三重県

●平成13年度〜平成17年度
●連携拠点機関
(財)三重県産業支援センター

代表 野田 宏之

中野 昭彦

阿部 量一
活動方針 三重県の施策に沿った環境・資源・エネルギー、情報・エレクトロニクス、医療・福祉、食品・バイオテクノロジー、材料開発・メカトロニクスの5重点領域について、地域特性を活かし、県民のニーズを参考にして産学官相互の実学的な交流を深め、成果の実用化を推進します。
育成試験の成果

養殖魚類の細菌性疾病およびウイルス病に対する経口免疫のための膜内導入リポソームワクチンの開発
研究シーズ/ 宮崎 照雄(三重大学 生物資源学部)吉村 哲郎(三重大学 工学部)
実施機関/ 三重大学
ワクチン(ホルマリン殺ウイルスおよび超音波破壊菌体)をリポソーム膜内に導入してリポソームワクチンを作成し、注射によらず、経口投与することによって腸管上皮からリポソームを吸収させ、ワクチンを効率よく養殖魚に吸収させることにより免疫を高めることに成功しました。
腸管粘膜上皮からの脂質およびポソームの取り組み
マダイ稚魚  トラフグ  リポソーム
マダイ稚魚  トラフグ  リポソーム

看護師の自動勤務表作成システム
研究シーズ/ 鶴岡 信治(三重大学 工学部)  
実施機関/ 三重大学
看護師の月単位の勤務表を自動的に作成するシステムを構築しました。本システムは、勤務条件(絶対条件と希望条件)、勤務者の属性、希望勤務などを現場の勤務体制により使用者がマウスで自由に選択できることが特色であり、遺伝的アルゴリズムを用いて、数分間で満足度つきの複数個の勤務表を自動作成し、管理者は選択することができます。
有用生薬を用いたテーラーメイド機能性食品の開発 −DNAチップによる網羅的な中枢効果の検証−
研究シーズ/ 藤川 隆彦(三重大学 医学部)
実施機関/ 三重大学
DNAチップを用いた解析で、農薬によって誘発されるパーキンソン病発症に関連する脳・黒質に特化した疾患遺伝子群を抽出し、農薬や有用生薬による脳・黒質への影響を末梢から推測することを可能にしました。そして、これらの疾患遺伝子群を用いた予防診断の受け皿としての機能性食品(VASH)は市販されています。
市販されている機能性食品
市販されている機能性食品
血液流動性測定装置の開発と血流改善薬の探索研究
研究シーズ/ 鈴木 宏治(三重大学大学院 医学系研究科)
実施機関/ 三重大学
Microchannel Flow Analyzer (MC-FAN)は、チップ内の流路(幅7mm)を通過する全血の速度を測定し、血液の流動性(粘性)を測定する装置です。この度、チャンバーとチップを一体化したディスポーザブル・チャンバーチップを開発し、より簡易的で衛生的な装置に改良しました。この装置を用いて、現在、天然素材から血流改善薬を探索しています。  
MC-FANのチャンパーとチップの構造
MC-FANのチャンパーとチップの構造
汎用モノマーに対する新規重合禁止剤の開発
研究シーズ/ 富岡 秀雄(三重大学 工学部)
実施機関/ 三重大学
スチレンに対する重合禁止剤として従来とは作用機構が全く異なるものを開発しました。すなわち、本禁止剤はラジカルを捕捉あるいは失活させる従来の重合禁止剤とは異なり、ラジカル発生する前駆体を安定なスチレンダイマーに異性化させラジカルの発生量を低下させることによって重合を防止します。本禁止剤は従来の禁止剤と比較して毒性が低く、低価格です。  
芍薬の葉や花に含まれる抗菌物質の同定とその作用機構に関する研究
研究シーズ/ 生貝 初(鈴鹿工業高等専門学校)
実施機関/ 鈴鹿工業高等専門学校
芍薬の葉や花に強力な抗菌作用があることから、粗抽出液に抗菌性を見出しました。この抗菌物質を含む液を繊維に固定させた布で縫製した衣類で抗菌作用が認められました。さらに、抗菌物質を分離して食品添加物や消毒剤、化粧品等にする技術を開発しています。
芍薬の花
芍薬の花
アマモ場造成技術に関する基礎研究および造成基盤の新規開発
研究シーズ/ 前川 行幸(三重大学 生物資源学部)
実施機関/ 三重大学
大型藻類の光合成を個体全体もしくは群落状態で測定するための装置を開発しました。この装置を用いることにより藻類の生産力を現場環境下で直接測定することができます。また、同化筒の形状や大きさを変化させることにより、様々な藻類の光合成測定に対応することができます。  
木質廃材資源を活用したバインダーレス成型体の製造方法の開発
研究シーズ/ 岸 久雄(三重県科学技術振興センター林業研究部)
実施機関/ 三重県科学技術振興センター
木質廃材であるおが粉等の木粉や竹粉から、合成樹脂類の接着剤等を使わず、加熱・加圧処理のみを行うことにより、写真のような成型体を製造する技術を確立しました。この成型体の特徴としては、自然物で生分解性を持ち、環境に負荷をかけない材料であることです。この材料の活用としては、自由成型が可能なことから、各種成型容器類や文具類などへの応用を進めています。
バインダーレス成型体の菓子入れ

