくく、自動化にむけた実用技術はまだ見受けられない。これに対し、代表研究者らは世界初の金属表面反射モデルと複素数離散ウェーブレット変換により、微小な傷でも敏感に検出できる欠陥検出手法を提案している。本試験研究ではこの手法を実用化し、表面欠陥自動検査システムを構築する。
858 医農薬品開発へ向けた有機分子へのフッ素導入法の開発 柴富 一孝 豊橋技術科学大学 河合 健 豊橋技術科学大学 含フッ素有機化合物はその特有の生物活性から創薬科学において大きな注目を集めている。例えば近年、薬物へフッ素を導入することによる生理活性の増強や代謝安定性の向上が数多く報告されている。しかしながら、有機分子への位置選択的・立体選択的なフッ素の導入法は限られており汎用性の高い手法の開発が求められている。本課題では、クロロフルオロ化合物の合成を鍵とした新たな有機フッ素化合物の合成法を確立する。
859 高機能性有機分子自動合成用高分子不斉触媒の開発 伊津野 真一 豊橋技術科学大学 村田 勝英 豊橋技術科学大学 医薬品等の高機能性有機化合物の開発には、多種類の光学活性有機分子を効率よく合成するプロセスが必須である。本研究では高分子に高活性不斉触媒を組み込み、不斉反応に利用する。高分子組み込み型不斉触媒は、自動合成装置のリアクター部に装着して使用することができる。高分子の疎水性−親水性のバランスを調整し、有機基質分子を効果的に取り込むことで、従来の高分子触媒では達成されなかった高活性高分子不斉触媒を開発する。
860 温室内日射計測のための農業用新型日射計の開発と実用性評価 桶 真一郎 津山工業高等専門学校 村田 勝英 豊橋技術科学大学 施設農業の自動化・高効率化や空調管理のためには、室内日射環境の計測が重要である。本研究では、複数の太陽電池やフォトダイオードなどの定電流特性を有する素子とバイパスダイオードを併用することにより、気象の変化に起因する日射変動は検出するが、建材などによって一時的・部分的に発生する影による日射変動は検出しない安価な日射計を開発する。また、実際の農業用温室において試作日射計のフィールド試験を実施し、その実用性を評価する。
861 テキストマイニングを用いた知財訴訟トレンド分析・判決予測システムの開発 増山 繁 豊橋技術科学大学 白川 正知 豊橋技術科学大学 現在、知財訴訟対応能力を持つ人材が不足しているため、それを補う情報システムの開発が求められている。ここで、訴訟に対応する業務は、(a)勝訴できるかどうか見積もる、(b)勝訴(敗訴)した場合の損害賠償額を見積もる、(c)(a)や(b)のトレンドに基づき意思決定し、法廷戦略の立案を行う、が大まかな流れとなる。本研究では、テキストマイニングを用いて判例文書を解析し、これらの業務を支援するシステムの開発を行う。
862 ダイレクトインプリントリソグラフィによる高密度配線パターン形成技術の開発 柴田 隆行 豊橋技術科学大学 冨田 充 豊橋技術科学大学 携帯電話をはじめとする電子情報機器の小型化・高機能化にともない、半導体や機能素子を搭載する電子モジュール用の銅配線基板の微細化・高密度化の要求が高まっている。本研究では、微細パターンを低コストで量産し得る次世代のものづくり技術として、新規なダイレクトインプリントリソグラフィ(DIL)技術を提案し、最小線幅10μmの高密度配線基板の製造法への適用を検討する。
863 磁気シールドが不要な超高感度SQUID磁気センサの開発 廿日出 好 豊橋技術科学大学 冨田 充 豊橋技術科学大学 生体磁気計測や材料非破壊検査など微小磁気計測技術が必要とされる医療・産業の応用分野は多岐にわたる。これら応用で液体ヘリウム(沸点4K)で冷却する低温超伝導SQUID磁気センサを用いる場合、高価な冷媒と磁気シールドが必要となり、脳磁・心磁計測など一部しか実用化されていない。そこで本研究では、安価で手に入りやすい液体窒素(沸点77K)で冷却可能な高温超伝導SQUIDの実用化研究を行う。ここでは超伝導薄膜中の磁束の侵入・移動機構を解明し、これを抑制してシールド無しで安定・高感度に動作するSQUIDの開発を目的とする。
864 室内環境において微生物(菌、細菌類)を簡単・高速・高精度に計測できる装置の開発 安田 八郎 豊橋技術科学大学 野中 尋史 豊橋技術科学大学 短時間で精度よく微生物による室内汚染状況が把握できるシステムの構築を行う。ウイルスから細菌、カビ胞子、花粉にいたるまで、すべてのバイオパーティクルが核酸を持っていることに着目し、核酸の検出による計測技術を開発してきた。具体的には、電気集塵による微粒子の捕集、放電プラズマによる微粒子の破壊と核酸の抽出、電気泳動による核酸のテープ表面への固定、核酸の蛍光染色と計数を行うものである。本研究では、この手法を実用化するため、簡単、短時間、正確に微生物汚染状況を把握する小型計測システムの開発を行う。
865 企業業績分析のためのテキストマイニング技術の開発 酒井 浩之 豊橋技術科学大学 野中 尋史 豊橋技術科学大学 本研究では、Web上に掲載されるロイターなどの記事や企業のWebページに掲載されるプレスリリースから企業業績に関する情報を取得し、その内容を自動的に分析するためのテキストマイニング技術を開発することを目的とする。具体的には業績要因を含む表現(例えば「液晶製造装置の受注が好調」)を抽出し、それらが増益要因なのか、減益要因なのか?を判別する極性付与技術、業績要因を含む表現から因果関係知識(例えば業績要因「リストラを進めた結果、業績が回復」では、「リストラを進めた」が原因、「業績が回復」が結果)を自動的に抽出する技術を開発する。
866 三次元物体の高精度な類似検索エンジンのの開発と応用 青野 雅樹 豊橋技術科学大学 野中 尋史 豊橋技術科学大学 三次元物体は、製造業からゲーム業界まで広く使用されており、過去のデータを再利用し設計の効率化が求められている。このような中、三次元物体の検索には、位置、向き、大きさによらない不変的な特徴量の定義が最大の焦点であり、これまで「多重フーリエスペクトル」による特徴量を定義し、その有用性を示してきた。本研究では、更に「多様体ランキング」および「拡散マップによるインデックスの圧縮」技術を新たに開発し、実用性を促進する研究を行う。
867 実用的な高速音声検索エンジンの開発 桂田 浩一 豊橋技術科学大学 野中 尋史 豊橋技術科学大学 本研究ではユーザが音声もしくはキーボードにより入力したキーワードを、大規模な音声コンテンツから非常に高速に検索する手法を提案する。本研究の特徴は、従来テキスト曖昧検索の分野で用いられてきたSuffix ArrayとDPマッチングを用いた検索手法を音声データを扱えるよう改良し、更なる高速化を実現した点にある。その他、高速化技術を導入することにより、10,000時間クラスの音声データベースから数十ミリ秒〜数百ミリ秒で最初の数セットの検索結果を出力することを実現する。
868 複数の磁極部を有する高推力な電磁比例バルブアクチュエータの試作研究 近藤 尚生 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 油圧システムにおいて、入力電気信号に比例して油圧回路中の圧力や流量を制御する油圧比例制御弁を直動で駆動できる、小型で高推力な電磁比例バルブアクチュエータが要望されている。本研究では、複数の磁極部を有し、それらが同時に吸引力を発生することにより、従来のアクチュエータに比較して2倍以上の高い推力が得られるバルブアクチュエータを新たに考案し、試作して推力特性の評価を行い、このアクチュエータの設計法の確立を目指す。
869 新摩擦制御法を用いたサブナノメートル位置決め精度を有する装置開発 田中 淑晴 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 超精密位置決め装置では、微小変位領域での制御ゲインを極めて大きくすることが一般的である一方、高速移動時などでは振動的にならないためゲインは低目に設定をする。そのため、高速移動時などでは位置決め装置の性能を活かしきれず余分なタスク時間がかかってしまう。そこで、摩擦挙動をモデル化した非線形摩擦モデルを用いた制御方法を提案し、サブナノメートル精度と長ストローク・高速移動を両立させることを目的とする。
870 携帯電話を利用した聴覚障がい者向け情報保障システムの構築 木村 勉 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 本研究の目的は携帯電話を用いて、いつでもどこでも誰でも手軽に情報保障が受けられるシステムを構築することである。例えば美術館などでは、作品の解説は書記日本語や音声によるものが中心である。聴覚障がい者にとっては、音声による解説は聞くことができない。また、多くの聴覚障がい者は、手話が第一言語であるので、書記日本語による解説も不十分である。このような問題を解決するために、携帯電話の動画配信機能を用いた手話による情報保障システムを構築する。
871 材料強度試験に基づいた土壁耐力推定技術の開発 山田 耕司 豊田工業高等専門学校 橋本 正俊 豊田工業高等専門学校 伝統木造構造は、土と木を用いた日本に根ざした環境負荷の小さい建築技術である。その耐震性能は、土壁の寄与が大きい。しかし、土壁の耐震性能は、壁土性能、土壁構成技術の地域性により、大きく異なるが、全国一律の強度が法律で定められており、壁土性能などを考慮されていない。そこで、本研究では、壁土強度から土壁の耐震性能予測技術を開発することを目的とし、異なる強度の壁土を用いた土壁を製作実験することにより、その予測技術の精度を検証する。
872 高感度ねじり振動型MEMS赤外線センサ 佐々木 実 豊田工業大学 後藤 文夫 豊田工業大学 高感度でありながら非冷却で動作するセンサを、非線形性が強いバネと組み合わせて、ねじり振動子を応用して実現する。波長感度が広く一定な熱型センサの特徴と、小さな振動子の一次元アレイ化によって、赤外分光をハンディな小型システムで可能にする。物質の有無・特定・濃度の、その場測定を可能にすることで、環境モニタリング、食品への異物混入検査、人体からの微量ガス測定による無侵襲医療などの応用を開く。
