No. |
研究課題名 |
研究者 |
コーディネータ |
研究概要 |
氏 名 |
所 属 |
氏 名 |
所 属 |
1 |
寒冷地で通年利用可能なバイオディーゼル燃料の開発 |
西條 大輔 |
(財)十勝圏振興機構 |
飛川 剛 |
(財)十勝圏振興機構 |
バイオディーゼル燃料は環境負荷の低い軽油代替燃料として注目を浴びているが、低温での流動性が悪く、北海道のような寒冷地(特に十勝地域では最低気温が-20℃を下回る)において冬期間利用するためには、低温特性の改善が望まれている。本研究では、開発事例の少ない低温晶析技術(ウィンタリング)について検討し、-20℃以下で使用可能な燃料の精製方法を確立する。 |
2 |
長いもを原料とした有用乳酸菌保護剤の開発 |
川原 美香 |
(財)十勝圏振興機構 |
飛川 剛 |
(財)十勝圏振興機構 |
北海道・十勝の代表的な作物である長いもに含まれる特有の粘性物質には体内の粘膜組織を保護する作用があり、外因性のダメージ緩和能が期待されている。一方、特定保健用食品の約4%が乳酸菌の腸内改善効果に基づくが、有用乳酸菌の多くが摂取後に消化器官内で死滅しやすく、現状では限られた菌種しか活用できていない。本課題では、幅広い有用乳酸菌をコーティングして腸まで到達可能にする、長いもを原料とした乳酸菌保護剤の開発を目的とする。 |
3 |
低酸素ストレスを応用した水産軟体動物の呈味強化技術の開発 |
吉岡 武也 |
(財)函館地域産業振興財団 |
沢谷 拓治 |
(財)函館地域産業振興財団 |
水産軟体動物は生育環境の変化への耐性として、低酸素下において生き延びるための特徴的な嫌気的代謝機構をもち、その結果として正常時とは異なった代謝物が産生される。本研究は活きた二枚貝(ホタテ貝、ホッキ貝)を実験材料に用い、種々の低酸素環境下で保管した際の嫌気的代謝により生成した特異成分よる呈味性の変化を、呈味成分の理化学分析と官能評価を通して評価し、低酸素ストレスによる自発的呈味強化の技術開発を目指す。 |
4 |
水分種分布・燻煙ハイブリッド制御による食品設計技術の開発 |
小西 靖之 |
(財)函館地域産業振興財団 |
沢谷 拓治 |
(財)函館地域産業振興財団 |
燻煙粒子をマイナス帯電し、数分で燻製処理が出来る「電子スモーク」法は、多様な製品開発に有効である。この電子スモーク法を様々な製品設計に適応するために、(1)燻煙成分吸着機構と食材複合水分種分布との定量的評価、(2)燻煙成分の食材内部拡散機構と食材水分種分布の定量的評価、(3)燻煙加工の最適操作法のための操作パラメータの可視化を行う。 |
5 |
糖尿病網膜症における炎症性サイトカインの網膜循環への影響と新規治療法開発 |
長岡 泰司 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
糖尿病網膜症の病態には炎症が関与していることが明らかとなった。炎症性サイトカインであるTNF-αとIL-6の網膜血管内皮機能への影響をin vivo摘出血管とin vivo生体実験系において検討し、抗TNF-α抗体および抗IL-6レセプター抗体による網膜血管保護作用を検討する。 |
6 |
内皮前駆細胞抑制剤drug delivery systemの開発 |
川辺 淳一 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
内皮前駆細胞(EPC)の機能維持に必要な遺伝子の欠損マウスを用いて、転移癌の増殖にEPCが重要であることを見出した。 本研究の目的は、同遺伝子機能を抑制するEPC機能抑制薬とdrug delivery system (DDS)と組み合わせることにより腫瘍組織内のEPC機能を選択的に抑制する新しい抗癌治療薬を開発することである。 そのために EPC機能抑制薬/DDSを作成し、マウス癌転移モデルを用いて同薬剤/DDSの腫瘍増殖に対する抑制効果を明らかにする。 |
7 |
バレット食道における異常遺伝子の正常化に基づく新規食道癌予防法の開発 |
盛一 健太郎 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
バレット食道癌は、近年欧米では急速な増加を認め、食道癌の過半数を超えるとされる。本邦でも、将来のバレット食道癌の増加が懸念されている。しかし、バレット食道癌の発生母地であるバレット上皮の分子基盤は不明な点が多く、有効な治療法は存在しない。本研究ではバレット食道における遺伝子異常プロファイルを明らかにし、遺伝子異常の原因となる物質を同定する。さらに、それらの結果を基に新たな治療法の確立を目指す。 |
8 |
薬物の血中濃度予測のためのトランスポーター遺伝子変異解析技術の開発 |
神山 直也 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
トランスポーターは細胞膜貫通型のタンパク質で、内因性物質や外来の薬物などを基質として細胞内外を結ぶ輸送経路として機能しており、近年ではトランスポーターの遺伝子変異と薬物治療における血中濃度の関連性が指摘されている。代表的な排出系トランスポーターでありカンプトテシン誘導体を基質とするBreast Cancer Resistance Protein(BCRP)に着目し、日本人集団を対象として変異のスクリーニングを迅速に行うために選抜した変異部位を判定する方法の開発を行う。 |
9 |
一塩基多型特異的な増幅反応に基づくABO式血液型判定法の開発 |
浅利 優 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
血痕や毛髪からの抗原検査によるABO式血液型判定が困難な場合には、試料中に残存するDNAからの遺伝子型(一塩基多型)検査が有効である。本研究では、一塩基多型特異的な増幅反応を用いたABO式血液型判定法を開発する。増幅反応にはARMS原理に基づいてミスマッチ塩基を導入したプライマーを設計し、連続PCR法を用いることで検出感度、特異性、簡便性の向上および低コスト化を図り、法医鑑定法としての実用化を目指す。 |
10 |
低酸素応答性転写因子を標的とする新規糖尿病性腎症治療法の開発 |
牧野 雄一 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
糖尿病性腎症は、人工透析導入の原疾患第一位に位置し、その克服は、臨床・社会医学的に重要な課題である。病理学的には腎糸球体メサンギウム細胞における細胞外基質産生の増加とメサンギウム領域の拡大を特徴とする。しかしながら、発症メカニズムは不明な点が多く、有効な予防、治療法も確立されていない。本研究開発では、糖尿病性腎症における低酸素応答性転写因子HIF-1の役割を明らかにし、新たな糖尿病性腎症治療法の開発を目指す。 |
11 |
血管平滑筋弛緩作用物質の簡易スクリーニング法の開発 |
仙葉 愼吾 |
旭川医科大学 |
尾川 直樹 |
旭川医科大学 |
本研究では、血管平滑筋の収縮・弛緩を制御する様々なタンパク質のリン酸化状態を簡便な電気泳動法によって同時に解析する方法を開発する。この方法を用いて、血管平滑筋弛緩作用を持つ様々な化合物の簡便なスクリーニング法を開発する。 |
12 |
温度応答性・形状記憶能を有するゲルの物質送達材料としての応用 |
沼田 ゆかり |
旭川工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
バクテリアセルロースゲルを水の代わりにポリエチレングリコール(PEG)で膨潤すると、PEG分子量に依存して白色固体から透明ゲルへ可逆的に変化する温度応答性および形状記憶能を有する機能性ゲルが得られる。バクテリアセルロースゲルとPEGともに生体適合性をもつことから、ドラッグデリバリーシステムや化粧品材料(パック剤)などの物質送達材料としての応用を検討し、実用化の見通しを得る。 |
13 |
フォトニック結晶デバイス設計支援に関する研究 |
佐藤 慎悟 |
釧路工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
フォトニック結晶デバイスの設計支援技術として、高速汎用電磁界解析法の研究を行う。解析法は、電磁界を完備波動関数で展開する手法の長所と、汎用数値解析法の長所を兼ね備えたハイブリッドトレフツ有限要素法である。本研究では、トレフツ要素のみで要素分割することで、解析に必要な要素数を低減させ、数値解析の高速化を目指す。 |
14 |
スチーム回収に伴う温度差発電の制御システム |
浦家 淳博 |
釧路工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
ゼーベック効果を利用した熱電変換素子を中心として構成した温度差発電装置によって、未利用エネルギーの活用技術を開拓する。具体的には、工場等で発生する余剰スチームを液化回収する際の、スチームと低温水の接触部分で得られる温度差を電力として取り出す。断続的に行われるスチーム回収から、安定した電力供給システムを実現し、実用化を目指す。 |
15 |
リサイクルアルミニウムを用いた硬質化合物分散ポーラス素材の開発 |
岩渕 義孝 |
釧路工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
鉄や銅などを含有するため、カスケードリサイクルされる廃棄アルミニウムを再利用して、ポーラス素材を開発するもので、さらに一歩進んで、これらの有害金属を除去することなく、積極的に利用することで、金属間化合物を晶出形成させ、気泡の均一分散核および硬質相として活用した素材を製造するプロセスを確立するものであり、開発する素材は、アルミニウム基地中に、硬質の微細金属間化合物が均一分散している。 |
16 |
ユビキタスネットワーク向けの信頼性の高いルーティングプロトコルの開発 |
高橋 修 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
ユビキタス時代の到来に備え、アドホック性、モバイル性を考慮した新しいネットワーキング基盤の構築が必須である。しかし、現状の技術では通信経路が長経路になった場合には、無線の特性からパケットの損失率が著しく大きくなる(45%程度)ことが分かっている。そのため、パケット損失率を向上しかつ制御オーバヘッドが少ない新しい高頼で高効率な「ルーティングプロトコル」について研究する。研究は実用化を前提に、プロトタイプによる実証評価を行うことを目標とする。 |
17 |
受動歩行理論により歩行転倒防止を実現する安定靴底形状の研究開発 |
三上 貞芳 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
高齢者や、歩行に関してハンディキャップを持つ方々を転倒などから守る道具として、靴の側に安定性を確保するアプローチを提案する。我々は人間の歩行に近い原理である受動歩行の2足ロボットの高い歩行安定性を実現する足裏の形状とその簡便な制御法を見出しており、この原理を人間の歩行の安定化サポートに適用することで、日常の歩行の不安定さを低減させる新しい靴形状、および靴底の軽量な動的制御技術の開発を目指す。 |
18 |
超高精細文化財アーカイビングシステム |
川嶋 稔夫 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
高度な筆致技術を駆使して制作された精密絵画などの文化財を表面の反射特性も含めて高精細に記録し、ディジタルアーカイブとして復元するための記録手法について研究を行う。このために文化財の双方向反射率分布(BRDF)を効率的に測定する方式を開発するとともに、これを圧縮して記録する方法、および、任意の仮想照明特性のもとでの見え方を復元する3次元美術館を開発する。 |
19 |
糖尿病患者の個人特徴に追従できるインスリン量の予測器の開発 |
Hartono Pitoyo |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
本研究は糖尿病患者の個人的な体質や食事などの生活パターンに適応し、その患者が必要とするインスリン投与量の目安を予測する医療支援システムの開発を目的とする。一般的な予測モデルを構築せず、1人1人の患者の個人モデルを機械学習手法によって構築することで、より個人への適用性と信頼性の高い予測器の実現を目指す。機械学習を取り入れることで、常に患者の変化に追従し、長期的な支援ツールとして効果的であると考える。 |
20 |
装着容易性と位置最適性を両立した同時多点筋電計測システムの開発 |
櫻沢 繁 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
筋電情報は、人間の行動の直接的計測であり、HCI、医療、福祉など幅広い分野での応用が期待されている。本研究では、研究者らが開発済みの2層の導電性布素材および電子機器・布の安定接触のための改良ピンを利用した給電/通信アーキテクチャと、身体追従性の高い伸縮型導電性布素材を利用し、通信/給電/生体電極一体型ピンを設計・開発することで、通信/電源ケーブルの煩雑さを抑えつつ、計測点数や計測箇所の自由度の高い筋電計測環境を実現する。 |
21 |
Podmapを用いた地図情報メディアの作成・配信手法 |
Michael Vallance |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
本研究は「シナリオによるクリエイティブアイデア」という教育手法を実用化するもので、iPod Touch端末とPodmapソフトウエアを教育の分野に利用する初の試みである。具体的には函館のGoogleマップに短編ビデオなどのマルチモーダルなマルチメディアをリンクした、マルチモーダルなコンテンツをiPodへ提供する演習を構成する。これにより理系大学の学生に対するデザインと科学技術能力の両面の育成効果を実現できる。 |
22 |
耐量子計算機暗号の高速実装に関する研究 |
白勢 政明 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
代数曲面暗号は、他の耐量子計算機暗号と比較して鍵サイズを削減できるが、処理において計算時間とメモリを多く必要とする多項式因数分解や多元線形方程式の解が必要となるため、高速実装が重要である。代数曲面暗号の実用化に向けPCやユビキタスデバイス(MICAzやIMOTE)への代数曲面暗号の高速実装手法を確立し、従来の公開鍵暗号との処理速度、メモリの使用量の比較分析を行う。 |
23 |
電子認証局による証明書を必要としない公開鍵暗号方式の開発 |
高木 剛 |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
次世代暗号として注目を集めているペアリング暗号により、電子認証局による証明書を利用しない公開鍵暗号方式を研究する。特に、通信量や電子署名の検証コストが削減でき、更にキーエスクローの問題も解決できる方式を考案する。また、ユビキタスディバイスMICAzを利用したセンサーネットワーク上において提案する暗号方式を実装し有効性を評価し、実用システムに用いる際の検証データを取得することも目指している。 |
24 |
車葉草を利用した地域ブランド食品の開発 |
美馬 のゆり |
公立はこだて未来大学 |
宮嶋 克己 |
公立はこだて未来大学 |
北海道に多く自生する車葉草を利用した地域ブランド食品の開発を目指す。そのために、北海道の森林における車葉草の植生についての現地調査、日本およびドイツにおける車葉草の調理法、利用法の調査を行う。これらの結果をもとに、車葉草を利用した飲料、菓子、水産物などについて調理実験を実施し、嗜好性の検証を行う。食料科学・技術、食品加工技術を活かしつつ、北海道という地域環境に配慮した地域ブランド食品の開発を行う。 |
25 |
超高速並列処理による次世代シーケンサ結果解析技術の開発 |
明石 浩史 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
次世代シーケンサ等の生物学データの量的・質的な増大に対応するために、大量の配列タグデータをゲノム配列へ超高速でマッピングするシステムを国産並列処理OS・SSS-PCを用いて構築する。OSレベルの高速並列処理により超高速処理が可能なSSS-PC 上でDNA配列解析ソフトウエアの設計、既存ゲノムビューアの移植、独自可視化ビューアと解析インタフェースを開発し、大量のDNA配列情報の超ハイスループット解析への対応を可能にする。 |
26 |
腸管炎症と発癌に対する新規幹細胞治療の開発 |
有村 佳昭 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
ドナー由来骨髄幹細胞のレシピエント生体内における機能、細胞運命を解明し、傷害腸管の修復・再生・発癌に対する新規幹細胞治療の開発を目的とする。骨髄間葉系幹細胞移植は、前処置下で、腸上皮細胞域へ生着し、腸炎急性期に、前処置なしでは、筋線維芽様細胞に分化し、回復期に有効であった。腸炎関連発癌モデルでは、発癌を抑制する傾向を認めた。動物レベルでの幹細胞治療研究から臨床応用への展開が本研究の最終目標である。 |
27 |
心拍変動に基づく睡眠時無呼吸症監視装置の開発 |
高塚 伸太朗 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
睡眠時無呼吸症は潜在的な患者が国内で200万人程度いるといわれている。しかし、症状の割に、検査に一泊以上かかるという煩雑さから、その多くが検査を行っていない。我々は、在宅で簡易的な検査を行うための監視装置の開発を目指し研究を進めてきた。それにより心電図からの心拍変動に基づく解析で成果が得られたことから、実用化に向け、パルスオキシメータから心拍変動を求め、睡眠時無呼吸を検出するアルゴリズムの開発を行う。 |
28 |
飲酒後における脳挫傷に対する抗酸化剤の臨床への応用 |
片田 竜一 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
脳挫傷は生命機能予後に重大な影響を及ぼす。飲酒者の脳挫傷は重症化することが知られており脳挫傷後脳浮腫の管理が重要である。我々は動物実験において、アルコール摂取における脳挫傷後脳浮腫に対し抗酸化剤Nアセチルシステイン(NAC)を投与すると、脳浮腫が軽減し死亡率も改善することを示してきた。本研究では臨床治験として飲酒者の脳挫傷に対し抗酸化剤NACを処方した症例に画像、神経学的評価を行い治療薬としての適用を目指す。 |
29 |
コンブに付着する刺胞動物ヒドロゾアの生活史解明とその対策 |
高橋 延昭 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
コンブに刺胞動物ヒドロゾアが付着するとその商品価値が半減する。ヒドロゾアは種によりポリプ型とクラゲ型の両方あるいは片方単独の生活史を営むことが知られている。コンブに付着するそのヒドロゾア(モハネガヤと云われている)の生活史は、いまだ不明で、その付着対策も練られていない。本研究はそれを立案するため、そのヒドロゾアの全生活史を解明するために、生態学・環境調査および培養法の確立を目指すものである。 |
30 |
記憶と興味の相互作用を利用した記憶障害に対する訓練機器の開発 |
竹田 里江 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
本研究では、認知症の中核症状である記憶障害を改善に導く訓練機器を開発する。従来の記憶訓練は、同一課題の繰り返しで楽しさや意欲の向上に繋がりにくく、継続に至らないことが多かった。本訓練機器は、個人の能力や興味という認知・情動面に合わせて課題を自由に作成でき、慣れや飽きを防げる利点を持つ。今回、本訓練機器を臨床で誰もが簡便に利用できる仕様に改良し、機器の有効性の検討を行うことで、実用化に結びつける。 |
31 |
臨床応用可能な高精度反応時間計測システムの研究開発 |
大柳 俊夫 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
