島根県

平成11年度〜平成14年度
拠点機関
(財)しまね産業振興財団

科学技術コーディネータ 
酒井 禮男 
活動方針 「島根県科学技術振興指針」(人と自然が共生した21世紀型ハイクオリティライフの実現)に基づき、環境と長寿社会をキーワードとした分野を重点分野と位置付け、産学官のコーディネイトや研究開発ネットワークの強化を推進します。
可能性試験の成果

県内産ゼオライトを用いたPETの低分子化研究
研究シーズ/ 岡本 康昭(島根大学)
実施機関/ 島根大学
エステル結合により高分子化されたポリエチレンテレフタレート(PET)を低分子化するために、水とゼオライトを主とした固体酸・塩基触媒を利用して、PETを適度に低分子化させる技術について研究しました。・低温での加水分解が可能であること、・テレフタール酸を定量的に回収が可能であること、・マグネシウムあるいは酸化亜鉛化合物によりPETの改質が可能であることを見出しました(特許出願済み)。地域新生コンソーシアム研究開発事業により実用化研究も終了し、現在事業化が検討されています。

県内産ゼオライト等による防黴、調湿、吸臭機能を有するセラミック建材研究
研究シーズ/ 宮野 秋彦(元名古屋工業大学 名誉教授)
実施機関/ (株)ヨーケン
県内産の天然ゼオライトや珪藻土などの多孔質材を用いて、防黴、調湿、吸臭機能を有するセラミック建材を試作し、住居内雰囲気の調整特性を計測、評価しました。試作品は防黴性、吸放湿性、吸臭性に優れ、曲げ強度も内装タイルのJIS規格以上で、機能性建材として十分可能であることが分かりました。現在、商品化され、奈良薬師寺の絵殿を始め、各地の文化財展示場などで使われています。


プラズマ放電焼結における熱電変換材料の作製
研究シーズ/ 野田 泰稔(島根大学)
実施機関/ 島根大学、島根県産業技術センター
優れた耐熱・耐酸化性を持つ炭化珪素(SiC)を用いた高温域熱電変換素子の実用化について検討しました。放電プラズマ焼結法による高密度SiC焼結体の作製法と、不純物添加方法を研究した結果、伝導型とキャリア濃度制御による熱電変換特性(比抵抗、熱電能など)の向上に成功し、高温領域(1000℃〜550℃)における熱電変換デバイスとしての可能性が実証されました(特許出願済み)。現在、写真のようなU字型素子形成とその出力の評価測定に関する応用研究を実施中です。
フタロシアニン・フラーレン等の有機分子薄膜を用いた光電池の開発
研究シーズ/ 廣光 一郎、春日 邦宣(島根大学)
実施機関/ 島根大学
電気特性にすぐれ、空気中で安定度の高いフタロシアニンとフラーレンを用いて、発電効率1%以上で、安定性・安全性に富んだ有機半導体光電池の実用化について検討しました。発電効率を向上させるためには、それぞれに不純物を分子レベルで混合させたほうがよいこと、キャスト膜よりも蒸着膜の方が効率がよいことが分かり、フタロシアニン・フラーレン有機光電池の開発は可能性であると評価しました。島根大学では継続研究され、2004年応用物理学会「フタロシアニン金属面でのバンドスリップ」、「有機太陽電池の内部d場に対す界面への有機層挿入効果」について発表されました。

光環境の調節、特に赤色光付加照射による施設栽培植物の病害防止
研究シーズ/ 本田 雄一(島根大学)
実施機関/ 島根大学
島根大学の赤色光照射と植物の病害抵抗性誘導に関する研究シーズをもとに、赤色光によって病害抵抗性が誘導される植物や病原菌の範囲を究明し、施設栽培植物の育成段階で発生する苗立枯れ病、根ぐされ疫病、萎縮病、土壌伝染性病害への赤色光の適応性についての可能を探りました。現在、大学構内の栽培施設で研究が継続され、赤色光照射の効果が実証されました。農薬の依存度を軽減した環境にやさしい病害防除体系の確立が期待されています。 

難削材料の高速切削加工技術に関する研究

研究シーズ/ 田中 久隆(鳥取大学)、臼杵 年(島根大学)
実施機関/ 鳥取大学、島根大学、島根県産業技術センター
自然環境の保全や作業環境の改善の観点から、切削油を使用しない難削材料の高速ドライ断続切削の可能性試験と、切削加工時に発生する再生びびり振動の安定限界の数値解析を行いました。その結果、ある切削条件に設定すると高速加工が可能であり、びびり振動も発生しないこと、また切削速度を速くすると工具の寿命が延びる傾向があることを見出しました。地域新生コンソーシアム研究開発事業による実用化研究が終了、事業化が検討されています。
ネットワーク構築
酸化亜鉛による高効率紫外線デバイスの開発
研究シーズ/ 藤田 恭久(島根大学)
実施機関/ 島根大学
有機金属気相成長法(MOCVD)による単結晶薄膜成長に関する研究実績をもとに、酸化亜鉛薄膜紫外線発光デバイスの可能性を検討しました。その結果、・酸化亜鉛基板上に、300℃〜400℃で平坦で高品質ネ酸化亜鉛皮膜の成長が可能なこと、・自由励起子主体の発光が得られること、・水素キャリアにより発光強度と移動度が増加することが確認でき、酸化亜鉛皮膜は、紫外線発光デバイスとして可能性があることが分かりました(特許出願済み)。
酸化亜鉛による高効率紫外線デバイスの開発
「創造の杜」
「創造の杜」は、山陰の産学官の人的ネットワークを広げ、共同研究などのコラボレーションを推進することで産業の高度化を目指し、ひとりひとりが情報発信できる「場」を提供することによって、有益な情報の共有を推進し、産業の創造的な発展に資するためのオンラインフォーラムです。
URL http://www.so-zo.net
コーディネータ連絡調整会議
県内の産業支援機関に所属する各コーディネータによる個別企業ニーズ等の情報交換を通して、地域研究開発促進拠点、中小企業支援センター、プラットホーム中核的支援機関として、コーディネータの全県的なネットワークを構築することを目的とし、財団事業への橋渡し、各支援機関の支援制度への橋渡し、島根大学・公設試等への橋渡しなど、企業ニーズに即応できる体制づくりを目指します。
 
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