873 高効率スローライト生成を利用した全光バッファメモリの開発 鈴木 健伸 豊田工業大学 後藤 文夫 豊田工業大学 光ファイバのブリルアン増幅を用いた光バッファメモリは、増幅過程でパルス幅が広がるために記憶容量が低下し、わずか1ビットの容量しか得られないと考えられてきた。本研究では、独自のdouble-gain and zero-gain法と高非線形のテルライトファイバとを用いることで、誘導ブリルアン増幅によるパルス広がりを極限まで抑制し、遅延時間とビットレートで決まる最大値まで記憶容量容量を増大し、これまで開発されていない高効率で実用的な可変全光型バッファメモリを実現することを目的とする。
874 新規希土類量子材料の低温熱光変換能の探索 田中 清明 名古屋工業大学 山本 豊 (財)科学技術交流財団 特定の希土類錯体で4f準位に空席を残したまま、200℃以下で5d軌道が電子により満たされる反転分布を発見した。これは5d-4f遷移により数eVの紫外光が得られることを示し、地球に充満し未利用のまま放置されている200℃以下の低級廃熱が、太陽光発電の夜間光源、水の電気分解等へ有効利用できる光となる可能性を示している。希土類化合物で発現した不安定な5d軌道に電子が遷移し留まる理由を究明し、希土類錯体の低温熱―光変換の機能発現の解明と効率的な機能発現をする物質の条件を探索・明確にし、産業利用へと展開する。
875 携帯ゲーム機版「ポリシーエクササイズ:数字あて」の開発 越島 一郎 名古屋工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 「数字あて」ゲームは、ポリシーエクササイズの研究成果に基づいて作成された緊急対応力育成ゲームである。このゲームは、単独またはLANを介してチームでプレーすることができ、単独プレーでは視覚による短期記憶力と推理力の育成、チームプレーでは開放性(心を開く)とリスクコミュニケーション力の育成を目指している。プレーヤは完全な情報を有さず、さらに小さく瞬間だけ開く窓を通してのみ情報が提供される。このため、特にチームプレーでは、コミュニケーションによってリーダに情報を集めることで、初めて全体像が了解できる仕組みを有しており、コミュニケーション能力育成に有効である。
876 次世代移動体通信の高精度等化手法の実現に関する研究 岡本 英二 名古屋工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 移動体通信においては、マルチパス遅延波による干渉を代数演算で効果的に除去できる周波数領域等化が広く用いられるようになった。しかし伝送速度の高速化,用いる搬送波の高周波化により等化の性能が十分でなくなり、より効果的な手法が求められていた。そこで本研究では既存技術に比べ高速移動、高速伝送、高周波搬送波においても高精度でマルチパス遅延波を等化できる方式を実現し、次世代移動体通信技術の進展に寄与する。
877 オンラインショッピングにおいて商品を「手」で確認するシステム 舟橋 健司 名古屋工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 バーチャルリアリティ(VR)技術により、オンラインショッピング利用時に自身の手により商品確認ができるシステム開発を目指す。VR分野においては様々な技術開発が行われているが、家庭用ゲームへの応用等を除けば実現に必要な装置は高価格、大規模である。本研究では、「実際と全く同じように」手で商品を確認することよりも、従来の目と耳のみによる商品確認に加えて、補助的にではあるが、手による、直感的な商品確認を、家庭に導入可能な装置により実現することを目的としている。
878 複数送受信アンテナを用いた超高信頼無線データ伝送方式の開発 岩波 保則 名古屋工業大学 山田 義憲 (財)名古屋産業科学研究所 安全走行の為のITSや工場内ロボット制御における無線制御信号の伝送に於いては、再送は許されずリアルタイム性と誤動作防止の為の超高信頼性を有する無線通信が必要である。本試験研究では、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを使用するMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術、強力な軟値LDPC誤り訂正復号技術、及び高性能等化器技術を組み合わせた時空間符号化方式を用い、ITSや工場等の劣悪な環境においても、超高信頼な制御用データの無線通信を実現する。
879 LED 信号機の可視光通信機能を活用した弱視者横断支援システムの開発 鈴木 弘司 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 本課題では、弱視者、特に全盲の方が正しく横断歩道を進んでいることを理解でき、安全な誘導支援が可能となるLED信号機の可視光通信機能を活用した弱視者横断支援システムの実用化を目指し、以下の2点について検討する。まず、利用者を空間認知能力に基づく歩行能力から分類し、システムの仕様を検討する。次に、実際の道路構造と同じ実験施設において、歩行実験を行い、利用しやすい受光端末の形状、軌道修正方法、情報の伝え方を明確にする。
880 チタン/生体高分子系新規傾斜機能材料の開発と生体材料への応用 渡辺 義見 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 TiとNaClの混合粉末を放電プラズマにより焼結し、その複合材料を熱湯にて処理することにより、貫通孔を有するポーラスチタンが製造できることを見いだしている。このポーラスチタンには、溶融した生体高分子に浸し、減圧、常圧復帰のサイクルを繰り返すことにより生体高分子の含浸が可能であり、これらは特許として出願済みである。しかし,従来法は①含浸に手間と時間が掛かり、また、②高分子によっては材料中心部までの含浸が困難であるという問題点を有している。本研究では特許出願予定の新規手法で高分子含浸を試みる。
881 安全な交差点車両走行を支援するカウントダウン情報システム開発 藤田 素弘 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 カウントダウン情報とは、車両用信号機の青黄赤の切り替わりまでの秒数を様々な方法で情報提供するものである。信号交差点では事故が多発しているが、本研究では、この情報が無い状態よりも、有る状態の方がより安全性が高まる車両用信号機用のカウントダウンシステムについて検討する。よって、車両挙動調査や試験走行実験を通して分析検討し、カウントダウン情報の制御方法など、より安全になる新たな情報提供システムの構築を目指す。
882 無損傷構造を実現する機能性金属材料の複合による自己復元ダンパーの開発 後藤 芳顯 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 土木構造物の耐震性能向上を目的として、機能性金属材料の複合によるメンテナンスフリーの自己復元型制震ダンパーの開発を行う。本ダンパーは、地震時の繰り返し荷重に対する耐劣化性を持つエネルギ吸収材料と地震後の残留変形を抑制する自己復元材料からなる。制震ダンパーのプロトタイプを製作し構造の妥当性と力学特性を実験的に検証するとともに、地震時終局挙動予測解析により構造全体系レベルでの制震性能を確認する。
883 ナノ構造・酸化物半導体を用いた高感度フォース・センサーの開発 市川 洋 名古屋工業大学 小澤 理夫 (財)名古屋産業科学研究所 半導体材料に歪みを加えて発生する導電率変化(ピエゾ抵抗効果)は、半導体をロッド形状に加工し、長手方向に力を印加することで、格段に増大することが期待される。本課題では、半導体として酸化亜鉛(ZnO)を用い、そのナノ・ロッド群を上下電極で挟み込んだ構造のフォース・センサー開発を構想しており、センサーに高感度性を与え、基体形状に依らずセンサーの大面積化を可能にする要素技術の確立を行う。
884 SH型SAW薄膜デバイスの開発と生体計測への応用 柳谷 隆彦 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 本課題は、薄膜を用いた横波型の弾性表面波(SH型SAW)の発生と液体中質量負荷計測への応用を目的としている。通常の弾性波(レイリー型SAW)型センサを液体中で使用すると、音波エネルギーが液体中に漏れてしまい動作しない。そのためSH型SAWが必要となるが、この波の発生は単結晶板でしか成功していなかった。研究担当者は、近年初めて横波を発生する薄膜の合成に成功した。この膜は理論的にSH型SAWも発生する。本研究ではこのシーズを利用して、SH型SAWを発生させ、質量計測への応用を目指す。
885 大気圧プラズマを用いた低温高速加工処理システムの開発 木村 高志 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 低温高速加工処理は、研削や研磨といった機械加工と異なる、半導体製造プロセスでの基板材料の加工に代表される非接触かつ低温での加工処理技術として需要があるものである。本加工処理は、従来の低圧プラズマに比べ、大気圧プラズマによるプロセスが非等方性の点では劣るものの高速化は容易にできる。そこで、本研究では、大気圧プラズマ中で生成された活性粒子をプラズマリアクタ下流部に設置した材料に照射することで、より低温で高速に加工処理できるシステムの開発をする。
886 トップダウンプロセスの微細化に資するナノパターニングシステムの開発 田中 正剛 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 近年、半導体基板は極微細な周期での表面加工が求められており、ナノ精度で被膜できるマスク材の開発が必要とされている。本課題では高分子薄膜のマスク材としての応用を考え、10ナノメートル以下の微細な超分子構造を形成するペプチドを構成要素とするジブロック共重合体を設計し、これらの固体表面への吸着とペプチド部位のβ−シート化に基づく簡便で低コスト化が可能な自己組織化によるナノ微細構造の調製法を検討する。
887 金属触媒を含まないナノカーボン材料の合成と応用 曽我 哲夫 名古屋工業大学 堀 伸一 (財)名古屋産業科学研究所 カーボンナノチューブやカーボンナノファイバー等のナノカーボン材料は今後様々な応用が期待されている。しかし、合成時に金属触媒を用いることから、得られるナノカーボン材料には多量の金属を含み、残留する金属により特性が劣化する。本研究では触媒金属に代わりカーボンのナノ粒子を用いることで、金属を全く含まない高純度のカーボンナノチューブとカーボンナノファイバーを合成し、太陽電池への応用を行う。
