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地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業
(ネットワーク構築型)

平成13年度終了地域事後評価報告書


平成14年10月
科学技術振興事業団地域振興事業評価委員会

4. 地域ごとの事業展開および評価

  青森県  富山県  福井県  岐阜県  京都府  兵庫県  岡山県

(1) 青森県
拠点機関 財団法人 21あおもり産業総合支援センター
科学技術コーディネータ 鍋谷 祐夫
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 科学技術コーディネータが中心となって、ニーズ・シーズ調査や各種研究会を組織し、地元の技術、産業の洗い出しと結び付けは適宜行われてきた。ただし企業集積の状況を反映してか、調査された企業ニーズが少ないこと、および研究会活動の不十分さがみられる。今後は、青森県が戦略的に方針を立てて、より地域特性に見合った有効な調査活動および研究情報の整備を進めることを期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 地元産業に根ざしたテーマを積極的に取り上げた点、地味ながらも意欲的に可能性試験を行ったことは評価できる。特に、食品関係で実用的なテーマには地域性が反映している。研究プロジェクトの企画においては、規模の小さいプロジェクトから研究者を集める大型方向への展開がみられるが、その広がりが限定的である。可能性試験課題の抽出に関しては、科学技術コーディネータに対する拠点機関および青森県の積極的関与が一層必要である。今後は試験結果から工業化へ向けた展開方策を検討する努力が必要であろう。
3*コーディネート活動の公開状況
 新技術フォーラムの開催、「青森県研究者便覧」の作成、拠点機関のホームぺージへの「青森県研究者リスト」「青森産業ネット」の掲載が行われ、RSP事業の浸透への努力が認められる。しかしながら、上記活動についてのフィードバックが不足しており、公開情報の活用状況がコーディネート活動の充実に反映されてきたかどうか疑問である。
 今後は、地域におけるコーディネート活動の啓蒙を一層図り、ホームページでの公開情報の更新や新規コンテンツの作成へ向けた取り組みを期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 優れた研究開発人材の発掘、研究資源情報の蓄積、研究情報ネットワークの構築、研究者の人的交流ネットワークの構築等の取り組みは、一定の成果を見ることができる。弘前大学の地域共同研究センターとの連携はよいが、他の大学等との連携にやや不十分な点がある。青森県を4地域に分けてコーディネート活動を行ったことは特徴的であるが、この方式をベースに今後のコーディネート活動がどのように発展していくのか、そのことによって波及効果として青森県が期待するものを明確にすべきである。
5*総合評価
 地元の特性を優先し、県の産業構造を反映した可能性試験を行ったこと、特に食品・生化学・廃木材の活用をとりあげ、成果を得たことは評価される。しかしながら、燃料電池や光通信部品など、世界のトップ企業がしのぎを削っている分野については、特許戦略もふくめた研究プロジェクトの企画が望まれる。平成13年度から地域結集型共同研究事業がスタートしているが、本RSP事業で構築された地域の産学官ネットワークをいかに活用・連携させるかは大きな課題である。青森県が本事業の実施により得られた成果をどのように活用・発展させていくか、拠点機関の活動とあわせてよりより一層の検討が必要である。
(2) 富山県
拠点機関 財団法人 富山県新世紀産業機構
科学技術コーディネータ 南日 康夫
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 マイクロマシニング技術、センシング技術、メディカルエンジニアリング技術、真空利用技術等医薬分野と工学分野の融合をベースに置いて研究会・検討会が組織され活発に活動がなされたが、ニーズの掘り起こしが弱い面がある。特に富山の得意分野であるはずの医薬品関係について技術レベルの認識に甘いところがあり、産業界のニーズ把握に努める必要があると思われる。今後は、さらにニーズ/シーズの情報を整備・結合させていくことを期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 可能性試験は合計22件なされた。論文が8件と少ないものの、試験を通じ、「呼気中のアンモニア測定装置」「DNAチップ製作用超微量吐出ノズルヘッド」が製品化され、「ハイパワー下方放射型蒸着法の開発」が実用化へ向けた研究に発展しており、製品化、実用化、新規プロジェクトの立ち上げなどの展開が広がりを見せている。今後は、研究進展によりさらに特許化や企業化が推進されることを期待する。
3*コーディネート活動の公開状況
