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地域結集型共同研究事業

平成14年度事業終了地域事後評価報告書



平成15年3月
科学技術振興事業団地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−1 茨城県
◆(参考1)事業の目標・概要
 茨城県南東部に位置する霞ヶ浦は、日本第2の大きさを有し、豊かな水と多様な自然環境を提供しているが、湖水の富栄養化にともなう諸問題の発生にともない、その解決にむけたさまざまな取り組みが行なわれてきた。
 平成7年10月には、「第6回世界湖沼会議 霞ヶ浦’95」が開催され、霞ヶ浦だけでなく世界の湖沼が抱える諸問題の解決に向けた「霞ヶ浦宣言」がまとめられた。この「霞ヶ浦宣言」にもとづいた水質浄化と新たな湖沼環境の創造に取り組むために、これまで技術的に未研究・未開発であったテーマを含め、環境への低負荷・低エネルギー・高効率の新たな浄化技術の開発が必要とされ、本プロジェクトが開始された。
 研究テーマは「環境フロンティア技術開発」。具体的には、「生態工学を導入した汚濁湖沼水域の水環境修復技術の開発とシステム導入による改善効果の総合評価に関する研究」を行うこととした。
 霞ヶ浦を健全な環境に再生するため、
 (1) 流入負荷を削減する発生源対策、
 (2) 湖内の直接浄化対策、
 (3) 水質のモニタリング技術開発、さらに
 (4) その技術の適用性を社会経済的な問題
まで含めて評価することとし、推進にあたっては、環境科学および環境工学と共に、社会科学の視点も導入した。
 なお、フェーズIにおいては、環境モニタリングのプラットフォームとしての新飛行船技術の開発(新飛行船プロジェクト)を包含したプロジェクト構成であった。平成11年度には中間評価を行ない、当初の予定どおり新飛行船技術開発を終了するとともに、汚濁湖沼等の水環境修復技術開発についても、重点課題の設定、テーマの絞り込みを進め、汎用化可能な要素技術開発として低コスト、低維持管理、資源循環を考慮した実用化システムの構築を目指した。実証現場において、各技術の改善のあり方、更なる高度化を考慮して、以下のような、実用性の高い新たな技術の開発を推進した。

(主な研究成果)
1)流域対策技術の開発
  • 浄化用改良土を使用した汚濁水浄化システムの開発
  • 資源循環・ビオトープ共生型ハイブリッド浄化システムの開発
  • ハイブリッド型高度河川・水路浄化システムの開発
  • 既存浄化槽への窒素・リン高度処理システムの付加技術の開発
  • 吸着脱リン法によるリン回収型高度合併処理浄化システムの開発
  • 高機能新設型合併浄化槽ヘドロセラミックス充填生物ろ過システムの開発
2)湖内対策技術の開発
  • 密度流拡散方式による大規模汚濁湖沼の水環境修復技術の開発
  • 有用微生物による藍藻類分解除去技術の開発
  • 電気化学的処理を用いた藍藻類・汚泥等の高速凝集分離プロセスの開発
3)モニタリング技術の開発
  • ニューラルネットワーク解析手法による水質情報の総合解析手法の開発
  • NIR法による湖沼の簡易・迅速水質分析手法の開発
4)流域管理手法の確立
  • 流域管理手法のシミュレーションによる湖沼流域管理システムの確立化
  • 総合解析評価手法の構築による「霞ヶ浦方式」の創出

 また、本事業では、地域COEの構築へむけた取り組みも推進し、具体的には茨城県が平成16年度に竣工を予定し整備を進めている「霞ヶ浦環境センター(仮称)」へとその取り組みは引き継がれる。
 この霞ヶ浦環境センター(仮称)は、「人と自然の共生する環境の保全・創造」を基本理念とし、以下に掲げるような具体的機能を持つ拠点として整備する計画である。
(1) 霞ヶ浦はじめとする県内の湖沼・河川の汚濁メカニズムの解明、および霞ヶ浦の流域全体を視野に入れた総合的流域管理等の研究拠点
(2) 霞ヶ浦をフィールドとして行なう環境学習の推進、国内外の研究機関・研究者との交   流、世界に向けた水環境に関する情報の発信拠点

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