888 商用電源駆動される高効率一定速モータ制御措置の開発 竹下 隆晴 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 ファン、ブロアなどの商用一定周波数電源で駆動する一定速用途モータとしては、起動器を必要としない誘導電動機が使用されている。誘導電動機に比較してモータ損失を低減できる永久磁石同期電動機は、その駆動にインバータなどの可変周波数電源を必要とし高価になるので、一定速用途にはほとんど使用されていない。本研究では、商用電源でPM同期電動機を駆動するための起動器を用いて、一定速制御時における損失低減と安定駆動制御法を開発する。
889 近赤外線を利用した微生物検出システムの開発 吉野 明広 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 食品の安心・安全を確保するための微生物検出の要素技術開発である。目的は近赤外線を利用した分光法による細菌定量分析技術の確立であり、大腸菌のふき取り検査に代わる検査システムを構築する事である。実施内容としては①大腸菌検出での様々な問題点を抽出する。②リアルタイム検出用の測定プローブを開発する。目標としてはふき取り検査に対応する大腸菌数を迅速に数値化することである。
890 ラセミ化しない安全なサリドマイドの開発 柴田 哲男 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 サリドマイドの分子は、不斉中心にフタロイル基を持つR体と、その鏡像であるS体によって構成されている。ラセミ体の服用により、催奇形性を併発する重篤な副作用が見られるため、催奇形性のないR体を薬剤として使用する必要がある。しかしながら、R体のみで構成されるサリドマイドであっても、投与後、体内でラセミ化しS体が生じてしまうため、たとえ光学活性体を使用しても副作用を回避できないという問題点が残っている。本課題では、ラセミ化しないサリドマイドを開発する。
891 Bi2Te3系を代替するホイスラー合金系ペルチェ素子材料の開発 西野 洋一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 熱電冷却に利用されているBi2Te3系ペルチェ素子材料は、希少金属のBiやTeのほかに毒性の強い元素Seの添加が不可欠である。Bi2Te3系に替わる環境調和型熱電材料としてFe2VAl系ホイスラー合金に注目した。この合金はフェルミ準位付近に鋭い擬ギャップを形成することが特徴であり、熱電発電モジュールを試作してその効果を確認した。本研究では、擬ギャップ構造を改造してゼーベック係数の増大を図り、さらに元素置換の方法により熱伝導率の大幅な低減を達成して性能向上を目指す。
892 体性感覚回復トレーニング装置の開発 森田 良文 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 加齢や脊髄損傷によって触圧覚などの体性感覚が低下すると、転倒事故の増加や歩行障害など日常生活動作に支障をきたす。体性感覚を回復・向上させるには感覚トレーニングが最も有効であるとされているが、療法士の時間的制約などの理由から診療では行えていない。また、回復具合の定量化は現代医療の至上命題である。本課題の目的は、各種感覚トレーニングならびに回復具合の定量化を実現させたトレーニング装置の開発である。感覚トレーニングの一部は、試作機を開発し、現在臨床試験中である。
893 関係型データマイニングに基づく統合的データ分析システムの開発 犬塚 信博 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 データに潜む規則性を獲得するデータマイニング(DM)技術において、関係型DMは述語論理を基礎に論理パターンを抽出する。関係型DMは物質、文書、回路、組織など、構造的対象の分析に有用だが計算負荷が高い。代表研究者が開発してきた計算負荷軽減の技術をもとにデータ分析システムの完成が目標である。標準的データベース(DB)と接続する実装方式、目的志向的操作性、抽出知識の可視化/再利用技術を含む統合システムのプロトタイプを開発する。
894 化学修飾カーボンナノチューブを正極とする新規色素増感太陽電池 川崎 晋司 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 低コスト、カラフルな色素増感太陽電池は次世代太陽電池として期待されている。現状では、光エネルギーの変換効率が既存のシリコン太陽電池に及ばないことからこれを改良しようとする負極の研究が盛んである。しかし、あまり注目されていないが実用化を目指す上では、正極にも重大な問題点がある。現在、正極には高価な白金が導電性ガラスに塗布されたものが使用されており、コストと安定性に大きな問題を抱えている。今回これを解決するため、ナノチューブを分散させた透明導電ガラスを正極に使用することを提案する。ガラスマトリックスに分散したナノチューブは低コストであり、かつ剥落などの恐れがなく安定であると期待される。
895 ホウ素錯体を組み込んだn型半導体の製造方法 小野 克彦 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 高度情報化社会の実現に向けて、安価で柔軟性をもつ有機電界効果トランジスタが注目されている。これまでに様々な有機半導体が開発されてきたが、高移動度を示すn型半導体は少ない。また、合成に際してコストが高く、高度な技術も必要とされる。そこで、ホウ素錯体を有機パイ電子系に組み込んだn型半導体の開発を行う。この錯体合成法は簡便であり、多様な分子構造に適用が可能である。この製造法を用いて高性能なn型半導体を開発し、有機トランジスタの実用化への見通しを得る。
896 切土および掘削地盤の合理的な健全性診断と対策工決定法の開発 中井 照夫 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 社会基盤整備でしばしば行われる地盤の掘削を伴う切土工事では、施工時だけでなく工事完了後も構造物および地山の安定性が確保される必要がある。本課題では、地盤の力学挙動を適切に表せる構成モデルを用いた応力・変形解析法と原地盤のリアルタイム且つ高精度な3次元変位計測法を組み合わせることにより、切土および掘削地盤の短期および長期的な変形・安定性を診断し、その対策工も合理的に判断できるシステム開発する。
897 音声情報案内端末の公共空間における試験運用 徳田 恵一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 今後ますます高度化・複雑化が予想される情報技術の普及に鑑み、あらゆる人々にやさしいヒューマンインターフェースとして音声技術への期待が高まっている。このことは、技術戦略マップ等でも重要課題として詳述されている通りである。本課題では、代表研究者がこれまでに開発した音声合成・認識に関する最新の研究成果を高度に統合した音声情報案内システムを構築するとともに、実環境下の公共空間にて実際に運用することにより、本格的な実用化への課題を明らかにし、それらを克服し、産業に応用することを目的とする。
898 歯科用う蝕防止シーリングガラスの開発 春日 敏宏 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 う蝕治療部の接着材の劣化などによる二次う蝕を防ぐための新しい歯科治療が望まれている。本研究では、う蝕除去部に塗布したガラス粉末に低出力炭酸ガスレーザーを照射して緻密な耐蝕性に優れる無機質膜を被覆するという、新しい歯科シーリング治療のための特殊ガラスを開発する。炭酸ガスレーザーがリン酸基や水酸基に吸収されることに着目し、リン酸塩系ガラスをベースとした組成を設計し、最適な粒度や照射条件などを検討する。
899 高骨再生機能を付与した立体型不織布の開発 春日 敏宏 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 本課題では、エレクトロスピニング法(電界を用いて高分子を繊維化する手法)を基にした独自の手法にて、高骨再生機能を付与した立体型不織布を開発する。立体型不織布は、細胞の進入・担持機能に優れ、生体組織に類似した三次元構造を有することで高い組織統合性をもつと期待される。これに、骨芽細胞を活性化させる因子を徐放する機能を付与することで、目的とする材料の実現を図る。
900 準剛体回転流による高精密微粉分級における高処理量化法の開発 土田 陽一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 本研究は、サブミクロン域にわたる広い粒度分布をもつ、流体に不溶な種々の微粉体を、高速回転でも層流を保つ準剛体回転流中で、粒子に作用する遠心力と流体抗力の、粒度による差を利用して、極めて高い精度でほぼ均一粒度の複数の微粉体に分ける湿式遠心分級方式の開発・実用化を目指す。この分級方式は流れ場の生成条件に由来して少処理量向きであるが、高い精度を維持したまま、産業界の高処理量化の要望に応えるべく、高処理量化法を開発する。
901 学習・記憶障害治療候補薬U-50,488類縁化合物の効率的新規合成法の開発 中村 修一 名古屋工業大学 岩間 紀男 名古屋工業大学 近年の高齢化社会を鑑みると、高齢者の生活環境の改善を可能とする医薬品の開発は重要である。このような観点から、最近になって痴呆によって誘発される学習・記憶障害の改善効果があると報告されたU-50,488およびその類縁体は非常に興味がもたれる。そこで本研究では、代表研究者が独自に開発してきた不斉触媒的アジリジン開環反応を適用し、U-50,488類の新規簡便合成法を確立する。
902 美味しく食べて健康維持ー酵素パワーを利用した画期的な健康維持法の普及をめざしてー 佐々木 誠人 愛知医科大学 杉本 勝之 特定非営利活動法人バイオものづくり中部 本研究の目的は、食生活を変えることなく健康を維持する画期的方法を普及させ、国民健康維持に寄与することである。消化管内でも活性を有するオリゴ糖生成酵素を食事と一緒に摂取させ、血糖・脂質に及ぼす効果を検証し、メタボリックシンドロームの予防効果につきす検証する。また、酵素摂取の簡便さを達成するための最適な酵素配合や酵素量の決定、および遺伝子操作による酵素活性の効率化により、摂取しやすい小形状薬の開発を目指す。