 パンフレット、ホームページ、新技術説明会等による可能性試験の紹介によって公開を行っている。また、各種のデータベースやパテントマップの作成・公開を行うなど実効性を考えた取り組みがなされている点が評価できる。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 富山県では平成13年3月に策定された「新富山県科学技術プラン」に基づきコーディネート機能強化を目指しており、RSP事業は重要施策として推進されてきた。RSP事業で構築された産学官ネットワークと従来シーズを基に「富山バイオバレー構想」を推進しており、「とやま医薬バイオクラスター」構想が平成14年度知的クラスター創成事業の試行地域に採択されており今後の発展が期待できる。引き続き南日康夫氏が科学技術コーディネータとして職務を遂行されることから、RSP事業の成果がさらに波及効果を及ぼすような活動がなされることを期待する。
5*総合評価
 コーディネータがRSP事業の趣旨をふまえ、独自の事業実施上の理念を築いた上で、事業開始時の状況把握から事業を推進、さらに終了時に自己評価を行ったことは評価に値する。また、若手研究者や次世代のコーディネータの育成活動も評価できる。拠点機関であった(財)富山県新世紀産業機構に「富山バイオバレー構想」の推進本部が設置され、かつ本機構は知的クラスター創成事業の管理主体ともなっており、今後この中でRSP事業で培ってきた産官学連携のネットワークやノウハウが生かされていくことを期待する。
(3) 福井県
拠点機関 財団法人 福井県産業支援センター
科学技術コーディネータ 山口 拓治
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 福井県科学技術振興指針に基づく「シールド・磁気材料技術分野」等の5分野に加え、「バイオ応用技術」と「地球環境保全技術分野」につきシーズ/ニーズの研究会が組織され活発に活動がなされた。「知能ロボット」「バイオ技術応用」「光工学」という特定技術分野の研究会も開催された。このように積極的な取り組みは評価できるが範囲が狭い点も見られる。県内大学等の研究シーズ情報等についてアンケートを実施し情報収集およびその結果の発信を行い、また冊子も配布して研究情報整備を行った。今後は、情報の有効利用とUp-to-dateなものとなるような改定作業を期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 可能性試験は23件実施された。そのうち、「複合皮膜による水素吸蔵合金形成体の開発」は他事業へ展開され、「化学気相成長法による次世代磁気記録媒体の開発」「ドライ環境対応超強靱複合膜の開発」が福井県地域結集型共同研究事業に展開された点は評価できるが、全体として他事業への採択率はあまり高くなかった。今後は、研究進展により特許化や企業化を推進されることを期待する。
3*コーディネート活動の公開状況
 大学等の研究シーズと企業ニーズを発掘するためのアンケート調査や訪問調査の結果をベースとして冊子「県内大学等の研究シーズ情報」「産学官連携による研究開発支援制度の手引き」を作成し情報を公開している。また、適時的確な情報発信を図るため、E-mailによるネットワークを構築し情報発信に努めている。これらは拠点機関とコーディネータの連携によりコーディネート活動の公開が積極的になされたものとして評価できる。今後は、可能性試験の展開状況やコーディネート活動によって構築されたネットワークの最新状況を適宜公開されることを期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 大学との共同研究や委託研究がここ数年顕著に増加してきており、地域の産学連携の実証データとして評価できる。これは拠点機関である(財)福井県産業支援センターがRSP事業を通じ「待ちの体制」から「攻めの体制」をとれるようになり、産学官連携の体制が強化されてきていることの現れと思われる。今後は、財団独自財源によりコーディネート機能を継続発展させる予定であり、更なる展開を期待する。
5*総合評価
 福井県独自の取り組みとして東海5県RSP事業連絡会議への参画による県域を越えたネットワーク構築やラジオ番組への企画参加による県民への理解増進施策などの積極的な取り組みは評価できる。 拠点機関の(財)福井県産業支援センターは、中小企業の研究開発から事業化までを総合的に支援できる新たな体制整備のために組織統合により設立されたものであり、新体制の下で有機的連携を図りつつ発展してきたものである。今後は、RSP事業の成果が展開されることを期待する。
(4) 岐阜県
拠点機関 財団法人 岐阜県研究開発財団
科学技術コーディネータ 柴田 勝喜
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 地域ニーズの調査については、4年間で43件と必ずしも活発な情報収集を行ったとはいえない状況にあるが、助成事業等に関与した県内企業のデータベースを構築している点は評価できる。研究シーズの調査について、直接のシーズ調査は4年間で100件とあまり多くない。研究会活動については、当初、可能性試験の課題検討を行う研究会であったものを具体的なニーズやシーズを把握する場としてより実用的な機能を持たせるようになった点は評価できる。また、技術シーズデータベースや講師データベースなどからなる「岐阜県内研究開発人材データベース」を構築しており、今後は、これらの情報のより一層の充実と公開を期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 4年間で27課題の実施状況であり、課題数としては多くはないが、「世界初のバッチ式マイクロ波単独焼成炉の開発」など県内地場産業と結びついたテーマから実用化に結びつく大きな成果を上げているものと評価できる。また、可能性試験課題から3件の他事業への橋渡しも行われている。今後は、これらのテーマについて、引き続きフォローアップを行い、実用化、商品化に向けた支援が継続されることを期待する。