心理学、脳科学、リハビリテーション等における患者・被験者の評価では、刺激の提示から患者・被験者による応答までの反応時間を用いる場合が多くある。近年、パソコンを利用して高精度で反応時間を計測する研究が進められ、さまざまなシステムが開発されているが、臨床での利用は困難な状況にある。本研究では、最近の高機能・高性能マイクロプロセッサとセンサ技術を利用し、臨床応用可能な高精度反応時間計測システムを開発する。 |
32 |
新規レスベラトロール誘導体の開発と応用 |
堀尾 嘉幸 |
札幌医科大学 |
一瀬 信敏 |
札幌医科大学 |
レスベラトロールはブドウや赤ワインなどにある抗酸化ポリフェノールで、長寿遺伝子とも呼ばれる蛋白質脱アセチル化酵素SIRT1を活性化して細胞死を抑制する。研究者グループの濱田はレスベラトロールの各種糖誘導体をヤマゴボウなどにある天然酵素を用いて合成する。合成されたレスベラトロール誘導体の生理機能を堀尾が医学・分子生物学的に調べ、より高機能なレスベラトロール誘導体を開発しその医学への応用を図る。 |
33 |
農業用水の地下かんがいシステム用簡易流量測定装置の開発 |
大平 勇一 |
室蘭工業大学 |
加賀 壽 |
室蘭工業大学 |
国営農地再編整備事業等により広域にわたる計画的な農業生産基盤の整備が進められているが、地下かんがいシステムの機能を最大限引き出すには、流量測定が不可欠である。これまでに見出された理論に基づく測定装置を設計・作製し、流量測定試験を行い、実験室レベルの試験で基本性能に関する評価試験を行う。さらに現地試験を行い、スケールアップ時の理論補正を行う。 |
34 |
新規のテトラクロロエチレン分解菌の分解特性及び土壌浄化の実用化に向けたメカニズム糾明 |
チャン ヨンチョル |
室蘭工業大学 |
加賀 壽 |
室蘭工業大学 |
本研究開発は、研究者らが新規に分離した嫌気性菌Propionibacterium sp. HK1株のテトラクロロエチレン(PCE)及びシスー1,2−ジクロロエチレン(cis-DCE)の分解能力を活用し、有機塩素化合物の汚染土壌から汚染物質そのものを完全分解できる低コスト、かつ安全なシステムを確立する。 |
35 |
省資源・省エネ型高抵抗電熱薄帯の開発 |
桑野 壽 |
室蘭工業大学 |
加賀 壽 |
室蘭工業大学 |
現有の電熱素材は80%Ni-20%Crのニッケルクロム系か、72%Fe-22%Cr-6%Alのカンタル系に大別される。これら電熱素材には希少金属であるNiおよびCrが大量に含有されている。希少金属が少ない、安価な素材で、より高い電気抵抗を発現させることにより電気量が節約できる電熱素材を開発する。 |
36 |
耐塩素性・耐窒素性分解触媒の開発によるプラスチックリサイクル技術の高度化 |
上道 芳夫 |
室蘭工業大学 |
加賀 壽 |
室蘭工業大学 |
塩ビやナイロンなどの異種プラスチックを含むポリオレフィン系廃プラスチックを高効率で石油化学原料へ転換する接触分解リサイクル技術の開発を目指している。そのため、ガリウム系分解触媒に対する異種プラスチックの影響を解明し、金属添加により耐塩素性・耐窒素性を賦与する触媒改良法について検討する。さらに調製した触媒の塩ビおよびナイロン許容濃度、最適反応条件などを検討してプラスチックリサイクル技術の高度化を図る。 |
37 |
廃アルミニウムを利用したグリーン水素製造法の開発 |
杉岡 正敏 |
室蘭工業大学 |
加賀 壽 |
室蘭工業大学 |
自動車製造業及びアルミ缶製造業などで大量に排出される産業廃棄物である廃アルミニウム(Al)と水との化学反応により、廃アルミニウムの安全な処理を兼ねた新たなグリーン水素製造技術を開発する。具体的には、アルミニウム粉末の粒子系による安全性、水素発生量に対する原料粉末の粒子径、撹拌条件、粉砕媒体の影響および反応試薬の種類などから最適水素発生条件などを検討する。 |
38 |
LNGの冷熱を利用した高性能ガスタービン発電システムの小型化 |
吹場 活佳 |
室蘭工業大学 |
花岡 裕 |
室蘭工業大学 |
LNGを使用したガスタービン発電システムにおいて、吸入する主流空気を燃料であるLNGの冷熱を利用して冷却することにより発電能力を高めるシステムの構築を目的とする。コンパクトな熱交換器および除霜装置を利用することにより、システムとしての小型・軽量化を目指す。本研究ではケロシン系燃料を用いた小型ガスタービンの主流空気を液体窒素を冷媒として冷却することにより、冷却時の性能向上、熱交換器への着霜の状況、システムとしての成立性などを確認する。 |
39 |
超音波の音響放射力を利用した低温燃焼システムの開発と応用 |
廣田 光智 |
室蘭工業大学 |
花岡 裕 |
室蘭工業大学 |
次世代燃焼技術である超希薄燃焼は、燃焼が不安定になりやすく極端に燃料濃度を薄く出来ない。本研究では、超音波の音響放射力を作用させた低温燃焼システムを提案し、限界の燃料濃度でも安定に燃焼できることを実証したい。メタン・空気噴流浮き上がり火炎を対象に、流入する燃料濃度を計測しながら、超音波の作動条件を変えて、希薄可燃限界付近での安定燃焼を実現できる条件を確立する。 |
40 |
鋳型急速凍結法による精密極薄肉球状黒鉛鋳鉄の開発 |
桃野 正 |
室蘭工業大学 |
石坂 淳二 |
室蘭工業大学 |
本研究は、肉厚1〜2mmの球状黒鉛鋳鉄を、高い精度で溶製することをねらいとする。凍結鋳型は-40℃に急速冷却した砂型であり、溶湯の流れが良いことが知られている。一方、薄肉鋳物は湯流れ性が良いこと、高精度の仕上がりが要求されることから、従来法よりも凍結鋳型のメリットが期待され、これらの特長を生かし、自動車部品への応用を実証する。 |
41 |
マグネシウム合金の耐食性コーティング方法の開発 |
佐伯 功 |
室蘭工業大学 |
石坂 淳二 |
室蘭工業大学 |
本研究はマグネシウム合金の耐食性コーティング手法の開発を目的として行う。同合金は軽量かつ高比強度なためモバイル機器を中心に適用が拡大しているが、 大気中でも容易に腐食することが問題であり、ピンホールのない完璧なコーティングが必要である。現在のコーティングはピンホールをなくすために数10ミク ロンの膜厚を必要としているが不経済なため、本研究は厚さ10ミクロン以下でピンホールレスのコーティングを開発する。 |
42 |
構造用温度補償リアルタイムFBG歪センサシステムの開発 |
佐藤 信也 |
室蘭工業大学 |
朝日 秀定 |
室蘭工業大学 |
土木・建築分野における構造物の崩落等の事故を未然に防ぐための常時監視システムを安価に構築できる新しい計測手法を確立する。本研究による計測方法では、光スペクトラムアナライザで反射スペクトルを測定する従来のFBGセンサシステムよりも低コストでシステム構築でき、且つ高速(ほぼリアルタイム)に歪量の測定が可能である。さらに従来方法では困難だった温度による歪み測定量の誤差を補償して、正確に測定することが可能となる。 |
43 |
廃棄物処分場温度による温暖化ガス発生予測手法と排出削減シナリオの構築 |
吉田 英樹 |
室蘭工業大学 |
朝日 秀定 |
室蘭工業大学 |
廃棄物最終処分場から発生する地球温暖化ガス発生量予測を表面温度を用いて行い、ガス発生削減及び回収のシナリオを構築することを目的としている。表面温度とガス濃度に関する現場観測及び数値シミュレーションを通じて、表面温度から地球温暖化ガス発生量の大きいエリアを特定し、ガス抜き管設置による地球温暖化ガス排出削減及びエネルギー利用も可能なメタンガス回収のシナリオを構築し、その評価を行えるようにする。 |
44 |
裸眼立体視ペン入力による実用的3D幾何モデリング装置の試作 |
佐賀 聡人 |
室蘭工業大学 |
鈴木 雍宏 |
室蘭工業大学 |
研究者らは既に、没入型バーチャルリアリティ環境で動作するBlueGrottoFEPを構築し、これを市販CADアプリと一体的に連携運用することで空中手書きによる精密な3次元幾何モデリングを実現している。本研究ではBlueGrottoFEPを製品化するための重要なステップとして、ソフトウェアの汎用化と実用的ハードウェアの導入を試み、これを実務的なCAD設計作業に耐えられる実用的な手書き3次元幾何モデリング装置として再構築する。 |
45 |
心の健康問題を早期発見するためのWebカメラシステムの開発 |
沖井 廣宣 |
室蘭工業大学 |
鈴木 雍宏 |
室蘭工業大学 |
本研究では、パソコンに付随したWebカメラにより、利用者の顔表情を定時的に観測し、微少な表情変化の解析から、表情というノンバーバル情報を新しい生体情報指標として活用する、非侵襲的な心理評価技術を確立することを目的としている。 本手法により、就業者等の抱える内面的な悩み(こころの健康問題)を早期に明らかにして、適切なケアへと向かわせる、精神面でのQOL向上を目的とした「こころの健康支援」が可能となる。 |
46 |
遺伝子発現情報に基づく新規病気識別法の開発 |
岡田 吉史 |
室蘭工業大学 |
鈴木 雍宏 |
室蘭工業大学 |
本研究では、DNAチップ実験で得られた複数の病気クラスからなる遺伝子発現データを対象に、個々のクラスにおいて共通な発現パタンを示す遺伝子の最小単位である「モジュール」を抽出し、それらを未知サンプルのクラス分類に利用する、新しい病気識別法を提案する。本研究では、癌、自己免疫疾患、精神疾患など、臨床的に症状の多様性が著しいとされる病気への適用をとおして、本法の有用性を検討する。 |
47 |
マイクロ構造を用いた高効果光触媒薄膜の開発と応用 |
Karthaus Olaf |
千歳科学技術大学 |
大沼 友一郎 |
千歳科学技術大学 |
多孔質膜は高湿度下で高分子溶液をキャストすることにより簡単に作製できる。空気中の水分は有機溶媒上に吸着する。水滴テンプレートを用い多孔質膜作製のための自己組織化構造が作れる。本研究では亜鉛錯体と両親媒性高分子を有機溶媒に溶かし、ハイブリッド膜を焼成、作製された酸化亜鉛光触媒多孔質薄膜の評価を行う。さらに、高分子の多孔質膜をテンプレートし、酸化金属のナノ粒子を吸着、光触媒多孔質薄膜の評価を行う。 |
48 |
北海道産希少肉用品種のおいしさ評価に関する研究 |
口田 圭吾 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
北海道内には日本短角種、褐毛和種、アンガス種等の希少な肉牛品種が飼養されている。霜降り中心の流通体系において、非常に低く評価されているこれら希少肉牛品種に対して、画像解析により脂肪交雑の詳細評価を実施し、また、脂肪酸組成を理化学的に分析するなどして、そのおいしさを再評価する。これらの結果を活用し、北海道ならではの希少品種における生産体系について検討し、ブランド化を推進する。 |
49 |
ナガイモからの大腸ガン抑制素材の開発 |
木下 幹朗 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
ナガイモは,古来より胃腸虚弱や滋養強壮、消化促進効果等の機能性が伝承されている。研究者は、昨年度に化学発癌モデルマウス(1,2-ジメチルヒドラジン(DMH)投与マウス)おいて食餌性のナガイモが大腸腺腫(いわゆる大腸ポリープ)を抑制すること見いだした。そこで,本研究において、大腸ガンを予防する機能性成分についての同定を行い、ナガイモの規格外品等の利用と高付加価値化の道筋をつける。 |
50 |
豆煮汁オリゴマー型ポリフェノールを利用した高肥満作用のある健康食品の開発 |
小嶋 道之 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
豆煮汁から調製したオリゴマー型ポリフェノールを正常および肥満マウスに与え、高脂肪食事を与えた時の抗肥満効果について総合的に評価・検討する。また、牛乳消費の拡大推進の一環となるように、生乳・乳加工品とオリゴマー型ポリフェノールを融合した新規健康食品の開発を行い、その食品の生理作用についても評価する。 |
51 |
節足動物における病原体コントロール用生菌剤の開発 |
嘉糠 洋陸 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
マラリアなどの寄生虫性疾患は、蚊などの節足動物によって吸血を介し、家畜や人間に媒介される。節足動物の中腸は、それらの病原体が増殖・分化する上で重要な器官である。本研究では、マラリア媒介蚊の中腸内から研究者らが同定した好気性細菌を用いて、本菌が有する病原体増殖・分化の阻害効果を改変および活用することによって、節足動物による病原体伝播を制御することが可能な、新しいコンセプトの生菌剤開発を目指す。 |
52 |
肥育牛用バイオマス飼料の開発と応用 |
日高 智 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
北海道内で年間10万t産出され、水分含量の多いポテトパルプを肉用牛用の飼料として通年利用できるように、フスマなどの低水分のバイオマスと混合して低水分バイオマス発酵飼料を調製する。これを肥育牛用飼料として配合飼料に替えてホルスタイン種去勢肥育牛に3カ月間給与し、肉量・肉質に及ぼす影響を検討する。 |
53 |
3次元CAD・機構解析ソフトを利用したビートタッパの高速化技術の開発 |
佐藤 禎稔 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
てん菜収穫は晩秋に行われるため高能率作業が求められる。しかし、その収穫はタッピングを必要とし、切断精度は農家収入や製糖効率に影響を及ぼすことから、高速作業が困難である。近年、十勝地方では規模拡大が進み、高速高精度なビートタッパが望まれている。本研究は3次元CADと機構解析ソフトを利用し、コンピュータシミュレーションによって高速高精度作業を可能にするビートタッパの開発手法を究明する。 |
54 |
乳牛におけるβ-カロテンの卵巣機能および肝機能への効果の解明と酪農現場への応用 |
川島 千帆 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
近年、乳牛の高泌乳化が進む一方で、繁殖性低下が問題になっている。これまでに研究者は分娩後の卵巣機能回復には、肝臓で産生されるインスリン様成長因子T(IGF-1)やβ-カロテンが関与し、分娩前のβ-カロテン給与は卵巣機能回復促進に加え、分娩後に必ず起こるIGF-1低下を軽減することを示した。本研究では、β-カロテンの卵巣および肝臓への作用のメカニズムを明らかにし、酪農現場での適切な活用法を構築する。 |
55 |
血液及びマダニ検体から小型ピロプラズマ原虫を検出するイムノクロマト法の開発 |
河津 信一郎 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
ウシ小型ピロプラズマ病は、全国の牧野で発生し、放牧衛生上重要なマダニ媒介性の感染症で、その食料生産に与える影響は少なくない。一方、その野外診断については、原虫表在性主要タンパク質を標的とする診断法の試験開発が進められている。そこで本研究では、ウシおよびマダニでの原虫感染状況の双方をモニターする手法として、同原虫タンパク質を標的とする迅速診断イムノクロマト法を開発することを目的とする。 |
56 |
トキソプラズマ症に対するTh1免疫誘導型ワクチンの開発 |
西川 義文 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
人獣共通感染症であるトキソプラズマ症を制御するにはトキソプラズマ原虫特異的な細胞性免疫反応(Th1)を誘導することが重要であるため、Th1免疫誘導型ワクチンの開発を本研究の目的とする。原虫タンパク質ライブラリーよりTh1免疫を誘導できるワクチン抗原を選抜し、リポソームに封入することでモデルワクチンを作製する。マウスモデル評価系によりモデルワクチンの効果を検証し、応用へ向けた学術基盤を整備する。 |
57 |
牛白血病発症牛の早期診断摘発法の開発と応用 |
猪熊 壽 |
帯広畜産大学 |
田中 一郎 |
帯広畜産大学 |
牛白血病発症マーカーとして血清チミジンキナーゼ(STK)活性が有用であることが明らかとなったが、現測定法は放射免疫法であり、一部特定施設でしか測定できない。本課題では牛のSTK活性を酵素免疫法により簡便・迅速に測定する方法を開発し、牛白血病発症牛の早期診断に応用することが目的である。生成物チミジル酸に対する抗体を作成することにより、チミジル酸定量のためのサンドイッチ酵素結合免疫吸着法を確立する。 |
58 |
魚類の腸内発酵生理を利用した魚類体表面粘液増加飼料の開発 |
木原 稔 |
東海大学 |
加藤 博光 |
東海大学 |
研究者は魚類の腸内発酵とその生理作用の研究をすすめており、そのなかで魚類に給与した腸内発酵物質が、腸の粘液産生細胞を増加させることを見出した。健康な魚類には体表面に粘液が多いことからこの研究では、腸の粘液分泌を増加するような腸内発酵物質と、体表面粘液の増加との関係を究明し、腸内発酵物質を利用した養殖魚の体表面粘液増加飼料を開発する。 |
59 |
ウニ/ナマコの腸内細菌酵素を用いた昆布フコイダンの低分子化 |
中川 純一 |
東京農業大学 |
西澤 信 |
東京農業大学 |
北海道海域に豊富に産する昆布において、非食部分の仮根は、血圧降下作用などの有用な薬理作用を持つとされる硫酸化多糖類フコイダンを大量に含むが、低分子化技術の不足から十分に利用できないのが現状である。本研究の目的は、昆布を食しているオホーツク海のウニ/ナマコの腸内細菌を探索し、特異的分解酵素を得て、医薬品原料やバイオ燃料として、北海道の未利用水産資源昆布フコイダンを活用する新技術を発掘することである。 |
60 |
オーガニック畜養システムを用いた流氷接岸期におけるオホーツク産魚介類の地場活用 |
松原 創 |
東京農業大学 |
西澤 信 |
東京農業大学 |
オホーツク海沿岸地域では流氷接岸期に観光客の入り込みが最も多くなるが、この時期は出漁できないためどの店にも名物である地場産鮮魚が並ばない。観光客や地元住民にこの時期に望むことをアンケートしたところ、「地場産鮮魚を食べる」であった。そこで本研究ではサケ漁等で混獲された未利用魚類を研究者が開発した水圏生物では初であるオーガニックな畜養法で長期飼育し、流氷接岸期に地場への活魚提供を試みる。 |
61 |
木本性植物の香りのブランド化に関する研究 |
妙田 貴生 |
東京農業大学 |
西澤 信 |
東京農業大学 |
北海道の湿原に広く分布する木本性の植物ヤチヤナギ(Myrica gale L.)には強い芳香があり、リラクゼーション効果などの機能性が示唆されている。本研究は、北海道の香りのブランド化を目指してヤチヤナギの芳香成分に着目し、その機能性を解明して、有用な製品の開発へつなげるものである。 |
62 |
ソバ幼植物の高度利用に関する研究 |
山崎 雅夫 |
東京農業大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
北海道で広く栽培されているソバの幼少植物(スプラウト)には、健康増進に関わると考えられるフィトケミカル成分を多く含み、主要フラボノイドであるフラボン配糖体は天然抗酸化物質である。ソバフラボンの有用性は未解明な点が有る一方、熱や光に安定であり、ソバの高付加価値利用として機能性天然色素生産体としての活用が考えられる。効率的な色素生産を行うための基礎知見を得るとともに、天然色素としての有用性を解明する。 |
63 |
デジタルカメラを用いた単画像計測システムの開発 |
橋 正義 |
独立行政法人森林総合研究所 |
福山 研二 |
独立行政法人森林総合研究所 |
デジタルカメラと角度センサー、距離計測機器、GPSなどを組み合わせ、デジタルカメラで撮影した物体の大きさを単画像上で計測、記録することが出来るシステムを開発する。野外での利用を想定し、小型軽量かつ簡便に操作できるよう設計し、樹木や野生動物などの大きさや形状を簡便に計測することが可能なシステムで、森林や環境情報の記録・計測に利活用できるものを目指す。 |
64 |
放電プラズマ焼結法による高強度炭化ホウ素セラミックスの開発 |
高澤 幸治 |
