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地域結集型共同研究事業

平成14年度事業終了地域事後評価報告書



平成15年3月
科学技術振興事業団地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−1 茨城県
課題名 環境フロンティア技術開発
事業総括: 角田 芳夫(茨城県副知事)
研究統括 須藤 隆一(東北工業大学客員教授)
新技術エージェント 田井 愼吾(つくばインキュベーションラボ取締役)
上原 健一(つくばインキュベーションラボ取締役)
中核機関 (財)茨城県科学技術振興財団
1*事業目標の達成度及び波及効果並びに今後の展望
 地域の環境浄化について、総合的に取り組んだ点は全体として評価できる。
 県の水質保全計画に沿う形で本事業が展開され、環境技術開発で「霞ヶ浦方式」と呼ばれる技術・製品の普及等に目標を設定し、一定の成果を挙げたものと認められる。霞ヶ浦周辺の自治体において本事業で開発された新型浄化槽の設置の指導要綱を定めるなどの動きが見られ、地域における成果の展開策として期待する。
 霞ヶ浦の浄化の取り組みは、環境問題における全国的な課題の一つであることから、このプロジェクトの成果は他の地域の指針としての波及効果が期待されている。その意味で、フェーズII時点で得られた成果の今後の展開、および霞ヶ浦浄化全体事業の中でどこまで到達出来ているのかを明確にし、広く関係各方面に示す必要があろう。本来の環境プロジェクトで重要な要素である住民との合意形成などに関して、現時点ではまだ不十分であり、今後の取り組みに期待する。

2*研究開発目標の達成度及び成果並びに今後の展望
 フェーズII終了時点での研究成果としては概ね妥当と認められる。ただし、総合的な流域管理手法に関する研究成果がやや限定的である。新しい技術開発や発見に乏しいが、総合的にまとめた点は評価できる。多岐にわたる技術開発がなされ、水質浄化という共通の目標の下に進展がみられたものと認められる。しかしながら、霞ヶ浦の浄化に如何に寄与できるかという定量的な評価については、その困難性を認めつつも、もっと積極的に取り組んでよかったであろう。また、プロジェクトの成果が個別的で、システムとしての成果の印象が薄い。この研究成果から霞ヶ浦の水質が何%改善する可能性があるといった表現が望まれる。
 中間評価を受け、フェーズ・から・に移行するする際、大幅にテーマ数を絞ったことは評価結果をきちんと反映したものと認められる。しかし、テーマの重要度に応じた研究資源の配分についての検討にやや不十分さが見られる。
 フェーズIIIにおいては、人文社会学的アプローチをも包括する形の新しい取り組みを期待する。

3*成果移転に向けた取り組みの達成度及び今後の展望
 新規創業3社は評価できるものの、特許申請が8件と少ない点が懸念される。研究開発への参加企業が増えている実績がある一方で、実用化という観点での取り組みとの関連にやや不明確な部分があり、今後の解決課題と思われる。
 潜在市場の大きい浄化槽が開発され、認定の取得が予定されている。事業化に向けては、官の誘導が必要と思われる。環境ビジネスの産業化という視点で、政策は重要であるが、住民に向けて何を訴えてきたのかも重要である。フェーズIIIにおいてこのまま消失しないことを期待する。

4*都道府県等の支援及び今後の展望
 県および土浦市の支援は熱心である。財政的な支援だけでなく、環境問題固有の規制的な手法の早期実施、条例の早期制定など、引き続き自治体としての取り組みに期待したい。
 地域ニーズが高く、新産業創出でも積極的な活動が見られた。COE拠点としての「霞ヶ浦環境センター(仮称)」の現在の整備状況は評価できる。今後、「霞ヶ浦環境センター(仮称)」がCOE拠点として強化発展していくことを期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)事業実施期間中における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)事業実施期間中の研究項目と実施体制

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