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地域結集型共同研究事業

平成12年度事業開始地域中間評価報告書



平成15年3月
科学技術振興事業団地域振興事業評価委員会

4. 地域別評価
4−3 静岡県
◆(参考1)事業の目標・概要
 光技術は、様々な技術分野の進展とその産業化における基盤的技術として、21世紀には今以上に大きな役割を果たすことが予測されており、静岡県にはこの光技術に関する世界最先端の技術の蓄積がある。
 本事業は、その優位性を活かし、県が主体となって産学官の研究資源を結集することにより、高密度フォトンの産業利用を指向した大出力レーザーシステムを開発し、その応用による独創的な基盤技術の確立により、新産業の創出を目指す光科学技術の地域COEの構築を図るものである。
 構築する地域COEは、更に広範な分野における新産業の創出を図るため、事業終了後も継続して運営し、内外の優れた人材が集積し活躍する場として発展させる。

1)地域COEの構築
 中核機関である(財)光科学技術研究振興財団は、大学、産業界の研究者により構成する「光科学産業開発集団」を組織・運営し、産学共同の活発な活動を行なっており、コア研究室を中核として地域の大学、企業、公設試の研究資源を活かした研究開発の実施を図る。また、新技術エージェントを配置するとともに、スキルバンクを整備し、産学官共同研究や研究成果の企業化を推進する機能を有した地域COEを構築する。

2)新技術・新産業の創出
 「光と物質との相互作用」―特にフェムト秒領域の超高速相互作用―に着目し、そこから得られる知見をもとに新医療分野(例:短寿命放射性同位体生成)の新規産業を創出するための基盤技術を確立することを目標とする。
 そのため、先ず、超高密度フォトン利用実証レーザーシステムー高出力半導体レーザー(LD)や超高速光計測技術などの先端的光技術を駆使して、LD励起・小型・高性能の高強度フェムト秒全固体レーザーと計測・制御・解析系などを一体化した実証システムを開発して、新医療分野の新規産業に必要な超高密度フォトン利用技術を開発し、新規産業の可能性を実証する。

 必要なレーザーシステムは国産で自らが開発を行うことに重点を置き、その基礎的な体験(暗黙知)の蓄積により産業機器として必要とされる「超高密度フォトン利用実証レーザーシステム」を開発する。

 開発の過程では、地域に蓄積された高度な光技術―高出力LD技術、固体レーザー技術、波長変換技術、フェムト秒レーザー技術、光計測技術、光制御技術、ファイバー伝送技術等の様々な要素技術―の高度化・実用化が図られる。そこで、実証レーザーシステムの開発に伴い、レーザーに関する様々な技術の産業応用が展開出来る。結果として、新しい知見と社会ニーズをつなげる「新しい産業の創出」と、既存産業技術とレーザー技術の結合による省コスト生産や高付加価値加工等の産業ニーズを満たす「既存産業の高度化」を狙う。

本事業における研究項目は以下の通りである
<1>超高密度フォトン利用実証レーザーシステムの開発
 <1−1> LDを用いた高強度フェムト秒レーザーの開発
レーザーA 結晶 繰り返し ピーク出力 パルス幅
チタンサファイア 10Hz 1TW 100fs

レーザーB 結晶 繰り返し ピーク出力 パルス幅
チタンサファイア 1kHz 0.1TW 100fs

 <1−2> 超高密度フォトン反応制御技術の開発
実証レーザーシステムにおける、超高密度フェムト秒パルス光の解析・制御部、超高密度フォトンと物質との相互作用の計測・解析部に必要な技術開発、同システムの新医療分野での産業応用の可能性を実証する試作機の製作
<2>新規産業開発研究
新医療分野における物質改変、非熱加工、X線応用、テラヘルツ波応用に関する新規産業創出に向けた未踏領域の基盤技術開発および加工、農業等の既存産業の高度化につながる技術開発

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