苫小牧工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素に次ぐ硬さを有する炭化ホウ素を、放電プラズマ焼結法特有の焼結機構と適切な焼結助剤の添加により、短時間で高密度・高強度なバルク体に焼結する技術の開発を目的としている。焼結体の各種特性に及ぼす焼結条件、焼結助剤および焼結助剤添加量の影響を検討し、目的達成のための知見を得る。 |
65 |
傾斜シックナーの供給面を改良した高効率沈降分離装置の開発 |
平野 博人 |
苫小牧工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
固液分離装置のひとつである傾斜シックナーでは、処理量は理論的に沈降高さに比例するが、従来型の供給方法では装置の断面積の制約を受け、固体処理量には限界がある。そこで、装置全体の高さを活かした供給方法へと改良することにより、固体処理量を多くできることを示し、供給面改良型沈降分離装置の設計が可能であることを検証する。 |
66 |
身障者用在宅運転技術訓練システムの開発 |
小山 慎哉 |
函館工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
遠隔地における物体接触時の力覚を操作者に提示することが可能な遠隔制御システムを利用して、遠隔地にいる運転指導者からの力覚を提示して操作方法をより分かりやすく理解できるような、身体障害者向け運転技術訓練システムを試作する。本研究はアクセルおよびブレーキを1つのハンドルで操作する部分について試作し、在宅での運転技術訓練システムの実用化について検討する。 |
67 |
イカ墨色素粒子を用いた色素増感型太陽電池の開発 |
上野 孝 |
函館工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
研究者らは、函館エリアでイカの加工工程から廃棄されるイカ墨袋から単分散の黒色色素粒子を分離・精製・濃縮することに世界で初めて成功し、食品などに直接印字する用途などで事業化に向けた開発を行っている。ルテニウム錯体を用いた色素増感型太陽電池は高い光電変換効率を有しているが、非常に高価であるため量産化には適していない。色素材料として精製イカ墨を利用し、電気への変換効率を実用化レベルまで引き上げる見通しを得る。 |
68 |
広帯域ホワイトノイズ発生器の高感度刺激検出システムへの応用 |
高田 明雄 |
函館工業高等専門学校 |
東藤 勇 |
苫小牧工業高等専門学校 |
研究者は電子回路のカオス現象に基づいて、高品質、広帯域、および高レベルのホワイトノイズを発生させることに成功した。この回路は小型ICチップ製品とすることも可能な上、従来品と比較して大幅なコストダウンが見込まれる。カオスノイズを使った、従来にない確率共鳴現象の検知システムを考案し、人間やロボットの知覚感度以下の微弱刺激検出に応用できることを、圧力センター等を用いた電子回路で明らかにする。 |
69 |
標識反応の収率・再現性と選択的集積性の高いがん治療用放射性標識ペプチドの開発 |
秋澤 宏行 |
北海道医療大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
最近、キレーターのDOTAを導入し、放射性金属の90Yとの錯形成により標識したペプチドが、がんの核医学治療薬剤として注目されている。しかし、この放射性ペプチドでは、90YとDOTAとの標識反応の収率・再現性が必ずしも高くないこと、また、正常な腎臓へも集積することが問題となる。そこで本研究では、これらの問題点を解消した90Y標識ペプチドを開発することを目的とする。 |
70 |
超音波検査プローブの口腔内用多機能密着カバーの開発 |
大西 隆 |
北海道医療大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
口腔内用の超音波検査プローブを使用するとき、唾液量が少ないと、空隙が発生して、画像が安定しない。そこで、人工唾液を注入したり、空気を吸引・除去するためのカテーテルを組み込んだ口腔内用多機能密着カバーが開発できれば、技術的な問題が解決でき、プローブの汚染を防止する感染対策にもなる。本研究では、この口腔内多機能密着プローブカバーの試作を行い、実用化に向けての第一段階の研究を行なう。 |
71 |
閉塞性唾液腺炎の治療のためのステント療法の開発 |
杉浦 一考 |
北海道医療大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
閉塞性唾液腺炎の治療法としては薬剤による保存的治療法が一般的には行われているが、反復性に再燃することが多く、現時点では確固たる治療法の確立がなされていない。心血管系、胆管などの管腔に生じた狭窄を金属製の拡張ステントを用いて非侵襲的に治療する方法が効果を上げているが、唾液腺管への応用例はない。そこで、心血管用拡張ステントを唾液腺管に応用し、閉塞性唾液腺炎に対する非侵襲的な治療法に用いる唾液腺専用の拡張ステントを開発する。 |
72 |
薬用植物「甘草」における機能性フラボノイド成分生成手法の開発 |
高上馬 希重 |
北海道医療大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
薬用植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)は漢方薬「甘草」として利用される。抗炎症、肝機能改善作用などの医薬品原料であり、甘味料、健康食品にも用いられる。グリチルリチンなどのトリテルペノイド化合物を多数含んでいるほかに、抗菌、抗アレルギー活性などのフラボノイド化合物が含まれる。本課題では、培養細胞の増殖条件、フラボノイド、トリテルペノイド化合物の生成条件の検討などを行い、医薬品や健康食品生産などへの応用を目標とする。 |
73 |
微細径唾液腺内視鏡に挿入できる超微細バスケット鉗子の開発 |
中山 英二 |
北海道医療大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
生体結石である唾石は手術により摘出するのが標準的であるが、唾石を非観血的に摘出できる「唾液腺内視鏡下唾石摘出システム」を開発してきた。外径が1.1mmの微細径唾液腺内視鏡と専用の外径0.4mm弱の超微細径のバスケット鉗子を独自に開発し、世界で最も低侵襲的なシステムを構築した。今回の研究は、バスケット鉗子の実用化をめざし、外径0.4mm弱のバスケット鉗子の実用試作品を国内金属加工メーカーに依頼し製作する。 |
74 |
歯肉線維芽細胞を用いた骨再生医療への実用化研究 |
新井田 淳 |
北海道医療大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
異所性骨形成タンパク質(BMP)、線維芽細胞成長因子(FGF)などを添加した人工骨材料の研究や開発が行なわれているが、担体や移植条件などに制限される傾向にある。本研究では、骨に近い場に存在し、BMP-2の発現やアルカリフォスファターゼの活性を有している歯肉線維芽細胞を用い培養骨を作製し、ヌードマウス皮下と頭頂骨に移植し新生骨の誘導を目的とし、実用化へ向けての手技の確立することを目標とする。 |
75 |
地域を活かす次世代型生産ネットワーク構造設計・検証システムの開発 |
川上 敬 |
北海道工業大学 |
坂井 俊文 |
北海道工業大学 |
本研究の目的は、ものづくり企業が地方・地域に立地しながらグローバルな生産環境の中で、製品の付加価値創出の意味で地理的距離の隔たりを超越できるような、次世代型生産ネットワーク構造を設計・検証するシステムを構築し実用化することである。その結果から、地方企業が大都市圏に立地するのと同じかそれ以上の強みを発揮できる生産ネットワーク構造を提示し、地域活性化へと導くものである。 |
76 |
CUDAを利用した汎用音響シミュレーションシステムの開発 |
松ア 博季 |
北海道工業大学 |
坂井 俊文 |
北海道工業大学 |
FEMによる3次元音響解析システムの高速化ならびに汎用化をNVIDIA社が提供するGPU向けのC言語統合開発環境であるCUDAを利用して実現する。GPUは並行性の高い演算処理を行う場合に、同規模のCPUよりも高い処理性能を持っている。有限要素解析の並列化を進め、計算時間の大幅な短縮を行う。さらに解析システムのユニット化、データフォーマットの共通化を行い、他のシステムからも利用可能な汎用性を持たせる。 |
77 |
画像解析による道路区画塗り直し診断システムの開発 |
亀山 修一 |
北海道工業大学 |
鴨田 秀一 |
北海道立工業試験場 |
北海道では、除雪作業等によって道路区画線が損傷するため、毎年、区画線の塗り直しに約20億円を費やしている。本研究では、走行車両に設置したカメラによって20m間隔で撮影した画像から区画線の損傷度を連続的に求める手法を確立するとともに、WEBアンケート調査によって道路利用者の要求水準を明らかにし、区画線の塗り直しを診断するシステムを開発する。 |
78 |
含酸素物質を混合した際の微粒子抑制に関する基礎研究 |
亘理 修 |
北海道自動車短期大学 |
山崎 信行 |
北海道自動車短期大学 |
ディーゼル機関排出微粒子(PM)は、含酸素物質を混合した燃料を用いることで、大幅な低減が可能であると報告されているが、その抑制機構は十分解明されてはいない。また、含酸素物質の性状と微粒子抑制特性、抑制機構の関連についても解明されていない。本研究では、微粒子生成機構・生成特性の異なる燃料、ならびに含酸素物質を混合した燃料を対象に、微粒子抑制機構・抑制特性の関連を解明し、微粒子低減を図るための知見を見出すことを目的としている。 |
79 |
リポソームを利用した核酸治療薬の局所投与法の開発 |
西平 順 |
北海道情報大学 |
伊藤 征也 |
(財)北海道科学技術総合振興センター |
核酸医薬は、その効果を期待されながら、生体中での不安定さから実用化が困難とされてきた。本研究では、癌の増殖や転移に関わるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)を標的とした核酸医薬を脂質二重層のリポソームで包含し、癌治療を目的としたドラグデリバリーシステム(DDS)による治療方法を開発する。本年度は、ヒト培養癌細胞を用いたin vitroおよび担癌マウスを用いたin vivo研究を実施する。 |
80 |
プロテアソームを分子標的とする新規制がん薬の開発 |
周東 智 |
北海道大学 |
伊藤 征也 |
(財)北海道科学技術総合振興センター |
プロテアソーム阻害活性を有する天然物ベラクトシンA(IC50 = 304 nM)の構造をもとに、先に20倍活性が強いビニルシス類縁体(IC50 = 15 nM)を見出した。これをリードとして、IC50ががんモデル動物に対して有効な化合物を創出し、制がん薬としての基礎的な評価を実施する。以上より、制がん薬としての製品化に向けた構造最適化に供する高活性類延体(新規制がん化合物)を獲得する。 |
81 |
輝度向上フィルムを目指した光応答性キラル液晶の実用化開発 |
玉置 信之 |
北海道大学 |
佐藤 完二 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
光応答性液晶は、光反応により、高精細に平面内、厚さ方向の光学異方性を誘起できるため、次世代の高性能光学材料として期待される。本研究では、独自に開発した光応答性キラル添加剤の光反応に伴う、ねじり力変化を利用して、液晶表示素子の重要な部材である。輝度向上フィルムを筒便に作製するための材料および作製方法を開発する。 |
82 |
スルメイカ内臓の酵素を利用した水産残渣からのペプチド生産 |
今野 久仁彦 |
北海道大学 |
三井 良一 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
水産加工残渣には未利用有用成分を含んでいる。本研究では、イカの肝臓の強いプロテアーゼを水産残渣に付着、残存しているタンパク質成分に作用させ、有用ポリペプチドを製造することを目的とする。現在、蓄肉由来のタンパク成分の食品への添加が敬遠されており、安全・安心な水産物由来のポリペプチドの利用が期待されており、北海道はその生産基地として、有利な点が多く、実用化に最も近い地域である。 |
83 |
皮膚・粘膜上皮でのがんや感染症の予後診断法の開発 |
吉田 繁 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
皮膚・粘膜免疫の主要な細胞であるNK細胞やγδT細胞はがん化や感染などストレスで誘導されるNKG2Dリガンド(NKG2DL)を認識することで活性化し、異常細胞を排除する。しかし、がん細胞やウイルス感染細胞は可溶型NKG2DLの産生やNKG2DLの発現抑制により免疫監視を回避している。本研究では可溶型NKG2DL測定方法の開発を行い、皮膚や生殖器粘膜上皮でのがんや感染症の予後診断法の確立を目指す。 |
84 |
酢および発酵食材の体内での生理機能と付加価値化 |
岩永 敏彦 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
酢や発酵食材の効用は知られているが、その科学的根拠は乏しい。また、乳酸菌飲料は善玉である乳酸菌の補給こそが重要であるとされ、乳酸が人体に与える影響は知られていない。本研究では、ヒトを含めた動物の体内における、酢酸や乳酸などのモノカルボン酸に特異的な輸送体の発現を調べることより、モノカルボン酸の動態と利用組織を解明する。目標は、発酵食品の利用価値を高め、新規食材の開発につなげることである。 |
85 |
積雪地域におけるヘアリーベッチの冬枯れ残渣を利用した減肥料栽培技術の開発 |
平田 聡之 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
マメ科カバークロップによる土壌環境改善、雑草防除効果等は多く報告されているが、冷涼・積雪により栽培期間の短い北海道では、その利用法が限定されていた。本研究では、低温環境での初期生育の優れたマメ科草本であるヘアリーベッチを晩夏播きし、積雪前に茎葉をある程度まで繁茂させ、積雪下で死亡させた後、その冬枯れした残渣を有機質肥料として利用する栽培技術を検討するものである。 |
86 |
神経性疼痛治療薬開発を目指した海洋天然物の探索 |
酒井 隆一 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
これまで研究者は海洋生物の二次代謝物に中枢神経のシナプス伝達を選択的に制御する化合物をいくつか見出し、その医薬資源としての有用性を示した。この知見を基に本開発研究は、マウス等の動物を用いた行動検定試験と培養神経細胞を用いた電気生理試験を併用し、海綿等の底生生物を材料にシナプス活動抑制成分を見出す。さらにその構造決定と生理活性の評価を行い、新薬創製の基礎となる「活性構造シーズ」を発掘するものである。 |
87 |
新規磁性カーボンナノチューブによるナノカーボンの体内動態・安全性評価 |
阿部 薫明 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
ナノカーボン物質の一種、カーボンナノチューブ(以下CNT)は様々な分野への応用研究が試みられている。一方でアスベストに類似したサイズ・形状を持つCNTが存在することから、これらを一括して使用に規制しようという動きがある。本研究では磁性ラベル化CNTを作成し、実験動物への蓄積・代謝の様子、経時的な挙動を磁気共鳴画像(MRI)法により追跡し、CNTの生体刺激性やサイズ・形状等の影響を検討する。 |
88 |
麻薬性鎮痛薬の受容体結合の新規解析法の開発 |
井手 聡一郎 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
麻薬性鎮痛薬の作用部位であるオピオイド受容体は、これまでに3つのサブタイプが同定されているが、各サブタイプにはサブクラスの存在が示唆されており、その有用な解析法は存在していない。本研究では、生体試料、および、受容体と種々のタンパク質を共発現させた培養細胞系と、複数の結合リガンドを組み合わせ多角的に解析し、麻薬性鎮痛薬のオピオイド受容体各サブクラスに対する結合の定量的解析法を開発することを目的とする。 |
89 |
ミガキニシンに含まれるこく味の付与物質 |
高橋 是太郎 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
赤身魚に多いクレアチン、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びニコチン酸アミド類縁体のめんつゆに対するこく味の付与作用について、アディションテスト、オミッションテストを併用したモデル実験によって解析し、こく味形成のメカニズムを明らかにすることを通じて、こく味付与製品の開発に繋げる。 |
90 |
病態時血液脳関門に作用する薬物探索のためのインビトロ評価系の開発 |
片山 貴博 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
脳虚血時には、血液脳関門(BBB)の破綻とともに末梢循環から脳実質への白血球の浸潤が認められる。研究者らは、最近、脳微小血管内皮細胞、アストロサイト、神経細胞からなる新規インビトロBBBモデルを開発した。本研究では、さらに白血球を加え、神経細胞傷害とBBB機能破綻、白血球浸潤に対する薬物作用を評価可能なインビトロ実験系を構築し、病態時BBBに作用する薬物探索のための新たなインビトロ評価系を確立する。 |
91 |
うつ・不安のメカニズム解明のための実験動物モデルの開発 |
南 雅文 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
分界条床核は、不安、抑うつ、恐怖などの負情動の惹起に関与することが知られている脳領域であるが、分界条床核から他の脳領域への神経投射が負情動生起にどのように関与しているかは不明のままである。本研究では、レンチウイルスベクターによる遺伝子導入とイムノトキシン法を組み合わせることで、神経路特異的に神経細胞を除去することにより、負情動生起に関わる神経機構解析のための実験動物モデルを開発することを目的とする。 |
92 |
水産物由来の血糖値上昇抑制剤の開発と応用 |
岸村 栄毅 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
先に研究代表者は、スルメイカ由来トリプシンインヒビターの調製法を考案し、本インヒビターが新規ペプチドであり、2型糖尿病ラットに対して血糖値上昇抑制作用を有することを見出した。本課題では、2型糖尿病予防用の特定保健用食品の開発を目的とし、本インヒビターの血糖値上昇抑制作用機構および安全性を検討し、実用化の見通しを得る。 |
93 |
抗糖尿病作用を示すキサントフィルの簡易濃縮法の開発 |
細川 雅史 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
ワカメなどに含まれるキサントフィルは、血糖値改善効果を有し、抗糖尿病効果が期待される。本研究では、キサントフィルとその他の成分の溶媒への溶解性の差を利用した簡便な濃縮法を開発する。具体的には、水産物から抽出した脂溶性成分を、溶媒混合物に溶解して二層分離した後、一方からキサントフィル濃縮物を回収するという極めて簡便な方法である。これにより、10-30%以上まで濃縮したキサントフィル素材の調製法を開発する。 |
94 |
免疫グロブリンとは異なる新規抗体試薬の開発 |
笠原 正典 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
円口類の抗原認識分子 VLRはleucine-rich repeatモジュールを遺伝子再構成により繋ぎかえることにより、その抗原結合部位に免疫グロブリン(Ig)に匹敵する多様性を創出する。VLRはIgに比べて、1)結合親和性、安定性が高い、2)糖鎖抗原を効率よく認識する、などの利点を有している。本計画では、抗原特異的VLR抗体を作成する手法を確立し、腫瘍の臨床診断、病理診断に役立つ試薬の開発を試みる。 |