903 強力な酸化反応性を有する強靱なRuポルフィリン担持高分子触媒の開発 樋口 恒彦 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 代表研究者らが開発してきた、強力な酸化反応性と高い触媒回転数を兼ね備え、極めて失活しにくい「ルテニウムポルフィリンー芳香族ヘテロ環N-オキシド」系を活性を十分保ったまま高分子化する。これにより触媒の繰り返し使用を容易にし、反応の後処理も簡便な実用性の高い反応系を構築する。本反応系を用いて、医薬品の、別途合成困難な代謝物の一段階合成を初めとして、従来困難だった酸化生成物の合成効率化や、新合成経路の提供、新規酸化反応様式の発見などへの幅広い応用を行う。また酸化剤の効率的合成法も検討する。
904 運転者の心拍・呼吸を用いた自動車運転時覚醒度維持・向上システムの開発 横山 清子 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 心拍や呼吸など自動車運転中での測定可能性を持つ生体信号を用いて運転者の眠気度を推定し、覚醒度低下検出時に覚醒度を高めるため、運転者自身の生体信号から作成した振動や圧力刺激を車のシート、ハンドル等から伝達する覚醒度維持・向上システムの開発を行う。
目的は、①心拍と呼吸を用い連続的に眠気度を推定する数理モデルの作成と、②心拍と呼吸を利用し、運転を妨げずまた負担が少なく快適に覚醒度が向上できる刺激の生成とその効果評価である。
905 高度光制御NOドナーを基にした生細胞用試薬キットの開発 中川 秀彦 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 生細胞用光NOドナーと、これを用いた生細胞へのNO投与法の開発を行う。これまで独自に開発してきた新規な骨格を持つ光ケージドNO供与化合物(光照射でNOを遊離する化合物)をもとに、生細胞に適用可能とするための構造修飾を行い、これを用いて任意の位置の細胞に任意のタイミングでNOを作用させる方法の開発を進め、NOの細胞間拡散の研究や生体内生成を模した投与による研究を可能とする有用な試薬キットの開発を目指す。
906 イオン性不純物への耐性を有するロバストな荷電コロイド結晶系の構築 豊玉 彰子 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 粒子表面に電荷を持つ粒子が水中に分散した「荷電コロイド系」は、粒子間の静電反発により規則正しく配列し、結晶構造を形成する。コロイド結晶の格子面間隔dは可視光波長のオーダーであり、新規光学素子への応用が期待されている。しかし粒子間静電反発は、数μMのイオン性不純物の存在により遮蔽され、結晶が融解する。コロイド結晶の実用化の大きな妨げとなるこの脆弱さを解消するために、本課題ではイオン性不純物への耐性を高めたコロイド系を構築する。
907 発蛍光型ヒスタグ標識試薬の開発と応用 梅澤 直樹 名古屋市立大学 片山 恵美子 名古屋市立大学 本課題は、代表研究者が開発した「ヒスタグ(His6)と選択的に結合し、発蛍光する試薬」を改良し、電気泳動ゲル用染色試薬としての実用化を進める。従来技術のほとんどは、「発蛍光する」という性質を持たないため、信頼性の高い検出が困難であった。既に開発している試薬は、ヒスタグとの結合が弱いため感度が低く、実用的とはいえない。本課題では蛍光試薬とヒスタグとの結合を強めることで、実用性の高い試薬を開発する。
908 ニワトリ由来抗体による薬剤耐性病原菌の簡易検出試薬の開発 山田 景子 名古屋大学 羽田野 泰彦 (財)名古屋産業科学研究所 重要な病原細菌である黄色ブドウ球菌は70%ほどが薬剤耐性化しているため、耐性菌かどうかを迅速に判定することは治療方針の決定に極めて重要でありニーズが高い。現在は培養に依存した検出方法しかないが、特異的なニワトリ由来抗体を用いて高感度・迅速・簡便な検出試薬の開発を試み、培養を介さない病原菌の検出を試みる。検出限界から算出し適用可能な対象検体の探索を行い、実用性の検討を行う。
909 脳標的化薬物送達を目的とするシャトル-ステーション型ステントの開発 鈴木 弘美 名古屋大学 吉田 勝 (財)名古屋産業科学研究所 現在、気道・胆管・血管などの狭窄部位挿入し、内側から広げ支える治療器具として使用されている合金製ステントを、埋め込み型の薬剤除去システム【シャトルステーション型ステント】として改良し実用化を目指すものである。提案期間には模擬生体内条件から小動物血管を用いた利用効率を検討する。
910 伝統的木造建築物の部材再使用における非破壊評価法の開発と応用 佐々木 康寿 名古屋大学 吉田 勝 (財)名古屋産業科学研究所 伝統的木造建築物の改修・改築等における部材再使用の可否について、代表研究者は部材中を伝播する応力波の速度のみを測定することにより、材料密度が未知のままで部材のヤング率を推定する方法を新しく開発した。しかし、建物改修の計画・設計ではヤング率と同時に部材の剛性も重要であり、部材の欠損等を含む場合の評価方法を考える必要がある。この課題では、新開発の方法で推定したヤング率をもとに、欠損をもつ構造部材の曲げ剛性を科学的に評価する方法を確立し、建物改修時の計画・設計・監理に活かそうとするものである。
911 新規タンパク血中および尿中濃度測定による精神疾患早期診断キットの開発 新田 淳美 富山大学 三浦 英靖 (財)名古屋産業科学研究所 代表研究者らは、覚せい剤精神病モデルマウスの脳側坐核において高い発現量を示す新規タンパクを見出した。本遺伝子については、行動薬理学的、生化学的および細胞生物学的に検討を行った。その結果、このタンパクはうつ病や統合失調症などの精神疾患と深い関わりを持つ可能性が示唆された。そこで、本研究では、研究代表者らが見出した新規タンパクの血液または尿中濃度を測定することによって精神神経疾患を早期に診断するキットの開発を試み、疾患患者における変化を健常人のものとの比較を行うことにより診断マーカーとしての価値を高め、企業との共同研究への移行を期待している。
912 亜鉛-グリニャール反応剤によるアルコール、アミンの工業的製造法の開発 波多野 学 名古屋大学 大森 茂嘉 (財)名古屋産業科学研究所 アルコールやアミンは、アルデヒド、ケトン、イミンのアルキル化が主たる工業的合成法である。しかし、工業的に汎用されているアルキル化試薬は、反応の制御が困難で、過剰量の試薬が必要な上、多くの副反応が併発する。本研究課題では、氷温から室温程度の温和な条件下で、アルコールおよびアミンを安価に製造できる高活性亜鉛触媒を用いたアルコールやアミンの合成技術をブラッシュアップし、実用可能な大量製造法を開発することを達成目標とする。
913 植物病原菌由来の活性酸素生成エリシターによる植物免疫誘導剤の開発 川北 一人 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 植物病原菌に対する植物の耐病化に向けて、植物の活性酸素種生成が抵抗反応誘導の始動的役割を担うことに着目し、活性酸素生成誘導物質の探索を行ってきた。本課題では、これまでに得られた活性物質や関連化合物について、過敏感細胞死誘導能といった抵抗反応誘導活性の解析を行う。さらに病原菌の植物への接種試験により免疫誘導剤としての有用性を明らかにする。
914 プロテインキナーゼ標的基質ハイスループット解析のプラットフォームの開発 兒島 孝明 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者はW/Oエマルジョン中でマイクロビーズに固定化したプライマーを用いた鋳型DNA1分子からの増幅によって、DNAライブラリーをビーズ上に構築するビーズディスプレイ法を開発した。この手法と無細胞蛋白質合成法により、ライブラリー由来のペプチドを提示させた“ペプチドビーズライブラリー”を迅速かつ簡便に作製することができる。本研究課題は、この手法を用いた創薬分野での標的分子であるプロテインキナーゼ基質新規ハイスループット探索法の確立である。
915 イネ科作物ソルガムにおける菌根誘導型養分トランスポーター遺伝子の同定と省エネルギー農業への応用展開 畑 信吾 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ソルガムは炭酸固定能の高いイネ科作物であり、重要な飼料作物であるほか近年はバイオエタノール原料としても注目されている。元々ソルガムは高温や乾燥条件に強いといわれるが、アーバスキュラー菌根菌との共生はその特徴をさらに助長すると期待される。本研究は、ソルガムのゲノムにコードされ菌根経由のリン酸ならびに窒素養分吸収に主要な役割を果たすトランスポーター遺伝子の同定や発現解析を通じて、環境に配慮した省エネルギー型農業の確立に貢献することをめざす。
916 改良型虫害抵抗性遺伝子の導入による耐虫性イネの創出 吉岡 博文 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ウンカ、ヨコバイ類はウイルスを媒介することで、イネに深刻な被害を与えることが知られている。従来の虫害抵抗性遺伝子を導入する育種法では、抵抗性を克服した加害性バイオタイプの出現により防除が困難である。本課題では、虫害抵抗性遺伝子の分子作用メカニズムの解明と、恒常的に活性化した抵抗性遺伝子をウンカ、ヨコバイが加害した部位のみで働かせることにより、強力かつ持続的、実用的な耐虫性組換えイネの創出を目的とする。
917 色素増感太陽電池用β-ジケトナートルテニウム錯体含有高分子色素の開発 松見 紀佳 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 クルクミンと二官能性ジクロリドとの重縮合により合成されたベータジケトン構造を有するポリエステルを高分子配位子として、今日の色素増感太陽電池において最も優れた色素の一つであるベータジケトナートルテニウム錯体を高分子化する。レアメタルであるルテニウムの分離回収に役立つと考えられるほか、有機色素であるクルクミンを含有することにより光捕集効果も期待される。また、高分子効果による酸化チタン電極との接着の改善により、色素溶出の防止や電子移動速度の向上も期待される。
