採択プロジェクト
国際共同研究
日本-インドネシア「バイオものづくり」研究領域
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)では、インドネシア国立研究革新庁(BRIN)と協力し、日本とインドネシアの研究者間で「バイオものづくり」分野での国際共同研究を支援しています。
相手国協力機関
インドネシア国立研究革新庁(BRIN: Indonesia National Research and Innovation Agency )
運営主幹 (PO)
馬場 健史(九州大学 生体防御医学研究所 教授)
新着情報
採択課題一覧
※所属・役職は2025年10月現在の情報。
| 研究課題名 | 糸状菌合成生物学とバイオマス資源の活用による抗感染症低分子創薬の革新 |
|---|---|
| グラント番号 | JPMJNX25E1 |
| 研究期間 | 2025年10月~2028年9月(2025年度~2028年度) |
| 日本側研究代表者 | 恒松 雄太(名古屋大学 大学院生命農学研究科 准教授) |
| 相手側研究代表者 | アリフ ナルカント(BRIN 生命科学・環境研究機構 生物体系学・進化研究センター 主任研究員) |
| 課題概要 |
本研究は、インドネシアの多様性ある微生物資源と日本の生合成工学基盤型天然物創薬技術を融合し、感染症に対する新規低分子リード化合物を創出することを目的としている。 具体的には、赤痢アメーバや結核などの途上国で深刻な感染症の治療に資する化合物を開発し、バナナ茎やパーム残渣(ざんさ)など、インドネシア国内で安定的に調達可能な未利用バイオマスを活用して、実用的かつ低コストな生産技術の確立に取り組む。 両国のチームによる共同研究を通して、創薬とものづくりの両面から感染症対策に貢献し、さらに両国の若手研究者による相互交流を通じて、国際共同研究を担う人材の育成と持続可能な研究基盤の構築を図ることで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも資する国際連携のモデルとなることが期待される。 |
| 研究課題名 | 好塩性微生物細胞工場による廃棄物系高塩バイオマス原料からの海洋ポジティブな高価値化学物質のバイオものづくり |
|---|---|
| グラント番号 | JPMJNX25E2 |
| 研究期間 | 2025年10月~2028年9月(2025年度~2028年度) |
| 日本側研究代表者 | 仲山 英樹(長崎大学 大学院総合生産科学研究科 教授) |
| 相手側研究代表者 | ファルロズィ(BRIN 農業・食品産業研究機構 淡水水産養殖研究センター センター長) |
| 課題概要 |
本研究は、塩分を含む海藻加工残渣(海藻粕)を原料とした好塩菌による海洋ポジティブなバイオものづくりを目指し、アジアで大量に廃棄されている海藻粕を利用して、ブルーカーボンをアップサイクルする高価値化学物質の生産基盤を構築することを目的としている。 具体的には、日本側がエクトイン(Ect)やポリヒドロキシ酪酸(PHB)の生産能力を持つ好塩性細菌ハロモナスを用いて細胞工場の開発を行う。同時に、インドネシア側のバイオリソースからEctやPHBの生産能力が高いハロモナス属の菌株を選抜し、日本側の研究成果を応用して現地のプラットフォームとなる細胞工場の開発に取り組む。 本研究を通して、「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち持続可能な消費と生産(SDG目標12)および海洋資源の保護(SDG目標14)の達成に貢献することが期待される。 |
| 研究課題名 | アジアにおける肝がんサブタイプを反映したオルガノイドパネルの構築 |
|---|---|
| グラント番号 | JPMJNX25E3 |
| 研究期間 | 2025年10月~2028年9月(2025年度~2028年度) |
| 日本側研究代表者 | 筆宝 義隆(千葉県がんセンター 研究所 研究所長) |
| 相手側研究代表者 | リリス・イスティファリ ジェニ(ガジャマダ大学 薬学部 准教授) |
| 課題概要 |
本研究は、アジア地域に特有の遺伝的変異を持つ肝がんのオルガノイドパネル作成を介したアジア初の創薬基盤構築を目指す。 具体的には、日本側がまず正常マウス細胞から作成した腫瘍および患者腫瘍由来のオルガノイドを多数樹立することでサブタイプ別肝がんオルガノイドパネルを作成し、次に化合物ライブラリーのスクリーニングを行うことで、各サブタイプ特異的な薬効を示す候補化合物を同定する。一方、インドネシア側は得られた候補化合物に対してヒト肝がん細胞株による汎用性の検証および誘導体合成を並行して進め、高薬効化合物の同定を目指す。 これらの成果を統合することで、アジア肝がんオルガノイドパネルの創薬有用性を実証する。最終的には、他のがん種への応用も見据えた、包括的ながん創薬基盤構築に向けた展開が期待される。 |
| 研究課題名 | 植物の輸送特性を変えた輸送タンパク質の生産を通じた環境汚染対応植物の開発 |
|---|---|
| グラント番号 | JPMJNX25E4 |
| 研究期間 | 2025年10月~2028年9月(2025年度~2028年度) |
| 日本側研究代表者 | 藤原 徹(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授) |
| 相手側研究代表者 | プラティウィ プラナニンラム(BRIN 遺伝子工学研究センター 研究員) |
| 課題概要 |
本研究は、世界的に深刻な問題である重金属汚染に対処するため、特にインドネシアで問題が顕在化しているカドミウムに対して、蓄積を防ぐ植物と高濃度で蓄積する植物を作出し解毒の分子基盤を解明することを目指している。 具体的には、イネおよび油料植物であるヤトロファのNRAMP5やHMA3トランスポーターの分子解析と改変を通じ、機能変換した輸送体タンパク質を植物体内で生産させる。日本側チームは主にイネを対象とした研究を行い、新たな技術をインドネシアのヤトロファ研究に応用することで、インドネシアの分子構造解析を日本側に適用し、共同研究を進める。 両国のチームによる共同研究を通して、重金属汚染地の環境修復に向けた革新的かつ持続可能な解決策を提供し、広く他地域への応用につながることが期待される。 |
| 研究課題名 | 持続可能なバイオ生産を目指す日本・インドネシア共同Cryo-EMイニシアティブ―生分解性プラスチック合成および汚染物質除去に関与する酵素・トランスポーターの構造基盤の解明 |
|---|---|
| グラント番号 | JPMJNX25E5 |
| 研究期間 | 2025年10月~2028年9月(2025年度~2028年度) |
| 日本側研究代表者 | 吉田 昭介(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授) |
| 相手側研究代表者 | ユディ ヌグラハ(BRIN エイクマン分子生物学研究センター Cryo-EM研究所 研究員) |
| 課題概要 |
本研究は、生分解性プラスチックの生産や汚染物質のバイオレメディエーションといった地球規模課題に取り組むため、これらに関与する酵素およびトランスポーターの構造をクライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)で解明し、さらに融合タグ技術で解析対象の拡大を図ることを目的としている。 具体的には、日本側は奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の環境微生物学研究室と構造生命科学研究室が連携し、タンパク質試料の発現・精製、3D再構成法の改良、および構造決定を主導する。インドネシア側は、最新のCryo-EM装置の運用、初期スクリーニング、データ収集を担う。 両国のチームによる共同研究を通して、Cryo-EMワークフローを最適化し、構造生物学に基づく環境問題解決技術を生み出すとともに、若手研究者を育成し、持続可能な国際共同研究体制の強化を目指す。 |
報告書
後日掲載予定
事後評価
後日掲載予定