95 |
1次抗体直接標識プローブの開発と実用性に関する検討 |
山崎 美和子 |
北海道大学 |
清水 條資 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
一般的な免疫組織化学法ではまず目的分子に対する一次抗体を反応させ、次に蛍光色素などで標識した二次抗体を反応させて可視化する。汎用性と利便性が高い方法だが、二つ以上の分子を同時検出するには一次抗体の動物種が異なる必要がある。本研究では酵素・蛍光物質・金コロイドなどの標識物質を一次抗体に結合させる直接法により、検出感度や特異性などの性能比較を行い、直接法抗体製品の開発の有用性と実用性を検討する。 |
96 |
RNAサイレンシング促進剤によるアスパラガスのウイルスフリー化技術の開発 |
鈴木 正彦 |
北海道大学 |
土方 健二 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
アスパラガスは、数年の連作により収量や品質が急激に落ち込む。この原因の一つはアスパラガスに複数のウイルスが潜在感染したことである。本研究では、アスパラガスの収量や品質向上を目的に、安定したウイルスフリー化種子を供給するための技術開発を行う。具体的には成長点で誘導されるRNAサイレンシングによるウイルス分解を促進するための手法を開発する。 |
97 |
アラキドン酸カスケードを用いる海藻の化学分類法の開発 |
板橋 豊 |
北海道大学 |
東 陽介 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
形態や構成成分及び数少ない現在の遺伝情報からでは分類が曖昧な海藻を明確に識別するための新しい方法の開発を試みる。すなわち、海藻に傷害を与えて細胞膜を構成するアラキドン酸を代謝させ、生成する一連の化合物(カスケード)を指標にして種を分類するもので、従来法とは全く異なる化学的分類法を確立する。得られる成果は、生物分類学と海藻を利用する産業に有益な情報を提供するものと考えられる。 |
98 |
魚類養殖及び放流事業の性統御を可能にする魚類の遺伝的雌雄判別技術の開発 |
井尻 成保 |
北海道大学 |
東 陽介 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
本研究は、魚類の性特異的DNA配列を同定するための技術開発を目的とする。本研究では、雌雄のゲノムDNAの間でサブトラクションを行うことによって性特異的DNA領域を濃縮した後に、AFLP法で性特異的DNA配列の探索を行う。性特異的DNA配列が得られれば、特に雌雄で商品価値が大きく異なる魚種における簡便かつ早期の性判別が可能となる。 |
99 |
ホタテガイ未利用部由来ラミナリナーゼを用いた高効率β-オリゴ糖製造法の開発 |
尾島 孝男 |
北海道大学 |
東 陽介 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
北海道のホタテガイ養殖に伴い廃棄されている中腸腺(ホタテガイ未利用部)に含まれるラミナリナーゼ(β-1,3-グルカナーゼ;EC 3.2.1.6)を産業用酵素剤として製造するための基盤を整備する。さらに、本酵素を利用した生理活性β-オリゴ糖の製造、限定分解によるβ-グルカンの物性改変、β-グルカンの構造解析、糖転移活性を利用した新規ヘテロオリゴ糖およびβ-グルコシドの製造技術を開発する。 |
100 |
高鮮度食資源の安全保障に寄与するカンピロバクターの定量的蛍光イメージング法の開発 |
澤辺 智雄 |
北海道大学 |
東 陽介 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
カンピロバクターは世界規模で問題視されている食中毒細菌で鮮度の高い生食肉で感染リスクが高い。本課題では「微好気条件下での集落形成培養」と「種特異的蛍光遺伝子プローブの反応」を融合させた培養併用蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISHFC)法を利用し、高温性カンピロバクターの24時間以内での分別定量法を開発する。また食品流通過程での本菌群の生態を理解し、食資源のリスク管理向上に寄与する。 |
101 |
ノリの無性生殖強化による簡便・高効率生産技術の開発 |
水田 浩之 |
北海道大学 |
東 陽介 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
ノリ養殖過程は、次年度の栽培のため糸状体(ノリの微小世代)を培養し、採苗を経て漁場へ展開するため、時間やコストもかかる。また、その過程では病気等の問題も発生しており、短時間での種苗補充が必要となる場合がある。そこで、多くの有用物質を含み社会的需要の高いノリについて、再生可能な遊離細胞の獲得機構の解明を進めると共に、連続的な種苗採取を念頭に置いた高効率かつ高効率の生産技術の開発を目指す。 |
102 |
針状窒化チタン導入による高靭性窒化ケイ素セラミック複合体の作製 |
清野 肇 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
窒化ケイ素(Si3N4)セラミックスの靭性の向上を目的に、針状窒化チタン(TiN)粒子を導入したTiN-Si3N4複合体の作製および作製プロセスの最適化を行う。針状TiN粒子は酸化チタン粉末を水熱処理で針状化し、アンモニア窒化することで作製する。強度低下を引き起こす原因となる針状TiN粒子の凝集体の出現を抑制し,少量のTiN粒子添加で高靭性化を達成することに重点を置く。 |
103 |
中温作動型薄膜燃料電池のための電解質薄膜/金属アノード接合技術の開発 |
青木 芳尚 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
FC自動車および汎用小型電源への本格展開に向け、次世代燃料電池は200−500℃の中温領域で作動することが望ましいとされる。本研究では、従来のセラミックス材料に代わり、緻密薄膜形成に適したアモルファス構造のプロトン伝導性酸化物薄膜を電解質に用い、水素透過合金平板アノードと組み合わせた薄膜セルを試作する。これにより、良好な発電特性を得るための薄膜/金属アノード接合を設計する。 |
104 |
ガス印加法による細胞の常温保存技術の開発 |
内田 努 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
心筋細胞など凍結等による保存が困難な高付加価値の細胞種を保存し安定供給するため、細胞調整後Xeなどの麻酔作用ガスを印加することで、常温近傍の温度で保存・輸送に係る時間内で品質が保持され、抜圧後正常に培養可能な細胞保存法を検討し、実用化見通しを得ることを目標とする。 |
105 |
ハイパーブランチポリマーを用いた高性能潤滑剤の開発 |
佐藤 敏文 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
研究者らは、ハイパーブランチポリマーがその特異的な球状分岐構造から、これまでに無い高い摩擦低減作用を有していることを明らかにした。本ポリマーは従来の直鎖高分子による潤滑剤に比べ劣化が少なく、高潤滑性・高耐久性を示す点で画期的である。本提案では、ハイパーブランチポリマーを用いた高機能潤滑剤の開発を目指して、ポリマーを精密合成し、高分子構造が潤滑作用に与える効果について検討する。 |
106 |
フルオロアダマンタンの合成と医薬、機能性材料原料への利用 |
原 正治 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
アミノアダマンタン類は抗ウイルス剤、あるいはアルツハイマー病やパーキンソン病の薬として利用されている。また、アダマンタン骨格を持ったポリマーは次世代フォトレジスト材料として期待されている。研究者は、電解法あるいはIF5をフッ素化剤として用いることにより、アダマンタンに選択的にフッ素を導入できることを見出した。本提案では、この方法で合成するフルオロアダマンタン類を利用して新規の医薬品や機能性材料への実用化を拓く。 |
107 |
光応答スイッチング機能を有する新規高分子の開発 |
中野 環 |
北海道大学 |
吉田 光則 |
北海道大学 |
本研究は、光に応答してコンホメーションのスイッチングを起こす新規ならせん状光学活性ビニルポリマーの合成を目的とする。新規ポリマーは光照射により顕著なキラルコンホメーションの変化を起こし、光応答スイッチング機能を有する高分子材料へと応用できることが期待される。我々は、光によって高効率な高次構造変化を起こす新規高分子化合物の創成を目指している。 |
108 |
3次元デジタルプロトタイプを用いた情報機器の超短期間ユーザビリティ評価システムの開発 |
金井 理 |
北海道大学 |
栗原 正仁 |
北海道大学 |
情報機器のユーザビリティ評価は、現在、物理プロトタイプを用いて実施されているため、コストや効率性に劣る。そこで、現状最低でも数週間を要している携帯型情報機器に対するユーザビリティ評価を、「UI可動型3次元デジタルプロトタイプ」にWeb技術と視線追跡技術とを組合せ、半日以内に、しかも100名程度の大規模ユーザに対し、現状手法を凌駕する評価の信頼性を確保しながら、低コストで実施可能なシステムを開発する。 |
109 |
抗酸化性・耐摩耗性を強化した人工関節用ポリエチレンの開発 |
西村 生哉 |
北海道大学 |
栗原 正仁 |
北海道大学 |
人工関節が再置換に至る原因の一つに「ゆるみ」がある。「ゆるみ」の大きな原因は摺動面に用いられるポリエチレンの摩耗である。本研究ではこの摩耗を減らすためにポリエチレンに新しい添加剤を加え、高い抗酸化性・耐摩耗性の獲得を期待する。本研究の目的は抗酸化性・耐摩耗性を強化した人工関節用ポリエチレンを開発すること、最終的にはそれによって人工関節の寿命を延ばし患者のQOL(quality of life)を向上させることである。 |
110 |
魚肉タンパク質由来の抗炎症機能素材の開発 |
佐伯 宏樹 |
北海道大学 |
小川 晴也 |
北海道大学 |
タンパク質消化法を用いた魚肉からの新規な抗炎症ペプチドの生産技術の確立を行う。具体的には、既に細胞系で得られている知見に基づいて産卵回帰サケ肉を酵素分解し、抗炎症機能をもつ消化物を調製する。これを各種クロマトグラフィーに供して抗炎症画分を分取し、機能ペプチドの単離と構造決定を試みる。また動物実験によって、当該成分の生体系での抗炎症効果を検証する。 |
111 |
DING蛋白質を用いた難結晶性蛋白質の結晶化法の開発 |
田中 良和 |
北海道大学 |
城野 理佳子 |
北海道大学 |
蛋白質の構造情報は創薬研究をはじめ、様々な分野においても重要な役割を担っている。研究者らはDING蛋白質という機能未知蛋白質が極めて結晶化しやすい蛋白質であることを見出した。そこで本研究では、DING蛋白質の結晶化能を利用して、新規な結晶化を促進する融合蛋白質(結晶化タグ)を開発することを目指す。構造の不安定性により結晶化が困難な種々の蛋白質とDING蛋白質とを融合させて結晶化させ、その立体構造解析を行う系を構築する。 |
112 |
ドコサヘキサンエン酸含有ホスファチジルセリンの発酵生産技術の開発 |
奥山 英登志 |
北海道大学 |
須佐 太樹 |
北海道大学 |
脳機能に関わるDHAは有用な健康食品成分である。最近はDHAの分子形態による差別化が進み、DHA含有リン脂質、中でもDHA含有ホスファチジルセリン(DHA-PS)が注目されている。本研究では高いDHA蓄積能をもつラビリンチュラ類微生物によるDHA含有リン脂質の発酵生産過程に代謝調節を施し、PSの割合を現在の5%から20%程度まで上げ、DHA含量が40%以上のDHA-PS製造法の開発を目指す。 |
113 |
ミツバチ由来スーパー抗菌ペプチドの創製 |
松本 謙一郎 |
北海道大学 |
須佐 太樹 |
北海道大学 |
ミツバチが産生する抗菌ペプチド、アピデシンはグラム陰性細菌に対して幅広い抗菌活性を示し、人体に安全であり、食品添加物や保存剤としての利用が期待される。しかしながら、実用化のためには、さらにアピデシンの抗菌活性を高める必要がある。本研究課題は、アピデシンを構成するアミノ酸を改変し、抗菌活性を向上させた「スーパーアピデシン」を、当研究室で開発したスクリーニング系を用いて創製することを目的とする。 |
114 |
診断用X線被曝線量測定のための小型線量計の開発と応用 |
石川 正純 |
北海道大学 |
須佐 太樹 |
北海道大学 |
本研究の目的は、診断用X線による患者の被曝をモニタできる小型の線量計を開発することである。X線診断画像では、わずかなコントラストの違いで疾患を診断する必要があるため、X線診断に影響を与えない材質で構成された線量計であることが望ましい。そこで、本研究では、プラスチックシンチレータを用いて、X線透視像にほとんど影響を与えず、かつ、正確な線量測定が可能な小型の線量計を開発する。 |
115 |
MRアーチファクトフリーのインプラント材設計手法の確立 |
山本 徹 |
北海道大学 |
須佐 太樹 |
北海道大学 |
常磁性体および反磁性体の組み合わせ構造により、MRアーチファクトが発生しないインプラントを設計する手法を確立することを目的とする。まず、三次元磁界解析により常磁性材料と反磁材料の磁化率および組み合わせ形状の最適設計を行なう。次に、この解析結果に基づき、生体適合性に優れる磁性材料を選択し、組み合わせインプラントを試作してMRI撮像を行いアーチファクトの低減効果を評価する。 |
116 |
大腸菌を用いた抗ガン剤生産と酵素を用いた高活性誘導体合成法の開発 |
及川 英秋 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
研究者らが開発した発現カセット法を用いて、最近上市されたが量的供給に問題のある抗腫瘍性物質エクテナサイジン合成中間体の大腸菌による大量供給法を検討する。またごく最近我々は単純なアミノ酸とペプチドから、一挙にサフラマイシン骨格合成を行う酵素(SfmC)を見出したが、これを用いてこれまで十分検討されていないエクテナサイジン型誘導体の合成を行い、構造が単純ながらより高活性の誘導体を見出す。 |
117 |
エボラウイルス制圧を目的とした抗ウイルス薬スクリーニング法の開発 |
南保 明日香 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
エボラウイルスはその高い病原性から、早急に制圧されなくてはならない感染症の1つであるにも関わらず、未だ有効な予防、治療法が確立されていない。本研究においては、将来的なエボラウイルスの制圧を目的とし、第一に、エボラウイルス感染を阻害する化合物を探索するためのスクリーニング法を開発する。第二に、スクリーニングによって得られた各種化合物のエボラウイルス感染に対する阻害効果の作用機序を細胞レベルで検討する。 |
118 |
Srcチロシンキナーゼを標的とした滑膜肉腫の新規治療法の開発 |
渡部 琢哉 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
滑膜肉腫は特異な遺伝学的・細胞学的性質を有しており、現在のところ有効な化学療法は存在しない。研究者らはSrcチロシンキナーゼの活性を阻害することにより、滑膜肉腫細胞の増殖能と運動能を著しく抑制できることを見出した。この成果に基づき、Srcチロシンキナーゼを標的とした滑膜肉腫に対する新規治療法を確立するための第二段階として、マウスを用いた非臨床試験を行ない、本薬剤の実用化への可能性を探る。 |
119 |
生体内特異的な癌抗原の同定とそれを標的とした治療法の開発 |
津田 真寿美 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
腫瘍組織中の癌細胞は、単独培養条件下とは異なり、腫瘍微小環境を構成する種々の間質細胞との相互作用が要求される。この環境の相違は、培養細胞と組織中癌細胞間の遺伝子発現プロファイルに変化を生じさせ、実験段階と臨床現場間における抗がん剤の効能の格差にも繋がる。本研究では、癌細胞が腫瘍微小環境に適応するために必要な因子を探索、組織としての癌の性質を理解し、それを標的とした治療技術の確立を目指す。 |
120 |
エンドサイトーシス制御因子を標的とした抗ウイルス療法の開発と実用化 |
大場 雄介 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
研究者らは蛍光蛋白質を用いたバイオイメージング手法による分子間相互作用解析の過程で、エンドゾーム上で特異的に生じる蛋白質間相互作用を発見した。この蛋白質間相互作用は、エンドサイトーシスの制御法と、新規の抗ウイルス感染対策の開発にいたる可能性が高い。本研究課題では、この相互作用を規定する因子の同定と機能解析を行うことで、新規の抗ウイルス薬開発の基盤を創出することを目標とする。 |
121 |
強磁性ナノ接合を用いた熱電高変換効率材料の開発とその応用 |
海住 英生 |
北海道大学 |
蛸島 武広 |
北海道大学 |
本研究課題では強磁性ナノ接合を用いた熱電高変換材料の開発を行い、実用化への可能性を明らかにすることを目的とする。 |
122 |
電極表面の炭素析出浄化機能を有する革新的SOFCシステムの開発 |
中村 祐二 |
北海道大学 |
奈良林 直 |
北海道大学 |
高効率が期待される内部改質型固体酸化物形燃料電池(SOFC)は「陽電極上の炭素析出」により耐久性や出力が著しく低下するため実用化が進まない。本研究はこれを解決する技術シーズである。本研究においては、研究者の技術シーズである重力の影響を受けずに安定した構造を持つマイクロフレームの特徴を利用したin-situ(その場)析出炭素除去システムの可能性について模索する。 |
123 |
直径1インチ大口径高性能GPSシンチレータ単結晶の合成 |
金子 純一 |
北海道大学 |
奈良林 直 |
北海道大学 |
核医学診断装置への応用を目指し、直径1"クラスの高性能Ce:GPS(Ce:Gd2Si2O7)シンチレータ単結晶の合成を行う。GPSシンチレータは一般的なBGOシンチレータと比較して、7.5倍の大発光量と50ns程度の高速減衰時間を持ち、創薬用動物PET/SPECTや心臓病診断用SPECTへの応用が期待される。本試験では組成的過冷却の抑制と単結晶種結晶使用により装置メーカーへのサンプル提供に必要な直径1"単結晶の合成を試みる。 |
124 |
薬物肺送達システムの担体となる新規エアゾール型リポソームの開発と応用 |
丁野 純男 |
北海道薬科大学 |
東 市郎 |
北海道薬科大学 |
呼吸器感染症など肺疾患の発症には、肺粘液層(ELF)や肺胞マクロファージ(AM)が関与している。研究者らは、肺疾患治療薬をELF及びAMに送達可能なエアゾール型リポソーム(AL)を開発してきた。ALのELF及びAMへの標的性を更に向上できれば、様々な肺疾患に対して高い治療効果が得られる薬物肺送達システムが構築できる。本研究では、製剤学的工夫により表面修飾したALを新規開発し、臨床応用を目指す。 |
125 |
バイオマーカーを志向したアデノシンデアミナーゼ2の測定法開発 |
江川(岩城) 祥子 |
北海道薬科大学 |
東 市郎 |
北海道薬科大学 |
アデノシンデアミナーゼ(ADA)は二つのアイソザイムADA1とADA2からなる酵素であり、特にADA2活性はHIV感染症、結核、各種肝疾患等の患者血中で上昇することが知られている。しかしADA1と異なり、ADA2の性質はごく最近まで分子・遺伝子レベルで不明であった。申請者のグループは世界に先駆けてADA2精製に成功し、2つの抗ADA2ペプチド抗体を作成した。この抗体を用いて、ADA2の定量法を開発し、バイオマーカーとしての実用化を目指す。 |
126 |
レアアース含有廃棄物からのディスプロシウム回収およびLED用蛍光体の合成 |
高橋 徹 |
北海道立工業試験場 |
作田 庸一 |
北海道立工業試験場 |
