評価一覧評価説明報告書地域別評価 大阪府 > (参考1)

地域結集型共同研究事業

平成14年度事業終了地域事後評価報告書



平成15年3月
科学技術振興事業団地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−2 大阪府
◆(参考1)事業の目標・概要
 大阪府では、平成8年9月に(財)大阪科学技術センターに設置された「大阪府産学官技術開発プロジェクト」の分科会である「情報分野検討会」にて調査・検討された大阪地域の光・電子・情報分野における産学官の技術ポテンシャル、共同研究課題及び産学官連携方法の結果として「テラ光情報基盤技術」を次世代の情報通信を担う新技術・新産業の創出に資するものとして平成9年度より、本事業にて推進することになった。また、平成8年にそれまで分散していた大阪府立産業技術総合研究所を現在の和泉市に新築移転するなど、和泉・堺エリアを中心として、産学官連携による研究開発促進の取り組みを積極的に整備・誘致しており、コア研究室を、同研究所内の「先端光ファクトリー」に設置していることからも、本事業を大阪府の産学官連携のトリガープロジェクトとして位置づけられていることがわかる。

 研究開発の目的は、将来の高度情報化社会に必要な超高速超容量の情報通信に対応するために、光を情報媒体とし、光の特性を高度に利用するフォトニック情報システムの研究開発を行うことであり、人の安全やセキュリティーを確保する技術、あるいは遠隔地コミュニケーションに必要な高度情報処理・伝送技術の開発を目指して大容量高速処理について、光を情報媒体とする技術の研究開発を行う。
 本共同研究では、光を情報媒体とする新たなテラ(超容量超高速)光情報システムを構築するために、3つの新しい構成原理に基づくフォトニック情報システム創出とその構築、並びに、それらを具現化させるための基盤技術(素子作成技術)の確立を目指し、実証プロトタイプの開発、システム作成に必要な超精密光学素子の設計、素子作成技術の研究開発を行い、いずれのレベルでも独創的な研究を進め、それらの中から新技術。新産業の芽となる成果を創出することを目標とした。

 各研究テーマの内容は以下のとおりである。
1.時空間テラ光情報変換・伝送システムの研究開発
 未開発の超高速超容量情報通信システムのへの先導的な基礎的研究として、フェムト秒パルスレーザーを光源とする全く新しい全光型情報変換・通信システムの提案、実証システムの試作、10Tbps以上の情報変換・伝送の実証を目指すものである。

2.高速パターン識別光システムの研究開発
 自律ロボットの視覚機能、実世界画像認識システムの実現を目指し、多重度100以上の相関演算をTVビデオレートで実行する実証システム試作と能力評価を行うものである。

3.光・電子融合情報システムの研究開発
 新機能超薄型(カード型)画像情報インターフェイスの研究開発として、厚さ5mm以下7.5Mpixel/secの能力を持つ実証システムTOMBOの提案、試作、評価実験を行い、実用化・製品化を目指すものである。

4.高機能光学素子作成技術の確立(2次元超微細加工による高機能光学素子の開発、3次元微細光学素子作製技術の研究開発)
 テラ光情報システム構築に必要な高機能光学素子の開発及び、それらの素子作成に必要な超精密微細加工技術開発の確立を目指し、テラ光情報システム用高機能光学素子及び、サブ波長構造工学素子等の2次元超精密(回折)光学素子の設計、それらの作製のための2次元超微細加工技術の確立、素子作製に必要なレジスト材料の開発、3次元微細光学素子作製法の開発とともに、個々の要素技術の実用化・事業化などを目指すものである。

5.高機能光デバイスの開発(フェーズIまで)
 テラ光情報システムの構築のために必要な仕様と性能をもつ、高機能光デバイスの開発として、光超格子回折光学素子の研究を実施するとともに、そのプロトタイプを先端光ファクトリーで研究開発・設置する3次元超精密微細加工装置等を駆使して試作するものである。

 平成11年度には、事業の中間評価を行い、次のような指摘がされた。
 いくつかの研究課題では先 端要素技術の開発が着実に進行しているが、全体的には特許等の具体的成果が若干不足している。また、先端技術であるため、有益性が具体的でない。

 上記指摘事項を受けて、次のように事業計画の見直しを行うと共に、研究体制の一部を手直しした。
19テーマを7テーマに集約・重点化し、大容量超高速の情報処理を実現する具体的な光システムのプロトタイプ作製に注力する。高機能光デバイスの開発については、フェーズII以降大阪府立産業技術総合研究所や大阪市立工業研究所などで自主的(地域負担)に研究開発を継続するものとする。
フェーズIIまでの主たる研究成果例と、今後の展開については、以下のとおりである。

1.時空間テラ光情報変換・伝送システムの研究開発
  • 実験システムの作製・実証実験に成功した
  • 企業との研究成果育成研究を開始した
  • 日本学術振興会先導的研究開発委員会設立
2.高速パターン識別光システムの研究開発
  • ロボットビジョンへの応用として展示会に出展し、安定動作の確認をした。
3.光・電子融合情報システムの研究開発
  • プロトタイプを作製した
  • 実用化を目指した共同研究を開始した(研究成果活用プラザ大阪)
4.高機能光学素子作成技術の確立
  • 量産化共同研究を開始した。
  • 委託開発事業を開始した。
  • ナノ構造光学素子の企業化共同研究を開始した。
5.その他
  • 大阪府立産業技術総合研究所にてフォトニック研究開発支援センターを開設し、超微細光学素子作製技術に関する試作研究開発や技術移転を行う。(平成15年4月開設予定)
  • (財)大阪科学技術センターにおけるテラ光情報技術フォーラムにて、本事業で構築されたネットワークの維持活用とともに、情報提供や動向調査、試作共同研究の成果移転活動を継続する。

戻る


This page updated on March 18, 2003

Copyright©2003 Japan Science and Technology Corporation.