バインダーレス成型体の菓子入れ


生活習慣病の予防に効果のある加工食品・飲料の製造のための試験研究
研究シーズ/ 田口 寛(三重大学 生物資源学部)
実施機関/ 三重大学
一般的な各種食品約300種類の抗酸化能を測定し、加工条件を検討して比較したところ、ニンニクがそれに適しており、さらに、最適の加工条件下では、抗酸化力が、生の10倍以上に上昇しました。この技術を応用して、商品名『活力十倍黒ニンニク』が市販されています。

ナノオートマイクロインジェクション装置の開発
研究シーズ/ 田丸 浩(三重大学 生物資源学部)
実施機関/ 三重大学
ポストゲノム時代のモデル動物として注目されているゼブラフィッシュの受精卵を簡便・迅速にアレイングできる専用プレートを開発しました。これをナノオートマイクロインジェクション装置と組合せることにより、未知遺伝子の機能を解析するためのハイスループット・スクリーニングを実現しつつあります。
自動インジェクション装置専用プレートの試作品
自動インジェクション装置専用プレートの試作品
活性酸素分析のための発光分析剤の開発
研究シーズ/ 寺西 克倫(三重大学 生物資源学部)
実施機関/ 三重大学
活性酸素の発光分析に用いる化学発光剤の高輝度化、発光色制御、他成分による干渉の低減化等の高性能化を実現しました。この化学発光剤を用いることにより、活性酸素の効率的なリアルタイムモニタリングが可能となり、既に試薬として市販されています。
発光のイメージ
発光のイメージ
腰椎不安定性測定器の開発─商品化に向けて─
研究シーズ/ 笠井 裕一(三重大学医学部附属病院)
実施機関/ 三重大学
腰椎手術をする際に、手術法選択の指標となる腰椎不安定性は、客観的に測定する手段がほとんどなく、術者のカンと経験に頼っています 。そこで、隣接する腰椎にそれぞれピンを係止し、ピン間にあるバネの復元力を利用して腰椎不安定性を測定する腰椎不安定性測定器を考案・開発を行い、現在商品化に向けて臨床試験中です。
腰錐不安定性測定器の試作品
腰錐不安定性測定器の試作品
未利用糖質資源からエコ・アルコール醗酵技術の開発
研究シーズ/ 久松 眞(三重大学 生物資源学部)
実施機関/ 三重大学
澱粉系未利用資源からエタノールを製造するため、結晶構造が強いセルロース系の糖質資源については、澱粉なみの加水分解を可能とする物理化学的・生化学的前処理方法を確立しました。次に、高濃度澱粉溶液を硫酸の加水分解でグルコースに分解後、pHを2.5、グルコース濃度を20%に調製し、アルコール醗酵を進め、最終的に10%以上の高収率でアルコールを生産することができます。
連続式アルコール発酵試験
連続式アルコール発酵試験
カーボンナノチューブ表面でのガス分子の吸着・脱離現象を利用した単一分子素子の開発
研究シーズ/ 畑 浩一(三重大学 工学部)
実施機関/ 三重大学
多層カーボンナノチューブ(CNT)の各五員環面上での単一ガス分子の吸着・脱離現象を利用すると、電界放出電流が2値化され、それぞれON/OFFに対応したスイッチング動作が可能になります。単一分子の挙動は分子ダイナミクスに従うフェムト秒領域の超高速現象と考えられます。そこで、単一ガス分子の吸着・脱離現象を人為的に制御することで、超高速スイッチング素子などの単一分子の開発を行いました。
多層CNTの電子放出現象と電流変化
多層CNTの電子放出現象と電流変化
耐熱性と機能性を有する新規有機─無機ナノハイブリッド材料の研究開発
研究シーズ/ 中村 修平(三重大学 工学部)
実施機関/ 三重大学
有機−無機ナノハイブリッド材料は、いわゆる曲がるセラミック(写真参照)として評価されていますが、未反応基の存在により高温における長期安定性に疑問があります。有機成分と無機成分の最適配合条件を見出し、200℃×500時間の長期保存と耐熱性を有するハイブリッドの作成に成功しました。アルミナや窒化ホウ素を用いて複合化することにより、ハイブリッド材料に耐熱性とともに高熱伝導性(5W/mK)を付与できました。
有機−無機ハイブリッド膜と高熱伝導化シート
有機−無機ハイブリッド膜と高熱伝導化シート
酵母サッカロミセス・セレビシェと酵母ピキア・アノマラの異種間混合培養法を用いたアルコール飲料の製造
研究シーズ/ 栗田 修(三重県科学技術振興センター工業研究部)
実施機関/ 三重県科学技術振興センター

アルコール飲料の一般的な製造は、サッカロミセス・セレビシェの単独培養により行われています。本法は、酢酸エチル(オフフレーバー)低生産性のピキア・アノマラ変異株とサッカロミセス・セレビシェとの混合培養法で、サッカロミセス・セレビシェ単独培養よりも果実様の香気成分(酢酸イソアミル、カプロン酸エチルなど)を多く生成することを確認しました。この方法を利用し、ワインや清酒などの製造への応用化・実用化研究を行い、香気成分に富む品質の高いアルコール飲料の製品開発を可能にしました。

新規アルコール飲料の製造法
清酒もろみ試験
清酒もろみ試験
 
地域の紹介へ戻る