レアアース資源の安定供給は重要な課題となっており、特にディスプロシウムは国家プロジェクト対象元素となっている。また、白色LEDは演色性が高い三波長型に切り替えが進んでおり、LED用赤色蛍光体の需要が拡大している。本研究では廃蛍光管に含まれるレアアース蛍光体の有効利用として、ディスプロシウムの分離回収およびLED用赤色蛍光体(タングステン酸ユーロピウム蛍光体)の合成法について検討する。 |
127 |
ホタテガイ副産物を利用した新規貴金属吸着剤の開発と応用 |
富田 恵一 |
北海道立工業試験場 |
作田 庸一 |
北海道立工業試験場 |
ホタテガイは北海道における主要な水産物であり水産加工により多量の貝殻および内臓が廃棄されている。これらは各種金属元素を濃縮していることが知られていることから、本研究では、その性質を利用することにより、廃電子基板等の含貴金属廃棄物からの貴金属吸着回収剤を開発し、実用化に必要な各種工業的特性を明らかにすることを目的とする。 |
128 |
磁気冷凍ヒートポンプにおける充填構造体の熱移動特性に関する研究 |
平野 繁樹 |
北海道立工業試験場 |
作田 庸一 |
北海道立工業試験場 |
磁気冷凍ヒートポンプ(HP)は,粉体あるいは粒状の磁気作業物質(MCM)充填層への励磁・消磁により、その物質が直接発熱・吸熱するシステムであり,フロン等の温室効果ガスを使用しない環境負荷の小さな次世代冷凍技術の一つである。MCM充填層は微細構造を有し、充填層と流体との熱移動特性は、システムの性能を大きく左右する。本研究では、磁気冷凍HPシステムの高効率化について,回転形実機を用いて検討を行う。 |
129 |
エレクトロスピニング法によるナノファイバーチューブ自動成形機構の開発 |
吉川 毅 |
北海道立工業試験場 |
長尾 信一 |
北海道立工業試験場 |
エレクトロスピニング法により作製されるナノファイバーを捕集し、小径不織布チューブを自動成形する機構を開発する。具体的には、神経再生チューブ等の生体用チューブ素材および産業用エアフィルター素材を対象として、自動的にチューブ形状に成形する機構の実用化を目指す。 |
130 |
プロセス代数に基づく組込みシステム向けソフトウェア開発・検証技術の開発 |
堀 武司 |
北海道立工業試験場 |
長尾 信一 |
北海道立工業試験場 |
組込みシステムのソフトウェアの複雑化に伴い、その検証手法が課題となっており,数学的基盤に基づく形式手法やモデル検査などの技術が注目されている。CSPは、プロセス代数に基づく形式手法であると同時に、同じ概念のプログラム環境(Occam, JCSP等)が存在し、仕様記述から実装までを一貫して扱える。本課題では、CSPベースの組込みシステム向けプログラム環境を開発し、検証作業の効率化を目指す。 |
131 |
屋内自律移動体のための時空間画像を用いた自己位置同定システムの実用化開発 |
橋場 参生 |
北海道立工業試験場 |
長尾 信一 |
北海道立工業試験場 |
屋内環境下で運用される各種の移動体のために、移動経路の時空間画像を利用した自己位置同定システムの実用化開発に取り組む。開発するシステムは、移動体と共に経路を移動する1台のカメラで取得した経路上下左右(天井、廊下、左右壁面等)の時空間画像を利用して、簡易な演算処理による自己位置同定を可能にするもので、移動ロボットをはじめとする各種移動体への組み込みに適した小型ハードウェア化が可能である。 |
132 |
農作業軽労化支援スーツの開発 |
吉成 哲 |
北海道立工業試験場 |
長尾 信一 |
北海道立工業試験場 |
農業の機械化は徐々に進んでいるが、人手による作業も少なからず残っている。中でも収穫作業の前かがみ姿勢や出荷時の重量物運搬等には問題が多い。研究者らは、農作業時の生体情報計測及び疲労度調査等により、足元バランス向上や腰部筋力補助を軽労化のポイントとした。そこで本研究では、装着時の負担が少なく必要十分な筋補助力を発揮する軽労化支援スーツを試作開発し、補助機能の最適化を図ることにより実用化見通しを得る。 |
133 |
二酸化炭素ガス弱加圧処理の殺菌スペクトル評価 |
八十川 大輔 |
北海道立食品加工研究センター |
長島 浩二 |
北海道立食品加工研究センター |
高圧二酸化炭素ガスによる殺菌は安価、入手が容易、酸化の影響が少ない、という点で注目されている。当課題は(独)産業技術総合研究所で開発された、二酸化炭素を用いた50気圧以下の低加圧条件で処理した際の殺菌効果について、菌種による殺菌効果を16SrRNA遺伝子を用いた菌種同定の結果から検討を加える。更に当技術の改善法を検討する。 |
134 |
抗腫瘍活性を有するガゴメ含有多糖を高度に活用した機能性食品の開発 |
佐々木 茂文 |
北海道立食品加工研究センター |
長島 浩二 |
北海道立食品加工研究センター |
ガゴメに含まれる多糖の特性(粘稠性、機能性)を最大限に活用した食品を開発するために、食品加工工程における諸因子(pH、熱、共存成分)のガゴメ多糖の粘稠性と機能性に及ぼす影響を解析し、それらの低下を抑制する食品加工技術を開発して、ガゴメを活用した食品の高機能化を行う。 |
135 |
抗菌ペプチドを利用した発酵食肉製造技術の開発 |
山田 加一朗 |
北海道立食品加工研究センター |
長島 浩二 |
北海道立食品加工研究センター |
バクテリオシン産生微生物を使用し、研究者の所属機関で製造法を開発した発酵生ハムに応用可能な製造条件を検討する。さらにこの製造法を応用して発酵ソーセージの製造法を検討する。 |
136 |
エゾシカ利用による凝乳酵素の開発 |
川上 誠 |
北海道立食品加工研究センター |
長島 浩二 |
北海道立食品加工研究センター |
北海道ではエゾシカの頭数調整として捕獲、一時養鹿が行なわれているが、この間出産される子鹿は少なくない。また、チーズを製造時に不可欠な凝乳酵素であるカーフレンネットは国際的に不足している。本課題では北海道の貴重な資源としてエゾシカを捉え、子鹿の消化器官から抽出する凝乳酵素の開発とこれを用いたナチュラルチーズの製造方法を提案するものである。 |
137 |
耳石微細構造解析によるカラフトマス稚魚の成長履歴解析法の開発 |
虎尾 充 |
北海道立水産孵化場 |
竹内 勝巳 |
北海道立水産孵化場 |
近年、サケマス資源の回帰率向上のため「適期放流」が重要視されている。本技術は、サケマス放流事業における適期放流技術開発に必要な、成長履歴推定ツールとしての耳石微細構造の有効性を検証する。飼育実験および野外採集されるカラフトマス稚魚を用いて、1.耳石輪紋形成の日周性の検証、2.耳石径からの体長逆算推定法の確立、3.海水移行チェックを検索する。これらによって、カラフトマス稚魚降海後の成長率推定技術を確立する。 |
138 |
セラミド高生産性担子菌菌糸体の増殖技術の開発 |
米山 彰造 |
北海道立林産試験場 |
加藤 幸浩 |
北海道立林産試験場 |
グルコシルセラミドやセラミドは植物、糸状菌、動物等に広く分布しており、近年、肌の保湿作用、抗アトピー効果、大腸癌抑制作用が期待される機能性素材として注目されている。本研究では担子菌のうち比較的成長速度が速いタモギタケ等を用い、菌糸体の高含有菌株を選抜するとともに、培養条件を検討し、効率的に純度の高いセラミドを得ることを目指す。 |
139 |
廃棄物系バイオマスによる木質ペレットの高カロリー化の検討 |
山田 敦 |
北海道立林産試験場 |
加藤 幸浩 |
北海道立林産試験場 |
木質ペレット燃料は単位重量当たりの発熱量が灯油の1/2程度しかないため、輸送や貯蔵に係るコストが大きい。また、原料となる木質系バイオマスは山村地域に偏在するため、原料調達に要するコストも大きい。そこで、これらのコストを低減するため、廃棄物系バイオマスを混入したカロリーの高い木質ペレット燃料を開発する。さらにペレットストーブを用いた燃焼試験を行うとともに、排ガス等の安全性を調査する。 |
140 |
大型氷単結晶を育成する簡易装置の開発 |
百武 欣二 |
北見工業大学 |
鞘師 守 |
北見工業大学 |
異方性のある結晶の性質を理解するためには、身近にある氷についてチンダル像生成や劈開割れ、音速異方性などを、実際に観察してみるのが判りやすい。本開発は、物理教材として優れた大型単結晶氷を、誰でも容易に作成できるようにする試みである。冷却源にペルティエ素子を用いて装置をコンパクト化し、最適な育成条件(冷却速度、引き上げ速度等)を実験的に求めて、コンピューター制御された育成システムの構築を目指している。 |
141 |
スラリー埋入加熱処理を利用した高密着性ナノアパタイト被覆チタン材料の開発 |
大津 直史 |
北見工業大学 |
内島 典子 |
北見工業大学 |
機械的特性に優れ生体への毒性が低いチタン金属は、骨代替材料として広く利用されている。しかし、通常、チタン金属が骨と直接結合することはありえない。本研究では、我々が新しく考案したスラリー状処理剤中に基材を埋入しそのまま加熱するという簡便な処理プロセスを用いることにより、骨と直接結合できる高密着性ナノアパタイト皮膜を有するチタン材料を開発することを目指す。 |
142 |
キシリトールを糖質原料としたアスタキサンチン生産プロセスの開発 |
多田 清志 |
北見工業大学 |
内島 典子 |
北見工業大学 |
アンチエイジングへの関心が高まっている中、アスタキサンチンは強力な抗酸化作用を有することから健康食品及び化粧品の新素材として期待されている。これまで研究者は、北海道で大量に産出される農産廃棄物を原料としたキシリトールの微生物生産を検討し、更にキシリトールからのアスタキサンチン生産の可能性を見出した。本研究では、キシリトールを糖質原料としたアスタキサンチンの微生物生産プロセスの実用化の見通しを得る。 |
143 |
中性電解質を用いた相補型エレクトロクロミック調光ガラスの開発 |
阿部 良夫 |
北見工業大学 |
内島 典子 |
北見工業大学 |
建築物の冷暖房負荷や照明負荷の低減による省エネルギー効果が期待されるエレクトロクロミック調光ガラスの開発を目的とする。このため、本研究では、還元発色型と酸化発色型のエレクトロクロミック材料を組み合わせた相補型の素子構造を採用し、電解質の最適化により高効率と高速応答性を実現する。 |
144 |
3次元Si貫通配線のための新規成膜手法の開発 |
武山 真弓 |
北見工業大学 |
有田 敏彦 |
北見工業大学 |
Si-ULSIのさらなる高集積化に、チップを3次元的に積層する実装技術が注目されている。中でも、積層チップ間を最短距離でつなぐSi貫通ビア配線の実現が鍵となるが、200℃以下で貫通電極を作製するプロセス開発が必須となる。現状ではこの要求を満足できるプロセスも材料も存在しないが、研究者は200℃程度以下のプロセスで貫通電極を実現できる新たな成膜技術と新規バリヤ材料を開発し、実用化に向けた装置化の基礎的部分を検討する。 |
145 |
プロテオミクスに基づく発酵乳製品の機能性評価と生産プロセスの高度化 |
堀内 淳一 |
北見工業大学 |
有田 敏彦 |
北見工業大学 |
発酵乳製品はラクトフェリンに代表される機能性タンパクや様々な生理活性を持つ多様なペプチドを含有することが知られている。本研究では2次元電気泳動解析に基づくプロテオミクス技術を発酵乳製品製造プロセスに適用し、発酵製品中の機能性タンパク及びペプチドを網羅的且つ経時的に評価し機能性物質の生成過程を明らかにする。さらに得られた知見を乳製品製造工程に適用し、安定した機能性発酵乳製品製造プロセスの確立に資することを目的とする。 |
146 |
食用担子菌の光誘導性タンパク質発現系の開発 |
佐藤 利次 |
北見工業大学 |
有田 敏彦 |
北見工業大学 |
担子菌は、木質等を栄養源にする特殊な微生物であり、医薬品原料や木質のバイオエタノール製造利用時のリグニン分解などの前処理利用の点で注目されている。しかし、育種や酵素生産のための担子菌における効率的な遺伝子発現制御系が確立されていないのが現状である。本研究は、形質転換系が確立されている食用担子菌シイタケの遺伝子プロモータを利用した発現制御可能な遺伝子発現系を開発することである。 |
147 |
北海道に生息する野生動物の進化系統学的検討と新規診断法の開発 |
平田 晴之 |
酪農学園大学 |
山田 龍翁 |
酪農学園大学 |
バベシア症は赤血球内寄生原虫を病因としダニ媒介性の人獣共通感染症である。北海道に生息する野生動物にバベシア原虫の感染が相次いで報告されてきており、野生動物から飼育動物やヒトへの感染が危惧されている。研究者らは2009年の北海道に生息するアライグマのバベシア原虫保有率を調査し5年前の調査結果と比較検討を行う、さらにアライグマから他の動物への感染拡大阻止のために本原虫に対する診断法の開発を目標とする。 |
No. |
研究課題名 |
研究者 |
コーディネータ |
研究概要 |
氏 名 |
所 属 |
氏 名 |
所 属 |
170 |
網羅的ウイルスRNA単離法を利用した花きウイルス病害診断アレイの開発 |
小林 括平 |
(財)岩手生物工学研究センター |
勝部 和則 |
(財)岩手生物工学研究センター |
cDNAアレイを用いて複数のウイルスを一括診断する場合、標識試料の作製には一般に個々のウイルス特異的な増幅法が用いられ、コスト高となっている。RNAウイルスのゲノムまたは複製中間体のdsRNAを効率的に単離し、網羅的逆転写、増幅、塩基配列決定によって、単一の試験でウイルスを網羅的に同定する方法を開発した。本研究では同法をアレイ検出用標識試料調製に応用し、花きにおける病原ウイルスcDNAアレイを用いた網羅的診断法を開発する。 |
171 |
氷点下苗貯蔵による抽だい回避技術を利用したネギの新作型の開発 |
山崎 博子 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
児島 清 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
ネギは一定以上の苗サイズで低温に遭遇すると花芽が分化するため、越冬作型では抽だいが発生しやすく、栽培が難しい。また、収穫期が9 月から11 月の短期間に集中する北東北地域のネギ産地では、収穫期の拡大(前進化)が望まれているが、冬春期の寒冷な気候や前述した花芽分化特性が大きな障害となっている。本課題では、新たな抽だい回避法として、生育の十分に進んだネギ苗を花芽未分化状態で保存できる氷点下苗貯蔵技術を活用し、北東北地域のネギの収穫期を前進化させる新たな作型を開発する。 |
172 |
高輝度変調LED光源を活用したプラスチック種類判別器の開発 |
貝原 巳樹雄 |
一関工業高等専門学校 |
佐々木 蔵寿 |
(財)いわて産業振興センター |
3R(Reduce、Reuse、Recycle)促進を目的として廃棄物の分別回収が広く展開されている。プラスチックの場合、仮に、大量に利用されている10種類程度(PP,PE、PET、ABS等)が正確に分類できれば、ほぼ85%程度のプラスチックに相当する。そこで、高輝度変調LED光源を活用し、これらを簡易に判別することができる低コストプラスチック判別器の開発を行うものである。 |
173 |
メカノケミカル法で調製した高活性複合金属酸化物触媒によるバイオディーゼル燃料の合成 |
福村 卓也 |
一関工業高等専門学校 |
佐藤 昭規 |
一関工業高等専門学校 |
遊星ボールミルやエネルギー集中型ボールミルを用いたメカノケミカル法によりアルカリ土類金属を主成分とする複合金属酸化物触媒を調製し、近年環境調和型燃料として注目されているバイオディーゼル燃料の効率的合成法を構築する。調製した各種触媒の性状観察結果と反応実験結果との関係を総合的に評価した上で最適触媒を決定し、最終的には既存の均相アルカリ触媒に比肩するデータの獲得を目指す。 |
174 |
血管内膜損傷の新規診断システムの構築;白血球S100A遺伝子群のmRNA解析 |
人見 次郎 |
岩手医科大学 |
早川 信 |
岩手医科大学 |
血管内膜の損傷は、脳梗塞、心筋梗塞の原因となるアテローム血栓症の原因母地となる。この予防として血管内膜損傷の診断薬の開発が期待されるが、現在病変を正しく評価する診断薬は存在しない。しかし、申請者が発見したS100A12(CAAF1)蛋白は、白血球が産生し、そのmRNA量の測定や蛋白の血中濃度の測定により頚動脈の動脈硬化症患者と健常者を区別することができる。そこで、本研究では好中球が産生するS100AファミリーのmRNAの発現動態と血管内皮損傷の関連を明らかにし、mRNA量の測定が病態診断法として役立つか否かを評価する。 |
175 |
エネルギー弁別高速X線回析装置の開発 |
佐藤 英一 |
岩手医科大学 |
早川 信 |
岩手医科大学 |
汎用のX線回折装置(XRD)では、目的に応じてX線管のターゲット材が選択される。本研究ではタングステン(W)ターゲットのX線管を用い、回折されるX線のフォトンエネルギーをシリコン(Si)カウンターを用いて0.4keV程度の分解能で選択し、最大10Mcpsのレートでカウントする。特に残留応力測定、単結晶の評価、小角散乱用として用いることのできるx-yスキャン方式の高速エネルギー弁別二次元センサーを開発してXRD用として実用化することを目的としている。このセンサーを用いてデバイリングなどを撮影し、残留応力測定を主としたX線回折装置の実用化も目指す。 |
176 |
細胞接着・遊走促進作用をもつ新規インプラント材料の開発 |
鍵谷 忠慶 |
岩手医科大学 |
早川 信 |
岩手医科大学 |
インプラントは、歯科領域の欠損補綴において、義歯と並んで重要な役割を演じているが、埋入してから補綴が完了するまでに時間がかかる点が短所となっている。本研究は細胞接着・遊走促進作用、および骨形成促進作用をもつタンパク質を純チタン表面にコーティングすることで、治療に費やす時間を短縮し、感染リスクの低減可能な新しいインプラント材料を開発することを目的とする。 |
177 |
金属イオンを用いた新規口臭予防薬の開発 |
吉田 康夫 |
岩手医科大学 |
早川 信 |
岩手医科大学 |
口臭は口腔内細菌によるアミノ酸などの分解産物が主要な原因である。硫化水素やメチルメルカプタン等の揮発性硫化物は主要な口臭物質として認識されており、歯周病細菌によって主に歯周ポケットから産生されることから、口臭と歯周病の関連も示唆されている。国民の15%は口臭の悩みをもっているとの厚生労働省の調査にも拘らず、現在の口臭抑制剤の大半は口臭をマスクするものであり、原因療法に立脚した口臭抑制薬や予防薬は殆ど存在しない。そこで本研究では、臨床応用を目的とした口臭発生メカニズムに基づく口臭治療薬を開発する。 |
178 |
リンパ管を利用した抗癌剤投与経路の開発とその剤形 |
藤村 朗 |
岩手医科大学 |
早川 信 |
岩手医科大学 |
口腔領域のリンパ管の分布状況を検索し、有効に薬剤を吸収できる部位の特定を動物実験で確認してきた。これらの部位がヒトにおいても同様かどうかを形態的に検証し、実際に吸収量が十分であることを動物実験で検証する。さらにそれらの局所から薬剤をリンパ管にのみ吸収させるための薬剤剤形を開発する。 |
179 |
イチゴ一季成り性品種の夏秋期安定生産に向けた連続出蕾技術の確立 |
佐藤 弘 |
岩手県農業研究センター |
古川 勉 |
岩手県農業研究センター |
業務用イチゴの国内生産量は7月〜11月に少なく、ほとんどを輸入に依存している。この時期、国内でも四季成り性品種を用いた業務用イチゴの生産が本格化したことから、実需者は国産にシフトしつつある。しかし、本品種は食味が劣るため、その課題解決が強く望まれている。研究代表者は食味に優れるが夏秋期生産が困難な一季成り性品種を用いて、この課題を解決できる知見を得ており、この知見を基に、夏秋期の安定生産に向けた実用技術を確立する。 |
180 |
トマトの生産性向上を可能とする3段摘心新栽培様式の確立 |
藤尾 拓也 |
岩手県農業研究センター |
古川 勉 |
岩手県農業研究センター |
本県のトマトの夏秋作型では多段栽培が主流であるが、収穫が8月に集中し秋期収量が低いことや、高度な栽培技術を要するため生産者間の収量較差が大きく、収量が低い現状にある。これに対し3段摘心栽培では栽培技術の平準化や生産安定性に優れるが、夏秋作型では年2回の作付が限界で土地生産性が低い。このため、新栽培様式を開発し、作付回数の増加による新たな多収技術として実用化に向けた最適な栽培条件を明らかにする。 |
