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地域結集型共同研究事業

平成15年度事業終了地域事後評価報告書



平成16年3月
独立行政法人科学技術振興機構 地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−4 神奈川県
◆(参考1)事業の目標・概要
 神奈川県にはあらゆる産業分野に関連する技術・研究の蓄積があり、何をCOE の基盤技術に採用するかの選定に当たっては、(財)神奈川科学技術アカデミーが過去10年間実施してきたテーマを検討し、最も質の高かった“光関連の科学・技術”を採用した。更にこの技術の中で特に“独創的光材料の開発”に的を絞り、研究・技術開発のターゲットは“新しい環境技術の創生”と決定した。
 具体的には、次に掲げるサブテーマを設定し、基礎から個別材料研究、デバイス化、システム化までを網羅する研究開発をとおして、環境関連を中心とした、神奈川県に根をおろした新産業を創出することを目指した。

 フェーズIにおけるサブテーマは次のとおりであった。

高機能光化学センシング材料及びデバイス、システム
 特定の化学物質や化学的環境に感応して光学特性が鋭敏に変化する各種のセンシング材料を創生し、デバイス、システムとしての実用化を目指す。
革新的光学プラスチック材料(平成12 年度末をもってJST「創造科学推進事業」に移行)
 独創的な分子設計理論と高度な構造制御技術により、各種光学プラスチック材料を創生し、デバイス、システムとしての実用化を目指す。
高度環境浄化のための光触媒材料及び浄化システム
 二酸化チタンをもとに、中間生成物を発生することなく環境汚染物質を完全分解する、実効的な機構を開発することを目的に、材料面、システム面の両面から総合的にアプローチし、装置、システムとしての実用化を目指す。
光相転移を用いた環境・情報材料
 光による磁気相転移や、磁性スイッチングなどの機能を高精度に制御することができる新しい概念の材料を創生し、新概念の光磁気デバイスなどを提案する。
新しい金型設計製作法


 事業開始後間もない平成11年2月には、光触媒技術の医学・医療分野への応用可能性に着目し、サブテーマの対象に「光触媒の医学・医療への応用と実用化」を加え、研究グループとして独立させた。一方、「サブテーマ革新的光学プラスチック材料」は、「創造科学推進事業」への移行にともない、フェーズIで終了した。
 フェーズIにおける研究テーマは5サブテーマ・30 アイテム(小テーマ)から構成されていた。これは、予備的研究によって、発展可能性を探るために意識的に設定されたアイテム群であり、フェーズIIにおいては当然、優先順位付けと重点化が求められる構造にあった。中間評価においても「テーマの重点化の必要性」が指摘された。
 フェーズIIに入るにあたってはこの経緯を踏まえ、「事業終了時に実用化が期待される」など四つの視点から研究テーマをアイテムレベルまで見直し、4 テーマ・13 アイテムに再編した。なお、ここで採用した四つの視点は、以後の、研究の進捗管理と資源配分の検討にあたっての重要な指標として維持した。

高機能光化学センシング材料・デバイス及びシステム 鈴木グループ(鈴木孝治)
-(1) 高度環境浄化のための光触媒材料及び浄化システム 橋本グループ(橋本和仁)
-(2) 光触媒の医学・医療への応用と実用化 窪田グループ(窪田吉信)
光相転移を用いた環境・情報材料 佐藤グループ(佐藤治)
新しい金型設計製作法 大湊グループ(大湊満)

 主な研究成果は以下の通りである。

「高機能光化学センシング材料・デバイス及びシステム」
ホルムアルデヒド検出試薬
二次元SPR(表面プラズモン共鳴)センサー
「高度環境浄化のための光触媒材料及び浄化システム」
光触媒を用いた農業廃液の処理
「光触媒の医学・医療への応用と実用化」
光触媒をコーティングした抗菌性医療用チューブ
「光相転移を用いた環境・情報材料」
ナノ粒子フォトニック結晶を用いた構造性発色・撥水コーティング及び光デバイス
「新しい金型設計製作法」
有限要素法による超深絞り加工用金型設計シミュレーション
及びこれを用いた金属薄板の精密プレス加工技術
「光触媒オープンラボ」
 本事業のサブテーマの一つである、酸化チタン光触媒の特性や限界が正しく理解されないままに応用されているケースが見られるため、平成11年10月、コア研究室内に藤嶋研究統括を責任者として、「光触媒オープンラボ」を開設した。参加会員企業延べ87社、見学者数1703人などの実績を上げた。

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This page updated on April 14, 2004

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