918 酵母に見出した新規な寿命延長因子Ecl1ファミリーの解析と微生物産業への応用 饗場 浩文 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 代表研究者は、分裂酵母の経時寿命を延長させる新規遺伝子ecl1+, ecl2+, ecl3+を見出した。さらに、産業上有用な出芽酵母においても同様の遺伝子の存在と寿命延長効果を示す結果を得た。従って、ecl1+およびそのファミリー遺伝子を導入することで各種酵母の生理活性を長く保つための基盤が整った。本課題ではこれら遺伝子の機能解析を通して、発酵生産微生物の長寿命化と生産性の向上へと結びつけることを目指す。
919 病原性細菌の生育状態を安全にリアルタイム計測する装置 石浦 正寛 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 病原性細菌(病原菌)の培養は密閉系の振盪培養で行われるが、培養中に生育状態(細胞濃度や増殖速度)を安全に測定することは容易ではなく、実験者は感染の危険を伴いながら作業に従事している。また、操作は手作業であるため、多大な労力を要する。本課題では「病原性細菌を密閉状態に保ったまま培養しつつ培養容器外部から生育状態を全自動リアルタイム計測する装置」を開発して安価に市場へ提供することを目的とする。
920 好熱性藍色細菌の複数遺伝子を効率的に操作する方法 小内 清 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 高等植物と同じ光合成メカニズムをもつ好熱性藍色細菌は、水素発生バイオ分子デバイス(人工光合成)の生体材料の供給源として近年着目されている。このデバイスの実用化の鍵は、光合成系蛋白質複合体の人為的な改良であり、複数の遺伝子を効率よく操作する遺伝子操作法が求められている。本課題では、代表研究者が確立した遺伝子移入技術を基盤として、複数の遺伝子操作を効率良く行うための実験ツールを開発して市販化を目指す。
921 組換え体MAPキナーゼ・キナーゼを用いた活性型MAPキナーゼの製造方法の開発 町田 泰則 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 MAP キナーゼ (MAPK) は、真核生物におけるストレス応答や細胞増殖に関わるシグナル伝達系の中心にあるタンパク質リン酸化酵素である。MAPKがリン酸化するタンパク質を研究することは、ストレス耐性やガン化の仕組みを理解するために重要である。このような研究には、活性型のMAPKが必要であるが、その cDNAを用いて大腸菌で作らせた組換え体 MAPK タンパク質は不活性であり使用できない。本研究では、代表研究者が植物のMAPKの研究で発見した手法を応用して、動物のMAPKを簡便に活性化させる方法を開発し、大量生産を目指す。
922 葉緑体発光細胞を用いた環境調査キットの開発 松尾 拓哉 名古屋大学 井門 孝治 名古屋大学 本課題は遺伝子組み換えにより作製した葉緑体発光細胞を使って、土壌や水質を葉緑体の活性という点から評価するためのキットを開発することを目標とする。このキットは葉緑体発光細胞が保存されている保存バイアルと、発光基質液の入った基質バイアルから成り、検査方法は保存バイアルから細胞を採取し、発光基質液に懸濁し、調べたい土壌や水と混合するだけである。発光の強度からその土壌や水における葉緑体の活性を簡便に知ることが出来る。環境調査等を行う多くの機関・施設での利用が期待される。
923 有機化学物質汚染土壌地下水の生物修復速度の予測法の開発と応用 片山 新太 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 有機化合物による土壌地下水汚染に対し、微生物を用いた原位置浄化対策の修復速度(浄化期間)は、高濃度汚染域における微生物分解速度によって大きく影響を受けることがわかってきた。しかし、これまで高濃度汚染域の微生物分解に関する信頼性の高い予測方法は開発されていない。そこで、基礎地盤コンサルタンツ(株)と共同して、高濃度汚染域における微生物分解速度の予測法を開発し、その応用を試みる。
924 降温圧縮ねじり加工による高強度・高加工性マグネシウム合金の開発 久米 裕二 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 降温圧縮ねじり加工を用いて、マグネシウム合金の結晶粒径や結晶配向、析出物の形状・分散状態などの微視組織を高度に制御することにより、高強度・高加工性マグネシウム合金を開発することを目的としている。具体的には、圧縮応力下で連続的にせん断変形を付与できる「圧縮ねじり加工」の加工温度を高温から連続的に低下させ、今まで不可能であった低温での加工を可能にし、高度な微視組織制御を行い、高強度・高加工性を実現させる。
925 超音波キャビテーションを利用した殺菌システムの開発 香田 忍 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 水あるいは水溶液に超音波を照射したときに発生するキャビテーションに由来する高温・高圧反応場を利用した超音波殺菌法は、環境の観点から、塩素等薬品を必要とせずかつ暗所で利用可能な新しい方法である。本研究課題では、高い殺菌効果を示す500kHzの高周波数の超音波を利用したプロトタイプの流通型超音波殺菌装置を試作し、効率的な殺菌効果を示す超音波照射条件(強度、照射方法、液流速)を明らかにする。
926 元素置換材料を用いた超伝導体/誘電体複合型新規検出器の開発 井上 真澄 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 生体内の多種同位体の同時検出は医療・農業等の生体を扱う分野で非常に有効である。その検出効率および検出限界の向上に向け、簡易冷凍機での数Kで使用でき、現在使われている半導体検出器に比べ高感度で高エネルギー分解能を有する超伝導体/誘電体複合型放射線検出器を開発を目指す。本研究では、超伝導体と誘電体の特性変化を利用するこの検出器の基礎研究として、元素置換により特性を制御した誘電体薄膜および超伝導/誘電体積層共振器構造の作製技術を確立する。
927 緑および赤色発光を同時に示す希土類添加酸化物による白色LED用蛍光体の開発 吉野 正人 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 白色LEDに用いるための、青色励起で緑および赤色発光を示す、もしくは近紫外励起で三原色それぞれの発光を示す酸化物蛍光体の開発を目指す。作製条件および希土類イオン濃度によって変化する緑および赤色発光の強度比の制御、希土類イオンの吸収帯の青色〜近紫外域へのシフト、また、近紫外励起によるホストの青色発光、についての知見を、系統的な試料作製および発光・励起スペクトルの測定により得ることを目標とする。
928 マイクロマシン技術を用いた極低温検出器用立体型超伝導磁気センサの開発 赤池 宏之 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 本研究課題では、極低温検出器用立体型超高感度超伝導グラジオメータを実現することを目標とする。このグラジオメータは、極低温検出器の増幅器として超伝導磁気センサ(SQUID)を用いる場合に必要となる磁気シールドを不要にし、極低温検出器との接続法や冷却方法・コストの改善につながる。本研究では、環境磁場に対して耐性のある立体型超高感度超伝導グラジオメータを、マイクロマシン作製に用いられているエポキシ樹脂系レジストを応用することにより実現する。
929 溶媒抽出を用いた新規な廃油再生処理法 義家 亮 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 膜分離をともなう溶媒抽出を用いた新規な廃潤滑油再生処理法を提案する。廃潤滑油のマテリアルリサイクル(資源再利用)を促進するため、廃潤滑油中に含まれる重質炭化水素および無機系不純物の省エネルギー・低環境負荷の除去技術を開発する。再生油は潤滑基油としての利用を目指す。本研究においては、不純物除去性能の向上に適した膜材料および溶媒の種類を探索する。また、分離時間および溶媒使用量を節約するためのプロセス設計を行う。
930 レーザ計測を用いた燃焼場の可視化と乱流燃焼モデルの実証 林 直樹 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 省資源および地球環境問題の両面から、高性能・低環境負荷の燃焼器の開発は重要である。実際に用いられる燃焼の多くは乱流であり、構造が極めて複雑で、予測が非常に困難であることから、より高性能なシミュレーションのツールが必要となる。
本研究課題では、乱流火炎に対して、研究担当者が独自に提案している「拡張Laminar Flamelet Model」に基づく組み合せ法を用いた精密科学的な乱流燃焼モデルを用いた数値解析コードの開発、実証を行うために、複数のレーザを用いた火炎の発熱量、濃度場の同時計測を行う。
931 触媒フリーのディーゼル微粒子処理技術の開発 山本 和弘 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 バスやトラックなどのディーゼル車は産業や我々の生活に欠かせないが、その排気ガスに含まれるディーゼル微粒子は喘息や発がん性が懸念されるなど、人体や環境への影響が問題視されている。これにより東京都などの都市部では、非常に厳しいディーゼル微粒子の排ガス規制が導入された。しかし白金などの触媒に頼る従来の後処理技術では、貴金属の高騰や資源量の制約から今後の需要の増加に対応できない。そこで本研究では、触媒を用いないディーゼル微粒子処理技術の開発を行う。
932 柔軟構造物搬送用パワーアシストシステムの開発 原 進 名古屋大学 押谷 克己 名古屋大学 最近パワーアシスト機器の導入が注目されている。今後、大型パネルなど柔軟な構造物や精密機械も対象となると思われる。しかし、構造物の柔軟性を考慮したパワーアシストシステムはほとんど見られない。本研究課題では柔軟構造物搬送用パワーアシストシステムを開発する。アクチュエーションタイプが異なる2ケースを想定し、それぞれプロトタイプを用意し、各タイプの特徴にあったセンシング、制御則を明確にする。最終的に固有周波数数Hz程度の対象を容易に位置決めできることを目標とする。