181 |
リハビリ診断支援のための歩行動作変化の定量化に関する研究 |
松田 浩一 |
岩手県立大学 |
岸本 輝昭 |
岩手県立大学 |
本研究では、歩行リハビリにおける動作変化の定量化システムを開発する。 理学療法の現場では、これまで経験的に把握されてきたリハビリ練習前後の変化について、定量的で具体的な指標が求められている。本研究では理学療法士が経験的に変化を読み取る知識とセンサから得られるデータとの分析を行うことにより、現場で日常的に活用できるシステムの構築を目指す。 |
182 |
白色有機EL照明用低電位駆動型フレキシブル有機薄膜トランジスタの試作 |
小川 智 |
岩手大学 |
近藤 孝 |
岩手大学 |
フレキシブル白色照明用として期待されている有機EL素子を駆動するトランジスタとして、有機半導体を用いた有機TFTを用いるには、エネルギー消費の関係上、駆動電圧が高すぎるという問題点がある。そこで、これまでの代表研究者の研究成果を組み合わせ、さらに素子の安定性を付与することにより、白色有機EL 照明用低電位駆動型の高性能、高耐久性の有機薄膜トランジスタを開発し、有機ELと組合せ、 EL 表示素子の安定動作が可能な試作品を作製する。 |
183 |
マルチ超伝導バルク磁石を用いた高精度磁気分離技術の開発 |
藤代 博之 |
岩手大学 |
近藤 孝 |
岩手大学 |
Nd-Fe-B系永久磁石の10倍以上強力な数テスラの磁場を捕捉出来る超伝導バルク磁石は、小型、可搬、強磁場かつ高磁気勾配、漏れ磁場が少ない、などの利点を有する。これまでに開発した列状に5個のバルク磁石を配置した装置を用いて、液体、気体、粉体中から磁気的性質の異なる物質相を高精度に分離・回収するための装置設計、前処理技術、システム化に対する付加価値の高い工学的応用を目指した研究開発を行う。 |
184 |
3次元形状データ流通を加速する高効率な圧縮技術開発 |
今野 晃市 |
岩手大学 |
今井 潤 |
岩手大学 |
インターネットを通じて、3次元形状データを活用するためには、データを圧縮する技術が必要である。しかし、機械系CAD等で作成される、複雑な曲面を含む3次元形状データは、サイズが巨大であり、圧縮後のデータサイズも、まだまだ大きい。サイズが巨大化する一因は、曲面制御点数が多いことである。本研究では、代表者が研究してきた曲面近似手法を用いて、曲面モデルを圧縮する技術開発を行う。 |
185 |
遺伝子発現を指標とした牛体外受精胚の新規体外培養法の開発 |
澤井 健 |
岩手大学 |
今井 潤 |
岩手大学 |
牛卵子の体外受精後の体外発生率および胚移植後の受胎率の向上は優良牛の増産にとって不可欠かつ急務な課題となっている。そのためには、移植後の発生および受胎能力を指標とした胚の品質評価およびそれに基づいた体外培養系の開発が必要である。我々は前年度のシーズ発掘試験において、遺伝子発現解析による牛体外受精胚の品質評価に必要な解析技術と基礎的知見を得ることができた。本研究では、これら前年度に確立された評価法を利用して、遺伝子発現情報に基づく牛体外受精胚の新規体外培養系の開発を目標とする。 |
186 |
高機能組織制御鋳鉄材料の複合化技術開発と応用 |
平塚 貞人 |
岩手大学 |
酒井原 啓人 |
岩手大学 |
鋳鉄を溶融接合すると急冷により溶接金属部と母材の境界部にセメンタイト(チル)が形成され、このチル組織が機械的性質を低下させる問題がある。省エネルギー、高性能化、軽量化の観点から自動車部品における「鉄系材料と異種材料との無チル化接合による複合化」が技術課題の1つである。本事業では、高炭素鉄系材料とステンレス鋼との接合界面組織の無チル化を試みるもので、異種材料との複合化方法を提案するものである。 |
187 |
児童および成人の運動能力の向上を支援するプログラムと計測法の開発 |
大川井 宏明 |
岩手大学 |
酒井原 啓人 |
岩手大学 |
【目的】近年、運動不足等による児童の運動能力の低下が懸念されているほか、高齢者にあっては日常生活動作の能力低下に伴う骨折等が社会問題化している。本研究では、発育期にある児童の運動能力の向上を、老化が進行中にある高齢者の運動機能の維持を目的とした新たなプログラムと客観的計測法を開発する。 【実施内容】①日常行ない得る簡易的運動プログラムをつくり、②その運動機能に対する影響を評価する計測法を確立する。 |
188 |
迅速安価で簡単なマイクロ金型の製造に関する研究 |
清水 健司 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
近年、バイオ関連機器、医療機器、光学機器などの分野において、精度の高い微細パターン付き成形品を成形加工する要望が増え、それに伴って微細パターン成形用の精密金型の製造法の開発が切望されている。本研究では、本研究グループのこれまでの独創的な接着技術、露光技術、結晶化技術及び重合技術を用いて部分的な有機皮膜と基板材料のメッキにより、安価で迅速に簡単な方法でマイクロ流路などの簡易金型(使用回数:100以上)を開発することが目的である。 |
189 |
X線量計測用高品質ZnO系電極膜の開発 |
越後谷 淳一 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
医療用の電離箱は、透明導電膜で被覆されたプラスチックの電極板3枚が空気層を介し二重構造を形成している。X線が通過すると電離効果で、電極板間に電流が流れ2つの電流でX線量が計測される。現在ITO透明導電膜が用いられているが、X線吸収量の低減化、高感度化等が要請されている。本研究では、X線吸収係数の小さな材料系で、低温成膜・高均一膜厚スパッタ技術を駆使し、電離箱用高品質電極膜の開発を行う。 |
190 |
培養細胞を用いたインフルエンザワクチン生産系の開発 |
山下 哲郎 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
インフルエンザワクチンの生産には、通常鶏の有精卵が用いられるが、この生産系は膨大な数の有精卵が必要で、新型インフルエンザが大流行するとワクチン生産が間に合わないことがある。また、ヒトとトリ両方に致死的な新型ウイルスが発現した場合、ヒナが死んでしまいワクチン用のウイルスが生産できない等の問題もあり、近年、動物培養細胞を用いたワクチン生産系の開発が進められている。そこで、本応募課題では、ネコ尿細管由来の培養細胞であるFKD細胞を用いたインフルエンザワクチン生産系の開発を行い、その実用化の可能性を探る。 |
191 |
新規ナノコンポジット水素透過膜の開発と応用 |
山口 明 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
近未来に到来することが予測されている水素社会においては、水素を製造・高純度化するための水素改質・水素選択透過膜の普及が不可欠である。しかし現在想定されている材料は希少金属を大量に使用し、耐久性に劣るなど問題点が多い。本課題では申請者が発見した金属−セラミックスナノコンポジット膜を用いて新しい水素改質・水素選択透過膜材料を開発する。さらにそれを自立膜とするなど、新透過膜材料の有効な活用法を探求する。 |
192 |
遠心力を利用した向流クロマトグラフの開発と応用 |
北爪 英一 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
遠心力を利用した分離技術の一つである、「高速向流クロマトグラフィー」による重金属元素の高感度分離分析について、装置開発を含めた系統的研究を展開している。濃縮率を上げるために必要な、高速回転に耐えうる、最適なチューブ形状を考案し(特許第3756649号)、従来の方法に比べ約100倍の感度向上を達成した。また河川水や海洋水などの環境水中に排出された環境汚染物質を効率的に濃縮処理するため、装置のカラム部分を改良し新しい流路機構を提案した(特許第4249080号)。これを用いて汚染除去装置としての可能性を検討している。 |
193 |
重水トレーサおよび近赤外線分光計による簡易植物内水移動測定法の開発 |
松嶋 卯月 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
農業における水利用の効率化は世界の食糧供給問題を解決する上で重要な課題である。そこで、植物内部の水移動を非破壊で可視化し、植物による水利用を簡易に計測できる手法を確立することを目的とする。最終的には、開発された手法を用い、乾燥地域での灌漑農業および植物工場などでの最適水管理システムの技術的パッケージを提供する。 |
194 |
高透明性有機・無機自発的交互積層厚膜の開発と応用 |
土岐 規仁 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
近年、無機化合物の熱安定性および有機化合物の発光特性を併せ持つ無機・有機ハイブリッド結晶が光学材料として注目されている。これまでに環境低負荷物質を用い、ホスト−ゲスト錯体形成の制御により光特性に優れた結晶の創製法とその微粒子配向制御理論を構築している。そこで、本研究では、無機ナノ粒子と有機化合物を用いた新規有機・無機自発的交互積層厚膜の開発と、その高透明性を特徴とした光電変換素子への応用を目指す。 |
195 |
ローズマリー由来のカルノシン酸のグルタチオンを介した脂肪細胞分化の抑制機構 |
佐藤 拓己 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
メタボリックシンドロームは内臓脂肪が原因なので、内臓脂肪の蓄積を阻害する成分が求められる。代表研究者は、脂肪細胞の分化を抑制する、ローズマリー由来のカルノシン酸に注目する。この抑制作用にはグルタチオンを介している。本課題はカルノシン酸が、グルタチオンを介してマウスの脂肪蓄積を抑制することを証明する。これらの知見は、ローズマリー抽出物を、脂肪肝を予防する機能性食品として実用化するために必要である。 |
196 |
砂漠化が進行する高塩類アルカリ条件下での耐性イネ科植物シオチガヤの生理機能 |
河合 成直 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
世界の農地は13億haのうち、毎年600万haが砂漠化により失われている。その面積は全陸地の4分の1であり、食料を海外に依存するわが国もこれに無縁ではない。本研究は世界の砂漠化が進行するNa型アルカリ土壌で生育できる塩類耐性植物シオチガヤの生理的特長を解明することを目的とする。その植物生理学的知見を持って、土壌劣化・砂漠化しつつある世界のアルカリ土壌地帯での植生の回復、環境保全、食糧生産に貢献しようとするものである。 |
197 |
Ti-S結合を利用した機能性色素錯体の集積とその機能評価 |
木村 毅 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
フタロシアニンは、有機色素太陽電池や有機半導体への応用が期待されているが、高凝集性、低溶解性のため、光機能性色素としての性能は充分発揮できていない。そこで、本応募課題ではフタロシアニン金属錯体の機能をさらに引き出すため、中心金属上の軸配位子を検討することで、フタロシアニンを半導体基盤表面等に集積させ、光機能性色素としての機能評価を行うことを目的とする。 |
198 |
新規ナノワイヤーの合成と高出力リチウムイオン二次電池への応用 |
明 承澤 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
リチウムイオン二次電池はクリーンなエネルギー源として、モバイル用電源から自動車や定置用電源まで幅広い分野における利用が期待されている。しかし、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用されている黒鉛はリチウムイオンの挿入により熱的に不安定になり、爆発まで至る場合も報告されている。そこで本課題では、これらの解決策として熱的安定性が優れた新しいナノワイヤーを負極活物質として提案し、電池の安全性向上と低コスト化を図ることを目的とする。 |
199 |
カリンポリフェノールの抗糖尿病、抗肥満作用機構の解明と製品への応用 |
長澤 孝志 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
カリン抽出物は咳などの喉の炎症に効果があるといわれ、申請者の最近の検討から、カリンエタノール抽出物にきわめて強い抗酸化活性とともに血糖値低下作用や血中脂質濃度低下作用など、糖尿病、脂質異常症に対して効果があることが示された。これらの作用は、既存のブドウ種子ポリフェノールなどよりも強いものであった。しかし、カリンポリフェノールの組成、糖尿病、脂質異常症に対する作用機構は明確ではない。本研究課題ではこれらを明らかにすると同時に、抽出エキスを用いたカリンポリフェノールの製品の健康機能性へのエビデンンスを提示するものである。 |
200 |
ナノ複合フード材料としての香味成分/層状複水酸化物複合体の創製 |
成田 榮一 |
岩手大学 |
小川 薫 |
岩手大学 |
生体への親和性に優れた無機粉末材料として層状複水酸化物(LDH)が知られており、その基本層間に交換可能な陰イオンをもつため、分子コンテナとしての機能が考えられる。本研究では、一般に揮発しやすく、熱安定性が低いバニラやアニス、シナモンなどの香味成分(食味添加剤や香料)を化学的手法によりLDH層間に取り込み、熱安定性を有するナノ複合フード材料としての香味成分/層状複水酸化物複合体の創製を目指す。 |
201 |
オンタイム金型加工品質診断技術の研究_ |
清水 友治 |
岩手大学 |
中戸川 明広 |
岩手大学 |
本研究では、金型の長寿命化とそれを使用した安定した生産のために、金型加工時にオンタイムで部品の品質診断を行う高効率品質管理・検査技術の構築を目的とする。金型の最終的な仕上げ加工として使用されることが多い研削加工中に発生するAE(アコースティックエミッション)波を測定し、解析することで、前加工で受けた表面のダメージの評価を行う。解析方法として、測定されたAE波の特徴を抽出し、品質工学のMTシステムを適用する。 |
202 |
MgB2超伝導バルク体を用いた超強力磁石開発 |
内藤 智之 |
岩手大学 |
中戸川 明広 |
岩手大学 |
超伝導現象の四大特徴のひとつである磁束の量子化を利用して超伝導バルク体に磁場(磁束)を捕捉させると超伝導バルク体はテスラ級の“疑似”永久磁石(超伝導バルク磁石)になる。超伝導バルク磁石の最大の利点は一般的なコイル型超伝導電磁石と異なり、開放空間で超強力磁場を利用可能にすることにある。本研究では、金属系超伝導体MgB2バルクを用いた超強力磁石を開発する。 |
203 |
ホランダイト型MnO2を用いた高容量かつ低コスト新規正極材料の開発 |
門磨 義浩 |
岩手大学 |
中戸川 明広 |
岩手大学 |
近年、環境負荷低減のためクリーンエネルギーの利用への社会的要請の急速な強まりに伴い、車載用や電力貯蔵用電源としてリチウム二次電池大型化が急務となっている。本応募課題では、現行の正極材料であるコバルト酸リチウムと比較して、高い初期放電容量を示し、低コストであるホランダイト型マンガン酸化物に注目し、リチウム二次電池の大型化へ向けて高容量かつ低コスト正極材料の開発を行う。 |
204 |
誰にでもできる簡易な家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度測定系の完成 |
橋爪 力 |
岩手大学 |
中戸川 明広 |
岩手大学 |
家畜の血中下垂体前葉ホルモン濃度の測定は、アイソトープ(RI)を使う放射免疫学的測定法が実用化されているため、係る測定装置を有するごく一部の限られた研究機関しか測定できない。申請者は昨年度のJST委託研究費でRIの代わりに蛍光標識物を使う時間分解蛍光免疫測定法(TR-FIA)により、家畜の血中下垂体ホルモン濃度が測定できることを示した。本研究は、申請者が立ち上げたTR-FIAで種々の生理的条件下にある家畜の黄体形成ホルモン、成長ホルモン、プロラクチン等の血中濃度を実際に測定し、本技術が応用に適することを証明し、本技術を確立完成させるものである。 |
205 |
歩行パターン再学習による犬脊髄損傷新規治療法の開発 |
神志那 弘明 |
岩手大学 |
中戸川 明広 |
岩手大学 |
近年、椎間板ヘルニアによる脊髄損傷が犬で激増している。重症例では後肢は完全に麻痺し、人の脊髄損傷と同様に有効な治療法がない。本研究は、後肢が完全に麻痺した脊髄損傷犬を再び自力で歩行できるように治療する方法の確立を目指している。そのために、犬用歩行トレーニング装置を試作し、歩行パターンの再学習効果を高める試みを行う。 |
206 |
脳神経系疾患診断のためのクレアチンキナーゼBサブユニットの免疫学的定量法の確立 |
安田 準 |
岩手大学 |
牧野 平 |
岩手大学 |
クレアチンキナーゼ(CK)は神経系や筋肉に含まれる酵素である。CKは神経型(B)と筋肉型(M)のサブユニットで構成される2量体である。脳神経系疾患では、CKのBBアイソザイム(CK-BB)が血液中に漏出してくるが、漏出量(活性)は病態に応じて変動する。この研究では、犬をモデル動物として用い、動物の脳神経系疾患の病態やその経過を正確に診断するために、血液中CK-BBの免疫学的定量法を確立する。 |
207 |
DNA鑑定技術による放流用ナマコ標識法の実用化に向けた開発 |
奥村 誠一 |
北里大学 |
及川 善裕 |
北里大学 |
ナマコはあらゆる物理的標識を離脱するため、魚類・貝類のような放流個体への物理的標識に基づく放流効果の評価は不可能であり、このことが放流事業を営む現場で大きな問題となっている。近年発達したマイクロサテライトDNA分析法は、いわゆるDNA鑑定技術であり、優れた個体識別法である。本研究は、これを標識とした放流事業の実用化に資することを目標とする。 |
No. |
研究課題名 |
研究者 |
コーディネータ |
研究概要 |
氏 名 |
所 属 |
氏 名 |
所 属 |
208 |
微細加工基板による毛細管現象を利用したジョセフソン接合の開発 |
内山 哲治 |
宮城教育大学 |
大野 健一 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
超伝導のエレクトロニクス応用は、フィルターを除けば全てジョセフソン接合が必要である。一方、Bi系酸化物高温超伝導体は、その異方的結晶構造に由来した固有ジョセフソン接合(ジョセフソン接合アレイ)を発現することが知られている。我々は、これまでBi系材料において、基板と基板のサンドイッチ構造による成膜を行ってきた。本研究では、細工した基板上にBi系材料を導入し、固有ジョセフソン接合の作製を目指す。 |
209 |
高血糖新規脂質糖化産物マーカーの生理作用究明と当該指標の実用化検証 |
庄子 真樹 |
宮城県産業技術総合センター |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
従来、糖尿病症状の診断に血糖値とHbA1Cが用いられてきたが、肥満を伴う糖尿病やその合併症の診断にはより総合的判断が必要と考えられ、新指標の開発が切望されている。これまで、我々は脂質AGE(脂質の後期反応生成物)なる物質が高血糖患者の血中に蓄積していることを認めたが、その生理作用に関しては知見がない。そこで、遺伝子発現解析で脂質AGEの生理作用を解明し、新指標としての病態生理学的意義を見出す。 |
210 |
ウイロイド感染株の治療によるキクの無病苗生産 |
瀬尾 直美 |
宮城県農業・園芸総合研究所 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
キクは、長年採穂による栄養繁殖を続けているため、ウイルスやウイロイドを保持していることが多い。ウイルスは茎頂培養により除去できるが、ウイロイドは茎頂組織に侵入するため、除去が困難である。そこで、ウイロイドの被害を回避するため、保有する特許技術等を活用して効率的にウイロイド無病株を作出し、無病苗生産を可能とする技術を開発する。 |