3*コーディネート活動の公開状況
 事業リーフレットの作成や財団メーリングリストでの活動情報の提供、ホームページの作成、新技術フォーラムの開催など一通りの事業PRは実施している。また、600人分の人材データを含む「岐阜県内研究開発支援データベース」を整備し、CD-ROMとして広く関係者に配布しようという取り組みは特徴的であり、評価できる。今後は、これらの情報の適切なメンテナンスと公開を期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 新技術説明会、シーズダウンロードセミナー、ラボ・ゼミナールなど、大学等のシーズを企業に紹介する取り組みは活発に行われている。また、平成13年度からは、より具体的なテーマを設定した研究会である「研究開発クラスター」を設置するとともに、岐阜大学のリエゾンオフィス内に拠点機関の職員を常駐させ科学技術コーディネータとの連携を図るなど、特色のある新たな取り組みが始まっており、これらの取り組みの継続による活発なコーディネート活動に期待する。
5*総合評価
 技術シーズと企業ニーズのマッチングを図るための様々な工夫がなされてきているものと評価するが、事業最終年度における科学技術コーディネータの交代によりそれまでの取り組みとの継続性が失われてしまった感がある。また、地域結集型共同研究事業とは棲み分けを行っているが、逆に緊密な連携を図ることにより両事業の活性化を図るよう努めるべきであった。本事業終了後も県の単独事業である「研究開発コーディネート事業」として大部分の取り組みが継続されることから、今後の成果に期待したい。
(5) 京都府
拠点機関 株式会社 けいはんな
科学技術コーディネータ 相馬 勲
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 京都府にならびにけいはんな地域は、京都大学や奈良先端科学技術大学院大学をはじめ、有力な理工系大学や国際的な研究機関が立地し、また多数の研究開発型企業を擁する地域として、様々な潜在的かつ高度な研究シーズ・企業ニーズが多数存在すると期待されるが、その傾向、必要性、将来性などの見通しに従いランク付けを行い整理をしないと、無駄と思われるものが多く見受けられる。15の分野別研究会を組織したが、ニースオリエンテッドに徹して実施された点の自己評価がされていない。今後は、地域の特色を生かした各大学間の連携をより一層深めるとともに、京都の産業界との交流・連携に注力することを期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 多くの可能性試験が実施され、特許出願や実用化・商品化へ発展するなどの動きは評価できる。ただし、京都府ならびにけいはんな地域のポテンシャル全体を反映した試験課題構成に配慮すべきであったと思われる。具体的には京都大学の関与が大学規模からみて少ないことが懸念される。また、一つのテーマを複数年にわたって実施している点は、きちんとした評価の上に実施しているというよりは成り行きにまかせている感じが否めない。
 今後は、可能性試験の結果の活用について、試験を実施した研究会を中心として十分な検討を行うことを期待する。
3*コーディネート活動の公開状況
 新技術フォーラムの積極的開催、大学リエゾン会議等による情報提供への働きかけは、産・学・官の人的ネットワーク作りに貢献したと評価できる。今後は、コーディネート活動の成果を更に効果的に運用するための考慮と検討を行うべきである。また、京都府における独自の産学連携活動が盛んな大学等とも協調し、一層のコーディネート活動の発展を期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 サブコーディネータの配置、インキュベーション施設の充実、中小企業総合センターけいはんな分室の設置等がみられ、大型の研究開発プロジェクトへの展開が図られるなど、多方面での波及効果がみられた。さらに、技術移転グループが成立するなど他地域にみられない展開は評価できる。しかしながら、コーディネート機能の構築に対して、やや一貫性、一本化に欠ける面がある。今後は様々な研究ポテンシャルが存在する地域特性を活かしたコーディネート機能の構築について一層の検討を期待する。
5*総合評価
 「エコライフ」をキーワードに、21世紀型社会に貢献する新技術・新産業の創出と育成、そのための産学官交流ネットワークの構築を活動の理念に据え、バイオ、材料、情報の3分野を軸として活動を行った。地域として、産や学や文化に恵まれ、又けいはんな地区という産業地域も整備中であり、本事業が果たした役割は大きい。今後の課題としては、拠点機関としての(株)けいはんなの今後の発展と、本事業実施期間中に得られた成果をいかに結び付けていくかを整理、検討することが重要である。
(6) 兵庫県
拠点機関 財団法人 新産業創造研究機構
科学技術コーディネータ 松井 繁朋