933 治療用細胞のリスクゼロ評価システムの開発 加藤 竜司 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本研究課題は、再生医療などに用いられる治療用細胞の安全性を完全に維持しながら、その活性評価を行うためのシステムの開発を目指すものである。従来の破壊的な細胞評価法にとって代わる「1度も外気にサンプルを接触させない細胞評価」というコンセプトの元、既に市販されている簡易型位相差観察装置(密閉容器付)と、得られる観察画像の解析手法を融合することによって、臨床現場において培養中の治療用細胞の増殖度などの活性を簡易に数値化できるプロトタイプシステムの構築を行う。
934 3次元細胞挙動評価モデルを用いた抗がん剤効果予測システムの開発 本多 裕之 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 がん細胞の薬剤感受性は非常に多様であり、抗がん剤の副作用は重篤であることから、薬剤種類および投薬量を治療開始時に判定しテーラーメードで投薬するのが好ましい。本研究では、細胞外基質を包含する3次元ゲル中にがん細胞を磁気細胞パターニングにより細胞塊としてアレイ上に整列させ、生体環境に近い細胞培養評価系を構築し、抗がん剤の添加による細胞の生存や増殖阻害効果を定量化するシステムを開発する。抗がん剤感受性は細胞の微小環境により変化することから、様々ながん細胞および間質細胞との組み合わせにおいて抗がん剤の評価システムを構築する。
935 エネルギー移動を利用した遺伝子多型検出の高感度化 樫田 啓 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 本研究課題ではDNAに多数の蛍光色素を導入することで遺伝子多型検出の高感度化を実現する。すなわち、検出を行う蛍光色素(アセクプター)の他にエネルギードナーとなる色素を多数導入したDNAを合成する。その結果、励起されたドナーがアクセプターにエネルギー移動を起こしアクセプターが発光する。この手法では、検出のストークスシフトが増加するため、検出が励起光に阻害されず、高感度化を実現できる。
936 糖尿病合併症リスクモニタリング簡易システムの開発 大河内 美奈 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 糖尿病は合併症の病気といわれているように、血糖値管理の主目的は合併症の予防と進展の抑制である。このため、酸化ストレスにより生じる血管障害を予測・測定することが重要となる。代表研究者らは、血管障害を反映する新規インデックスとして赤血球の付着特性の変化を提案した。糖尿病患者の日常的な血糖値管理を支援するために利用されているPoint of care testing(POCT)用血糖値センサーと原理を同じくする合併症リスクモニタリング簡易システムの開発を目指す。
937 凝固中無磁場通電による鋳造材料の新規微細化技術の開発 岩井 一彦 名古屋大学 近藤 良治 名古屋大学 組織を微細化することで鋳造製品の機械特性が向上することは良く知られている。一方、電磁気力印加は鋳造組織をデンドライトから等軸晶へ変化させ、かつ結晶粒を微細化させるための有望な方法である。このうち、凝固中通電は磁石が不要なので簡便な装置構成でよく、工業化に適した技術である。そこで、鋳造工程において凝固中通電により組織微細化を行うプロセスを開発・最適化することで実用化を目指す。
938 マイクロ・ナノ機能性表面の創成加工技術の開発 鈴木 教和 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 本研究では、難削材料の超精密切削において優れた加工特性を持つ超音波楕円振動切削に対して、振動振幅をマイクロ・ナノメートルオーダで高速制御することにより能動的に切込み量を制御する加工システムの開発を行う。これにより、従来技術では不可能であった難削材料の自由曲面に対する超精密・微細なマイクロ・ナノ機能表面の加工を、高能率で創成することのできる実用的な加工技術の開発を目指す。
939 大面積居室における個別分散型空調システムの統合制御の開発 齋藤 輝幸 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 近年、比較的規模の大きい事務所建築においても個別分散熱源空調システムの採用が増加しているが、広いオフィス空間に多数の室内機が設置されている場合の適切な運用方法や設計基準は整備されていない。また、室内へ直接的に導入される外気が室内環境に与える影響に関しても十分に検討がなされていない。本研究課題ではオフィス空間における空調システムの運用状況と室内温熱・空気質環境の実測調査に基づき、省エネルギー性と室内環境制御の点から適切な設計・運用方法に関する検討を行う。
940 非水溶媒中溶媒和電子を用いた新規金属ナノ微粒子創製プロセスの開発 寺門 修 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 ナノサイズの金属微粒子は特異な物性を示すことから、その応用が期待されている。アルカリ金属などはアンモニアなどの非水溶媒に溶解し、溶媒和電子を放出して準安定な均一溶液を生成する。本課題においては、強力な還元剤として知られるこの溶媒和電子を用い、磁性材料等の金属ナノ微粒子合成プロセスの開発を目的とする。物性測定のために代表研究者がこれまで培ってきた溶液作成技術を用い、粒径を制御した製造プロセスの開発を狙う。
941 標準添加レーザー誘起蛍光法による燃焼ガス中一酸化窒素のその場濃度計測 吉川 典彦 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 燃焼過程で生成される窒素酸化物の大部分は一酸化窒素(NO)であり、その濃度計測は重要である。レーザー誘起蛍光法(LIF)は、レーザー吸収によってNOを電子励起させ、下の準位に落ちる時に放射される蛍光強度を計測する方法である。既知濃度のNOを添加して、モル分率と蛍光強度の線形関係から、添加しない場のNO濃度を決定する(標準添加法)。今回の研究では、計測法の精度や計測法の適用範囲・限界を明らかにすることに注力して、多くの燃焼機器に適用できる実用計測法への発展を目指す。測定下限界1ppm、相対誤差5〜10%以下の確立を目指す。
942 MOSトランジスタによる薄膜構造体の応力検出技術の開発 安藤 妙子 立命館大学 金子 靖 名古屋大学 薄膜構造体上に形成したMOSトランジスタを利用し、薄膜変形時における電気特性の変化から局所的な応力検出を実現する、新たな薄膜材料用機械的特性評価の方法を開発する。このためトランジスタを組み込んだ薄膜の引張試験を実施し、トランジスタのキャリア移動度と薄膜表面に生じる応力の関係を明確にする。トランジスタを応用することで、局所応力の測定が可能となる高空間分解能な応力検出センサの実現が期待できる。
943 誘電体微細構造と表面極性の同時観察法の開発 佐々木 勝寛 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 電子・光学デバイスに用いられている誘電体材料は、ナノ領域での誘電分極を制御して作製されている。しかし、誘電分極を直接測定する方法は限られている。本研究では、研究代表者により考案された透過電子顕微鏡内電場測定法の影像歪法と透過電子顕微鏡内デバイス観察用ホルダーを用い、レーザー波長変換誘電体素子の誘電分極による表面極性の直接測定と微細構造観察を同時に行うことの出来る装置を開発する。
944 低温燃焼用銀ナノクラスター触媒の開発と機構解明 清水 研一 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 高燃費、低CO2排出量の利点を持つハイブリッド車の普及が確実視されるが、ガソリン車に比べ排ガス温度が低いためCO、炭化水素の燃焼除去は一層困難となる。現在、白金系触媒による燃焼法がハイブリッド車、ガソリン車に搭載されているが、耐熱安定性の改善が強く望まれる。インド・中国での自動車需要拡大を考慮すると、安価で資源量の豊富な材料を用いた高活性・高耐熱性触媒の開発が急務である。本研究では代表研究者らが独自に開発したAgアルミナ触媒(Agクラスターをアルミナ表面に分散させた固体)の実用化に向けた触媒設計指針の構築を目的とし、CO、炭化水素燃焼における反応機構、熱・硫黄劣化抑制機構を検討する。
945 pH応答機能を有するハイブリッドマイクロカプセルの開発 片桐 清文 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 本研究課題では、コロイド粒子をテンプレートに用いて、その表面に交互積層法によって、層状複水酸化物(LDH)ナノシートをコーティングしてコア−シェル粒子を合成し、テンプレート除去によってマイクロカプセルを作製する。LDHナノシートの酸に対する溶解性を利用することで、pHの変化に応答して内包物をオンデマンドで放出する機能を発現させることを目指す。さらにLDHシートの積層数などで、内包物の放出速度をコントロールし、薬物運搬体などへの応用をはかる。
946 遺伝子治療用プラスミドDNA精製装置の開発 片桐 誠之 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 近年、先天性疾患等に対する遺伝子治療法の開発が活発に行われるようになっており、それに伴い医療品純度のプラスミドDNAを大量生産するのに適した産業レベルでの分離・精製法の開発が求められている。本研究では、スケールアップが可能なプラスミドDNAの精製および濃縮法としてアフィニティ膜濾過法に着目し、プラスミドDNAと親和性のあるリガンドと分離膜とを利用して微生物から高純度のプラスミドDNAを得る、一連のプラスミドDNA精製プロセスを構築し、装置開発を行う。
947 無機−有機ハイブリッド型結晶性固体リチウムイオン伝導体の開発 守谷 誠 名古屋大学 金子 靖 名古屋大学 現行のリチウムイオン電池に電解質として含まれる可燃性液体は漏液や発火事故の主たる原因となっているため、安全性向上のため電解質の固体化・不燃化が求められている。申請者は入手容易かつ安全な原料から、実用レベルに肉薄するイオン伝導度を示す新規無機−有機ハイブリッド型固体リチウムイオン伝導体を開発しており、本研究課題では得られたイオン伝導体のイオン伝導体とリチウムイオン輸率をさらに向上させ、固体リチウムイオン電池の実用化に貢献する。