211 |
がんで異常に発現亢進する形質膜型シアリダーゼを標的としたがん診断薬の開発 |
宮城 妙子 |
宮城県立がんセンター研究所 |
佐藤 郁郎 |
宮城県立がんセンター(研究所) |
シアル酸は糖蛋白や糖脂質糖鎖の末端に位置し、腫瘍マーカーにはシアル酸を持つものが多い。本課題では、この脱離によってシアル酸量調節に重要な役割を果たすシアリダーゼに着目する。特に、各種がんで異常亢進する形質膜型シアリダーゼ(NEU3)を標的として、がんの新しい診断薬開発をめざす。これまでの研究成果に基づき、微量RT-PCRによる発現量の定量、特異抗体による免疫染色、さらに血清診断キットの構築などを試みる。 |
212 |
大豆の発芽プロテアーゼ生成条件の解明と工業的応用 |
金内 誠 |
宮城大学 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
本研究は、大豆の発芽作用によって生産されるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の性質を明らかにし、その工業的な応用を探ることを目的とする。この成果を利用することによって、醤油や味噌など大豆の加工品製造に必要な熱量を削減でき、製造コストやCO2削減などの改善が期待できる。さらに低コストで生産される活性の高いプロテアーゼを、植物性プロテアーゼとして工業的に利用する可能性も明らかにする。 |
213 |
ヒト口腔内から分離されたSelenomonas sputigena 由来のプラズマローゲン調整法の確立 |
神尾 好是 |
尚絅学院大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
老人性認知症の進行防止や先天性プラズマローゲン(Plasmalogen、PLと略)合成酵素遺伝子欠損症を持った新生児治療に有効性が認められているPLは、牛脳由来で製造され純度60%品で20万円/gと極めて高価であった。しかし狂牛病問題の発生によりそのソースが絶たれ、世界でPLの安全なソースの探索が実施されている。申請者は、ヒト口腔内から分離された嫌気性細菌Selenomonas sputigena(略:Ss菌)中に高濃度にPLが蓄積されていることを見出した。本研究では、(1) Ss菌の大量培養法の確立(ホエイ培地でのSs菌増殖条件の確立)、(2)Ss由来PLの安全性評価を実施する。さらに、(3)健常高齢者のSs菌の存在を定量的に検討する。 |
214 |
β-酸化ガリウムとZnOを用いた自立GaN膜の形成技術の開発 |
中込 真二 |
石巻専修大学 |
斉藤 方達 |
株式会社 テクノプラザみやぎ |
サファイア基板を用いて自立GaN単結晶(サファイア基板が付いていない状態を自立と呼ぶ)を得る新しい方法を開発するのが目的である。犠牲層としてZnOを用い、結晶性向上の為の中間層として (201)配向β-酸化ガリウム(Ga2O3)層を用いる。酸素プラズマ中のZn蒸着、Ga蒸着、窒素プラズマ中のGa蒸着により、ZnO層、β-Ga2O3層、GaN層を形成する。結晶性の良い最上層GaNを得る条件を研究する。 |
215 |
大変形ヒンジを用いた多重球面連鎖関節機構の内視鏡先端関節への応用 |
大泉 哲哉 |
仙台電波工業高等専門学校 |
庄司 彰 |
宮城工業高等専門学校 |
多重球面連鎖を用いた機構の設計と解析を行いながら、関節機構の試作開発研究を行ってきた。柔軟なプラスチックで、立体連鎖を一体成形して、空間的に動作する機構を実現しようと試みている。この関節機構は、現在の内視鏡先端関節より大幅に小さな曲率半径で屈曲できる。また、プラスチック射出成形で安価に大量に作ることができるため、現在の問題を解決できれば、使い捨てできる内視鏡という、医用分野に必須の価値を付与した新商品を世に出せる。 |
216 |
アセチルアセトン錯体の配位子の脱離反応機構を制御した高品質MO-CVD 原料の開発 |
關 成之 |
仙台電波工業高等専門学校 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
本研究課題は、金属アセチルアセトン(acac)錯体が有する配位子の脱離反応機構を制御し、半導体薄膜形成法の中で最も量産性の高い有機金属気相成長(MO-CVD)法で使用する高品質なファイバー状の錯体原料を開発することをにあり、①ZnO薄膜原料であるZn(acac)2を中心に、n型不純物およびp型不純物原料を含めた配位子の脱離反応機構を制御すること、②ZnO薄膜の作製に最適な、高純度、安定結晶構造を有するMO-CVD原料の製法を実現することを目標とする。 |
217 |
a 軸配向ZnO 透明トランジスタの新規製造プロセス開発 |
羽賀 浩一 |
仙台電波工業高等専門学校 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
本試験では、安定な昇華特性を有するアセチルアセトン亜鉛(Zn(C5H7O2)2)ファイバーをMO-CVD(有機金属気相成長法)原料としたa軸配向ZnO透明トランジスタ(TFT)を実現するための実用化プロセスを明らかにする。具体的には、従来の研究成果とそれを基にした独自の製法を融合して、表面平坦性と十分な絶縁耐圧を有する積層膜(透明導電電極/ゲート絶縁膜)を形成し、この積層膜上に高移動度、高on/off比を目的とした透明なa軸配向ZnO-TFT構造を実現する。 |
218 |
電流検出型熱電対と振動を利用した薄膜ピラニ真空センサの測定域拡大の研究開発 |
木村 光照 |
東北学院大学 |
宮尾 俊三 |
(財)仙台市産業振興事業団 |
高感度温度差センサである電流検出型熱電対を用いた新規なカンチレバ構造の薄膜ピラニ真空センサの提案とその実証の研究開発である。高真空では、ガス分子数の減少に伴う出力飽和を、温度差検出による極限まで計測できるゼロ位法で計測し、低真空(1気圧近く)での出力飽和は、センシングカンチレバ構造の熱膨張差に基づく加熱強制振動で、強制対流熱伝達を利用して克服する。基板過熱の影響、パルス加熱による解決法の最適条件とその実証、周囲温度依存性が小さいことの実証、更に振動方法と構造およびパッケージの検討とその実証を行う。 |
219 |
コンクリートに埋め込めるマイクロ磁気センサを用いた配線フリー振動診断ユニットの開発 |
芳賀 昭 |
東北学院大学 |
村上 雄一 |
(財)仙台市産業振興事業団 |
地下構造の振動の測定や超高層建築物、橋などに多数の振動計を設置しモード測定を行い、地下鉄振動や風や地盤振動の影響、地震後の変形を診断するために、小型軽量な磁気センサをコンクリート内に埋め込み、振動情報を磁気信号の変化として捉える。また無線により振動信号の送信を行うとともに、無接点電力伝送による電力供給が可能な、磁気センサを用いた配線フリー振動診断ユニットを開発する。 |
220 |
降圧と独立した新規「腎障害改善薬」の開発 |
米城 淑美 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
「高血圧性腎障害」に対する新規PAI-1(Plasminogen activator inhibitor-1)阻害剤の降圧に依存しない腎保護作用のメカニズムを検討し、同薬の腎保護薬としての臨床応用に繋げることを目的とする。Dahl食塩感受性ラットに高食塩食を与え、高血圧性腎障害を起こす。新規PAI-1阻害剤を4週間投与し、組織および遺伝子発現の変化を解析する。 |
221 |
携帯型Brain-Computer Interface (BCI) システムの開発と実用化 |
加納 慎一郎 |
東北大学 |
引地 智 |
(財)みやぎ産業振興機構 |
脳波など脳活動を反映した計測信号からユーザの意図を読み取り、それを外部機器の制御に用いる技術であるBCI(Brain-Computer Interface)のための携帯型システムを開発し、実用化に供するための研究を行う。本研究では、製品化を視野に入れて提案システムを携帯型システムとして実装し、同時にその性能を日常生活環境下でテストすることで実用性を実証する。この結果に基づいて運動機能麻痺患者のためのインターフェースシステムとしての実用化を目指す。 |
222 |
低侵襲治療実現へ向けたニッケルフリー形状記憶合金を応用したカテーテルナビゲーションシステムの開発 |
金高 弘恭 |
東北大学 |
引地 智 |
(財)みやぎ産業振興機構 |
生体安全性の高い金属のみを構成元素とする新規開発の生体用ニッケルフリーチタン基形状記憶合金の中から、カテーテルガイドワイヤーとして最も適した組成を選択し、新合金でワイヤー試作を行う。さらに、ガイドワイヤー先端部に小型のワイヤレスLC共振型磁気マーカを設置し、磁気式モーションキャプチャシステムにより位置検出を補完しナビゲーションとしても利用することで、X線被爆量を大幅に減少させ、より安全で操作の容易な新しいカテーテルナビゲーションシステムの開発を行う。 |
223 |
大面積X線CT用Nd:LuLiF4単結晶の量産化技術の開発 |
横田 有為 |
東北大学 |
町田 博 |
(財)みやぎ産業振興機構 |
真空紫外域で発光する固体素子は、高位置分解能、高計数率、さらには大面積化が可能なガス受光素子と組み合わせて大面積X線CTの実現が望まれているが、現在Nd:LaF3結晶、Gd2O2Sセラミックス材料以外に見出されていない。マイクロ引き下げ(μ-PD)法を用い物質探索を行った結果、真空紫外での高輝度の発光を示すNd添加LuLiF4(Nd:LuLiF4)を新たに見出し、ユーザー側で非常に高い評価を得られ、従来材料より優れていることが分かった。本課題では、真空紫外発光材料Nd:LuLiF4の次世代X線CTでの実用化を目指し、量産化条件として重要となる、本結晶の直径2インチ大型単結晶化技術の確立を目的とした。 |
224 |
超微小サイズ不揮発性MRAM素子の性能評価 |
大兼 幹彦 |
東北大学 |
松本 初男 |
株式会社東北テクノアーチ |
大容量・高速・低消費電力動作が可能な不揮発性磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のサイズ限界は、磁化の熱揺らぎ限界に起因し、CoPtのような高磁気異方性材料では数nm幅程度である。本研究では、直径が数nm程度のCoPtナノドットをCoPt/MgO層上に成長させ、1つのナノドットがトンネル磁気抵抗素子に対応する超微小MRAM素子を作製し、その特性を伝導性原子間力顕微鏡により評価する。 |
225 |
小型風力発電用超多極永久磁石リラクタンスジェネレータの開発 |
中村 健二 |
東北大学 |
仙石 正行 |
株式会社東北テクノアーチ |
小型風力発電では、数m/s程度の低風速が主な動作領域であり、これを発電機の回転数に換算すると数十〜数百r/minと極めて低速になる。そのため、発電機は多極にする必要があるが、部品点数や工数が増えるため、コスト増につながる。これに対して、永久磁石リラクタンスジェネレータ(PMRG)は、構造が簡素で多極化も容易であるため、小型風力用発電機として有望である。本研究では、低風速でも高効率な発電が可能な多極PMRGの開発と、極形状の工夫によるトルクリプルの低減を目標とする。 |
226 |
養殖へのキャビテーションテクノロジーの新展開 |
祖山 均 |
東北大学 |
田附 匡 |
株式会社東北テクノアーチ |
キャビテーションは、一般には流体機械に損傷を与える現象であるが、本研究では、逆転発想的研究により、キャビテーションをナマコなどの養殖に害となるプランクトンの殺滅などに活用するなど、代表研究者の有するキャビテーションテクノロジーについて養殖への新展開を図る研究である。本研究は低コストでキャビテーションを効率よく発生させて強力化して制御する点に特徴を有し、本研究により養殖へキャビテーションを活用するための最適条件を明らかにする。 |
227 |
窒化物半導体を用いた超高効率「太陽電池要素技術」の開発 |
劉 玉懐 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
持続可能な社会の実現のため、エネルギ問題は急務である。地球外から得られるエネルギである太陽光を利用する太陽電池は、この解決策の一つである。現用の太陽電池はシリコン製であり、その効率は最大22%である。Geや化合物半導体基板上に数種の半導体を積層して高効率化を図る試みもあるが、技術的に困難性を伴い、それに伴い作製コストは高く、廉価・高効率太陽電池の実現は難しい。本課題は、Si基板上の表裏に光の吸収波長の異なる窒化物半導体を積層した構造の太陽電池の提案である。本課題の目標は、超高効率「太陽電池」要素技術であるIn組成InGaN薄膜結晶成長技術の確立である。 |
228 |
高強度レーザー場による「サブナノ合金粒子」の作製・評価 |
中村 貴宏 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
金属ナノ粒子は現在幅広い分野で用いられているが、その特性は表面に露出した配位不飽和状態の原子に大きく依存し、粒子径が小さいほど反応性が飛躍的に向上する。現在微粒子作製法の主流である還元手法では様々な化学物質の添加や複雑過程が必要であることに加え、作製される粒子の粒径は数nm程度である。本課題では、光照射だけでサブナノメートルで単分散合金超微粒子の作製が可能であることを実証し、高機能・高性能な微粒子のクリーンプロセスの基礎を確立する。 |
229 |
中耳・内耳疾患診断用「新生児難聴スクリーニング装置」の開発 |
和田 仁 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
本試験では、内耳に存在する感覚細胞を発生源とする、"耳から音が出てくる現象"、すなわち「耳音響放射」に着目し、代表研究者がこれまでに開発した中耳疾患を診断するための装置(Sweep Frequency Impedance :(SFI) meter)に耳音響放射計測機能を組み入れ、一台の診断装置で中耳・内耳の両方の疾患のスクリーニングを可能とする世界初の診断装置の開発を目指す。 |
230 |
「純チタン薄膜」を用いた新規歯周組織再生バリアメンブレンの開発 |
石幡 浩志 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
本研究では,生体親和性を有する薄膜純チタンに「マイクロピアス法」にて数μmの小孔を無数に形成した「チタン薄膜フィルター」を製作し、現在、歯周組織内に埋設する組織再生膜(厚さ400μm)より大幅に薄く(約50μm)・同等機能・強度・抗菌性を実現した「新規歯周組織再生バリアメンブレン」を開発する。またその効果をさらに高める極薄高精細フィルター「貫通型ハニカムフィルム」(厚さ20μm以下)を付加した「ハイブリッドチタンメンブレン」を併せて開発し、早期の臨床応用を目指す。 |
231 |
書換消費電力の低減を目指した「PRAM用:新規Ge-Cu-Te合金」相変化材料の開発 |
須藤 祐司 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
次世代不揮発性メモリとして、コスト・集積度面で有利な相変化メモリ(PRAM)が注目を浴びている。PRAMは高抵抗アモルファス相と低抵抗結晶相の抵抗差を利用して情報を記録するメモリでありジュール熱を利用し相変化させる。現在PRAM材料として、Ge-Sb-Teが研究の主役となっているが、書換電力が高い課題を有する。本研究では、書換電力低減を可能とする低融点・高結晶化温度を併せ持つ新規相変化材料を開発する。 |
232 |
紫外線遮蔽機能を有する新規「有色光輝性体質顔料」の開発 |
佐藤 次雄 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
「雲母」等の板状ミクロン粒子は、肌のシミや皺を隠蔽し滑らかで美しい肌合いを得る「体質顔料」として化粧料に配合されているが、これらは「紫外線遮蔽機能」を持たず無色である。近年、太陽光による日焼け、加齢促進、皮膚癌の誘発を避けるために体質顔料に紫外線遮蔽機能を付与するとともに、着色と光輝性を付与することが望まれている。そこで、紫外光を吸収可能なチタン酸リチウムカリウム基単分散板状ミクロン粒子を「フラックス法」で作成し、その光化学特性を明らかにすることで紫外線遮蔽機能を有する新規有色光輝性体質顔料の開発を図る。 |
233 |
神経新生を促進する「バナジウム化合物」の前臨床試験とメカニズムの研究 |
福永 浩司 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
万能細胞 (iPS 細胞)は神経変性疾患の再生医療への応用が期待されている。私達は末梢投与により神経幹細胞の分化と成熟を促進する低分子化合物としてバナジウム化合物 [VO(OPT)] を創製した。VO(OPT) はインスリン様作用を有して、血糖降下作用が確認されている。これまでの研究で臓器毒性が低く、脳梗塞モデル動物において神経新生を促進して、認知機能を改善することを明らかにした。本研究では VO(OPT) の末梢および中枢での薬物動態と神経新生のメカニズムを明らかにして、再生医療へ応用を目指す。 |
234 |
iPS細胞使用の安全装置としての「細胞運命制御遺伝子治療法」の有効性評価研究 |
佐藤 岳哉 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
多分化能を有するiPS細胞の作製方法は未完成で、その方法に起因する発ガンの可能性もある。「細胞運命制御遺伝子治療法」は、「遺伝子導入細胞」のみを低濃度薬剤処理で細胞死を誘導可能にする。本研究では、この方法をiPS細胞に応用し、「細胞運命制御遺伝子治療法」を施すことで細胞を細胞死へと誘導するかの検討を行い、iPS細胞の再生医療分野への応用時における細胞の安全装置としての有効性を評価する。 |
235 |
網膜変性疾患治療用の薬物徐放性に優れた「強膜上移植型」インプラントの開発 |
永井 展裕 |
東北大学 |
芝山 多香子 |
東北大学 |
加齢黄斑変性および網膜色素変性症は原因不明に網膜神経が変性する疾患であり確立された治療法はない。本研究は変性によって失われていく網膜細胞の生存を維持するために、神経栄養因子などを網膜内に安全に持続的に供給して網膜変性を抑制する網膜保護治療用デバイスの開発が目的である。標的部位への局所的薬物送達と患者への身体的・経済的負担の軽減を可能とする「眼外移植可能な経強膜ドラッグデリバリーシステム」の作製を目指す。 |
236 |
TSLPの産生誘導剤の開発と応用 |
平澤 典保 |
東北大学 |
相原 淳子 |
東北大学 |
Thymic stromal lymphopoietin (TSLP) は主として上皮細胞が産生し、アレルギーの誘発に大きく関与しているサイトカインである。しかし現状ではTSLPの産生を選択的かつ簡便に誘導する方法がない。本研究では、申請者が発見したTSLP産生誘導活性をもつ化合物をリード化合物にして、より強力なTSLP産生誘導剤を開発し、動物レベル及び細胞培養系における TSLP産生抑制薬のハイスループットなスクリーニング系を確立する。 |
237 |
がんの悪性度を機能的に診断する新しい評価法の開発 |
鈴木 孝幸 |
東北大学 |
相原 淳子 |
東北大学 |
がんは2010年には心臓疾患を抜いて世界第1位の死亡原因になると世界保険機関が報告している日本における3大疾病の1つである。その病気の進行は非常にゆっくりとしており、良性腫瘍から悪性腫瘍になるのには数年かかる。本研究ではこれまで診断が不可能だった機能的に悪性腫瘍になる前段階の腫瘍の状態を、新たに開発する“超高感度血管新生因子検出法”を用いて機能的に評価する方法を開発することを目的とする。本評価法により、従来までの組織学や腫瘍マーカーといった静的な評価法以外に実際に今病理組織が機能的にどれくらい悪性度が高い腫瘍なのかを動的に定量的に評価できる。 |
238 |