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 ライフサイエンス、ナノテク・新製造・新素材、環境・エネルギー等の重点ごとに研究会を組織するとともに、これを積極的に開催し、活発な情報収集活動が行われた。主要研究会の代表を兵庫県内機関所属者に限らず依頼したことは、産業の広がりとして重要なことといえる。拠点機関である(財)新産業創造機構(NIRO)の活動とも同調し、研究情報の整備が良くなされている。ニーズ/シーズの結合も意欲的に試みられており、事業実施期間中に蓄積された各種情報を基盤として、今後一層の充実を図っていくことを期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 可能性試験はのべ41件実施され、分野的には環境・エネルギーが最も多く、ナノテク・新製造がそれに次いでいる。試験結果から発展し、全方向電動車いす、ウェアラブルセンサといった商品化・実用化の動きが出ていること、また、クッキングオイル廃油回収システム開発や天然由来化合物の塗料・フィルムへの適用技術開発が県や国の支援制度を利用して、本格的な検討段階へ展開していることは、試験結果の活用状況として妥当なものとして評価される。新技術フォーラムでの試験結果の報告にとどまらず、学会発表・論文投稿等のアカデミックなアプローチを積極的に行うことを期待する。
3*コーディネート活動の公開状況
 研究者データベースの作成やホームページでの公開、またマスコミを積極的に利用した本事業および可能性試験結果の公開を行ってきた。拠点機関が組織として的確にコーディネート活動を公開してきたと評価できる。今後は公開情報の利用状況、および公開情報に対する反響などをきちんとフィードバックし、データベースの更新や地域独自のコーディネート活動の充実が展開されることを期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 科学技術コーディネータ、およびコーディネート機能を構築すべき拠点機関のいずれも適切であり、本事業実施期間を通じて着実にコーディネート機能が構築されてきた。拠点機関である(財)新産業創造機構(NIRO)自身の活動と組み合わせて、今後、多方面にわたる波及効果が期待される。特に中小企業を中心にした産学連携の促進に期待する。
5*総合評価
 拠点機関である(財)新産業創造研究機構が、新産業の創造に係わる研究事業の実施を目的に設立されており、拠点機関本来の業務と本事業が有機的に結合し、全体として機動的・機能的に進捗したといえる。高い研究開発ポテンシャルを有する地域性を今後とも活かすこと、そして、本事業で組織した研究会を中心とするネットワークの充実を図ることは非常に重要である。兵庫県が新しい事業として平成14年4月から発足させた「兵庫県産学官イノベーションシステム整備事業」に本事業の成果をうまく結び付けていくことを期待する。
(7) 岡山県
拠点機関 岡山県産業振興財団
科学技術コーディネータ 稲村 實
事業実施期間 平成10~13年度
1*地域ニーズ、研究シーズの調査状況と研究情報の整備状況
 各分野にわたる活発な研究会(財団に設置)活動を中心に、企業出身の科学技術コーディネータがニーズオリエンテッドな情報収集を行っており、4年間で2900人に及ぶ人的ネットワークのデータベースを構築している点は評価できる。また、県の「産業支援ネットワーク」上で収集した研究者やシーズの情報を提供している。今後は、コーディネート活動において収集したデータの活用を図ることはもちろんのこと、可能な範囲で公開する努力を期待する。
2*可能性試験の実施状況および試験結果の活用状況
 県の重点技術分野である「光技術」、「循環型生産システム」、「医用工学」の3分野に加え、各研究会から生まれたテーマについて、4年間で35件の可能性試験を実施している。これらの試験結果から「ヒューマンケア・インタラクションロボット」などが実用・商品化されるとともに、3件が科学技術振興事業団の技術移転プログラムに橋渡しされている。これら以外の試験テーマについても、引き続きフォローアップをし、産業化、実用化を目指すことが望まれる。
3*コーディネート活動の公開状況
 年1回の新技術フォーラムの開催により、可能性試験結果の報告とRSP事業の説明を行っている。また、11の研究会活動や大学研究室の公開などを通じて人的ネットワークを拡大しているが、今後はインターネットや各種広報媒体の活用により、なお一層のコーディネート活動自体の広報に努めることを期待する。
4*地域におけるコーディネート機能の構築状況および波及効果
 2900人のデータベースを構築したこと自体は科学技術コーディネータの熱心な取り組みの成果と評価できる。今後はこれらのデータのメンテナンスと有効な活用策を検討していく必要がある。また、平成11年度から3年間で60の大学、高専の研究室を公開するという独自の取り組みを実施しており、今後もシーズとニーズのマッチングを図る重要な機会として継続していくことを期待する。
5*総合評価
 企業のニーズを主体としたコーディネート活動を行うという科学技術コーディネータの明確な理念、ビジョンが感じられるとともに、この理念に従って4年間事業が進められており、また、拠点機関としてもコーディネータの活動をサポートする体制が整備されていたことは評価できる。ただし、コーディネータの人的ネットワークや活動手法などが個人に帰属してしまっている感があり、組織としてこれらを地域に根付かせていくためにも、引き続き継続される財団のコーディネート事業における取り組みに期待したい。

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