948 超撥水性膜を用いた細胞培養法による四肢再生技術の開発 建部 将広 名古屋大学 上井 大輔 名古屋大学 四肢欠損に対する再生現象には幹細胞凝集が必須条件であることが知られており、哺乳類ではこの段階が円滑に進まない。そこで培養未分化間様系幹細胞移植が試みられているが、現時点では未分化状態を保ったまま十分な大きさの細胞塊を誘導する技術が確立されていない。本研究では代表研究者が独自に開発した超撥水性膜を用いた3次元細胞培養法を用い、scaffoldを用いずに十分な大きさの未分化間様系幹細胞塊を形成し、これを移植して哺乳類での四肢再生を実現する。
949 近赤外線を用いた周囲組織を透視可能な内視鏡技術の開発 山本 美知郎 名古屋大学 上井 大輔 名古屋大学 内視鏡技術の発達を受け、多くの外科領域で従来の切開手術に代わり内視鏡下での低侵襲手術が実施可能になってきている。一方で、内視鏡では腸管や関節内など組織の内側からの限られた視野しか得られないため、周辺の血管や神経を誤って損傷する事故が絶えない。このため内視鏡下手術では従来の切開手術に比較して技術の習得がはるかに難しいとされる。代表研究者が開発する内視鏡は近赤外広帯域光源を用いることで腸管や関節腔外の組織を透視することを可能とし、これにより初心者でも安全に内視鏡下手術が実施できるようになるものと期待される。
950 感覚センサーと脳をつなぐインターフェースの開発 平田 仁 名古屋大学 上井 大輔 名古屋大学 現在実用化されている電動義手は指尖部の感覚センサーは動作制御のフィードバックメカニズムとして用いられているが、本研究ではこの感覚センサーからの触覚情報を痛み情報と区別をした上で直接末梢神経系に伝送し、患者の意思に基づいた電動義手の制御を可能とすることを目的とする。
951 高卵黄輸送能を有するトリ化ヒト抗体の開発と抗体生産への応用 村井 篤嗣 名古屋大学 森 典華 名古屋大学 鳥類の血液中に存在するトリ抗体(IgY)は卵黄形成の実質組織である卵胞へ選択的かつ高効率に輸送される。この性質を利用して、トリにヒト抗体(IgG)の遺伝子を導入して、生合成されたヒトIgGを卵から回収する試みがなされている。しかしながら、ヒトIgGはトリIgYに比べ卵黄への輸送能が劣るため、この欠点の改良が必要とされる。そこで、ヒトIgGの構造に改変を加えたトリ化ヒトIgGを新たに生産し、卵黄へヒト抗体を高濃度で蓄積させるための基盤技術を開発する。
952 人工心肺を用いない大動脈弁狭窄症手術法の開発 碓氷 章彦 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 本研究では、人工心肺を使用せずに大動脈弁狭窄症を根治する新規術式の開発を目指す。左心室の尖端(心尖部)から新しい血液駆出路を作り、下行大動脈へのバイパスを作成する術式で、心尖部に駆出路を作成するために、ワンタッチで挿入固定できるステント型導管を開発する。本術式の開発により、低侵襲のの外科治療が可能であり、高齢者・高リスク患者においても安全に手術が遂行できる。
953 快適睡眠を得るための環境設定技術の開発 野田 明子 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 24時間社会および高齢化社会において不眠などの睡眠障害症状を訴える割合は増加している。快適睡眠生活環境は健康維持において非常に重要である。夏季の高温多湿環境では覚醒が増加し、レム睡眠や深睡眠は減少する。一方、冬季の低温環境では覚醒が増加し、レム睡眠の減少が認められる。本研究では、ベッド内の温度・湿度などを調整して、快適睡眠を維持できる環境設定技術を開発し、その効果を検証することを目的とする。
954 Hsp90阻害剤によるポリグルタミン病の治療法の開発 足立 弘明 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 ポリグルタミン病は責任遺伝子のcoding region内のCAGリピートの異常延長によって引き起こされる遺伝性神経変性疾患で、神経細胞内に変異した病因蛋白質が蓄積して病態が形成され、有効な治療法が存在しない。Heat shock protein 90 (Hsp90)阻害剤には、変異蛋白質の分解を促進する効果が期待され、本研究ではポリグルタミン病マウスモデルを用いてHsp90阻害剤の治療効果を見出し、臨床応用へ発展させる。
955 ヒトにやさしい新世代スポーツ人工芝の開発 布目 寛幸 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 近年、天然芝にくらべ維持管理がしやすいスポーツ用ロングパイル人工芝(毛足の長い人工芝に砂・ゴムチップ等を充填したもの)の普及がめざましい。しかしながら、現行の安全性評価基準には、人工芝がヒトに対してどのような負担を与えるのかという視点が欠如しており、一般に人工芝が天然芝に比べて、捻挫や骨折などスポーツに関連した傷害がより起こりやすいと考えられている。本研究は、バイオメカニクス的観点から天然芝がヒトの衝撃力を緩衝するしくみを詳細に明らかにし、それらの結果をもとにヒトにやさしい新世代スポーツ用人工芝の開発を目指す。
956 腹腔鏡下手術用トロッカー挿入・バーチャルリアリティ・シミュレータの開発 藤原 道隆 名古屋大学 石山 慎一 名古屋大学 内視鏡下手術治療が急速な発展、普及をみせているが、腹部の疾患に対する腹腔鏡下手術では、最初に腹腔内にアクセスする第1トロッカー(ポート)挿入時の腹腔内臓器損傷が以前より報告されており、実際、当科においてもトロッカー挿入による事故が起こっている。実際の手術において訓練するのに代わって、腹腔鏡下基本操作やいくつかの基本的な手術手技に関して、バーチャルリアリティ(VR)・シミュレータが開発されてきているが、最も基本的かつ重要なトロッカー挿入手技に関しては未だVRシミュレーションは実現していない。研究担当者は、本研究において、トロッカー挿入法を訓練するVRシミュレータの開発を行う。
957 新規磁性ナノ粒子による肝移植イメージング:三次元培養による磁性粒子の安全評価系の確立 宮本 義孝 名古屋大学 武野 彰 名古屋大学 あらかじめ患者に移植する細胞や組織を磁気標識し、患者の体内動態をイメージング(核磁気共鳴イメージング:MRI)可能な新規磁性ナノ粒子を開発する。これまでに、膵島モデルにおいて、新規磁性粒子の細胞標識が可能であり、有効であることを報告した。本課題では、三次元培養を用いて、新規磁性ナノ粒子の細胞への生体毒性や適合性などの安全性について検証する。
958 分子状水素の抗酸化作用分子機構の解明と新規生理活性分子の同定による神経変性疾患発症予防法の開発 大野 欽司 名古屋大学 武野 彰 名古屋大学 分子状水素はハイドロキシルラジカルのみを選択的に不活化する抗酸化剤であり、代表研究者らはマウスにおける飲用水素水のパーキンソン病発症予防効果を2009年に報告をした。一方、ビタミンCやビタミンEなどラジカル非選択性の抗酸化剤は、パーキンソン病に対する効果がない。本プロジェクトでは、分子状水素の抗酸化作用の分子機構の解明を行うとともに、水素の生理活性を増強する分子の同定を行う。
959 歪み超格子半導体スピン偏極電子源の効率向上による小型・高性能化 竹田 美和 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 これまで開発してきたスピン偏極電子源は、励起光源にTi:Sapphireレーザーを必要とし、大型・高価で汎用性に欠ける。小型・低コスト化には、小型半導体レーザーで同等の性能を達成する必要がある。それには、フォトカソードのバンドチューニングと高量子効率化が鍵となる。そのため、半導体レーザー光の波長域で励起されるように、超格子構造の再設計によりバンドチューニングを行い、さらに、歪み補償型超格子の採用により結晶を高品質化することで量子効率を向上させ、これにより、汎用性の高い小型高量子効率スピン偏極電子源を実現する。
960 自動車用部材としてのハイコストパフォーマンスシリカ/ポリカーボネート系ナノコンポジット材料の開発 棚橋 満 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 量産に適した簡易手法により、高剛性・高耐衝撃性を有するシリカ/ポリカーボネート(PC)系ナノコンポジットを調製することを目的とした研究である。シリカナノ粒子の水溶液分散系(ゾル)の安定度を制御することで孔構造や強度を制御したシリカナノ粒子凝集体を予め作製し、これを溶融状態のPCと共に混練することにより、PC融体内部で解砕・分散させる。このような本系ナノコンポジットの簡易調製技術の確立に加え、コンポジットの機械的特性も評価して、耐衝撃性が要求される自動車用構造部材への適用の可能性を探索する。
961 気相原料供給型溶液法によるSiCバルク結晶成長 宇治原 徹 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 パワーデバイス材料として期待されるSiCは、高品質結晶の成長が難しく、高コスト等の問題もある。近年、従来の昇華法に代わる方法として、高品質結晶育成に向いている溶液成長法が検討されている。溶液法は、これまで成長速度が遅いという問題が指摘されていたが、それについては溶媒への元素添加により目処がつきつつあり、いよいよ大型結晶化が現実味を帯びてきた。本研究は大型結晶化から量産へ向けて必須となる連続成長の課題を解決するものである。
962 血液の凝固付着を抑制する複合材電気メスチップの開発 梅原 徳次 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 電気メスは,高周波電流を用いて、組織を切開するとともに、微小血管を凝固により閉鎖することで出血させないで手術ができる機器である。しかし,微細血管の豊富な肝臓の手術等において微細血管の封止のために使用する電気メス先端に、血液及び細胞が凝固し焦げ付くため、放電が不可能となり、電気メスが使用不可となり大きな問題となっている。本研究ではこの問題を複合材により解決する。
963 アルミニウム表面への高摺動性皮膜の開発と応用 市野 良一 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 駆動系の機械部品には必ず摺動部が存在し、摺動部の特性は機械特性、さらにはエネルギー効率に影響を及ぼす。ここでは、アルミニウム部材の摺動部の高機能化について検討する。アルミニウムの高機能化の一つに陽極酸化法による皮膜形成がある。この陽極酸化皮膜は、作製条件によりバリアー構造やポーラス構造を形成し、機械的特性を発現させている。陽極酸化皮膜を複合化することにより、さらなる高機能化を図る。