がん早期診断へ向けたメチル化miRNA遺伝子による遺伝子診断セットの開発 |
福重 真一 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
【目的】がんの診断マーカーとなるメチル化miRNA遺伝子の効率的な探索法の開発と診断への応用を目的とする。【内容】膵がんを例として、メチルCpG配列を標的とする転写活性化(MeTA)とmiRNAのマイクロアレイを組み合わせ、3種の膵がん細胞株でメチル化miRNA遺伝子が得られる効率を調べる。また、すべての細胞で共通に発現異常を示すメチル化miRNA遺伝子を見つけ、多段階発がん過程におけるメチル化時期を決定し、診断への応用の可能性を検討する。 |
239 |
培養乳腺上皮細胞を用いた乳房炎予防用機能性飼料評価システムの開発 |
萩野 顕彦 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
乳牛の宿命的な病気である乳房炎は、乳腺上皮細胞への酸化ストレスに関係している。乳房炎を予防するためには、乳腺上皮細胞(ミルクを作る細胞)の酸化ストレスを抑える物質を探し出す必要があるが、現在はこれを評価するシステムが皆無である。そこで、培養ウシ乳腺上皮細胞を用いて坑酸化ビタミン類の乳腺における坑酸化能を評価できるシステムを開発する。次に、このシステムを用いて実際に乳房炎予防に効果のあると期待できる物質を選び出す。 |
240 |
FPD搭載IVR用X線装置のための品質保証管理法の開発 |
千田 浩一 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
カテーテル治療(IVR)用X線装置の被曝線量、およびその画像等の品質保証管理(QAQC)は重要な問題である。最近、フラットパネル検出器(FPD)搭載のIVR用X線装置が普及しつつあるが、その被曝線量と画質の最適化やQAQC手法は確立されておらず、さらにFPD機種間の性能差が大きい。本課題ではFPD搭載IVR用X線装置の画像特性を、簡単に評価できる新しいFPD用のファントムを開発する。さらにファントム画像の客観的評価システムの構築を目指す。 |
241 |
母体血による非侵襲的インプリント異常症出生前診断システムの開発 |
有馬 隆博 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
インプリント異常症は、インプリント遺伝子のDNAメチル化の異常に起因し、先天性疾患、乳幼児の身体的、精神的発達や行動異常、さらには癌や生活習慣病等の原因となる。また、インプリント異常症の出生前(胎内)診断は、発症の予防、新生児の救命治療に直結し、罹患者の予後と家族の負担を大きく左右する。本研究では、母体血中に微量に存在する胎児有核赤血球について、特異的かつ効率的に自動分離、回収する手法について検討し、非侵襲的インプリント異常症の出生前診断法の実用化を目標とする。 |
242 |
ナノバブルを用いた転移リンパ節遺伝子治療法の開発 |
小玉 哲也 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
リンパ行性転移は原発巣からリンパ液の流れに沿って進行すると考えられている。微小転移の予防を目的に周辺のリンパ節をすべて除去する郭清が一般的におこなわれているが、この治療は多大な侵襲をともなう。本研究では、抗腫瘍遺伝子が長期に発現するプラスミドDNAをナノバブルに封入し、超音波照射によりこのバブルをリンパ節転移部位で破壊して、プラスミドDNAの導入と発現から治療を目指す、新しい転移リンパ節遺伝子治療法の開発をおこなうことを目的にする。 |
243 |
組織幹細胞機能維持液の開発 |
久保 裕司 |
東北大学 |
渡邉 君子 |
東北大学 |
組織にはそれぞれ固有の幹細胞が存在し、臓器損傷後の組織修復に関与している。iPS細胞やES細胞など万能幹細胞研究の進歩に対し、こういった組織固有の幹細胞研究は細胞保存の困難性によりまだ進んでいない。本研究の目的は、各臓器に存在する組織幹細胞の活性と機能を損なわない組織幹細胞機能維持液を開発・実用化することである。このことにより、iPS細胞等では解析困難な加齢に伴う難治性疾患に対する新たな理解が生まれ、高齢者疾患に対する新規治療法開発に寄与できると考える。 |
244 |
3次元非接触型ヒューマンインターフェースの開発 |
枦 修一郎 |
東北大学 |
平泉 健 |
東北大学 |
3次元非接触型の磁気式ワイヤレス位置・方向検出技術の研究成果を基にして、本研究では、小型軽量のワイヤレス磁気マーカが貼付された手・指の位置と方向を、測定誤差1mm程度の高精度かつリアルタイムな動きをトレースでき、情報入力機器やロボットアームなどの直感的制御を可能にする、新しい非接触型かつ比較的自由度の大きなヒューマンインターフェースの開発・構築を目的とする。 |
245 |
ネオジム磁石からのジスプロシウムの非加熱回収法の開発 |
加納 純也 |
東北大学 |
平泉 健 |
東北大学 |
ジスプロシウムはネオジム磁石の保持力を高めるための添加剤として使用され、近年、その需要が急速に高まっている。ジスプロシウムは極めて希少な金属の一つであり、今後も安定的にジスプロシウムやネオジムを供給するには,ネオジム磁石からそれらを回収することが必要である。そこで本研究では、ネオジム磁石から粉砕処理を利用してジスプロシウムに加え、ネオジムを同時に高回収率・高純度で分離回収する技術を構築する。 |
246 |
ハイラディアルフォース(高拡張力)Ti−Ni合金ステント |
山内 清 |
東北大学 |
平泉 健 |
東北大学 |
近年、「ステント療法」が盛んに行われている。その中でも超弾性を有するTi-Ni形状記憶合金を用いた自己拡張型は、注目されるステントのひとつであり、胆道のほか、下肢部等の抹消血管系でも適用症例が増加している。しかし、抹消系ではステントへより大きな歪がかかるため折損する場合があり、問題となっている。本研究では、Ti−Niコア材の大幅な強度向上によってステントを薄肉化し、ステントに作用する歪を緩和する手法により、ステントのラディアルフォースを落とさずに耐折損性の向上を図る。 |
247 |
肺コンプライアンスの新しい非侵襲的計測方法の開発と実用化 |
出口 真次 |
東北大学 |
平泉 健 |
東北大学 |
正常な呼吸を行うには、肺組織が適度なコンプライアンス(組織の柔らかさ)を有することが必要である。肺疾患時にはコンプライアンスが著しく変化するため、診断や術後の定量評価のために古くからその非侵襲的計測が試みられている。本研究の目的は、肺コンプライアンスを体外から計測可能な特殊機構とバイオメカニクス解析に基づいた新しい方法を開発することである。実用化を念頭においた装置の設計と性能評価データを取得する。 |
248 |
X線点集光モノクロメータの短焦点化・高効率化 |
中嶋 一雄 |
東北大学 |
平塚 洋一 |
東北大学 |
従来のX線モノクロメータは、角度分解能(分析性能)と取込角(X線の利用効率)を両立させることが困難であった。近年、申請者は半導体単結晶を結晶性を維持しつつ任意形状に成型可能な独自の高温高圧加工技術を用いてこれらを両立するX線点集光結晶レンズを開発した。本課題では、開発したX線点集光結晶レンズの実用化を目指して、さらなる短焦点化・高効率化を行いコンパクト光学系や集光強度の増大を実現する。 |
249 |
高靭性ハイブリッド型繊維補強セメント複合材料を用いた耐震補強要素の開発と応用 |
三橋 博三 |
東北大学 |
平塚 洋一 |
東北大学 |
実用性のある高靭性ハイブリッド型繊維補強セメント複合材料製造技術を確立すると共に、耐震補強要素としての応用技術を開発することを目的とする。そのために、これまでの研究で開発した既往の材料よりもコスト低減と施工性の向上をもたらす新材料の選定並びに調合の研究を実施する。合わせて、改良された材料を用いた柱部材並びに壁部材のせん断加力実験を行い、耐震補強への利用法を検討する。 |
250 |
Mo基複合材料で得られた鉄鋼用摩擦攪拌ツールの高性能化 |
佐藤 裕 |
東北大学 |
平塚 洋一 |
東北大学 |
鉄鋼に対する摩擦攪拌接合に対する社会的ニーズは高まりつつあるものの、攪拌ツールの信頼性と耐久性の問題が残されている。本研究では、安価で高性能な鉄鋼用摩擦攪拌ツール材として高いポテンシャルを有するMo基複合材料のミクロ組織制御と攪拌プロセス最適化を行うことにより、既存ツールと同等もしくはそれ以上のパフォーマンスを示す安価な鉄鋼用摩擦攪拌ツール開発への指針を得ることを目的とする。 |
251 |
フラーレンを使った合金鋼に対する新規な低温固体浸炭技術の開発 |
吉見 享祐 |
東北大学 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
C60などのフラーレン類が、ステンレス鋼をはじめとする合金鋼に対して最も効率的かつ効果的に浸炭する条件の探査を通して、フラーレン類が合金鋼に500℃前後で浸炭するメカニズムを解明する。またその成果に基づいて、浸炭に適したフラーレン原料とは何かを明らかにし、低温固体浸炭用のフラーレン類の調整方法ならびにそれらフラーレン類を使った合金鋼に対する新規な低温固体浸炭技術の開発を進める。 |
252 |
石炭からのフッ化水素の発生速度の定量化と排出抑制法の開発 |
坪内 直人 |
東北大学 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
石炭ガス化複合発電は、CO2 排出量を大幅に削減できる次世代型のシステムとして開発が推し進められているが、発生する HF は材料の腐食や燃料電池の性能劣化を引き起こすので、生成速度の定式化と除去対策が課題となっている。そこで本研究では、HF の発生速度の定量化と安価な除去法の確立を目的とする。特に石炭加熱時の HF 生成に及ぼす支配要因を明確にする一方、容易に入手可能な原料から除去剤を作成し、その性能を制御する因子を詳細に検討する。 |
253 |
自然由来重金属類汚染リスク評価システムの開発と仙台地域での実用化 |
土屋 範芳 |
東北大学 |
山口 一良 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
土地を適正に評価し、有効に利用するためには、土壌中に含まれる重金属の種類や分布を正確に評価し、効率的な対策技術を構築する必要がある。本研究は、仙台地域をモデルフィールドとし、主として竜の口層を対象として自然由来の重金属の存在状態(とくに砒素、カドミウム、鉛)を明らかにし、あわせて、ハイリスクな岩石や土壌について、開発や曝露による環境汚染のリスク管理を可能とする自然由来重金属汚染評価システムを開発する。 |
254 |
微小磁気抵抗素子のダイオード機能を利用した高感度検波素子の開発 |
永沼 博 |
東北大学 |
大野 健一 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
スピントランスファートルク(STT)現象はマイクロ波の検波に利用できることが期待される。現在、マイクロ波帯域の電波の検出(検波)には半導体ダイオードが広く用いられている。磁性検波素子の検波能力が上回るためには、STT現象が誘起される直流印加電圧の低下、低抵抗化、高磁気抵抗比化などが課題となる。本申請は種々の課題を解決するアイディアを提案し、半導体検波素子を上回る2乗検波特性を示す磁性体検波素子の作製を目指す。 |
255 |
大気圧水蒸気プラズマ滅菌法による次世代オートクレーブの開発 |
佐藤 岳彦 |
東北大学 |
大野 健一 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
近年、低耐熱性材料を利用した医療器具の開発が進んでいるが、これらの滅菌は従来の高圧蒸気滅菌装置では困難なため、安全簡便で低コストな滅菌装置の開発が期待されている。研究代表者は、誘電体バリア放電を利用した大気圧水蒸気プラズマ流による滅菌法を既に開発している。本研究では、この技術を基盤とし、より滅菌効率の高い大気圧水蒸気プラズマ生成条件の最適化とOHラジカルの生成輸送機構の解明を行うことを目的とする。 |
256 |
熱音響エネルギー変換を用いた冷却技術開発 |
琵琶 哲志 |
東北大学 |
大野 健一 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
フロンを一切使用しない環境調和型の冷却技術として発展させるために、熱と音波の相互変換(熱音響エネルギー変換)を利用した新規のノンフロン冷却技術開発を行う。試作する音波クーラーは逆スターリングサイクルを利用するが、スターリングクーラーとは異なって音波がエネルギー変換を実行するという利点を有する。試作機の開発を通して、小型で持ち運び可能なサイズの小型冷却装置へ発展させるための課題を明らかにする。 |
257 |
アルドステロン合成酵素遺伝子安定発現株を用いたオーダーメイド高血圧治療 |
菅原 明 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
本邦における4,000万人の高血圧患者中で、血圧がコントロールされているのは1,000万人に過ぎない。この現状を改善するためには、高血圧患者の病態に応じたオーダーメイド治療の確立が不可欠である。その推進のために、本研究ではヒトアルドステロン合成酵素(CYP11B2)遺伝子プロモーター/ルシフェラーゼキメラ発現ベクターを安定発現させたヒト副腎癌H295R細胞株を樹立し、その細胞系を用いてヒト患者血漿による簡便な高血圧の病態鑑別法を確立することを目的とする。 |
258 |
緑膿菌の新規タンパク質分泌系を標的とした抗菌剤のスクリーニング系の開発 |
米山 裕 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌等の出現による細菌感染症の脅威に対抗するためには、新規骨格を有する抗菌剤及び新規標的を狙った新薬の研究開発が喫緊の課題である。最近、緑膿菌の病原因子の機能発現に、普遍的なタンパク質分泌系とは異なる分泌系が関わることが明らかとなった。本研究では、この新しい分泌系を標的とした従来の評価系とは異なる抗菌剤の新規スクリーニング系の開発を行う。 |
259 |
天然物アナカルド酸を利用した抗炎症機能飼料の開発 |
豊水 正昭 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
アナカルド酸に、酸化的リン酸化を解消するマイルドな脱共役作用があることを初めて発見し、その作用機構をすでに証明している。本研究では、①細菌感染性過剰炎症を呈するサルモネラ菌症モデル鶏を用いてアナカルド酸の抗炎症作用を検証する。流通時はアナカルド酸75%を含むカシューナッツ殻油であるので、②飼料としての実用性を肉用鶏への生カシューナッツ殻油と加熱カシューナッツ殻油給餌の最適レベル検討で明らかにする。 |
260 |
癌疾患モデルマウスの in vivo ナノイメージング法の開発とナノ医療への応用 |
権田 幸祐 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
ナノサイズ薬物(10-100nm)を用いた癌治療効果の検討には、腫瘍細胞と薬剤分子間作用を送達1粒子レベルで生体観察することが重要である。これまでに、申請者は独自光学系を用いてin vivoイメージング装置を開発し、担癌マウスにおいて位置精度9nmで数分間連続的にナノ粒子の動態や癌細胞の形態を捉えることに成功した。しかし数分の観察では薬剤分子動態の観察には不十分である。本研究では呼吸や拍動由来の振動(μm〜mm)影響を排除し、ナノサイズ薬物の動態や効果を長時間安定に評価できる計測装置の開発を行う。 |
261 |
腎特異的セリンプロテアーゼ阻害因子メグシンを標的とする創薬研究 |
段 孝 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
腎不全(透析導入)の原疾患第1位の糖尿性腎症の発症に内因性セリンプロテアーゼ阻害因子メグシンの関与が考えられる。本研究では、メグシン阻害薬探索に取り組み、動物モデルで検証する。具体的には、①メグシンの発現精製と結晶化、②構造解析とバーチャルスクリーニング、③化合物のin vitro活性評価、④2型糖尿病モデル動物を用いて薬効を評価する。本研究終了後、実用化研究を製薬企業との共同研究により進める。 |
262 |
骨再生材料(リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体)のヒトへの応用 |
越後 成志 |
東北大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
歯科・口腔外科領域における骨欠損部への骨補填は、自家骨移植が最も有効とされている。この自家骨に変る骨再生材料として、リン酸オクタカルシウム(OCP)の合成物と、ブタ皮膚由来アテロコラーゲン(Col)との複合材料(OCP/Col)を当研究グループで開発し、小動物や成犬の人工的骨欠損部に使用し、異害作用もなく優れた骨再生能を有することは確認済みである。今回、歯科・口腔外科領域におけるヒトの代表的な骨欠損症例にOCP/Colを適用し、その有効性を検討する予定である。 |
263 |
認知症周辺症状を改善する薬剤の創製 |
中澤 孝浩 |
東北薬科大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
認知症周辺症状改善効果を示す漢方処方、釣藤散及び抑肝散の主要アルカロイド成分に抗精神病作用が認められることを発見・報告した。また、このアルカロイドの生体内代謝物が抗精神病作用の活性本体であることが分かった。しかしこの活性代謝物は消化管からの吸収性及び血液脳関門の通過性が悪い。本課題では、この活性代謝物のファーマコフォアー以外の部位に脂溶性基を導入することで、化合物の吸収性及び血液脳関門の通過性の向上を図り、認知症周辺症状に有効な新規抗精神病薬の開発に繋げる。 |
264 |
スフィンゴ糖脂質蓄積症の新規治療薬としてのケミカルシャペロン療法剤の開発 |
高畑 廣紀 |
東北薬科大学 |
田村 光彦 |
独立行政法人科学技術振興機構 |
スフィンゴ糖脂質(GSL)蓄積症は、リソソーム酵素の活性低下によって引き起こされる先天性疾患であり、近年新しい分子治療法としてケミカルシャペロン療法(CCT)がある。GSL蓄積症の一つであるゴーシェ病次世代型治療法を目指した新規CCTとして、イソファゴミン(IF)の2位にアルキル鎖を導入することで酵素への親和性が増して選択性の制御が期待されることから、2−アルキルイソファゴミンをデザイン、合成し、その開発を行うことを目的とする。 |
265 |
鎮痛耐性を形成しない新規難治性疼痛治療薬の開発 |
溝口 広一 |
東北薬科大学 |
森本 進治 |
福島大学 |
研究代表者らは近年、神経障害性疼痛に対しても極めて有効な新規麻薬性鎮痛薬を開発した。既存の麻薬性鎮痛薬は、鎮痛耐性形成に伴う増量による副作用の増大が問題となっている。そこで、研究代表者らが開発した新規麻薬性鎮痛薬の鎮痛耐性形成能を検討する。仮に新規麻薬性鎮痛薬に鎮痛耐性形成能が有った場合でも、その形成強度が既存の麻薬性鎮痛薬よりも弱く、かつ既存の麻薬性鎮痛薬と交差鎮痛耐性を示さない場合、新規麻薬性鎮痛薬をオピオイドローテーションに導入し、患者のQOLを向上することが可能となる。 |
266 |
iPS細胞を用いた薬物代謝酵素誘導評価可能な新手法の開発 |
永田 清 |
東北薬科大学 |
森本 進治 |
福島大学 |
薬物の投与による薬物代謝酵素の誘導は薬理効果を低下させるために、薬物の投与時あるいは医薬品の開発の過程において薬物代謝酵素誘導を予測することが求められている。しかしながら、現在簡便かつ正確に使用できる酵素誘導の評価系がまだ確立されていない。本研究では簡便でより正確にその予測を可能とするために、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた薬物代謝酵素誘導の新規評価系の構築することを目的とする。 |