964 ろ過性能を飛躍的に向上させる被処理液前処理技術の開発 森 隆昌 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 被処理懸濁液中の微粒子を、一次粒子を残すことなく塊状に凝集させることができる調製方法を確立する。さらに塊状凝集処理した被処理懸濁液を代表研究者が開発した新規高濃縮ケークレスろ過技術に適用することで、これまでよりも高濃度まで流動状態を保ったまま被処理懸濁液を濃縮すること、及び高いろ過速度を維持したまま長期間運転できることを実現する。
965 創薬支援を可能にする新規蛋白質結晶評価器具 渡邉 信久 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 近年の論理的創薬では、標的蛋白質の立体構造を得た後、多種多様な有機化合物と蛋白質の複合体の結晶構造解析を行なうことでリード化合物の設計指針情報を収集する。蛋白質結晶に有機化合物を添加剤として加える過程で結晶にダメージが無いか、さらには結晶中の蛋白質に化合物が結合したかを迅速に評価する手法が必要である。本課題では、直接X線評価が可能な結晶化プレートの技術を発展させることでこれを実現する。
966 木造住宅のリアルタイム応急危険度判定システムの開発 古川 忠稔 名古屋大学 野崎 彰子 名古屋大学 日本各地の人口密集地域では、木造住宅が巨大地震発生時に被害を受け、住民は公共施設に避難するが、収容人数は住民数に対して圧倒的に不足している。そこで建物応急危険度判定を地震発生後速やかに実施し、倒壊の危険がある住居の住民のみを収容する仕組みを構築せねばならない。
現状では、木造住宅の応急危険度判定は専門家の目視で行われ、巨大地震発生後は十分に機能できない。本応募はこの問題を解決するため、開発中の可変振り子センサをベースに可搬型の応急危険度判定システムを開発するものである。
967 高周波用マイクロ波誘電体材料とそのLTCCの開発 菅 章紀 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 本課題では、マイクロ波・ミリ波帯など次世代通信において必要とされる高Qマイクロ波誘電体の創成を目的とし、従来のセラミックより遙かに高い品質係数(Q・f)とゼロに近い共振周波数の温度係数(τf)を持つ誘電体材料を低温領域にて合成可能な誘電体材料の創成とその合成プロセスの確立を行う。さらに、それらの高Q材料を用いて積層デバイスに必要不可欠な低温同時焼成セラミックス(LTCC)の開発を行う。
968 耐塩性ラン藻のNa+/H+アンチポーター遺伝子を用いたストレス耐性エネルギー植物の開発 高倍 昭洋 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 死海の耐塩性ラン藻(Aphanothece halophytica)のナトリウムの排出に関与するNa+/H+アンチポーター遺伝子をバイオエネルギー作物として注目されているシュガービートに導入し、塩、乾燥に強いエネルギー植物を開発する。このことにより、塩、乾燥地域でのエネルギー植物を開発するのみでなく、通常の条件でも糖含量の向上したエネルギー植物の作出を目指す。
969 温度差法を用いた持続的成長が可能な液相成長技術の開発 成塚 重弥 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 本研究では、液相成長の限界を打破し、持続的に成長が可能な成長方法を提供することを目的とする。そのため、本研究では温度差法に着目する。温度差法では、原料基板側の温度を高くし成長原料を継続的に溶解させ、一方、低温に保った成長基板側では持続的に成長をおこなう。良好に温度差法をおこなうためには、溶液内の温度差を大きくつけることが必須であり、本研究では、効率よく温度差が形成できる成長炉の改良に主眼をおく。
970 製剤の肺内分布を考慮したsiRNA微粒子吸入剤開発 岡本 浩一 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 small interfering RNA(siRNA)はmRNAを配列特異的に切断し、遺伝子発現を抑制する。肺がんなど呼吸器疾患には吸入によりsiRNAを直接投与可能である。しかし、製剤の肺内分布と遺伝子発現抑制効果を同時に検討した例はない。今回、種々のsiRNA微粒子製剤を調製し、当研究室で開発した蛍光/発光イメージング法により、siRNA吸入剤の肺内分布と遺伝子発現抑制効果を同時に評価し、製剤の最適化を図る。本法は実験動物を生かしたまま測定できるので、同一個体での遺伝子発現抑制効果の経時変化も評価可能である。
971 GSCIPによるリモート学内サービスの提供 渡邊 晃 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 現状、組織のネットワークとインターネットの間にはNAT(Network Address Translator)が必要で、インターネット側からの通信開始ができないという大きな制約がある(NAT越え問題)。代表研究者は、GSCIP (Grouping for Secure Communication for IP;ジースキップ)と呼ぶ独自のネットワークアーキテクチャで、セキュリティを確保しつつNAT越えの問題を解決する方法を確立した。本研究では、学内情報センターとの協力のもとにGSCIPを学内ネットワークに実際に適用しその課題を洗い出す。
972 汚染土壌洗浄剤のテーラーメード水処理システムの構築に関する研究 田村 廣人 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 土壌洗浄には、汚染物質の物性に対応した固有の界面活性剤を使用する必要があるが、使用した界面活性剤が新たな環境負荷となる。しかし、多様な界面活性剤それぞれに対応する分解微生物を単離・同定し、界面活性剤と分解微生物をセットにしたデータベースを構築する様な研究はこれまでになく、洗浄水浄化技術の開発には必要不可欠である。簡便・迅速な分解微生物の同定には、従来の遺伝子塩基配列の解析による微生物同定とは全く異なるタンパク質のプロテオーム解析法を開発する。
973 高効率ポーラスSiC蛍光基板の開発 上山 智 名城大学 松吉 恭裕 名城大学 黄橙色のドナー・アクセプタ・ペア発光が可能であるNおよびBが添加された6H-SiC結晶を用い、陽極酸化によるポーラスSiCを作製技術を確立して、青色から緑色にかけての短波長蛍光材料の高効率化を行う。本課題では特に、結晶の平均サイズを制御する陽極酸化技術と、発光効率を支配する表面準位低減のためのパッシベーション技術に重点をおいて研究を実施する。
974 少量多品種展開を可能とするビアプログラマブルデバイスの開発と実用化 吉川 雅弥 名城大学 西村 亮 名城大学 本研究では、少量多品種展開を可能とするフォトマスクレスの新しいビアプログラマブルデバイスの開発と実用化の道を拓く。これまでに、複合型Exclusive-ORとインバータを組み合わせた回路を基本論理素子とするビアプログラマブルデバイスVPEXを開発し、基本論理素子としての有効性を確認している。しかし、VPEXは独自のアーキテクチャのため、一般的なASICやFPGAのCADツールを用いることができない。そこで本研究では、VPEXの実用化のために必要不可欠な専用CADシステムを新たに開発する。
975 海鳥を用いた海洋環境の変動をモニタリングする手法の開発 新妻 靖章 名城大学 西村 亮 名城大学 海鳥類は海洋生態系の高次消費動物であるため、その周辺海域の海洋環境の指標となる。日本列島の沿岸には多くの海鳥類の繁殖地があり、海鳥は日本周辺海域の海洋環境変動をモニタリングする指標となる。しかし、簡易的かつ適切な海洋環境の指標となる海鳥類のモニタリング手法は確立されていない。そこで本研究では、異なる海洋環境下で繁殖する海鳥類の内分泌物質を用いたストレス評価と、安定同位体比と吐き戻しを用いた餌資源の評価を行い、個体群間の比較を行うことで、海鳥を用いた海洋環境のモニタリング手法の開発を目的とする。
976 吸入製剤のin vivo肺内送達度モニターシステムの構築 奥田 知将 名城大学 西村 亮 名城大学 ドライパウダー吸入療法は、喘息など肺局所性疾患の有効な治療法である。しかし製剤の物理化学的性質・患者の健康状態・吸入パターンの違いなどの諸条件により吸入後の肺内分布が異なることに起因した治療効果への影響が懸念される。そこで本研究では、吸入製剤の肺内送達度を非侵襲的に評価可能なモニターシステムの構築を目的とし、評価に適した新規近赤外蛍光指示薬を封入したラベル化ドライパウダー吸入製剤の開発を行う。
977 イネに菌核病を引き起こすRhizoctonia属菌の菌種内多様性 稲垣 公治 名城大学 西村 亮 名城大学 イネの菌核病にはその品質に大きな影響を及ぼす数種菌核病の中に、赤色菌核病と褐色菌核病菌が含まれる。これら2種病害の病原菌について北海道=九州より採集・分離し、また近隣諸国採集のものを供試して、菌種内多様性についての知見を得ることを目的とする。具体的な実施内容としてDNAフィンガープリント解析、菌体内脂肪酸組成、培養的諸性質を調査して病原菌系統樹を作成し、これらの調査を通して各菌群とイネ栽培品種との関係を調査し、イネの菌核病を網羅するデータベースの構築を目指す。
978 ヒトの免疫細胞グルカン受容体を用いた免疫賦活食品の探索と評価系の開発 氏田 稔 名城大学 西村 亮 名城大学 ヒトの免疫細胞の表面にはβ-グルカン受容体が存在し、キノコなどに含まれる特定の構造のβ-グルカンが結合すると情報が伝達され、免疫細胞が活性化される。このような免疫賦活作用はヒトのがん治療にも応用されているが、その分子メカニズムには不明な点が多く、科学的に解明されているとは言いがたい。本研究では、組換えヒトβ-グルカン受容体を用いてβ-グルカンによる免疫賦活作用の分子基盤を明らかにするとともに、その知見を応用して新規の免疫賦活食品を探索・創製し、さらに免疫賦活作用に対する科学的な評価システムを開発することを目的とする。

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